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2021年9月17日金曜日

中国がTPP正式申請も…加入できないこれだけの理由 貿易摩擦、領有権問題などなど門前払いの可能性―【私の論評】英国は加入でき、中国はできないTPPは、世界に中国の異質性をさらに印象づけることに(゚д゚)!

中国がTPP正式申請も…加入できないこれだけの理由 貿易摩擦、領有権問題などなど門前払いの可能性

中国の習近平国家主席

 中国は16日、日本などが参加している環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加入を正式申請した。TPPによる中国包囲網に対する習近平主席の強い警戒感が背景にあるとみられるが、自由化と透明性が要求されるTPPはハードルが高い。他の加盟国との対立も抱え、門前払いの可能性もある。

 習主席は昨年11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、TPP参加を「積極的に検討する」と表明していた。

 TPPには英国も参加を申請し、台湾も意欲を見せている。米国が離脱後、TPPを主導する日本では自民党総裁選が行われるなど政局が流動化している時期に加入を申請し、揺さぶりをかける狙いもあるようだ。

 だが、交渉入りには高い水準のルール順守が前提条件になる。TPPは国有企業への優遇や補助金で自由競争をゆがめることを禁じている。政府調達の際の外資排除や国外へのデータの持ち出し禁止を含めた強権的な自国優遇策も問題だ。共産党の一党支配をやめるぐらいの覚悟がないと加入は難しいのが現実だ。

 また、加入には全参加国の承認が必要だが、オーストラリアと貿易摩擦を抱えるほか、ベトナムとは南シナ海の領有権問題で対立、日本も尖閣問題に神経をとがらせている。

 いずれにせよ、中国の思惑に振り回されるのは得策ではない。

【私の論評】英国は加入でき、中国はできないTPPは、世界に中国の異質性をさらに印象づけることに(゚д゚)!

中国のTPP加入は、結論からいうと不可能です。そもそもWTO違反を繰り返す、中国がより厳しい貿易協定であるTPPに加入することはできません。正式申請をしても、確実に門前払いになります。

現在の通商代表部(USTR)代表キャサリン・タイ氏 両親が台湾出身の米国人

2018年、米国通商代表部(USTR)は「中国のWTO加盟支持は誤りだった」と する年次報告書を出しています。その趣旨を以下に掲載します。
中国は、2001年にWTOに加盟後、加盟議定 書に定められた条項で要求されるように、 WTOの義務に従うために何百もの法律や規制 などを改正する予定であった。

米国の政策立案 者は、中国の加盟議定書に定められた条項が、 開放的で市場主義的な政策に基づいており、無 差別、市場アクセス、相互性、公平性、透明性 の原則に立脚した国際貿易体制と両立しない既 存の国家主導の政策と慣行を解体することを望 んだ。

しかし、その希望は失われた。中国は現在、 国家主導経済のままであり、米国や他の貿易相 手国は、中国の貿易体制に深刻な問題に直面し 続けている。一方、中国はWTO加盟国として の承認を、国際貿易の支配的プレーヤーにするために利用してきた。これらの事実を踏まえ て、中国の開放的な市場指向の貿易体制が確保 されないことが証明された以上、米国が中国の WTOへの加盟を支持したことが誤りだったこ とは明らかである。

中国はWTO加盟国として の承認を、国際貿易の支配的プレーヤーにするために利用してきました。もし、仮にTPPに入れたとしても、TPPを同じように利用するだけです。

TPPの現状のルールは先進国にとっては当然のことで、部分的に異なることも多少はありますが、それを改定することはさほど難しいことではなく、加入するのは難しくないですが、中国にとっては困難です。中国が現在のままのTPPに加入するためには、国内の体制を変えなければ無理です。

特に、民主化、政治と経済の分離、法治国家化は必須です。これができないと、TPPのルールを満たすことは不可能です。しかし、これを実行してしまえば、中国共産党は国内で統治の正当性を失い、共産党一党独裁制は崩れ、現体制は崩壊することになります。

これについては、昨年このブログに掲載しています。その記事のリンクを以下に掲載します。

習氏、TPP参加「積極的に検討」 APEC首脳会議―【私の論評】習近平の魂胆は、TPPを乗っ取って中国ルールにすること(゚д゚)!

昨年11月APEC首脳会議で議長を務めるマレーシアのムヒディン首相

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の結論部分を引用します。

日本としては、TPPを大いに発展させ、1993年以降の世界貿易の変化を反映したTPP協定の規定をWTOに採用するように働き掛けることができます。これには、EUも賛成するでしょう。 
TPPのルールを世界のルールにするのです。単なる先進国だけの提案ではなく、アジア太平洋地域の途上国も合意したTPPの協定をWTOに持ち込むことには中国も反対できないでしょう。

TPPのルールがWTOのルールとなれば、中国は中共を解体してもTPPルールを含む新WTOに入るか、新WTOには入らず、内にこもることになります。内にこもった場合は、中国を待つ将来は、図体が大きいだけのアジアの凡庸な独裁国家に成り果てることになります。その時には他国に対する影響力はほとんどなくなっているでしょう。

いずれにせよ、TPPは加盟国だけではなく世界にとって、有用な協定になる可能性が高まってきたのは事実です。日本は、TPPのルールを世界の自由貿易のルールとするべくこれからも努力すべきです。

日本は、このような姿勢を堅持すべきです。

麻生太郎財務相は17日の閣議後会見で、中国が日本やオーストラリアなどが参加する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加入を正式に申請したことについて、「今の中国が新規加入できる状態かね」と述べ、否定的な見方を示しました。

オーストラリアのテハン貿易相は17日に声明を出し、2国間で「閣僚級協議で解決すべき重要な問題がある」として中国をけん制した。中国が政治問題と絡めた制裁関税などを解かない限り、交渉入りに応じられないとの立場をにじませました。

オーストラリアのテハン貿易相

テハン氏は、加入交渉を始めるには全加盟国の承認が不可欠で、貿易自由化などで「高い水準」を満たさなければならないとの原則を強調。さらに、新型コロナウイルスや人権問題を巡るオーストラリアの対中政策に反発して、貿易を絡めて圧力を強める中国を暗に批判しました。

環太平洋連携協定(TPP)に参加する11カ国は1日、閣僚級会合「TPP委員会」をテレビ会議形式で開きました。議長を務めた西村康稔経済再生担当相は終了後に記者会見し、英国の加入交渉に関する初会合を今月中にも開催する意向を示しました。今後1カ月以内をめどに開くことで各国が合意し、自由貿易を巡るルール水準を維持することも確認しました。 

西村氏は、英国加入に「極めて大きな戦略的な意味がある」と強調しました。 

この日の会合では6月に事実上始まった英国の加入交渉の進展状況などを議論。終了後に「英国が協定の全ての義務を順守する旨を十分に示すことに期待している」との共同声明を公表しました。

今後TPPは、英国は加入可能なのに、中国は加入できないということで、改めて中国の異質性を顕にすることになりそうです。

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2017年4月24日月曜日

トランプ大統領に「揺さぶり」? 日本が「米国抜きTPP」模索―【私の論評】TPP11で日本が新たな自由貿易のリーダーになる(゚д゚)!


オバマケア廃止法案の可決に失敗した後、ホワイトハウスで記者会見するトランプ
トランプ米大統領が「離脱」を宣言した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)を巡り、日本政府は米国を抜いた11か国での発効「TPP11(イレブン)」を目指す方向にかじを切った。これまでは米国を説得し、翻意するのを待つ構えだったが、アジア太平洋地域の自由貿易を推進する重要性や米国との2国間交渉を有利に進めるうえで、TPPイレブンが得策と判断した模様だ。

TPPは2015年10月、日米やオーストラリアなど12か国が大筋合意し、各国がそれぞれ国内で批准に向けた手続きを進めていた。しかし米大統領に就任したばかりのトランプ氏が2017年1月、離脱の大統領令に署名。TPPは、12か国GDP(GDP)合計の85%を占める6か国以上が批准しなければ発効できない取り決めになっており、約60%を占める米国の離脱で事実上、発効できない状況に陥っていた。

 米国に対する「防波堤」にする狙いも

日本は「市場規模の大きい米国が抜けたTPPは意味がない」との立場から、米国が将来、翻意するのを待って発効を実現したいとの立場だった。しかしTPPは先進国や途上国も含め、知的財産保護など従来の自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)と比べ「画期的なルール作りで合意できた」(経済産業省筋)という自負がある。複数の通商関係者は、世界的に保護主義的な動きが広がる中、日本がTPP発効を目指す姿勢を明確にすることが自由主義を守る立場として重要だと判断したという。

また、TPP11が発効すれば、豪州などは米国より低い関税で牛肉などを日本に輸出でき、米国の農産物の競争力は相対的に低下する。そうなれば米国の農業界は黙っていないはずで、トランプ政権がTPPに戻る可能性も出てくるとの期待もある。

一方、TPPを離脱した米国は今後、日本に対し、2国間のFTA交渉を求めてくるのは必至だ。特に、農業分野で厳しい要求が突きつけられる可能性は高く、TPP11を目指す姿勢を打ち出しておくことで、米国に対する「防波堤」にする狙いもある。

 ベトナムなどは再交渉を求める可能性

ただ、TPP11が実現するか否かには不透明要因も多い。まず、事実上、米国抜きで発効できないとの要件については、11か国の合意で条文から削らなければならない。また、そもそもTPP参加の最大の狙いが米国市場への参入だったベトナムやマレーシアにとって、TPP11は意味がないものに映りかねない。国有企業改革など厳しい条件をのんだベトナムなどは再交渉を求める可能性もある。各国が次々と再交渉を求める事態になれば、まとめるのは至難の業ということになる。

TPP11か国の中でメキシコやカナダは米国との北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を控え、どこまで米国抜きのTPP発効に積極的になれるかも見通せない。

2017年5月後半にはベトナムで閣僚会合が開かれる。麻生太郎・副総理兼財務相は4月19日、ニューヨークでの講演で、「(閣僚会合で)米国なしで11か国だけでやろうという話が出る」と言明しており、各国の動向が注目される。
【私の論評】TPP11で日本が新たな自由貿易のリーダーになる(゚д゚)!

