2011年5月23日月曜日

急速に“老いる”中国=青少年人口の急減は未来のリスクに―ユニセフ―【私の論評】日本は、世界一の大国?!!

急速に“老いる”中国=青少年人口の急減は未来のリスクに―ユニセフ


中国青少年発展基金会の「希望プロジェクト」のポスター
2011年5月18日、北京市で国連児童基金(ユニセフ)は記者会見を開き、中国の青少年人口減少を指摘した。19日、米華字ニュースサイト・多維ニュースが伝えた。

「2009年中国人口サンプル調査」によると、中国の青少年人口は00年の2億2800万人から09年には1億8000万人と大きく減少した。全人口に占める比率は00年の18%から13%へと急落している。

独紙フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング(FAZ)は、「中国は人口政策にとって『最悪のモデル』」と手厳しく批判している。中国はいわゆる一人っ子政策をいまだに堅持しているが、青少年人口の急減は将来の労働人口減につながり、深刻な経済リスクだと指摘している。(翻訳・編集/KT)

【私の論評】日本は、世界一の大国?!!
中国も、少子高齢化ですか。何かマスコミでは、中国や韓国の素晴らしさばかり報道していますが、日本の悪さだけ報道して、日本の良さを報道しないマスコミにはいつも疑問を感じています。

だからこそ、私のブログでは、折に触れて日本の良さなどを掲載しています。

本日もその一環として、日本の良さというか、意外に大きい日本の真の姿を掲載したいと思います。

日本って島国だし陸地の領土の面積が少ないです。ただし、領海を含めると、日本の領土は世界有数となります。これに関しては、以前のブログにも掲載したことがあると思います。以下は、日本の排他的経済水域を示す図です。


排他的経済水域(はいたてきけいざいすいいき、exclusive economic zone; EEZ)とは、国連海洋法条約に基づいて設定される経済的な主権がおよぶ水域のことを指います。沿岸国は国連海洋法条約に基づいた国内法を制定することで自国の沿岸から200海里(約370km<1海里=1,852m>)の範囲内の水産資源および鉱物資源などの非生物資源の探査と開発に関する権利を得られます。その代わりに、資源の管理や海洋汚染防止の義務を負います。


経済水域

排他的経済水域では、日本は、世界で6位となります。そうして、この海域には、メタンハイドレードをはじめ、石油、天然ガス、レアメタルなどとてつもなく豊富な天然資源がひしめいています。

さて、次に人口をみてみましょう。多くの方は、中国・インド、アメリカより人口が少ないのは知ってるいるでしょうが、それ以外の国と比べて多いのか少ないのかそこまで認識されている方は少ないと思います。

実は、日本の人口は先の経済的排他的水域の面積と同じく、世界10位以内に入るのです。実は、ドイツの1.5倍、イギリス・フランスの2倍です。以下に世界の人口を掲載しておきます。

★世界の国別(地域別)人口 上位50

順位国(地域)2009年推計人口
世界6,829,360,438
1中国1,345,750,973
2インド1,198,003,272
3アメリカ合衆国314,658,780
4インドネシア229,964,723
5ブラジル193,733,795
6パキスタン180,808,096
7バングラデシュ162,220,762
8ナイジェリア154,728,892
9ロシア140,873,647
10日本127,156,225
11メキシコ109,610,036
12フィリピン91,983,102
13ベトナム88,068,900
14エジプト82,999,393
15エチオピア82,824,732
16ドイツ82,166,671
17トルコ74,815,703
18イラン74,195,741
19タイ67,764,033
20コンゴ民主共和国66,020,365
21フランス62,342,668
22イギリス61,565,422
23イタリア59,870,123
24南アフリカ共和国50,109,820
25ミャンマー50,019,775
26韓国48,332,820
27ウクライナ45,708,081
28コロンビア45,659,709
29スペイン44,903,659
30タンザニア43,739,051
31スーダン42,272,435
32アルゼンチン40,276,376
33ケニア39,802,015
34ポーランド38,073,745
35アルジェリア34,895,470
36カナダ33,573,467
37ウガンダ32,709,865
38モロッコ31,992,592
39イラク30,747,296
40ネパール29,330,505
41ペルー29,164,883
42ベネズエラ28,583,366
43アフガニスタン28,149,916
44ウズベキスタン27,488,220
45マレーシア27,467,837
46サウジアラビア25,720,605
47北朝鮮23,906,070
48ガーナ23,837,261
49イエメン23,580,220
50中華民国(台湾)23,157,178

