2016年10月19日水曜日

【日本の解き方】輸出も輸入も不振の中国経済 GDPが伸びるのは無理がある 習体制は持ちこたえられるか―【私の論評】長期の調整期に突入した中国でいずれ大規模な政変が(゚д゚)!

【日本の解き方】輸出も輸入も不振の中国経済 GDPが伸びるのは無理がある 習体制は持ちこたえられるか

中国の2016年9月の輸出入 輸出は6ヶ月連続で前年割れ、輸入も再度、前年割れに
中国の9月の貿易統計は、輸出が前年同月比10%減と、6カ月連続で前年割れし、輸入も同1・9%減と2カ月ぶりに前年割れとなった。これらの数字は、中国経済が内需、外需ともに不振であることを示している。

 共産党の一党独裁で社会主義国の中国では、統計はあてにならないと筆者はかねてより主張している。国営企業が経済の中心である社会主義国では、経済統計が産業を所管する役人の成績に関わるので、改竄(かいざん)がしばしば行われる。

 だが、貿易統計はその中でも信頼できる統計である。というのは、貿易は相手国があり、中国で貿易統計を改竄すると、相手国の統計からばれる確率が高まるからだ。

 輸出減の中身をみると、地域別では欧州や東南アジア向けが中心である、品目では衣料品や半導体、自動車部品などだ。輸出減の原因は、世界経済の低迷によって中国製品の需要が落ち込んだことであるが、従来型の輸出では競争力が弱まっているという見方もできる。

 ここで2008年のリーマン・ショック以降の人民元のレートを見よう。人民元は管理されており、基本的にはドルにペッグ(連動)している。リーマン・ショック以降2年間はほぼ完全にドルペッグしたが、その後3年間はやや人民元高に誘導、その後3年間逆に人民元安に誘導し、現在はほぼリーマン・ショック時と同じ水準に戻っている。

 円に対しては、リーマン・ショック後の円独歩高の結果、大幅な人民元安となったが、アベノミクスの金融緩和で円安になったため今度は人民元高になった。ここ1年では再び人民元安となって、ドルと同じようにリーマン・ショック時の水準に戻っている。

 対ユーロでは、ユーロ安なので、結果として人民元高傾向である。リーマン・ショック時と比べて、人民元はユーロに対し25%高くなっている。このため、中国のユーロ向け輸出は、欧州経済の低迷もあって減少した。

 輸入は、基本的には可処分所得の動向で決まるので、その動向は国内総生産(GDP)の動きと連動している。輸入が対前年同月比でマイナスというのは、中国のGDPが伸び悩んでいることをまさに示している。

 輸出が外需、輸入が内需の動きを示すので、輸出、輸入ともに減少しているのに、GDPが伸びているというのは、どこかに無理がある説明だ。

 外需が芳しくない要因は、短期的には改善しない。また内需も中国国内の過剰生産が解消されない限り解消しないだろう。こうした意味で、中国貿易は当分の間、低迷するだろう。

 中国の統計で貿易統計だけが信頼できるものである以上、貿易の低迷はまさに中国経済そのものの低迷を意味していると筆者は見ている。

 中国経済不振の中で、習近平体制がどこまで持ちこたえ得るか、不満のはけ口として日本たたきに走る恐れもあり、注意深く見守る必要がある。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】長期の調整期に突入した中国でいずれ大規模な政変が(゚д゚)!

上の記事で、高橋洋一氏が指摘するように、比較的信用に足る、貿易統計からみても中国の経済はかなり危険な状況にあるのは間違いないようです。

他のソースからも、中国経済の危険な兆候を読み取ることができます。

国際決済銀行(BIS)
国際決済銀行(BIS)は9月18日、GDP(国内総生産)の2.5倍に膨れあがった中国の債務総額が、「今後3年間で深刻な問題を引き起こす兆候である」との警告を発しいますた。

7月にもIMFが同様の警鐘を鳴らし、中国政府に企業債務に対処するよう要請しているものの、中国経済の崩壊への懸念はますます高まるばかりです。

中国社会科学院は歯止めがきかなくなった中国の負債総額が、2015年末にGDPの249%に値する25兆6000億ドル(約2602兆2400億円)に達したと発表しました。

BISの統計からも、発行債券額が2015年第4四半期から2016年第1四半期のわずか半年間で7兆8929億ドル(約802兆3132億円)と、1475億ドル(約14兆9933億円)増えていることが判明しています。

またゴールドマン・サックスを含む欧米の金融機関も、シャドーバンキング(正規の融資システムを通さない影の融資)の実態などを根拠に、実際の数字がさらに巨大化している可能性を指摘しています。

最近では中国人民銀行による景気刺激策が、結果的には企業負債と個人負債を押しあげるきっかけとなったという見方が強いのですが、その根本には他国の経済危機の影響を最小限にとどめる意図で、中国政府が与信を拡大しすぎたという背景があるようです。

総与信とGDPの差を算出した場合、一般的な経済危機レベルが10%であるのに対し、中国が30.1%に達している点にBISは強い懸念を示しているのです。

米国では総与信対GDP比率の差が10%を突破した後、サブプライム住宅ローン危機が訪れました。

サブプライム住宅ローン危機が起こり、住宅ローンが
払えなくなった住民の強制差し押さえを執行中の武装警官。
しかし中国自体は、周囲の懸念もまったく他人ごとといった様子という印象を受けます。

今年8月の銀行による融資は7月の2倍。その多くが住宅ローンの借り入れだったといいます。中国の銀行は2008年の金融危機以来最高の気前のよさで住宅ローンの申請に応じており、不良債権問題の影は微塵も感じられません。

またUBSも今年上旬、中国経済の行く末に関して、国内貯蓄率の高さや資本市場の成長の可能性を理由に、比較的楽観的な見解を示すレポートを発表しています。

ただし中国はあくまで「短期負債で長期負債資金を回転させている」との指摘もあり、経済市場自体が景気刺激策に依存しきっているリスクは打ち消せません。

銀行による不良債権比率が政府の発表している2%をはるかに上回っていた場合、中国には銀行システムの資本再編が必須と予想されているのですが、中国政府がどこまで現実を受けいれすみやかに対処するかにすべてがかかっています。

「借金で国を豊かにする」という発想はけっして中国にかぎったことではありません。経済成長が鈍化し、借金とともに国民の資産が増えるという悪循環は、多くの先進国が経験しています。

中国の統計は出鱈目なので、結局ところこのような当て推量をするしかないのですが、やはり高橋洋一氏がブログ冒頭の記事で指摘しているように、輸出入は相手があることから、あまりごまかしもしにくいし、たとえ中国が貿易統計をごまかしたにしても、中国の輸出入の相手国の統計から、現実にかなり近い数字を類推できます。

その輸出入からの数字でみても、特に輸入が著しく減っているということは、常識的に家は、中国はすでにデフレに陥っている可能性が高いということです。

この状態だと、雇用状況も悪くなっている可能性があります。中国では、ずい分前から大学の新卒の就職率などかなり落ちていましたから、若者の就職率の悪さだけでは特に悪くなったかどうかは推定することはできません。しかし、最近このブログでも掲載したように、退役軍人が中国国防省の前でデモをしたという珍事が発生しています。おそらく、退役軍人の雇用状況は最悪なのでしょう。

さらに、1-6月期の中国の投資において、民間投資はわずかに対前年同期比2・8%の増加に過ぎませんでした。代わりに、国有企業が対前年同期比23・5%と、投資全体を下支えしています。

要するに、現在の中国は民間が投資意欲を喪失し、政府の公共投資を国有企業が受注することで、何とかGDPが維持されている状況になっているのです。

投資ではなく、消費を見ても、やはり「政府」の影響力が強まっています。1-6月期の中国の個人消費は対前年同期比10・3%と、GDP成長に貢献しました。しかし、消費の主役が何かといえば、自動車購入でした。

長期の調整期に入った中国経済

実は、中国共産党政府は景気の急激な失速を受け、自動車販売を下支えすべく、小型車やエコカー向けの減税や補助金といった政策を打ったのです。結果的に、自動車販売が増え、消費総額が拡大したわけなのですが、投資同様に「政府の政策主導」になってしまっているのです。

このような状況のなかで、今回の貿易統計の結果です。これだけ輸入が激減したということはは、もう完璧にデフレに入ったとみなすべきでしょう。

デフレに入ったのであれば、金融緩和をすれば良いということになりそうですが、そのような常識的な判断は中国には当てはまらないです。中国経済のより本質的な問題は、設備投資が盛り上がらないことではなく、逆に設備が過剰であることにあるからです。

中国の場合、他国にない優れた技術力を保有しているという訳でもない訳ですし、それに賃金も上がり続けているので、安い労働力を武器とした輸出に頼るのも限界です。

ということで、中国の経済は調整期に突入したと言えるのです。そして、その調整のためには相当の時間を要すると考えるべきでしょう。

このような長期の調整期に入るのは、中国としては初めての経験です。そのため、習近平政権に対する風当たりもかつてないほど強くなります。おそらく、習近平体制は近いうちに崩れることでしょう。

しかし、ポスト習近平の後の体制も経済をすぐには好転させることはできないでしょう。しばらく、政権交代が比較的短期におこる可能性があります。そうして、それが繰り返されることになる可能性があります。かつての中国なら考えられないことですが、今後の中国では多いにあり得ることです。そうなると、中国共産党の統治の正当性は地に堕ちることになり、いずれ大規模な政変に結びついていく可能性が大きくなりそうです。

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2016年10月18日火曜日

「リフレ派敗北」という人の無知と無理解と統計オンチ デフレに逆戻りさせるのか―【私の論評】俗説、珍説を語る輩はエビデンス(証拠・根拠、証言、形跡)を出せ(゚д゚)!