トランプ大統領は、TPPの離脱を決定しました。その一方米国内では、選挙キャンペーン中から公約の最も大きな柱としてきた、オバマケア廃止法案の可決には失敗しました。

このブログで何度か掲載してきたように、三権分立が厳密に適用されていることもあり、アメリカの大統領は平時には世界で最も権限のない権力者なのです。だからこそ、オバマケアの廃止法案の可決に失敗したのです。

日本国内では、米大統領というとかなり大きな権限を持っていて、何でも決めることができると誤解している人もいます。しかし、それは明らかな間違いです。こういう人から見ると、なぜトランプ大統領が、オバマケア廃止法案の可決に失敗したのか理解できないものと思います。オバマケア廃案に関しては、共和党の中にも反対する人々が多数いたので、廃案にはできなかったのです。

TPPに関しては、共和党の中にも反対者はいたのですが、圧倒的に多数が反対だったので、トランプ大統領がTPP離脱の大統領令を発して、それに反対したとしても、議会で勝つ見込みがないので、すんなりと通ってしまったということです。

こういうことを考えると、TPPに関しても、TPP11が発行すれば、米国が後から入るという可能性もあながち全く否定はできないです。

メキシコのグアハルド経済相
TPP11に関して、メキシコのグアハルド経済相は18日、環太平洋連携協定(TPP)から米国が離脱した場合でも、合意文書の文言を修正することで、発効は可能との見方を示しました。

日米の主導でアジア太平洋の12カ国が大筋合意に至ったTPPの合意文書には、米国抜きでは発効しないとする文言が含まれています。

グアハルド経済相は、日本がリーダーシップを発揮すれば、その文言を含む条項は「問題なく」削除でき、メキシコなど他の参加国は米国抜きでTPPを発効させることのメリットとデメリットを評価することが可能だと発言。米国を除く11カ国でTPPを推進させる考えを示しました。

トランプ米大統領は今年1月の就任直後、TPPから正式に離脱する大統領令に署名しました。

TPP参加国は、ベトナムで今年11月に開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で貿易に関する踏み込んだ協議を行う予定。閣僚らは5月に準備会合を開始します。

トランプ大統領は18日、米国人の雇用と、政府調達における米国製品の購入を促すことを目的とした大統領令に署名しました。

グアハルド経済相はこの大統領令について、影響はまだ明らかではないですが、北米自由貿易協定(NAFTA)に違反する可能性があると指摘しました。



TPPというと、日本ではかつて、民主党政権時代に「TPPは亡国の協定」とか、「国民皆保険がなくなる」とか、「日本の農業が壊滅する!」とか、面白いことを言って拍手喝さいを受けた人たちがいます。これを、今ではTPP芸人と予備揶揄する人もいます。

と安倍政権が誕生し、2013年にTPPへの参加を表明すると、この芸人たちは「表明した瞬間にすべてはアメリカの思い通り決まっている!」などと言っていました。しかし、残念ながら一発芸人の命は短いものです。

トランプ氏が「TPPから離脱」を宣言したことにより、TPP芸人バブルは完全に弾けてしまったようです。

そうして、もはや「死に体」とも見られているTPPですが、いつか生き返るかもしれない。そんな望みにかけているのが今の日本政府です。しかし、そのような日はそもそもやって来るのでしょうか。

トランプ大統領がーが翻意するわけがないというのが大半の見方です。万が一、米国が対応を変えるにしても、トランプ政権が続く最低4年間は無理というのが、大方の見方です。

しかし、そんな中で、TPP11への期待が高まっています。TPP11は日本にとっても望ましい結果を招くことになります。まず、米国の農産物が日本市場から駆逐されることになります。TPPが発効すれば、加盟国が日本に牛肉を輸出する際の関税は、現在の38・5%から将来は9%になります。

米国が非加盟なら関税は高いままですが、米国のライバル、オーストラリアやカナダが加盟すれば9%になります。他にも牛肉を生産する国はあります。日本の消費者は豪州牛やカナダ牛や他国の牛肉を安く買えるし選択の幅も広がります、米国牛は競争力を失います。米国は世界有数の輸出量を誇る小麦でも不利になります。

そうなれば米農業界は必ずトランプ氏を突き上げることになります。TPP11を使って米国を不利な状況に追い込み、自ら『加入させてほしい』と言わせるように持って行けば良いのです。

もし日本などがTPP11を発効させた後、米国が加入を求めれば、米国は日本など既加盟国の要求に応じねばならなくなります。米国が日本に輸出する自動車関税はゼロですが、日本が米国に輸出する際は現在2・5%です。TPP交渉では、2・5%を25年もかけて段階的に撤廃することでしかまとまらなかったのですが、今度は即時撤廃も夢ではありません。

中国が世界貿易機関(WTO)に加盟する際、中国の交渉担当者が「私たちは一切要求できないのに、なぜ既加盟国は一方的に要求するんだ」と怒ったら、米国の担当者は「それが加入交渉というものだ」と答えたといいます。日本も米国に同じことを言えば良いのです。まさに、米国に対する上手からの交渉ができる千載一遇のチャンスです。
TPP反対派が問題とした内容。今では、これはすべてデマであったことが発覚している
米国抜きでも発効する意味は大いにあります。あそこまで自由化の高い国際ルール作りは前例がなく、他の交渉に与える影響は大きいです。それに、発効しなければ各国の自由化も全部元に戻ってしまうことになります。

TPPは成長市場であるアジア地域で遅れていた知的財産保護などのルールを作りました。社会主義国のベトナムでさえ国有企業改革を受け入れました。TPPが棚上げとなれば各国の国内改革の動きも止まってしまうことになるのです。

TPP合意を機に、日本の地方の中小企業や農業関係者の海外市場への関心は高まっていました。電子商取引の信頼性を確保するルールなどは中小企業などの海外展開を後押しするものです。日の目を見ないで放置しておくのは、本当に勿体無いです。

さて、最後にTPP11が発効して、それに対して中国が入りたいという要望を持つことは十分に考えられます。このような要望が出てきた場合、米国は焦るものと思います。これによって米国のTPP加入を促すという手も考えられます。

ただし、中国はすぐにTPPに加入させるわけにはいかないでしょう。中国が加入するには、現状のように国内でのブラックな産業構造を転換させなければ、それこそトランプ氏が主張するようにブラック産業によって虐げられた労働者の労働による不当に安い製品が米国に輸入されているように、TPP加盟国に輸入されることとなり、そもそも自由貿易など成り立たなくなります。

このあたりを理解すれば、トランプ氏も意外とTPPに入ることを決心するかもしれません。そもそも、政治家としての経験のないトランプ大統領は、これを理解していないだけなのかもしれません。しかし、理解して、それが米国の利益にもなると理解すれば、意外とすんなり態度を改めるかもしれません。

やはり、中国もTPPに参加したいというのなら、社会主義国のベトナムでさえ国有企業改革を受け入れたのと同じように、国内の民主化、政治と経済の分離、法治国家化を進めなければならないでしょう。

それによって、中国自体の構造改革が進むことになります。こうして、TPPにより、中国の体制を変えることにもつなげることも可能です。

このような可能性を見ることができなかったトランプ大統領は後に後悔の臍を噛むことになります。

このようなことを掲載すると、「いやそのようなことはない。日本は米国の属国だから、米国の言いなりになるしかないし、そもそもTTPに米国が入ることもない」などと言う人もいるかもしれません。しかし、そのような人は、TTP芸人らの末路はどうなったのかと、言い返してやりたいです。

いずれにしても、上記で示したようなことを前提に、安倍総理にはまずはTPP11発効に向けて頑張って頂きたいものです。

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2020年11月21日土曜日

習氏、TPP参加「積極的に検討」 APEC首脳会議―【私の論評】習近平の魂胆は、TPPを乗っ取って中国ルールにすること(゚д゚)!

 習氏、TPP参加「積極的に検討」 APEC首脳会議

中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は20日、環太平洋経済連携協定(TPP11)への参加を「積極的に考える」と表明した。日米中など21カ国・地域のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議にオンラインで出席して述べた。習氏がTPP11の参加検討を表明するのは初めて。

APEC首脳会議で議長を務めるマレーシアのムヒディン首相

習氏は「中国は地域経済の一体化を進め、アジア太平洋の自由貿易圏を一日も早く完成させる」と述べた。日中韓など15カ国が署名した東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)協定についても「歓迎する」と成果を強調した。

TPPは米国を含む12カ国で署名したが、トランプ米政権が2017年に離脱を宣言、米を除く11カ国で18年末に発効した。米はRCEPにも参加していない。習氏は19日の関連会議でも米国の保護主義を念頭に強く批判しており、米国の政権移行期にアジア太平洋地域で中国の存在感を高める狙いがある。

中国がTPP11に参加するには加盟国の同意を取りつける必要がある。国有企業の改革や工業製品の関税ゼロ、非関税障壁の撤廃などを高い水準で実現することも求められる。国有企業が大きく工業製品の関税率も高い中国にとって参加のハードルは高い。

20日の首脳会議は菅義偉首相、トランプ米大統領らも出席し、3年ぶりに首脳宣言を採択した。

日本や中国などが15日署名したRCEP協定に参加する15カ国の大半はAPECにも参加しており、域内で貿易自由化を加速する機運が高まる。APECはTPP11やRCEPを土台に、参加国・地域の一段の経済統合をはかる方針だ。

【私の論評】習近平の魂胆は、TPPを乗っ取って中国ルールにすること(゚д゚)!