中国、インド、アメリカなど、確かに人口が多いですが、これはむしろ例外的といっても良いくらいです。それに、皆さんにもう一つ認識していただきたいことがあります。

それは、いわゆる民族の問題です。中国は、漢族と55の民族からなる国です。インドも似たようなものです。アメリカは、移民の国で、もともと、多数の民族で構成されている国です。世界の人口が多い国のほとんどは、そうです。特に、日本よりも、人口の多い国はすべてそうです。それに対して、日本は、ほとんどが日本人によって占められています。おそらく、主に大部分が単一の人種で占められている、フランス、ドイツ、オランダなどの国々の比較では日本が最も人口が多いと考えられます。

こう言っても、ピンとこない人もいらっしゃるかもしれませんが、民族が異なるとは、まずは、語る言葉が違います、書く文字も違います。食べるものも違います、生活習慣が異なります。中国でさえ、漢民族が日本のように同じ日本人が、密集して固まって住んでいるようなことはありません。広い領土の、各省に分散して存在しています。

それに、もうひとつ注目です。特に、上の表で、ロシアと日本を比較してみてください。確かに、ロシアの人口は日本より大きいですが、面積の違いを考えてください。あれだけ、ロシアはあれだけ、広大な領土を持っているにもかかわらず、人口は日本よりわずかに多いだけです。これでは、人口密度はかなり低いということがいえます。

陸地の面積が狭いということは、悪いことばかりではありません。確かに耕作面積など狭くなりますが、それだけコミュニケーションは取りやすくなります。交通の便も良くなります。さらに、日本は、確かに面積は狭いですが、他国と比較すると土地が肥えていて、単位面積あたりの収量が、EUやロシアなどの5倍にもなります。

ロシアや中国などでは、領土は確かに広いですが、実際に人の住めるような場所は、広大な領土なかの点と線に過ぎません。日本のように、面で住めるようなところは、驚くほど少ないです。それに無論のこと、日本のように交通の便が良いとか、通信基盤など全国的に整っているところは、珍しいです。

このような国が経済発展するのは、当たり前といえば、当たり前です。戦後の日本の繁栄は、奇跡の発展などと言われていますが、上記のようなことを考えると、必然といっても良いと思います。

人口上位国はほとんど開発途上国ですよね。先進国で上位にいるアメリカと日本は、人口が多く先進国のため経済規模が大きいです。イギリス・フランスはいかにがんばっても人口が日本の半分ほどしかいませんから・・・アメリカや日本ほどの経済規模にはなり得ません。

良く、日本との引き合いにだされる、デンマークや、スウエーデン、フィンランドなどの北欧諸国や、ニュージーランドなど、すべて人口が数百万単位に過ぎません。日本でいえば、県単位の人口に過ぎません。そのような、国々と、日本のようなスケールの大きな国を横並びで比較してもどうしようもないと思うのですが、日本のマスコミなど、よく、社会福祉などで同列に並べて論じています。大きな間違いです。あのような小さな国の制度を、日本やアメリカや、イギリスなどに当てはめようにも、あてはまりません。

あの人口増で経済発展している中国は、しばらくの間大規模な経済発展をするに違いありません。しかし、今でも、GDPは、一人当たりで比較すれば、日本の1/10に過ぎません。

その中国はこれまで少子化策をとってきたので、上の記事のように、もうすでに、発展にストップがかかりかけています。

このように見てくると、日本では、マスコミなどが、日本を矮小化して語ることが多かったり、学校の教育などでも、あまりに矮小化するので、なにか、日本は小さな国と勘違いしている人が多いような気がします。

しかし、今一度、上記のように、日本を見なおせば、日本人はもっと自信を持っていいと思いす。みなさんは、いかがですか?外国の人々と話す機会の多い人は、これに気づいている人も多いのではないかと思います。いくつかの国の人々と同時に話をすれば、日本など大国扱いです。