「リフレ派敗北」という人の無知と無理解と統計オンチ デフレに逆戻りさせるのか

日銀が金融政策の検証を行ったことを受けて、金融緩和によるデフレ脱却を主張する「リフレ派」の「敗北」や「失敗」を強調する報道が見受けられる。「異端の理論を実験したが、失敗して路線変更を余儀なくされた」といった論調もある。

だが、「異端」というのは日本のマスコミや学会だけの話である。世界の中央銀行はリフレ的な考え方で運営されている。

こうした批判者は、日銀が「金利」重視に変更したことで、これまでお金の「量」が重要だと主張してきたリフレ派が敗北したと言いたいのだろう。

たしかに、名目金利にこだわる従来の金融政策を批判するために、実質金利に注目すべきことや、量的緩和が重要であることを筆者は主張してきた。

だが、金融理論では、実質金利を決めれば量が決まり、逆に量が決まれば実質金利が決まるという「1対1対応」の関係にある。この意味で、量か金利かというのは、さほど本質的なことではない。

この等式が頭に入っていないお粗末な経済記者や経済学者が多い
図表・写真はブログ管理人挿入以下同じ
「名目金利をゼロ以下に下げにくいのだから、もう金融政策は無効だ」という従来の金融政策に対して、「予想インフレ率を高めれば実質金利(名目金利から予想インフレ率を差し引いたもの)を大きくマイナスにすることもできる」と主張してきたのがリフレ派である。そのための手段の一つが量であるが、決して量だけを強調してきたわけではない。

筆者は、日銀の2013年以降の金融政策を評価している。なにより就業者数が増加し、失業率は低下するなど雇用環境が良くなった。これはマクロ経済政策としてクリアすべき必須条件だ。

こう言うと、冒頭の批判者は「人口、とりわけ生産年齢人口が減っているからだ」と反論する。しかし、人口減少は05年から、生産年齢人口減少は1995年から始まっており、アベノミクスの金融緩和による結果とは無関係だ。「リフレ派の敗北」といった記事を書く人は統計数字をまったく読めない人たちだというほかない。

ただし、筆者は9月に日銀が決めた政策には不満がある。金融緩和か引き締めかでみれば、現状維持で、何もしていないのと同じだからだ。

筆者の計算では、失業率は現在の3・1%から2・7%程度まで下げることが可能だ。しかも、現状のインフレ率はゼロ近辺で、目標の2%まで達していないため、失業率を下げてインフレ率を高める金融緩和を実施するのは当然だ。

今回それを日銀はやらなかったので、筆者の評価は、やるべき時にやらなかったという意味で「日銀はサボった」となる。

野球の試合にたとえれば、日銀は5対0でリード、追加点2点を取ればコールドゲームというチャンスなのに、絶好球を打ち損じた-というところだ。

リフレの批判者は、ほぼ例外なく実質金利を理解できていない。冒頭のような批判者も、金融政策は無効であり、他の政策を行うべきだと主張する。しかし、これまで雇用増加に寄与し、さらなる増加も見込まれるのに、もう金融政策をやるなというのは、デフレに逆戻りせよというのと同じだ。失われた20年間の教訓がまったくない、デフレの犯人ともいえる。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】俗説、珍説を語る輩はエビデンス(証拠・根拠、証言、形跡)を出せ(゚д゚)!

高橋洋一氏の上の記事では、「日銀はサボった」との記述もありますが、過去においてはまともに実行していた時期もあります。そうして、あまりにも当然のことなので、わざわざ触れていませんが、量的金融緩和政策をまともにやっていたときでも、8%増税などという馬鹿げた政策をやってしまったので、せっかくの量的金融緩和の腰を折ったというのも事実です。

もし、消費税増税をしていなければ、量的金融緩和の政策の効果が至るところに現れていて、「リフレ派」の「敗北」や「失敗」などという論調など全く影を潜めていたことでしょう。

さらに、量的金融緩和政策には、量的金融緩和政策には、一定期間のラグがあるということも理解すべきです。それに関しては、以下の表をご覧いただければご理解いただけるものと思います。

岩田規久男「デフレをとめよ」(日本経済新聞社)第6章 IS-LM2分析で記述

量的金融緩和政策を実行したからといって、その効果がGDPの上昇、失業率の上昇、インフレ率の上昇という形になってあらわれるのは、約2年かかるということです。これは、何も後付で解説しているのではなく、最初からわかっていたことです。

日銀の量的金融緩和政策は、2013年4月から実施されてます。もし、増税せずにそのまま金融緩和を続けていれば、2015年にはGDPも上昇していたことでしょう。

ただし、GDPは上昇してはいないものの、過去に量的金融緩和を実施し続けてきたことにより、失業率はかなり下がり、新卒の就職率もここ数十年ほどなかったほどの高水準です。実質賃金も上昇基調にあります。

特に新卒雇用に関しては、2013/03/09にはYouTubeで以下の様な動画が掲載されていたことを考えると、隔世の感があります。



この動画は、『「就活狂想曲」animation "Recruit Rhapsody"』というタイトルで、「ごく普通の大学生として何となく過ごしてきた主人公。ところが近頃友人たちの様子がおかしい。聞けば、彼らは噂の"就活"に躍起になっているらしい。それが一体どのようなものなのか見極められぬまま、主人公もまた「ニッポン式就活」の渦中へと引きずり込まれて行く」というストーリーです。

わずか3年ほど前には、このような悲惨で異様な就活が一般的だったのが現在のような状況になったのですから、現状までの量的金融緩和が失敗だったなどというのは全くの間違いです。

高校や大学の就職担当の先生方は、この違いを一番良く理解しているでしょう。それに、多くの若者達もこれをよく実感または、体感していることでしょう。そのためでしょうか、多くの若者はアベノミクスの継続を希望しています。

しかし、2014年4月から8%の消費税増税を実行してしまったため、その悪影響でGDPはいまだにはっきりとした上昇基調にはありません。

会社経営でも、一旦業績をかなり落とした企業が、回復して成長軌道にのるためには、何か対策を打ってそれが効き目があったにしても、数年かかります。量的金融緩和政策も同じことで、緩和したからといって、半年、1年で目に見えてすぐに効果でるというわけではありません。

それに、一旦業績を落とした企業が何か対策を打ったにせよ、まだ会社の業績が回復しきっていない状況にあるにもかかわらず、大規模な設備投資や賃上げを行ってしまえば、ふたたび会社の業績を落とすのは目に見えています。

このたとえが、良いものであるかはどうかはわかりませんが、量的金融緩和政策を実行中似、減税ではなく増税を実行してしまうというのは、企業経営でいえば回復途上にある会社が大規模な設備投資や賃上げを行ったのと、同様で、GDPがいまいち伸びないのは当然すぎるほど当然です。

量的金融緩和政策はまさに、失敗したのでも何でもなく、増税さえしなければ今頃十分に成果をあげていたはずなのが、増税をしてしまったために、その途上にあるということです。

その根拠として、ブログ冒頭の記事で高橋洋一氏は「失業率は現在の3・1%から2・7%程度まで下げることが可能だ。しかも、現状のインフレ率はゼロ近辺で、目標の2%まで達していないため、失業率を下げてインフレ率を高める金融緩和を実施するのは当然だ」としています。

特に、失業率に関してはまさに、高橋洋一氏の言うとおりです。それに関して以下に若干の説明を加えます。

総務省では、失業を発生原因によって、「需要不足失業」、「構造的失業」、「摩擦的失業」の3つに分類しています。
需要不足失業―景気後退期に労働需要(雇用の受け皿)が減少することにより生じる失業
構造的失業―企業が求める人材と求職者の持っている特性(職業能力や年齢)などが異なることにより生じる失業
摩擦的失業―企業と求職者の互いの情報が不完全であるため、両者が相手を探すのに時間がかかることによる失業(一時的に発生する失業)
この3つの失業のうち、需要不足失業は金融緩和などの政策によって、解消しうる失業です。構造的失業と、摩擦的失業は金融緩和などの政策によっては解消できない失業です。このうち、摩擦的失業は最近ではインターネットなどが発達したため、情報共有が進みあまりみられらなくなりました。現在では、あまり考慮しなくても良いといえるものです。

量的緩和政策により失業率が下がり需要不足失業が全くなくなったとしても、構造的失業は依然として残るわけです。この構造的失業率を高橋洋一氏は2.7%であると見ているわけです。

以下に、過去の完全失業率のグラフを見ておきます。過去の失業率でも、97年以降からは日本は完璧にデフレに突入しましたし、その数年前からデフレ気味でした。ですから、このあたりの失業率はあまり参考になりません。


それ以外の期間の失業率をみると、87年を例外として、ほとんどが2.0%と3%の間に収まっています。この前の年の1986年には、日本経済は円高不況に陥っていました。失業率の悪化はその影響であると思われます。

このように過去の傾向からみても、日本の失業率の下限(≒構造的失業率)は、やはり3%未満、おそらく2.7%であるとみるべきでしょう。これは、かつてデフレでなかった頃の、日本では失業率が3%を超えるとそろそろ赤信号と言われていたことと、符号します。

そうなると、失業率が2.7%になるまでは、量的金融緩和政策を続けるべきという結論に落ち着くのは当然のことです。

さらに、2%の物価目標も達成されていないわけですが、やはり量的金融緩和は絶対に必要であるという結論になります。

「リフレ派」の「敗北」や「失敗」等と主張する方々には、そのような主張をする前に、誰もが納得するエビデンスを出せといいたいです。

エビデンスがないのなら、日本を再びデフレ(証拠・根拠、証言、形跡)に戻すような主張をするのは厳に慎むべきです。

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2016年10月17日月曜日

「日系企業が中国大脱出?」過去最大規模の財界訪中団の要望書に中国ネットが大騒ぎ―【私の論評】1m80Kgのレールから見る中国幻想の終焉(゚д゚)!


