2016年1月10日日曜日

海自哨戒機、南シナ海飛行拡大へ…中国をけん制―【私の論評】これは中国にとってはかなりの脅威、南シナ海の中国の艦船と潜水艦の動きが丸裸に(゚д゚)!

海自哨戒機、南シナ海飛行拡大へ…中国をけん制



防衛省・自衛隊は、アフリカ・ソマリア沖で海賊対処活動に参加したP3C哨戒機が日本に帰還する際の飛行ルートを見直し、フィリピンやベトナムなど南シナ海に面する国の基地を優先的に経由させる方針を固めた。

高度な監視能力を持つP3Cの飛行範囲が、中国が「領海」と主張する南シナ海で拡大する見通しだ。「上空飛行の自由」の保護にもつながり、米軍が中国の人工島周辺で実施している巡視活動を日本が独自に支援する活動といえる。

海上自衛隊のP3Cは、アフリカ・ソマリア沖での多国間の海賊対処活動に参加し、約3か月ごとに日本とアフリカを往復している。これまではシンガポールやタイなど南シナ海から比較的離れた基地を給油地に利用してきた。これを、往路は従来通りだが、復路についてベトナムやフィリピン、マレーシアなど南シナ海周辺の基地を優先的に利用するようにする。訪問先では防衛交流も進める予定だ。

【私の論評】これは中国にとってはかなりの脅威、南シナ海の中国の艦船と潜水艦の動きが丸裸に(゚д゚)!

このニュースあまり大きく日本ではあまり大きく報道されませんが、これは、いずれ日本の海上自衛隊が、南シナ海の中国の動き、特に艦船や潜水艦の監視を定期的に行うための前触れではないかと思います。中国にとっては大きな脅威だと思います。

これを予感させる出来事として、昨年は、海自のP3Cは、南シナ海でフイリピンと共同訓練を行っています。それに関連する記事を以下に掲載します。
海自P3C機、南シナ海上空を飛行 フィリピン軍と共同訓練 連携の強さ誇示
流氷観測に向かう海上自衛隊第2航空群の哨戒機P3C=青森県八戸市
 フィリピン軍との共同訓練のため同国西部パラワン島入りしている海上自衛隊のP3C哨戒機が23日、南シナ海上空での飛行を開始した。中国が岩礁埋め立てを進めるスプラトリー(中国名・南沙)諸島にも近い同島で自衛隊部隊が活動するのは初めてで、南シナ海の実効支配を強める中国に対し、存在感とフィリピンとの連携の強さを誇示する機会となった。 
 海自隊員14人とフィリピン軍の3人が乗り込んだP3Cは23日午前6時(日本時間同7時)すぎ、パラワン島を離陸。同島西80~180キロの南シナ海で実施される本番の訓練は24日の予定で、この日は周辺をフィリピン空軍機と一緒に飛行した。 
 海自鹿屋航空基地(鹿児島県鹿屋市)の第1航空群所属のP3Cと隊員約20人は、21日に現地入り。27日に帰国の途に就く。
この記事は、昨年6月23日のものです。

この対潜哨戒機あまりここ北海道とは関係のないものと思っていましたが、そんなこともはありません。昨日は以下のような記事が掲載されていました。
海上自衛隊P3C哨戒機、今冬初の流氷観測 
オホーツク海の流氷を観測する海自のP3C
 海上自衛隊第2航空群(青森県八戸市)は警戒中のP3C哨戒機が9日、オホーツク海上で、この冬初めて流氷を観測したと発表した。 
 流氷は北海道網走市から北へ約280キロの海上をゆっくり南下。大きさは幅約5キロの帯状で、薄く南北方向に広がっているという。 
 昨冬の初観測は12月31日だったが例年、1月上旬に観測され、今年も平年並みという。 
 札幌気象台によると、オホーツク海沿岸から肉眼で見える「流氷初日」は平年並みの今月中旬になりそうだという。
このオホーツク海の海自PC3の流氷観測は、おそらく冷戦時代の旧ソ連に対する対潜哨戒活動の名残であると思われます。

もちろん、P3Cの役割は流氷観測や海賊の監視だけではない。「対潜哨戒」つまり、日本周辺海域を航行する潜水艦の警戒・監視が主要な任務です。

これに関しては、昨年5月8日に産経ニュースが以下のような記事を掲載しています。
【メガプレミアム】哨戒機P3C 職人芸で敵潜水艦を追い詰める「世界一いやらしい部隊」
海上自衛隊第2航空群所属の哨戒機P3Cの機窓
から見える別のP3C=3月4日、青森県八戸市
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、実際にP3Cがどのようなことをしているのか、海自の対潜哨戒活動の凄さを示す部分を以下に掲載します。

捜索用レーダー、熱源を探知する赤外線暗視装置、鉄の塊である潜水艦が航行することで生じる磁場の乱れをつかむ磁気探知機(MAD)、敵が発する電波を手がかりに位置を特定する電波探知装置(ESM)、そして海中に投下し潜水艦のスクリュー音をとらえる音響探知機(ソノブイ)。ハイテク機器を駆使して敵潜水艦を追い詰めるP3Cだが、海自関係者は「最後は人間の目がものを言う」と口をそろえる。
訓練では海自の潜水艦が“敵”としてP3C部隊と攻防戦を繰り広げる。ある海自の潜水艦乗組員は「日本のP3C部隊は世界一いやらしい部隊だ。米国の部隊と比べても、逃げるのが難しい」と明かす。P3Cパイロットは「一度発見した潜水艦を見失うなんてことがあれば、恥ずかしくて基地に帰れなくなる」と語り、こう続ける。 
「レーダーや音響のデータを分析して敵潜水艦を見分ける技術は職人芸のように徒弟制度で伝えられる。こういう分野は日本人が得意とするところだ」 
P3C部隊は2人のパイロットのほか、警戒・監視に必要な情報を集約して指示を出す戦術航空士(TACCO)、音響やレーダーなどを分析する対潜員ら11人で構成される。このチームワークで敵潜水艦を捜索し、追い詰め、有事となれば攻撃するのだ。 
流氷観測を行う第2航空群の担当地域は日本海北部や北海道周辺海域。冷戦時代は旧ソ連海軍の動向を探る最前線と位置付けられていた。近年になって再びロシア海軍の動きが活発になっているとはいえ、冷戦後の焦点は中国が海洋進出を進める南西方面に移っている。
東シナ海南部をカバーする第5航空群(那覇航空基地)には全国各地のP3C部隊がローテーションで応援に駆け付けている。第2航空群も例外ではない。ある隊員は「しょっちゅう沖縄に行っているので、沖縄土産を買って帰っても家族があまり喜ばなくなった」と苦笑する。 
“出張先”は沖縄だけではない。P3C部隊はアフリカ東部ソマリア沖・アデン湾で海賊対処活動も行っており、これも各航空群が順番で派遣される。北方海域の警戒・監視、流氷観測、沖縄派遣、海賊対処活動。これに遭難船舶の救助活動も加わる。 
海自はP3Cの後継機として最新鋭国産哨戒機P1の導入を進めているが、約70機の入れ替えが完了するまでは四方の海に目を光らせ、耳を澄まして敵の動向を探ることになる。
昨年の観艦式に初参加した最新鋭の国産哨戒機「P1」。
「IRフレア」と呼ばれる防御装置を発射。昨年10月18日
旧ソ連に対する対潜哨戒活動は、当時アメリカからの依頼で始められたものです。この哨戒活動に関しては、当時日本への依頼を担当した当事者の人が、数年前にテレビでこのときのことを振り返って「日本には憲法9条もあることだし、安全保障に関して他国と比較すれば、制限があることから、依頼はしてみたものの、まさか本当に実現するとは思っていなかった」と述懐していました。

