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2019年10月14日月曜日

【東アジアの動乱と日本の針路】日米関係は本当に順調なのか? 「日本は中国に対して甘すぎる」米国の不満が爆発すれば―【私の論評】安倍外交は、戦略と戦術で分けてみよ(゚д゚)!


安倍首相(左)と、トランプ大統領の個人的関係は良好だが…

日米両政府は7日(日本時間8日)、新貿易協定に正式署名した。表面上、日米関係は順調なように見える。だが、本当にそうだろうか。

 米国は、チャイナ(中国)の政治的、経済的脅威を深刻に認識している。ドナルド・トランプ政権だけでなく、野党・民主党も中国には厳しい態度で迫っている。

 チベットやウイグルでは、人権無視の強圧政策が継続している。特に、ウイグルでは100万人以上のウイグル人が強制収容所に収監されている。香港民主化運動は説明するまでもない。米国は「経済」と「人権」で中国を追い込んでいる。

 トランプ大統領と、安倍晋三首相では「中国の脅威」の認識について、大きな隔たりがある。日本の認識は、甘いと言わざるを得ない。

 実は日本こそ、知的所有権の窃盗などで、中国に経済制裁を発動してもおかしくないが、その動きはない。経済界には「トランプ氏が保護主義政策を振り回して、わが国は迷惑している」といった発言をするリーダーまでいるほどだ。

 最近では、日本は、中東・ホルムズ海峡の安全確保に向けた米主導の「有志連合」構想への参加を表明していない。トランプ政権や米軍からすれば、日本は中国にあまりに妥協的で、フラストレーションがたまっている。安倍首相とトランプ氏の個人的関係だけに依存していると、日本が制裁を受けることもあり得るのだ。

 それでは、米国の対中政策は継続するのか?

 これは、トランプ氏の大統領再選にかかっている。再選されれば、中国が根を上げるまで、米国は制裁を続けるだろう。

 筆者は現時点で、トランプ再選の可能性は7割以上とみている。民主党の大統領候補がみんな小物で、急進左翼色が濃厚なのである。中産階級の支持を幅広く集められるスター性のある候補者がいない。

 民主党は最近、「ウクライナ疑惑」なるものを持ち出して、トランプ氏の弾劾プロセスを開始した。この成功の可能性は、ほとんどゼロ%である。ロシアゲートの二番煎じの茶番劇である。

 トランプ氏が、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に、ジョー・バイデン前米副大統領の息子のスキャンダル調査を依頼した。これは、バイデン氏が副大統領時代、息子のハンター氏がウクライナの天然ガス企業の重役に就任していた問題である。

 以前から、これは「ウクライナ政府による、バイデン氏への贈賄に当たるのではないか」との疑惑が持たれていた。バイデン氏は現時点で、民主党予備選の有力候補であり、この真相が明らかになると、民主党は壊滅的な打撃を受ける。それを阻止しようと、「窮鼠猫を噛む」で弾劾を言い出したと分析している。

 トランプ氏によるウクライナへの捜査依頼は合法的な行動であり、弾劾の開始はむしろ、民主党が窮地に陥っていることの表れである。=おわり

 ■藤井厳喜(ふじい・げんき) 国際政治学者。1952年、東京都生まれ。早大政経学部卒業後、米ハーバード大学大学院で政治学博士課程を修了。ハーバード大学国際問題研究所・日米関係プログラム研究員などを経て帰国。テレビやラジオで活躍する一方、銀行や証券会社の顧問などを務める。著書・共著に『国境ある経済の復活』(徳間書店)、『米中「冷戦」から「熱戦」』(ワック)など多数。

藤井厳喜氏

【私の論評】安倍外交は、戦略と戦術で分けてみよ(゚д゚)!

日本は、中国に対して甘すぎるという指摘は、冒頭の記事の藤井厳喜氏だけではなく、産経新聞のワシントン駐在客員特派員である、古森義久氏も同じようなことを主張しています。その記事のリンクを以下に掲載します。
【古森義久のあめりかノート】危うい安倍首相の対中観
古森義久氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より結論部分を以下に引用します。
 安倍政権が中国に対して唱える「競合から協力へ」という標語や中国の「一帯一路」構想への間接協力はトランプ政権の政策とは正反対である。同政権は中国を米国主導の既成の国際秩序を崩そうとする危険な挑戦者と位置づけ、「協力から競合へ」と主張する。「一帯一路」も習政権の覇権的な野望として排する。 
 トランプ政権は今月にはウイグル民族の弾圧にかかわる中国政府高官の訪米を拒む措置を発表した。安倍政権の「交流拡大」とは完全な逆行である。
 安倍政権のこうした対中融和姿勢にはトランプ政権の関係者からすでに抗議が発せられた。同政権の国務省引き継ぎの中核となったクリスチアン・フィトン氏は最近の論文で警告していた。 
 「米国が中国の無法な膨張を抑える対決姿勢を強めたときに日本が中国に融和的な接近をすることは日米同盟やトランプ政権への大きな害となる」

 現在は米研究機関「ナショナル・インタレスト・センター」上級研究員のフィトン氏はこう述べて、このままだと「安倍首相はトランプ大統領の友人ではなくなる」とか「米国は日本製自動車への関税を高める」という最悪シナリオをも示すのだった。(ワシントン駐在客員特派員)
第2次安倍晋三政権が発足して早くも7年近くがたちました。ちまたには多くの「安倍外交論」がります。上記の藤井厳喜氏、古森義久の記事もそれらの一つです。これらは、安倍総理の対中国外交を危惧するという内容です。

私としては、外交、それも多元的な外交という面から見れば、また違った見方ができるのではないかと思います。

外交には3つの側面があります。第1は、国民感情や国内の権力闘争とは一線を画し、純粋に国際政治・経済・軍事上の利益を最大化する知的活動。第2はこれとは逆に、国内政治上の一手段として権力者が権力基盤を維持するために行う対外活動です。どちらを重視するかで評価は大きく変わります。

第3は、過去10年間で始まった国際的な政治潮流の変質です。グローバリズムと国際協調に代わって自国第一主義と排外差別主義が復活し、1930年代のような「勢いと偶然と判断ミス」による政治判断がまかり通っています。これら3つの側面に配慮しない外交政策はいずれも成功しないでしょう。

この国際政治・軍事環境の大転換期に発足したのが第2次安倍政権でした。目指した外交政策は2006~07年の第1期と大きく変わっていないです。具体的には、日米韓の同盟・準同盟を基軸に、台頭する中国を牽制し、ロシアとの関係改善を計りつつ、東南アジア、欧州、中東との関係を維持することです。

第2期に安倍外交が花開いたのは、首相の個人的能力もさることながら、安倍外交の基本政策がより多くの国民に支持され始めたことが大きいです。

転機は12年の尖閣諸島をめぐる日中衝突でした。当時の中国のかたくなな姿勢に直面し、国民はより強いリーダー、より毅然とした対外政策を求めたのだろう。各主要国に対する個別の安倍外交はどうでしょうか。

まずは日米関係ですが、日米同盟関係が今ほど円滑であった時期は記憶にないです。東アジアで中国の台頭に直面しながら、付き合い方の難しいバラク・オバマ、ドナルド・トランプ両政権と良好な関係を巧みに保ちつつ、日米連携の維持・拡大をリードした功績は素直に評価すべきです。

続いて中国です。安倍政権の対中政策は戦略的でブレていません。政権発足直後こそ日中関係はギクシャクしましたが、14年以降徐々に中国が日本に歩み寄るようになりました。しかし、日中関係はしょせん米中関係の従属変数です。米中関係が悪化した今、安倍外交は巧みに対中関係の戦術的改善を進めています。

勿論、これで中国が歴史、靖国や尖閣問題で実質的に譲歩するとは到底思えないです。米中関係が険悪であり続ける限り、中国は対日関係を維持せざるを得ないです。

しかし日本がこれを公式に言えば中国の面子が潰れることになります。日中関係は双方の智恵の勝負となるでしょう。

そうして、中国にとって日本は潜在的敵対国であり、尖閣や歴史問題での戦略的対日譲歩はあり得ないです。現在の対日秋波は日本からの対中投資を維持しつつ日米同盟関係に楔くさびを打つための戦術でしかありません。

一方、日本にとっても中国の潜在的脅威は今後も続く戦略問題です。であれば、現時点で日本に可能なことは対日政策を戦術的に軟化させた中国から、経済分野で可能な限り譲歩を引き出すことでしょう。

現在日中間で進んでいるのはあくまで戦術的な関係改善にすぎません。こう考えれば、欧米と普遍的価値を共有する日本が、藤井氏や、古森氏が強く反対する安倍首相が「軍事や経済などで強国路線を突き進む中国に手を貸す選択している」とまではいえないと思います。外交は、戦術と戦略とにわけて考える必要もあるのです。