元々は米国が提唱したTPPからトランプ大統領が選挙公約通りに離脱しましたが、中国は米国がTPPで留守の間に、TPPを乗っ取って中国ルールにしたいのでしょう。WTOにおける中国の振る舞いをみれば、それは容易に想像がつきます。

TPPの現状のルールは先進国にとっては当然のことで、加入するのは難しくないですが、中国にとってはかなり困難です。中国が現在のままのTPPに加入するためには、国内の体制を変えなければ無理です。

特に、民主化、政治と経済の分離、法治国家化は必須です。これができないと、TPPのルールを満たすことは不可能です。しかし、これを実行してしまえば、中国共産党は国内で統治の正当性を失い、共産党一党独裁制は崩れ、現体制は崩壊することになります。


そのようなことを中国共産党が許容できるはずもありません。にもかかわらず、TPP加入をするというのなら、これはTPPの高いハードルを乗り越えるというのではなく、中国にとって都合の良いようにハードルを低くするということを意図しているとしか考えられません。

日本としては、この高いハードルを低くすることなく、その上で英国や台湾をTPPに取り込んでも、民主主義陣営のTPPを守るべきです。そうして、次の米国大統領が誰になったとしても、米国にTPPが中国包囲網にもなることを理解させ、復帰してもらうべきでしょう。

そうして、TPP「拡大」は、米国と中国を牽制するだけではなく、混沌とする世界に新たな秩序をもたらし、世界を救うことにつながることになります。

このTPPを日本という軍事的・経済的覇権によらない国が旗振り役を務めたということが大きいです。

最早世界は、軍事・経済的覇権によって振り回され続けることに倦んでいるのだと思います。ここに、日本が世界でリーダーシップを発揮できる好機が訪れたともいえます。

日本のTPP参加大反対していた方々は、この中国の魂胆を見抜けずサポートしていたようなものです。このTPP参加反対していた人たちは、「米国に良いようにしてやられる」と語っていましたが、その後米国が抜け、その他反対派の人々の語っていた、日本にとって不都合になるようなことは未だに起こらず、急速に反対運動はしぼみました。

TPPに反対していた人たちは・・・・・・

米国が抜けても、日本が努力してTPPを米国抜きでも発効させたことは、自由主義世界にとっては幸いでした。

さて、最近はRCEPが調印されましたが、中国主導だから、加入すべきでないとした方々も、中国の魂胆が見抜くことができず、結果として中国をサポートしているようなものです。

RCEPは経済連携とはいうものの、そのルールは物品貿易やサービス貿易の自由化(FTA)に限りなく近いものです。そのため、TPPの厳しいルールのように忠告にとっては体制変更が必要ないため、中国も加入することができます。

RCEPがスタート後、どちらの方向に向かうのか、次のステージが気になるところです。ただ、日本もインドもRCEP参加しないとなると、ASEAN諸国はすぐにでも、中国に取り込まれることになります。そうして、中国、ASEAN諸国、韓国の強力な経済圏ができあがることになります。これらの国々でますます中国の覇権が強まることになります。

日本がRCEPに加入しないということは、日本がASEAN諸国が中国に取り込まれることを許容することになります。

これは、日本としても避けたいので、敢えてRCEPに参加し、中韓に対抗しASEAN諸国を日本のルール(自由主義圏で通用するルール)で取り込み、いずれは米国もASEAN諸国もTPPに取り込む方向に持っていくべきです。


日本の危機というと、すぐに尖閣、台湾危機を煽る人が多いですが、無論こちらも脅威ですが、中国がTPPのルールを中国ルールに変えようとすることや、RCEPでASEAN諸国が中国に取り込まれしまうようなことも、日本はもとより世界にとって脅威です。この脅威はもっと多くの人に認識されてしかるべきと思うですが、そうではありません。メディアは、発効したり調印された事実を淡々と述べるだけです。

日本としては、TPPを大いに発展させ、1993年以降の世界貿易の変化を反映したTPP協定の規定をWTOに採用するように働き掛けることができます。これには、EUも賛成するでしょう。
TPPのルールを世界のルールにするのです。単なる先進国だけの提案ではなく、アジア太平洋地域の途上国も合意したTPPの協定をWTOに持ち込むことには中国も反対できないでしょう。

TPPのルールがWTOのルールとなれば、中国は中共を解体してもTPPルールを含む新WTOに入るか、新WTOには入らず、内にこもることになります。内にこもった場合は、中国を待つ将来は、図体が大きいだけのアジアの凡庸な独裁国家に成り果てることになります。その時には他国に対する影響力はほとんどなくなっているでしょう。

いずれにせよ、TPPは加盟国だけではなく世界にとって、有用な協定になる可能性が高まってきたのは事実です。日本は、TPPのルールを世界の自由貿易のルールとするべくこれからも努力すべきです。


TPP「拡大」打ち出して米国と中国を牽制―【私の論評】世界は、軍事・経済的覇権によって振り回され続けることに倦んでいる(゚д゚)!

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2021年9月28日火曜日

対中政策として選択すべきバイデン政権のTPP復帰―【私の論評】TPPは最早台中対立の最前線!米英も早期に参戦すべき(゚д゚)!

対中政策として選択すべきバイデン政権のTPP復帰

岡崎研究所

 バイデン大統領は、政権発足以来、トランプ政権が離脱してきた様々な国際合意への復帰を、順次果たしてきた。WHO(世界保健機関)や気候変動に関わるパリ協定がそうである。

 現在、イランとの核合意も再生させようと模索している。しかし、TPP(環太平洋連携協定) への復帰を予定しているとは聞かない。TPPはオバマ政権下で、厳しい交渉の末、12か国で合意したものだが、トランプ政権下で米国が離脱した後、残り11か国でCPTPP (環太平洋連携に関する包括的・先進的協定)として発足したものである。

 11か国とは、豪州、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレイシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール及びベトナムである。これらアジア・太平洋の11か国で、世界のGDPの14%を占めていると言われる。EU(欧州連合)を離脱した英国は、CPTPPへの加盟を期待し、11か国と交渉を開始した。


 TPPに関する米国の姿勢に関しては、9月10日付のForeign Affairsにて、アジア・ソサイエティ政策研究所副所長のウェンディ・カトラー(元USTR代表補)が、バイデン政権は中国との競争を外交政策の最大の課題に掲げているが、それなら TPP(CPTPP)に復帰すべきであると論じている。

 カトラーの論説には全面的に賛成である。バイデン政権はCPTPPに復帰すべきである。この論説はオバマ政権でTPPの交渉責任者を務めた人物によるものであるが、国内向けの観測気球という側面を持つものかも知れない。

 バイデン大統領は、選挙戦中から貿易協定には消極的で、焦点は国内にあるとして、まずは国内に投資し世界経済で成功する用意が出来るまでは新たな貿易協定は一切結ばないと主張していた。そこまで言い張ることに合理的根拠があるようには思えなかったが、CPTPPに回帰する様子は微塵もなかった。

 しかし、バイデンはインド・太平洋で中国と競争することを外交政策の最優先に位置付けており、そうであれば、カトラーの論説が的確に指摘するように、CPTPPに回帰することは避けて通れないはずである。

中国の動きには警戒を

 カトラーの論説は、米中貿易戦争とコロナの感染拡大が、中国に供給源を過度に頼ることのリスクを指摘して、米国がCPTPPのメンバーであれば、より強靭で信頼出来るサプライチェーンを構築する基礎として使えることを論じているが、バイデンはCPTPPを単に国内の製造業や雇用との関連ではなく、より広い戦略的な観点で国民に説明が可能ではないかと思われる。

 そんな折、カトラーの論説が発表されて1週間も経たない9月16日、中国の商務省は、中国がCPTPPに加盟申請したことを明らかにした。CPTPPが合意された本来の目的の一つは、巨大化する中国経済に対抗する意味合いもあった。CPTPPは、そのルールを守る限りいかなる国を排除するものではない。が、容易に中国がCPTPPのルールを守りうるとは思えない。

 バイデン政権は注意が必要である。習近平の発言はCPTPPに台湾が参加することを妨害する意味合いが大きいのではないかと思うが、いずれにしても、中国のCPTPPへの参加には慎重な検討が必要であろうと思われる。

【私の論評】TPPは最早台中対立の最前線!米英も早期に参戦すべき(゚д゚)!

日本やオーストラリアなど環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の加盟11カ国は28日、英国の加入をめぐる第1回の作業部会をオンライン形式で開いた。日本が作業部会の議長を務め、英国の加入交渉が本格化します。

英国のTPP加入をめぐる第1回の作業部会の画面

英国は2020年1月に欧州連合(EU)を離脱し、今年2月にTPP加入を申請。6月に交渉入りが決まった。作業部会は、英国が加入に向けてこれまで行ってきた取り組みや、加入の際に改正が必要な国内法令などが議題。18年12月のTPP発効以来、新規加入交渉は初めてとなります。
TPPに今月、加入申請した中国と台湾の話題は出ませんでし。ただ、台湾が法改正を進めるなど準備を進めてきた一方、中国については「都合の良い例外を設けようとする」(経済官庁幹部)との懸念もあります。政府関係者は英国との交渉で「(ルール変更を認めない)先例ができる」と話しています。

中国の加盟に向けた課題は多いです。特に障害となりそうなのがデータを巡るルールです。TPPはデータ流通の透明性や公平性を確保する原則を定めています。

これは既存の多くのFTAが盛り込めなかったもので、専門家の間では「TPPスタンダード」と呼ばれています。中国は、企業や個人による国境を越えた自由なデータの流通には否定的です。データ安全法(データセキュリティー法)などで統制を強化する同国は「RCEPレベルが限界だ」との指摘があります。

2つ目は強制労働の撤廃や、団体交渉権の承認など、労働に関するルールです。ウイグル族への人権侵害が国際世論の反発を招く中で、中国はTPPの加盟交渉で難しい立場に置かれることになります。

3つ目として、国有企業への補助金や政府調達の手法など、中国国内の制度改革が必要なテーマも難しい分野です。TPPは競争をゆがめるとして国有企業を補助金などで優遇することを禁じています。