アメリカ側も、日本がこの哨戒活動を本当に実行し、しかもかなり大規模に実行し、その活動も世界トップレベルにまで上達させるとは思っていなかったようです。

しかし、日本の対潜哨戒能力は冷戦の間にかなり上達し、事実上世界のトップレベルになりました。

ソ連の原潜等に対する日本の海自の長期にわたる対潜哨戒活動は、様々なノウハウを海自にもたらし、今日に至っています。このようなトップの世界一の能力を持つ日本の海自にとって、ソマリアの海賊の監視など本当に朝飯前というところでしょう。

確かに、数年前までは、ソマリア沖の海賊に関してはかなり危険であるとされていましたが、最近はほとんど耳にしなくなりました。実際、ほとんど海自に事前に察知されるので、海賊活動などなかなかできなくなっているのだと思います。

この海自が南シナ海の対潜哨戒活動に参加するということになれば、中国にとってはかなりの脅威です。南シナ海における、戦闘艦、輸送艦、潜水艦、航空機その他の動きが詳細まで丸裸にされ、海自によって把握され、米国や周辺国に逐一知らされることになります。

中国の原潜も、海自の対潜哨戒活動で丸裸にされる
特に中国の潜水艦は、工作技術がかなり劣っているので、その水中での推進は、まるでドラム缶を目一杯ハンマーか何かを叩きながら、すすむような音がするので、日本の海自の対潜哨戒能力からすれば、簡単に把握することができます。

中国が何か不穏な動きを見せれば、今度は間髪を入れずにすぐに妨害されることになります。日本としても、せっかく情報を提供しても、米国あたりが何も行動をしなければ、厳しく詰め寄るべきです。

そうして、このようなことは、冷戦時代の日本が過去旧ソ連に対して実行したように、確実に南シナ海や、東シナ海でも実行できることでしょう。

戦争や武装などにアレルギーの強い日本ですが、なぜか、このような監視活動に関しては、過去の冷戦においては日本でもあまり多くの国民違和感なく受け入れられました。南シナ海や東シナ海の監視活動もそうなることでしょう。

これによって、日本は日本のライフ・ラインを自らの手で守ることも可能です。私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2016年1月9日土曜日

【移民ショック】ドイツ女性集団わいせつ、容疑者18人が難民申請者…メルケル首相の寛容策に逆風「駅前の秩序も保てず」―【私の論評】移民・難民問題は対岸の火事ではない、「事なかれ主義」で臭いものに蓋ではもう通用しない(゚д゚)!

【移民ショック】ドイツ女性集団わいせつ、容疑者18人が難民申請者…メルケル首相の寛容策に逆風「駅前の秩序も保てず」

大晦日ドイツで騒ぐ移民ら
 ドイツ西部ケルンで昨年の大みそかに多くの女性が移民系とされる男の集団に襲われる事件が起き、容疑者に難民申請者が含まれていることが8日、判明した。メルケル首相の寛容な難民・移民の受け入れを支持してきた世論を悪化させかねず、政策見直しの圧力が高まる可能性がある。

事件は昨年12月31日夜、ケルン中央駅前に酔って集まった男ら約1千人が騒いだ後、一部が複数のグループをつくり、通りかかった女性を次々と包囲。金品を奪ったり、性的いやがらせを行ったりした。被害届は8日までに約170件に上り、このうち約4分の3が性犯罪だった。

被害者らは、男らの多くが「アラブや北アフリカ系」と証言。連邦警察は8日、窃盗や傷害罪で容疑者31人を特定し、2人が独国籍を持つほかは大半が北アフリカや中東の出身で、このうち18人が難民申請者だったと発表した。

事件への衝撃は大きく、メルケル氏は出自に関係なく厳正な対処を指示した上で、「法秩序を守る気がない者にはシグナルを送る必要がある」と強調した。与党内では難民を含め犯罪を行った外国人の国外退去の強化や保護申請資格の剥奪を検討。ケルンの警察トップも事件への対応が不適切だったとして解任された。

ドイツでは昨年流入した難民・移民が予想の80万人を超える約110万人に上った。移民・難民に批判的な新興政党「ドイツのための選択肢」は、事件が「制御できない流入の結果」と批判。極右などが反移民感情をあおるために事件を利用する恐れもある。

国内では以前の難民歓迎ムードがしぼんできており、世論調査では与党の一部が求める流入制限を回答者の約6割が支持。南ドイツ新聞は「人々は首相が駅前の秩序も保てないことに疑問を抱き始めている」とし、事件でメルケル氏の寛容姿勢への支持が一段と低下することを懸念した。

【私の論評】移民・難民問題は対岸の火事ではない、「事なかれ主義」で臭いものに蓋ではもう通用しない(゚д゚)!

このような騒ぎは、ケルンに限らず、ドイツの他の地方でも起こっていました。このようにケルンのことが報道されたのは、規模が大きかったからに過ぎません。

この騒ぎに関しては、日本のメディアは事実を淡々と報道するだけですが、その背景についてドイツ在住の川口マーン惠美さんが以下のような記事を現代ビジネスに寄稿しています。
ドイツの「集団性犯罪」被害届は100件超!それでもなぜメディアは沈黙し続けたのか?

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、ドイツのメディアがなぜ、「集団的性犯罪」に関して沈黙を続けたというその内容と背景について以下に引用させていただきます。

まずは、事件の規模ですが、ブログ冒頭の記事にはあまり報道されていませんが、かなりの規模だったようです。その部分を以下に引用します。
大晦日の深夜、ケルンの中央駅周辺で、1000人以上の若い男性が暴徒と化し、大勢で若い女性を囲んでは、性的嫌がらせ、暴行、そして貴重品やスマホの強奪に及んだ。性的嫌がらせに関しては、触るなどという域は越え、スカートや下着を剥ぎ取るなど、常軌を逸した蛮行が多発したという。強姦の被害届も出ている。 
ケルンは人口が約100万人で、ドイツで4番目の大都市だ。中央駅のすぐ横には、有名な大聖堂が聳え立っている。 
6日の時点で被害届は100件を超えた。被害者の女性の証言では、加害者はドイツ語を話さず、アラブ、もしくは北アフリカ出身と思われる容貌の若い男性で、ほとんどが酒に酔った状態だった。しかも、婦人警官までが囲まれ、いたずらされたケースが報じられているところを見ると、暴徒のあまりの数に警察が対応しきれなかった様子が伺える。 
ヨーロッパの大晦日というのは、多くの若者が街に繰り出して、カウントダウンの大騒ぎをし、零時には打ち上げ花火をあげてニューイヤーを祝う。打ち上げ花火は危険なものも多いので、ドイツでは昔から、1年のうち12月の29日、30日、31日の3日間しか販売が許可されていない。ところがこの日のケルンでは、それが駅前広場に集まっていた群衆を狙って打ち込まれ、火傷などの怪我人も出たという。
ブログ冒頭の記事では、いわゆる「わいせつ」容疑ばかりが強調されていますが、その前に暴動に近いような騒ぎがあって、その騒ぎの一環として「わいせつ行為」があったようです。