中国国家発展改革委との会合であいさつする日中経済協会の
宗岡正二団長(左)。右は経団連の榊原定征会長=21日、北京

 9月下旬、日本の主要企業トップが訪中して政府要人と会談した。その際に日本側が中国市場から「撤退」する際の環境整備を求めたことが波紋を呼んだ。中国のネット上では「出たいなら出ていけばいい」といったいつもの強気の反応が盛んで、ネットメディアも「中国市場を失った日本企業が、どうやって欧米企業などと競争できるのか?」などと日本側の「不見識」をとがめるような意見が目立った。その一方で「本当に日本企業が大規模に撤退したら、中国企業は必ず損害を受ける」といった不安な“本音”も見受けられた。

 日中経済協会を中心とした財界人は9月20日から27日に中国を訪れた。宗岡正二会長(新日鉄住金会長)を団長とし、経団連の榊原定征会長、日本商工会議所の三村明夫会頭らが加わった。3団体がそろって中国を訪問するのは昨年に続いて2回目で、過去最大規模となる計230人の参加となった。日本代表する大企業のトップらが参加し、さながら“オール財界”のメンバーが顔をそろえた。

 21日には北京の人民大会堂で中国共産党序列7位の張高麗副首相とも会談。滞在中の22日には、上海市に本社を置く国有鉄鋼大手の宝鋼集団と湖北省の武漢鋼鉄集団が経営統合すると発表する局面にも遭遇することとなった。

中国国家発展改革委の幹部(右)と握手する日中経済協会の宗岡正二団長。右から
2人目は経団連の榊原定征会長、左端は日本商工会議所の三村明夫会頭=21日、北京
 一連の日程で中国側の関心を集めたのが、22日に中国商務省の高燕商務次官と会談した際に提示した投資環境の改善項目をまとめた要望書だ。その中で、中国市場から迅速に撤退できる環境がなくては新たな投資が進まないと強調し、中国側に改善を求めた。
 撤退の環境整備に関する要請について中国の官製メディアでは話題にならなかったが、ネット上ではすぐに騒ぎとなった。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)では「日本企業が手厚い扱いを受ける時代は終わっている」といった否定的な反応が大勢を占めた。また、この要請について報じた日本人記者の個人名を挙げて「この記者は経済を分かっていない」などとからかうような記述も見られた。

 中国系香港メディア、フェニックステレビのホームページは「日本企業の中国大脱出?」という文章を掲載し、財界訪中団の要請がなされた背景について分析した。

 文中では、近年の日本企業の撤退はそれぞれの企業の「経営上の原因だ」と説明し、統一的な動きではないことを強調した。その上で「もし誰が誰に頼っているか論じる必要があるならば、現在は日本企業が中国市場に頼っている時代だ。その逆ではない」と述べ、中国市場撤退による被害は日本側が受けることを示唆した。また「日本企業は『政冷経冷』という中日関係の被害者だ」との見方も示した。

 一方で、中国市場からの日本企業大量撤退を招くような事態に「不安」を感じる反応も少なくない。

 「ネット上で積極的に転送されたニュースは、やはり人を不安にさせた」

 ある中国の経済系ウェブサイトは、今回の騒動について不安な思いを率直に吐露した。同サイトは、日本側が積極的に進めてきた対中投資について説明し、「日本の中国経済への影響は、その他の国を上回っている」と指摘。日本企業撤退が現実のものとなった際の被害を懸念し、「何が何でも中国の官製メディアはこの事実をできるだけ早く真実のままに報じ、中国側は誠意を持って日本企業の引き留めに当たるべきだ」と訴えた。

 「政冷経冷」の時代に入ったと指摘される日中関係。日本貿易振興機構(ジェトロ)がまとめた平成27年度の進出企業実態調査によると、今後1~2年のうちに中国事業を「縮小」または「移転・撤退」すると答えた企業は全体の10・5%で、前年度調査に比べ3ポイント増えたという。今回の騒動は中国側にも、日中関係がそのような時代に入っていることを深く認識させる一つのきっかけになったかもしれない。

【私の論評】1m80Kgのレールから見る中国幻想の終焉(゚д゚)!

上の記事には、掲載されていませんが、日本側からは、中国の鉄鋼の過剰生産問題に関し早期解消を求める声が相次いでいました。

日中経協の宗岡正二団長(新日鉄住金会長)は冒頭あいさつで中国からの鋼材の安値輸出により「世界の鉄鋼業が深刻な打撃を受けている」との認識を示し「過剰生産などの改革を着実に進めていただきたい」と訴えた。経団連の榊原定征会長も「痛みの伴う改革の着実な実行を期待したい」と構造改革の推進に期待を示しました。

中国側は「供給サイドの改革は進展しつつある。構造的な改革を進め両国関係を強化したい」との考えを示していました。

中国の鉄鋼業界が構造調整をしないため、日本の鉄鋼業界はもとより、世界の鉄鋼業界が依然、その余波を受け続けています。中国国営の鉄鋼大手同士による統合計画が発表され、足元では再び市況が改善し始めたとはいうものの、生産や輸出は高水準のままです。

欧米諸国がその削減を中国政府に強く求めるものの、その歩みは欧米の不満を解消するまでには至らず、日本はその対立の巻き添えになりかねない立場にも置かれているのです。


日本の鉄鋼大手は自動車など製造業向けに中国現地の合弁企業から鋼材を供給。そこに向け、高級鋼に使う熱延コイルや冷延鋼板、線材などの半製品を大量に輸出しています。

こうした中、欧米諸国と中国の対立が激化し、アンチダンピング措置など対抗手段の打ち合いとなれば、日本もそのとばっちりを受けています。実際、米国は6月下旬、中国と日本の冷延鋼板に対するアンチダンピング措置を最終決定。税率は中国製が265・79%と圧倒的に高く、中国をターゲットに据えたのは明らかです。

しかし、日本製も「クロ」と判断され、71・35%と決して低くはないアンチダンピング税が課されることになったのです。

中国政府は今後5年で最大1億5000万トンの能力削減を決めているのですが、6月下旬には国家発展改革委員会が16年の削減量を4500万トンと明示。焦点の雇用問題でも18万人を配置転換させるとしており、同委員会の徐紹史主任は「目標達成を強く確信している」と断言しました。

しかし、同時にネガティブな指標も明らかになりました。まず、6月の1日当たり粗鋼生産量が過去最高を更新。政府支出による大型公共工事の拡大で鋼材需要が膨らんだ上、6月に市況が下げ止まり、「この水準なら、利益が出ると判断した製鉄所が稼働率を高めたのではないか」(中国国内の鉄鋼関係者)と見ています。


鉄鋼というと、中国も相当進んでいるように思われるかたもいらしゃる方々も多いと思います。しかし、そうではありません。中国というか、日本以外の国々は日本に遠く及ばないところがあります。

その実例を以下に掲載します。それは、鉄道のレールをみれば一目瞭然です。ただし、渡したは、常日頃、電車には乗りますが、その電車のレールにはあまり関心がないものです。
しかし、この鉄道レールは昔から日本の独壇場の様相を呈しているのです。その鉄道レールは過去においては、1メートル当たりの重量が60キログラムが主流でした。この頃から、日本のレールは品質が良いということで、人気があったのですが、実はこれからは、80キログラムレールが主流となるというのです。

なぜそのようなことになっているかといえば、より重いレールの方が、より重い列車を走らすことが出来るからです。ところが、この80キログラムレールを製造できるのは世界で日本のメーカーしかないのです。

そのメーカーは、日本国内でも新日鉄住金の君津製鉄所とJEEスチールの東日本製鉄所の2か所しかありません。

新日鉄住金の君津製鉄所
現在たとえば、アメリカは大陸横断鉄道のコンテナ列車の重量が大きくなってきて、レールの強度が問題となっています。現在の60キログラムのレールでは無理が生じてきたのです。これに対応するには80キログラムレールに置き換えるしか方法がありません。

ところが、アメリカでは80キログラムのレールを作る製鉄所はないのです。アメリカでは今、三本の大陸横断鉄道(約3万8000キロ)があるのですが、徐々に、この80キログラムレールに入れ替えています。一昨年オバマ大統領が日本に来た時に、安倍総理に「日本の鉄道技術をお願いしたい」と要請したのですが、中身は80キログラムのレールのことなのです。

この80キログラムになれば、大量の貨物を一気に運ぶことが出来るわけで、アメリカの物流革命の担い手としての期待が大きいのです。

ご存知のように、日本で鉄道の脱線事故が少ないのはこの80キログラムレールが採用されているからなのです。東海道新幹線も80キログラムレールにどんどんと、置き換わっているのです。

函館港から陸揚げされた北海道新幹線のレール
このレールを使用すると、超高速で走る車両の揺れも大幅に減らすうえに、レールの摩耗を防ぐことができます。このレールを製造するには、圧延機の能力が強力で、一本30メートルもありますが、これを均一に800度で加熱します。これには大変な技術と設備が必要なのです。

ご存知のように、鉄道というのは、昔から経済効率が非常に高いのです。しかも公害の発生も低いというメリットもあります。これからの世界は鉄道が建設ブームになりますが、当然これに合わせて、80キログラムレールの需要は世界的に高まります

さらに、鉄道車両の車輪も日本は世界に誇れる技術があります。それは、車輪と車軸は外れると脱線しますが、新日鉄住金は、なんと、車輪と車軸を一体で鍛造することができるのです。そうすれば、車輪と車軸が外れる心配はなくなります。こう言った凄い技術を持っているのは、世界中で、新日鉄住金だけなのです。