習近平指導部が進めてきた国有企業の増強を続けるなら、交渉はつまずくことになります。TPPは政府調達でも国内外企業の差別を原則的になくすよう求めますが、中国は安全保障を理由に外資系の排除を進めてきた経緯があります。

また、中国が加盟するには全加盟国の支持が必要です。マレーシア、シンガポールは加盟申請に歓迎の意向ですが、日本・豪州は慎重な姿勢を見せています。メキシコもTPPは「高い基準を順守するすべての国に門戸は開かれている」と指摘。国有企業への補助などの中国の経済ルールが加盟に課題となることを暗に示唆しました。

一方台湾の蔡英文総統は、2016年の就任時からTPP加盟を悲願としてきました。台湾経済は中国に大きく依存し、輸出は4割強を占める。統一圧力を強める中国からの脱却を急ぐには、TPPに加盟し中国への依存度を引き下げる必要があると判断しました。その中国に加盟申請で大きく遅れれば、加盟が困難になるとみて申請手続きを急いだようです。

台湾に関しては、中国と比較すればはるかに民主化・自由化等が進んでおり、中国よりはかなりTPPに加入しやすいです。

ところが、台湾悲願の加盟にも難題があります。中国大陸と台湾は1つの国に属するという「一つの中国」を唱える中国の圧力です。中国は自身がTPPに加盟できなくても、台湾加盟を阻止するために、加盟国に対する働きかけを強める可能性が高いです。TPP加盟国には、中国と強い貿易関係で結ばれる南米のチリやペルーや東南アジアの国々が多く含まれています。

中国外務省の趙立堅副報道局長は23日の記者会見で、台湾のTPPへの加盟申請に強く反発しました。「台湾がいかなる公的な性質を帯びた協定や組織に参加することにも断固反対する」と述べました。米国がTPPから離脱した現在、中国の圧力を受けながら台湾の加盟を強力に後押しできる国は乏しいのが実情です。

日本との関係でも課題がある。台湾は福島県など5県の農産品の輸入を全面禁止にしてきました。今でも5県産の農産品の輸入に対する市民の反対が根強いです。TPPへの加盟のために輸入解禁を強行すれば、反対運動が起こって蔡英文政権運営を揺るがしかねない事情という事情があります。ただ、これは台湾の国内問題であり、日本が台湾にワクチンを供給したこともあり、

台湾当局は、2011年の福島第一原発の事故以降、福島県などの食品の輸入規制を継続して行っていて、日本政府は「非科学的な対応を外してほしい」と解除を訴えていました。

台湾当局は23日の会見で、「TPPの主席である日本と台湾の間には緊密な連携がある。TPPへの申請案を提出した後、国際ルールに従い日本政府と交渉する」と発言しました。

 福島県産品の食品の輸入規制を巡っては、2018年に台湾で住民投票が行われ、食品の輸入を禁止することが決まっていました。 

台湾の中華経済研究院WTO及びRTAセンターの李淳副執行長は、「中国の加入申請が台湾の参加申請のブースターになったのは確かで、最大の課題は日本の食品輸入問題。すでに米国、欧州とも科学的に福島の産品には危険性がないことを認めており、台湾が日本にノーと言い続けることは難しい」と述べています。

茂木敏充外務大臣は、台湾の加入申請について「台湾は我が国にとって基本的価値を共有して、密接な経済関係を有する極めて重要なパートナーで、台湾の加入申請をまずは歓迎したい。他の参加国ともよく相談する必要がありますが、我が国としては、戦略的な観点や国民の理解も踏まえながら、対応していきたい」と語りました。

茂木敏充外務大臣

茂木外務大臣の「戦略的な観点」という言葉は重要です。その含意は、対中包囲網の強化という大所高所に立って、台湾が食品輸入問題の解決に前向きな取り組みを見せてくれれば、即時解除の措置を取らなくても、日本は台湾の加入を応援できるとの姿勢を示したものと思われます。

一方、米国のネッド・プライス国務省報道官は「米国は会員ではないが」と断りつつ、「台湾は民主主義を信奉し、WTOの責任あるメンバーでもある。中国は経済力で他国を強制しており加盟での評価に影響するだろう」とコメントし、台湾の加入に肩入れし、中国の加入を歓迎しない姿勢をほのめかしました。

TPPがにわかに中台対立の舞台となることは、加盟国にとっても米国にとっても想定外のことだでしょう。米国は当分TPPへの復帰には慎重な姿勢を崩していないですが、中台の同時申請に加盟国がそれぞれどう対応するのかに注目することでしょう。

米中新冷戦のもと、存在価値をたかめたTPP体制の真価が問われるタイミングが突如やってきた形で、この難題をどう処理するか、各国の連帯や日本の外交力が問われる局面になりますし、中国との競争を外交政策の最大の課題に掲げているバイデン政権もこれに注目するのは当然のことです。

中国のCPTPPへの参加は元々無理筋であり、台湾を牽制するために、TPP加入申請をしたとも考えられますが、TPPの加入、加入拒否などは、加盟国の合意がないとできませんが、TPPの加盟国に対して圧力を加えて、加入をしようと試みるかもしれません。

このブログでは何度が解説したように、一般に流布さているような中国による台湾の武力侵攻はありえず、中国が軍事的に台湾に侵攻することは、今後数十年間は不可能です。それは中国自身が良く知っていることでしょう。であれば、中国は対台湾戦略として、軍事力による侵攻ではなく、軍事力以外の様々な方法を駆使することを考えるでしょう。TPPはその一環として用いられる可能性があります。

TPPは元々オバマ政権下で、厳しい交渉の末、12か国で合意したものです。そうして、その大きな目的一つは中国囲い込みです。それが、中国に加入されてしまっては本末転倒になりかねないわけです。

やはりバイデン政権は、中国と対峙するためにもTPPに早期復帰すべきです。現在日本は、自民党総裁選の真っ最中ですが、新総裁、つまり日本の新総理大臣は、バイデン政権のTPP早期復帰を説得すべきです。これが、新総理大臣の最大の外交課題になるでしょう。

米国は、TPPに復帰しようとすれば、交渉はすでにすんでいるので、すぐに加入できるはずです。英国も中国よりは、遥かに加入しやすいし、中国の加入手続きは困難を極めることでしょう。

英米が加盟すれば、TPPとしては、中国は加入できないですが、台湾は加入できますし、中国が香港の「一国二制度」を復活すれば、香港の加入も可能になると主張すべきでしょう。実際、これは可能だと思います。しかし、中国が体制も変えない、香港の「一国二制度」も復活しないというのなら、検討の余地なしとして、門前払いされるのは当然です。

米国が中国に仕掛けた間接的な戦争に、中国が外国人・企業への制裁を行うことで対抗措置を自国内で実行すれば、国際社会から批判される可能性があります。さらに外国人を拘束し自由を奪えば、国際社会からの軍事的な先制攻撃を正当化させる可能性が有ります。

英国には、香港人の救出を目的とした戦争を行う大義名分が有ります。しかも中国は、英国と交わした一国二制度を一方的に破棄しました。中国は英国との約束を破り、しかも香港人の人権を弾圧。これらは英国を怒らせるには十分で、英国が香港・澳門奪還作戦を行えば、正義は英国側にあります。

TPP交渉は、こうした米英の立場も活用したうえで、中国に対して有利に展開することが可能です。「一国二制度」の復活をつきつけられた、中国の取るべき道は「一国二制度」を復活させることを認めるか、認めないでTPPに加入することをあきらめるしかなくなります。

このような戦略を実行すれば、TPP交渉は、台中対立の最前線から、米英を含むTPP加盟諸国と中国との対立の最前線になるのです。そうして、これはTPP側が勝利する確立がかなり高いと思われます。


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2020年12月16日水曜日

台湾企業の対中依存軽減に必要な「南向政策」と米台協力―【私の論評】英台を速やかにTPPに加入させ、中国が一国二制度を復活し香港を元に戻すなら香港を加入させよ!

 台湾企業の対中依存軽減に必要な「南向政策」と米台協力

岡崎研究所

 台湾の蔡英文政権は11月20日に、米国駐台湾代表処(AIT)との間で初の「経済繁栄パートナーシップ対話」を開催し、今後5年間にわたる覚書に署名した。その内容は、米台間の経済協力強化だけではなく、米台のアジア・太平洋地域への共通の取り組みを模索するものとなっている。


 Taipei Timesの11月28日付け社説は、「中国は過去数年、東南アジアやオセアニアに対し、米台を排除する方向で、投資を拡大してきた」と述べている。そして、米台としては、東南アジア、オセアニア諸国に対する今後のインフラ支援やサプライチェーン面での協力を通じ、これら諸国の対中依存の脱却を図るべし、と論じている。興味深い内容であると言える。

 中国は「一帯一路」政策を通じ、カンボジア人を土地から追い出し、環境を破壊して地域物流拠点を作り、また、スリランカでは、融資を返済できないことの対価として主要な港湾を買収するなどしてきた。台湾、豪州、ニュージーランド、米国にとって、南アジア、東南アジア諸国におけるインフラ支援から、大きな利益を得ることができる。それは、これらの諸国を対中国依存から解放し、生産活動を友好的なサプライチェーンに多様化してゆくことである。

 蔡英文政権自身、台湾が中国との間の貿易・投資の対中依存度を下げる方向で、台湾企業を中国から東南アジアへ移行させるという、いわゆる「南向政策」を進めてきてからすでに数年になる。しかし、数字から見る限り、台湾経済の中国依存度はその後も基本的には大きくは変わっていない。

 台湾の企業からすれば、中国の意に沿わない方針を取れば、中国がそれを利用して、台湾企業への締め付けを強化するのではないかとの警戒意識があるため、慎重にならざるを得ない面があるのだろう。かつて陳水扁・民進党政権下で、当時中国に進出していた台湾の「奇美企業」が「台湾独立派」であるとして、中国での営業活動から排除されようとしたことがある。このケースは台湾の関係者の記憶にはいまだ鮮明に残っているようだ。

 ただし、台湾の企業自身が中国市場への依存度を徐々に減らしていくためにも、「南向政策」を続け、米国と一緒になって、対アジア・太平洋政策を促進することは、中国の拡張主義を抑止するための安全保障上の重要な手段であることに変わりはなく、今日、台湾内部においてもそのような見方が強まっていると言って良い。

 米台間のさらなる緊密化は日本にとっても、懸案となっているTPP(環太平洋経済連携協定)への台湾加入を促進する良い機会となろう。最近は、中国自身がTPPに加入することについて意欲を示し始めたが、これは、米国の政権交代や、台湾のTPP加入の可能性等に対する警戒感や牽制から出ているのではないかと思われる。

【私の論評】英台を速やかにTPPに加入させ、中国が一国二制度を復活し香港を元に戻すなら香港を加入させよ!