以下にこのような暴動紛いの騒ぎについて、警察の発表や、報道機関の報道が及び腰であったことについても以下に引用させていただきます。
しかし、私が絶対におかしいと思うのは、なぜ、この事件が、4日の夜になって、初めて全国報道されたのかということだ。ケルンの知人に確認したところ、2日も3日も、地元の新聞にも載らなかったという。そして4日以降、その沈黙の理由に触れた報道も、私の調べた限り一つもない。 
おかしいことはまだある。たとえば第1テレビのオンライン版では、普段ならニュースの末尾に読者のコメントが掲載されるのに、この事件に限って、コメント欄が影も形もない。 
さらに調べてみると、ケルニッシェ・ルントシャウという新聞のオンライン版に、1月1日にすでに事件の詳細が載っていたことがわかった。それによれば、午前1時ごろ、パニックに陥った人々が線路に逃れ、列車の運行が一時停止したという。 
なのに、翌日、警察は、この夜は「広範囲にわたって平安」であったと発表したということが、かなり皮肉っぽく描かれている。 
「警察の出動回数は、傷害(80回)、騒乱(76回)、器物破損(20回)で、その数は去年のレベルと同程度。消防だけが出動回数867回で、去年よりも多かった」 
消防の出動はあちこちで起こった放火によるものだ。 
警察の「事なかれ主義」的発表はかなり不自然だ。案の定、これらが明るみに出て以来、ケルン警察は集中砲火を浴びており、6日には署長の辞職問題にまで発展している。

以下にはケルンの事件は起こるべくして起こったという内容を掲載させていただきます。
5日には、次々と後続の情報が出てきた。ケルンで起こったことは、実はシュトゥットガルトやハンブルクでも起こっていたらしい。 
若い独身男性がこれだけ増えると、セクシャルな問題が起こるという懸念も、すでに以前から指摘されていた。 
犯罪学の学者の間には、現実問題として、性犯罪を警告している人たちがいたのだ。彼らに言わせれば、ケルンの事件は起こるべくして起きたのである。 
ただ、これまでのドイツの報道の流れでは、難民は「絶対善」として扱われていた。だから、今回の事件の犯人が難民では、とても都合が悪い。ドイツのメディアはかなりの左派だ。ちなみに、政治記者の支持政党で一番多いのが緑の党だという。当然のことながら、今では、緑の党とメディアがメルケル首相の難民政策の支援者である。 
つまり、大晦日の暴動事件がすぐに報道されなかったのは、首相府からの報道規制が掛かったからというより、今まで難民受け入れを崇高なこととして扱っていたメディアのシナリオに、それが合致しなかったからではないか
ドイツ西部ケルンのケルン大聖堂前に置かれた、
「女性を殴ってはいけない。たとえ凶器が花
だったとしても」と書かれた紙と花 1月7日

さて、このような出来事は、ドイツだけではありませんでした。その内容を以下に掲載します。
大みそかの性犯罪、スイスやフィンランドでも 難民申請者が計画か 
スイス警察は7日、同国チューリヒ(Zurich)で昨年の大みそかに強盗や性的暴行の被害を受けたとの届け出が複数の女性から寄せられたと発表した。使われた手口は、ドイツで同日に多発した女性暴行事件と「やや似ている」という。また、フィンランドでも大みそかに女性への性的嫌がらせが相次いで発生していたことも明らかになった。 
 スイス警察によると、チューリヒでは女性6人が「浅黒い肌の男数人」に囲まれ、所持品を奪われて痴漢行為や性的暴行を受けたと訴えている。これほどの人数が被害を受けるのは、スイスでは異例という。 
 警察の声明は、大みそかにドイツの複数の市で起きた一連の性犯罪事件に触れている。また、AFPの取材に応じたチューリヒ警察関係者は、ドイツの事件と「やや似ている」と語った。 
 ドイツでは、西部ケルン(Cologne)だけで強盗や性犯罪など120件以上の被害届が出されており、その中にはお祭り騒ぎの群集の中の女性を狙い一斉に犯行に及んだとみられる、2件の性的暴行事件も含まれている。地元警察は目撃者の話として、「アラブ系の外見をした」20~30人の若い男が女性らを取り囲み犯行に及んだ疑いがあると発表している。 
 またフィンランド警察も7日、同国の首都ヘルシンキ(Helsinki)で大みそかに異常に多い件数の性的嫌がらせがあったと発表。事件前に、難民申請者の集団による女性への性的嫌がらせの計画に関する情報が寄せられていたことを明らかにした。 
 ヘルシンキでは、主にイラクからの難民申請者約1000人が集まっていた中央駅で、3件の性的暴行事件が起きたとされる。同市警察幹部はAFPの取材に対し、「容疑者らは難民申請者で、3人が現場で拘束された」と述べた。 
 警察は声明で、「大みそかに先立ち、警察は首都地域の難民申請者らが、ケルンの鉄道駅に集まった男たちが計画していたと伝えられているものと同様の計画を立てているとの情報が、警察に寄せられた」と述べている。 
 ただヘルシンキ警察幹部は、警察は同市の事件とケルンの事件との関連はないとみていると語っている。
さて、計画的かどうかは、まだわかりませんが、結果としてこのような事件が起こってまったことは残念なことです。

こうしたことをきっかけに、EUでも移民受け入れ政策も変更せざるを得なくなるかもしれません。

それにしても、移民・難民問題を対岸の火事のように思っている日本人が多いのには驚かされることがあります。

上の記事のように、ドイツでは、報道機関が、難民のおこした事件に関する報道に及び腰であったように、日本の報道機関も日本の移民・難民問題にはかなり及び腰です。ある意味、ドイツのマスコミよりも酷いかもしれません。

日本には、厳然として難民・移民問題があります。日本の移民・難民とは在日朝鮮人です。最近では、中国人もかなり多くなっています。これを日本のマスコミは、なぜか、難民・移民などとは、報道しません。だから、多くの日本人はこれを難民・移民問題だとは気づきもしないようです。しかし、現在の在日朝鮮人・韓国人のかなりの部分が、難民もしくは移民そうして、その子孫であることは明白な事実です。