さて、話が少し文字通り脱線しましたが、なぜこのようなことを述べたかというと、鉄の製造にも当然のことながら、日本では高度の技術が駆使されていることを示したかったからです。

そうして、先ほどの80キログラムレールなど、日本国内の製造工場で製造されているのです。そうして、中国の鉄鋼メーカーはどうかというと、別に中国でなくても、どの国でもできるような鉄鋼を製造しているに過ぎません。

中国の鉄道だって、こ日本の80kgレールがなければ、成り立たないというわけです。このような圧倒的な技術力の差異は中国としてもいかんともしがたいでしょう。

もう、ブログ冒頭の記事をみてもおわかりでしょう。ここでは、鉄道を例にとって話をしましたが、他のことでも似たようなものです。

そもそも、製造業などかなり自動化されたので、実はかなり前から、製造業に占める賃金の割合は数%に過ぎなくなりました。

今の中国は、従来から比較すると、低賃金ではなくなりました。そうなれば、わざわざ中国で製造する意味もありません。現在では、従来のように、日本銀行が金融引き締めばかりしていて、極端な円高で日本国内で製造するよりも、中国で製造して日本に輸入したほうが、コストが安くなるということもありません。

そうなれば、わざわざ中国に生産拠点など置いておく必要もありません。中国の消費がさらにかなり高まり、現地で製造したほうが、コストがはるかに安くなるということにでもなれば、中国国内で製造する意味もありますが、現在はそのようなことはありません。

それは、日本に限らず、他の国の製造業なども同じです。小売業だってそうです。中国のGDPに占める個人消費の割合は35%程度に過ぎません。最近は、これが少し上がったという話もありまずが、これは全く良いことではなく、他のGDPが下がったので個人消費が上がったように見えるだけです。

そもそも、中国での小売業も最初から大変です、日本のように人口が密集しているわけではなく、広い地域に人口が拡散しています。

それに、最近では経済も落ち込み、余程の大構造改革でも行わない限り、経済が良くなる見込みも全くないです。このままだと、中国は中所得国の罠に嵌り込み、そこから浮上する見込みはありません。

もともと、中国は中所得国あるいはそれ以下の国々の集合体のようなものです。一つ一つの省を一つの国と見たほうが理解しやすいです。

将来の中国は、中所得国の寄り合い所帯のような国になることは必定です。中国の将来は、図体が大きいだけの、アジアの凡庸な独裁国家になりはてるだけです。

やはり、中国に進出している企業の多くは、もう見込みのない中国から撤退したいのです。しかし、それをなかなか自由にさせてこなかったのが中国です。

だからこそ、今回日中経済協会の日本側が中国に対して、日本側が中国市場から「撤退」する際の環境整備を求めたのです。

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2016年10月13日木曜日

「みんなが解散と言うときには解散なし」 「超裏技」の選挙日程とは―【私の論評】与党の助っ人蓮舫氏が民進党代表のうちに解散総選挙はほぼ確実(゚д゚)!

「みんなが解散と言うときには解散なし」 「超裏技」の選挙日程とは

もう永田町は解散風が吹いている。公明党が早期解散を容認しているのは、来(2017)年7月に実施される東京都議選と衆院選がかぶらないようにしたいためだ。また、先の国会で衆院選の1票の格差是正と議員定数10減のための改正公職選挙法が成立したことも大きい。

ただし、区割りには時間を要するために、来年6月以降にならないと、新たな区割りでの衆院選はできないと見られている。現職の衆院議員は、これまでの区割りで選挙をしたいと望むだろう。このことから、衆院選は来年5月までに行われる公算が強い。

解散風の吹く永田町
蓮舫代表の二重国籍問題の陰

このスケジュールは、過去の衆院選を見てもわかる。衆院任期は4年であるが、戦後、任期がまっとうされた上での衆院選は、1976年12月の1回しかない。それ以外は任期満了の前に解散総選挙が行われている。これまでの衆院の平均任期は2年9か月なので、2年を過ぎれば、常在戦場だ。今の衆院議員は2016年12月で任期2年となる。

中曽根政権(第1次は1982年~)以降を見ると、3年以上経過して解散した例が8回と多い。2年以上3年未満で解散したのは、1986年7月、2005年9月、2014年12月と3回しかない。ただし、この3回ともに与党の圧勝であった。これも早期解散の根拠となる。

なにより、今は相手になる民進党が弱すぎる。今日(16年10月13日)の国会で、安倍晋三首相は、蓮舫・民進党代表の二重国籍問題について答弁した。同じく二重国籍だった自民党の小野田紀美参院議員が日本国籍選択を証明する戸籍謄本を公開した事を引き合いに出し、蓮舫氏も国民に証明の努力をすべきとした。蓮舫代表は公開を拒否しているからだ。

この問題は、民進党にとって打撃である。もし蓮舫代表に二重国籍問題がなければ、小池氏が東京都知事になって行われる東京10区の衆院補選に、蓮舫氏が出馬していただろう。

党代表でありながら参院議員であるのは、かなりのハンデである。蓮舫氏は参院議員であるので、衆院の代表質問では野田幹事長に委ねざるを得ない。蓮舫代表が野田氏を幹事長に指名した事に対しては、野田氏が増税論者で民主党政権転落の原因でもあるので、民進党内でも大不評であるが、東京10区の補選に蓮舫代表が出ていれば、民進党の勢いも違っていただろう。

日ソ首脳会談前に...

東京10区も福岡6区も衆院補選は、今のところ与党圧勝の情勢である。福岡6区は自民党の分裂であるが、野党は足下にも及ばないようだ。二つの補選ともに、小池都知事が応援演説で入ると大勢の観衆が集まる。小池人気の凄まじさを見せつけられるが、同じ女性である蓮舫代表は、集める観衆の数で小池都知事に負けている。自民党勢は小池人気で野党候補を破ってしまうだろう。

そうなると、次は、いつ衆院解散か、となる。一般的には、12月の日ソ首脳会談をへて、来(16)年1月解散となっている。このスケジュールはそれなりの確度があるが、「みんなが解散というときには解散なし」という言葉もある。

奇抜なので、その可能性は少ないが、11月21日(先勝)に解散し、プーチン会談の前の12月11日(大安)に投開票というのも頭の体操としてある。

12月15日に日ソ首脳会談であるが、その前に11月19-20日にペルーで開催されるAPECでプーチン大統領と会うので、帰国後解散という超裏技だ。もちろん、TPP法案をどうするかなど難問があるが、ちょうど2年前の2014年11月21日解散、12月14日投開票で衆院選が行われたときと同様な選挙日程であり、絶対に不可能とはいえない。

それも、相手が蓮舫新代表率いる民進党では、安倍首相がいつ解散をしたくなっても、仕方ないだろう。

++ 高橋洋一

【私の論評】与党の助っ人蓮舫氏が民進党代表のうちに解散総選挙はほぼ確実(゚д゚)!

上の記事では、蓮舫氏の二重国籍について掲載されていますが、蓮舫氏に関してはこれ以上に酷いスキャンダルが問題となっていました。

蓮舫氏は2011年に写真週刊誌にダイナシティの中山諭元社長との密会写真が週刊誌に掲載され、国会で追及されました。中山氏はバブル崩壊後に不動産業界でのし上がった風雲児で、ジャスダック上場までしたのですが、05年に脱税でガサ入れされた際、覚醒剤を打っているところを発見され、覚醒剤取締法違反(使用、所持)罪で懲役3年、執行猶予5年の判決がくだされました。にもかかわらず、蓮舫氏は執行猶予中のN氏と密会していたところを写真に撮られたのです。

当時の週刊誌の紙面の写真を以下に掲載します。


蓮舫氏は、脱税や覚せい剤取締法違反容疑で逮捕歴がある元不動産会社社長(ダイナシティの中山諭元社長)と、2010年8月、青森県のねぶた祭りを見学に行ったり、2011年9月21日には、東京・麻布十番で飲食したりしていました。

写真週刊誌が、2011年9月21日の蓮舫と中山諭元社長の麻布十番での会食をキャッチしました。

数年ぶりに大型台風が首都圏を直撃した9月21日の午後7時過ぎ。 蓮舫氏が食事を楽しんでいた相手は、かつてマンション業界の風雲児ともて囃されたダイナシティの元社長だでした。

この週刊誌の紙面の写真など、現在はネット上にほとんど残っておらず、何らかの作為を感じのす。おそらく意図的に削除されていると思われます。

さて、この件に関しての国会の追求の様子を記録した動画を以下に掲載します。


以下に動画の説明を掲載します
西田昌司(自民党)参院予算委員会11/15.
①~④.
国士・西田先生が蓮舫のダーティ交際を暴きます!!
参院予算委員会2011/11/15 質問:西田昌司氏(自民党) 参院の名物男、西田昌司氏が蓮舫議員の黒い交際、韓国民潭と野田民主党との癒着問題について鋭く追及.
参議院予算委員会 西田昌司 野田総理と民団 20111115 20111206 西田昌司 野田総理と外国人献金 参議院予算委員会 1/4
野田総理と蓮舫が脱税と覚醒剤で逮捕されている人間の家族の披露宴に出席し、 御車代として50万、100万円単位で受け取っていた。 20111206 西田昌司 野田総理と外国人献金 参議院予算委員会 1/4
蓮舫、覚醒剤と脱税で逮捕されたダイナシティの中山諭元社長との「黒い交際」(不倫スキャンダル) ・蓮舫は「2011年9月まで犯罪を知らなかった」とウソ答弁・実は犯罪者と知って交遊
このスキャンダルのせいでしょうか、この後すぐに蓮舫氏は行革刷新相を辞任しました。