多くの人は、何か、世界は広い、こんな小さいせまい国に閉じ籠っていてはいけない、そんなことばかり聞かされて生きてきた気がしているのではないでしょうか。

韓国の人口が日本の半分弱なのはなんとなく知ってましたが、音楽市場は10分の1に過ぎません。日本が大きい市場であるからこそ、韓国人アーティストは、日本を目指してきているのです。日本の市場で成功すれば、それは、もう世界進出のあしがかりになるほどの規模だからです。
さて、韓国のことを述べましだか、気になるあの国、北朝鮮はどうかといえば、無論韓国よりも人口は少ないです。食糧難などで、人口は減りつつあります。脱北者などということばを皆さんも聴いていると思います。韓国の警察庁および統一部などによると、韓国に入国した累積脱北者数は2001年の1,990人から、07年には1万2,248人、昨年9月末には1万7,134人と、大幅に増加しました。このペースでいけば、今年は2万人以上に達すると見られています。

しかし、もっと驚くべきことがあります。それは、いわゆる韓国脱出する人々です。これを脱南者と呼びます。特に、若い世代の人に多く、主に、韓国の将来に絶望して、ヨーロッパや、アメリカに移住します。この数が、脱北者を超え、年間8万人にものぼるということです。そういわれてみれば、中国から日本に来る人間も相当増えているという史実もあります。

韓国がなぜ、こういうことになったかといえば、アジア通貨危機で、国そのものが、IMFの管理下に入りましたが、その管理からは、脱出しましたが、結局、韓国の多くの銀行が、アメリカの傘下に落ちてしまったからです。現在、韓国人がせっせと働いて銀行にお金を貯めると、それが、配当として、アメリカに吸い取られるという構造になっています。これでは、韓国は、アメリカの経済植民地になってしまったといっても過言ではありません。そんなことを若い世代は十分に知っているから、韓国を脱出するのです。

これらの国々の人々、将来に希望があれば、こんなことをして、日本などに来るでしょうか?日本では、特にマスコミが、中国や、韓国など、良いことずくめのようにいいますが、そんなことはありません。

それに、日本には、さらに強みがあります。それは、資源大国だということです。それは、先に示したように海域に天然資源が恵まれているなどということではありません。資源と言った場合、企業などでは、ヒト・モノ・情報・カネのすべてを指します。そうです。これらを資源というのなら、日本は正しく資源大国です。お金は、うなるほどあるし、モノも豊富ですし、それに何よりも、勤勉で、優秀な国民がたくさんいます。

このような均一の市場は世界でも類を見ません。グローバル企業を標榜して、日本の市場をないがしろにするような企業は、いずれ必ず失敗すると思います。グローバル企業であっても、まずは日本の市場を深耕しようと考える企業は、大発展することでしょう。

それに、日本には、天皇制を頂点とする共通の伝統文化がはっきりしているだけでも、2000年以上の歴史を持って根づいています。中国など、漢民族とはいっても、このような歴史を共有することなく、それぞれの地域の漢族が、その地域の歴史や伝統文化を持っているにすぎません。かつて、鄧小平氏が、鄭和を中国の英雄にしようとしたのですが、結局は無理でした。彼は、イスラム教徒でしたから、無理だったのでしょう。建国の父毛沢東でさえ、英雄に祭り上げることができせん。なぜなら、彼が権力の座にあったとき、あまりにも多くの人民を殺戮してしまったからです。

さて、日本のような国を大国と呼ばずして、いずれの国を大国と呼ぶのでしょうか?

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2011年5月22日日曜日

2軸回転式のディスプレイ搭載Androidスマートフォン「AQUOS PHONE THE HYBRID 007SH」を写真で紹介―【私の論評】日本語入力ツールとして、フリック入力は欠かせないと思うのですが?




2軸回転式のディスプレイ搭載Androidスマートフォン「AQUOS PHONE THE HYBRID 007SH」を写真で紹介

http://journal.mycom.co.jp/articles/2011/05/20/007sh/index.html


【私の論評】日本語入力ツールとして、フリック入力は欠かせないと思うのですが?
この手の携帯いずれはでてくるのではないかと、思っていましたが、とうとう実現しました。技術的には、最初から不可能ではなかったと思いますが、やはり、Androidででてきましたね。

この機種の最大のメリットは、Android携帯なのに、従来の携帯電話と同様に入力もできるし、普通のスマートフォンのように、フルタッチの入力もできるという事だと思います。

私自身は、iPhoneを使っています。そうして、iPhoneには、入力方式として、明らかに、おおかたのAndroid端末よりも使いやすい機能があります。それが、フリック入力です。これは、日本語特有の入力方式であり、日本語を使う私たちだけができる方式です。これができるということで、おそらく、日本人が世界で一番素早くこのようなデバイスに入力出来るようになったのではないかと思います。



