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2024年4月12日金曜日

日米比、初の3カ国首脳会談-中国進出念頭に海上訓練拡充で合意―【私の論評】安倍イズムが育んだ日米比の安全保障協力 - 官僚レベルから首脳レベルまでの歴史的な絆

日米比、初の3カ国首脳会談-中国進出念頭に海上訓練拡充で合意

まとめ
  • 「日本とフィリピンを防衛する米国の決意は揺るぎない」と米大統領
  • 米は国際社会の「中心的役割」継続を、岸田首相が米議会で演説


 日本、アメリカ、フィリピンの3カ国首脳が会談を行い、自衛隊と米比両軍の海上共同訓練の拡充に合意した。

 南シナ海情勢を踏まえ、海洋安全保障が最重要議題となった。バイデン大統領は日本とフィリピンの防衛への決意を表明した。

 3カ国は、南シナ海と東シナ海における中国の行動に深刻な懸念を示し、新たな共同訓練の実施や資源サプライチェーン強化などで協力を強化することで合意した。

 岸田首相は、米議会での演説で、自由と民主主義が脅威に晒されており、特に中国の動向が課題だと指摘。米国の支援と存在が不可欠であると述べた。岸田演説は、選挙後の日米関係の重要性を米議会に訴えるものだった。

 この記事は、元記事の要約です。詳細は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】安倍イズムが育んだ日米比の安全保障協力 - 官僚レベルから首脳レベルまでの歴史的な絆

まとめ
  • 安倍前首相の日米同盟強化への尽力と指導力が、現在の日米同盟の基盤を築いた。
  • 日米協力は官僚レベルでの継続的な取り組みであり、政権交代に影響されないものだった。
  • 「自由で開かれたインド太平洋」構想は安倍前首相の外交の柱で、その延長線上にある日米比の安全保障協力が進展している。
  • 日米比3か国の防衛大臣会談、軍隊間の共同訓練、非伝統的安全保障分野での協力など、緊密な連携が進んでいる。
  • 岸田首相は、安倍イズムの外交・安全保障政策を継承し、国内においても経済政策や自民党内の調整などで安倍路線を踏襲すべきだ

昨日のこのブロクでは、安倍首相の日米同盟強化への献身的な努力とリーダーシップなくしては、現在の日米同盟の堅実な関係基盤と協力体制を築くことは不可能であり。安倍首相の尽力こそが、今日の日米同盟の地位向上に不可欠な要因だったのではないかと掲載しました。

結局のところ、今日の日米首脳会談は、安倍イズムの影響下での日米同盟強化であったと結論ずけました。

その根拠として、日米同盟の強化はすでに両国の官僚級の折衝はから始まっていたことを根拠としてあげました。それは、両国の首脳の政権がこれからも続くか続かないにかかわらず、日米という国家間で継承される合意事項であるともいえます。

今回の日米首脳会談はこれを追認したものに過ぎません。

今回の日米比の首脳会談でも同じことがいえます。日米比の安全保障協力の進展は、安倍前首相の時代から見られる「自由で開かれたインド太平洋」構想の具現化であると言えます。

安倍首相は在任中、日本の外交・安全保障政策の大きな柱として、この構想を掲げ、地域の主要国との連携強化に力を入れてきました。特にフィリピンとの関係強化は重要な課題の一つでした。

こうした安倍首相の方針は、その後の日本政府によっても継承されており、日米比三カ国の安全保障協力はその具体的な成果として表れているといえます。

日米比の3か国による安全保障協力も活発に行われてきました。
  • 2022年以降、日米比三カ国の防衛大臣会談が定期的に開催され、地域情勢への共同対応について議論が行われています。
  • 日米比三カ国の自衛隊、米軍、フィリピン軍による共同訓練の実施が活発化しており、相互運用性の向上が図られています。
  • 災害救援活動や 海洋安全保障等、非伝統的安全保障分野での協力も強化されてきました。
  • 情報共有や海上監視、訓練支援など、各国の軍事当局間での緊密な連携も進んでいます。
  • 日米両国がフィリピンに対する装備品供与や訓練支援など、二国間の取り組みも行っています。
このように、日米比三カ国間での安全保障面での協力は着実に進展してきており、地域の平和と安定に向けた重要な枠組みとなっています。特に、日米比の省庁レベルや軍事当局レベルでの緊密な対話と協調が進展してきたと言えます。

2022年には第1回日米比陸軍種ハイレベル懇談会が日本で開催された

省庁間、軍事当局間での緊密な対話と実務レベルの協力は、この構想の実現に向けた着実な取り組みの一環であると評価できます。

これは、日米比の多くの人々も認めるところであり、今回の日米比の首脳の合意は、安倍イズムの延長線上にあるものとえ、この三者が新しく始めたものではなく、安倍イズムによる「自由で開かれたインド太平洋」構想の継承とみることができます。もっといえば、安倍首相は中国をめぐる世界秩序を変えたのです。

中国への対処ということでは、「自由で開かれたインド太平洋」構想とこの構想に含まれる諸国との提携や、協力の強化の方針は、安倍イズムによってすでに方向づけられたものです。そのため日米比の現在の首脳は、これを自分たちの成果とすることはできません。

特に、大統領選、総裁選が間近に迫っている、バイデン大統領と、岸田首相はそうです。

バイデン、岸田ともに、政権を安定させたいなら、インド太平洋地域以外の外交や国内を安定させる政策を推進することが肝要です。

岸田首相は、昨日も述べたように、大きな問題は国内にあり、有り体にいえば、自民党党内です。これについては、米国はこれに干渉することはできません。ただしLGBT理解増進法案などの例外はありますが、国内の大きな方向性に関しては、もっぱら岸田首相が采配しなければなりません。ここでも岸田首相は、安倍路線を継承するべきなのです。

安倍首相は、地球儀を俯瞰する外交を実行して成果をあげており、この点で、岸田首相が外交で努力したとしても、あまり大きな成果とみなされることはありません。おそらく、岸田首相の独自での外交での成果といえば、ウクライナ電撃訪問くらいかもしれません。

安倍首相地球儀を俯瞰する外交で成果をあげた

やはり岸田首相は、安倍氏の経済状況を改善し雇用と企業収益が拡大する路線を継承し、デフレから完全脱却すべきなのです。それとともに、自民党内のリベラル派に対して一定の歯止めをかけなければなりません。さらに憲法改正もすすめるべきなのです。国内でも安倍イズムを継承することが、自民党政権を安定化させる唯一の道だと認識して、その方向に転換すべきなのです。

これは、岸田政権が崩壊して、次の政権に変わったにしても、あてはまることだと思います。

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2024年4月11日木曜日

日米首脳共同声明「未来のためのグローバル・パートナー」全文 中国の「危険な行動」に言及―【私の論評】安倍イズムの影響下での日米同盟強化: 岸田政権の課題と展望

日米首脳共同声明「未来のためのグローバル・パートナー」全文 中国の「危険な行動」に言及

まとめ
  • 日米同盟がかつてない強さに高まり、両国が大胆な措置を講じてきたことを確認
  • 防衛・安全保障協力の深化に向け、日本の防衛力強化や日米指揮統制体制の向上などを歓迎
  • 先端技術分野での共同開発・生産、経済安全保障の強化などによる日米の技術的優位性の確保
  • インド太平洋地域の自由で開かれた秩序の維持に向けた地域協力の推進
  • 気候変動対策での両国の連携強化とクリーンエネルギー分野でのリーダーシップ発揮


  日米首脳共同声明は、過去3年間にわたり、両国が勇気ある措置を講じることにより、日米同盟が前例のない高みに到達したことを確認している。この歴史的な展開を踏まえ、両首脳は新たな日米グローバル・パートナーシップの構築に合意した。

  そのための具体的な取組として、まず防衛・安全保障協力の強化が掲げられている。日米両国は、同盟がインド太平洋地域の平和、安全および繁栄の礎であり続けることを確認し、日本の防衛力強化や指揮統制体制の強化など、同盟の新たな時代に対応した取組を支持した。さらに、日米の指揮統制体制の向上や情報協力の深化、ミサイル防衛の強化など、地域の安全保障上の課題に直接対処するための具体的な施策も明記。

 加えて、宇宙開発、イノベーション、経済安全保障、気候変動対策など、幅広い分野で日米が連携して取り組むための新たな戦略的イニシアチブを発表した。特に、次世代技術の共同開発や、経済安全保障の強化に向けた政策協調の強化などが重要な柱となっている。

 一方で、北朝鮮の核・ミサイル問題、ロシアのウクライナ侵略など、地域や世界の安全保障上の重要課題に対しても、関係国と協調して対処していくことを表明。

 さらに、日米両国民の絆を一層深化させるため、人的交流の強化やグラスルーツレベルの地方自治体間連携など、多様な取組についても言及されている。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】安倍イズムの影響下での日米同盟強化: 岸田政権の課題と展望

まとめ
  • 日米首脳会談の共同声明は、日米同盟の新たな時代を示す戦略的パートナーシップの構築を目指すものであり、防衛、経済、技術、外交など広範な分野に焦点を当てている。
  • 共同声明の注目すべき点は、日本の防衛力の抜本的強化、先端技術分野での日米協力の深化、経済安全保障の強化の3つに集中している。
  • 日本の防衛力の強化は、専守防衛の原則からの転換を意味し、抑止力と対処力の強化につながる。
  • 先端技術分野での協力は、経済安全保障上も重要であり、両国の競争力を高める。
  • 日米関係の強化には、安倍首相のリーダーシップや外交努力が大きく寄与しており、岸田首相もこの路線とともに、日本国内の政策に関しても安倍イズムを継承すべきである。

この共同声明は、21世紀の課題に取り組む日米同盟の新たな時代を切り拓くべく、防衛、経済、技術、外交など、広範な分野における具体的な戦略的パートナーシップの構築を示すものとなっています。

共同声明の中で特に注目すべき点は以下の3つです。

1. 日本の防衛力の抜本的強化
共同声明では、2027年度までに日本の防衛費をGDP比2%まで増額し、反撃能力の保有や統合作戦司令部の新設など、日本の防衛力を大幅に強化することが盛り込まれています。これは注目すべき点です。
なぜなら、これまで日本は専守防衛を旨としてきましたが、今回の防衛力強化は抑止力の大幅な強化につながるものです。地域の安全保障環境が厳しさを増す中で、日米同盟の抑止力と対処力を引き上げる上で、日本の防衛力強化は不可欠な取り組みだと位置づけられているからです。

このような日本の防衛力増強は、同盟国である米国にとっても大きな意義を持ちます。日本の防衛力が強化されることで、米国の同盟国としての負担が軽減され、より効果的な抑止力の発揮が期待できるためです。