安全保証のセキュリティーダイヤモンドを構想した、安倍総理が戦術的に一旦中国に歩み寄っているようにみえるからといって、戦略は変わっていないのです。

朝鮮半島は日本にとって鬼門です。元徴用工の訴訟や秘密情報保護協定(GSOMIA)問題での韓国の強硬姿勢は想定外でした。残念ながら、北朝鮮との拉致問題も解決の糸口を見いだせないでいます。南北朝鮮については、外交の国際的側面と国内政治的側面のバランスの維持が非常に難しいです。

さらに困難なのが、東アジアでのいわゆる歴史問題の扱いです。安倍外交の基本姿勢は確かなものですが、国際的利益と国内的政治配慮のどちらを優先するかは微妙です。13年の靖国参拝では後者を優先し、15年の戦後70年談話では前者を優先しています。

米国でも、特に知日派は日本外交の、こうした戦術面、戦略面は理解していることでしょう。

尖閣は長期戦略では中国の確信的利益である(尖閣に中国の軍事施設が設営された場合の想像図)

最後にロシアに触れます。北方領土をめぐる日ロ首脳交渉は、日本国内への配慮というより、米中ロ間のバランス変化を踏まえた戦略的な一手です。残念ながら今回ロシアは米ロ関係の悪化を受け、中国の戦略的脅威よりも米国に対する中ロ連携を重視しました。日ロ関係の再活性化は容易ではなです。ただし、このブログでも何度か掲載した通り、米国の対中冷戦が進化して、中国が弱体化したときには、日露関係の再活性化が期待できます。

過去7年弱の安倍外交は、不確実性が高まる東アジアで日本の国益と存在感を高めることにおおむね成功しました。懸念材料は、日韓関係悪化に伴い従来の日米韓3国の連携が失われる可能性です。今後日本が米国と共に韓国をどこまで引き留めるのか。これが安倍外交8年目の課題です。

本日韓国のチョ・グク法相は14日、法相を即日辞任すると表明した。チョ氏の妻ら親族の疑惑について検察が捜査を進めており、チョ氏は「これ以上、私の家族のことで文在寅(ムン・ジェイン)大統領や政府に負担をかけてはならないと判断した」と辞任の理由を説明した。今後、文在虎政権はレームダック化する可能性があり、そうなると、日本としは、交渉がしやすくなる可能性がでてきまた。

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2019年4月20日土曜日

挙国一致で中国と対決、何が米国を本気にさせたのか?―【私の論評】戦略の発動の時期と順番を間違えた中国は米国の事実上の敵国となった(゚д゚)!

挙国一致で中国と対決、何が米国を本気にさせたのか?

これ以上中国を放置できない、米国の専門家が語る米中関係の展望
古森 義久

米国のロバート・ライトハイザー通商代表部代表(左)、中国の劉鶴副首相(中央)、
スティーブン・ムニューシン財務長官(右、2019年2月14日撮影、参考写真)

 米国の首都ワシントンで取材していて、外交について最も頻繁に接するテーマはやはり対中国である。政府機関の記者会見でも、議会の審議や公聴会でも、民間のシンクタンクの討論会でも、「中国」が連日のように語られる。

 しかも「中国の不正」や「中国の脅威」が繰り返し指摘される。ほとんどが中国への非難なのだ。

 そうした非難を述べるのはトランプ政権や与党の共和党だけではない。他の課題ではトランプ政権を厳しく糾弾する民主党系の勢力も、こと相手が中国となると、トランプ政権に輪をかけて、激しい非難を浴びせる。ときにはトランプ政権の中国への対応が甘すぎる、と圧力をかける。

 私はワシントンを拠点として米中関係の変遷を長年追ってきたが、米側からみるいまの米中関係は歴史的な変化を迎えたと言える(その実態を3月中旬、『米中対決の真実』という単行本にまとめた。本稿とあわせてお読みいただきたい)。

 では、なぜ米国は中国と対決するのか。今後の両国関係はどうなるのか。その原因と現状、さらには米中関係の展望について、米国有数の中国研究の権威であるロバート・サター氏に見解を尋ねてみた。

 サター氏は米国歴代政権の国務省や中央情報局(CIA)、国家情報会議などで中国政策を30年以上、担当してきた。10年ほど前に民間に移ってからも、ジョージタウン大学やジョージ・ワシントン大学の教授として中国を分析してきた。

 サター氏の認識に私が重きをおくのは、彼が政治党派性に影響されていないという理由もある。政府機関で働いた時期はもちろん官僚としての中立性を保ってきた。個人的には民主党支持に近い立場のようだが、民間での研究を続けてからも、時の民主党政権をも辛辣に批判し、共和党政権からも距離をおくという感じだった。

 今回はジョージ・ワシントン大学にあるサター氏の研究室を訪れて、話を聞いた。インタビューの主な一問一答は次のとおりである。

共和党も民主党も中国を強く警戒
──米中関係が歴史的な変化の時代を迎えたと言えそうですが、その変化をもたらした原因とはなんだと思いますか。

ロバート・サター氏(以下、敬称略) 変化を招いた直接の原因は米国側での危機感でしょう。中国をこのまま放置すれば米国が非常に危険な状況へと追い込まれるという危機感が、政府でも議会でも一気に強くなったのです。ただし中国側は米国のこの感覚を察知するのが遅かった。トランプ政権や議会を誤認していたといえます。ここまで強く激しく中国を抑えにかかってくるとは思わなかったのでしょう。

 米国側の危機感、切迫感を生んだ第1の要因は、中国がハイテクの世界で世界の覇権を目指し、ものすごい勢いで攻勢をかけてきたことです。米国は、このままでは中国に経済的にも軍事的にも支配されると感じたわけです。この状況を変えるには、たとえその代償が高くても今すぐに行動をとらねばならない、という決意になったのです。

 第2には、中国側が不法な手段を使って米国の国家や国民に対して体制を覆そうとする浸透工作、影響力行使作戦を仕掛けてきたことです。統一戦線工作を駆使しての威嚇、圧力、買収、スパイ工作まで米国の心臓部に踏みこむような乱暴な浸透活動が、米側で一気に指摘され、警戒されるようになったのです。
ロバート・サター氏

──米側の中国への不信はきわめて広範囲のようですね。

サター 一般国民も政府も議会も中国に対して強い警戒心を持っています。共和党議員だけではなく民主党議員も、共和党議員と歩調を合わせて対中強硬策を提唱しています。たとえば大統領選への名乗りをあげたエリザべス・ウォーレン上院議員が中国のスパイ活動を非難しました。また、民主党ベテランのパトリック・ リーヒ上院議員は「一帯一路」を嫌っています。民主党で外交問題に関して活躍するマーク・ウォーナー上院議員も、米国のハイテクが中国に輸出されることに強く反対しています。

──であれば、米中間の対立は今後もずっと続くということになりますね。

サター 摩擦がずっと続くでしょう。中国が米国の要求をすべて受け入れることはありえません。また、米国が中国に強硬な態度をとることへの超党派の強い支持は揺るがないからです。

これまでの大統領とは大違いのトランプ

──現在、米中両国の対立で最も分かりやすいのは貿易面での衝突ですね。米中関税戦争とも呼ばれます。

サター これまでの関税交渉では、米側が中国に圧力をかけ守勢に追い込みました。中国側はトランプ政権の勢いに押され、状況の悪化を恐れて、圧力に屈したという感じです。問題は、中国が米国の要求にどこまで応じ、米側からの圧力をどこまで減らすことができるか、でしょう。中国側がかなり妥協して、関税問題では一時的な休戦あるいは緊張緩和になるかもしれません。

 ただし経済問題では、トランプ政権内部にいくらかの姿勢の違いがあります。ロバート・ライトハイザー通商代表のように中国に対してきわめて強硬な人たちと、スティーブ・ムニューシン財務長官のようなやや協調的な人たちが混在しているのです。ではトランプ大統領がどんな立場なのかというと、この判定が難しい。

 関税問題では米側がある程度の妥協を示すこともあるでしょう。ただし、基本的な問題は厳然と残っています。関税問題の基盤にある米中間の底流は非常に対立的であり、険悪です。

 当面の関税交渉では、米国の中国に対する懲罰的な関税を中止するのかが焦点となりますが、この点に関してトランプ大統領はこれまでの歴代大統領とはまったく異なります。中国に対して譲歩や妥協をしないのです。トランプ氏にとって「譲歩」というのは、懲罰の量を減らすだけということになります。

──中国はトランプ大統領に対して戸惑っているということですか。

サター そうです。トランプ大統領はオバマ氏ら前任の大統領たちと違い中国に対して譲歩をしません。米側が欲することを中国側に圧力をかけて実行させるという点では、トランプ大統領は今のところ大きな効果をあげています。しかし、習近平主席は米側が求める総合的な構造変革をすることはないでしょう。ライトハイザー通商代表が要求しているような経済の体系的な変革はないだろう、ということです。

 中国側は「大きな変革を実行する」という合意に応じたところで、アメリカ側をだます見通しが強いといえます。このことはこれまで繰り返し起きてきました。ライトハイザー氏はすでにこのことを指摘しています。だから関税問題でたとえ米中間の合意が成立しても、両国関係の基本を変えるような前進はまずないだろうと思います。