フリック入力とは、テンキー風に配置された各行のあ段(あかさたなはまやらわ)の周囲に、十字型や扇形に他の4段(い段、う段、え段、お段)が(潜在的に)配置されており、あ段のキーを押しつつ目的の文字の方向に指をスライドさせる(弾く)ことで、文字を入力します。

また、タブレットPCやタッチパネル式の液晶ディスプレイでのスライド操作のことを、単にフリックとも呼びます。

「フリック」(flick)とは、「素早く動かす、弾く」という意味であり、この場合、指のスライド(弾き)のことを表しており、「フリック入力」に限らず、タッチスクリーン操作全般に用いられる表現です。

従来の「あ段→い段→う段→え段→お段」とキーのプッシュを繰り返して表示・入力する方式(トグル入力)に比べ、素早い入力が可能になるだけでなく、指への負担も少ないとさています。

アップルのPDAニュートン・メッセージパッド用に開発された入力システム「Hanabi」が草分けで、2008年、iPhoneに採用されたことで、急速に広まりました。無論、iPadでもできます。ちなみに、MOTOROLA XOOMでも、フリック入力ができます。下の動画は、その様子です。ただし、入力する人があまり慣れてないようで、速くありませんね。まあ、フリック入力ができるということをデモしているだけという感じてす。


私自身は、最近ではフリック入力をしています。これに慣れてしまうと、もう、もとの携帯電話の入力には戻れません。今のところ、パソコンの入力の速さには、及びませんが、それでも、以前と比較すれば確実に早く入力できます。


iPhone4を持つ女性
以前の携帯電話だと、入力に時間がかかるので、それに気を取られて、あまり意味のある内容だとか、長い文章などは打つことができませんでした。しかし、フリック入力をするようになってからは、随分早くなりましたので、たとえば、先日地震で、一時、wimaxの通信ができなくなったので、iPhoneで、結構長い内容のブログを入力して、掲載しました。

こんなことは、従来は考えられなかったことです。今でも、普通の携帯電話で、入力する人で、入力の速い人より、さらに速いと思います。これから、1年くらいもしたら、おそらく、パソコンの入力とかわらないほど速くなるのではないかと、期待しています。そうなれば、いろいろなことに、iPhoneの入力が活用できるのではないかと思います。

この入力が身につけば、一生ものだと思います。どこでも、パソコン入力と同程度で、文章が打てます。これは、画期的です。パソコンだと、どうしても、大きいですから、素早く入力できるスマートフォンに手軽さでまさる事は出来ないと思います。

そんなことから、私は、やはり、次の携帯電話を買うときには、フリック入力できるかどうかを優先すると思います。そうして、タブレットPCも同じことだと思います。

しかし、電子デバイスの入力など、どうしても、欧米の言語と比較すると、日本語入力は不便でしたが、日本語しかできないフリック入力で、この面でも、追いつけるのではないかと思います。

このフリック入力、Androidでは、Xperiaのみができるようです。他機種でも、できるように配慮してもらいたいものです。

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2011年5月21日土曜日

優れたアイデアマンは視点を変えられる――ロゴに隠されたメッセージ―【私の論評】イノベーションに必要なのは知覚だ!!

優れたアイデアマンは視点を変えられる――ロゴに隠されたメッセージ

さて、本日はBiz.IDというサイトを見ていたら、以下のような記事がでていたので、本日はこれに関連したことを掲載します。
最近、図解志向、プレゼン、発想術などについて講演することが多いのですが、その際に出席者に「思考の歯垢を取り除きましょう」と言っています。 
「思考の歯垢」とは、自分で作りあげた勝手な思い込み、前提、常識といったものです。子供のころは発想が豊かだった人も、世間の荒波にもまれる間に、エッジは丸くなり、アイデア発想の前に、実現性や前例などを考えてしまうようになります。 
しかし、スティーブ・ジョブズの言うように「Think Different」が大事です。ほかの人とは違っている考えこそ、価値がある。周囲が反対するアイデアこそ、大きな成功に結びつく可能性が高いのです。そうしたアイデアを持てるようにするために、私たちは、これまでにこびりついた「思考の歯垢」をキレイに取り除かねばなりません。 
FedExロゴに隠されたもの 
常識にとらわれない、自由な発想の原点は「視点を変える」こと。今回は、視点を変えることのできる人とそうでない人をチェックするための簡単なテストをしてみましょう。お題は、みなさんが見慣れた企業や商品のロゴ。まずは、こちらを見てみてください。
誰もが、国際的な宅配サービス会社のロゴであることは分かると思います。しかし、この企業を知らない子供に見せると何が見えるでしょうか? みなさんとは違う、別のものが見えるのです。それはなんでしょうか? 
答えは、矢印です。ロゴのデザイナーであるリンドン・リーダー氏によれば「スピード」「正確性」などのメッセージをロゴに埋め込んだそうです。ロゴの文字だけにとらわれず、余白に注目すればすぐに見えてきます。EとXの間の余白に着目してみましょう。 
このように、従来の意識で見ている部分だけにとらわれるのではなく、別の視点から見ると対象物は異なる顔をしていることが多いのです。同じような問題ですが、以下のロゴはどうでしょうか? 
 