これについては、このブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
朝日新聞も伝えた半島出身炭鉱労働者への厚遇 「ものすごい稼ぎ高」「特別の優遇設備はまるで旅館」―【私の論評】歴史的事実が証す、強制連行の虚偽(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では日本が戦前・戦中などに多数の朝鮮人を日本に強行したというのは、虚妄に過ぎないことを掲載し、その査証として、朝日新聞の記事をとりあげました。その記事に関する部分を以下に掲載します。

"
人の記憶とはあいまいなものですし、それに簡単に捏造されます。実際、韓国人もとんでもない過去の虚偽の歴史を証言している例があまたあります。それよりも、当時の文書とか、写真とか、実際に使われていた遺品であるとか、そちらのほうがはるかに歴史の証言として役立ちます。

朝鮮人、強制労働の虚妄は以下の新聞記事でも、明らかだと思います。

大半、自由意思で居住。外務省、在日朝鮮人で
戦時徴用は245人(1959年7月13日 朝日新聞)
クリックすると拡大します
終戦直後直後、在日朝鮮人の北朝鮮帰還をめぐって韓国側などで「在日朝鮮人の大半は戦時中に日本政府が強制労働をさせるためにつれてきたもので、いまでは不要になったため送還するのだ」との趣旨の中傷を行っていたのに対し、当時外務省は、「在日朝鮮人の引揚に関するいきさつ」について発表しています。

これによれば在日朝鮮人の総数は約61万人ですが、このうち戦時中に徴用労務者として日本に来た者は245人にすぎないとされています。 

主な内容は次の通りです。 
一、戦前(昭和14年に日本内地に住んでいた朝鮮人は約100万人で、終戦直前(昭和20年)には約200万人となった。 
増加した100万人のうち、70万人は自分から進んで内地に職を求めてきた個別渡航者と、その間の出生によるものである。 
残りの30万人は大部分、工鉱業、土木事業の募集に応じてきたもので、戦時中の国民徴用令による徴用労務者はごく少数である。 
また、国民徴用令は日本内地では昭和14年7月に実施されたが、朝鮮への適用はさしひかえ、昭和19年9月に実施されており、朝鮮人徴用労務者が導入されたのは、翌年3月の下関-釜山間の運航が止るまでのわずか7ヶ月間だった。 
一、終戦後、昭和20年8月から翌年3月まで、希望者が政府の配給、個別引揚げで合計140万人が帰還したほか、北朝鮮へは昭和21年3月、連合国の指令に基づく北朝鮮引揚計画で350人が帰還するなど、終戦時までに在日していたもののうち75%が帰還している。 
戦時中に来日した労務者、復員軍人、軍属などは日本内地になじみが薄いため終戦後、残留した者はごく少数である。 
現在、登録されている在日朝鮮人は総計約61万人で、関係各省で来日の事情を調査した結果、 戦時中に徴用労務者としてきた者は245人にすぎず、現在、日本に居住している者は犯罪者を除き、自由意思によって在留したものである。
(1959年7月13日 朝日新聞)
"

この記事によれば、1959年当時の在日朝鮮人の数は61万人にものぼりますが、 戦時中に徴用労務者としてきた者は245人にすぎず、現在、日本に居住している者は犯罪者を除き、自由意思によって在留したものとしています。

であれば、61万人から245人を引いた残りの在日朝鮮人は、何者かということになります。それは、自由意志で日本に来て、住み着いた朝鮮人とその子孫ということになります。

では、この60万にものぼる人たちのうち、多くの人が本当は難民・移民であると考えるべきです。そうではない人もいるかもしれませんが、実際経済やその他の理由(政治的理由なども含む)で、北朝鮮や韓国からやむを得ず脱出して、日本に定住するようになった人がいるはずです。これは、移民・難民と呼ぶのがふさわしいです。

しかし、この朝日新聞の記事もそうですが、なぜか日本の新聞は、昔から在日朝鮮人を難民・移民と呼んだことがありません。それは、新聞だけではなく、政府もそうです。本来なら、政府も在日朝鮮人の統計をとつて、難民・移民などの数を明らかにすべきだったでしょう。

しかし、警察も報道機関も、ドイツのように「事なかれ主義」で、それを明確にしてきませんでした。だからこそ、実際には本当は日本も難民・移民を多数受け入れているにもかかかわらず、それは全く問題視もされてきませんでしたし、多くの国民の関心外の問題でした。

日本に中長期在留する外国籍者のうち、2007年に中国人に逆転されるまで最大勢力だった韓国・朝鮮人。このうち戦前・戦後の混乱期に日本に渡って定住した人とその子孫、いわゆる「在日」と呼ばれる人たちは、かつて60万人を超えましたが、現在は約36万人にまで減っています。

日本の法務省の在日外国人統計調査の内容によれば、2014年12月末の時点で在日華人は64万8980人となり、国別トップとなりました。

在日華人のうち女性は37.71万人、男性は27.19万人。女性の方が男性よりも10万人近く多いです。都道府県別では東京が最も多く、16.44万人が住んでいます。

在日華人の省別データは以下のようなものです。

遼寧省 10.51万人 15.58%
黒龍江省 7.78万人 11.53%
福建省 6.4万人 9.48%
吉林省 5.69万人 8.43%

このデータから推測するに、やはり中心部ではなく、中国でも地方のほうの出身の在日華人が多いようで、これは経済的な理由によるものが多いのではないかと思います。それに、無論のこと、政治的理由もあるものと思います。

やはり、この中には普通の国だと、難民・移民認定をするような人たちも多数含まれているのでしょうが、それは明らかにされていません。

政府としては、難民・移民として発表すると、それなりの手を打たなければならないとか、朝鮮や中国など、日本の生活保護以下の生活をしている人などざらにいますから、下手に難民・移民認定などすると、そういう人たちが大挙して日本に押し寄せる危険もあると判断して、意図的にそうしているのかもしれません。

しかし、現実には、実質的に北朝鮮や、韓国、それに中国からの移民・難民も大勢いるわけですから、いつまでも、ドイツの警察やマスコミのように「事なかれ主義」でいるわけいもいかないと思います。

そうして、実際ドイツでの難民の今回の事件のように、様々な軋轢があるのも事実です。それについても、以前のこのブログに掲載したことがあります。
パリ同時多発テロの根底にある100年の歴史―【私の論評】本当の歴史を知らなければ、今の世界も日本国内の難民・移民問題も見えなくなる(゚д゚)!
同時多発テロがあったレストラン前に集まり、ろうそくに火をともす市民ら
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、移民・難民というと、アフリカや中東などを思い浮かべがちな多くの日本人ですが、日本来る韓国人・中国人の多くも実質移民・難民であり、これが他国で様々な軋轢を生んでいるように、日本国内でも様々な問題や軋轢を生んでいることを掲載しています。

中国、韓国といえば、経済がかなり悪化しています。そうして、これは構造的なものであり、これから長期にわたって、かなり低迷しそうです。そうなると、いわゆる経済難民が中国や韓国から大挙して日本におしかけるという状況も考えられます。