菅義偉首相は11日のインターネット番組で、中国や韓国による環太平洋経済連携協定(TPP)への参加の可能性について慎重な見方を示しました。「参加11カ国の了解がなければ簡単には入れない」と述べました。

APECの関連業にあてた菅総理のビデオメッセージ

菅義偉首相は先月20日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の関連行事「CEO(最高経営責任者)との対話」にビデオメッセージを寄せ「環太平洋経済連携協定(TPP11)の着実な実施と拡大により、アジア太平洋自由貿易圏の実現を目指す」と呼びかけました。

TPPが他の枠組みより高い水準のルールの順守を要求することを踏まえ「大きなハードルがある。戦略的に考えながら対応する」とも語りました。

中国は今のままだと、TPPに加入できません。現在無理に入ろうとすれば、TPPに加入するために、民主化、政治と経済の分離、法治国家化を実現しなければなりません。これをすれば、中国共産党は統治の正当性を失い崩壊します。

そのようなことは、最初からわかりきっているのに、なぜTPPに入ろうとするのかといえば、結局のところTPPのルールを中国にも入りやすいように変えて、自由貿易の美味しいところだけをつまみ食いしようという魂胆でしょう。

しかし、日本をはじめ他のTPP加盟国もこれに与することはないでしょう。中国ができるとすれば、一国二制度を復活して、香港を元の状態に戻し、その上で香港をTPPに加入させるということならできるかもしれません。

中国が間接的にでも、TPPに加盟したいなら、このくらいしか方法はないでしょう。それに、TPPの現在の加盟国も、香港を元の状態に戻してその上で参加するか、それこそ大陸中国本土が香港のようならなければ、加盟を許すべきではありません。

厄介なのは、TPPに入る意向をみせた中国に追随する韓国です。

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加を検討すると表明しました。

文在寅韓国大統領(左)、習近平中国主席(右)

これまでの韓国の通商交渉は、2国間の自由貿易協定(FTA)中心だでした。これは相手国を選び、対象をモノの関税だけに限定するというスタイルです。

韓国の2国間FTAの相手国をみると、米国、欧州連合(EU)、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、ベトナム、中国などです。TPP締結国11カ国のうち、日本とメキシコを除く9カ国とFTAを締結しています。

韓国は今まで2国間FTAで日本を避け続けてきたのは明白です。もし、韓国と日本がFTAを締結すれば、韓国の産業構造は日本と似ており、両国で関税を互いに引き下げた場合、大量の日本製品が韓国に流入し、韓国内の産業を毀損することを韓国が恐れたためでしょう。

日本が入っているTPPに韓国が入れば同じことが起こります。だからこそ、韓国は最近まで、TPPに加入する気はなかったのでしょう。

さらに、TPPでは加入国の国有企業改革が求められますが、韓国には未だ韓国電力公社、韓国石油公社などの政府系企業が存在しており、TPPに加入すれば大きな影響を受けることは必至です。さらにコメの自由化を求められるます。

そのため、韓国はTPPに参加せず、中国とのFTAを優先しました。韓国がTPPに参加しなかった表向きの理由は、中国とのFTA交渉のために実務的にできなかったというものでした。実際、朴槿恵(パク・クネ)政権の時、TPP交渉が行われている間、韓国は中国とのFTA交渉に没頭していました。

そのあたりから、韓国の中国従属スタイルが強化されていきました。その中国がTPPに参加できないこともあり、中国を意識して韓国はTPPを加入しなかったという背景もあるでしょう。

日本はどう対応すべきかといえば、あくまで中韓が今のTPPルールを守るなら両国を拒む理由はありません。

ただ、先に述べたように、中国は今のままだとTPPには加入できません。韓国も相当ハードルが高いです。とはいいながら、中国よりは入りやすいです。

であれば、先程も述べたように、中国に対しては一国二制度を復活して、香港を元に戻せば、香港の加入を審査するものとして、中国が一国二制度を破棄する行動にでれば、香港の加盟をすぐにも取り消す旨を伝えるべきでしょう。それができないというのなら、中国不参加となっても良いでしょう。

韓国も相当ハードルが高いはずですから、ルールが守れないというなら不参加で良いでしょう。

そのようなことよりも、上の記事にあるよに台湾の参加を優先すべきです。そうして、現在EU との通商交渉が「合意なき離脱」になりそうな、英国のTPP参加も優先すべきです。

蔡英文台湾総統(左)とボリス・ジョンソン英首相(右)

そうして、米国の参加も視野にいれるべきです。TPP「拡大」は、米国と中国を牽制するだけではなく、混沌とする世界に新たな秩序をもたらし、世界を救うことにつながることになります。

このTPPを日本という軍事的・経済的覇権によらない国が旗振り役を務めたということが大きいです。

最早世界は、軍事・経済的覇権によって振り回され続けることに倦んでいるのだと思います。ここに、日本が世界でリーダーシップを発揮できる好機が訪れたともいえます。

そうして、いずれ日本はWTOにTPPのルールを元にしたルールをWTOの自由貿易のルールにすることを迫るべきです。

日本がWTOを改革のため、TPP協定の規定をWTOに採用するように働きかければ、元々オバマ大統領時代に、米国がTPPを推進しようとしたわけですから、これに対して米国も賛同せざるを得ないと思います。

単なる先進国だけの提案ではなく、アジア太平洋地域の途上国も合意したTPPの協定であり、しかも自ら加入の可能性を表明した協定をWTOに持ち込むことには中国も真っ向から反対できないでしょう。

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2015年11月1日日曜日

【iRONNA発】TPP芸人の予言は全部外れた! 「支那包囲網」に揺らぐ習近平―【私の論評】経済劣等生の中韓がTPPに加入できない理由を、はっきりさせないTPP芸人は「中国スパイ」だ(゚д゚)!


昨年北京の人民大会堂で中国の習近平国家主席(右)と握手する韓国の朴槿恵大統領
 世の中にはいろいろな芸人がいるが、中でもTPP芸人という興味深いカテゴリーがある。かつて、民主党政権時代に「TPPは亡国の協定」とか、「国民皆保険がなくなる」とか、「日本の農業が壊滅する!」とか、面白いことを言って拍手喝さいを受けた芸人たちだ。安倍政権が誕生し、2013年にTPPへの参加を表明すると、この芸人たちは「表明した瞬間にすべてはアメリカの思い通り決まっている!」などと言っていた。この時はファンたちと大いに盛り上がったものだが、それも今となってはなつかしい楽しい思い出である。残念ながら一発芸人の命は短い。TPP芸人バブルは完全に弾けてしまったようだ。(iRONNA

 もちろん、日本の国益を守るためにTPPについて警戒すべき点があったことは事実だ。ISD条項やラチェット条項が本来とは違う意味でつかわれたりしたらこれは一大事である。

 ISD条項とは事後的な法律の変更などにより、対外投資が水泡に帰した場合、その賠償を請求できる権利を明記した条項だ。1989年に日本は支那と投資協定を結んだが、そこにもISD条項は入っている。支那のように法律をコロコロ変える国と取引する場合は必須の条項である。

しかし、この条項をありもしない機会損失に対しても類推適用するようなことがあってはならない。例えば、為替操作で損をしたので賠償しろ、といった無理筋の要求が通ってしまったら却って自由貿易に支障をきたすだろう。この点について私は注目していたが、結局今回のTPPでは従来通りのISD条項が採用されたに過ぎない。

 ラチェット条項については、すでに決まったものをひっくり返すことはできない規定と解釈されている。なので、日本がTPP交渉に参加してもタイミングが遅いので何も意見が言えないと、芸人たちは言っていた。

 しかし、実際はどうだろう? 日本が交渉参加してから2年の間TPP交渉は「漂流」した。その間、日本側の意見もかなりの割合で採用されている。芸人たちはいったいこの条項の何を理解していたのだろうか?