女性がよくご存知のスイスチョコレート。商品ロゴの上に描かれている山は元々製造していたトブラーがあったスイスのベルンを示しています。よく見るとそのベルンの山の中に、シンボルであるかわいい熊が描かれていますね。FedExロゴの答えを知ると、トブラローネのロゴのメッセージには、すぐに気づくことができるでしょう。 
VAIOのロゴには何が隠されているか 
 
次の問題は別の側面から見ることが必要です。ソニーのVAIOのロゴです。今度は、余白に注目ではありませんよ。VAIOの文字のデザインに注目してみてください。 
ヒントはVAとIOとに分けて考えることです。いかがでしょう、このロゴに隠されたメッセージをつかむことはできましたか? 
実はVAの部分は、流れるような連続した曲線(正弦波)で「アナログ」を示しています。一方IOの部分は「1」「0」と読むこともでき「デジタル」であることを示しています。つまり「アナログ」と「デジタル」の融合、というコンセプトがロゴの中に隠れているのです。
このようにロゴ1つとっても、それを「文字列」として読むのか、「映像」として見るのかで、見えるものが変わってくるということです。 
文字の余白に着目してみる。文字の意味ではなく、形に着目してみる。 
普段、何気なく見ているものをあえて異なる視点から見る習慣をつけておけば「思考の歯垢」を落とすことができ、これまで考えもしなかった改善点やアイデアを思いつけるでしょう。 
http://bizmakoto.jp/bizid/articles/1105/10/news029.html
【私の論評】イノベーションに必要なのは知覚だ!!
さて、上のようなロゴの事例は、探せばほかにもいろいろあります。以下のその事例を掲載します。

amazon

ネットショッピングでおなじみのアマゾンですが、実はちょっとした哲学を反映しているそうです。
黄色の矢印は、客に満足させたい意味を込めたスマイルの口のようになっています。その矢印がaとzを指しているのは、アマゾンにはAからZまですべて取り揃えているという意味を含んでいるようです。


ユニリーバと言えば食品、飲料水、洗剤類など幅広く扱っていることから、ロゴにもそれを反映させたかったようです。各図にはそれぞれの意味があり、例えばハートには愛、鳥は自由のシンボルといった感じです。

northwestairlines

アメリカの航空会社であるノースウェスト航空。一見すると会社名の頭文字であるNとWが融合しているだけのように思いますが、実は方位磁針になっておりNorthwest(北西)の方向を指しているのです。

formula1
なじみ深いF1のロゴにも、実は隠されたものがあります。間の余白部分に、もう一つ「1」が隠されているのがわかるでしょうか。

nbc
アメリカの三大ネットワークの一つに数えられるテレビ局のロゴですが、クジャクがモチーフになっています。創立時に事業部が6つあったことにちなんで、6枚の羽根になっているそうです。

bigten
1896年に設立された10の大学からなる組合なのですが、1990年にペンシルバニア州立大学が加わりました。しかし名前を変えたくなかったので、こっそりロゴの中に11と言う数字を加えたそうです。


hartfordwhalers
北米のアイスホッケーチーム、ハートフォード・ホエーラーズのロゴ。白い部分がHを、緑の部分でWを、そしてブルーの部分でクジラの尻尾を表現しています。

eight1
実は全ての文字が8の一部をつかって出来ています。

まだまだあります。

logo29
これ、何気に凄くないですか?女性のヨガのポーズですが、実はこのロゴには、オーストラリアが隠されています。皆さんお気づきですか?