2. 先端技術分野での日米協力の深化
共同声明では、AI、量子、半導体、バイオテクノロジーなどの重要・新興技術分野で、日米が協力して研究開発や産業基盤の強化に取り組むことが明記されています。
これは注目に値する点です。先端技術分野でのリーダーシップを確立することは、経済安全保障上も極めて重要です。両国が互いの強みを活かしながら、これら次世代技術の開発や保護に協力することで、技術的な優位性を確保し、経済的な競争力を高めていくことができるためです。

また、こうした技術協力は、日米同盟の絆をより強固なものにする効果も期待できます。先端技術を共に推進していくことで、経済的な利益共同体としての側面が一層強化されるからです。

3. 経済安全保障の強化
共同声明では、日米両国が非市場的な政策や慣行への対処、信頼性のあるサプライチェーンの構築など、経済的側面からの安全保障強化に取り組むことが明記されています。
これは重要な点です。地政学的な競争が激化し、経済的な安全保障の確保が喫緊の課題となる中で、日米が緊密に協調してこの分野に取り組むことは、両国の経済的利益を守る上で不可欠だからです。

特に、先端技術分野での覇権を握ることは、経済安全保障上も極めて重要です。日米が連携して、こうした分野での優位性を確保していく狙いがうかがえます。
 
以上3点は、共同声明の中でも特に注目すべき点だと考えられます。日米同盟を21世紀の安全保障環境に合わせて強化していく上で、これらの取り組みが大きな意味を持つためです。


日米が安全保障面での一体化を模索することは、もはや多数の米国民にとって当然のことです。今回の合意に対する大きな騒ぎは起きていません。日本との同盟強化に反対する声はほとんどなく、ドナルド・トランプ前大統領や共和党支持者を含めても、日米同盟の強化に異議を唱える声はありません。

日本という国が米国にとってより身近な存在になっています。大谷翔平選手やテレビドラマ、アニメなどを通じて、日本文化が米国に浸透しており、日本人に対する親近感が高まっています。これは、中国に対する米国民の嫌悪感とは対照的であり、日本は米国人にとって好意的な国として位置付けられています。

ギャラップ世論調査では、日本が米国人にとって最も好きな国の一つに選ばれています。この好意的な姿勢は、日米関係の強化にも繋がっていると言えます。

しかし、一方で岸田首相に対する米国メディアの関心は薄いです。岸田首相の政治的地位は不安定であり、政権内部や有力派閥のスキャンダルに揺れ動いています。そのため、米国メディアは岸田首相を「影の薄い総理大臣」と見ており取り上げることが少ないです。これは安倍首相とは対照的です。

しかし、日米関係の強化に向けては、両国のまともな官僚や議員らが着実に動いているようです。両国の政治的不安定さにもかかわらず、日米関係の堅固さを確保するために、彼らは日々努力しているようです。そのため、今回の日米首脳会談も、両国の関係強化の一環として注目されています。

官僚レベルにおける日米関係強化に向けた取り組みには以下のようなものがあります。

防衛・外交面では、外務省北米局と米国務省が定期的な政治対話を行っており、北朝鮮問題に関する制裁政策の調整や台湾問題に関する協議などが実施されているほか、自衛隊と米軍の共同訓練を強化することで軍事面での協力関係を深めています。

経済・貿易面では、経済産業省と米通商代表部がIT分野など特定分野の共同研究を進める一方で、農林水産省と米農務省もTIFAにおける農産品の市場開放交渉を行っています。

文化交流面では、文部科学省と米教育省が大学間交流事業の拡大に努めるとともに、外務省と米国務省が語学研修制度を活用した若手研修生の派遣数を増やしています。

テクノロジー面では、総務省と米通信委員会が5G技術の標準化で、経済産業省も半導体技術分野で共同研究を進めることで協力体制を強化しています。

さらに、環境・エネルギー面では再生可能エネルギー分野、科学技術面では宇宙開発分野での国際協力も進められています。

上に述べた具体例は、ごく一部にすぎません。 

なぜ日米関係がこのようになっているかといえば、やはり安倍首相の尽力があったおかげです。

これなくしては、現在の日米同盟の強固な地位と日米協力体制がこの水準に達することは極めて困難であったと思います。

特に、トランプ政権下で米国第一主義が強まる中、安倍首相はトランプ大統領個人との信頼関係を築き、日米同盟の重要性を直接説得しました。加えて、日米同盟を東アジアにおける安定と繁栄の礎と位置づける戦略もトランプ政権のアジア観と合致するものでした。


この結果、トランプ政権下では一時東アジアからの関与が低下した傾向に歯止めが掛かり、日米同盟を軸とする米国の東アジアに対する関与が強化されることになりました。同時に、安倍首相の尽力により日米同盟の重要性が再確認されました。

安倍首相の日米同盟強化への献身的な努力とリーダーシップなくしては、現在の日米同盟の堅実な関係基盤と協力体制を築くことは不可能でした。安倍首相の尽力こそが、今日の日米同盟の地位向上に不可欠な要因だったのではないかと考えます。

そのことを岸田首相は再認識すべきです。岸田文雄首相は昨年2月26日の自民党大会で、2012年の政権交代後からの自公政権10年間について話しをしました。安倍元首相の強力なリーダーシップの下、経済状況は改善し雇用と企業収益が拡大したこと、デフレから脱却できたことなどを指摘しました。外交・安全保障面では「自由で開かれたインド太平洋」の推進、日米同盟の深化、平和安全法制の整備などの実績を挙げました。

10年間を振り返り、民主党政権下で失われた日本の誇りと自信、活力を取り戻すため、皆で力を合わせ国を前進させたとアピールしました。今こそ安倍元首相と菅前首相が築いた10年間の成果の上に、次の10年を創造する時だと強調しました。防衛力を抜本的に強化し、積極的な外交を展開することで、戦後最も複雑な状況の中でも国民を守り抜く考えを表明しました。

岸田首相は、今回の日米首脳会談は、安倍首相が敷いた既定路線に乗った形で、成功を収めたことを理解すべきです。

そうして、米国との関係については、米国政府という相手があることであり、安倍首相が構築した日米関係の方向性を崩すことは最早できません。さらに、日米関係を基軸とした外交・安全保障に関しても、これを崩すことはできません。


問題は、国内であり、もっと有り体にいえば、自民党党内です。これについては、米国はこれに干渉することはできず、ただしLGBT理解増進法案などの例外はありますが、国内の大きな方向性に関しては、もっぱら岸田首相が采配しなければなりません。ここでも岸田首相は、安倍路線を継承するべきなのです。

そのことを強く認識して、経済状況を改善し雇用と企業収益が拡大する路線を継承し、デフレから完全脱却すべきなのです。それとともに、自民党内のリベラル派に対して一定の歯止めをかけなければなりません。外交だけではなく、国内でも安倍イズムを継承することが、自民党政権を安定化させる唯一の道だと認識して、その方向に転換すべきです。

これをないがしろにすれば、岸田政権が崩壊するだけではなく、自民党が崩れ、それだけならまだしも、安倍首相が語っていたような、悪夢の民主党政権のよう暗黒史を自民党政権が自ら招くことになりかねません。そうなれば、いずれ自民党は再び下野することになるでしょうが、それまでの間に悪夢の自民党政権が日本国内を毀損すことになりかねません。さらには、次の政権は安倍イズムとは、逆の政権運営をするかもしれません。

これだけは、絶対に避けるべきです。岸田政権は今後、安倍イズムを定着させるべく、邁進すべきです。

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2024年4月10日水曜日

今後も南シナ海で共同パトロール実施へ、日豪比と=米大統領補佐官―【私の論評】日米首脳会談で浮上!安倍から岸田政権への「統合作戦司令部」構想の歴史とバイデン政権の影響

今後も南シナ海で共同パトロール実施へ、日豪比と=米大統領補佐官

サリバン米大統領補佐官


 サリバン米大統領補佐官は、日本、オーストラリア、フィリピンとの南シナ海での共同演習について、今後共同パトロールが増える見通しを示し、中国の威圧に対応するための行動だと述べた。

 また、日米首脳会談と日米フィリピン首脳会談が予定されており、中国の影響力拡大への対抗策が議題となる。さらに、安全保障の枠組み「AUKUS」において、日本との協力拡大が予想される。

 バイデン大統領と岸田文雄首相は、首脳会談で、防衛・安全保障や宇宙開発における協力強化を発表する見通しであり、日本の「統合作戦司令部」発足に向けた米国の支持も明らかにされた。また、在日米軍司令官の階級の格上げが検討されている。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧ください。

【私の論評】日米首脳会談で浮上!安倍から岸田政権への「統合作戦司令部」構想の歴史とバイデン政権の影響

まとめ
  • 日本の「統合作戦司令部」構想は2010年代初頭から自民党を中心に検討されてきた。安倍政権時代に具体化が進み、岸田政権で発足に向けた米国の支持が得られた。
  • 有事の際、統合作戦司令部は韓国のように米軍の指揮下に入る可能性があり、日本政府との調整が必要。日本は、韓国のような体制を取るべきではない。
  • バイデン政権は日米統合作戦司令部発足を支持しつつ、有事の指揮権移管を求める可能性がある。
  • バイデン政権はウクライナ支援への日本の協力も要求してくる可能性がある。日米同盟強化とウクライナ支援を関連づけて日本に働きかけてくるかもしれない。
  • 岸田首相の今回の米国訪問は総裁選に向けた重要な機会だが、失敗すれば総裁選前に辞任につながるリスクがある。慎重な対応が求められる。
上の記事に「統合作戦司令部」という言葉がでてきます、日本のこの構想は、2010年代初頭から自民党を中心に検討されてきたものです。当時の日本の防衛体制は、陸海空自衛隊がそれぞれ独立した司令部を持っており、統一的な指揮命令系統が不足しているという課題があり、この問題に対する解決策として「統合作戦司令部」の創設が検討され始めました。

特に、2012年から2020年にかけての安倍晋三政権時代に、この構想が大きく前に進みました。安倍政権は日本の防衛力強化を重要政策の一つに位置づけており、統合的な指揮命令系統の確立が不可欠だと考えていました。そのため、安倍政権下で「統合作戦司令部」の具体化に向けた検討が活発化し、その構想が具体的な形となっていきました。

その後、2023年に岸田文雄政権が発足すると、日米首脳会談の場で統合作戦司令部の発足に向けた米国の支持が明らかにされました。つまり、長年にわたる自民党内部の検討と議論を経て、ついに岸田政権下で具体化への大きな一歩を踏み出したのです。

これに関して、日本の統合作戦司令部は平時は自衛隊の指揮下にありますが、有事には米軍との緊密な連携の下に置かれ、場合によっては日米共同の作戦統制が行われる、すなわち有事には米軍司令部の下に置かれる可能性も指摘されています。無論、安倍元首相はそのようなことは目指していませんでした。

実際韓国は、そのような状況になっています。韓国軍の最高指揮権は韓国大統領にあり、平時・有事を通じて大統領が韓国軍を指揮しています。韓国軍は独自の軍司令部を持ち、韓国大統領の指揮下にあります。