日本にとっても、移民・難民問題はもはや対岸の火事ではないのです。

マスコミもこの問題に「事なかれ主義」で臨むのはもうやめるべきです。そうして、政府も野党も、この問題を真摯に考えるべきです。

今まで、日本は難民・移民をどの程度受け入れてきたのか、これからも受け入れるのか、受け入れるとすれば、どのような対策をするのか、はどうするのかなど、考慮すべき問題は多くあります。

特に、最近増えている中国から移民・難民は、安全保障上の脅威となりえます。なにしろ、中国は2010年より、国家総動員法という法律を施工しています。

この法律は、「中国国内で有事が発生した際に、全国人民代表大会常務委員会の決定の下、動員令が発令される。国防義務の対象者は、18歳から60歳の男性と18歳から55歳の女性で、中国国外に住む中国人も対象となる」というもので、中国国内で有事が発生した場合、当然のことながら、中国籍の在日華人もその対象となります。

また、韓国については、このような物騒な法律はないものの、韓国人は子供の頃から徹底した、組織的・体系的な反日教育を受けています。その韓国人が新たに大量に移民・難民として日本に入ってきたら、とんでもないことになりそうです。

私としては、ドイツなどの事例を見ていると、 安全保障上の観点からなるべく受け入れない方向で、受け入れるにしても、少数で反日分子は絶対に入れないとか、上限をはきり決めるとかすべきものと思います。

上限を決めたら、それを超えた部分は強制送還するとか、水際で止めるとか、その方法も今から考えておくべきです。大量に密入国でもされるようになれば、手遅れです。

いずれにせよ、移民・難民問題はもはや日本にとっても、対岸の火事ではありません。「事なかれ主義」で臭いものに蓋では、どうにもならない状況になりつつあるのは確かです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2016年1月8日金曜日

中国当局が銀行のドル買い制限、一部取引拠点で=関係筋―【私の論評】さらに資本流失が加速した中国!今年はデット・デフレ元年になる(゚д゚)!

中国当局が銀行のドル買い制限、一部取引拠点で=関係筋

関係筋によると中国の国家外為管理局は今月、一部の取引拠点の銀行に対しドル買いの制限を指示

関係筋によると、中国の国家外為管理局は今月、一部の輸出入拠点の銀行に対し、ドル買いの制限を指示した。

資本流出に歯止めをかけることが狙いとみられる。

深センなど一部の取引拠点にあるすべての銀行に指示が出されたという。

複数の関係筋が匿名を条件に8日明らかにした。国家外為管理局のコメントはとれていない。

外資系銀行の外為部門のあるシニアバンカーは「一種の規制であり、影響はある。ただ、それほど厳しい制約ではなく、制限の期間を延長しない限りは、通年の取引量が変わることはないだろう」と指摘。「目的は今月のパニック買いに歯止めをかけることだけだ」と述べた。

関係筋によると、拠点の一つでは、1月に銀行が顧客に売るドルの合計額は昨年12月の水準を超えてはならない。

関係筋の1人は「(当局が)購入額を制限するよう求めてきた。ターゲットもある」とした上で、「主に対象となるのは企業などで、個人に関する政策には変更はない」と述べた。

市場では昨年の元切り下げ以降、オンショア市場とオフショア市場の人民元の価格差が広がっており、当局が資本流出の抑制に乗り出している。

関係筋によると、中国人民銀行(中央銀行)は昨年末、ドイツ銀行、DBS、スタンダード・チャータードに対し、一部外為業務の停止を命じた。

【私の論評】さらに資本流失が加速した中国!今年はデット・デフレ元年になる(゚д゚)!

中国 国家外為管理局
上の記事、多くのマスコミはほんど報道していませんが、中国経済の危機の現れの一つであり、見過ごすわけにはいかないので敢えて掲載させていただきました。

上の記事では、「一種の規制であり、影響はある。ただ、それほど厳しい制約ではなく、制限の期間を延長しない限りは、通年の取引量が変わることはないだろう」と指摘。「目的は今月のパニック買いに歯止めをかけることだけだ」と述べたとあります。

しかし、12月実績を上限に設定するというのですから、 支払いや外貨建て債務の支払は一定ではないわけですし、 外貨建て債券の償還にはドルが必要で償還はそれぞれ債券の発行日により異なるわけです。設備投資なども同様です。

 例えばある企業が、昨年1月発行のドル建て一年もの債券 償還したくでも、銀行がドルを売ってくれないということもあり得るわけです。さらに、外資系企業は通常決算に合わせ母国に資金を送るわけですが、これも出来企業もでてくると思います。

このような規制を入れたことにより、企業は、外貨を国内に持ち込まず海外に貯めこむことになるでしょう。 そうなったとすると、国家外為管理局の思惑は外れ、さらに外貨が失われる一方になる可能性が高いと思います。また、さらに地下銀行の利用がさかんになることでしょう。

このような他国では考えられない、恥も外聞もないような行動をとるということは、もはや中国では、一見合理的であり、良さそうにも見えた、自由経済と計画経済のいいとこ取りでもある国家資本主義体制 が破綻しつつあるとみるべきです。

こんなことをばかりしていれば、さらにリスクが高まり、市場に嫌われ、中国はさらに投資対象にならなくなると思います。実際、もうそうなっています。

このようなことを繰り返していれば、ますます海外への資本流出に歯止めがかからなくなります。このブロクでは、過去にも中国の資金流出が激化していることを掲載しました。

その記事のURLを以下に掲載します。
【お金は知っている】中国金融市場の自壊は変えようがない 外貨準備は「張り子の虎」―【私の論評】馬鹿の一つ覚えの経済政策が、今日の危機を招き後は崩壊するだけ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事は昨年9月11日のものですが、この時点でも、中国からの海外への資本流出は深刻でした。その事実を示すグラフのこの記事から以下に引用します。


このグラフをみてもわかるように、一昨年12月の時点では、資金流出はマイナスになっていました。昨年は、そのマイナス幅がどんどん伸びていました。この傾向はその後も続いています。

中国政府の外貨準備も、底をついたどころか昨年からマイナスになっています。このような状況のため、政府としても自らが、ドル獲得に躍起となっており、中国企業や、外資系企業に多少の不都合がでても、資金流失に一定の歯止めをかけるため、一部の輸出入拠点の銀行に対し、ドル買いの制限を指示したとみられます。

それでも、上記で述べたように、この措置はほんの一時のもので、資金流出の流れは留まることはないでしょう。どんどん資金が流出して、その果てには酷いデフレになることが考えられます。

実際、中国はまもなく酷いデフレに見舞われることになることでしょう。それも、深刻なデッド・デフレーションに見舞われることになります。

デット・デフレーションの理論を示すチャート

デット・デフレーションとは、企業などが抱える過剰な債務(debt)が原因となって経済が目詰まりを起こし、不況が拡がっていく現象を指したものです。消費や輸出と異なり、投資の拡大は債務の拡大と不可分です。特に中国のような投資への依存度が高い経済では、資産価格の下落などによって債務の返済が焦げ付いてしまうリスクを常に抱えているといってよいです。