 確かに、ラチェット条項においては大筋で合意した分野をひっくり返すことはご法度である。しかし、逆に言えば合意前の分野はいくらでもひっくり返せるということにならないだろうか。今年8月の交渉の際に、ニュージーランドが乳製品の輸入枠をめぐってトンデモないちゃぶ台返しをした。産経新聞は次のように報じている。

 日米に交渉を乗っ取られた腹いせに、当初提示していた3万トン程度の乳製品の枠を、一気に3倍増の9万トンにしてきたわけだ。こんな無茶苦茶な連中がよく2年間の「漂流」でまとまったものだ。日本が参加した時点でまだまだ大筋合意に至っていない分野はまだまだたくさんあったのだ。

この記事の執筆者 上念司氏

 では、TPP芸人たちの予言はどの程度当たったのか、結果を見てみよう。国民皆保険はなくなっていない。というか、そもそも、そんな話し合いは最初から行われていない。「○○が食えなくなる」シリーズは今のところ全部ハズレだ。ISD条項で巨額賠償を払うこともなさそうだ。

 逆に、工業製品に対する関税は即座に2割程度撤廃され、将来的に99%撤廃される。農産物についても、日本は海外産の農産物を受け入れる代わりに、海外向けの輸出について無税枠や大幅な関税の撤廃という「果実」を手に入れた。和牛や質の高い果物など、関税があった時代から輸出されていた農産物の生産者は大いに盛り上がっていることだろう。

商売をやったことがない人は人のうわさを信じやすい。「再開発で渋谷がダメになる!」という与太記事を読んで真に受けてしまったりする人がいる。都営大江戸線は開業当初、「いったい誰がこの電車に乗るんだ?」と言われるほどすいていた。税金の無駄遣いだと。しかし、今は大江戸線の乗降客は相当増えている。麻布十番などは大江戸線と南北線の交わるターミナルになり、また近くに六本木ヒルズなどもできたことから商店街は活況だ。

 交通インフラや取引のルール変更などがあっても、そのことによってある地域や業界がダメになったりよくなったりすることが決まるわけではない。もちろん、各自が勝手に予想するのは自由だが、それがあたかも決められた未来であるかのように言うのは言い過ぎだ。ルールが変わったのなら、いち早く事業モデルをそれに適応させればよい。正解は分からないので、様々な挑戦を繰り返し、失敗しながら学べばいいだけだ。TPP参加国の民間企業は新しいルールに合わせて様々なチャレンジをするだろう。各国で多くの企業がチャレンジすることで経済は活性化する。日本の負けは決まったわけでもないし、勝ちも決まったわけではない。すべてはここからの努力次第なのだ。

そういう意味でいうと、今回TPPに参加できなかった支那と韓国は大きなハンデを背負うことになった。自業自得だから仕方がない。TPP加盟国は支那や韓国にいくらでも関税をかけたり、輸入制限をしたりすることができる。(もちろん、個別に貿易協定は結んでいるだろうからその範囲内であるが…)

 TPPに入るためには、資本取引が自由化されているとか、投資家の権利が守られているとか、様々な前提条件がある。しかし、支那において共産党の権力は神にも匹敵する。というか、神以上でなければならない。そのため、世界的な貿易ルールよりも、支那共産党の都合が優先されないと困ったことになってしまう。もちろん、投資家の権利など守っていたら支那共産党のメンツは丸つぶれだ。常に、経済問題は政治問題化するリスクがある。

 支那がTPPに参加しようとするなら、こういった宿題を自分でやってこなければならない。もちろん、宿題をやっている最中に共産党の仲間割れが修復不能になるかもしれないし、人民が暴動を起こして文字通り「爆発」するかもしれない。TPPに参加するメリットとこれらデメリットを比較して習近平は決断するのだろうか? 生暖かく見守りたい。

 また、韓国はTPPに入れない支那にあくまでも付き従っていくのだろうか? もはや二股外交は完全に破たんした。事大主義を貫き通すなら、そろそろ新しいご主人様を探すタイミングなのかもしれない。

 とはいえ、日本が韓国に救いの手を差し伸べるにはまだまだ早いのではないか? 国際的な反日キャンペーンについて、真摯な謝罪と賠償が終わっていない。まずはその問題を解決するのが先だ。韓国国内で大いに議論していただければいいのではないだろうか?(経済評論家・上念司)

【私の論評】経済劣等生の中韓がTPPに加入できない理由を、はっきりさせないTPP芸人は「中国スパイ」だ(゚д゚)!

上記の記事を書いている、上念司氏が最初からTPP大賛成の立場をとっていたというわけではありません。私が記憶しているTPP加入が決まりかけていたころの、上念氏のTPPに対する発言は、「TPPによって本当に自由貿易になるのだったら賛成だが、そうでない可能性もあるので今のところは反対の立場ということにしておく」というものでした。

その頃の私の立場は、このブログでも表明したことがありましたが、「とにかく、交渉能力の低い、民主党野田政権の時代には交渉すべきではない」というものでした。その当時には、自民党なら何とかなるかもしれないと考えていました。

日本がTPP交渉に入る直前には、TPPとはいってもまだまだ全貌は知られておらず、とにかく巨大で複雑で、理解しにくいものでした。これは、今でもかわらず、この協定の本質なのだと思います。

だから、TPP加入が決まりかけたころにTPP芸人たちや、政治家、農林水産業者が大騒ぎしたのも無理もないところもあったと思います。

しかし、日本がTPP交渉に入った頃から、TPP芸人たちと、上念司氏との行動は違っていました。いわゆる、TPP芸人たちは相変わらずTPP反対を続けていました。上念は、TPP芸人たちの語る危機について、一つ一つ薄皮を剥ぐように、その危機の根拠のなさをエビデンスをもって解明していきました。

そうして、今日に至っています。あまりよくわからないことに対しては、当初の上念主氏のように対応するのなら、許せるのですが、他者の受け売りで「反対、反対」と叫んだり、よく確かめもしないうちから、「TPPで日本は不利」と断定して、断定するだけではなく、それを真実にのように喚き散らすのは良くないことだと思います。

そうして、今日に至るまで、「絶対反対」ということも良くないことです。そうして、きわめつけは、TPPに反対して、AIIBにはバス乗り遅れ論を語る輩です。このようなTPP芸人は信用できません。

TPP芸人のうちでも、TPPに反対しながらも、AIIB参加にはもっと反対するというのであれば、まだまともだと思います。

しかし、同じTPP芸人でも、TPP大反対でありながら、AIIB参加に大賛成したり、「バス乗り遅れ論」を主張する輩ははっきりいえば、「中国スパイ」です。

AIIBがとんでもない代物であることは、このブログでも過去に掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
麻生財務相の「参加見送り」見解、中国メディアは未練たらたら・・・「日本国内でもAIIB参加すべきの声」と報じる―【私の論評】中国小国化に向け追撃戦に転じた安倍総理(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事ではAIIBの瑕疵について以下のように掲載ました。
1.AIIBには、ガバナンスの点で大いに問題がある。たとえば、AIIBの融資について理事会の関与がほとんどない。中国トップがある国へのインフラ投資を政治判断したら、AIIBはプロジェクトの採算性などを度外視して融資する可能性がある

2.AIIBは中国主導であり、中国がその後ろ盾になる。よって、その格付は中国と同等になる。中国の格付けは、トリプルAのアメリカ、ダブルAの日本より下のシングルAである。ということは、アメリカと日本が参加しない、AIIBの格付けは他の国際金融機関よりも低いということになる

3.中国の金融システムは金利の自由化すら終了していない途上国並みの未熟なもので、国際金融業務のノウハウも乏しい
要するに、AIIBは悪質な金融業者のようなものであり、中国が儲けるためには、信用など度外ししてとんでもないことをやらかす可能性が高いということです。

それに、中国がAIIBを主催する理由は、自国内から海外に金が逃避して、国内の金融が空洞化しており、さらには中国国内では投資が一巡して、大きな投資案件がないため、このままでは過去のように、国内で金をあつめてインフラ投資をして大きく経済発展するなどということが不可能になったため、これを打開するためです。

そうして、国外のインフラに投資して、それで中国が儲けてまた、経済発展をしようという腹です。

しかし、悪質な金融業者に過ぎないAIIBにそんなことができるはずもありません。おそらく、焦げ付きがたくさんでて、不良債権を増やすだけになります。こんなAIIB日本が参加すべきといい、TPPは大反対というなら、そんな人は、中国スパイの謗りを受けても当然のことだと思います。皆さん、このようなことを主張するTPP芸人の言うことは絶対に信用してはなりません。

それと、中国と 韓国が、TPPに入れない理由としては、ブログ冒頭の記事にも掲載されていましたが、これよりもっとはきりいえば、両国とも経済劣等生だからです。

それについても、このブログに掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
【米韓首脳会談】韓国トホホ… TPP参加にオバマ大統領から言及なし 朴氏は「緊密協力」―【私の論評】中韓は、個人消費をないがしろにする愚かな経済劣等生、TPP加入は全く無理(゚д゚)!
内閣府でフロマン米通商代表部代表(左)を迎える甘利明内閣府特命担当大臣

これも、詳細はこの記事をご覧いただくものとして、ここでは中韓の経済劣等生ぶりを示す部分だけ引用します。

結局中韓は個人消費をないがしろにしている

韓国も、個人消費はなおざりにして、インフラ整備やグローバル化ばかり繰り返し、外国の影響をもろにかぶる体質になってしまい、今や元は本来高くしなければならないのですが、それをしないため中国はインフレ、韓国はウォン高で苦しんでいます。

TPP 加盟国のうち、経済があまり良くない国もありますが、経済の規模にもよりますが、いずれにしても中韓のようにこれだけ、個人消費を犠牲にして偏った経済の国はありません。

そんなことから、中韓のTPP加入はまだまだ時期尚早です。
中韓の経済を良くする処方箋はあるのだが・・・・・

中韓の経済をまともにする処方箋は決まりきっています。両国とも、中間層をもっと増やしそれらが、社会・経済活動を活発にできるようにすれば良いのです。

中国であれば、民主化、政治と経済の分離、法治国家化を進めれば、中間層が増えて、社会経済活動も活発化します。今までが、今までだったので、少しでもこの方向に進めば、実体経済は必ず良くなります。

韓国の場合は、民主化、政治と経済の分離、法治国家化に関しては、中国よりは進んでいますが、それでも先進国から比較すれば、遅れているので、それを推進すべきです。それとともに、グローバル化の推進一辺倒から、内需を拡大する方向に舵を切り直すべきです。
サムスンなどのグローバル企業ばかり育成しようとしても、結局は脆弱な経済になるだけです。まずは、内需を拡大させるべきです。そのための方策はいくらでもあるはずです。

しかし、両国の首脳も、政府もこのようなことは、わかりきったことなのに、この方向に向かっての動きはまったくしようとしません。習近平は、反日とインフラ投資、朴槿恵は反日とグローバル化とりわけ、中国接近を馬鹿の一つ覚えのように繰り返すばかりです。愚かとしか言いようがありません。

であれば、中韓がTPPに参加すれば、とにかく韓国は、自国民を犠牲にしても、安い製品で他国から儲けることばかり考え、中国は外国へのインフラ投資をすることで儲けようとし、それを繰り返し、結局中韓もダメになり、他の国も悪影響を及ぼしてしまいます。
中韓の経済はいびつです。どこの国でも、経済に関して万全な国というのは、なかなかありませんが、それにしても中韓の実態経済はあまりにも歪です。このような国が、今後も安定して成長していけるなどと思い込むのは根本的な誤りです。こういう国は、TPPに加入させてはいけません。

にもかかわらず、 経済劣等生の中韓がTPPに加入できない理由を、はっきりさせないTPP芸人は、私は「中国スパイ」と断定します。だからこそ、ABBIバス乗り遅れ論など平気でぶちあげるのです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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【関連書籍】

中韓のTPP加入などあり得ません。それどころか、中韓の経済はもう瀬戸際です。崩壊するのは予定帳場となりました。もう、秒読み段階です。今後、日本が気をつけなければならないのは、経済だけではなく、中韓からの偽装難民です。以下に、それらを納得していただける書籍を掲載しました。

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2013年3月6日水曜日

TPP 安倍総理の施政方針演説の真意と偏向報道―【私の論評】安倍首相がTPP参加に積極的と思い込む前に疑ってみよう!!強烈な反対派の印象操作に惑わされていないかい?

