科学界自らによる研究停止は異例。H5N1の研究をめぐっては、「生物テロに悪用される」との懸念から、両誌が河岡教授ら2チームの論文の掲載を見合わせる事態に発展。研究とテロ防止のあり方をめぐって、論争となっていた。
声明には、河岡教授や、もう一方の論文を書いたオランダ・エラスムス医療センターのほか、日本の国立感染症研究所の研究者などが名を連ねている。
声明は、ウイルス研究の必要性を訴えたうえで、「世界の研究機関と政府が最良の解決策を見いだす時間が必要」として、停止期間中に、テロ防止と科学者の情報共有を両立できる仕組みを協議するよう求めた。研究者の間では、「研究の規制だ」として、従来通りの研究を続けるよう主張する声も強かったが、今回の騒動を通じてウイルス流出を懸念する声が欧米などで強まり、停止に踏み切った。
【私の論評】Wikipediaも成功したように、注意を促すには、一時中止というのはかなり効果がある良い手段かも?
上記のニュースは比較的マイナーなのですが、これは、前例のないことだと思います。これだけの規模で、一時的にせよ、研究がストップすれば、かなりインパクトがあって、人々の注意を惹きつけることができます。実際テレビのニュースで見たときに、一体何事なのだろうとかなりひきつけられました。このようなことは、通常は、世界規模のカンファレンスなどで、識者や有名人が声明などを発表してそれでおしまいということになってしまうと思います。それだと、多くの人々の注意を惹きつけることは出来ません。
これに似たようなことは、つい最近も別の分野でありました。それは、あの電子百科事典のWikpediaの一日の運用停止です。(下はストライキを伝えるwikipediaの告知内容)
ここで、いかにwikipediaに一日ストライキをさせるほど、問題のあるSOPAの要点について整理しておきます。
映画やテレビ番組を制作するハリウッドは、海賊版のネット流通に長年悩まされ、過去数年に渡って米連邦議会に取締法の成立を働きかけてきた。今回は抜本的な防止策として、司法省による海外サイトを含む捜査権やドメイン・ネーム・サーバーからの削除など強固な内容を盛り込んだSOPA(Stop Online Piracy Act、H.R.3261)法案が連邦議会下院で審議されている。同様に、上院ではPIPA(PROTECT IP、S.968)法案が上程され、審議が進んでいる。
SOPA法案で問題となっているのは、
1)裁判所の許可を得て、米国司法省は海外にある違法コピーサイトの捜査をすることができる
2)裁判所の許可を得て、米司法長官はISPや広告ネット、決済機関に対し、違法サイトとの取引停止を命令できる
3)違法サイトを排除するため、ドメイン・サーバーへの干渉を認める
という3点に集約される。米国外の違法サイトに対して司法省が捜査をおこなうことは、法的な越境行為を伴い大きな問題を含む。
たとえば、日本にあるウェブサイトに対し「違法コピーの配布をおこなっている」と米司法省が判断し、同サイトのアドレスをドメイン・ネームサーバーから削除し、取引銀行(米国で営業している邦銀、決済事業者などを含む)に対して取引停止を強制することもできる。この場合、日本のウェブサイト運営者は、米国において裁判を起こし、その正当性を争うことになる。
一方、同社のストライキは「行き過ぎである」との批判もありました。ウィキペディアのユーザーが不便を被っただけでなく、同社ユーザーを人質にして問題の認知をはかった点を、SOPA推進派は厳しく糾弾しています。
しかし、同ストライキは24時間という限定的な行動であり、デメリットとメリットを比較した場合、同ストライキは法案阻止陣営にとってメリットが大きいものでした。
こうした反対活動の拡大により現在、ネット業界は勢いを増しています。オバマ大統領は、ホワイトハウスの技術スタッフ・レポートという形で同法案の問題点を指摘、反対姿勢を示しました。また、しかし、いまのところ、これが廃案になるかどうかは、わかりません。
GoogleもSOPAに関して、サイトで抗議(下の写真は、その抗議の内容)をしていましたが、とてもWikipediaには及ぶものではありませでした。他のサイトでなどでも、いろいろ訴えているところもありましたが、やはり、wikipediaが最も影響力があったと思います。
この二つの出来事には、他のサイトなどでもかなり詳細にわたって掲載されていますので、詳細はそちらをあたっていただきたいと思います。
それよりも、本日このブログで訴えたかったことは、この二つの一見異なる出来事の、類似点です。一方は、科学者らが研究をいっとき停止するというものであり、もう一つは、サイトが一日運用を停止するというものです。 本当に社会的に影響が大きくて、多くの人たちに知ってもらいたいことがある場合には、このようなことが非常に効果があるということです。
このようなことをいうと、すぐにストライキなどを思い浮かべる人もいると思いますが、上記の事柄は、労働争議などとは全く異なるものだと思います。なかなか、良いたとえは、思いつかないのですが、日本には、むかしからもっと奥ゆかしいものがありました。たとえは、酒断ちや、塩絶ちなどです。
酒断ちは、ある物事の成就を願って神仏に願(がん)をかけ、一定期間、または満願まで酒を飲まないことです。塩立ちは、神仏への祈願や病気治療のため、ある期間塩けのある物を食べないことです。イスラムでは、ラマダンといって、断食をすることもあります。ユダヤでは、安息日といって、その日は、一切労働をしません。これによって、神の存在を忘れないようにしているのです。
現代日本日本ではもっと軽いものもあります。たとえば、何かを成就するまでは、肉を食べないとか、コーヒーを飲まないとか・・・・・・。
しかし、このような習慣など、今の日本では、薄れてきたように思います。しかし、このようなことをすれば、wikipediaのようにかなり効果があるということです。人は、誘惑に弱いものです。何かやろうと思っても日々雑事にまみれているうちに、忘れてしまうものです。そんなことにならないために、古の人はこのような知恵をもっていたということです。
皆さんも、何か成就したいのになかなかできないことがあったら、何かを「絶って」みては、いかがでしょうか?きっと、ただ、何かをやろうと決心するだけよりは、かなり効果があると思います。そうして、何か社会的にに大きな影響がある場合、Wikipediaのようなやり方は、かなり効果があると思います。
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