ガソリーヌ、山尾志桜里などの報道と、蓮舫氏の二重国籍の問題に霞んでしまい、現在ではほんど報道されませんが、蓮舫氏にも政治資金問題があります。

写真は週刊ポスト誌面(切り抜き)平成22年年1月15・22日号(P141)より

この週刊誌の報道では、蓮舫氏の「政党交付金使途報告書」記載の「事務所経費」(賃借料)の項目に「不透明な支出」がある、との指摘が持ち上がった、と記し、渡辺龍二氏(ジャーナリスト)の次の指摘を紹介しています。 
云く、「報告書によれば、この団体(蓮舫氏の資金団体)は06年には63万3280円、07年には54万5980円、08年には54万4980円、3年間で約172万円の事務所賃借料を計上しています。しかし、この報告書には、その支払先についてはまったく記されていない。さらに、蓮舫議員に近い筋から話を聞いても、“彼女は議員会館以外に事務所をもっていないはずだ”というのです」(同)と。この指摘にもとづいて、誌面が「(報告書に)記された東京・目黒区内の住所を尋ねてみた。ところがその場所にそびえ立っていたのは、敷地400平方メートル、高さ2メートルはある荘厳な白壁に覆われた2階建ての“白亜の豪邸”だった」(同)、と事務所の表札すら無い蓮舫氏の個人宅であった、との様子を記している。 

このような疑惑があったせいでしょうか、蓮舫氏はしばらく影を潜めたような状況でしたが、人の噂も75日ということわざもあるように、これらのスキャンダルから随分と月日もたち、多くの国民からこれらの事実の記憶も消えかけていたころに、再度二重国籍問題がもちあがったわけです。

二重国籍問題に関しては、このブログにも何度か掲載してきたように、利益相反の問題があるのは明らかです。安倍首相は、13日の参院予算委員会で、日本国籍と台湾籍のいわゆる「二重国籍」だった民進党の蓮舫代表について「国会議員として蓮舫氏の責任において国民に対し証明の努力を行わなければならない」と述べ、詳細な説明が必要だとの認識を示しました。首相が蓮舫氏の二重国籍問題に直接言及したのは初めてです。これは、自民党の三原じゅん子氏の質問に答えたものです。

二重国籍問題をめぐっては、自民党の小野田紀美参院議員も米国籍との二重国籍状態であることが判明しました。しきし、三原氏は、小野田氏が国籍法に基づいて日本国籍選択の宣言をし、外国国籍離脱の努力義務を果たしていたと強調。日本国籍選択を証明する戸籍謄本も公開した小野田氏と比べ、蓮舫氏は国籍選択宣言の有無などが明確でないとして批判しました。蓮舫氏は戸籍謄本の公開について「極めて個人的な件だ」として拒否しています。

これを受け、首相も「小野田氏は戸籍謄本を示し、選択という義務を果たしたことを証明した」と述べ、蓮舫氏との対応の違いを強調しました。

首相は「国会議員は国民の負託を受けている。自らの言動について疑念を持たれぬよう常に襟を正していなければいけないことは当然だ」とも述べました。


民進党の蓮舫代表は5日、参院予算委員会で代表就任後初めて質問に立ち、安倍晋三首相と直接対決しました。憲法改正をめぐり、自民党改憲草案に対する自身の見解を述べることを避けようとする首相に「逃げないで頂きたい」と追及しました。稲田朋美防衛相の過去の発言の問題点も突いていました。

それにしても、最近の蓮舫氏の相変わらずの舌鋒鋭く、内容に乏しい言質をとるためとしか見えない国会での質問や、他の民進党議員の質問などみていると、蓮舫代表自身も、他の民進党議員の大部分も、蓮舫氏や民進党が与党にとって、最高の助っ人になってしまっている状況を理解していないのではないかと思います。

これを滑稽と言わずして、何を滑稽と言えば良いのでしょうか。衆院解散、総選挙の日程はあくまで安倍首相の腹づもりで決まるものです。ですから、年末・年始になるのか、それともブログ冒頭の高橋洋一氏の記事のように、別の日程になるのかは、わかりません。

しかし、安倍首相は蓮舫氏が民進党の代表であるうちに、衆院の解散総選挙に踏み切るのは間違いないと見て良いでしょう。

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2016年10月12日水曜日

中国国防省前で異例の大規模デモ 元軍人らの不満浮き彫り、「団結」呼びかけ合唱も―【私の論評】スーダンでも武器や弾薬を残して敵前逃亡!武装商社人民解放軍に大異変(゚д゚)!

中国国防省前で異例の大規模デモ 元軍人らの不満浮き彫り、「団結」呼びかけ合唱も

北京の国防省前に集まった座も参加者たち=11日
北京市中心部にある中国国防省前で11日に起きた大規模デモには、さまざまな年齢層の元軍人ら約千人が参加したと伝えられ、軍への不満の根深さが浮き彫りになった。軍中枢部近くでの大規模デモは極めて異例で、習近平指導部が本格化させている約30万人の兵力削減などの軍改革にも微妙な影響を与えそうだ。

 デモは11日朝から習国家主席がトップを務める中央軍事委員会や、国防省が入る建物「八一大楼」前で発生し、12日未明に強制排除されたとみられる。米政府系放送局のラジオ自由アジアなどによると、各地から集結した参加者は年金の増額など待遇改善を訴えた。

 現場周辺では12日早朝、多くの公安関係者や数十台の警察車両による厳戒態勢が敷かれた。迷彩服姿の数人が連行される様子も目撃された。

 デモについて中国メディアは一切報じていないが、インターネット上では迷彩服を着た参加者らが「八一大楼」に向かって隊列を組み「団結」を呼び掛ける内容の歌を合唱したり、座り込んだりしている映像が流れた。

【私の論評】スーダンでも武器や弾薬を残して敵前逃亡!武装商社人民解放軍に大異変(゚д゚)!

北京の中国国防省前で、警察官に排除される迷彩服を着た男性たち=12日
人民解放軍は1993年から2000年の間に、軍備縮小の名のもと、数万から数十万とも言われる大規模な人員削減を行いました。対象となった軍人たちには日本円にして数十万円の一時金が支払われたものの、多くはその後の仕事が見つからず、生活に困っていると訴えているのです。さらに・・・

「中国は永遠に覇権を唱えず、永遠に拡張せず、兵員30万人を削減すると宣言する」(習近平国家主席 抗日戦勝70周年式典 中国・北京 去年9月)

習近平国家主席は去年、人民解放軍の兵力を230万人からおよそ30万人削減するという大規模な軍改革を打ち出しました。そのため、更なるしわ寄せが自分たちに来るのではないかという不安も背景にあるとみられています。

軍人は今、中国社会においては最も女性から見ると結婚したくない相手になっているので、元軍人はすごく不満もあるし、現実の社会での苦労に直面してます。

元軍人によるこうしたデモは、数年前から中国各地で散発的に起きていました。しかし、軍の中枢である国防省にこれだけの人数が集まるのは異例のことです。

国防省の前になると本当にたくさんの人の目に触れるので、いよいよ退役軍人問題が全国問題として国民に認識されるというインパクトがあるものと考えられます。

首都・北京のど真ん中で起きた今回の騒ぎですが、中国のメディアでは一切報じられませんでした。

中国国防省
中国では、元軍人だけではなく、現役の軍人たちにも不満が高まっています。それに関しては今年の7月に米国を拠点にする中国問題専門の華字ニュースサイト「博聞新聞網」が伝えました。

中国人民解放軍の幹部や兵士の大幅な昇給案が検討されていたのですが、軍内部の討議で否決されていたことが分かたというのです。このため、軍内には兵士や下士官を中心に不満の声が高まっており、将校ら高級幹部も不満を抑えるのに懸命だといいます。

軍内の昇給案は、昨年8月から検討され、平均で5.95%増の予定だった。師団長クラスで3万元(約50万円)、最下級の兵士では5750元(9万5000円)になる見通しでした。

昇給分は地方の大軍区(現在の戦区)司令官の場合は約2万元で、年収は5万元程度。師団長も昇給分は1万2000元。以下、連隊長は9000元増、大隊長が7000元、中隊長が6000元、小隊長が5000元となる予定でした。

ちなみに、中国統計局によると、中国の都市部の国有企業従業員1人当たりの平均年収は約6万2000元となっており、軍人の場合は給料が低く抑えられていることは否めません。

習近平指導部は昨年末から今年初めにかけて、大規模な軍事改革による組織改編を行っており、これを機会に、軍内で不満が強かった給与を改革して、国有企業並みの年収を保障する方針を打ち出していました。

ところが、中国経済は昨年来、一層悪化していることから、200万人の軍人に支払う原資が不足しており、今回の給与改革は実施予定の直前になって急きょ延期となってしまいました。

なお、中国国防省は今年6月末、記者会見で、「軍の給与改革の情報があるが、それは事実ではない」と正式に否定していました。

これに対して、収まらないのは、待遇がよくない軍の若手兵士を含む下士官層で、一部の地方の軍では職務放棄などが拡大しているといいます。


最近では、南スーダンに中国が派遣したPKO部隊が、持ち場を捨て逃走というショッキングなニュースも伝えられています。これも、軍人たちの不満に関係している可能性があります。

南スーダンの首都ジュバに駐屯して国連平和維持活動(PKO)に従事している部隊が、政府軍と反政府軍の間で交戦が繰り広げられていた今年7月、民間人から数十回にわたって保護要請を受けたにもかかわらずこれを無視したという主張が持ち上がっていました。中国軍のPKO部隊に至っては、武器や弾薬も残したまま逃亡したと伝えられている。