韓国軍

ただし、有事の際は、韓国軍の戦時作戦統制権が韓米連合司令部に移譲され、連合軍司令官(米軍4星将軍)が韓国軍を指揮することになります。

つまり、平時の韓国軍は大統領の指揮下にあるが、有事には作戦統制権が米軍に移る体制になっています。

バイデン政権は、岸田政権が発足して以来、統合作戦司令部の発足を支持しているのですが、その位置づけに関して、有事には米国の指揮下に入るように圧力をかけてくるかもしれません。その背景には、有事の際に日本の自衛隊と米軍との指揮命令系統を明確化し、より緊密な協力体制を構築したいという米国の意図があると考えられます。

具体的には、有事の際の統合作戦司令部の位置づけについて、次のような圧力をかける可能性が指摘されています。
  • 統合作戦司令部を米軍の指揮下に置くよう求めること
  • 少なくとも作戦統制権の一部を米軍に移管するよう要求すること
  • 日米の指揮系統の一元化を強く主張すること
これらは、有事における日米の迅速な軍事対応力を高める狙いがあると考えられます。

ただし、有事においては自衛隊の指揮権を日本政府が維持するというのは独立国家として、当然のことであり、有事の際の指揮権をめぐって日本政府と米国政府の間で調整が必要になると見られます。


今後の日米首脳会談などの場で、この点をめぐる激しい協議が行われる可能性が高いと考えられます。

岸田首相は、なし崩し的に、有事の指揮権を米国に譲るようなことがあれば、国民の反発を招くことになるでしょう。こうした圧力をはねのけて、独立国家としての意地をみせていただきたいものです。

一方、AUKUSに関しては、昨日このブログで指摘した通り、協力強化を見据えた上で、日本やその同盟国の安全保障に危険を及ぼす可能性のある人物や組織の排除は正当化されるべきであり、そのための法制度の整備が重要です。岸田首相はこの方向に舵をきるべきです。

さらに、ウクライナ情勢をめぐり、バイデン政権は日本に対して様々な要請を行う可能性があります。

まず、対ロシア制裁への更なる参加要請が考えられます。日本はすでにロシアに対する制裁措置を講じていますが、バイデン政権はさらなる制裁強化を求めてくる可能性があります。

日本はこれまでにウクライナに対する軍事支援は行っておらず、バイデン政権はより積極的な軍事支援を要請してくる可能性があります。

さらに、ウクライナの復興支援や人道支援などに対する日本の経済的な協力を求めてくる可能性もあります。

ウクライナ支援に関して、許容できる範囲なら良いですが、法外な要求に応じてしまえば、国民の反発は必至です。

バイデン大統領夫妻との夕食会に向かう車中での岸田・バイデンの様子

特に注目されるのは、日米統合作戦司令部の発足を支持する中で、ウクライナ情勢への対応で日本の協力を引き出したいというのがバイデン政権の意図と考えられることです。

日米同盟の強化とウクライナ情勢への対応は、バイデン政権にとって重要な政策課題であり、これらを関連づけて日本に要請してくる可能性が高いといえます。

岸田首相にとって、今回の国賓待遇での米国訪問がが総裁選に向けた重要なチャンスとなる可能性もありますが、政治的リスクも大きいといえます。上手く乗り越えられれば有利な展開につながる可能性もありますが、失敗すれば総裁選を待たず辞任にまで追い込まれかねないです。慎重な外交的立ち振る舞いと、国内世論への配慮が重要になってくるでしょう。

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2024年4月9日火曜日

米英豪「AUKUS」、日本との協力を検討 先端防衛技術で―【私の論評】日本の情報管理体制改革がAUKUS参加と安全保障の鍵となる

 米英豪「AUKUS」、日本との協力を検討 先端防衛技術で

まとめ

  • 米国、英国、オーストラリアの3か国がAUKUSの枠組みの下、日本との先端防衛技術分野での協力を検討している
  • 日本はサイバーセキュリティや秘密保持の課題を抱えており、協力を進める上で一定の障壁がある
  • AUKUS は原子力潜水艦の配備に加え、量子computing、AI、サイバー分野などでの協力を日本と検討しているが、具体的な内容は未定


 米国、英国、オーストラリアの3か国は、日本と先端防衛技術分野で協力することを検討している。これは、これら3か国が設立した「AUKUS(オーカス)」と呼ばれる安全保障の枠組みの一環である。

 岸田首相がワシントンでバイデン大統領と会談する際に、この件が取り上げられる見込みだ。3か国は、日本の強みと各国との緊密な2国間防衛パートナーシップを認識しており、先進技術の共有に向けて日本と協力したいと表明している。

 ただし、日本はサイバー防衛強化や秘密保持の必要性から、協力には課題が残されているという指摘もある。

 AUKUS は第1の柱として原子力潜水艦の配備を進めているが、日本はその参加は検討していない。代わりに、量子コンピューティング、AI、サイバー技術などの分野での協力を検討している。

 AUKUS はこの第2の柱に他国の参加を望んでいるが、情報保護などの課題もある。一方、日本政府は具体的な協力内容は今のところ決まっていないと述べている。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】日本の情報管理体制改革がAUKUS参加と安全保障の鍵となる

まとめ
  • AUKUS との協力推進に向けた特定秘密保護法や セキュリティクリアランス制度の改善が喫緊の課題
  • 国家安全保障に危険を及ぼす可能性のある人物・ 組織の排除が可能となるよう、法的手続きを整備すべき
  • 政治的対立ではなく、国家の安全保障を最優先 する必要があり、これを正当化し裏付ける法律の制定強化が必要
  • 岸田首相はAUKUSとの協力強化に向け、 情報管理体制の抜本的な強化に着手する可能性
  • 日本や同盟国の安全保障に危険な親中派・ 媚中派の排除は正当化されなければならない
日本がAUKUSとの防衛技術協力を進める上での課題は、以下のようなものがあります。

まず、特定秘密保護法の整備について、2014年の法制定以降、一定の改善がなされてきました。秘密指定の基準明確化や罰則強化など、法的な基盤は整備されつつあります。ただし、AUKUS での協力では、より機密性の高い情報を共有する必要があり、現行法でも十分とは言えません。法制度のさらなる拡充が求められています。

次に、セキュリティクリアランス制度については、公務員や防衛産業関係者を対象とした制度が2016年に拡充されましたが、課題も残されています。まず、審査内容についてはハニートラップなどのスパイ工作への対応が十分ではありません。

また、対象者の範囲も公務員や防衛産業に限定されており、AUKUS での協力に必要な大学研究者やベンチャー企業関係者などまでは広がっていません。制度の拡充が求められています。

さらに、近年の政府の情報管理体制の脆弱性も大きな問題です。内閣府のタスクフォース報告書への中国企業ロゴ混入や、防衛省の調達情報流出など、機密情報の管理に深刻な課題があることが明らかになっています。法制度の形式的な整備だけでなく、実効性のある運用体制の構築が喫緊の課題です。

内閣府のタスクフォース報告書に入っていた中国企業ロゴの透かし

加えて、スパイ対策の法制度も整備されていません。機密情報の窃取やスパイ活動への加担に対する罰則規定の整備が求められています。

以上のように、特定秘密保護法の拡充、セキュリティクリアランス制度の強化、政府の情報管理体制の抜本的な改善、そしてスパイ防止法の整備など、日本にはAUKUSとの本格的な技術協力を進めるための総合的なセキュリティ体制の構築が喫緊の課題なのです。これらに取り組まなければ、信頼できる協力関係を築くことは難しいと指摘されています。

日本の情報管理体制が脆弱であれば、機密情報の流出リスクが高まります。そうなれば、AUKUS 参加国は日本との技術協力に慎重にならざるを得なくなります。

同様に、日本がファイブアイズ情報共有体制に参加できなくなる可能性もあります。ファイブアイズは極秘情報の共有が前提であり、日本の情報管理能力が信頼されなければ、参加国から排除される恐れがあります。

さらに広く見れば、日本の安全保障上の地位そのものが脅かされかねません。先進国の情報共有ネットワークから締め出されれば、戦略情報の収集や分析、さらには危機対応能力までが大幅に制約されることになります。その結果、日本の安全保障環境が大きく悪化し、地域における存在感も失われかねません。

つまり、日本が情報管理の抜本的な強化に取り組まなければ、AUKUS をはじめとする各国との協力関係が損なわれ、ファイブアイズからの排除も危惧されます。これは日本の安全保障と地位に深刻な打撃を与える可能性があるのです。

Five Eyes

岸田首相がワシントンでバイデン大統領と会談する際に、この問題が取り上げられることは、日本政府にとって重要な機会となります。AUKUS への参加や、より広範な安全保障協力を進めるためには、日本の情報管理体制の改善が必要不可欠であることを、両首脳が共有できるからです。

そのため、岸田首相は会談の場で、日本のセキュリティ強化に向けた具体的な取り組みを表明する可能性が高いと考えられます。特に、前述の課題に対する対応策を示し、早期の法制度整備や運用体制の構築に言及するなど、AUKUS との協力強化に向けた決意を示すことが期待されています。

日本政府にとって、AUKUS との連携は重要な安全保障上の課題です。岸田首相は、この首脳会談を、日本の情報管理体制を抜本的に強化する好機と捉え、積極的に行動すべきです。

まず、AUKUS との防衛技術協力の推進に向けて、特定秘密保護法やセキュリティクリアランス制度の改善が喫緊の課題です。これらの法制度を強化することで、機密情報の適切な管理体制を構築できるようになります。


その上で、これらの制度に基づいて、国家の安全保障に危険を及ぼす可能性のある人物やグループを排除することが可能になります。例えば、中国寄りの政治姿勢を示す議員や、中国企業との癒着が疑われる官僚などが、適切な審査によって排除の対象となり得るでしょう。危険な民間企業や、教育機関、その人物も対象となり得るでしょう。

法的な手続きと適正な理由に基づいて人事面での対応を行うことは、日本の国益を護る上で正当化されるべきだと考えます。単なる政治的対立ではなく、国家の安全保障を何よりも優先する必要があるのです。

岸田首相は人事を非常に重要視しています。特に、政府の政策課題や国民生活に関わる重要な判断を行う際に、即戦力となる人材を選ぶことを重視していると述べています。これは、国政推進において調整力、実行力、そして答弁力を備えた人材が必要だという考えに基づいています。

また、自由民主党の役員人事に関しても、国民の信頼回復に向けて努力する姿勢を示しており、特定の派閥や政策集団に属さず、中立的な立場で党改革を進める意向を表明しています。

AUKUS との協力強化を見据えた上で、日本やその同盟国の安全保障に危険を及ぼす可能性のある人物や組織の排除は正当化されるべきであり、そのための法制度の整備が重要です。岸田首相はこの方向に舵をきるべきです。

