2015年8月5日水曜日

習政権に大打撃 IMFが「人民元の国際化」決定時期を延期―【私の論評】弱り目に祟り目の中国、今や何一つ良いことのない中国に明日はない(゚д゚)!


国際金融市場混乱の火種になるとIMFが懸念する人民元

 習近平政権の野望が封じ込められた。国際通貨基金(IMF)は、中国の人民元をドルや円などと並ぶ主要通貨に採用し「特別引き出し権(SDR)」の構成通貨に加えるかどうかの決定時期を当初の年内から来年9月末以降に延期する方向となった。国際金融機関とかけ離れた実態のアジアインフラ投資銀行(AIIB)設立や強権的な株価維持策など、習政権の政策が裏目に出た。

 IMFのスタッフが4日に公表した報告書では、年内にSDR採用を決めると2016年初の金融市場で、取引が混乱する懸念があると指摘、採用を延期すべきだとした。

 人民元が国際決済に占めるシェアで5位となるなど活発に利用されていると認める一方で、「自由に使用可能」という要件をクリアしているかどうかは、理事会が今後判断するとした。

 ロイター通信によると、ドイツと英国など欧州各国は人民元を年内にSDRに採用することに前向きだが、米国と日本は慎重だという。

 中国は人民元のSDR採用へ積極的な外交活動を展開。AIIBを設立して存在感をアピールする狙いだった。ただ、AIIBの中身は、中国が拒否権を握るなど国際金融機関とはほど遠い。

 景気が減速するなかで、6月中旬以降の株価暴落を受けて強引な株価維持策を実施したこともあり、国際金融市場では中国や人民元への不信感が高まっていた。

【私の論評】弱り目に祟り目の中国、今や何一つ良いことのない中国に明日はない(゚д゚)!

元が主要通貨になり、SDRの構成通過になることは、おそらく今後永遠にないと思われます。というより、IMFに限らずまともな、金融の専門家からすれば、到底無理というのが、正直なところでしょう。

ちなみにIMFがなんと言おうと米国などが反対すれば終わりです。IMFそのものには決定権など無く、クオータ(各国の投票権等の基礎となる出資額)改革には70%の賛同が必要 米国単独18%弱 で日米で約24%の状況です。

人民元 変動幅を認めた通貨バスケット制(自国の通貨を複数の外貨に連動したレートにする固定相場制のこと)で、ドル比率が高いので、事実上のドル連動になっています。ですから、SDRに組み込んだところでドルの影響比率が高くなるだけで無意味です。 中国が元を国際通貨にしたいというのなら、まずは変動相場制に移行し、単独通貨として自立するのが先です。

日本円は、無論SDRの構成通貨ですが、元は全く無理です。中国の金融に関しては、見えない部分があまりにも多すぎます。

まずは、このブログでも指摘したように、現中国では金融が空洞化しています。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国経済、崩壊か…中国版アベノミクス不発 社会主義国家を待ち受ける“2つの罠”とは―【私の論評】『保八』も確保できない中国は、本当は雇用状況もかなり悪化しているのに、金融緩和政策も実行できない、その理由は「金が消えた」という驚愕の真実(゚д゚)!
中国の経済は縮小している

詳細はこの記事をご覧いただくものとして、以下に中国の金融の空洞化具合を示した部分のみ掲載します。
 中国から不正に海外へ流れたカネは3兆7900億ドル  外貨準備高より多いカネが不正に海外へでた勘定になるのだが。。。。。
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グローバル・ファイナンシャル・インテグリティ(GFI,ワシントンの国際金融監視シンクタンク)の調査に拠れば、中国から不正に海外へ持ち出された金額が精密に報告され、驚くべき巨額の事実が浮かび上がって。 
 つい最近まで筆者は1兆800億ドルと、このGFIの数字を援用してきた(これは2002年か2011年の統計とされた)。 
 ところが新しい報告では2000年から2011年までの統計で、実に3兆7900億ドルが不正に海外へ流れた(Illicit flow)。2005年から2011年の統計で2兆8300億ドルとなる新しい数字に上方修正された。 
どの期間の統計かによって、数字が異なるのは当然といえ、もし2000年から2011年統計で、中国からの海外逃避資金のトータルが3兆7900億ドルとなると、史上空前の新記録。邦貨換算で417兆円弱。日本のGDPの80%にあたる。 
これは中国の金融が空洞化していることを示して余りある。 
以下に掲げる「ワースト・ランキング」はGFIが集計した2002年から2011年の合算統計である。 
1)中国      3兆7900億ドル
2)ロシア      8809億ドル
3)メキシコ     4618
4)マレーシア    3704
5)インド       3431 
桁違いの汚職天国、ロシアのそれも凄いが中国に比べたら何ほどのこともない。
417兆円もの金が過去10年ほどで海外に不正に流れているというのが、中国の実体です。 このような国の通貨が国際主要通貨にできないことは明らかです。