米国ワシントンDCに本部を置くNGO(非政府組織)の「紛争地域民間人センター」(Center for Civilians in Conflict=CIVIC)は5日(現地時間)、この事件に関する報告書を発表して「国連は民間人保護任務を果たさなかった当該PKO部隊に対して責任を問い、透明性を高めるべき」と主張したといいます。AFP通信などが報じた。南スーダンには61カ国から派遣されたPKO部隊合わせて1万2500人がおり、このうち2500人が首都ジュバにある2つの基地に駐屯しています。

報告書によると今年7月、ジュバでは4日間にわたり政府軍と反政府軍の間で交戦が繰り広げられ、PKO部隊の基地にも攻撃があった。この過程で民間人を含む300人以上が死亡し、この中には中国軍2人と南スーダンの記者1人も含まれていました。また南スーダン政府軍と反政府軍は、現地にやって来た救護活動家を含む民間人の女性数百人に性的暴行を加えました。PKO部隊は当時、基地の内外で民間人が死亡し、性的暴行に遭っているにもかかわらず、出動しませんだした。基地に対する攻撃があった時にのみ撃ち返す程度でした。少なくとも5人の外国人救護活動家が基地の近くのホテルに連れ込まれ、集団で性的暴行に遭った時も、数十回にわたって救助要請を受けたにもかかわらずこれを無視しました。さらに中国から派遣されたPKO部隊の場合、反政府軍から強い攻撃を受け、持ち場を捨てて逃走しました。
ネット上では、「軍は災害があると、一番初めに被災地に行かされて、劣悪な環境で支援活動を強いられたり、戦闘でもそうだ。訓練も過酷であり、このままでは昔から言われるように『好鉄不打釘、好人不当兵(良い鉄は釘にはならず、良い人は兵隊にはならない)』と、だれも軍兵士に志願する者はいなくなってしまい、習近平が命令して戦争を戦う兵士はどこにもいなくなってしまうのではないか」などの書き込みが散見されています。

さて、上の記事にでてきた人民解放軍とは他国の軍隊にあたると考えるのは間違いです。そもそも、人民解放軍は共産党に直属する組織であり、共産党の私兵です。他国の軍のように、国民国家を守るものではありません。災害の時などに出動することもありますが、それがメインの仕事ではありません。

メインの仕事は、共産党の私兵として、共産党を守ることにあります。そうして、さらに不可思議なことがあります。人民解放軍は、独自に様々な事業を展開しています。その実体は、日本でいうところの商社のようなものです。そうして、その商社が武装していて、中国共産党を守るため、治安警察、城管などとともに、人民を弾圧するのです。

このように中国共産党にとって、人民解放軍は体制を維持するための、最後の砦のようなものです。今回、国防省の前でデモを行った元軍人たちの背後には当然、中国軍内あるいはそれよりもさらに上位の何者かの後ろ盾があると思われます。「反腐敗運動」で党幹部のほぼ全員を敵に回した習近平ですが、解放軍までが組織的な反抗を起こしてくると、政権はいよいよ危険水域に入ったといえるでしょう。

 千人以上にも及ぶ元軍人たちが集まって軍の最高指導機関である中央軍事委員会のある国防省ビルに「奇襲」したことは、 どう考えても黒幕のある政治的「反乱」です。その矛先は軍事委員会主席の習近平その人に向けていると考えられます。大政変の幕開けを予感させます。軍を掌握しきれない習近平体制は近々崩れるのではないでしょうか。

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2016年10月11日火曜日

米国防省が恐怖の分析、中国の核攻撃で日本は絶滅?―【私の論評】日本が核武装をすることになるであろう4つの根拠はこれだ(゚д゚)!

米国防省が恐怖の分析、中国の核攻撃で日本は絶滅?
ワシントン・フリー・ビーコンのバナー 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 日本は中国に死者3000万人の被害をもたらす核ミサイルを10年以内に開発することができる。一方、中国は日本に対して3400万人の死者を出す核攻撃をかけることが可能だ――。

 まるで恐怖をあおるサイエンスフィクションのような物騒な推定が米国防総省委託の研究報告で明らかにされた。

■ 米国同盟国の間で徐々に高まっている核武装論

 米国・ワシントンのインターネット新聞「ワシントン・フリー・ビーコン」は10月7日、「ペンタゴン(米国防総省)が将来の日本の核兵器と対中戦争について研究」という見出しの記事を掲載した。

 この報道をスクープしたのは、米国の軍事戦略を専門とするビル・ガーツ記者である。ガーツ記者は、国防総省の「相対評価局(ONA)」が今年6月にワシントンで開催した「核作戦とその意味」と題する研究集会の報告書の主な内容を伝えていた。

 ONAは国防長官に直結する研究調査機関で、米国にとって10年以上の単位で長期的な脅威となりうる諸外国の軍事動向や、同盟国を含めた米国側陣営に対する脅威への対応策について研究することを主任務としている。

米国国防総省 通称「ペンタゴン」
同新聞の報道によると、ONAがこの種の研究に取り組んだ背景には以下のような要因がある。

 (1)米国は同盟諸国に対して「拡大核抑止」(核の傘)を誓約してきた。しかし、オバマ大統領が「核なき世界」や「核先制不使用」政策を掲げることで、その制約への信頼が失われている。その結果、同盟国の間で核武装論が徐々に高まりつつある。

 (2)オバマ政権が米国の核戦力を進化・改良させないのに対し、中国やロシアは核戦力の近代化を進めており、米側の抑止力が相対的に弱くなった。

 (3)北朝鮮が核武装を完了させ、イランも10年後には核兵器開発が確実だとみられるようになった。

 こうした諸要因が、米国の核兵器による戦力や抑止力のあり方を根本から再検討するという作業につながったというわけだ。

■ 日本が核兵器開発に着手するきっかけとは

 この研究結果は、ONAが委託した民主党系の民間防衛シンクタンク「長期展望戦略グループ」によって報告書としてまとめられた。同報告書によると、日本の目の前には核武装という選択肢があるという。その主な理由は、「中国や北朝鮮による日本への核攻撃や核威嚇に対する米国の核安全保障が弱くなり、やがて、中国や北朝鮮を抑止するには不十分になると、日本は恐れている」からだ。

 そして、以下のような事態が契機になって日本が核兵器開発に着手する可能性があるという。

 ・韓国の核兵器開発
 ・イランの核武装
 ・中国あるいはロシアによる核兵器の使用

 同報告書は、上記のような事態が起きれば米国の核政策に大きな変化が起きて、緊密な同盟関係にある日本の核武装に対して寛容な姿勢へシフトする可能性がある、と述べる。

 同報告書はその上で、日本の核武装の可能性について以下のように記述していた。

 ・日本政府は一度決定を下せば、現在の原子力技術や宇宙開発技術、巡航ミサイル、潜水艦の技術を基に、10年以内に核兵器を完成させることが可能である。

 ・同研究集会に参加したONAの専門家たちは、日本は自国で開発した核兵器を実際に地上や宇宙ロケット、潜水艦などに配備するだろうと予測していた。

 ・安倍政権も認めているように、日本の現行憲法は核兵器保有を禁じてはいない。米国としてもこの点を重視する必要がある。

■ 中国の核攻撃で日本は国家絶滅の危機に

 さらに同報告書は、日本と中国が尖閣諸島の領有権をめぐって争い、場合によっては日中戦争へと発展する危険性があることを指摘する。その上で、日中両国の将来の核戦力の威力についても次のように触れていた。

 ・日中間で全面戦争が起きた場合、日本は地上配備、あるいは潜水艦発射の核ミサイルにより中国に最大で死者3000万人の被害をもたらす破壊能力を保持するにいたる。

 ・中国側は現状でも日本に核攻撃をかけて死者3400万人の被害を与える能力がある。この死者は日本の総人口の27%であり、日本は国家絶滅の危機に瀕することとなる。

 同報告書は、こうした調査、研究の結果を踏まえて、米国政府が日本への拡大核抑止の保証を従来通りに堅持することが最も賢明で合理的な政策だという結論を示唆していた。

 現在、米国では世界の唯一の超大国、そして日本の同盟国という立場から、この種の仮定に基づく安全保障研究が大胆に行われている。起こしてはならない最悪の想定のシナリオを事前に研究しているのである。たとえ仮定のまた仮定でもこの種の軍事シナリオがタブー視されている日本とは対照的に米国は現実を見据えているというわけだ。

古森 義久

【私の論評】日本が核武装をすることになるであろう4つの根拠はこれだ(゚д゚)!