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2024年3月31日日曜日

<独自>NATO首脳会議に岸田首相を招待 米政府調整、出席なら3年連続―【私の論評】岸田首相をNATO首脳会議に招待するバイデン政権の狙い:ウクライナ支援を含めた岸田政権の継続の可能性

<独自>NATO首脳会議に首相を招待 米政府調整、出席なら3年連続

まとめ
  • 米政府がNATO首脳会議(7月)に岸田首相を招待する方向で調整中
  • 日米首脳会談(4月10日)ではロシアのウクライナ侵略を協議予定
  • NATO首脳会議では欧州・インド太平洋の連携強化を図る
  • ウクライナ支援で貢献する日本の参加を通じ、地域間の結束を促したい考え
  • 日本は中国・北朝鮮など安保上の課題で欧州との連携を強化する機会
バイデン大統領と岸田首相

 4月10日の日米首脳会談を前に、米政府がNATO(北大西洋条約機構)の7月の首脳会議に岸田文雄首相を招待する方向で日本政府と調整している。日米首脳会談では、ロシアのウクライナ侵略問題を協議する予定。NATO首脳会議では、ロシアと中国の抑止を目的に、欧州とインド太平洋地域の連携強化を図る狙いがある。

 バイデン大統領は国賓待遇で岸田首相を迎え、ウクライナ支援や対露制裁の継続で一致するとみられる。バイデン氏はウクライナ支援継続と新たな侵略抑止の観点から、NATO加盟国とインド太平洋地域の連携を重視している。

 NATO発足75周年の重要な首脳会議に、ウクライナ問題で貢献する日本を招き、地域間の結束と協力を促したい考えだ。日本側は政治日程を精査し、参加の可否を最終判断する。日本にとっては、中国や北朝鮮など安全保障上の課題で欧州との連携を強化する機会となる。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】岸田首相をNATO首脳会議に招待するバイデン政権の狙い:ウクライナ支援を含めた岸田政権の継続の可能性

まとめ
  • 米政府は、ウクライナ支援でNATO結束を図り、中国への対抗上欧州・インド太平洋連携を強化する狙いから、岸田首相をNATO首脳会議に招待する方向にある。
  • バイデン政権は9月の総裁選後も岸田体制が継続すると確信しており、その政権の安定性を重視している。
  • 仮に岸田政権が崩壊し、リベラル色の強い、財務省にさらに近い新政権となれば、日米同盟関係や経済の安定性に悪影響が及ぶリスクがある。
  • ウクライナ支援は、ウクライナの潜在力(人的資源、産業基盤、農業)とEU結びつきから、将来的な有望市場となり得る。
  • 日本がウクライナ復興支援で主導的役割を果たせば、経済的安全保障の実現とグローバル・プレゼンスの向上につながる重要な機会となる。
上の記事にもあるように、米政府は7月のNATO首脳会議に岸田首相を招待する方向で調整しています。これには2つの狙いがあります。

1つ目は、ウクライナ支援に積極的な岸田首相の参加を通じて、支援疲れの兆しが見られるNATO加盟国の結束を固める狙いがあります。

2つ目は、中国の脅威をにらみ、インド太平洋地域と欧州諸国の連携を強化することです。

NATO発足75周年の節目の会議で、バイデン政権はウクライナ支援の重要性を欧米に改めて訴え、加盟国の団結を促したい考えのようです。

また、中国の台湾統一の動きへの抑止力を高めるため、欧州諸国のインド太平洋地域へのコミットを後押ししたい狙いもあるようです。

ウクライナ支援で貢献する日本の存在は、欧州・インド太平洋の連携強化において重要な役割を果たすと期待されています。

美しいウクライナの都市リビィウの町並み

バイデン政権が7月のNATO首脳会議に岸田首相を招待する方向で調整していることは、以下の理由から、バイデン政権が岸田政権の継続を見込んでいることを示唆していると言えます。

1. 首脳会議への招待は、その国の最高指導者に対してなされるものです。米政権が岸田首相個人を招待する意味合いは小さく、日本の元首相としての立場で招待していると考えられます。

2. 7月の時点で岸田首相が退任済みだと見込んでいれば、次期首相を招待する方が自然です。岸田氏個人ではなく、日本の首相職そのものに招待状を送っていると考えるべきでしょう。

3. NATO首脳会議は加盟国の重要会議です。日本の内政が不安定で近々に政権交代が予想される状況であれば、米国は慎重に対応するはずです。

4. 招待は米政権の対日重視姿勢の表れでもあります。この姿勢を損なうリスクを冒すなら、岸田政権の継続を前提にせざるを得ません。

したがって、バイデン政権がNATO会議に岸田首相を招待していることは、7月時点におよび、それ以降も岸田政権が続くと見込んでいる、あるいは少なくとも望んでいることを示していると解釈できるでしょう。

バイデン政権が7月のNATO首脳会議に岸田首相を招待するという重要な決断をするに当たっては、単なる「期待」だけではなく、より確かな見通しを持っている公算が高いでしょう。

NATO首脳会議は加盟国を代表する首脳が一堂に会する極めて重要な会議です。日本の首相を招待する際には、単に望ましい状況を期待するだけでなく、実際に岸田体制が継続する確度が高いと判断していると考えるべきでしょう。

つまり、バイデン政権は、9月の自民党総裁選挙後も岸田首相が続投し、日米同盟の中核を担う存在として機能し続けると踏んでいる可能性が非常に高いと言えます。そうでなければ、このタイミングでの招待は避けられたはずです。

米国の対日重視姿勢を考えれば、日本の政局の安定性と信頼できる同盟国関係の持続性を重視しているはずです。したがって、バイデン政権は総裁選後の岸田体制継続を単なる期待以上に確信を持って見込んでいると判断するのが妥当だと思われます。

私は、岸田首相は個人的には好きなタイプではないのですが、それにしても今年の秋で岸田政権が崩壊した場合、次の総裁が誰になるのか、その総裁は岸田首相よりもリベラル色や親中度合い、財務省寄りの度合いが高いかあるいは同程度なのであれば、岸田政権が継続したほうが、良いと思っています。無論、番狂わせがあり、高市氏が総裁になる可能性がでてくれば、それが一番良いとは思います。

しかし岸田政権が崩壊し、新たな政権に移行した場合、その政権が岸田政権よりも、よりリベラルであり、より親中的であり、より財務省寄りであれば、以前の民主党政権時代のような混乱が再び起こるリスクがあると指摘できます。

民主党政権時代(2009-2012年)は、以下のような深刻な問題が生じました。
  •  首相が頻繁に交代し、政権運営が大変不安定になった 
  •  習近平体制の中国への対応が非常に慎重・柔和となり過ぎた
  •   TPP交渉や原発政策で揺れ動いた結果、決定力を欠いた 
  •  財政規律を重視するあまり、消費税の大増税を強行する決定を三党合意(自公民)で行い経済運営の失敗を決定づけた 
  • 日米同盟関係が疑心暗鬼となり、信頼関係が大きく損なわれた
このように、政権の指導力不足や政策の振れ幅が大きすぎたことで、日本の国内外での信頼性が大きく低下しました。

仮に岸田政権が崩壊し、新たな政権が自民党政権であったにしても、再び同様の混乱に陥る恐れがあります。多くの人は、安倍政権が長かったので、これをスタンダードと見るむきもおおいようですが、これは間違いです。安倍政権は自民党政権の中、特にここ20年の中では、特異な存在だったのです。

特に対中強硬姿勢の転換や財政規律のさらなる強化などがあれば、日米同盟はもとより、経済安定性にも悪影響を及ぼしかねません。

このため、バイデン政権は岸田政権の継続を望んでいると考えられます。政権の安定性と政策の継続性を重視する観点から、岸田体制の維持を確信しているものと推測できるでしょう。

安倍首相は「悪夢のような民主党政権」と発言

もしトランプ政権になったにしても、現状日本では、自民党の結党の精神では保守政党を目指したにもかかわらず保守勢力は弱まった状態であり、リベラル的性格や親中的性格がさらに強くなるよりは、岸田政権の継続を望むかもしれません。

私としては、岸田政権がもう一期くらい続いたほうが、保守派などが次の展開をはかるにしても、政治的混乱を避け、ソフトランディングができるのではないかと期待しています。また、マスコミやリベラル左派官僚や財務官僚らに新たな成功体験を提供して、増長させることを防ぐという意味でも、悪いことではないと思います。

そうして、ウクライナへの支援について、マイナスの面ばかりが強調されがちですが、長期的な展望から捉えると、大きな可能性が見えてきます。

1. 人的資源の潜在力
ウクライナは人口約4,400万人と大きな人口を擁し、識字率も99%と教育水準が高い。戦後の復興後には、この優れた人的資源を最大限活用できるはずです。日本では、人口4,400万人はたいして多くはないとみられがちですが、ヨーロッパの近隣諸国と比較すれば、決して少ないとはいえないです。

ロシアの人口は、一億四千万人ですが、その中で少数民族を除いたロシア人は、約1億1,600万人。

モスクワ首都圏は、モスクワ市と周辺のモスクワ州、カルーガ州、トゥーラ州、リャザン州、ウラジーミル州、イヴァノヴォ州、スモレンスク州、ブリャンスク州を含む地域です。2023年1月1日時点のモスクワ首都圏の人口は、約2,700万人です。

モスクワ大都市圏は、モスクワ首都圏さらに周辺の都市を含む地域です。2023年1月1日時点のモスクワ大都市圏の人口は、約3,500万人です。 

以上のようなことを考えると、ウクライナの人口は少ないとはいえません。 

2. 産業基盤の存在  
ウクライナには航空機産業や自動車産業など、一定の製造業の基盤があります。適切な投資と改革で、これらの分野が復興・発展する余地があります。最初から基盤づくりをしなければならないような他の発展途上国とは違います。
3. 農業の有望性
ウクライナは「ヨーロッパの穀倉地帯」とも呼ばれ、穀物の生産大国です。農業分野の復興により、食料安全保障面でも貢献が期待できます。
4. EUとの結びつき  
ウクライナはEUと連合協定を結んでおり、経済面でEUに統合される流れにあります。EUマーケットへのアクセスは大きなメリットとなるでしょう。
5. 支援国の協調
日本に加え、米国、EU、国際機関などがウクライナ支援に熱心です。協調的な支援を続ければ、復興は加速する可能性があります。
一人当たりGDPが韓国並み(約3万ドル)に到達すれば、ウクライナの経済規模は現在のロシア(約1.8兆ドル)と匹敵することになります。教育・産業基盤があり、国際支援も受けられれば、中長期で大きく発展する可能性は決して低くありません。日本が様々な支援で主導的役割を果たせば、他国の模範ともなり得るでしょう。