──関税問題とは別に、厳然と残っている基本的な経済問題とはなんですか。

サター 米中間のハイテク競争、そして中国の米国への浸透、知的所有権の窃盗、米側企業を取得して米国のハイテク産業をコントロールすることなどです。米側は中国のこの種の動きに、はっきりと抵抗しています。

 さらには中国への輸出管理です。米側の商務省がこの問題に対処しています。中国の膨張を許すような品目の対中輸出は自粛する。これは東西冷戦時代にソ連圏への輸出を規制したココム(対共産圏輸出統制委員会)に似た概念です。中国との関係は、東西冷戦時代のソ連との対決とはまだ同じ段階に達していません。しかし、ファーウェイに対する米側の対応は事実上ココム的管理に等しく、その厳しさはさらに強くなっていくでしょう。
中国は「大きな変革」に着手するか

──サターさんは、米側が求める最終目標として中国側の「総合的な構造変革」という言葉を使いましたが、具体的になにを意味するのでしょうか。

サター 国家がコントロールする企業の役割、国家が産業界と一体になる産業政策、特定企業への優遇財政措置、外国企業、とくに米国企業の中国市場へのアクセスの制限、といった中国の産業政策が実際にどう変わるかです。知的所有権の扱い、外国の技術などの盗用、スパイも大きな要素です。こうした諸領域で中国政府がどんな改革措置をとるかが『総合的な構造変革』を占う指針となります。

 しかし、中国政府は表面をとりつくろうことがきわめて巧みです。なにもしていないのに、なにかをしているかのようにみせかける。そのため米国政府側の中国不信は非常に強い。だから米国政府は最大の注意を向けて中国側の動向を監視しています。もし中国側がこれまでのように大きな変革措置をとるという約束をして、実際にはしなかったことを確認した場合、米中関係は重大な危機を迎えるでしょう。トランプ大統領はそんな中国の背信を許さないでしょう。この点では、議会でも共和党、民主党が一致して中国への強硬な姿勢を保っています。
中国の危険な拡大を食い止めよ

──トランプ政権は経済問題以外でも中国を非難しています。具体的には中国のどのような動きが米側を最も強く反発させているのでしょうか。

サター 南シナ海での膨張、日本への圧力、ロシアとの結託、ウイグル民族の弾圧など米国の国益や価値観を侵害する一連の動きです。中国は米国のパワーを削ごうとしている。米国はその動きを止めようとしているということです。

 米国が究極的に目指すのは、中国にそのような侵略、侵害を冒させない国際秩序の保持だといえます。中国の攻勢に対しては、ケースバイケースで対応していく。そこで商務省、財務省、通商代表部、国防総省、連邦捜査局(FBI)などがそれぞれ中国の攻勢に立ち向かっているという状況です。

──サターさんのこれまで40年もの米中関係への関わりからみてトランプ政権の現在の中国への対応は適切だと思いますか。

サター はい、米国は中国の攻勢をはね返す必要があったと思います。中国が米国を弱いとみて進出や膨張を重ね、米国の勢力圏を侵害していくという近年の状況は危険でした。率直に述べて、オバマ政権時代の後半はそうでした。トランプ政権の政策担当者たちはそうした中国の危険な拡大を止めるための具体策を取り始めた。私はその基本姿勢に同意します。

 トランプ大統領が長期の総合的な対中政策のビジョンを持っているかどうかは別として、中国の膨張を止める政策を断固としてとれた指導者は、2016年の大統領選の候補者の中には他にいませんでした。中国への有効な対策を取るためには、米中関係の緊迫を覚悟せねばならない。トランプ氏以外にそうした緊迫を覚悟して自分の政策を推進できる指導者はまずいなかったと思います。現在のような強固な対中政策が米国には必要なのです。

【私の論評】戦略の発動の時期と順番を間違えた中国は米国の事実上の敵国になった(゚д゚)!

冒頭の記事において、米国側の危機感、切迫感を生んだ第1の要因は、中国がハイテクの世界で世界の覇権を目指し、ものすごい勢いで攻勢をかけてきたことをあげています。これについては、随分と報道などされてきているので、ここでは詳細は述べません。

第2の中国による統一戦線方式の対米工作については、特定部分がワシントンの半官半民のシンクタンク「ウィルソン・センター」から昨年9月上旬に学術研究の報告書として発表されました。

「米国の主要大学は長年、中国政府工作員によって中国に関する教育や研究の自由を侵害され、学問の独立への深刻な脅威を受けてきた」

このようなショッキングな総括でした。1年以上をかけたという調査はコロンビア、ジョージタウン、ハーバードなど全米25の主要大学を対象としていました。アジアや中国関連の学術部門の教職員約180人からの聞き取りが主体でした。結論は以下の要旨でした。
・中国政府の意を受けた在米中国外交官や留学生は事実上の工作員として米国の各大学に圧力をかけ、教科の内容などを変えさせてきた。 
・各大学での中国の人権弾圧、台湾、チベット自治区、新(しん)疆(きょう)ウイグル自治区などに関する講義や研究の内容に対してとくに圧力をかけてきた。 
・その工作は抗議、威嚇、報復、懐柔など多様で、米側大学への中国との交流打ち切りや個々の学者への中国入国拒否などを武器として使う。
この報告の作成の中心となった若手の女性米国人学者、アナスタシャ・ロイドダムジャノビク氏はこうした工作の結果、米国の大学や学者が中国の反発を恐れて「自己検閲」をすることの危険をとくに強調していました。

こうした実態は実は前から知られてきました。だがそれが政府公式の調査報告として集大成されて発表されることが、これまでなら考えられなかったのです。

これは、昨今の米国の対中態度の歴史的な変化の反映だといえるでしょう。さて、わが日本でのこのあたりの実情はどうでしょうか。日本でも、同様の工作が行われていることが、10年以上も前から言われてきました。

特に、日本は工作員天国といわれています。日本には世界の国ならどこでも持っている「スパイ防止法」がないのです。

工作員にとっての天国とは次のような状態です。①重要な情報が豊富な国、②捕まりにくく、万一捕まっても重刑を課せられない国のことです。

日本は最先端の科学技術を持ち、世界中の情報が集まる情報大国でもあります。しかも、日本国内で、工作員がスパイ活動を働いて捕まっても軽微な罪にしか問われないのです。スパイ活動を自由にできるのが今の日本なのです。つまり、工作員にとっては何の制約も受けない「天国」だということを意味しています。

アメリカに亡命したソ連KGB(国家保安委員会)少佐レフチェンコが「日本はKGBにとって、最も活動しやすい国だった」と証言しています。ソ連GRU(軍参謀本部情報総局)将校だったスヴォーロフは「日本はスパイ活動に理想的で、仕事が多すぎ、スパイにとって地獄だ」と、笑えない冗談まで言っています。

レフチェンコ氏

日本は北朝鮮をはじめとする工作員を逮捕・起訴しても、せいぜい懲役1年、しかも執行猶予がついて、裁判終了後には堂々と大手をふって出国していきます。日本もなめられたものです。

今後米国が、本気で中国と対決するというのですから、日本経由で米国の重要情報が漏れたり、たとえ米国の情報でなくとも、日本の技術等が中国に漏れそれが、中国を利することになり米国が不利益を受けることになっても、日本が現状を放置しておくことにでもなれば、米国は日本の大学や企業、政府機関、金融機関等を制裁対象とする可能性は十分にあります。

日本でも、米国のように日本国内での中国による統一戦線工作の実態を暴く報告書を作成するなどして実態を明るみに出し、それを期にスパイ防止法を成立させるべきです。

習近平

米国が、中国と本気で対決しようとしたのには、別の理由もあります。米国は中国が国債秩序を塗り替えるつもりではないかと懸念してきたことに対して、中国はそのとおりであると宣言したことです。

中国の習近平国家主席が、グローバルな統治体制を主導して、中国中心の新たな国際秩序を構築していくことを昨年宣言しています。この宣言は、米国のトランプ政権の「中国の野望阻止」の政策と正面衝突することになります。

習近平氏は昨年6月22日、23日の両日、北京で開かれた外交政策に関する重要会議「中央外事工作会議」で演説して、この構想を発表したといいます。

習主席はこの会議で「中国は今後グローバルな統治の刷新を主導する」と宣言し、「国際的な影響力をさらに増していく」とも明言しました。中国独自の価値観やシステムに基づいて新たな国際秩序を築くと宣言している点が、これまでの発言よりもさらに積極的でしたた。

習氏の演説の骨子は、以下のとおりです。
・中国はグローバルな統治を刷新するための道を指導していかねばならない。同時に、中国は全世界における影響力を増大する。 
・中国は自国の主権、安全保障、発展利益を守り、現在よりもグローバルなパートナーシップ関係の良い輪を作っていく。 
・中国は多くの開発途上国を同盟勢力とみなし、新時代の中国の特色ある社会主義外交思想を作り上げてきた。新たな国際秩序の構築のために、中国主導の巨大な経済圏構想「一帯一路」や「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」をさらに発展させる。
・中国主導の新しいスタイルの国際関係は、誰にとっても「ウィン・ウィン」であり、互恵でなければならない。
米国政府は中国に対して従来から警戒や懸念を表明してきました。習近平政権は米国の懸念に対して、それまで正面から答えることがなかったのですが、これは、その初めての回答とも呼べるものです。