logo28
イリュージョンしていますねUとIの間にSを隠しています。

logo27
名前の頭文字の「H」を道路(ROAD)に見立てています。素敵ですね。

logo26
これもなかなか。Height(高さ)なので上下の矢印で高さをイメージしつつ、間にHの文字を隠しています。

logo01
指とボタンでcliqを表現しつつ、指とボタンが「太陽と街(city)」にも見えるように工夫されています。

logo02
バーディとバードをかけて、アイアンにも鳥にも見えるように。アイアンにクチバシを付けただけでこう見えるのは凄い。

logo03
この発想素敵ですね。Webのマウスアイコンとボタンを女性のピクトグラムに見えるように工夫されています。
logo11
ワインを探す、という名で眼鏡をロゴに使っていますが、ワインボトルも隠されています。


さて、いろいろと、ロゴを掲載してきましたが、このこと自体はそうたいして重要なことではありません。上の記事では、「思考の歯垢を取り除きましょう」などと、書かれていて、何か重要なことが語られていないようなので、本日はこれに関して掲載します。

上記の例で、知覚がいかに重要であるかをご理解いただけたのではないでしょうか。

うえの記事では、「文字の余白に着目してみる。文字の意味ではなく、形に着目してみる。 普段、何気なく見ているものをあえて異なる視点から見る習慣をつけておけば「思考の歯垢」を落とすことができ、これまで考えもしなかった改善点やアイデアを思いつけるでしょう」としていますが、実際に知覚はそれ以上に重要なものです。

上のロゴの事例では、SONYのVAIOを除いては、すべて外国のものでしたが、実は知覚ということでは、海外、特に西欧より、日本のほうがはるかに歴史もありすぐています。

ドラッカーは、著書の中でこれについて、以下のように述べています。

「分析に対置するものとしての知覚こそ、実に一○世紀以降の日本画における継続的な特性である」(『すでに起こった未来』)  
日本の歴史と社会についての第一人者、エドウィン・O・ライシャワー元駐日大使が、その著『ザ・ジャパニーズ』において、日本は第一級の思想家を生み出していないと言ったとき、ドラッカーは、日本の特質は“分析”ではなく、“知覚”にあると言ってくれた。 
ドラッカーは、中世における西洋最大の偉業、トマス・アクィナスの『神学大全』に対置するべきは、宮中の愛と病と死の描写からなる世界最高の小説、紫式部の『源氏物語』だという。 
近松門左衛門の文楽と歌舞伎は、カメラとスクリーンこそ使わなかったが、高度に映画的だともいう。登場人物は、何を言うかよりも、どう見えるかによって性格づけされる。誰も台詞は引用しないが、場面は忘れない。  
近松は、映画のための道具はなに一つ使わずに、映画の技法を先取りした。役者が不動の形を取る見得は、まさに映画のクローズアップである。  

歌舞伎に観る見得 
ドラッカーの洞察は、日本の近代社会の成立と経済活動の発展の根底には、その伝統における知覚の能力があると看破する。これによって日本は西洋の制度と製品の本質を把握し、再構成することができたという。日本の真価はこの知覚の能力にある。  
「日本について言える最も重要なことは、日本は知覚的であるということである」(『すでに起こった未来』)

さて、ドラッカーは日本は、知覚的であるとしていますが、さらに、イノベーションの知覚の重要性について以下のように説いています。
 「イノベーションとは理論的な分析であるとともに知覚的な認識である。イノベーションを行うにあたっては、外に出、見、問い、聞かなければならない」(『イノベーションと企業家精神』) 
 近代文明はデカルト以来、因果関係と定量化を駆使する一方において、その呪縛に囚われてきた。近代合理主義としてのモダンの時代は、知覚の世界の存在を否定はしなくとも、進歩とは関係のないこととした。そしてそのおかげで科学技術も進歩した。 
 だがイノベーションは分析だけで行なうことはできない。そもそもイノベーションに対する社会のニーズは分析では知りえない。 
 ドラッカーは、イノベーションの成果が、やがてそれを使うことになる人たちの期待、価値、ニーズにマッチしうるかは知覚によってのみ知りうるという。 
 そうして初めて、それを使うことになる人たちが利益を見出すには何が必要かを考えられるようになる。考えられなければ、せっかくのイノベーションも間違ったかたちで世に出る。 
 かくしてイノベーションこそポストモダンたるべき活動であり、機能である。 
「イノベーションに成功する者は、右脳と左脳の両方を使う。数字を見るとともに人を見る。いかなるイノベーションが必要かを分析をもって知った後、外に出て、知覚をもって顧客や利用者を知る。知覚をもって彼らの期待、価値、ニーズを知る」(『イノベーションと企業家精神』)
要するに、日本の近代社会の成立と経済活動の発展の根底には“知覚”の能力があるということです。イノベーションに取り組むには、分析的アプローチ、設計的アプローチ、創造的アプローチというのがあります。