TPP 安倍総理の施政方針演説の真意と偏向報道

まずは、以下の動画を御覧ください。


安倍総理の施政方針演説の真意を歪めTPP参加へ世論を誘導する偏向報道を検証しまし­た。

引用動画・資料 
安倍内閣総理大臣施政方針演説→http://bit.ly/VPaXTZ 
EUとのEPA 来月にも1回目の交渉へ→http://bit.ly/ZLmgwj 
産経:TPP参加に意欲「国益かなう経済連携を」 原発再稼働も明言→http://on-msn.com/12cyO53 
共同通信:首相、原発再稼働を明言 TPP参加も事実上表明→http://bit.ly/12cxfEb

【私の論評】安倍首相がTPP参加に積極的と思い込む前に疑ってみよう!!強烈な反対派の印象操作に惑わされていないかい?


この動画ご覧いただければ、安倍首相は、TPP参加に意欲を示しているとのマスコミ報道は誤りどころか、悪質な世論誘導であることが理解できます。こういうことをいうと、安倍首相はオバマ大統領にTPPに参加することを表明しているではないかと、はしゃぐ愚かな人々もいます。

そもそも、安倍首相は、TPP参加の意向を表明しているわけでもなく、TPP参加に積極的であるという意図も表明しておらずTPP交渉参加を表明しているだけの話です。TPP交渉参加とTPP参加は全く別であり、TPP交渉参加の場合、不利になったら離脱できます。

私は、安倍首相の施政方針演説を見ましたから、安倍首相が、TPP交渉には参加するものの、あまり積極的ではないと思っていましたが、SNSなどみていると、安倍総理が、TPP参加にあたかも積極的であるかのような論調が結構掲載されていたので、驚いてしまいました。

結局、SNSでこのようなコメントを発する人は、マスコミにミスリードされているという事なのだと思います。あるいは、悪質な意図があるものと思います。

野田さんと異なり安倍総裁は、オバマ大統領に簡単には踊らされない
野田政権ならまだしも、安倍自民党政権が、TPP交渉に参加したらかといって、それがすぐさま参加に結びつくわけではありませんし、それに、国会で確か民主党の議員が安倍総理に、TPPに今から参加して間に合うのですかなどという質問をしていて、それに対しては、安倍総理は適当にいなしていました。今のままでは、おそらく時間切れになると思います。

TPP交渉に参加したとしても、日本側のやり方によっては、TPPを原型とどめないぐらい骨抜きにしてしまうとか、あるいはTPP交渉を離脱した後に、その交渉過程を下地として、日米や日豪などと個別FTAEPAを結んでしまうという流れなども十分考えられます。


それに、安倍首相がいくらTPP参加に消極的であったにしても、大人の常識としてオバマ大統領との会談のときに、相手側が言い出していることに、すげなくその場で「日本はTPPに参加はしない」と言えるものでしようか?一応、「交渉参加」の表明くらいするのが大人というものだと思います。

こんなのは、良く考えれば誰でもわかる理屈です。話をもっと簡単にしてみましょう。たとえば、A社という大きな会社があって、B社というA社の半分くらいの会社があって、あなたはB社の社長で、A社の社長から、直接あっているときに、A社、B社を含めたジョイント・ベンチャーをやろうではないかと持ちかけられたとします。そのときに、B社の社長であるあなたは、その場で、A社の社長に対して面と向かって「当社はこのジョイントベンチャーには参加しない」と言うことができるでしょうか?

普通なら、「交渉に参加」させていただきます」くらいは言って、その場ではA社の社長をたてるというのが普通だと思います。後で、もっと下のレベルで一応は、交渉には参加して結局はどこか切りの良いところで、参加しない旨を表明することになるに違いありません。それが、当たり前のことです。しかも、ジョイント・ベンチャーには参加しないものの、今後も他の取引をしたいと思っている場合は、なおさらです。それに、もし、今後A社と今後取引をしないとしても、大人の常識でその場で「参加しない」とはっきり言うのは、許されないことと思います。

TPP交渉参加の意向を示したことに反対するマスコミなどの安倍首相糾弾派には、こういう常識はないのでしょうか?ないとすれば、ただのバカです。しかし、そうではありません。やはり、売国的なスタンスを崩していないということです。

国と国との交渉も、企業対企業の交渉も一定の社会常識のマナーがある!!
国際的な交渉事でも、これは同じことです。その場で、「TPPには参加しない」などといってしまえば、オバマ大統領の面目を完全に潰すことになります。良識ある大人しかも、国家を代表する一国の宰相がそんなことはできません。そんなことをすれば、国内外で「常識外れ」と非難のそしりを免れません。場合によっては、辞任ということも十分あり得ます。自称TPP反対派で「TPPに参加を表明した安倍さんにはがっかり」と煽っている人は、マスコミに扇動された人か、真性偽造転向コミンテルンのいずれかであるとみるべぎです。

TPPはこうしたマスコミなどに、うまく利用されているとみるべきです。まずは、多くの人達に受け入れられやすい「TPPには大反対」である意見を表明し、心配を煽り日本米国追随論をぶちあげ、 徐々にトーンを上げ、交渉は参加と同じで、オバマと話したら売国奴とあおり、 さらにトーンを上昇させて、いきつく先は、あわよくば日米国交断絶、そうなれば、中国は大喜びです。こんな連中の術中にむざむざとはまる必要はありません。

この論調の極めつけは、北海道新聞です。典型的です。これについては、以前のこのブログでも紹介しました。そのURLを以下に掲載します。


若者の新聞、TV離れで「LINEニュース」 好調の理由―【私の論評】若者離れの理由は、それだけではない? 今は新聞記事の落差が誰にでも簡単に知ることができる時代!!メディアは心せよ!!


この記事では、北海道新聞のオバマ・安倍会談についての酷い記事があったので、その全文を掲載しました。
日米首脳会談 追従外交に逆戻りした(2月24日) 

安倍晋三首相が訪米し、オバマ大統領と初めての日米首脳会談を行った。 
 米国が交渉参加を求めている環太平洋連携協定(TPP)については近く参加表明する意向を示した。日本国内の議論は不十分なままである。拙速な判断と言わざるを得ない。 
 民主党政権が模索した「対等な日米関係」から、歴代自民党政権の対米追従外交に逆戻りした感が強い。 
 米国に対しては、沖縄の米軍基地問題などで、日本の立場を正しく理解してもらう必要がある。それを形にして示すことこそ重要だ。 
 両首脳は、TPP交渉参加に際して全ての関税撤廃の約束を求められないことを確認した共同声明を発表した。首相はこれを理由に「聖域なき関税撤廃が前提ではないことが明確になった」と説明した。 
 TPPの基本原則は全品目の関税撤廃である。米国の姿勢も同じで、譲る気配は全くない。交渉が米国主導で進み、日本の要求が通らなくなる懸念が強く残る。首相は国益を守る戦略を示していない。 
 自民党はTPPに慎重だった。ところが高市早苗政調会長は日米首脳会談直後、参加の判断を首相に一任すると言い出した。慎重姿勢に期待して先の衆院選で自民党に投票した有権者は裏切られた思いだろう。 
 TPPに絡んで農業対策の必要性は民主党政権当時から指摘されてきたが、進展はない。影響は農業に限らない。国民的な議論が必要だ。性急な参加表明は納得できない。 
 北朝鮮に対して両首脳は日米独自の金融制裁を行う方向を確認した。米国は北朝鮮への関与が濃厚な中国の銀行への制裁も検討している。日本が同調する場合は日中関係への影響も見極める必要があろう。 
 尖閣諸島問題では首相が「冷静な対処」を強調し、日中間の過度な緊張を好まない米国に配慮した。日中の外交関係を活性化して解決を模索する必要性を再認識すべきだ。 
 沖縄の米軍普天間飛行場の移設を早期に進めることでも一致した。名護市辺野古に移設する両政府の基本的立場は変わらぬままだ。 
 地元負担の軽減を考えれば、県外、国外移設が不可欠だ。米兵の犯罪が起きるたびに求められる日米地位協定の改定についても首脳会談で成果はなかった。首相の姿勢は踏み込み不足である。 
 首相は「日米同盟の信頼と強い絆は完全に復活した」と胸を張った。だが、見えてくるのは米国の威を借り、追従する日本の姿である。 
 オバマ政権は日米関係への関心の低さも指摘される。日本の立場をしっかり主張しない限り、具体的な成果を望めるはずはない
これは、あまりにも典型的なので、全文掲載させていただきました。このような論調の背後には、特定の意図が隠れているどころか、ありありと表に示されています。(赤字、太字はブログ管理人が施しました)。




この動画では、三輪和雄氏が、現在、マスメディアの腐敗がネット上で厳しく糾弾されるようになってきたのですが、マスメデ­ィアがダメなのは何も最近に限った話ではなく、蔵書の整理をしていたときに、再発見­した、朝日新聞・NHK・共同通信の年季の入った腐敗振りについて紹介されています。

それにしても、マスコミの煽りは酷いものです。とにかく、鵜の目鷹の目で、安倍政権を潰す機会を狙い、それに乗じてあわよくば、さらなる本格的な日本弱体を狙うマスコミ、許すまじ!!