つまり、米国による「中国は年来の国際秩序に挑戦し、米国側とは異なる価値観に基づく、新たな国際秩序を築こうとしている」という指摘に対し、まさにその通りだと応じたのです。米国と中国はますます対立を険しくすることになったのです。

中国の立場にたったとしても、私は、この宣言は早すぎたと思います。この宣言はできれば、20年後、早くても10年後にすべきでした。

現在の中国は、米国第二の経済国といわれていますが、まだまだ米国には及びません、個人あたりのGDPも当然米国に及ぶこともなく、日本や他の先進国にもまだまだ及びません。

このような宣言は、少なくとも国全体のGDPが米国と肩を並べるくらいになってからすべきでした。

過去においては中国の経済の成長は目覚ましいものがあり2017年には米国と肩を並べるなどともいわれていましたが、今は成長が鈍化し見る影もありません。かつての中国では、保八ということがいわれ、中国は発展途上であり、雇用を確保するためには最低8%の経済成長がなければ、それは不可能になるとして、経済成長率8%を死守するとしてきましたが、最近ではこの保八すら守れない状況になってきました。

これは、中国では十分な雇用を確保できなくなったことを意味します。さらには、最近ではこのブログでも掲載したように、金融緩和策も取れない状況に陥りました。マクロ経済学上の常識では、金融政策=雇用政策でもありますから、これは中国ではますますまともな雇用政策もできなくなったことを示しています。

現在の中国は経済力でも軍事力でも、米国には到底およびませんし、米国とその同盟国ということになれば、雲泥の差と言っても良いくらいです。ちなみに、米国では昨年は雇用状況がかなり良くなっていました。日本もそうでした。

中国が先のような宣言を昨年に実施したことにより、日米ならびにその同盟国は、中国に従来以上に警戒感を高め、中国に対抗しようという機運が高まりました。

もし、中国があのような宣言の内容をおくびにも出さず、20年後に宣言することになっていたとしら、それまでの間に、経済・軍事力を強化し、その頃になって、尖閣での示威行動をはじめたり、南シナ海を突然大規模に埋め立て、あのような宣言をしたとしたら、世界はとんでもないことになっていたかもしれません。それこそ、第三次世界大戦になる可能性もあったかもしれません。

しかし、中国が昨年の時点で、あのような宣言をしてしまったため、米国は無論他の先進国も事前に中国の野望を知りそれを阻止する暇が得られることになりました。

中国は、完璧に戦略を間違えました。戦略というより、戦略の発動の時期と順番を間違えました。ただし、時期と順番を間違えなかったとしても、それこそ第三次世界大戦となり、中国にとってもとんでもない事態になったかもしれません。

民主化、政治と経済の分離、法治国家化がなされていない、中国中心の新たな国際秩序とは、はっきり言えば闇の世界です。米国が第二次世界大戦後につくりあげてきた国際秩序は、良いことばかりではありませんが、それでも中国中心の新たな国際秩序よりは、はるかにましだし、まともです。

中国中心の新たな国際秩序なるものが形成されれば、結局のところ世界は、19世紀、もしくは18世紀の遅れた社会構造にもどることになるだけです。テクノロジーや、素材などが、最新のものでも、非効率、非生産的な遅れた社会では、特に先進国の人々は夢も希望も持てなくなります。

日本もせっかく明治維新で社会が近代化できたにもかかわず、江戸時代に戻ることになったかもしれません。そんなことは、米国だけではなく、世界中のまともな国々や、先進国では、たとえ政治的立場が保守派であろうが、リベラル・左派であろうが、とても許容できるものではありません。

本来は、中国こそが社会構造を変えていくべきなのです。日米などの先進国も、中国が経済発展すれば、そうなるだろうと期待していたのです。しかし、それは見事に裏切られたどころか、中国は自らの社会構造の遅れを認識せず、単に遅れた社会構造を自らの核心的価値観として世界に押し付けようとしたのです。だからこそ、米国は、超党派で中国に対抗しているのです。

この米国の姿勢は、中国が少しぐらい譲歩したからとって変わることはありません。中国が、社会構造改革を約束して、それを本当に実行するか、経済的に疲弊して、他国に影響力を及ぼせないくらいに衰退するまで続くことになります。この米国の姿勢は、もはや超党派のものとなり、トランプ政権の後の政権もこれを踏襲することになります。中国は米国の事実上の敵国となったのです。

他の先進国も、これに同調することになります。中国は金で多くの国をたらしこもうとするので、中には、イタリアや中欧諸国のように中国に同調しようとするような国もでてくるかもしれませんが、大勢としては、ほとんどの国、特に先進国が中国に対して対抗姿勢を顕にすることでしょう。結果が出るまで、約20年は続くとみておくべきでしょう。米中の対立の根は見かけよりもずっと深いのです。

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2018年8月3日金曜日

【瀕死の習中国】トランプ氏の戦略は「同盟関係の組み替え」か… すべては“中国を追い込む”ため―【私の論評】中国成敗を最優先課題にした決断力こそ企業経営者出身のトランプ氏の真骨頂(゚д゚)!

【瀕死の習中国】トランプ氏の戦略は「同盟関係の組み替え」か… すべては“中国を追い込む”ため
 
プーチン大統領(左)とトランプ大統領(右)

 ドナルド・トランプ米大統領が仕掛けた米中貿易戦争によって、新局面が拓(ひら)かれた。

 中国株は2年前の最低値に接近しつつあり、人民元は下落を続けている。対照的に米国株が上昇し、米国ドルが強くなった。原油相場は高値圏に突入した。米中の金利差が縮小したため、中国から外貨がウォール街に還流している。一方で、金価格が下落している。

 市場は微妙なかたちで、世界情勢を反映するのである。

 リベラルな欧米のメディアは相変わらずトランプ批判を続け、フィンランドの首都ヘルシンキにおける米露首脳会談(7月16日)は「大失敗だった」と興奮気味である。

 筆者は、トランプ氏の戦略は、究極的に中国を追い込むことにあり、そのために「同盟関係の組み替え」を行っていると判断している。

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と会い、体制を保証する示唆を与え、「核実験・ミサイル発射実験の停止」を約束させて、完全非核化まで制裁を解除しないと言明した。北朝鮮の中国離れを引き起こすのが初回会談の目的だった。

 そのことが分かっているからこそ、中国の習近平国家主席は、正恩氏を3回も呼びつけて、真意を執拗(しつよう)に確かめざるを得なかった。

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との首脳会談も、長期的戦略で解釈すれば「ロシアの孤立を救い、対中封じ込め戦略の仲間に迎えよう」とする努力なのである。

 カナダでのG7(先進7カ国)首脳会議で、「ロシアのG8復帰」と「制裁解除」をほのめかしていたように、トランプ氏はプーチン氏を次はホワイトハウスに招待すると持ち上げた。

 しかも、ヘルシンキの米露首脳会談では、戦略的核兵器削減交渉の継続で合意している。

 米国政府がもっとも懸念するのは、軍事技術の向上につながる知的財産権の守秘だ。中国による米国ハイテク企業への買収阻止にある。このトランプ氏の考え方は、ロシアにも伝播した。ドイツでも、親中派のメルケル政権のスタンス替えを引き起こした。

 ドイツ政府は、中国煙台市台海集団が狙った、独精密機械メーカー「ライフェルト・メタル・スピニング」の買収を却下する見通しになった。

 このような欧米の変化を、北京は見逃さなかった。

 中国はあれほど激越だった米国批判を抑制し、異様な静けさである。あまつさえ、トランプ氏が批判した「中国製造2025」計画は口にも出さなくなった。「対米交渉のキーパーソン」の地位も、習氏の子飼いの部下、劉鶴副首相から取り上げる動きも表面化している。

 ■宮崎正弘(みやざき・まさひろ) 評論家、ジャーナリスト。1946年、金沢市生まれ。早大中退。「日本学生新聞」編集長、貿易会社社長を経て、論壇へ。国際政治、経済の舞台裏を独自の情報で解析する評論やルポルタージュに定評があり、同時に中国ウォッチャーの第一人者として健筆を振るう。著書に『アメリカの「反中」は本気だ!』(ビジネス社)、『習近平の死角』(扶桑社)など多数。

【私の論評】中国成敗を最優先課題にした決断力こそ企業経営者出身のトランプ氏の真骨頂(゚д゚)!