経済がいったんデット・デフレーションに陥ると、まず、物価の下落などによって資産価値や投資プロジェクトの収益性が徐々に下落し、企業の債務返済が次第に困難になるため、新規の投資を控えたり、従業員をリストラしたりするようになります。この状態が長引くと「デフレの罠」、つまり企業や金融機関の連鎖的な倒産が生じ、さらに不況が深刻化する状況に陥ることになります。

このようなデット・デフレーションは1990年代のバブル崩壊後の日本経済や、サブプライムローン破たんやリーマンショック後のアメリカ経済など、20世紀末に資本が国境を越えて自由に移動するようになって以来頻繁に観察されるようになりました。しかもデット・デフレーションが深刻化した経済はかなりの長期間にわたって成長率の低下に悩まされることが多く、非常に厄介な「病」といってよいです。

日本のデット・デフレーションは日銀の金融政策の間違いによるものでした。もし、15年ほど前に、2013年に黒田体制になった日銀が行った異次元の包括的金融緩和を行ったとしたら、日本は長期にわたるデット・デフレーションに見舞われることもなく、その後も少しずつではありますが、経済成長したと思います。

しかし、中国のデット・デフレーションは金融緩和をすれば、それで単純に解消されるという性質のものではありません。背後には、構造的な問題があります。その構造的問題とは、中国経済は、投資への依存度が過度高い経済であり、さらに個人消費はGDPの35%を占めるに過ぎないというものです。

特に個人消費に関してはあまりに低すぎます。これは、日本など普通の先進国だと60%台です。米国は、70%台です。個人消費が経済の多くを支えているのが普通の姿であり、中国は異常です。投資、それも海外から投資にかなり依存する経済はこれからは、成り立ちません。これを変えないかぎり、中国のデット・デフレは長期にわたって続くことになります。

さて、中国のデット・デフレーションに関しては、詳細を述べると、長くなるので、本日はこのくらいにとどめておきます。いずれまた、改めて、詳細を掲載します。

今のところ中国のデット・デフレーションに関しては、日本ではあまり報道されていません。現状では、中国の経済が低迷しつつあるとの報道がまだメインです。しかし、今年中には、デット・デフレという言葉を遣うかどうかは別にして、これがマスコミを賑わすようになることは間違いないと思います。

そうなれば、爆買いブームも終焉すると思います。ただし、デッド・デフレと爆買いストップの間には、若干のタイム・ラグがあるというのも事実です。

日本にもタイム・ラグの顕著な例がありました。そうです。あのバブル期に設立されたと、勘違いされているジュリアナ東京です。実はジュリアナ東京は、バブル崩壊直後に設立されたものです。

ジュリアナ東京はバブルの象徴とされるが、設立されたのバブル崩壊直後
バブルが崩壊しても、それまでイケイケドンドンで来た人たちは、株や土地などで直接損をした人は別ですが、そうではない人たちは、マスコミでバブル崩壊と報道されても、それを認識できなかったり、すぐに元に戻るという感覚でいたため、バブルが崩壊した後でも、バブルの熱狂を継続していました。

中国のバブル崩壊もそうです。もうすでに不動産バブルが崩壊して、多くの人民に影響が出てくるのは必至なのですが、多くの人民はそれを認識できなかったり、すぐに元に戻るという感覚なのです。そうして、中国はすでにデット・デフレの入り口に入ってしまっているのは間違いないです。

私たちは、これから長きにわたって、中国がデット・デフレに悩まされることになることを前提として、世界を情勢をみなければなりません。

私は、そう思います。みなさんは、どう思われますか?

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2016年1月7日木曜日

北“水爆実験北“水爆実験”で中韓の混乱に拍車 外交も経済も大打撃―【私の論評】経済だけ考えると、日本の最大の地政学的リスクは財務省?


習近平(左)と朴槿恵(右)

北朝鮮の核実験は、隣接する中国の習近平政権と韓国の朴槿恵政権にも大打撃となった。北の暴走を止められなかった外交的な失態は経済にも波及し、7日午前の中国株式市場は暴落、取引が全面停止となった。韓国ではウォンが対ドルで急落するなど「水爆ショック」が生じている。

中国の主要銘柄で構成するCSI300指数は取引開始直後から売り浴びせられ、5%下落で上海、深●(=土へんに川)両取引所の売買が15分間停止となる「サーキット・ブレーカー」が発動。さらに7%を超えて同日の取引は打ち切られた。同措置の発動は4日に続いて2度目。

6日の香港オフショア市場では人民元が11年3月以来約5年ぶりの安値をつけるなど「中国売り」が止まらない。経済失速に見舞われるなか、地政学リスクが拡大すれば景気がさらに悪化するとの懸念が強まった。

一方、韓国では6日の外国為替市場で、ウォンが対ドルで一時、約4カ月ぶりに1ドル=1200ウォンを突破した。前日のウォン安で当局はドル買い介入を行ったとみられるが、「韓国売り」も加速している。

 国際社会で北の「後見人」としての役割を担ってきた中国の制止を無視する形で金正恩第1書記は核実験を強行した。

半島情勢に詳しい龍谷大の李相哲教授(社会学)は「北朝鮮が崩壊すれば、中国にとっては経済に集中できなくなるほどの影響が出てくる。そのため、北からは『本気で潰しにこない』と足元を見られている。習政権は完全にメンツを潰された。中国の知識層の中にも、北朝鮮に融和的な習政権を非難する声は多い」と解説する。

韓国が受けた衝撃も大きい。朴大統領は昨年12月31日の新年あいさつで、「対話の門は常に開き、平和統一の朝鮮半島時代に向かっていく」と発言するなど、北との融和路線に舵を切り始めたところだった。

コリア・レポートの辺真一氏は、「朴政権は完全に寝首をかかれた格好だ。何より問題なのは、今回の核実験で韓国の情報収集能力の拙劣さを改めて露呈してしまったことだ」と指摘し、こう続ける。

「韓国政府は自国民に『北の核とミサイルの脅威に関しては何の心配もいらない』と繰り返してきたが、現実は李明博(イ・ミョンバク)政権以降、2010年に哨戒艇が北の潜水艦に撃沈され、11年12月に金正日(キム・ジョンイル)総書記が死亡した情報は北の発表までつかめなかった。切腹ものの失態を続けている」

【私の論評】経済だけ考えると、日本の最大の地政学的リスクは財務省?