冒頭の記事で、「安倍政権も認めているように、日本の現行憲法では核兵器保有を禁じてはいない」という記述には驚かれた方々も大勢いると思います。

しかし、政府は今年4月に「憲法は核兵器保有を禁じず」とした政府答弁書を決定しました。日本は憲法9条で「戦力不保持」をうたい、「非核三原則」を掲げています。意外な気もしますが、これは政府の方針変更というわけではなく、従来の政府見解と同様のものです。例えば1978年に当時の福田赳夫首相は、非核三原則があるとしながら、「憲法9条の解釈として絶対に持てないということではない」と答弁しています。

民進党の逢坂誠二議員と無所属の鈴木貴子議員からの質問に対する回答において、に対する回答において、政府は「自衛のための必要最小限度の実力保持は憲法9条でも禁止されているわけではなく、核兵器であっても、仮にそのような限度にとどまるものがあるとすれば、保有することは必ずしも憲法の禁止するところではない」という解釈を示しました。

政府は、この答弁は従来と同趣旨の説明だとしています。

核兵器の使用が認められるか否かについては、国際法、日本国憲法など国内法、日本の政策を区別してみていく必要があります。

国際法においては、核兵器が違法で禁止されているか、各国の考えは一致していません。日本政府は、戦後間もないころ違法だとみていたことがありました。1960年、フランスがサハラ砂漠で核実験を行い、アフリカ諸国を中心として、核兵器は国連憲章や国際法に違反しており禁止すべきだという決議案が国連総会に提出されたとき日本は賛成したのです。

しかし、中国が核兵器を開発したことなど、国際政治において核の抑止力に頼らざるを得ない状況になり、それ以後、日本は核兵器を違法であり、禁止されるとすることに賛成していません。

一方、日本国憲法では、核兵器が違法で禁止されている、あるいは、いないなどと直接的に規定されていません。第9条の、国際紛争を解決する手段としては「武力の使用を永久に放棄する」という規定の解釈にゆだねられています。

1954年に日本政府は、「日本に対して武力攻撃が加えられた場合に、国土を防衛する手段として武力を行使することは、憲法に違反しない」という解釈を示しました。この考えに立って創設されたのが自衛隊です。それ以来、政府は「自衛のための必要最小限度の実力を持つことは憲法で禁止されていない」という解釈を維持しています。ここで言う「実力」が武器のことです。

では、核兵器は憲法が認めている自衛のための武器にあたるでしょうか。

核兵器は一度使用されると市民に甚大な被害をもたらしますので、「自衛のために必要最小限度」の武器か、その範囲を超えるのではないかという疑念を抱かれるのは当然ですが、日本政府は、冒頭で引用した答弁のように「核兵器であっても自衛のために必要最小限度にとどまるものがありうる」という立場です。

「安倍政権も認めているように、日本の現行憲法では核兵器保有を禁じてはいない」とは、まさにこのことです。

しかし、核兵器が禁止されているかいなかについては、さらに次の2つの点を勘案する必要があります。

一つは日本が、「核を持たず、作らず、持ち込ませず」の非核三原則を表明したことです。しかし、これは政府による表明であり、撤回することが全く不可能というわけではありません。

もう一つは、日本は、1976年に批准した核兵器不拡散条約(NPT)で、核兵器の保有、使用など一切のことが国際法上、禁止されていることです。

しかし、このブログの冒頭の記事でも述べられているように、米国は同盟諸国に対して「拡大核抑止」(核の傘)を誓約してきたのですが、オバマ大統領が「核なき世界」や「核先制不使用」政策を掲げることで、その制約への信頼が失われています。その結果、同盟国の間で核武装論が徐々に高まりつつあります。日本だけが例外であるとはいえません。


日本としては、核武装も国内で十分議論すべきです。議論する事自体が、抑止力になる可能性が十分あります。私として、いずれ核武装することになるのではないかと思っています。その根拠をいくつかあげておきます。

まずは、ブログ冒頭の記事にもあるように、中国側は現状でも日本に核攻撃をかけて死者3400万人の被害を与える能力があり、この死者は日本の総人口の27%であり、日本は国家絶滅の危機に瀕することなるという潜在的脅威があるからです。

以下に、中国人民解放軍対日攻撃概念図をあげておきます。当然のことながら、核攻撃も含まれています。


さらには、最近の北朝鮮の頻繁なミサイル等の発射です。中国と北朝鮮の核兵器は日本を標的しているという事実があります。

次に、上院外交委員会全体が2013年に開いた「米国の対北朝鮮政策」と題する公聴会における「日本の核武装」論です。

この公聴会はタイトル通り、長距離弾道ミサイルの発射や核兵器の爆発の実験を断行し続ける北朝鮮に米国はどう対処すべきかが討議の主題でした。その流れの中で「日本の核武装」というテーマが再三再四、論じられたのです。

その論議の趣旨を最初に総括すると、以下のようになります。
米国は北朝鮮の核武装、特に核弾頭の長距離弾道ミサイルへの装備をなんとしてでも防ぐべきだ。だがこれまでの交渉も対話も圧力も制裁も効果がなかった。いまや北朝鮮の核武装を実際に非軍事的な手段で阻止できる力を持つのは中国だけである。
その中国がいま最も恐れるのは日本の核武装だ。だから日本の核武装というシナリオを中国に提示すれば、中国は北朝鮮の核武装を真剣になって止めるだろう。
その一方、北朝鮮が核兵器の保有国として国際的にも認知されるようになると、日本側で核武装への動きが起きかねない。米国政府は核拡散防止条約(NPT)の主唱者でもあり、日本の核兵器保有には反対だが、北の核武装が公然たる現実となった場合には、日本が核を持つ可能性も改めて米側で論議すべきだろう。
この時からすでに2年数ヶ月が過ぎ、北の核武装はまさに公然たる現実となっています。

第三に、以前にもこのブログに掲載した、バイデン副大統領によるヒラリー大統領候補に対する応援演説の中における発言内容です。これに関しては、以前このブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
<米国>バイデン副大統領「日本国憲法、米が書いた」―【私の論評】米国は場合によっては、日本の戦術核を容認する用意がある(゚д゚)!
8月15日にクリントン氏の応援演説をするバイデン副大統領
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部引用します。
バイデン氏はトランプ氏を「事実から学ぼうとしていない」と批判した上で、日本国憲法の話題に触れた。トランプ氏が今春、日本や韓国の核武装を容認する発言をしたことを念頭に置いたとみられ、「(トランプ氏は)学校で習わなかったのだろうか? 彼に(大統領として)核兵器発射コードを知る資格はない」とも非難し、会場は笑いに包まれた。 
バイデン氏は今年6月、米公共テレビ(PBS)のインタビューで、中国の習近平国家主席に対して北朝鮮の核開発阻止で協力を求める中で、「日本は事実上、一夜で核兵器を製造する能力がある」と伝えたことを明らかにしている。
・・・・・・・・・・・・・ 
中国が北朝鮮を懐柔することができずに、北朝鮮がこのまま核兵器の開発を続け、ICBMやSLBMの開発に成功して、米全土を核兵器の標的に収めることができるようになったとしたら、米国にとっては脅威ですし、そうなれば、米国としてもこれに対する備えをしなければなりません。 
これに対して、無論自らも備えるでしょうが、日本にも備えてもらえれば、より強固なものになります。米国からすれば、日本が米国も標的になるような核兵器ではなく、米国が標的にならないような短距離の核兵器を装備すれば、ベストでしょう。

さて、日本国憲法に関しては、バイデン副大統領が主張するように、事実上米国側が起草したものであることは周知の事実です。そうして、アメリカ議会は、すでに数年前から、日本憲法の改憲派が多数派になっています。
この記事では、おそらく米国は戦略核ではなく戦術核だけを容認することになるであろうことも指摘しました。

 第四に、日本に数万人単位のスパイを送り込んで、日本の情報に精通している中国は日本の核武装を懸念しているのは明らかです。

それについても、このブログで以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国人民解放軍内部文書「日本は2000発の核弾頭製造可能」―【私の論評】日本の核武装の意図は、それだけで外交カードになる(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくもとして、以下に一部を引用します。
 日本では原子力発電所の稼働によって、核兵器を製造するための原料であるウランやプルトニウムといった核物質を豊富に保有している。同時に、核兵器を持たない国のなかでは唯一、ウランの濃縮や使用済み燃料の再処理によるプルトニウムの製造技術といった、核兵器に転用可能な核物質を製造する一連の技術も保有する。それゆえ、日本は「2000発の核弾頭を製造できる」とし、それも「短期間で」と付け加えている。 
 さらに、文書は日本の核兵器製造をめぐる歴史的経緯や政治・経済動向、科学的な裏付け、日本の核武装正当化のための国際関係や領土問題に加え、日本の核武装を阻止するための中国の対応についても詳しく解説している。
この記事では、中国の海軍も、空軍も日本の自衛隊と比較すると実質的にかなり劣勢であり、唯一日本より優れているのは核武装のみであることを掲載しました。その中国からすれば、日本の核武装はかなりの脅威です。

日本の核武装は、中国、北朝鮮にとってかなりの脅威です。彼らからすれば、自分たちは核兵器を保有しているのに、日本は保有しておらず、米国の傘に守ってもらっている日本を見下し、オバマ大統領は、世界の警察官をやめることを宣言したので、最終的には自分たちの勝ちであると考えていたでしょう。

ところが、そこにきて、日本が核武装ということにでもなれば、彼らの核戦略どころか、国家戦略そのものが根底からくつがえされることになります。

これら4つの点から私は日本が核武装する日もそう遠くはないのではないかと思っています。

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2016年10月10日月曜日

豊洲6000億円の移転費用、実は都民の負担はナシ!?―【私の論評】移転と、意思決定の問題とを分けて考えられない人は緊縮脳の恐れが(゚д゚)!

豊洲6000億円の移転費用、実は都民の負担はナシ!?

いったい誰が払うのかというと…

豊洲市場の水産仲卸売り場(2015年10月)
 移転費用と捻出、その内訳

築地市場の豊洲移転に関して、当初4000億円とされていたはずが、すでに6000億円もの「巨額」の事業費が投入されていることが発覚し、話題になっている。さらにここにきて、小池都知事が移転延期を表明したため、費用はさらに膨らむという報道もある。

この莫大な額をいったい誰が払うのか。都民が負担を強いられることはないのだろうか。

'13年1月の段階では「4500億円」と試算されていた移転費用。もともとこれは「中央卸売市場会計」のこれまでの蓄えである余剰金から2400億円、国庫交付金から100億円を捻出し、残り2000億円は築地市場跡の売却の一部を充てるという算段だった。

ここで登場する「中央卸売市場会計」とは、築地市場を含めて11の中央卸売市場の決算をとりまとめているもの。「独立採算制」を原則として運営されていて、都の一般会計から独立したおカネとして扱われる。

その中央卸売市場会計の平成26年度決算を見ると、まずは収益のメインは市場利用者から徴収した施設使用料で、この総収益は約187億円に達する。ここから人件費、物件費などのコストを引いて計算すると、経常利益は約1億円の黒字となる。

次に貸借対照表を見てみると、保有する資産の総額は7705億円。対して負債は2676億円、資本金4261億円、剰余金は768億円。損益状況と財務状況に問題がないことがわかるが、一方であまりにも巨額の移転費用を単独で賄い切れるほどの「余裕」はないことも見えてくる。

 実は都民の負担はなし!?