さて上の宮崎氏の見方、私は正しいものと思います。トランプ氏の戦略は、究極的に中国を追い込むことという見方は特に正しいと思います。

トランプ大統領あるいは、トランプ政権の当面の最大の敵は中国なのです。その理由は簡単です。経済力・軍事力など総合的に判断して、今後米国の敵になりそうなのは、中国だけです。それは以下のグラフをご覧いただければ、十分おわかりいただけるものと思います。

世界の名目GDPランキング(USD、2015年)


世界の名目GDPシェア(%、2015年)

米国は未だに軍事力でも、経済力でも世界一です。その次の経済力ではEUが続くわけですが、これは多くの国々の集合体です。意思決定にもかなり時間がかかりますし、軍事的にも多国籍軍ということですし、NATOを構成していることから米国の敵ではありません。

GDPではその次に中国が続くわけですが、この中国も多民族国家であり、本来中国は一つの国などではなく、各省が一つの国といっても良いくらいの人口を抱えています。その中国は近年、経済を伸ばし、軍事力も急速に伸ばしています。

経済的には、個人あたりのGDPでみれば、日米や、EUと比較しても未だに格段に低いですし、軍事的にみてもまだまだ発展途上にある段階です。とはいいながら、この多民族国家を中国共産党政権が統治をしています。現状のままであれば、20年後くらいには、確実に経済的にも、軍事的にも米国を脅かす存在になります。

日本は、米国の最大の同盟国であり、覇権国家として米国に挑戦しようなどということは、すくなくても今後20年間はないと見て良いです。

さて、次にロシアですが、ロシアについては日本では超大国などとみられていますが、実体はそうではありません。

ロシアは大量の核兵器を保有する核大国ではありますが、もはや経済大国ではありません。ロシアの名目国内総生産(GDP)は1兆5270億ドル(約171兆円)、世界12位にすぎないです。中国の約8分の1にとどまり、韓国さえ若干下回っています。

韓国といえば、韓国のGDPは東京都のそれと同程度です。ロシアのGDPはそれを若干下回るというのですから、どの程度の規模かお分かりになると思います。さらには、人口も1億4千万人であり、これは日本より2千万人多い程度であり、中国などとは比較の対象にもなりません。

輸出産業はといえば、石油と天然ガスなど1次産品が大半を占め、経済は長期低迷を続けています。

ロシアはかつてのソ連をイメージして、超大国の1つに数えられがちですが、実態は汚職と不況、格差拡大にのたうち回っている中進国なのです。そんな国だから、米国に真正面から対決して、世界の覇権を握ろうなどという気はありません。

そんなことよりも、国内の経済を立て直し、さらには台頭する隣国の中国への備えをどうするかというのが最大の課題でしょう。

それに最近は、プーチンのロシア国内での支持率は急速に落ちています。ロシア連邦議会の最大勢力を誇る与党・統一ロシアの人気は、プーチンあってのものでした。ところが、サッカー・ワールドカップ(W杯)の開幕直前に年金受給開始年齢を引き上げる改革案を発表し、急いでそれを可決しようとする議会の動きが伝わると、あらゆる世論調査で統一ロシアとプーチンに対する支持率は急降下しました。
全ロシア世論調査センター(WCIOM)によれば、最新のデータでは、政府の改革案を最も強く推した統一ロシアへの支持率は、37%にまで下落。2011年に記録した史上最低の34.4%に非常に近いです。
プーチン政権に対する支持率低下はさらに激しく、31.1%でした。別の国営調査機関や独立系のレベダ・センターによる調査も、同じような結果になっています。なぜこのようなことになるかといえば、当然のことながら、経済がうまくいっていないからです。
このようなことから、ロシアが世界の覇権国家を目指すというのは当面無理な話です。
では、北朝鮮はどうかといえば、核はあるものの、もともと米国の覇権に挑戦する能力がないことは明白です。そんなことより、米朝交渉は米中関係と連動しているとみるべきです。北朝鮮は米国が中国と本格的な貿易戦争に突入したのを見て、米国に対して強気に出ているようです。
しかし米国からみれば、北朝鮮問題は中国問題の従属関数であり、派生問題に過ぎないです。北朝鮮を片付けようと思えば、中国を本格的片付けなければならず、中国を片付けずに北朝鮮を片付けることはできないとみていることでしょう。
そうなると、米国にとって経済的・軍事的にも20年後あたりに脅威になるのは、中国のみということになります。

そうして、その中国は数年前から、強力な覇権国家目指していることを隠さず公にするようになりました。さらに、最近はっきりと覇権国家を目指すことを公言しました。

それについては、このブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国がこれまでの国際秩序を塗り替えると表明―【私の論評】中華思想に突き動かされる中国に先進国は振り回されるべきではない(゚д゚)!
ドナルド・トランプ米大統領(左)と中国の習近平国家主席
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、一部を引用します。
 中国の習近平国家主席が、グローバルな統治体制を主導して、中国中心の新たな国際秩序を構築していくことを宣言した。この宣言は、米国のトランプ政権の「中国の野望阻止」の政策と正面衝突することになる。米中両国の理念の対立がついにグローバルな規模にまで高まり、明確な衝突の形をとってきたといえる。 
 習近平氏のこの宣言は、中国共産党機関紙の人民日報(6月24日付)で報道された。同報道によると、習近平氏は6月22日、23日の両日、北京で開かれた外交政策に関する重要会議「中央外事工作会議」で演説して、この構想を発表したという。
米国による「中国は年来の国際秩序に挑戦し、米国側とは異なる価値観に基づく、新たな国際秩序を築こうとしている」という指摘に対し、まさにその通りだと応じたのである。米国と中国はますます対立を険しくしてきた。
トランプ政権としては、こうした中国の野望を打ち砕くように動くのは当然といえば当然です。そうして、中国の態度は一言でいえば、思い上がりの身の丈知らずというところだと思います。

ここまで、野望を露わにすると、米国にとっても対中国戦略がかなりやりやすくなります。今から10年前あたりに、米国が中国に対峙して、本格的な貿易戦争などをはじめたら、中国はもとより他の多くの国々から反発をくらったことでしょう。しかし、今ならそのようなことはありません。

中国のこの宣言は20年はやすぎたと思います。先ほども述べたように、20年後なら中国は覇権国家を目指すことができた可能性もありますが、現在では全く無理であるにもかかわらず、覇権国家を目指す野望を明らかにしたため、その芽は完璧に米国によって摘み取られようとしているのです。20年後であれば、また違ったことになっていたかもしれません。

米国、特にトランプ政権にとっては、北朝鮮問題もクリミアの問題も、小さなものに過ぎず、本命は中国なのです。中国こそが、米国にとっての安全保証上、そうして経済上の最大の脅威なのです。この問題が解決すれば、他の問題などおのずと解決するか、解決するための労力も少なくてすみます。
そうして、本命の中国への対決へとトランプ政権はシフトしたとみるべきです。要するに、中国成敗を最優先としたのです。
ロシアと対峙し、EUと対峙し、北と対峙しつつ、中国と対峙するようなことをしていては、すべてが虻蜂取らずの結果に終わるのは目に見えています。トランプ以前の大統領は結局そのようなことをして、何も達成できなかったのだと思います。
中国成敗を最優先課題として、これに成功すれば、北朝鮮の問題など自ずから解決するでしょうし、ロシアも中国を成敗した世界の覇者米国に挑むことはないでしょう。そんなことをすれば、ロシアも成敗されてしまいかねません。他の国々も同様です。
トランプ大統領は実業家出身です。実業家は限られた資源の中で、優先順位をはっきりつけて、物事に取り組まない限り成功は覚束きません。米国は軍事的に強大で、富める国ではありますが、その米国でさえ、限界はあります。
経営学の大家ドラッカー氏は優先順位と劣後順位について以下のように述べています。
いかに単純化し組織化しても、なすべきことは利用しうる資源よりも多く残る。機会は実現のための手段よりも多い。したがって優先順位を決定しなければ何事も行えない。(『創造する経営者』)
誰にとっても優先順位の決定は難しくはありません。難しいのは劣後順位の決定。つまり、なすべきでないことの決定です。一度延期したものを復活させることは、いかにそれが望ましく見えても失敗というべきです。このことが劣後順位の決定をためらわせるのです。
優先順位の分析については多くのことがいえます。しかしドラッカーは、優先順位と劣後順位に関して重要なことは、分析ではなく勇気だといいます。彼は優先順位の決定についていくつかの原則を挙げています。そしてそのいずれもが、分析ではなく勇気にかかわる原則です。
 第一が、「過去ではなく未来を選ぶこと」である。 
 第二が、「問題ではなく機会に焦点を合わせること」である。
 第三が、「横並びでなく独自性を持つこと」である。
 第四が、「無難なものではなく変革をもたらすものに照準を当てること」である。
容易に成功しそうなものを選ぶようでは大きな成果はあげられない。膨大な注釈の集まりは生み出せるだろうが、自らの名を冠した法則や思想を生み出すことはできない。大きな業績をあげる者は、機会を中心に優先順位を決め、他の要素は決定要因ではなく制約要因にすぎないと見る。(『経営者の条件』)
長い間経営者をしていると、ドラッカーの考え方に近づいていくというところがあります。トランプ氏も長い間経営者をしてきた経験から、多数の失敗や成功を積み重ね、ドラッカーの考え方に近い考え方になっているのではないかと思います。
トランプ大統領にとっては、米国を頂点とする戦後秩序に挑戦して、少なくと世界の半分を中国を頂点とする新秩序につくりかえようとする中国に対処することが最優先の課題なのだと思います。
中国の体制を変えるか、弱体化させることを最優先に考えており、他のロシアや北朝鮮の問題などはそれを達成する上での制約要因とみているのです。
米国の未来を考え、機会に焦点をあわせ、独自性を持ち、変革をもたらすには、中国を成敗することこそ最優先課題にしなければならないと決断したのです。
さすが、民間企業の経営者出身のトランプ大統領です。他の元々政治家出身の大統領とは違います。中国成敗が成功しなければ、トランプ大統領は未だ大きな成果をだしたとはいえないと思いますが、この成敗はいまのところ成功しそうな勢いです。
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2018年4月6日金曜日

安倍晋三首相、米皮切り相次ぎ首脳会談 北の包囲網突破許さず 「戦略描いたのは日本。置き去りではない」―【私の論評】アジアの平和と安定の脅威は日本のマスコミと野党(゚д゚)!

