2012年7月4日水曜日

オール電化の家庭に衝撃! 経産省専門委がオール電化割引に廃止要請【話題】―【私の論評】長期のエネルギー政策がなければ、こういうことになる!!これからも!!

オール電化の家庭に衝撃! 経産省専門委がオール電化割引に廃止要請【話題】:


キッチンや風呂のエネルギーも電気でまかなうのが「オール電化」。取り入れている家庭も多いだろう。だが、そんな家庭に衝撃的なニュースが飛び出した。

オール電化の家庭にはいままで料金割引が適応されていたのだが、これの廃止を経済産業省の電気料金審査専門委員会が要請したのだ。

ガスを利用するよりお得だから……という理由でオール電化にしていた家庭も多いのでこの要請に「かなり割高になりそう... 続きを読む

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【私の論評】長期のエネルギー政策がなければ、こういうことになる!!これからも!!

太陽光パネルも設置されたオール家電住宅
オール電化住宅は、家庭内で用いる全てのエネルギーを電気に統一した住宅です。対義語にはウィズガス住宅があります


利用される電気機器は主に以下のとおりです。この他電力消費を抑える目的で発電用に太陽電池を設置する場合もあります。
・給湯:エコキュートまたは電気温水器
・調理:IH調理器(またはラジエントヒーター)
・冷暖房:エアコン、蓄熱式電気暖房器または床暖房システム(電熱式、PTC式、蓄熱式、またはヒートポンプ温水式)などを組み合わせる。これらの機器は100ボルトの電圧では能力不足であることから、一般に200ボルトを使用する。

1980年代後半からモデルハウスの展示が行われるようになりました。1990年にはそれまでの深夜電力(1964年10月施行)に加え、時間帯別電灯料金制度が導入されました。また、IHクッキングヒーターやエコキュートが登場しました。

オール家電住宅の内部
閉鎖的環境の屋内で高温の燃焼ガスを発生させないという点から、住宅の高気密化が進む昨今においては、ガス・石油を室内で使用しないことが「安全」、「クリーン」、あるいはある面においては「省エネ」であるとして、オール電化設備やオール電化住宅の販売が行われています。

裸火を扱わず火災リスクが少ないメリットから住宅ローンの金利優遇を行う金融機関や、火災保険の特別割引を行う保険会社があります。 また、リフォームの際に一部分のみを電化機器に置き換えるポイント電化を行うケースもあります。

ガス業界は、"住まいの原点は「洞窟と火」"、"火を使わないと、火の怖さ、火傷することすら分からない子供が出てくるとしたら、それも怖い。"などと、安全性を逆手に取ったPR戦略をとっています。

戸建住宅においては、2007年度より、優秀と認められたオール電化住宅を表彰する「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エレクトリック」という表彰制度が創設され、オール電化住宅の普及促進に拍車をかけていました(第1回大賞はスウェーデンハウスと一条工務店)。
東京電力管内では2008年以降急速に普及し、3年間で原子力発電プラント2基分にあたる約200万kW分の電力消費が増えた可能性が指摘されています。

以上のような経緯から、オール電化住宅がどんどん推進されてきたわけですが、今日、このオール電化住宅の電力料金割引の廃止が検討されているわけです。


そうして、なぜこのようなことになったのかといえば、昨年の震災と、それに伴う原発事故、さらに、最近の原発の稼働停止により、電力生産の縮小によるものだと考えられます。

そうして、これは、原子力ムラや、自民党時代からの政府による、原子力安全神話によるところが大きいです。安全な原子力で、低価格の電力を供給できるから、安全なオール電化を推進すべきという大前提が大幅に狂ってしまったということです。


にもかかわらず、驚いたことに7月1日、すでにドイツで失敗した「再生エネルギー買い取り」がスタートしています。太陽光や風力、地熱、バイオマスなどで発電した電力を経済産業省が認定し、電力会社が 買い取るもので、原発依存から脱却するために再生エネルギーによる発電の新規参入を 促すのが狙です。

しかし、買い取り制度は、かなりの確率で失敗に終わることでしょう。 経済産業省は、今年度中に認定するのは計250万キロワット超になると試算しており、 原発約2基分にあたります。 

太陽光は1キロワットあたり42円、風力は23円~58円、地熱は27円~42円で、電力会社が 買い取ります。買い取り価格は電気料金に転嫁されるため、結局は消費者の負担となります。 標準家庭の今年度の負担増は平均87円となりますが、今後普及がすすむほど、負担は増えていきます。全量買い取りのため、参入する企業は、再生可能エネルギーで発電するほど、売り上げが立ちます。 



しかし、その売り上げは、すべて家庭の負担となります。しかも、これは、火力発電の燃料コスト増による値上げとは別枠での負担増となります。 要するに、家庭の負担を原資とする補助金を、ソフトバンク、ローソン、ヤマダ電機といった再生エネルギー発電への参入企業にばらまくという話です。