分析的アプローチとは、現状を徹底的に分析する方法です。市場であれば、いろいろな分析を徹底的に行うということです。この分析は、たとえば、改善の場合はかなり有効です。分析ができれば、改善できる可能性はかなり高いです。しかし、あくまで改善であり、イノベーションにつながることは稀です。この方法は、ほんど分析という手法で実施します。


次に、設計的アプローチの場合は、たとえば、現状で、1000万円しか売上がない月商3000万円の店をつくるなどと目標を設定しての改善・改革の方法です。この場合は、分析的と、知覚を半々程度で実施します。実際には、月商3000万円の店と、現状の1000万円の店とを対比して、足りないものをつけたしていきます。


次に、創造的アプローチの場合は、理想的な形をアイディアでつくりあげていく方式です。これには、知覚が重要です。これは、新たなビジネスモデルをつくりあげるなどの時に用いられる方法です。


イノベーションは、無論、創造的アプローチによるものがほとんどです。分析的アプローチでは、イノベーションにつながることはほんどありません。分析だけでは、改善から一歩も踏み出せません。


なぜかといえば、たとえば、市場調査をしていたとして、分析だけでは、たとえば、30歳台の都市部の女性が、コンビニで洗剤を買う率が高いということがわかって、それておしまいだからです。これに対してできることは、30歳台の女性の顧客の多いコンビニで、洗剤をもっとおくとか、洗剤の種類を増やすということくらいです。


とこが、知覚によって、創造的アプローチをすれば、もっともっと多くのことができるかもしれません。知覚とは、30歳台の都市部の女性が、コンビニで洗剤を買う率が高いこと意味は何であるかを知覚するということです。


知覚にも、程度があります。たとえば、この事例では、女性の婚期が従来よりも遅くなり、勤労している女性が多くなったので、時間を節約するために、コンビニで洗剤を買っていると知覚できれば、洗剤に限らず、時間を節約するビジネスモデルを考えればよいわけです。このようなビジネスモデルはいくつも作れるはすです。そうすれば、先の分析の例よりも、はるかにいろいなことができます。


さらに、もっと深く知覚することができれば、さらに、それこそ、社会を変えるイノベーションもできるかもれしません。


上のロゴの例では、実は、もっと深い意味性が隠されているかもしれません。フェデックスの→は、何を意味しているのでしょう。VAIOのアナログと、デジタルは何を意味するのでしょう。チョコレートの、熊は、一体何を意味しているのでしょうか?


このように、深く知覚することができれば、さらに、物事が理解できるようになります。


それにしても、最近は、一見日本のイノベーションは下火に見えますが、特許の件数を見ている限りでは、日本は未だに世界一です。しかし、私は、いわゆる社会を本格的に変えるイノベーションに関しては、最近日本は不得意になりつつあるように思います。


そうして、それは、なぜかといえば、日本人が日本の伝統文化を軽視するようになったからではないかと思います。もともと、知覚を重要視していた、日本の伝統文化をほとんど顧みなくなったからではないかと思います。知覚とは、分析だけでは得られないものです。分析した結果を、解釈したり、外に出て知覚をもって人の期待、価値、ニーズを知ることが必要なのです。


人を知るには、何時間も話をして、人を心理分析すれば、知覚できるというものでありません。実際に、人がどう行動しているのか、何を考えているのかを、総合的に判断しなければできないものです。人の行動や、発言、思考様式、着衣などから、その背景である隠れたメッセージを読み取ることができなければ、知覚することはできません。


この方面の能力がもともと、日本人は優れていたはずなのに、日本文化をないがしろにしてきたことによって、本来の能力が失われかけているのではないかと思います。日本人は、もともと、そのような能力があったので、西欧人などとは異なり、あまり会話をしなくても、相手のことを知覚できたのだと思います。現在の政局などみていると、本当にそんな感じがします。


ここまで、読んでいただいて有難うございます。先に、書いたように、これは、思考の歯垢程度の問題ではないことがお分かりになったのではないかと思います。


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