水爆は原爆と同じ核兵器の一つですが、爆発を起こす原理や威力が大きく異なります。起爆装置として原爆を使うため、開発には原爆を制御する能力が必要になります。

原爆は、原発の燃料としても使われるウランやプルトニウムの核分裂反応を一気に進めて爆発を引き起こします。一方、水爆は、太陽の内部で起きているのと同じ核融合反応を起こします。

水爆は、普通の水素と重さが違う重水素や三重水素(トリチウム)などの軽い原子を燃料にして、これらの原子核が融合して別の物質に変わる際に放出されるエネルギーを利用します。燃料1グラムからタンクローリー1台分の石油に相当するエネルギーを取り出せるとされ、原爆より桁違いに威力がある爆弾を作れます。旧ソ連が1960年代に開発したある水爆は、1発で広島型原爆の3千倍を超える威力があったとされます。

水爆の本体には、原爆が起爆装置として埋め込まれており、原爆の威力で燃料を瞬時に超高密度の状態に圧縮し、通常では起きにくい核融合反応を起こします。

 
さて、北朝鮮が2015年1月6日に水爆実験に成功したと発表したことについて、アーネスト米大統領報道官は同日の記者会見で、「我々の初期の分析結果は北朝鮮の主張と一致していない」と述べています。

アーネスト米大統領報道官

「過去24時間に米政府が北朝鮮の技術力や軍事力への評価を変えることは起きていない」とも発言し、否定的な見解を示しました。

韓国の情報機関・国家情報院は6日夜、国会情報委員会の所属議員に対し、地震の規模の測定から水爆ではない可能性があると説明したと報じられています。

また、日本国内では、北朝鮮が強行した核実験について、気象庁は6日、観測されたのはマグニチュード(M)5・0相当とし、過去3回の核実験で観測した地震波形と比較した結果、「規模は同程度」と推測したといいます。

今回の規模はM5・0相当でしたが、最大だった21年のM5・3より0・3小さいです。一般的にマグニチュードが0・2大きくなると地震のエネルギーは2倍になります。単純計算すれば今回の爆発エネルギーは21年の半分以下ですが、気象庁は「(震源地の距離などから)誤差もある」として、爆発の規模は過去3回の実験と同程度との見方を示しています。

いずれ、さらに調査が進み、はっきりしたことが分かるとは思いますが、それにしても今の段階でも、以上のことから、今回の水爆実験は失敗したようです。結局、北朝鮮側の糸は別として、結果として、過去の原爆実験と同様の爆発だったとみて良いようです。結局水爆の開発そのものには、未だ成功していないと見るのが妥当のようです。

それにしても、ブログ冒頭の記事のように、中韓にとっては、北朝鮮の核は頭の痛い問題だと思います。

中国にとっては、南シナ海での米国の報復、西からは第二イスラム国の脅威、国内では日発する暴動、それに加えて、北の核兵器の存在です。この核兵器、たとえ水爆はまだにしても、中国にとっては脅威です。それは、中国への貿易依存度を高めた韓国にとっても同じです。

これが、中韓ともに経済の状況が非常に悪くなっている時期だけに、北朝鮮の水爆実験は、さらなる不安材料をはっきりと目に見えるように北朝鮮側に提示されたということになります。

北朝鮮の水爆実験を伝える北側クリステル?
それに、これだけ年明けから中国の南シナ海のリスクや年頭からの株下落、北朝鮮、中東などの地政学リスクの顕在化しているのですから、日本国内では消費税増税はさらに難しくなることでしょう。

財務省がいくら増税を推進しようにも、なかなかそれができにくい状況になっています。そもそも、財務省は、海外の地政学的リスクまでコントロールすることはできません。財務省がコントロールできるのは、他の省庁や、マスコミ、政治家などに限られています。そうして、このコントロール力も昨年はかなり弱まりました。

おそらく、これらの地政学的リスクが日本の株価などに悪影響をこれからも与え続けることになれば、今年の夏あたり、やはりこのブログでも何度か掲載しているように、衆参両院同時解散、増税見送りということになりそうです。

何しろ、安倍総理が衆参同時解散と腹をくくってしまえば、解散は総理の専権事項ですから、これはもう誰にも止められません。

このブログでは、前から増税無用論を掲載してきました。無用どころか、増税をしてしまえば、財政再建はさらに難しくなだけです。無用なことを、地政学的リスクが高まる今日わざわざ実行する必要など全くありません。

地政学的リスクがあろうがなかろうが、日本国内では、財務省の増税キャンペーンに載せられた形で、10%増税をしてしまえば、とんでもないことになります。

経済だけみると日本の最大の地政学的リスクは財務省?

おそらく、安全保障を抜きにして、経済的にだけみると、よほど国際情勢が悪化しないかぎり、世界情勢の悪化による悪影響による日本経済の悪化よりも、10%増税による経済の悪化のほうが甚大だと思います。

それは、ちょうど、リーマン・ショックのとき、震源地のアメリカや、かなり直接的に影響を受けたEUが、大々的な金融緩和をしてショックからはやばやと抜けだしたにもかかわらず、日銀が金融緩和をしなかったため、日本だけが一人負け状態になって、円高・デフレがさらに深刻化したときのようになるかもしれません。

日銀があのとき金融緩和をしなかったので、私はこのブログでは、日本におけるリーマン・ショックは、日銀ショックと呼んだくらいです。

地政学的リスクが経済に悪影響を及ぼしている真っ最中に、よほど酷いインフレに見舞われてない限り、わざわざその時を狙うように増税する国などありません。日本だけが増税した場合、また日本だけが一人負けの状態に陥る可能性があります。もし、そうなったら、今度は財務省ショックと呼ぼうと思います。

経済だけ考えると、財務省が日本の最大の地政学的リスクそのものに成り果てた観があります。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2016年1月6日水曜日

中東の状況は第三次世界大戦…佐藤優氏×山内昌之氏が示した衝撃シナリオ BSフジ『プライムニュース』― 【私の論評】今こそ憲法解釈は自衛戦争を是とする京都学派の解釈に従い、第三次世界大戦に備えよ(゚д゚)!


佐藤優氏(左)と山内昌之氏

 サウジアラビアとイランの国交断絶で中東に戦争の危機が広がっている。そんななか、『第3次世界大戦の罠-新たな国際秩序と地政学を読み解く』(徳間書店)の共著がある元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏と中東研究の第一人者、明治大学特任教授の山内昌之氏が5日夜、BSフジ「プライムニュース」に出演し、世界情勢の展望を語った。2人は緊迫する中東の状況について「第三次世界大戦」と指摘。核戦争への危機感も示した。

 2人の識者が示したのは、衝撃的なシナリオだった。

 問題の背景には、イスラム教のスンニ派とシーア派の宗派対立がある。

 佐藤氏はその点に触れ、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国(IS)」掃討のため、イランに接近した米国に対するサウジの「怒りのメッセージだ」と分析した。

 山内氏は両国の対立がISを利することになるとの見方を示し、「ISがこの機会に伸びていく、力を保持していくということになりかねない」と危ぶんだ。

 ISへの対応をめぐって米国に接近するイランには核開発の疑惑が絶えない。

 山内氏はこの点を踏まえ、サウジが米国と急接近するイランに対抗するために「ロシアに近づいた」とも指摘。これによって、サウジが「核の開発に限りなく近いことをロシアの援助を受けてやっていくだろう」と核開発に着手する可能性を示唆し、「核の拡散が起きるということが大きな問題だ」と話した。

 シーア派とスンニ派の宗派対立によって分断される中東諸国。複雑化する中東情勢を山内氏は「第二次冷戦的な状況」と表現し、インターネットを通じて世界中にテロを拡散するISの台頭によって「以前の戦争は陸海空で行われていたが、いまはサイバー空間でも戦争が始まっている」と分析した。

ローマ法王 フランシスコ 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 2人は、ローマ法王の発言を引き、現在の状況を「第三次世界大戦」になぞらえた。

 山内氏は、大規模な戦争に突入する事態を想定し、「国家間の戦争だけをイメージしてはダメだ」とし、国家間の戦争や国家とISなどのテロ集団との戦争についても警鐘を鳴らした。

【私の論評】今こそ憲法解釈は自衛の戦争を是とする京都学派の解釈に従い、第三次世界大戦に備えよ(゚д゚)!

