2015年7月13日月曜日

【NHKクローズアップ現代】なぜ広がる “ブラックバイト”被害―【私の論評】ここにも雇用の本質を報道しない、知的怠惰もしくは日本弱体化を目指すNHKの姿勢がありあり(゚д゚)!

【NHKクローズアップ現代】なぜ広がる “ブラックバイト”被害

 
 

出演者大内 裕和 さん(中京大学国際教養学部教授)

違法な長時間労働や残業代の未払など、過酷な労働環境で働かされる“ブラックバイト”のトラブルが後を絶たない。今年4月に公表された全国調査では、アルバイトを経験した大学生のおよそ7割が、「労働条件が募集時と違った」「賃金が支払われない」など、不当な扱いを受けたことがあると回答。

過酷な労働条件でシフトを増やされ、学業との両立が難しくなるケースもあり、深刻な被害の実態が明らかになった。正社員並みに責任の重い仕事を任され、辞めたくても辞められない状況へ追い詰められていく若者たち。取材から浮かび上がってきたのは、「若年層の経済的困窮」と「学生バイトの基幹労働化」の問題だ。急増する“ブラックバイト”の実態を追い、悪化する労働環境をどうすれば改善できるのか、今後の対策を考える。

【私の論評】ここにも雇用の本質を報道しない知的怠惰もしくは日本弱体化を目指すNHKの姿勢がありあり(゚д゚)!

さて本日「クローズアップ現代」またまた、問題満載のとんでも番組でした。本日は、再放送があるはずなので、ご覧になっていない方は、ご覧になってみて下さい。

ただし、これを視聴して、鵜呑みにしてしまえば、とんでもないです。本日は、このトンデモなさの根源に迫ります。

まず、結論からいいます。この番組では、実際にブラックバイトをして、大変な目にあっている大学生を紹介していました。

この番組のタイトルは『なぜ広がる “ブラックバイト”被害』というものですが、残念ながら、この番組はこの「なぜ」に全く答えていませんでした。

これでは、まるで「ブラックバイト」がなぜ起こるのかという、根源的な内容には全く答えていないし、まるで「ブラック経営者」が良くないだけというにしか受け取ることができず、ほんとうに薄っぺらなものになっていました。

ただし、この番組の出演者である、が、ほおの一言だけ背景を以下のように語っていました。

「1990年代に入ってから、親の収入が減ってしまい、バイトをしなければ学業を続けられない学生が増えてきました。昔は、バイトは部活費を捻出するとか、学生生活を豊かにするためのものだったが、今はそうではない」

では、なぜ親の収入が減ったのか、ということはとうとう最後までこの教授も、この番組でも一言も語られることはありませんでした。

ブラック・バイトがはびこる原因は、無論のことあまりにも長い間続いたデフレのせいです。デフレであれば、雇用状況が悪化するのは当然のことです。

そうして、この教授のことを調べてみると、何と福島みずほTVという、社民党福島みずほさんのインターネット動画番組に出演したことがあることがわかりました。その動画のキャプチャー画像と、リンクを以下に掲載しておきます。

福島みずほTVに出演する大内氏(左)

この番組も視聴してみたのですが、結局この番組でもブラック企業がはびこる原因が、デフレであることなど一言も語りません。

ましてや、賃金の低下や、雇用条件の悪化が、デフレのせいであることは何も語られていません。現実に起こっていることをただ列挙するだけで、その本質を語ることはありませんでした。

無論、最近の日本は2013年から、金融緩和を実行していて、雇用状況が回復しつつあったものが、昨年の8%増税によって、これがまた悪化したものの、統計数値などでは良くなりつつあることなど全く解説していませんでした。

若者雇用については、つい先日もこのブログに掲載したばかりです。その記事のリンクを以下に掲載します。
典型的な「旧日銀」エコノミストの「金利暴騰と円暴落」予言の真偽 ―【私の論評】日銀がまともな政策を採用しないと社会が破壊される(゚д゚)!

詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では雇用と日銀の金融政策が密接な関係にあることを記載しました。その部分のみ以下にコピペさせていただきます。

"
アメリカでは、雇用問題というと、まずは、FRBの舵取りにより、大きく影響を受けるということは、あたりまえの常識として受け取られていますし。雇用対策は、FRBの数ある大きな仕事のうちの一つであることははっきり認識されており、雇用が悪化すれば、FRBの金融政策の失敗であるとみなされます。改善すれば、成功とみなされます。

この中央銀行の金融政策による雇用調整は、世界ではあたりまえの事実と受け取られていますが、日本だけが、違うようです。日本で雇用というと、最初に論じられるのは、冒頭の記事のように、なぜか厚生労働省です。

このブログでも、前に掲載したと思いますが、一国の雇用の趨勢を決めるのは、何をさておいても、まずは中央銀行による金融政策です。たとえば、中央銀行が、インフレ率を2〜3%現状より、高めたとしたら、他に何をせずとも、日本やアメリカのような国であれば、一夜にして、数百万の雇用が生まれます。これに関しては、まともなマクロ経済学者であれば、これを否定する人は誰もいないでしょう。無論、日本に存在するマクロ経済学と全く無関係な学者とか、マルクス経済学の学者には、否定する人もいるかもしれませんが、そんなものは、ごく少数であり、グローバルな視点からすれば、無視しても良いです。

日銀が、やるつもりもないインフレ目処1%など無視して、インフレ率を本当に2〜3%上昇させたとします。そうすれば、日本でも、一夜にして、数百万の雇用が生まれます。これは、マクロ経済学上で昔から知られているし、経験則としても成り立っている法則です。
"
なお、以上の文章のでの雇用の問題というと、正社員の雇用、バイトの雇用、正社員・バイトなどの臨時雇用の賃金、雇用条件などすべてを含みます。

ここで、一つはっきりさせておきますが、デフレの悪影響が色濃く残る現状の日本で、もし金融緩和政策を一切しないで、クローズアップ現代で指摘されているような、対策を目一杯打っても、ブラック企業やブラック・バイトはなくなりません。デフレが完璧に解消されて、緩やかなインフレが実現されない限り、必ずまたはびこります。

ある経営者がブラック企業をやめたり、やめさせらたりして良かったと思っても、また別の誰かがブラック経営者になり、同じことが繰り返されるだけです。

なぜなら、金融緩和抜きで、いろいろ対策をしたにしても、それでは根本的な雇用問題の解消にはならないからです。

しかし、金融緩和を実施して、インフレ率が2〜3%になれば、モノが売れだし、企業業績が上回り、企業はもっと売ろうと、設備投資をしたり人を雇用するようになります。そうなると、必然的に人で不足になります。

そうなると、ブラック企業に勤務する人は、まともな雇用条件の会社に移るようになりますし、ブラック企業が人を募集しても、人を採用できなくなります。その場合どうすれば良いかといえば、ブラック企業の存続を諦めるか、ブラック企業であることをやめ、まともな企業になるしかありません。いずれにせよ、ブラック企業や、ブラック・バイトも消滅しかなくなるわけです。

それにしても、NHK のこの番組、まったく酷い内容です。全く意味のない番組です。ひとことでいえば、NHK の知的退廃を示すトンデモ内容といえます。

そうして、雇用と金融政策の関係にいつまでも気づかない左翼の知的退廃も酷いものです。それについては、このブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
安倍政権に奪われた雇用政策 日銀法改正を主張する気概を 民主党代表選 ―【私の論評】日銀の金融政策は雇用と多いに関係あること、中央銀行の独立性とは目標ではなく、手段の独立性であるべきことを理解できない政党・政治家は結局何もできずに破滅するものと心得よ!!
消費者物価指数上昇率と失業率の間には明確な相関関係がある

詳細は、この記事をご覧いただくものとして。現在実行されている金融緩和政策は、欧米では、不況のときなどに雇用を改善するものとして、労働組合などの左翼が支持する政策です。

しかし、日本ではそれが左翼に全く理解されておらず、そのためか左翼は雇用については、上で私が述べたように、全く頓珍漢な話しかしません。

そうして、NHKのこの番組も同じことです。

全くの知的退廃以外の何ものでもありません。このような番組で、左翼やNHKは安倍政権批判をするための下準備をしたり、雇用問題でアピールして、若者の支持者を増やそうとしているのでしょうか。

あるいは、ブラック企業や、ブラックバイトをブラック経営者だけの責任として、人格の問題として、国民同士が互いに反発するように仕向けて、日本弱体化を目指しているのでしょうか。

いずれにしても、これはNHKクローズアップ現代の制作陣や、左翼の知的退廃以外の何モノでもないと思います。

私はそう思います。皆さんは、どう思われますか?

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「子どもが生まれたら10人に1人、離婚したら半分以上が貧困になる時代を生きる」―【私の論評】ちょっと待ってくれ、貧困の大きな原因の一つとして、個々人の努力や社会制度の問題の前にデフレがあるのでは(゚д゚)!

【関連図書】


金融緩和によって、これから日本経済は、確実に良くなります。ブラック企業や、ブラックバイトもなりを潜めるでしょう。しかし、一方では過去の日銀審議員のように組織を破壊するダメ人間も存在します。


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