安倍晋三首相、米皮切り相次ぎ首脳会談 北の包囲網突破許さず 「戦略描いたのは日本。置き去りではない」


 安倍晋三首相は17日からの訪米を皮切りに、夏にかけて首脳会談ラッシュに突入する。狙いは、国際社会との対話に動き始めた北朝鮮が試みる包囲網突破の阻止だ。対北圧力路線の旗振り役として、非核化だけでなくミサイル問題の解決についても北朝鮮が具体的な行動を取らない限り圧力継続が重要と訴え、包囲網維持を呼びかける。同時に拉致問題の解決に向けた協力の確約取り付けも目指す。

 「米政府内には『シンゾーからトランプ大統領に言ってもらった方がいい』という声が多い。首相が発言することが多くて負担が重くなってしまう…」

 日本政府関係者は日米首脳会談を前にこう語る。自身のスタッフにさえあまり耳を貸さないトランプ氏だが、首相の話はきちんと聞くため、米政府も首相に頼っているのだ。


 今月の日米首脳会談はトランプ氏就任後、6度目となるが、日本側は「これまでで最も重要な会談」と位置づける。5月末までにトランプ氏と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の会談が予定されているからだ。

 首相はトランプ氏に対し、北朝鮮の「非核化」のあり方を具体的に説明し、核開発のための猶予を与えずに短期間で実行させる重要性についてクギを刺す。日本にとって脅威の中・短距離ミサイルの廃棄も不可欠であることをすり込む考えだ。拉致問題についてもトランプ氏から金氏に直接、解決を迫るよう要請する。

 米国と綿密なすり合わせの後、首相は日米連携をテコに韓国や中国、ロシアと対北包囲網堅持を確認する。特に韓国は日米と連携を取っているが、いつ中朝にすり寄ってもおかしくない。北朝鮮の非核化を話し合う6カ国協議の「日米韓対中朝露」の構図が「日米対中韓朝露」に変化すれば、包囲網の効力は低下しかねない。

 こうした事態を避けるため、首相は5月上旬に東京で開催する日中韓サミットで、韓国の文(ムン)在(ジェ)寅(イン)大統領、中国の李克強首相とそれぞれ会談し、圧力路線継続の一致を目指す。5月下旬には訪露してプーチン大統領と会談するほか、6月上旬のカナダでの主要7カ国(G7)首脳会議でも協力を呼びかける。

 北朝鮮が米韓中との首脳会談に加え、近く朝露首脳会談を行うとの臆測もあり、「日本置き去り」論は根強い。しかし、北朝鮮が対話を求めるほどに追い詰められたのは、日本が圧力路線を主導したからだ。

 日米はトランプ政権発足以降、(1)軍事力を含むすべての選択肢はテーブルの上にある(2)最大限の圧力をかける(3)北朝鮮側から話し合いを求めてくる状況を作る-の3方針を主導してきた。いずれも日本が提案し、米国が国連などで主張し日本が支持する形を取ってきた。

 外務省幹部は「実は日本がこれまでの戦略を描いてきた。決して置き去りになっていない」と断言する。首相の一連の外国訪問は置き去りではないことを証明する狙いもありそうだ。(田北真樹子)

【私の論評】アジアの平和と安定の脅威は日本のマスコミと野党(゚д゚)!

電撃的だった中朝首脳会談

平昌オリンピックにおいて、北朝鮮による華々しい「微笑み」外交が繰り広げられ、その後の電撃的な中朝首脳会談の背後で、北朝鮮をめぐる軍事的緊張は確実に高まってきています。こう書いても、いまや話半分にしか聞いてくれないことが多いかもしれません。

それも理解できなくもありません。昨年来、マスコミでは、トランプ政権がいまにも北朝鮮を攻撃するかのような憶測が事あるたびに報じられてきましたが、軍事行動が起こらないまま1年が過ぎたからです。

狼少年ではありませんが、半島危機は起こらないのではないのかという奇妙な楽観論がいまの日本を覆いつつあるようです。しかし、この1年のあいだに危機は確実に進行しています。

その危機の実情を理解してもらうためには、まず、なぜこの1年間、トランプ政権が軍事行動を起こさなかったのか、ということの説明から始める必要がありそうです。

そもそも、北朝鮮に対してトランプ政権はどのように考えているのでしょうか。特にその中でも、米軍関係者はどのように考えているのでしょう。

米軍側は、北朝鮮だけを見ているわけではありません。北朝鮮有事はあくまで前哨戦に過ぎず、本丸は中国であり、ロシアが連動してくると考えているようです。

米軍は、アジア太平洋方面において2つの大きな脅威に直面しています。短期的には北朝鮮。長期的には中国が自国の利益を確保するために軍事力を使おうとしていることです。

北朝鮮の脅威は、軍事だけといえます。経済力がないため、中国に比べればそれほど難しくはありません。この北朝鮮の問題を混乱させているのがロシアです。ウクライナ問題でもロシアは事態を混乱させる方向で動いていました。

中国は経済力をもっているため、中国に対して軍事は重要ですが、それ以上に外交、情報、経済などの分野で中国を抑止していくことが重要です。とくに中国は、他国が他の問題に気を取られているあいだにいろいろと手を打ってくるので注意が必要です。

金正恩朝鮮労働党委員長を筆頭とする北朝鮮の体制を崩壊させたとしても、米軍は、中国が軍事的増強を続けているため、これから10〜20年はアジアの緊張が続くものとみるべきでしょう。特にこのブログでも何度か掲載しているように、台湾を巡る米中の争いはアジアに新たな火種となるのは間違いないです。

3月22日、トランプ米大統領は中国への高関税措置に署名した

トランプ米政権が国防予算を大幅に増やしたことから、半島危機に備え本気で対応しようとしているのは間違いないでしょう。

その上で、安倍晋三政権は外交で、北朝鮮の暴発を阻止する努力を続けています。アジア紛争のリスクは実は、安倍批判が強い日本のメディアの論調にあるかもしれません。

その中でも、「(北朝鮮問題で)日本は置き去りにされている」マスコミの論調は、最低、最悪と言って良いかもしれません。その尻馬に乗って、森友問題などでとにかく倒閣に結びつけようとする野党も大問題です。

安倍総理は、ブログ冒頭の記事のように、これからも様々な外交活動をしますが、それ以前にかなりの外交努力を継続してきています。そのため、トランプ大統領にも外交では頼られる存在になることができたのです。

安倍総理の経済制裁の強化は、正しい路線です。この制裁に日米が本気でとりくんだからこそ、金正恩は焦りに焦り、それまでとはうってかわって、平昌五輪での融和路線を打ち出し、中朝首脳会談をも実現させたのです。

経済制裁はときに大きな効果をもたらすことがあります。これに関しては、実例があります。80年代後半、各国が次々に制裁に踏み切ると、国際的に孤立した南アの白人政権は、黒人との融和をめざさざるをえなくなりました。

国連が一連の経済制裁を解除したのが93年、南アでの初の黒人政権が誕生したのは、94年のことでした。経済制裁があの南アの白人を動かしたのです。

ダーバンビーチ条例第37節に基づき、この海水浴場は白人種集団に属する者専用とされる」と
英語アフリカーンス語ズールー語で併記された1989年撮影の標識 アパルトヘイトの象徴

日米の本気の経済制裁がなければ、そもそも、韓国と北朝鮮との南北会談も実現せず、相変わらず北は、ミサイル発射実験を継続していたかもしれません。

国民も安倍外交の成果や、半島危機の実態を正しく理解することが必要です。これから、半島危機で日本がうまく立ち回れないとすれば、残念ながら最大の要因はマスコミや野党が倒閣のために安倍政権の足を引っ張ることでしょう。

そもそも、安倍政権がここ数年以内で、崩壊することにでもなれば、日本経済は再びデフレスパイラルのどん底に落ち込み、さらに外交面では世界から置き去りにされることでしょう。これがどれだけ、日本経済や外交・安全保障に悪影響を与えるかは明らかです。さらに、安倍晋三というパートナーを失った米国は外交経験の浅いトランプ氏では中国との対決に苦しむことになります。

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2017年9月19日火曜日

敵基地攻撃、賛成派が上回る 産経・FNN合同世論調査―【私の論評】世界屈指の戦略家の戦略を選ぶ日本国民は賢い(゚д゚)!