ウクライナの産業基盤:2024年3月31日時点 
産業概要現状課題
農業ヨーロッパ最大の穀物生産国の一つ。小麦、トウモロコシ、ひまわり油などが主要産品。侵攻により農地やインフラが破壊され、生産量が大幅に減少。農地の復旧、インフラの再建、輸出市場の確保
重工業鉄鋼、造船、航空宇宙産業などが主要産業。侵攻により多くの工場が破壊され、生産が停止。工場設備の復旧、新たな市場の開拓
軽工業繊維、食品加工、家具製造などが主要産業。侵攻により国内市場が縮小し、生産が減少。国内市場の回復、輸出市場の拡大
サービス業IT、金融、観光などが主要産業。侵攻により経済活動が停滞し、多くの企業が撤退。経済活動の再開、安全な環境の整備

参考情報:


日本のウクライナ支援は、専守防衛の立場から直接的な軍事支援は難しく、むしろ資金支援、人道支援、インフラ復旧支援、民間投資促進、人材育成支援など、経済的・人道的な復興支援が中心となると見られます。日本はこうした分野での強みを生かし、ウクライナの復興プロセス全般を下支えすることになるでしょう。

ウクライナの復興支援は、中国経済が減速するなかで、日本が新たな有望市場を確保し、サプライチェーンの分散化を図る絶好の機会となります。日本が主導的役割を果たせば、ウクライナの内需や農業・鉱業分野への参入を通じて経済的メリットを得られるだけでなく、ロシアへの牽制や欧州地域におけるプレゼンス向上、発展途上国支援でのリーダー地位の確立にもつながるでしょう。

中国に過度に依存しない経済安全保障の実現、ロシアに国境を接し対峙する経済大国の出現への支援などグローバル・プレゼンスの向上という点で、ウクライナ復興支援は日本の大きなチャンスと言えます。

ただ、復興の果実を米国、EUなどにもぎ取られないように注意はすべきでしょう。最悪、従来から、ウクライナから軍事技術の提供や、宇宙技術の提供受け、ウクライナと関係の深い中国にもぎ取られるようなことは断じてすべきではありません。

岸田政権はリベラル色が強く、安倍政権のような保守とはいえません。しかし、この歴史的な転機においては、リベラル保守の枠を超えた広い視野が求められます。

ウクライナ復興支援を契機に、日本が新たなグローバル・リーダーシップを発揮すべきときがきたのです。中国の影響力が肥大化するなか、自由と民主主義の旗手となり、ウクライナが新興国の模範的存在となることで、日本の新時代への羅針盤ともなり得るでしょう。岸田政権には、こうしたことを実現するための揺りかごとなっていただきたいのです。岸田首相はこれを目指すべきです。



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2024年3月27日水曜日

次期戦闘機の第三国輸出解禁が必要な理由 議論が深まるAUKUSのあり方、日本も取り残されるな―【私の論評】日本の選択―武器輸出解禁で防衛力強化、TPPをWTOルールとし国際ルールをリードせよ

次期戦闘機の第三国輸出解禁が必要な理由 議論が深まるAUKUSのあり方、日本も取り残されるな

岡崎研究所

まとめ
  • AUKUSはアメリカ、イギリス、オーストラリアの安全保障枠組みであり、オーストラリアが原子力潜水艦を取得する計画を含む。
  • AUKUSの実現可能性には疑問があり、特にオーストラリアの米国への依存度や将来の政治的姿勢に関する不安がある。
  • AUKUSの影響が地域の安定に及ぼす可能性がある。特に、アジア太平洋地域における軍事的緊張の増大や中国との関係悪化が懸念されている。
  • 日本との関係において、AUKUSがどのような影響を与えるかが焦点となっており、次期戦闘機の第三国輸出解禁の必要性が強調されている。
  • AUKUSに対する議論は様々な側面から展開されており、地域の安全保障における重要性や実現可能性に関する懸念が存在している。

 2024年2月26日の英フィナンシャル・タイムズ紙の記事は、AUKUS(アメリカ、イギリス、オーストラリア間の安全保障枠組み)に対する議論と、それが日本に及ぼす影響に焦点を当てている。

 AUKUSは、オーストラリアがアメリカやイギリスから原子力潜水艦を取得することを含む、地域安全保障の新たなアプローチを提案している。この枠組みは、太平洋地域における中国の台頭に対抗する戦略の一部として位置づけられている。しかし、その実現にはいくつかの懸念がある。

 まず、AUKUSの実現可能性に関する懸念がある。特に、オーストラリアが太平洋地域における米国の主導権を支えるという決断が持続的かどうかについて疑問が投げかけられている。また、AUKUSの政治的な面でも不安があり、将来の米国政権がこの枠組みにどのような姿勢を取るかに関する懸念がある。

 さらに、AUKUSが地域の安定に与える影響にも焦点が当てられている。特に、アジア太平洋地域における軍事的緊張の増大や、中国との関係悪化の可能性に対する懸念がある。このような懸念から、AUKUSが地域の安全保障状況をどのように変化させるかが注目されている。

 さらに、日本との関係においても、AUKUSがどのような影響を与えるかが焦点となっている。特に、日本が次期戦闘機の第三国輸出解禁を求める理由や、その重要性が強調されている。日本がAUKUSに取り残されることを避けるためには、これらの問題に対する適切な対応が求められる。

 総じて、AUKUSに対する議論はさまざまな側面から展開されている。地域の安全保障における重要な枠組みとして期待される一方で、その実現可能性や地域の安定への影響に対する懸念も根強く存在している。日本との関係においても、これらの問題に対する適切な対応が求められていることが明確に示されている。

 この記事は、元記事の要約です。詳細は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】日本の選択―武器輸出解禁で防衛力強化、TPPをWTOルールとし国際ルールをリードせよ

まとめ
  • 一国家だけでは安全保障を完全に確保することが困難な時代となり、同盟国との協力関係が不可欠
  • 価値観を共有する民主主義国家同士が防衛面で手を携えることが、費用対効果と相互信頼の面で合理的
  • 日本が次期戦闘機の輸出を解禁しないと、最新軍事技術から取り残されるリスクがある
  • 輸出解禁で同盟国との武器移転が可能になれば、共同開発によるコスト削減や運用の効率化が期待できる
  • TPPで確立した新ルールをWTOに反映させることで、日本が経済面でも国際ルール作りを主導できる
今日の国際情勢を見れば、一国家だけで安全保障を完全に確保することは極めて困難です。ますます高度化する軍事技術、さらには経済的・財政的制約から、各国は防衛面での同盟関係の重要性を増してきています。

とりわけ価値観を共有する民主主義国家同士が手を携えることが、費用対効果や相互の信頼関係の観点から合理的であると考えられています。このような流れは今後さらに加速していくことが予想されます。

そうした中で、日本が次期主力戦闘機の輸出を解禁しないことには大きなリスクがあります。AUKUSなどの先進国間の防衛協力の枠組みから取り残され、最新の軍事技術情報から遠ざかってしまう恐れがあるのです。

日英伊の共同開発の戦闘機 AI生成画像

高性能な戦闘機の開発には莫大な費用がかかり、一国だけの力では限界があります。同盟国との技術共有なくしては、日本の防衛産業の国際競争力は低下し、いずれは遅れをとってしまうでしょう。

一方で、輸出解禁により同盟国との武器移転が可能になれば、防衛装備品の共同開発が進み、大量生産によるコスト削減や相互運用性の向上など、大きなメリットが生まれます。開発当初から設計の共有や人材交流など、防衛分野での緊密な協力関係が構築できるようになるのです。単なる物資の移転にとどまらず、同盟国間の絆を一層強固なものとすることにつながります。

さらに重要な点は、輸出解禁を機に、日本が国際社会での武器移転ルール作りに積極的に関与できるようになることです。現在、先進国主導で新たな枠組み作りが進められていますが、武器を輸出しない国では発言力に限界があります。

輸出を解禁すれば、日本の価値観や考え方を国際ルールに反映させやすくなり、地域の平和と安定に貢献できるはずです。   

もちろん、武器輸出には慎重な対応が求められます。輸出先の選別や使用用途の制限など、厳格な輸出管理体制を整備する必要があります。しかし、そうした課題をクリアできれば、輸出解禁は日本の防衛産業の活性化や同盟国との信頼関係強化に大きく寄与するでしょう。

AUKUSを中心とした同盟国間の協力関係をより緊密なものとし、新時代の安全保障体制の構築に日本が中心的な役割を果たせるよう、次期戦闘機輸出解禁の重要性は計り知れないものがあると言えます。

日本は米国が離脱したTPPを主導し、自由で公正な経済ルールづくりに尽力してきました。

TPPは関税撤廃などの伝統的な貿易自由化に加え、労働、環境、電子商取引など、21世紀型の新しいルール作りを目指す経済連携協定です。投資家対国家紛争解決制度(ISDS)の見直しなど、従来の枠組みを超えた先進的な内容が盛り込まれています。

拡大TPP参加国

そうした経験と実績を生かし、日本がTPPで構築したルールをWTO(World Trade Organization)の多角的な枠組みに反映させていくことは、極めて有望な選択肢だと言えます。

WTOルールはかつての時代の産物であり、デジタル化の進展やサービス貿易の拡大など、現代の経済実態に必ずしも適合していない面があります。TPPのような21世紀型ルールを導入することで、WTO自体を時代に適ったものへと進化させられるからです。

もちろん、加盟国の利害対立から、WTOでのルール改革は容易ではありません。しかし、日本が主導してTPPで確立した新しいルールを足がかりに、徐々にWTOのルール見直しを働きかけていくことは有力な戦略オプションとなり得ます。

そうすれば、日本は単に同盟国との防衛協力関係を深めるだけでなく、経済面でも国際ルール作りの主導権を握れるようになります。安全保障と経済、両面でグローバルな影響力を高められるはずです。

自由貿易を旗印に、公正なグローバルスタンダードを主導することは、日本が掲げる「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現にも大きく寄与するでしょう。武器移転だけでなく、経済連携でも日本が主導的役割を果たすことが、平和で安定した国際秩序の確立につながると考えられます。

日本の三文芝居のような政局 AI生成画像

現在日本は、選択を迫られているといえます。と同時に、これは日本にとって次の飛躍への大きなチャンスでもあります。残念ながら、今の日本は、政治が停滞しており、この選択のチャンスを活かせるのかどうか心許ない状況にあります。

心ある政治家や、官僚は現状の政治の三文芝居のような停滞状況は別にして、将来の日本を形作るための準備を怠りなくすすめていただきたいです。

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2024年1月21日日曜日

能登半島地震、自衛隊への「誤った論評」に注意 他国の侵攻を防ぐ国防が任務、初動1000人の妥当性、ヘリから物資輸送―【私の論評】自衛隊批判の背後にある、補給の限界と兵站の重要性への認識不足