しかし、原発を再稼動させれば、これらの負担は必要ありません。 長期的には、代替エネルギーの普及向けた取り組みは重要ですが、現段階において、供給体制や コストの問題で普及できないでいるものを、家庭の負担を強いる形で、無理やり市場に流通させる必要が どこまであるのでしょうか。 




しかも、この政策は、同様の制度で先行しているドイツでは、すでに破綻しています。 ドイツでは2000年に同様の制度を導入しましたが、消費者負担が増える一方となって、今年2月には全量 
買い取りを断念しています。買い取り価格も段階的に引き下げることが決まっています。クリーンエネルギーの助成の約6割を太陽光につぎ込んできたにもかかわらず、全発電における太陽光の比率は、わずか3%に とどまっています。太陽光発電は、天候に左右される上、実際の発電量は発電容量の3割程度と非効率のため、 結局、高くつく上、普及もしなかったのです。 




 経営として採算が合わないエネルギーを、無理やり補助金で普及させても、最後には破綻するということです。 再生可能エネルギーの研究は必要ではあります。しかし、現段階において普及するには時期尚早です。研究開発への助成なら、話はまだ分かりますが、電力の買い取りは明らかな間違いです。再生可能エネルギーへの 企業参入がブームになれば、それはバブルになる可能性が高いと言えよう。

一方でこのようなことをしながら、他方では、上の記事のように、オール電化の家庭の割引は、停止するということです。これって、何か非常に矛盾しているというか、かなりハチャメチャな話です。

それにしても、地震が発生して、原発事故が発生したのは、昨年の3月です。それから、今年の7月で、随分時間があったはずです。なのに、この体たらくです。本当に困ったものです。

私は、ここにはっきり提言させていいだきますが、この電力買取制度も、今後政権交代があっとして、どの政党が政権の座につこうとも、もともと、無理なものは、無理なので、早晩破綻すると思いす。

やはり、原発があてにできなくなった今日、総合的なエネルギー政策をはっきり策定して運用してく必要があると思います。そう思うのは、私だけでしょうか?





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2012年7月3日火曜日

【産経・FNN世論調査】増税法案成立後に解散を57%―【私の論評】これから選挙に打って出ようとする人へのアドバイス"次の選挙では、何を争点にすべきか?何を主張する政治グループに属するべきか!!"

【産経・FNN世論調査】増税法案成立後に解散を57%
前回の衆院解散を伝える新聞記事、このときは、デフレ脱却は争点にならかなった。
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が6月30日、7月1日の両日に実施した合同世論調査で、消費税増税法案が参院で成立した場合について「できるだけ速やかに衆院解散・総選挙を行うべきだ」との回答が57・0%に上り、「解散・総選挙は必要ない」(38・6%)を大幅に上回った。

野田佳彦内閣の支持率は前回調査(6月9、10日)より0・3ポイント増の28・5%、不支持率も1・1ポイント増の61・9%となった。政党支持率は民主党が0・1ポイント減の13・0%で政権交代後の最低記録を更新。自民党も16・4%と3・5ポイント減らし、「支持政党なし」は過去最高の55・1%(5・3ポイント増)に達した。

民主、自民、公明3党による消費税増税法案の修正協議での合意について「評価できる」は53・8%。消費税率を2段階で10%に引き上げることについては「反対」が6・0ポイント減の50・1%、「賛成」が4・2ポイント増の45・2%でほぼ拮(きっ)抗(こう)した。

衆院の選挙制度改革については、民主党提出の法案に明記された連用制の一部導入に44・5%が反対、賛成は36・1%だった。


関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働では「反対」が50・5%で前回より7・1ポイント増。「賛成」は43・5%で5・7ポイント減った。今夏の限定稼働については「反対」(48・3%)と「賛成」(45・3%)が拮抗。電力不足を条件にした他の原発再稼働に関しては「賛成」(52・7%)が「反対」(42・1%)を上回った。

【私の論評】これから選挙に打って出ようとする人へのアドバイス"次の選挙では、何を争点にすべきか?何を主張する政治グループに属するべきか!!"

上のアンケートどの項目も、それなりに納得できるものと思います。特に増税に関してはもっともだと思いすます。現在増税法案は、衆院を通過していますが、参院もおそらく余程のことがない限り通過し、成立することでしょう。ただし、以前このブログで掲載したように、これをもって増税そのものが、決まってしまうわけではありません。 たとえ、法案が可決しても、来年の9月に実際に再来年の4月から実際に増税するかいなかを決定します。

参議院議員本会議場
だから、未だ再来年の4月に増税するかどうかは、決まってはいないわけです。であれば、まだ、増税しないという選択肢は、十分あるわけです。そうであれば、消費税法案が参院を通ったあかつきには、総選挙を行い、国民の信を問うべきです。選挙で勝つためには、既存政党であれ、他のどのような政治グループでふれ、おかしげな、いまの政府や新聞などの日本財政破綻キャンペーンや、国債暴落キャンペーンなどに惑わされることなく正しい情報を開示した上で、さらに、「増税」「反増税」という立場を明確にすることが肝要です。増税などすれば、税収はさらに減ること、結局デフレを克服しなければ、財政再建もできないことをはっきり名言すべきです。