本日は、北朝鮮の水爆実験が午前中にありました。そのため、こちらのほうを掲載しようか、どうしようか迷いましたが、結局中東情勢のほうにしました。北朝鮮の水爆については、何かそれらしきものが爆発したという情報があるだけです。

今のところ、北朝鮮が、水爆を爆発させたと主張しているだけで、どこの国も水爆であるとの確証をつかんでいません。実際水爆ではなかった可能性があることも否定できません。要するにあまりに情報が少ないので、本日は掲載しません。さらに情報が得られた場合、掲載しようと思います。

本日は、まずは、上のローマ法王の発言について以下掲載します。ブログ冒頭にも掲載されている、ローマ法王の発言は、昨年の11月14日にされたものです。その記事を以下に掲載します。
ローマ教皇も言及! 2015年、ついに第三次世界大戦が始まった!? 
 世界中のサイキックたちが、2015年に人類が破滅へと向かうことを予言していた。その中には、「2015年に第三次世界大戦が勃発する」との指摘も多かったが、この恐るべき予言がとうとう的中してしまったようだ。なんと、ローマ教皇が「すでに第三次世界大戦が始まっている」という旨の発言を行い、世界中のメディアを驚かせている。 
 今月13日に発生したパリ同時テロ、そして首謀者であるイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の台頭。さらにアメリカにおける人種間対立、依然として継続するウクライナ騒乱とロシアのクリミア侵攻など、今年も数えきれないほどの争いが世界各地で発生し、多くの人々が犠牲となった。 
そして14日、イタリアの聖職者放送局「TV2000」の電話インタビューに応じた第266代ローマ法王フランシスコ1世だったが、なんと「イスラム国」の暴挙を厳しく非難した上で、前日に発生したパリ同時テロは「第三次世界大戦の一部だ」と語ったというのだ。しかも16日には、オランド大統領までもが「フランスは戦争状態にある」と演説している。 
 この「第三次世界大戦」という言葉が、西ヨーロッパ文化圏、そして世界11億人のカトリック信者の精神的支柱であるローマ教皇の口から発せられた意味は非常に大きい。数百年後、いや数十年後に歴史の教科書を開くと、この2015年こそが第三次世界大戦の始まった年であると記されている可能性もありそうだ。もちろん、それまでに人類が滅亡していなければの話だが......。
 このローマ法王の発言のあったのは、安全保障関連法が9月19日日未明に可決成立してから、二ヶ月後のことです。二ヶ月で世界情勢がいきなり変わるということもなく、安保保証関連法が国会で審議されている頃から何も変わっていなかったと思います。
テロ事件から1週間、襲撃を受けたバー「ル・カリオン」前にはメッセージや花が・・・・・
法案が成立したあと、パリのテロ事件が発生、その後今年に入って、サウジアラビアとイランの国交断絶、北朝鮮の水爆実験の発表がありました。


さらに、中国による南シナ海の埋め立て問題が先鋭化し、米国はイージス艦「ラッセン」を派遣、さらにはB52戦略爆撃機を中国の埋立地の上を飛行させるなどのことが発生しました。

尖閣付近には、今までなかった動きがありました。それまではなかったのですが、昨年暮れから、機関砲装備した中国の公船が尖閣付近で不穏な動きを見せています。

こうした、世界情勢を踏まえると、安保法案を成立させたことは正しい措置だったと思います。

それにしても、あの程度の安保法案で、「戦争法案」などと叫ぶ、護憲派はやはり、頭がお花畑で、どうしようもないと思います。あの法案では、はっきりいって本気で日本国民の生命・財産を本気で守るというには、あまりに手緩すぎます。

彼らは、念仏を唱えれば、戦争は起こらないと考えているようです。確かに、本当にそうなら、私も朝から晩まで念仏を唱えまます。しかし、そんなことで世界から戦争がなくなることはありません。

安保法案反対デモ

このブログでは、日本で主流の憲法学者の憲法学者の憲法解釈ではなく、少数派の京都学派の憲法解釈を掲載してきました。

それによれば、憲法9条は、日本が国際紛争解決の手段として、武力を用いてはいけないという明確な規定がありますが、自衛戦争についてはそのような規定はないと解釈しています。実際、憲法9条には、自衛戦争まで放棄するなどとは一言も書かれていません。

よって、日本が自衛のための軍隊を持ったり、自衛のために武力を行使したりすることは、憲法違反ではないと解釈しています。

さらに、世界の憲法典をみまわしてみれば、自衛戦争について出来るとか、出来ないなどとはっきり書いてあるものはありません。なぜなら、それは、わざわざ憲法典に書くまでもなく、独立国の当然の権利であるからです。国連憲章でも、独立国の自衛戦争は当然の権利として認めています。

現在のように地政学的リスクが高まり、それに加えて、ISが跋扈したり、北朝鮮が水爆を開発したと主張するような情勢では、日本の主流派憲法学者の憲法解釈により、自衛のための戦争すらできないということでは、本当に私達の生命・財産を守り切ることはできまん。

今こそ憲法解釈は防衛戦争を是とする京都学派の解釈に従い、第三次世界大戦に備えるべきです。京都学派の憲法解釈に従えば、何の矛盾もなく、日本は防衛戦争ができます。

この京都学派の憲法解釈については、改憲派の人々や、保守派の人々にも良く知られていないようです。そのためか、保守派の人ですら、とにかく戦争は自衛・侵略を問わず、絶対にできないというのが、唯一正しい憲法解釈であると思っているようです。

そんなことは、ありません。そもそも、集団的自衛権に関しては、佐藤内閣の頃から、本来もっているはずだが、日本は使えないとの解釈が定着しました。それ以前には、集団的自衛権はあるのは当然だし、核兵器の保持まで考えていた政権もありました。

さらに、内閣法制局も、佐藤内閣前には、しばしば憲法解釈を随分と変えています。そもそも、憲法解釈の変更は、戦後何度もされてきたことであり、安倍内閣が初めて変えたなどと勝手に思いこむのは、完璧な間違いです。

京都学派については、下の【関連記事】のところに、詳しく解説した記事を掲載しておきますので、ご存知のない方はぜひご覧になってください。

そうして、広く世間に拡散していただきたいと思います。よろしくお願いします。

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