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2016年11月12日土曜日

蓮舫氏「トランプ氏に失礼」でまたもブーメラン 本来の立場忘れ、本末転倒の攻撃材料に―【私の論評】TPPは頓挫していない!政治家、マスコミ、官僚も米大統領選のように判断を誤る可能性が(゚д゚)!

蓮舫氏「トランプ氏に失礼」でまたもブーメラン 本来の立場忘れ、本末転倒の攻撃材料に

蓮舫氏
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)承認案などをめぐり、米大統領選でTPP脱退を明言するトランプ氏が勝利したことを受け、民進党執行部から承認案の即時撤回を求めるような発言が相次いでいる。そもそもTPP交渉参加に向けた協議入りを決断したのは、平成23年の旧民主党・野田佳彦内閣だ。自由貿易体制を重視する本来の立場を忘れ、トランプ氏を安倍晋三政権の攻撃材料にするのは本末転倒でないか。

蓮舫代表「新大統領に対して失礼にあたるのではないかとも思い、懸念している」

野田幹事長「新しい大統領にケンカを売るような話にもなりかねない」

 蓮舫、野田両氏はトランプ氏が勝利した9日、承認案などの衆院採決を急ぐ政府・与党を批判した。

民進党野田幹事長
 民進党は「今回の交渉で農産物重要5項目の聖域が守れなかった」ことなどを理由に承認案に反対しているが、TPPの理念は否定しない立場。7月の参院選で発表した「民進党政策集2016」にも「アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の実現をめざし、その道筋となっているTPPなどの経済連携を推進します」と明記している。

トランプ氏はTPPを「米製造業の致命傷になる」と批判するなど保護主義的な姿勢を示してきた。民進党の考えるべき道は、TPPの理念まで消え去りかねない危機への対応であり、「トランプ氏に失礼」などと肩を持つことではないはずだ。(水内茂幸)

【私の論評】TPPは頓挫していない!政治家、マスコミ、官僚も米大統領選のように判断を誤る可能性が(゚д゚)!

そもそもTPP交渉参加に向けた協議入りを決断したのは、平成23年の旧民主党・野田佳彦内閣であることは間違いありません。その当時の新聞記事のリンクを以下に掲載します。これは朝日新聞のものです。
野田首相、TPP交渉参加の方針表明
2011年11月11日23時11分

 野田佳彦首相は11日、首相官邸で記者会見し、環太平洋経済連携協定(TPP)について「TPP交渉参加に向けて関係国との協議に入る」と述べ、参加国との事前協議から始まる交渉プロセスに参加する方針を表明した。首相は12日からハワイで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、オバマ米大統領らTPPの関係各国首脳と会談し、交渉参加の方針を伝える。 
 TPP交渉に正式参加するには、すでに交渉入りした米国など9カ国と事前協議を行い、それぞれ承認を得る必要がある。日本が各国と本格交渉を始めるのは、早くても来年春以降とみられる。首相が「交渉参加に向けた協議」と表現し、事前協議を強調したのは、民主党内の反対派に配慮した面もある。 
 首相は会見で、農業や医療などの分野でTPP参加に反対する声が強いことを念頭に「世界に誇る日本の医療制度、日本の伝統文化、美しい農村、そうしたものは断固として守り抜き、分厚い中間層によって支えられる安定した社会の再構築を実現する決意だ」と強調。こうした懸念に配慮する姿勢をみせた。 
 一方で「貿易立国として活力ある社会を発展させていくためには、アジア太平洋地域の成長力を取り入れていかねばならない」と述べ、交渉参加の意義を訴えた。その上で、首相は「関係各国との協議を開始し、さらなる情報収集に努め、十分な国民的な議論を経た上でTPPについての結論を得ていく」と強調した。 
 また、首相は農業対策について、10月に政権がまとめた農林漁業の再生に向けた基本方針・行動計画を踏まえて「規模の集約化や6次産業化などを5年間で集中的に行っていく。それに基づいて必要な予算を措置する」と述べ、交渉参加と農業再生の両立を図る考えを示した。 
 首相は関係国との協議について「国益を最大限実現するプロセスの第一歩だ」と主張。昨年11月に菅前政権が「情報収集のための協議」としたTPP参加国との交流について、首相は「さらに歩みを前に出す」と位置づけた。 
 一方、慎重派の鹿野道彦農林水産相は11日夜、記者団に「総理は『参加表明』とはおっしゃらなかった。交渉参加を前提とするものではないと理解している」と指摘。首相の表明が交渉参加にはつながらないとの認識を示した。
この当時の私は、TPPそのものについては自由貿易を推進するということで反対ではないものの、野田政権というより財務省に簡単に御せられてしまう、交渉力の弱い民主党政権のときにはTPP交渉に入るのは日本の国益を損ねる危険性もあると考えていたので、一応反対はしていました。そのため、ブログには以下の様な野田氏を揶揄するような画像も掲載しました。


この記事は、2011年11月11日のものであり、今から5年前の記事です。野田氏は5年前に、自らTPP交渉参加に向けた協議入りを決断しておきながら、「新しい大統領にケンカを売るような話にもなりかねない」と発言しているわけです。

これは、非常に奇異です。ケンカのきっかけは自分が作ったにもかかわらず、自分にはもう全く関係ないかのような発言です。このような発言をするのなら、まずはきっかけを作った自分が謝罪すべきではないでしょうか。

それに、蓮舫氏の「新大統領に対して失礼にあたる」というのも本当に奇異です。蓮舫氏は、自らの二重国政問題で自らの意見を何度も何度も翻し国民を愚弄したその挙句、今でも二重国籍であるかどうかさえはっきりさせていません。国民に対してあれだけ、失礼なことをしておきながら、それは全く顧みずに、筋違いの政府批判をしています。

これらの発言から読み取れるのは、政治を考える上で、二人ともせいぜい1〜2年期間で物事を考えて発言しているとしか思えないのと、とにかく筋が通ろうが通るまいが、論理的であろうが、なかろうが、現政権を批判することしか頭にないことです。

このような発言は、無責任と断定せざるを得ません。そうは言っても、この二人にはそのようなことは全く気にもかけないでしょう。だからこそ、このような発言ができるのです。

この二人が、民進党の代表と、幹事長というのですから、情けない限りです。

それにしても、トランプ氏が大統領選に勝ってからいろいろなことが明るみに出ました。

まずは、メディアは日米ともに、最後の最後まで、クリントン優勢と報道したことからもわかるように、米国の国民の声や、考えを全く反映していなかったことが明るみに出ました。

まずは、このブログで何度か掲載してきたように、アメリカのメディアはアメリカにおそらく、半分くらいは存在していると考えられる保守派や保守派に親和性のある人々を完全に無視してきたこと、そうして日本のメディアも米国メディアの論調を鵜呑みにして、アメリカの半分の声に対してノータッチであったことが明るみに出ました。

それに、TPPに関しても、「TPPで日本は亡国になる!」と語っていた連中も大勢いましたが、トランプ氏はTPPには反対しています。亡国論者たちはTPPはアメリカの日本支配の巨大な陰謀などと語っていました。しかし、大統領選挙前からアメリカが拒否し、さらにトランプ氏も反対しています。結局、自称「保守系」経済評論家と呼ばれる人たちは、根拠の薄弱な恐怖を煽ったということで無責任であったことがはっきりしてしまいました。


しかし、TPPについては、トランプ氏が反対であることから、頓挫するのではないかというのが、日本のマスコミなどのほとんどの反応ですが、私は今のところは、完璧に頓挫したとは思っていません。

なぜそのように思うかというと、三点ばかり根拠があります。一点目は、過去に大統領選においてFTAやEPAに関して、大統領選のときには反対の意思を表明しておきながら、大統領になったらこれを批准した大統領などいくらでも存在するからです。実際、アメリカの大統領選挙の公約は守られないことが、しばしばありますし。だからといって、大きな問題になったこともありません。

二点目としては、アメリカの政治は二大政党制であり、今回のように政権交代があったとき、前政権と現政権の政治があまりにも異なった場合、とてつもなく混乱することになります。そのような混乱を避けるため、アメリカの政治では継続性の原則が貫かれています。

継続性の原則とは、たとえ政権交代したとしても、現政権は前政権の政策を6割〜7割は引き継ぎ、後の4割から3割で、新政権の色を出すというような政治手法のことをいいます。

今回のTPPに関しては、これを推進しようとしたのは元々アメリカです。これを今から完全廃止するとなると、アメリカ国内だけではなく、日本を含めた他の多くの国々に混乱をもたらします。これがかなりのマイナスとなると判断すれば、政治の継続性の原則から、混乱を招かないために、従来通り現政権もTPPを推進する事になる可能性は十分あります。

三点目としては、TPPには中国は参加しません。その意味で、TPPは中国への経済的な対抗策でもあります。トランプ氏は対中国恐慌派と目されていますから、これを理解すれば、TPPを推進するほうに立ち位置を変える可能性は十分にあります。

日本のメディアは、もうTPPは頓挫したかのように報道しているところが多いです。しかし、もっと趨勢を見極めないと、政治家、マスコミ、官僚もまたアメリカ大統領選挙の時のように、判断をまったく誤ることになるかもしれません。

アメリカの大統領がトランプ氏と決まったことを契機これからも、いろいろなことが明るみに出てくると思います。そのようなことを発見した場合、またこのブログに掲載しようと思います。

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