そうして、当然のことながら、なぜ反増税なのかを明確にする政治グループに投票すべきと思います。そうして、デフレを克服するには、政府による財政出動と、日銀による金融緩和が不可欠であることを主張する政治グループに投票すべきです。さらに、日銀による金融緩和を担保するために、日銀法を改正することを明言するグループに投票すべきです。

政治家の中には、政府による財政出動だけで、景気が回復することを言う人もいますが、これだけでは、デフレから完全に脱却できるとは限りません。これだけやって、日銀を放置しておき、日銀が金融引締めをすれば、せっかくの財政出動も、くじかれてしまいます。


経済では、マンデル・フレミング効果ということがいわれています。開放経済の小国で変動相場制の下では、金融政策は有効ですが、財政政策は無効であるというものです。閉鎖経済のケインズ体系であるIS-LMモデルを開放経済に拡張した「マンデル=フレミング・モデル」によって導かれるものです。

このようなマンデル=フレミング効果があることによって、現在の経済学では、景気対策として、財政政策よりも金融政策の方がより強力であると考えられています。

財政悪化による長期的な経済への負担を考えると、財政縮小+金融緩和のポリシーミックスの有効性が考えられます。1990年代のアメリカは、このポリシーミックスを採用して、景気が拡大しました。

藤井教授
ただし、京都大学大学院工学研究科教授の藤井聡は、マンデルフレミングモデルはインフレであることが前提となっており、デフレにおいては全く通用しないとの批判を述べ、デフレ下の日本では財政政策は無効にならないと主張しています(ただし、インフレが前提であるということの根拠は示されていません。また、上述のようにマンデルフレミングモデルはIS-LMの枠組みであることから、インフレやデフレとはそもそも無関係に成立します)。また、同研究科助教の中野剛志も、資金需要が不足しているデフレ下では金利の大幅な上昇はありえず、自国通貨高にはならないと主張しています(現実の実効為替レートも参照のこと)。もっとも、現実の実質実効為替レートのデータを見てみると、橋本、小泉政権の時期に円安が、小渕政権の時期に円高が進行していたことが読み取れます。



また、財政出動すると内需拡大により、輸入が増え、むしろ円安になる。マンデル・フレミング効果は小国を前提としたモデルであり、日本のような経済大国にはあてはまらないとする人もいます。

しかし、現状ではアメリカや日本は小国ではないですが、小国開放経済モデルは、貿易や為替レートに及ぼす政策効果については近似的に正しいとされています。


マンデル=フレミング・モデルでは、IS-LM分析に国際収支の均衡を表すBP曲線を加えて、「経済政策の有効性」を考えます。
クリックすると拡大します↑
私は、藤井聡氏や、中野剛氏の意見は、確かに当てはまる部分もあると思います。それに、上記のグラフと、表をご覧いただけれぱ、経済の様々な局面で、財政政策が有効であったり、金融政策が有効な場合もあります。非常にわかりやすい例をあげると、たとえば、都営銀行は「中小企業は、銀行からなかなか融資を受けにくい環境にあるから困っている、だから、融資を受けやすくすれば、うまくいくはず」という理念で、設立したものですが、ご存知のように現状ではうまくいっていません。


中小企業は、仕事がないから困っているのであり、そんなときに、銀行がお金を貸しますなどといっても、借りようもないわけです。仕事があってこそ、設備投資をしたり、人を雇用するわけですから、こんなデフレのひどい時期に、金融政策だけではうまくいかないことは、明らかです。まずは、政府が公共工事などをして、直接間接にでも、仕事そのものを増やしいく必要があります。ある一定程度仕事が増えれば、 中小企業もお金を借りるようになるでしょうし、そのときには、金利が低いなどの金融政策が、効果をあらわしてくると思います。

それに、日本には、特殊事情があります。日本の場合、輸出はGDPの16%にすぎないということがあります。であれば、デフレ下の現状ですぐに財政出動が無効果になるとは考えられません。というより、デフレ脱却の直前では多いに効果があると思います。ただし、いつまでも、これだけをやっていては、やがて効果も薄れると思います。だかこそ、金融政策も必要不可欠だと思います。おそらく、これほどまで、長期化した異常なデフレは、日本どころか、いままで人類が経験したことのない、未曾有なものだと思います。それも、このような豊なで世界に一番カネを貸している国が、10年以上も長期デフレに陥っているなどというのは、本当に世界初だと思います。

【日本の主な輸出品と輸出先】 クリックすると拡大します
人類が経験したことがないのですから、デフレ脱脚するにしても、様々な紆余曲折があると思います。であれば、効果があると考えられるものには、すべて挑戦すべきです。無論、政治家が大きな方向性を示すものの、実際には、専門家がバランスをとりながらやるべきです。そのために、日銀と、財務省があるのです。そうして、日本は、それができます。外貨建で、大きな借金をしているギリシャのような余裕のない国とは違います。