能登半島地震、自衛隊への「誤った論評」に注意 他国の侵攻を防ぐ国防が任務、初動1000人の妥当性、ヘリから物資輸送

まとめ
  • 自衛隊の初動は遅かったという批判は誤りである。発災から約20分で偵察機が離陸し、約1時間後には陸自部隊が前進を開始した。
  • 初動1000人という人数も批判されているが、これまでの経験から妥当な判断である。
  • 戦力の逐次投入も、道路が寸断されて近づくことができないため、最善の判断である。
  • 空から物資投下は、ヘリが下りられない場所に行うことは危険である。
  • 自衛隊は、国防の組織であり、災害派遣はあくまでも自治体機能の回復までの一時的措置である。
石川県輪島市の輪島朝市のあった場所での航空自衛隊によるドローンによる捜索活動

 能登半島地震に関するデマや偽情報、そして「自衛隊が遅い」などの論評が出回っている。これらの論評は、自衛隊に対する理解不足や誤解に基づいている。

 自衛隊は国防の組織であり、災害派遣は第2の任務である。災害対処の責任は地元自治体にある。自衛隊は自治体機能が回復するまでの一時的措置として派遣される。

 今回の能登半島地震では、自衛隊は発災から約20分で偵察機を飛ばし、約1時間後に地上部隊を派遣した。これは過去の災害と比較して迅速な対応である。

 初動1000人という規模も、これまでの経験から妥当な判断である。戦力の逐次投入も、道路が寸断されて近づけない場合や、状況が把握できていない場合には、最も合理的な方法である。

 空からの物資投下は、可能な場所では実施されている。ヘリの飛行可能時間ギリギリまで任務を行っている。ヘリが下りられない場所に上から物を落とすことは、地上の人にとって危険である。

 被災地にパラシュートで降下するというのは、現実的ではない。

 災害時こそ、国の防衛意識を高める必要がある。日本海側は北朝鮮による拉致の現場でもある。能登半島地震は、自衛隊の役割と重要性を改めて認識する機会となった。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】自衛隊批判の背後にある、補給の限界と兵站の重要性への認識不足

まとめ
  • 能登半島地震に関するデマや「自衛隊が遅い」批判は、自衛隊に対する理解不足から生まれている。
  • 平和な状況への慣れが、災害時の自衛隊の対応に関する理解不足や誤解を招いている可能性がある。
  • 戦争では兵站が勝敗を左右し、兵站の成否が戦局を決定づける。兵站が戦争の形を規定してきた歴史的事実がある。
  • 能登半島の急峻な地形が救援活動を難しくし、他の地域と比べても道路が寸断されやすいなどの障害がある。
  • 救援活動の難しさがあるからこそ、自衛隊派遣の要請があり派遣されている。今回の震災を期に、補給の限界と兵站の重要性が認識されるべき。
桜林さんの"能登半島地震に関するデマや偽情報、そして「自衛隊が遅い」などの論評が出回っている。これらの論評は、自衛隊に対する理解不足や誤解に基づいている"という指摘は正しいです。

なぜ、このような理解不足や誤解が起こるのかといえば、日本人があまりに平和の"お花畑"に浸かってきたためかもしれません。

実際に戦争になった場合に、特定の地域に軍隊を派遣したり、そこで作戦を実行するためには何をどうすべきかについてまともに考えたこともない人が増えた結果、「自衛隊が遅い」等という議論が平気でされるような雰囲気が醸し出されてきたのではないでしょうか。

実際に戦争になった場合、何が勝敗を分けるかといえば、兵站(ロジスティックス)です。この重要性については何度か、このブログにも掲載したことがあります。その内容を以下に再掲します。

戦史家のマーチン・ファン・クレフェルトは、その著作『補給戦――何が勝敗を決定するのか』(中央公論新社)の中で、「戦争という仕事の10分の9までは兵站だ」と言い切っています。

マーチン・ファン・クレフェルト

実は第2次世界大戦よりもはるか昔から、戦争のあり方を規定し、その勝敗を分けてきたのは、戦略よりもむしろ兵站だったのです。極言すれば兵士1人当たり1日3000kcalの食糧をどれだけ前線に送り込めるかという補給の限界が、戦争の形を規定してきました。そう同著は伝えています。

エリート中のエリートたちがその優秀な頭脳を使って立案した壮大な作戦計画も、多くは机上の空論に過ぎません。

現実の戦いは常に不確実であり、作戦計画通りになど行きません。計画の実行を阻む予測不可能な障害や過失、偶発的出来事に充ち満ちているのです。

史上最高の戦略家とされるカール・フォン・クラウゼビッツはそれを「摩擦」と呼び、その対応いかんによって最終的な勝敗まで逆転することもあると指摘しています。

そのことを身を持って知る軍人や戦史家たちの多くは、「戦争のプロは兵站を語り、素人は戦略を語る」と口にします。
戦争と地震による震災は根本的に異なると考える人もいるかもしれませんが、戦闘による被害と、地震や津波による被害という違いはありますが、甚大な被害を受けているということでは同じです。

今回の自衛隊による能登半島地震における救援活動は、戦闘は含まないものの、軍隊による戦争被害を受けた住民や部隊の救援活動と似ているところがあります。

だからこそ、自衛隊の派遣が要請されるのです。そうして、補給の限界が、戦争の形を規定するように、補給の限界が、救援活動の形を規定するのです。補給の限界があるところに、物資や人員を過剰に送り込んでも、意味はなく、現場が混乱するだけなのです。

特に、能登半島の地形が、救援活動の形を規定するのです。このことが多くの人にはピンときていないのかもしれません。これについては、以前ツイッターで述べたことがあります。その内容を以下に掲載します。

このツイートは、1月6日のものです。
https://twitter.com/yutakarlson/status/1743598352812712272
なぜ、ボランティア活動などを今の段階で、募集しないのかには、それなりの理由があります。能登半島の地形は、他とは著しく異なるからです。

石川県の能登半島と、台湾とでは、地形にいくつかの共通点があります。海岸から急峻な山がそびえ立つことや、山岳地帯が多いという点で共通しています。

これが、中国が台湾に侵攻することを著しく難しくしている一方で、能登半島の自衛隊による救援活動を著しく難しくしています。

能登半島の東側には、標高2,702mの白山をはじめとする日本海側の最高峰が連なっています。これらの山々は、ユーラシアプレートとフィリピン海プレートの衝突によって形成された、活断層帯に沿って位置しています。そのため、海岸から急峻な山々がそびえ立つ地形となっています。

台湾の中央部には、標高3,952mの玉山(富士山より高い)をはじめとする中央山脈が連なっています。これらの山々も、ユーラシアプレートとフィリピン海プレートの衝突によって形成された、活断層帯に沿って位置しています。そのため、能登半島と同様に、海岸から急峻な山々がそびえ立つ地形となっています。

このような地形であるからこそ、能登半島の救援活動は思いの他難しいのです。このような地形では、地震や地滑りにより、他の地域よりはるかに、道路が寸断されやすいです。船で、物資を運ぶにしても、揚陸できる場所は限られています。

このことを日本への救援隊を派遣しようとした、台湾もすぐに納得したでしょう。一方、米軍は日本に基地を設置し、自衛隊とも頻繁に共同訓練をし、石川県でも共同訓練をしていて、日本の地理を知り抜いていますから、日本政府も米軍の支援を早々と受け付ける決定をしたのでしょう。

現在能登半島にボランティア活動に押しかけている人たちは、そのようなことも熟知せず、軍隊であれば、素人が難攻不落の要塞に挑むようなものであり、自分たちの無謀さを思い知り、なぜ石川県が現在の段階で、ボランティアを募集しなかったか、その理由思い知ることになるでしょう。

彼らは、早々に音を上げると思います。地理や地政学を知らないことの、典型的な見本だと思います。写真は、左は、台湾東部の海岸です。右は、能登半島の堂ヶ崎の写真です。

 こうした、補給の限界が、戦争の形を規定するように、補給の限界が、救援活動の形を規定するのです。このツイートをした時点で、ボランティア活動をした人たちもいるようですが、実際には、切実に助けを必要とした人達に対して救援活動ができていたのは、自衛隊のみでしょう。

兵站に関して上で述べた事例では、食料を例としましたが、戦争ならこの他に武器弾薬を運ばなければなりません。武器のうち、大砲や戦車、航空機ななどは頻繁にメンテナンスが必要ですから、メンテナンス機材や要員の輸送も考えなければなりません。これを怠れば、戦闘の継続は難しくなります。

救援活動などでは、まず救援活動をする自衛隊員の食料の輸送を考えなければなりません。自衛隊員は機械やロボットではありませんから、救援活動をするためにも1日あたり3千カロリーが必要ですし、武器弾薬は必要ないものの、支援対象の人々への物資を運ばなければなりません。また、長時間働いた隊員には休養も必要です。

桜林さんは、被災地にパラシュートで降下というのは現実的ではないとしていますが、まさにそうです。パラシュートで降下した自衛隊の空挺部隊は、当面の物資を運ぶことはできますが、自らの活動のための食料などの物資も同時に運ばなければならないですから、運べる物資の量は限られています。

食料がなくなった空挺部隊は、現地で食料を調達するしかなくなります。それは、被災者の食料を奪うことになります。そんなことは、とてもできないでしよう。そうなると、空挺部隊の要員は飢に苦しむことになります。

そもそも、空挺部隊は、いずれ後続部隊が来ることを前提として、敵地に投入されるものです。後続部隊がしばらく来なくても、もちろん、空挺部隊は、できるだけ長く生き延びて、敵の戦力を撹乱したり、情報を収集したりすることができます。しかし、その場合でも、後続部隊が来なければ、空挺部隊の活動意義は、大きく制限されることになります。

ウクライナ戦争初戦で、キーウ近くのアントノフ国際空港に投入されたロシアの空挺部隊は、結局後続部隊が来なかったため、ほぼ全滅しました。

破壊されたアントノフ国際空港

中国による台湾侵攻も、補給の限界から、実は難しいです。無論、ただ破壊するだけというなら、ミサイルを発射すれば良いですから、難しいことはありませんが、実際侵攻するということになれば、多くの兵員、武器弾薬、食料など物資を運ばなければなりません。しかも、台湾の急峻な地形を考えると、実際に戦闘になるであろう地区まで必要十分な物資を到達させることは、至難の技ですす。

これは、現在進行中のウクライナ戦争において、ロシアはウクライナの都市をいくつも破壊したものの、未だに多くの地域を制圧できていないことを思い浮かべていただくとご理解いただけるものとと思います。

破壊=占拠ではないです。侵攻とは、戦闘で相手を打ち負かした上に、それらの地域を占拠し、その地域を統治することまで含まれるので、破壊だけと比べると、難易度はかなりあがるのです。簡単なことではないのです。テロリストのように、破壊することが目的で、破壊だけするというのとは全く次元が異なるとうのが、侵攻するということの本当の意味です。

しかし、中国による台湾侵攻が簡単にできると思い込んでいる人も多いです。そういう人は、残念ながら能登の自衛隊による救援活動も簡単だと思ってしまうのでしょう。本当に困ったものだと思います。能登半島地震をきっかけに補給の限界、兵站の重要性が認識されると良いと切に願います。