築地市場の一コマ
それではやはり、6000億円に膨らんだ事業費を捻出するために「都民の追加負担」が必要になってくるかというと、実はそうでもない。

というのも、現在の計画では築地市場跡地の売却収入が2000億円しか組み込まれていないからだ。これは公示地価をもとに都が弾いた跡地の価値3500億円の一部にすぎない。

そもそも、一般的に公示地価は実勢価格より低くなる。また、最近の地価の上昇傾向も踏まえると、築地市場跡地の実勢価格は、5000億円以上とも言われている。つまりはこれで財源は賄えてしまう。

ちなみに、中央卸売市場会計には、都の一般会計から補助金19億円が、「営業外収益」のなかに投入されている。ただこれは中央卸売市場の事業拡充のための補填であって、税金を移転費用に回す目的で入れられているわけではない。

もっと言えば、この規模の補助金を貰っている事業は他にもある。例えば都営地下鉄や都バスも、同様に独立採算制を取っている。地下鉄は東京都交通局の高速電車事業会計、都バスは交通事業会計として扱われる。そして平成26年度決算を見ると、地下鉄には25億円、都バスには12億円の補助金が入っている。

豊洲移転では、様々な問題が世間を騒がせているが、経済面で見れば、「即刻移転」の選択肢がベストだ。今のうちに早く移転を完了させれば、都民の追加コストはない。ただし、延期すればするほど、業者の維持費用がかさんでいく。

老朽化した築地市場よりも、新しい豊洲市場のほうが清潔。だからその安全性を証明でき次第、一刻も早く移転させたほうがいい。

『週刊現代』2016年10月15・22日号より

【私の論評】豊洲移転と、意思決定の問題とを分けて考えられない人は緊縮脳の恐れが(゚д゚)!

上の記事、もっともだと思います。以前も豊洲市場については、盛り土が勝手に決められていたという都庁の意思決定の問題と、豊洲移転は全く別個に考えて、豊洲移転ははやめに実行すべきであることを掲載しました。

その記事のリンクを以下に掲載します。
豊洲盛り土問題の真相〜マスコミには高校化学の知識もないのか…―【私の論評】豊洲は安全、早期に移転しないと意味がなくなる(゚д゚)!
豊洲市場
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では、今や老朽化した築地市場よりも豊洲市場のほうがよほど安全であり、なるべく早期に移転すべきであると主張しました。

「盛り土」をしないで、ピットにした事自体については、危険でも何でもなく、むしろ良い発想であり、予定どおりに盛り土されていないということと、豊洲移転とを結びつけて、この問題が解決しないければ、豊洲移転もできないという考え方は、非常に奇異ですらあるといえます。

そうして、以前の別のブログ記事ではでは、「盛り土」しないという意思決定に関して他の事例を出して以下のような解説をしました。これは、地方自治体の意思決定のいい加減さの事例として出したものです。
それは、私が学生の時に、シンクタンクのバイトである人口10万程度の地方都市の新しい下水道の設置をするために積算をしているときに発覚しました。

私は概算を積算したのですが、どうしても市で算出した積算とは数値がかけ離れていました。私の概算のほうが何度計算しなおしても、大きい数字が出るのです。概算であっても数値にあまりの差がありました。これは自分が計算間違いをしているのかもしれないと思い、そのことをシンクタンクの主任研究員に報告したところ、概算そのものは間違いがないようなので、現地調査に行くことになりました。
しかし、その原因は現地調査をするまでもなく、その地方都市の市役所で調べたところすぐに判明しました。何と、その積算は、現在の当該市の人口が変わらぬものというか、そもそもそのようなことは全く考慮に入れず計算したものだったのです。

当時は、今と違って、その地方都市は宅地開発などが盛んで、人口が増えていました。下水道も当然のことながら、人口増を念頭に入れて積算しなければなりません。それをしないと、下水道のキャパシティが不足して、すぐに追加工事が必要となるという事態になったことでしょう。

そうして、驚いたことに、その計算をした人は、その年に高校を卒業したばかりの新人であったことが判明しました。その新人に単純に計算の仕方を教えて、でてきた計算結果について特に調べもせずに、土木課長が押印し、その上の上司の部長もこれも何も調べもせす押印していたのです。

土木課長とはいっても、たまたまそこに配置されて、土木の仕事をしているというわけで、専門家でも何でもないので、こういうことになったのかもしれません。地方自治体には、人材が不足しているので、こうなったのかもしれません。それなら、それなりのやり方というものがあると思うのですが、どうもそうはなっていないようです。 
私はこの時初めて市役所などの地方自治体の仕事は、結構いい加減なことを知ったわけです。そうして、私は他のシンクタンクでもバイトをしたのですが、そのときにも似たような話をいくつか聴きました。本当に、その当時は、それらのことに憤りを感じたものです。その憤りは今でも、感じます。積算間違いは一歩間違えば、事故を誘発します。 
このような傾向はおそらく、この地方都市だけに限らず、他の都市でもあったし、今でもあるのかもしれません。ただし、現在なら少子高齢化の傾向ですから、このようなことがあっても問題にはならないだけなのかもしれません。
地方自治体においては、このようなことは良くあることなのでしょう。結局、土木課長とか、さらにその上の部長の肩書を持つ人も、土木の専門家でも何でもないので、良くりかいできず、めくら判をおしていたということです。

そうして、東京都庁でも、同じようなことが行われていたのでしょう。東京都は、図体は大きいのですが、やはり地方自治体の悪い面が豊洲移転問題にも出てしまったのでしょう。

しかし、意思決定の手続きの問題と、豊洲の安全性や、移転などとはやはり分けるべきでしょう。移転はなるべくはやくすすめて、意思決定の手続きの問題はそれとは分けて徹底的に原因を究明し、二度と同じようなことが起こらないように、意思決定のシステムを構築しなおすべきでしょう。

意思決定の問題はなおざりはできないが・・・・・・
さて、この件については、意思決定とか安全性の問題のほかに、さらに根深いものがあるような気がします。

これは、オリンピックの問題に関して考えると、合点がいきます。様々な施設に関して、経費がかかり過ぎであることが問題になっています。

確かに、経費のかかりすぎは問題ですが、何やら最近では、国や都の財政でも、とにかく緊縮するのが絶対善であるかのような風潮です。このような人たちは、頭が緊縮にとりつかれて、脳が緊縮脳とでも形容すべき状態になっているのでないでしょうか。豊洲やオリンピックの問題に関しては、やはりこうした風潮が影響しているのではないかと思います。

とにかく、あまりにも長い間デフレが続いしまったため、家計においては何でも節約するのが善であり、それはデフレ防衛のためには、当然のことなのですが、国や都の財政にまで、それが当然というか絶対善であるかのような考えの人が多いです。特に、マスコミの報道ぶりにそのような考えがありありと透けて見えます。

マスコミや、国民が無自覚にデフレ政策を求めてるような風潮があります。 概算要求の記事などでも「もっと歳出をカットしろ」「借金するなバカ野郎」のような内容が飛び交うのが定番のようになっています。
 
需要不足のデフレ下で需要抑制策の緊縮財政を行ったら逆効果なのに、そんなこともわからない人が多いようです。無論、政府や都が際限なく公共工事を行なうといっても限界があり、その限界を超えてしまえば、公共工事の供給制約が発生してしまうとか、クラウディング・アウトが生じてしまう負の側面はあります。

しかし、バランスをとって実行すれば、それは悪いことではありません。さらに、緊縮の反対の積極財政の方法は他にも、減税や給付金などもあります。 にもかかわらず、未だに緊縮財政=絶対善、果ては金融引き締め=絶対善だと信じて疑わないようなマスコミや多くの国民が存在することに辟易とすることがあります。こういう人たちは、国や都の財政をあたかも個人の懐具合のように考えていて、国や都が大量の資金を投じて何かを行えば、そのお金は世の中からきえしまうと思い込んでいるのではないかとさえ、思ってしまうことがあります。 

国の借金という妄想に取り憑かれた、緊縮脳の人が未だに大勢いることが信じられません。以下に政府の連結バランスシートを掲載します。


このようなバランスシートをみると、したり顔で、確かに国は多くの資産を持っているが、その資産が売れなければ、意味がないなどと語る愚かな人もいます。しかし、日本国の資産の7割は金融資産です。これを真っ向から否定して、増税すべきなどという酷い緊縮脳の人も多いです。

これも、20年前くらいならメディアの偏向報道という言い訳にできたでしょうが、ネットが普及した今では、そうとばかりはいえなくなってきていると思います。日本にも、反緊縮サイトは結構あります。なのに多くの人は学ぼうともしないし知ろうとしもしなようです。既存大手メディアは、財務省や日銀などの発表を吟味することもなく垂れ流しデタラメなニュースを発信し、それを鵜呑みにしてしまう人が何と多いことか。

自分達の無知を棚上げして安倍自民党を批判してる姿に腹立たしさすら感じることがあります。 選挙を通じて緊縮財政派や半金融緩和派を国会に送り込んでるのは誰なのか、公共事業を批判してデフレを固定化させたいのは誰なのか。 世論調査で赤字国債発行に猛反対して政治家から選択肢を奪ってるのは誰なんだといいたいです。

豊洲の問題や、オリンピックの問題にしても、その背後に緊縮脳がかなり影響しているものと思います。

特に、安全性と意思決定の問題を全く分けて考えることができない人は、緊縮脳におかされている可能性が大だと思います。

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