上記のようなことから、私は、デフレ脱却には、政府による財政出動と、日銀による金融緩和の両方が必要不可欠だと思います。だから、この両方をバランスを取りながに実行していくべきと、主張する政治グルーブが、最も信頼できます。

デフレ脱却等経済状況検討会議であいさつする野田総理デフレの解は、
会議をすることで実現されることではない!!ましてや、増税゛てもない!!
もし、選挙になれば、まずは、このような主張をする政治グループを最優先にするべきです。ちなみに、政治グループとしたのは、次の選挙では、既存の政党による、連合、連携、さらには、既存の政党とは異なるタイプの政治グルーブも出てくる可能性があると思ったからです。あとは、おまけ程度と考えて、まずは先の主張をしないようなグループには、目もくれるべきではありません。複数そのようなグルーブがでてきた場合は、そのオマケが決め手になるかもしれませんが、それにしても、先のことをより具体的に主張するグルーブが良いと思います。

以前このブログにも述べたように、現在デフレです。このデフレを克服しない限りは、何をやっても、あちらを立てれば、こちらが立たず、こちらを立てれば、あちらが立たなくなり、結局はもぐら叩きになるだけです。

政府は結局もぐらたたきをして、遊んできただけ
経済の前に安全保障や、その他の重要な問題もあるではないかと主張する方もいらっしゃるかもしれませんが、それは、それとして、何もやるなとは言いませんが、デフレ解消は、現在日本にとって、エネルギー問題や、安全保障なども含めて重要な問題が10あったとして、デフレが解消できれば、全部とはいえなくても、5つや、6つは解決できます。しかし、これが解消しなければ、何も解決できず、何かを解決すれば他にしわ寄せがいくだけです。ひらたくいうと、デフレ不況の中では、自衛隊員を増やすこともできなくなるし、高額な兵器も購入できなくなります。エネルギー問題だって何か新しいエネルギー源をみつけて、実用化するのだって、先立つものと、時間が必要です。余裕がなければ、何もできません。


税と社会保障の一体改革などを行っても、現状は以前にも述べたように、結局高齢者や、富裕層に所得移転が起こるだけです。だからといって、貧困層や若者に手厚い措置をするようにすれば、他者にしわ寄せがいくだけです。結局、何をやっても、しわ寄せが及ぶ対象が変わるだけです。

だからこそ、次の選挙は、「デフレ対策」が最大の争点にならなければならないはずです。私自身は、もし、デフレでなければ、やるべきことは多数あるとは思うのですが、そんなことは棚上げにして今は、デフレをなるべく早期に解消すべきと思うのです、他のことはすべて後回しにすべきと思います。

デフレ対策なしに、あれこれ、夢を語る政治グループは最低であり、結局何もできないと思います。そうして、それをやったのが民主党です。そうして、野田首相は、「増税に政治生命をかける」などと、馬鹿なことを言っています。しかし、これは、菅首相が、参議院議員選挙のときに、自民党と同じ主張をすることによって、あわよくば、連立政権を樹立して、自らの政治生命を延長させようと、画策したということであり、全く政治生命をかけるようなものではありません。

民主党鳩山内閣、この日の高揚は二度とやって来ない!!

民主党は、もう将来はないことを自覚して、いつまでも、ズルズルべったりで、政権をなるべく伸ばすというような姑息なことはやめて、さっさと選挙をして決着をつけるべきです。飛ぶ鳥あとを濁さずという言葉を思い起こすべきです。

そうして、日本を良くしようと、本気で考え次の選挙に打って出ようとする方、是非とも頑張ってください。現在、政局は混迷しています。だから、その渦中にいると、大事なことを見失がちです。かえって、素人の私などのほうが、先を見やすいかもしれません。私は、本当に日本が良くなって欲しいと思っています。だから、選挙に打って出ようとする方に私の見方でも、参考になるかもしれないと思い、本日は、不遜ながらこのような投稿をさせていただきました。



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2012年7月2日月曜日

この国のあり方を考える 天下人・勝栄二郎(財務省の王)はこうして伝説になった(現代ビジネス)―【私の論評】東大話法を想起させる、国民不在のエリート意識?