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2023年11月30日木曜日

キッシンジャー元米国務長官が100歳で死去、米中国交樹立の立役者―【私の論評】外交の巨星がもたらした世界の変革と教訓

 キッシンジャー元米国務長官が100歳で死去、米中国交樹立の立役者

まとめ

  • 大統領補佐官として72年のニクソン大統領の電撃的な訪中を実現した
  • 冷戦下で旧ソ連とのデタントや戦略兵器制限条約の実現に貢献



 キッシンジャー氏は米国政権で大きな影響力を持ち、特にニクソン、フォード政権下でその力が顕著だった。彼の最も著名な業績の一つは、ニクソン大統領の中国訪問の実現であり、これが1979年の米中国交樹立の基盤を築くことにつながった。同様に、彼はベトナム戦争の終結に向けたパリ和平協定に尽力し、その功績により1973年にノーベル平和賞を受賞した。

 彼の経歴は卓越しており、ナチスの迫害から逃れて家族と共に1938年に渡米し、ハーバード大学で学び、政治の世界に進出した。彼の外交政策は冷戦時代の米ソ関係を緩和し、戦略兵器制限条約などに貢献したが、同時に彼の支持した政策は批判を受けた。彼の関与したベトナムやカンボジアへの大規模空爆、ピノチェト政権やその他の軍事政権の支援、そして東ティモールやバングラデシュなどでの大量虐殺への見過ごしに対して、批判があった。キッシンジャー氏の政治的遺産は、その複雑さと議論の余地がある点において、歴史的に注目されている。

 この記事は、元記事の要約です。詳細をご覧になりたい方は、元記事を御覧ください。

【私の論評】外交の巨星がもたらした世界の変革と教訓

まとめ
  • キッシンジャーの外交政策は地政学的な変化をもたらし、中国との関係改善やベトナム戦争の終結を実現した。
  • 彼のアプローチは現実主義的で、大胆な戦略ビジョンを持ち、長期的な視点を持っていた。
  • 彼の政治手法はイデオロギーよりも実利に重きを置いており、世界政治における個人的な関係の重要性を理解していた。
  • 彼の中国との関係改善は米国の地政学的余裕を拡大し、多極的な秩序を形成することに貢献した。
  • キッシンジャーの遺産は、現代の指導者に大胆さ、ビジョン、外交における個人的な関係構築の重要性を示している。
ヘンリー・キッシンジャーは、米国の外交政策と外交において傑出した人物でした。中国の開放やベトナム戦争の終結など、彼の功績は何世代にもわたって地政学的な景観を形作りました。

彼の重要な功績がなければ、今日の世界はまったく違ったものになっていたでしょう。キッシンジャーは、中国のような敵対国を孤立させるのではなく、関与させることが米国の国益に最も貢献することを理解していました。

彼の現実主義的なアプローチは生産的なものでした。彼は長期的な視野に立ち、当時は物議を醸すと思われた大胆な行動も、先見の明を持って行う戦略的ビジョンを持っていました。中国との関係樹立は、数十年にわたり米国に国際舞台での影響力を与えた名手でした。

レーガン(左)とキッシンジャー(右)

現在は、彼のような政治家は不足しています。キッシンジャーの死は、米国が外交問題において自信に満ち、確かな足取りを持っていた時代の終焉といえるかもしれません。

今日の指導者たちは、キッシンジャーから学ぶべきことが多いです。短期的な思考ではなく、彼のような歴史感覚と現実政治への理解が必要なのです。

キッシンジャーは常に広い歴史的視野に立っていました。彼は、今日の政策や出来事が5年、10年、20年先の米国の利益にどのような影響を与えるかを考えていました。今日の指導者たちは、短期的な勝利や次の選挙サイクルに集中しすぎています。もっと戦略的に考えるべきです。

キッシンジャーはイデオローグに左右されない、プラグマティストでした。彼は硬直したイデオロギーではなく、現実的な解決策と米国の国益を重視しました。今日の指導者たちは、より現実的で、有意義な結果を得るために妥協することを厭わない必要があります。

キッシンジャーは、グローバルな舞台では理想主義には限界があることを理解していました。彼は現実政治を実践しました。理想だけでなく、現実的な力に基づいて他国と取引したのです。

今日の指導者は、理想主義と現実政治的な感覚を組み合わせる必要があります。道徳的な姿勢だけでは、ほとんど成果は上がりません。

キッシンジャーは、敵を孤立させることが逆効果であることを知っていました。関与と外交は、影響力を行使し、米国の利益を促進するためのより良い手段でした。

キッシンジャー(左)と周恩来(右)

もし、中国との関係正常化に失敗すれば、米国と世界にとって大きな問題となったでしょう。 -当時、中ソの分裂によって、キッシンジャーとニクソンは両方の共産主義大国の間にくさびを打ち込むことができました。中国との国交正常化がなければ、この楔はできなかったでしょう。その結果、統一共産圏がユーラシア大陸を支配することになったかもしれないです。

米国は孤立したままで、選択肢も限られていたでしょう。中国を開放することで、米国は地政学的により多くの余裕を得て、大国の間で三角関係を築き、自国の利益を高めることができるようになったのです。中国から孤立したままでは、米国の手腕は制約されたままだったでしょう。

米国の貿易と投資がなければ、中国はより長く停滞していたかもしれないです。米国の開放は中国の経済改革と成長を促しました。そうでなければ、中国経済は閉鎖的で低迷したままだったかもしれないです。そうなれば、やがてアジアはさらに不安定化していた恐れがあります。

そうなれば、世界のパワーバランスも変わっていたでしょう。米国は中国との関係を築くことで、数十年にわたって多極的な秩序を形成してきました。米国は中国と関係を持つことで、ソ連の力を牽制し、中国が台頭する隙を与えました。

もしこのリバランシングが行われていなければ、今日の世界は米国の利益に対してより敵対的なものになっていたでしょう。米国は中国の文化大革命の混乱期にアジアを安定させる重要な役割を果たしたといえます。

米中関係の強化はまた、台湾のような同盟国との危機を乗り切る上で、米国に影響力を与えたもいえます。キッシンジャーとニクソンの中国開放構想は、地政学的に莫大な利益をもたらし、現代世界をより良い方向へと形作ったといえます。そうして、なぜ米国のグローバルな関与と戦略的外交が重要なのかという教訓でもあるといえます。別の選択肢は、おそらく今日、はるかに危険で不安定で、米国の利益を寄せ付けない世界をもたらしたことでしょう。

今日、指導者はキッシンジャーに倣い、孤立政策を追求するのではなく、中国、ロシア、イランのようなライバルに関与すべきです。

キッシンジャーは、世界政治が極めて個人的なものであることを知っていました。彼は世界の指導者たちと親密な関係を築き、外交上の突破口を開きました。今日の指導者たちは、官僚主義や制度に頼りすぎているようです。外交政策の重要な目標を推進するためには、もっと個人的な関係を築く必要があるのです。

文化革命期の中国

キッシンジャーは、中国開放のような大きく大胆で歴史的なことを敢行しました。彼は世界における米国の役割について壮大なビジョンを持っていました。今日の指導者たちには、大胆さとビジョンが欠けており、米国人を奮い立たせることも、世界の出来事を重要な形で形作ることもできない、小手先の政策を追求しているようです。

いまこそキッシンジャーのような野心と可能性の感覚が必要といえます。キッシンジャーの知恵と世界観は、多くの教訓を与えてくれます。世界政治における彼の卓越した知識は、今日、そして次世代を担うリーダーたちの手本となるものです。

こうした原則を、中国の台頭や多極化する世界といった今日の課題に適用することを模索すべきです。キッシンジャーの米国外交と世界政治への多大な貢献は長く記憶に残るでしょう。

今日キッシンジャーを過去の政治家と評するむきもありますが、ウクライナ戦争によって疲弊したロシアが中国に接近するどころか、ジュニアパートナーとなる可能性があることをこのブログでも指摘しました。

そうなると、再び中国・ロシアによる統一共産圏がユーラシア大陸を支配する可能性もでてきたといえます。無論、キッシンジャーが活躍した時代は、ソ連が優勢、現在は中国が優勢という違いはありますが、現在の世界は、キッシンジャー流の知恵が必要とされる局面に近づきつつあるといえます。

ただ現在の我々は、米国と国交回復した中国がその後どのような国になったのかを知っています。こうした知見も活かすべきです。当時の国交回復は間違いではなかったと思うのですが、その後の歴代の政権、特に民主党政権は、中国対応を大きく間違えたと思います。

特に、2001年12月11日、中国が世界貿易機関(WTO)に加盟に米国が尽力したのは大きな間違いでした。時のアメリカ大統領はビル・クリントンでした。

ヘンリー・キッシンジャーは中国のWTO加盟を強く支持していました。キッシンジャーは、中国のWTO加盟が中国をグローバル経済に統合し、この地域の安定を促進すると考えていました。キッシンジャーは、公の場での演説や中国の指導者たちとの私的な会合で自らの見解を表明しまた。

しかし、キッシンジャーは中国のWTO加盟がもたらす潜在的な影響についても懸念を抱いていました。キッシンジャーは、中国がWTOの規則や規制を十分に遵守せず、それが不公正な貿易慣行につながるのではないかと懸念しました。また、中国の経済成長は米国の経済的利益に対する挑戦となりうると考えていました。

中国のWTO加盟に対するキッシンジャーの立場は現実的でした。潜在的な利益はリスクを上回り、中国の加盟は中米双方にとってプラスになると考えていたようです。

キッシンジャーは、こうした一流の人物にありがちな毀誉褒貶も激しい人物ではありますが、公僕の真の姿を体現した人物でもあります。彼は、気品と知恵と手腕を兼ね備え、米国が重大な局面を迎えた時期に、その役割を果たしました。彼の遺産と時代を超えた教えは、後世の人々を導き続けることでしょう。一言で言えば、彼はなくてはならない人物でした。合掌。



【湯浅博の世界読解】「自滅する中国」という予言と漢民族独特の思い込み―【私の論評】すでに自滅した中国、その運命は変えようがない(゚д゚)!

2023年10月15日日曜日

中東で「戦争状態」突入の余波 第三次世界大戦前夜の状況 欧米首脳より遅れた岸田首相の投稿、日本の異質さが浮き彫りに―【私の論評】日本の未来を守る!強固な安全保障政策の必要性(゚д゚)!