敵基地攻撃、賛成派が上回る 産経・FNN合同世論調査


 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査では、北朝鮮の弾道ミサイルの発射元をたたく敵基地攻撃能力について「保有すべきだ」が53・8%と「保有すべきでない」の38・2%を上回った。安倍晋三首相は「現時点で具体的な検討を行う予定はない」と慎重だが、本格的な検討へ世論の素地は整いつつある。

 調査では、北朝鮮の動向に「脅威を感じる」との回答が84・7%に上り、米朝の軍事衝突にも77・0%が懸念を示した。弾道ミサイル防衛態勢の強化にも68・0%が賛成した。

 敵基地攻撃能力を保有すべきだとの回答は、支持政党を問わず一定割合を占めている。公明党は山口那津男代表らが慎重姿勢を示しているが、調査では公明党支持層の47・2%が保有に賛成し、反対の36・1%を上回った。民進、共産両党の支持層は反対派が賛成派を上回ったが、それでも賛成派が民進党42・2%、共産党40・0%だった。

 非核三原則の見直しに関しては、「見直しを議論すべきではない」が53・7%と「議論すべきだ」の43・2%を上回った。年代別にみると、高齢層ほど見直し議論に積極的という傾向が出た。「議論すべきだ」との回答は、男性では60代以上が最多の51・4%で、最少は30代の37・0%。女性は60代以上が最多の46・4%で、10、20代の31・3%が最少だった。一方、日本の核兵器に関する設問では、79・1%が「保有すべきではない」と否定的だった。

【私の論評】世界屈指の戦略家の戦略を選ぶ日本国民は賢い(゚д゚)!

このブログでは、以前日本の北朝鮮への対処として、戦略家のルトワック氏の考えを掲載したことがあります。ルトワック氏の考えは、先制攻撃か降伏かのいずれかであり、中途半端は絶対にするべきではないというものでした。

その記事のリンクを以下に掲載します。
ルトワック博士の緊急警告! 先制攻撃か降伏か 日本が北朝鮮にとるべき選択肢―【私の論評】日本が戦争できる国に変貌することが、アジアに平和をもたらす(゚д゚)!
エドワード・ルトワック博士
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、要点のみを以下に掲載します。
北朝鮮への降伏 
 北朝鮮政府が真に何を望んでいるのかを聞き出し、経済制裁をすべて解除する。祖国への朝鮮総連の送金に対する制限も解除し、金一族を讃える博物館を表参道に建て、北朝鮮に最も美しい大使館を建てさせる。 
 代わりに、日本政府は、北朝鮮に五〇〇キロ以上の射程を持つミサイルの開発を止めてもらう。五〇〇キロ以上の射程のミサイルは、国際的な「ミサイル技術管理レジーム」(MTCR)での制限の対象となっている。またそれだけでなく、これは、幸いなことに偶然にも、朝鮮半島の非武装地帯から下関までの距離と同じなのだ。 
 これは、北朝鮮に対する制裁をすべて解除し、彼らに名誉を与え、国家としての彼らの存在を認めることで、五〇〇キロ以上の射程のミサイルの脅威を取り除く、という道だ。 
北朝鮮への先制攻撃 
 次の方策は、「北朝鮮を攻撃する」というものだ。しかもこれは、先制攻撃(プリエンプティブ・ストライク)でなければならない。核関連施設を特定しつつ、それらすべてを破壊するのである。 
 たとえば、イランの核開発の脅威に晒されているイスラエルは、先制攻撃能力を持っている。イスラエルが先制攻撃する場合は、儀式的なことは一切抜きに、ただ実行するのみだ。しかも彼らは、アメリカと違って空爆だけを用いるわけではない。空と陸から同時に攻撃を行うのである。 
「まあ大丈夫だろう」が戦争を招く 
 日本国民も、一九四五年以来、他国や他民族が戦争の悲劇に見舞われてきたことを目撃してきたはずだ。街が燃やされ、多くの人間が殺され、子供も殺されたのだ。それらすべてのケースがなぜ発生したかと言えば、当事者たちが、「まあ大丈夫だろう」(it will be all right)と思ってしまったからだ。 
 人間というのは、平時にあると、その状態がいつまでも続くと勘違いをする。これは無理もないことだが、だからこそ、戦争が発生する。なぜなら、彼らは、降伏もせず、敵を買収もせず、友好国への援助もせず、先制攻撃で敵の攻撃力を奪うこともしなかったからである。つまり、何もしなかったから戦争が起きたのだ。
  いま北朝鮮に関して生じているのは、まさにこのような状況だ。
まさしく、 ブログ冒頭記事にある、敵基地攻撃能力とはルトワック氏の語る、先制攻撃です。

敵基地攻撃能力を持ち、実際にそれを実行するということになれば、最も効果的なのは無論「先制攻撃」です。相手悟られた後で攻撃などすれば、当然効果は半減します。

敵基地攻撃といった場合、当然のことながら、この「先制攻撃」も視野に入っているとみなすべきでしょう。

この記事を掲載したのは、今年の4月28日でした。掲載したときには、自分では、日本としては当然のことながら、北朝鮮に「降伏」することなど絶対にできないと思いました。

なぜなら、そんなことをすれば、拉致問題は永久に解決しなくなるでしょうし、金一族を讃える博物館を表参道に建て、北朝鮮に最も美しい大使館を建てさせるようなこともするべきではないですし、何をするにも北朝鮮の顔色を伺いながら生きていくなどまっぴらごめんだからです。それは、私だけではなく、多くの国民も同じ思いでしょう。

そうなると、ルトワック氏の提言によれば、日本の北朝鮮対応は「先制攻撃」による敵基地攻撃しかなくなります。

私は、無論「先制攻撃」すべきと思いましたが、これが実現可能かどうかという観点からみると、これはかなり難しいし、日本ではとうてい不可能だと思いました。

しかし、今日ブログ冒頭の世論調査では、敵基地攻撃能力を保有すべきという意見が半分以上占めています。これは、とてつもないことです。

世界屈指の戦略家が提唱する戦略を、我が国の国民の半数以上が世論調査で賛成しているという図式です。

米軍のB!爆撃機と共同訓練する自衛隊機(手前の白い機体)
安倍政権としては、日本の核武装も視野にいれつつ、もっと実現可能で現実味のある、「敵基地攻撃能力」について、慎重に考えて、いずれ実現していくべきと思います。

本日は、マティス米国防長官は18日、核・ミサイル開発で挑発を強める北朝鮮への軍事的選択肢に関し、韓国の首都ソウルを北朝鮮の報復で「重大な危険」に陥らせることのない軍事的手段があると記者団に明かした。作戦の詳細について言及することは控えたといてうことが、産経新聞に掲載されていました。

マティス米国防長官のいう軍事的手段とは、北朝鮮に対する核施設やミサイル発射施設などへの先制攻撃であり、その再に首都ソウルを北朝鮮の報復で「重大な脅威」に陥らせることのない手段であると思われます。

私自身は、軍事の専門家ではないので、これが何を意味するかまではわかりませんが、おそらく、ソウル付近に様々な兵力を配置し、先制攻撃と同時か、それに先立って北のソウルに対する攻撃を無効化するものであると思います。

米軍は、北朝鮮の隅から隅まで、ドローンやその他の手段を用いて偵察しつくして今や、北朝鮮軍の配置など、かなり詳細に把握しているともいわれています。それを前提にすれば、こうした作戦も十分可能であると思われます。

ソウルを火の海にしない軍事的手段とは・・・・・
そうなると、米国としては、実際に先制攻撃するということになれば、核施設、ミサイル発射施設に対する攻撃だけではなく、ソウル防衛のための軍事力も割かなくてはならなくなります。そこには、当然のことながら韓国軍も参加するでしょうが、それだけでは、足りないでしょう。それこそ、猫の手も借りたいような状況になることでしょう。

そのときに我が国が、敵基地攻撃能力を有していれば、米国や韓国とともに様々な方面で活躍できることになります。

日本の自衛隊が、これらの作戦に参加して、敵基地攻撃能力を遺憾なく発揮した場合、米国による「先制攻撃」はより成功する確率が高まるはずです。

日本国民は、やはり賢いです。

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2015年5月21日木曜日

CNNが米偵察機に搭乗取材―【関連記事】米国は、リバランス後のアジアをどのようにするのか、はっきりとした戦略を示すべき(゚д゚)!