この国のあり方を考える 天下人・勝栄二郎(財務省の王)はこうして伝説になった(現代ビジネス)


当該記事の、財務官僚のインタビューを中心に要約を掲載します。
「政治家を転がすコツ?それはいい気にさせることですよ」天才的な人心掌握術を持つこの男の野望が、間もなく達成されようとしている。誰のための野望?もちろん国民ではなく、財務省のため。 
「先週、野田首相の外遊中に民主党の合同会議が荒れただの、造反議員が何人出るだのって騒いでいましたが、ハッキリ言ってどうでもいいんですよね。 
新聞には、まるで大事のように書いてあるでしょ。だからバカな国民は『大変なことが起きている』と勘違いしてしまう。 
あれ、茶番ですから。どういう道筋をたどるか、可能性はいくつかあっても、最終的にはボクら、というか勝さんの思惑通りに進みます。つまり、消費増税関連法案は可決される。 
じゃあなぜ、政治家があんなに騒いでるのか。それには、政治家と官僚の根本的な『生態』の違いを知ってもらわないといけない。
政治家という生き物は、基本的に『どこまでいっても一人』なんです。派閥だなんだと言ったって、選挙に落ちた瞬間、ただの人になる。いや、仕事がなくなるんだから、ただの人以下ですね(笑)。
かつて政治家は、パフォーマンスをすべきでないと語っていた橋山氏
そんな政治家の行動原理を一言で言うと、「目立ちたい」。だからパフォーマンスに走るんですよ。 
『国民のために消費増税に反対する』 
とか言って。本当に国民のためになるかどうかは、どうでもいい。とにかくわかりやすいことを言って、目立とうとする。まだ国会議員じゃないけど、橋下徹さんなんてその典型でしょう?橋下さんのあの性癖は、多かれ少なかれ政治家が皆持っているものです。
自分勝手なパフォーマンスに走る奴がいるから、まとまる話もまとまらない。 
財務官僚の生態は、その真逆なんですね。組織のために、上から下まで一体となって働く。今だったら、勝さんの指令の下、全員が同じ方向を目指す。もちろん自分の能力をアピールしたい気持ちはあるけど、悪目立ちすることは極力避ける。軍隊的と言われたら、実際そうだと思いますよ。 
だから、政治家が財務省に勝てるわけがないんです。もともとボクらのほうが頭が良いわけで、しかも集団で戦うんですから。 
消費税を上げなかったら財政は破綻します。国民はよくわかってないかもしれませんが、ボクたちの仕事は『おカネの管理』『国家の家計簿をつけること』ですから。税収を増やすためには消費税アップ、それが正しいことだというのは、すべての財務官僚のDNAにすり込まれています」。
財務省のDNAとは何を意味すのか?
DNAは、単なる塩基配列にすぎないのだが?
カネが権力の源泉だと言うが、それはもともと財務省のカネでも、ましてや勝氏のカネでもない。国民から吸い上げた税収を差配することで、自分たちが偉大なことをしていると考えるのが、そもそも思い上がりではないか。 
日本には真の政治は存在しない。ただ財務省に君臨する王、天下人がいるだけなのだ。
この記事の詳細は、こちらから。

【私の論評】東大話法を想起させる、国民不在のエリート意識?
本日は、月曜日です。当社では、普段は部署ごとに朝礼をするのですが、月曜日には、一箇所に集まり全体朝礼を行います。全体朝礼では、役員も持ち回りで話しをします。その中で1人の方が「東大話法」について話していました。この方は、この話で、 言葉で逃げを打つ人に対する戒めとしてこの話をしていました。

今年の2月に東京新聞に掲載された、「東大話法」関連記事

そうして、全体朝礼が終わって、ネットである調べ物をしていたら、上の記事にたどりつきました。そうして、上のインタビューを受けている財務省の受け答えを読んでいると、まさに、「東大話法」という感じで鼻持ちならないと感じました。

財務官僚の生態は、その真逆なんですね。組織のために、上から下まで一体となって働く。

という下りは、あまり頭がきれるタイプとも思えない、東大話法を長く続けてきて、頭が腐っているのではないかと思います。

財務省というか、もともとは、大蔵省ということで、歴史をみてみると、増税に関しては決して主流派ではないということがわかります。それに、デフレ下の増税は、間違いであることを表明している人もいます。実際、増税すると、国民の所得が減るということを国会で証言している財務官僚も存在します。

ボクたちの仕事は『おカネの管理』『国家の家計簿をつけること』。と語っていますが、これは、全く違うと思います。政府の管理帳票は、単式の帳簿で、まるでお小遣い帳のようであると、揶揄する人もいますが、単式であれ、複式であれ、お小遣い帳をつけることだけが財務省の仕事でないことだけは、確かです。

これは、たとえば、普通の会社で、経理の人に「あなたの仕事は何ですか?」と聴いて、真顔で、「ボクたちの仕事は『おカネの管理』『会社の家計簿をつけること』などと答えれば、馬鹿と言われても仕方ないと思います。

この答えでは、確実に落第です。まるで、責任のない傍観者のような発言です。財務省の仕事は、国家の家計簿をつけて、帳尻を合わすことではありません。無論、このような仕事もないとはいいません。しかし、このような仕事だけであれば、何もわざわざ、超エリートを投入する必要は、ありません。これだけだったら、システムを整えて誰かが管理して高卒の普通の能力のアルバイトにやらせたほうが、よほど賃金も安くて、効率的です。