まとめ
  • ハマスがイスラエルを急襲し、「戦争状態」が発生
  • ハマスはパレスチナを代表せず、ガザ地区を支配し、イスラエル殲滅を目指す
  • 国際的に支持されている「二国家解決」へのバイデン政権の賛成が変化をもたらしている
  • 米国がイスラエルへの軍事支援を行うことで、ウクライナ支援が制約されている可能性。
  • 日本は台湾有事に備え、国際情勢が不安定であるため慎重な対応が必要

ハマスに誘拐された子どもたち(左は三歳、右は7歳) 写真はブログ管理人挿入

 ハマスによる急襲がイスラエルとの「戦争状態」を引き起こしている。ハマスはイスラエルの殲滅を目指し、パレスチナ全体を代表するわけではなく、特にガザ地区を支配し、パレスチナ人を抑圧してい。

 長い歴史にわたる紛争の背後には、第一次世界大戦中の英国の「二枚舌」政策があり、アラブ人とユダヤ人に独立国家を約束していたことが挙げられる。国際的には「二国家解決」が支持されており、バイデン政権はこれに賛成しているが、これに反対してきたイスラエルとの関係が変わりつつある。

 アラブ諸国は一般的にパレスチナを支持しているが、最近ではイスラエルとの関係改善が進んでおり、ハマスはこれを嫌っていた。ハマスの急襲は単なるテロ行為であり、平和的なイベントを襲撃し多くの人々を攻撃し、人質を取ったことがその明白な証拠だ。また、一部の報道では、イランがハマスを支援し、イスラエルに核兵器で対抗しようとしている可能性も指摘されている。

 米国はイスラエルに高い優先度を置いており、軍事支援を提供する見込みだ。これがウクライナ支援に影響を及ぼす可能性があると指摘されている。現在の国際情勢は不安定で、日本にも影響を及ぼす可能性がある。台湾有事が最も懸念されており、日本の対応についても検討が必要だ。この事件の解決が難航する場合、ウクライナ、イスラエル、北朝鮮に対する対応が影響を受ける可能性があるため、日本は慎重に行動しなければならない。

【私の論評】日本の未来を守る!強固な安全保障政策の必要性(゚д゚)!

まとめ
  • 現在の国際状況は複雑で不安定であり、第三次世界大戦のリスクは依然として極端な可能性に留まるものの、指導者の外交、国際協力、慎重な意思決定が重要である。
  • ウクライナ、東アジア、中東で同時に大規模な戦争が発生するリスクが存在し、誤った対応が世界的な大戦につながる可能性がある。
  • ロシアのウクライナ侵攻は複雑な要因によって引き起こされたが、バイデン政権の判断ミスも一因とされており、その教訓を踏まえた外交政策が必要。
  • 日本はアジアにおいて重要な役割を果たし、台湾有事に備えて米国と協力し、明確な戦略を採用すべき。
  • 日本は中国からの依存を減少し、貿易と同盟を多様化し、中国への制裁や貿易制限を強化すべき。また、台湾を支援し、北朝鮮問題にも積極的に対処すべき。

確かに現在は、国際的に複雑で潜在的に不安定な状況にあります。ただし、第三次世界大戦のような本格的な世界大戦のリスクは、依然として遠くて極端な可能性にとどまっているようにも見えますが、この状況は、世界の指導者による外交、国際協力、慎重な意思決定が重要なことを示していると思います。

一歩間違えると、ウクライナ、東アジア、中東で同時に大きな戦争になりかねません。今すぐにではなくても、各国の指導者が対応を間違えると、後に世界的な大戦になりかねません。

我々は、すでにそれに近いことを経験しています。わずか1年数ヶ月前までは、多くの人はロシアのような国が、情報戦などを駆使して、武力を背景としながらも、本格的に武力を使わずにクリミアを手に入れるようなことはあり得るにしても、今世紀に過去のような本格的な武力侵攻などないだろうと、考えていました。

しかし、その考えは、ロシアのウクライナ侵攻で見事に打ち破られました。一歩判断を間違えれば、このようなことはあり得ます。

ロシアのウクライナ侵攻は、複雑な要因が絡み合って引き起こされたものではありますが、バイデン政権の判断ミスもその大きな一因であったと考えられます。

バイデン大統領

バイデン政権は、ロシアのウクライナ侵攻を阻止するために、ウクライナへの軍事支援を拡大し、ロシアへの経済制裁を実施しましたが、ロシアの侵攻を阻止するには至りませんでした。

バイデン政権の判断ミスとして指摘されているのは、次のようなものです。
  • ロシアの侵攻を過小評価した。
  • ウクライナへの軍事支援を遅らせた。
  • ロシアへの経済制裁を十分に実施しなかった。
バイデン政権は、ロシアがウクライナに侵攻するとは考えていなかったようで、侵攻を阻止するための十分な準備ができていなかったと指摘されています。また、ウクライナへの軍事支援も、侵攻が始まってから遅れて実施されました。本来は侵攻前に行うべきでした。さらに、ロシアへの経済制裁も、当初は十分な効果がなかったとされています。

バイデン政権の判断ミスは、今後の外交や安全保障政策に大きな影響を及ぼす可能性があります。バイデン政権は、これらの判断ミスの教訓を踏まえて、今後の外交や安全保障政策を再構築していく必要があります。

ロシア、ウクライナ国境付近で、ロシアが大規模な軍事演習を行ったり、その後軍隊を撤収するとみせかけて、さらに大規模な軍隊を配置し続けた段階までに、これに対して厳しい対処をしていれば、ロシアのウクライナ侵攻はなかった可能性も十分にありました。

具体的には、米国はウクライナ、ポーランド付近の国境に大規模なNATO軍を配置したり、場合によってはウクライナ国内にも配置すべきでした。プーチンの核の恫喝に怯むことなく、プタペスト合意に基づき、すぐにロシアと協議するなり、協議に応じなかったり、応じても態度を改めなかった場合、ウクライナを守り抜くことを宣言すべきでした。ウクライナ侵攻を阻止する手立ては何段階においもありました。

もうすでに、現在唯一の超大国米国がこのような判断ミスをしているのですから、日本としても警戒を強める必要があります。特に台湾有事は十分にあり得ることを念頭において行動しなければなりません。

無論中国が台湾に侵攻するのは、このブログでも何度か指摘したように、一般に思われているよりはるかに難しいことですが、それにしても、中国が台湾をかなり破壊することは、侵攻せずともすぐにでもできます。

実際、ロシアのウクライナ侵攻はうまくはいっていませんが、それでもロシアはウクライナの多くの都市を破壊しています。ハマスもイスラエルに大量のミサイルを発射したため、イスラエルはこれに反撃したものの、全部のミサイルは撃墜しきれず、イスラエル国内に甚大な被害をもたらしました。このような惨禍はくりかえすべきではありません。

バイデン政権は、ウクライナでの失敗を繰り返さないために、中国が台湾を攻撃したり、侵略してきた場合、米国は台湾を軍事的に守ると宣言すべきです。それも、明確で揺るぎないものでなければならないです。そうして初めて、中国を抑止することができます。

日本はアジアにおいて重要な役割を担っています。日本はかつて安倍晋三氏がそうであったように、 台湾に関して「戦略的明確性」のある政策を採用するよう米国に強く働きかけるべきです。

安倍元首相

米国は、中国の台湾に対するいかなる武力行使や侵略にも軍事的対応を取ることを明確にすべきです。これが中国を真に抑止する唯一の方法です。日本の安全保障は台湾の民主主義に依存していることを強調しなければならないです。

米国が曖昧な態度をとれば、他の国々がいくら強硬な措置をとったにしても、中露北やハマスなどのテロ組織は自分たちのチャンスが到来したと、ぬか喜びすることになるでしょう。

さらに、特に北朝鮮のミサイルや中国の野望の脅威がある以上、日本は米国だけに頼ることはできないです。ミサイル防衛システムと海軍力をさらに拡充すべきです。

 日本は、オーストラリア、インド、ベトナム、台湾との協力強化など、中国を取り巻く戦略的軍事同盟に米国とともに参加すべきです。中国に対抗するための基地を設置し、合同演習を行うべきです。

 中国に対する制裁と貿易制限を強化し、中国の経済力を抑制すべきです。中国の国家に対する経済的強制は脅威であり、民主主義国家は団結してこれに対抗しなければならないです。主要産業への技術移転と中国の投資を制限すべきです。

中国からの圧力に直面している台湾に対し、外交的・経済的支援を行うべきです。台湾が独立を維持し、民主的な政府を承認し続けることを支援すべきです。

日本は、中国に過度に依存しないよう、貿易と同盟関係を多様化すべきです。TPP加盟国のように、民主的価値を共有するパートナーに焦点を絞るべきです。

バイデン政権に、北朝鮮問題にも直接関与し、非核化なしに制裁を解除することを拒否することで、北朝鮮のミサイル計画に厳しく対処するよう要求すべきです。北朝鮮は依然として危険であり、特に中国と協力しています。

ただ一方では、日本ではほとんど認識されてぃませんが、北朝鮮とその核の存在が結果として、中国の朝鮮半島への浸透が防いでいる面もあります。国際情勢は単純ではないのです。バイデン政権は、これを無視する可能性もあり、そうなれば、かえって朝鮮半島の危機は高まります。これに留意しつつも、北を抑制する方向に米国が動くように日本は働きかけるべきです。

北は、かつて日本人を多数拉致しています。そうして、韓国内で軍事行動を起こしたこともあります。

江陵浸透事件(カンヌンしんとうじけん)は、1996年韓国の江原道江陵市付近の海域において、韓国内に侵入して偵察活動を行っていた工作員を回収しにきた北朝鮮の特殊潜水艦(サンオ型潜水艦)が海岸に接近したところ座礁し、帰還の手段を失った乗組員と工作員26名のうち艦長以下11名が集団自決、他は韓国内に逃亡・潜伏し、大韓民国国軍がこれに対し掃討作戦を展開した事件です。

天安沈没事件は、大韓民国海軍の浦項級コルベット「天安」が2010年3月26日に朝鮮人民軍の魚雷攻撃で撃沈された事件です。日本では、外務省が韓国哨戒艇沈没事件と呼称した他、韓国哨戒艦撃沈事件との表記も見られました。

北朝鮮は日本に対してこのような行動をする可能性は否定できません。中国も、正規軍ではなく、民兵を使って、尖閣上陸、実効支配する可能性は否定できません。それで成功すれば、さらにエスカレートさせる可能性もあるでしょう。

バイデン米大統領と岸田首相 頼りない二人だが、世界の安保のためできるだけのことをしてほしぃ

今はそのような兆候はないかもしれませんが、長期にわたってそのような危機はありえないとの保証は誰にもできないでしょう。朝鮮半島有事、台湾有事があれば、日本に難民が押し寄せる可能性がありますが、かつて麻生太郎氏が語っていたように、その中に武装難民がいる可能性もあり得ます。仮にそうなれば、日本も現在のイスラエルのような立場になることもあり得ます。

日本は世界の出来事に影響を与える極めて重要な立場にあります。米国に主導権を発揮させながらも、脅威に対抗するために独自の行動をとることで、日本はウクライナやイスラエルのような事態を避けることができるでしょう。岸田政権はその責務を果たすべきです。

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