さらに、上の記事でも指摘していたように、6月中旬以降の株価暴落を受けて強引な株価維持策を実施も本当に問題です。

中国は現在、日本のPKO(プライス・キーピング・オペレーション)をはるかに上回る規模で、株式市場への介入を準備しています。氏はこれが原因でほぼ確実に、中国共産党にも日本と同じように、後でつけが回ってくることになるでしょう。

PKOは日本では1992年に始められたもので、バブル崩壊による株価の下落を食い止めるため、公的資金による株式投資を行ったものです。この時の日本のPKOは不況を長引かせる一因ともなり、日本は長い不況の時期に入いりました。

中国の株価PKOは効果がない・・・・


これを中国はとてつもない規模で行ったり、挙句の果ては、上場会社の株式の取引を停止するなどのとんでもないことをしました。

中国当局が相次いで打ち出したこのような異例の株価支援策。これがうまく行くと考えるのは、愚か者だけでしょう。

今の中国株に関して選択の余地があるなら、正しい態度は傍観者として様子を見守ることです。なぜなら、株式市場の急落に直面した中国当局は、一連の強力な対策で売り手を威圧しようとしていて、それらは株価にとっては支援材料ですが、現実と株価のかい離をもたらすことになるからです。

6月12日以降に上海総合指数が約30%下落したのを受け、中国当局は今月4日から立て続けに株価の下支え策を発表。中国の大手証券21社は、相場を下支えするため総額1200億元を株式投資に充てると発表。中国人民銀行(中央銀行)は、これら証券各社への信用取引向け融資を手掛ける国営の中国証券金融に対し、流動性支援を提供する方針だといいます。

さらに中国株式市場への上場を計画していた28社が4日、株式新規公開(IPO)を中止すると明らかにしました。

これらの対策が打ち出される直前には利下げも行われていましたが、どちらも株式市場の下落を食い止めるには至っていません。

中国当局はまた、株式市場の空売り筋にも怒りの矛先を向けており、「相場操縦」の可能性を調査すると表明しました。

彼らは明らかに、自らを自国資本市場での最後の買い手と位置付けようとしています。株価支援資金の多くは、当局の意向に依存し、当局の期待に応えることが求められている機関に流れ込んでいます。

このような状況では、中国版PKOは到底うまくいくとは考えられません。

さらに、中国のGDPなどの統計値はほとんど出鱈目ということも良く知られていますが、これを車に例えると、真っ暗やみの中で車のメーターがすべて出鱈目という状況に等しいことになります。このような車に乗っているのを想像してみてください。



メーターがあてにならないし、夜で視界が狭いし、スピードが出ているのか、遅いのかもわからず、いつどこで、どんな目にあうかもわかりません。

そのような国の通貨を世界の主要通貨として、「特別引き出し権(SDR)」の構成通貨に加えることなどとてもてきるものではありません。IMFの判断は正しいです。

最近は、中国と国境を接している国々で、元を決済通貨として用いることが行われていました。これをもって、元が国際通貨になることを懸念する人たちもいましたが、その懸念は幸いにも外れたようです。

経済も当面ダメ、元の国際主要通貨化も頓挫、AIIBもアジア開発銀行にはどうあがいても勝つこともできず、そうして一昨日このブログに掲載したように、アメリカでの製造コストが中国と同レベルに減少してしまいました。

今回の、「人民元の国際化」の実質的な失敗は、まさに弱り目に祟り目ということで、何一つ良いことはありません。

すでに黄昏時を迎えた中国

もう中国は、はやくも黄昏時を迎えたようです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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