そんなことは、ありません。たとえば、予算編成などという大事な仕事もあります。これは、何のためにやっているかといえば、帳尻合わせのためにやっているというわけではありません。はっきりいえば、『国家の意思の表明』です。政治家がいかに、何をするこれをどうするなどと言葉たくみに語ったとしても、予算がつかなければ結局何もできません。これは、企業とて同じことです。予算という裏付けがなければ、ほとんど何もできません。その意味では、企業の予算は、『企業の意思』そのものです。無論予算は、最終的には、政治家が国会で決定することではありますが、財務省は、専門家的な立場から、たたき台を作るという仕事があります。

ノーパンしやぶしゃぶコスチューム(イメージ)
このような愚かなタイプの人が、過去の大蔵省の時代に「ノーパンしゃぶしゃぶ」にハマったのかもしれません。

勝次官は、このようなタイプの人ではないと思います。上記のような愚かな発言をする官僚などそもそも、存在しているかどうかが疑わしいです。まあ、取材して掲載いるのですから実在はしているのだと思いますが、本流の考え方している人ではないと思います。本流が、この程度であれば、日本の大エリートも落ちたといわざるを得ません。

大蔵省は、昔から、エリート中のエリートが入るところといわれてきたはずです、そんなエリートがこの発言なら、情けないです。しかし、現実にはそのような人もいるかもしれません。これは、ドラッカーが語っていた、「本当に優秀な技術者を一人雇いたければ、6人の技術者を雇え」と語っていたことを思い起こすべきです。


優秀な技術者を破格の待遇で獲得するサムスン
これは、昔から知られてい経験則です。全員が優秀だと折り紙つきの定評のある人を6人雇うと、全員優秀なはずなのに、なぜその中で、かなり優秀な人、真ん中くらいの人、優秀ではない人と、順位ができてしまうそうです。だから、ドラッカーは、本当に優秀な人を雇いたければ、6人雇えと言ったのです。これは、人事関係の人なら誰もが知っている経験則です。


だから、財務省、旧大蔵省だって、この原則があてはまるのです。東大に入り、東大を卒業し、難関である国家公務員試験に合格した人たちは、本来全員が優秀であるはずです。しかし、これらの中にも、優劣ができてしまうのです。そうして、上の記事のインタビューで意味不明の受け答えをしていた人は、優秀ではない部類の人なのだと思います。そうして、勝次官などと比較すれば、雲泥の差なのだと思います。


そうして、この手の優秀でない人が、いわゆる、「東大話法」に耽溺し、自らの能力を開発せず官僚キャリアを終えるのだと思います。

さて、東大話法といえば、上の写真に示したように今年の2月に、このことが、東京新聞の記事になっていました。その内容を以下に要約して、掲載します。

安富歩教授

安富歩教授「東大話法」(東京新聞2/25)
原子力ムラでまん延 「東大話法」思考奪う 偽りの言葉 高慢 無責任な傍観者
安冨歩(やすとみ・あゆむ)・東大教授に聞く 東京新聞 2月25日