CNNが米偵察機に搭乗取材



 南シナ海上空(CNN) 中国海軍は南シナ海上空を飛行する米軍の偵察機に対し、20日だけで8回にわたって警告を発した。CNN取材班はこの偵察機「P8Aポセイドン」に初めて搭乗を許可され、独占取材を行った。

 中国が南シナ海に相次ぎ人工島を建設して軍事施設を増強していることに対し、米国防総省は警戒を強め、中国の領有権に関する主張を米国が認めていないことを誇示する目的で偵察飛行を行っている。人工島の建設に対しては米国の同盟国も懸念を強める。

 国防総省がメディアによる取材を初めて認めた背景には、人工島が投げかける問題や米国の対応強化について世論を喚起する狙いがある。中国が米国の対応を歓迎していないことは即座に分かった。「こちら中国海軍。こちら中国海軍。どうぞ退去してください。誤解を避けるために」。取材班が搭乗した偵察機は、無線通信でそう呼びかける英語の音声を受け取った。

 国防総省が中国の建設作業現場の映像や米偵察機に対する警告音声を公表したのは初めて。

 偵察機は最も低い時で1万5000フィート(約4572メートル)の高度を飛行した。米軍はこの地域でプレゼンスを高めるため、偵察機や軍艦で人工島にさらに接近することも検討中だ。

 中国海軍の通信が入って間もなく、発信元の人工島が見えてきた。同島は中国の沿岸から1000キロほど離れた海上に建設されていた。

 南シナ海には豊かな漁場があり、大量の天然資源が埋蔵されている可能性もあることから、問題の海域では複数国が領有権を主張している。

 20日の偵察は3つの人工島の監視が目的だった。数カ月前までは小さな岩が点在するだけだった海上が埋め立てられて大規模な建設作業が進められており、米国はこうした島が近いうちに軍事施設として実用配備されることを危惧する。

 これに対して米軍側は一貫して、P8は国際空域を飛行していると繰り返す。

 この応答にいら立って、1度は「こちら中国海軍。出て行け!」という反応が返って来た。

 この空域は軍だけでなく民間の航空機も飛行する。米デルタ航空のパイロットが同じ周波数を使って民間機であることを伝えると、無線通信の相手は「中国海軍」と名乗り、デルタ機はそのまま飛行を続けた。

 建設作業が進むほど、中国海軍の米軍機に対する警告の頻度や攻撃性は高まると米軍司令官は予想する。

 ファイアリー・クロス礁やミスチーフ礁では埋め立てや建設の作業が盛んに進められている様子が見えた。「毎日こんな様子だ。週末も働いているのだろう」とパーカー大佐は話している。

【私の論評】米国は、リバランス後のアジアをどのようにするのか、はっきりとした戦略を示すべき(゚д゚)!

中国が、日本の尖閣周辺の領海、領空侵犯を繰り返したり、南シナ海に相次ぎ人工島を建設して軍事施設を増強している背景には、無論のこと中国の海洋進出の野望があります。

その野望については、随分前から多くの国々で周知されていることです。それに関する記事は、このブログでも掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
日本が宮古島に地対空ミサイル展開 中国の太平洋への出口封鎖する狙いか(China.org.cn)―【私の論評】このままでは第一列島線確保もままならぬ中国の蹉跌(゚д゚)!永遠に無理か?
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に中国の海洋進出の野望に関する部分のみ掲載します。
中国中央共産党幹部の妄想も酷いものです。その妄想に従い、第一列島線、第二列島線などの妄想ラインなどをまじめに考えています。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E5%88%97%E5%B3%B6%E7%B7%9A 
第一列島線とは、上の図の緑の線であり、中国の海域における軍事的防衛ラインの一つで、九州・沖縄から台湾・フィリピン・インドネシアの諸島群などを結ぶ線。中国海軍は1980年代半ばに提唱された「近海積極防衛戦略」などに基づいて軍事力を増強し、それまでの沿岸防衛から近海・外洋へと展開している。この軍事戦略において近海と外洋を分ける目標ラインとされる。 
第二列島線とは、上の図の紫の線であり、中国の海域における軍事的防衛ラインの一つで、伊豆・小笠原諸島からグアム・サイパンを含むマリアナ諸島群などを結ぶ線。中国海軍は1980年代半ばに提唱された「近海積極防衛戦略」などに基づいて軍事力を増強し、それまでの沿岸防衛から近海・外洋へと展開している。この軍事戦略において外洋の範囲を示す目標ラインとされる。 
◆中国は2020年の運用を目標に通常型空母建設に着手しているほか、原子力空母建設構想など海軍力の整備・増強を表明しており、同国の軍拡が懸念されている。 
但し当然の事ながらこれら第一、第二列島線概念は公式に対外的にアナウンスされた方針ではなく、あくまで人民解放軍内部の国防方針である。 
同副主席が掲げた海軍建設のタイムスケジュール 
「再建期」 1982-2000年 中国沿岸海域の完全な防備態勢を整備 ほぼ達成済み
「躍進前期」 2000-2010年 第一列島線内部(近海)の制海権確保。
「躍進後期」 2010-2020年 第二列島線内部の制海権確保。航空母艦建造
「完成期」 2020-2040年 アメリカ海軍による太平洋、インド洋の独占的支配を阻止
2040年 アメリカ海軍と対等な海軍建設 
これからすると、躍進前期は遅れています。そうして、現在躍進前期の最大の障害は、日本によるものです。計画では、2010年までには、第一列島線内部(近海)の制海権確保が実現されていなければなりません。しかし、尖閣すらとれない状況では、これは現状では全く無理です。
 さて、この記事では、中国の太平洋米中二穀支配など妄想に過ぎないことを指摘しました。しかし、中国は自らの海洋進出を妄想とは思ってはいないようです。

昨日は、オバマ大統領率いる米国が、海洋覇権を狙う中国を強く牽制しているとした記事について解説させていただきました。
習近平主席、とんだ赤っ恥 海洋覇権狙う中国を米国が封じ込めへ―【私の論評】及び腰オバマの遅きに失した中国対応!ほくそ笑む習近平の前に立ち塞がる安部総理(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事から一部分のみ以下にコピペさせていただきます。

この記事の元記事では以下のようなことを掲載していました。
米海兵隊が、日本などアジア太平洋諸国の20カ国以上の部隊幹部らをハワイに招き、島しょ防衛能力を向上させる研修会合を始めたのだ。キューバも合意していた中国艦艇の常駐を撤回していた。習近平国家主席としては、赤っ恥をかかされたことになりそうだ。
これに対して、私は以下の様な論評をしました。
もう、オバマは対外的に何もしないしできません。上の記事では、さも中国牽制のために、米海兵隊が、日本などアジア太平洋諸国の20カ国以上の部隊幹部らをハワイに招き、島しょ防衛能力を向上させる研修会合を始めたようなことを掲載していますが、私はそうではないと思っています。
オバマが何を考えているかといえば、キューバとの国交回復のみです。すでに、レームダック化しているオバマにおいては、もはや対外的に成果を残せそうなのは、キューバとの国交回復だけです。今回の研修会合は完璧に、キューバとの国交回復のための、地ならしにすぎないものと私は思います。
もし、中国への牽制なら、実施する場所が間違えています。中国を牽制するというのなら、日本か韓国、台湾かフィリピンで実施すべきものです。 
このニュースに接して、習近平は赤っぱじをかいたと思うどころか、オバマのあいかわらずの、及び腰に、「こいつはまだまだ」いけると、ほくそ笑んでいることでしょう。
この習近平のほくそ笑みの発露が、今回の 中国海軍による南シナ海上空を飛行する米軍の偵察機に対する、20日だけでも8回にわたって警告だとみるべきです。

現中国が、海洋進出するなどということは、第二次世界大戦後の戦勝国による「戦後体制」にはなかったシナリオです。そもそも、中華人民共和国は、国民党軍と戦ったのであり、第二次世界大戦に参戦していません。

そのような、現中国が戦勝国面するどころか、海洋進出の野望を抱いています。オバマとしては、本来「戦後体制」の守護者としても中国と厳しく対峙しなければならないはずです。中国の海洋進出を防がなければ、「戦後体制」の維持は困難です。


しかし、オバマの態度を見ているとどうもその気はないようです。もしオバマが「戦後体制」を崩すというのなら、日本の真の独立を促し、アジアにおける日米の同盟関係のあり方などはっきり示して、その方向に向かって準備するなどのことをすべきです。

アジアを重視するという、リバランスの表明だけでは不十分です。リバランス後のアジアをどのようにするのか、はっきりとした戦略を示すべきです。

オバマの優柔不断により、海洋進出の野望を持つ中国の野望はさらに拡大され、今日のような状況になっています。

アメリカ議会は、日本の鳩山以下のオバマ大統領の及び腰を補い、中国の野望阻止する方向にアメリカの舵を大きく切るべきです。そうして、次の大統領は、さらにこの方向性を強力に推進すべきです。何よりも、一刻も早くリバランス後のアジアをどのようにするのか、はっきりとした戦略を示し、その方向に向かって動くべきです。

私は、そう思います。みなさんはどう思いますか?

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