着想のきっかけは福島原発事故の直後、NHKに出ずっぱりだった関村直人(原子力工学)の話しぶりだったといいます。 
関村直人教授
関村教授といえば、不安でテレビにかじりつく視聴者に向かって、実際に起こっていそうなことよりも、ずっと楽観的な「安全」を強調し続けた専門家。1号機が爆発したのではないか、という一報にも「爆破弁を作動させた可能性がある。」などと言い切り、あとにひどい学者不信を招いてしまいました。 
「過酷事故が目の前で起こっていても、官僚や学者は原発を安全と印象づける『欺瞞言語』を手放さなかった。東大で見聞きする独特の話しぶりにそっくりだと思った。」
ちなみに「東大話法」とは、東大OBが最も巧みに操るだけで、出身大学とは関係なく散見されるそうです。爆発事故を「爆発的事象」と繰り返した東北大出身の枝野幸男官房長官の会見も、典型的な東大話法だそうです。
枝野幸男氏
「正しくない言葉で、まずだましているのは自分自身。目の前で爆発が起こっている現実を直視できなくなり、正気を疑うようなことも平気でできるようになる。」 
日本を戦争の破滅に導いた近衛文麿
二十代のとき、2年半の銀行勤務の経験もある経済学博士だが、安冨歩教授の研究テーマは、「なぜ人間社会は暴走するのか。バブルに突き進んだ銀行の暴走と、戦争に向かってひた走った昭和初期の日本社会の相似に気づき、既存の学問分野を超えて探求してきたそうです。安冨歩(やすとみ あゆむ)教授は、「最も恐ろしいのことは、危機的な事態が起こった際、正しくない言葉を使うこと。それは一人一人から判断力を奪う」と強調しています。 
危険なものを危険といわず
戦前、戦時中に「日本は神の国だ」などと言い続けたことが客観的な現状認識を妨げ、いたずらに犠牲者を増やした。 
「『危険』なものを『危険』と言わない東大話法が偽りの安全神話を支え、事故を招いた」今年1月に出版した「原発危機と『東大話法』」(明石書店)では、上から目線の話しぶりに潜む東大話法のウソを暴きました。 
「暫定的」と前置きしつつ、二十も列挙した法則の主な項目を見ると・・・。 
規則1:自分の信念ではなく、自分の立場に合わせた思考を採用する
「原子力関係者がよく使う言い回しに、『わが国は・・・しなければなりません』があります。『私』ではなく、往々にして国や役所などを主語にするのが『立場』の人です。」日本人のほとんどは、立場に合わせて考え、「立場上そういうしかなかった」といった言い訳もまかり通りがちです。  
「責任から逃げている『立場』がいくつも寄り添い、生態系のように蠢(うごめ)いているのが日本社会。しかし、『立場の生態系』がどこにいくのかは、誰一人知らない。」 
高慢 無責任な傍観者周囲もあぜん 「記憶飛んだ」
規則8:自分を傍観者と見なし、発言者を分類してレッテル張りし、実体化して属性を勝手に設定し、解説する。
原子力ムラには自分を「傍観者」とみなしたがる習性も根付いているそうです。 
「客観的であることと傍観することをはき違え、なんら恥じるところがない」 
斑目春樹氏
傍観者ぶりが際立っているのが、原子力安全委員会の斑目春樹委員長。無責任な発言を繰り返し、「デタラメ」と揶揄された東大OBです。つい最近も、事故直後の対応を聞かれた国会の原発事故調で「一週間寝ていないので記憶が飛んでいる。(官邸に)どんな助言をしたか覚えていない」と、当事者とは思えない言い訳をして、周囲をあぜんとさせました。 
「原発に反対し続けた京大原子炉実験所の小出裕章さんが、講演のたび『原子力にかかわってきた者として謝罪したい』と繰り返しているのと比べると驚くばかりの傍観者ぶりだ。」 
規則3都合の悪いことは無視し、都合のよいことだけを返事する 
規則5:どんなにいい加減でつじつまの合わないことでも、自信満々で話す
九州電力の社員動員が発覚した2005年の「ヤラセ討論会」に参加した東大大学院の大橋弘忠教授(システム量子工学)も、典型的な東大話法の使い手だといいます。
討論会の議事録などによると、参加者の一人だった小出助教授は「人は間違うし、想定外の事態も起こり得るので、安全余裕をなるべく多くとるのが、原子力のようなものを扱うときの鉄則だ」と主張していました。 
大橋弘忠氏
これに対し、大橋教授は「安全余裕を完全に間違えて理解している方の考え方」と冷笑。 
水蒸気爆発の心配をする市民団体の代表にも、「私は水蒸気爆発の専門家」と胸を張り、見下すような議論に終始しました。 
「見つけたら 笑ってやって!」プルトニウム拡散の『遠因』
「原子炉を四十年間、研究をしてきたのは小出さんの方。ところが、大橋教授が討論会を仕切ってしまいました。その結果、九州電力の玄海原発には危険なプルトニウム混合燃料が投入された」 
玄海原発に続き、福島第一原発3号機でも、プルサーマル発電が始まっていました。つまるところ、3号機の爆発事故でプルトニウムが飛び散った遠因に、大橋教授の東大話法が貢献したとも言えます。 
ちなみに、同教授の語録には「プルトニウムを飲んでもすぐに排出される」があります。

「東大話法」にだまされないためには、どうすればいいのか。
安冨教授は、「自らの内にある東大話法に向き合い、考えることから逃げない姿勢が大切。東大話法を見つけたら、笑ってやること」と提案しています。笑われて、恥ずかしいことだと気づくことで東大話法から抜け出せる。 
どこに向かうかわからない『立場の生態系』については、パイプに詰まったごみのような存在が迷走を止める役割を担うこともあるといいます。 
「官僚にも学者にも、あるいはメディアにも、自分の言葉を持つ人たちがわずかにいる。そんな一人一人の存在でかろうじて社会がもっている。もし、人間社会がひきょう者の集団になったら、社会秩序は維持できない。」
以下に、に20の法則を掲載しておきます。

東大話法 20の法則 安冨歩(やすとみ あゆむ)・東大教授
○規則1:自分の信念ではなく、自分の立場に合わせた思考を採用する。
○規則2:自分の立場の都合のよいように相手の話を解釈する。
○規則3:都合の悪いことは無視し、都合のよいことだけ返事する。
○規則4:都合のよいことがない場合には、関係のない話をしてお茶を濁す。
○規則5:どんなにいい加減でつじつまの合わないことでも自信満々で話す。
○規則6:自分の問題を隠すために、同種の問題を持つ人を、力いっぱいに批判する。
○規則7:その場で自分が立派な人だと思われることを言う。
○規則8:自分を傍観者と見なし、発言者を分類してレッテル張り氏、実体化して属性を勝手に設定し、解説する。
○規則9:「誤解を恐れずに言えば」と言って嘘をつく。
○規則10: スケープゴートを侮蔑することで、読者・聞き手を倒喝し、迎合的な態度を取らせる。
○規則11:相手の知識が自分より低いとみたら、なりふり構わず、自信満々で難しそうな概念を持ち出す。
○規則12:自分の議論を「公平」だと無根拠に断言する。
○規則13:自分の立場に沿って、都合のよい話を集める。
○規則14:羊頭狗肉。
○規則15:わけのわからない見せかけの自己批判によって、誠実さを演出する。
○規則16:わけのわからない理屈を使って相手をケムに巻き、自分の主張を正当化する。
○規則17: ああでもない、こうでもない、と自分がいろいろ知っていることを並べて、賢いところを見せる。
○規則18:ああでもない、こうでもない、と引っ張っておいて、自分の言いたいところに突然落とす。
○規則19:全体のバランスを恒に考えて発言せよ。
○規則20:「もし○○○であるとしたら、お詫びします」と言って、謝罪したフリで切り抜ける。
しかし、これだけ、東大話法をみせつけられると、何か、上の記事で、自分たちの仕事は、お小遣い帳をつけることと、傍観者的にいう、官僚こそが、本当は、財務省の主流であるのかもしれないと思えてきます。

まあ、いわゆる民間企業では、あり得ないことです。やはり、民間企業では、利益などの指標がはっきりしているせいでしょうか。それに、組織風土が全く違うのだと思います。上のような、東大話法をまともな民間企業で、語れば、とんでもないことになります。企業であれば、営業関係の人間であれは、必ず売上や利益目標があります。営業関係以外であっても、その部署にふさわしい目標があり、それに向かって努力し、この目標を達成すれば、皆で喜びます。



財務省のような役所や、原子力ムラなどでは、こんなこともないのだと思います。そうして、多くの人が、組織や、国民のことなどは、そっちのけで、自分の保身のために、東大話法に励み、原子力ムラや、先の財務省の馬鹿役人のようになるのだと思います。

財務省組織図
本来優秀であるはずの人たち、優秀でなければならない人たちが、このような有様であることを見ると、本当に忸怩たる心持ちがします。

そうして、おそらく、上の記事など読んでいると、勝次官は、本当に優秀であり、東大話法などせずに、努力して能力を鍛えあげたきたため次官にまで上り詰めた方なのだと思います。もともと、早稲田大学出身ということですが、本来は、最初から東大に入ろうとしいたのではないかと思います。なにしろ勝次官が、大学受験の頃は、東大紛争の混乱で、1年間入学試験が中止された時期にあたっいたっています。だからこそ、後に東大に学士入学したということです。東大に最初から入っていないということから、財務省では、主流派ではないのかもしれません。だからこそ、東大話法の罠にはまらなかったのかもしれません。

勝栄二郎氏
勝次官は、「十年に一人の大物次官」「最後の大物次官」「影の総理」と呼ばれ、消費税増税に驀進する財務省にとっては切り札的存在といわれているそうです。

しかし、日本では、このようなエリート中のエリートであり、東大話法などと無縁な人までが、本当に危険で無意味な消費税増税を推進する立場にならざるを得なかったということが、本当に残念です。勝氏は、何が、国民のためになるのか、また、長い目で見た場合、何が財務省にとっての省益になるのか、十分知り抜いておられると思います。

このような優秀な人は、私が拙いブログで、掲載しているようなことは、すべて知り抜いているどころか、はるかに上をいっており、専門家の立場から私など思いも浮かばない何百段階、いや何万段階も上のことを考えておられるのだと思います。

東大話法の罠にはまっていない人までが、このように間違った方向に進んでしまう、日本の優秀な人々のことを考えると、暗澹たる気持ちにならざるを得ません。

私など、拙い頭で考えてみても、まずは財務省の将来、そうして国民のことをついでに考えたとしても、増税などに走るよりも、まずは、中央銀行の本来の役割を忘れて暴走する日銀を討伐することのほうが、はるかに優先順位が高いように思えるのですが、そうではありません。なぜ、財務省が増税にひた走るのか、理解できません。この疑問をはっきりさせていただきたいと思うのは、私だけでしょうか?


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2012年7月1日日曜日

【日本の解き方】動き出す200兆円公共投資!増税談合で利権分け前か―【私の論評】デフレ脱却には、やはり、政府による財政出動と、日銀による金融緩和の両方が不可欠!!

【日本の解き方】動き出す200兆円公共投資!増税談合で利権分け前か:



公共投資の復権を考えている人が出始めてきた。自民党は「国土強靭化法案」を今国会に提出している。10年間で総額200兆円をインフラ整備などに集中投資するという。

公共投資をすれば名目GDP(国内総生産)が伸びるという人もいるが、名目GDP伸び率と名目公共投資伸び率のデータを見ると関係はない。理論的には公共投資の需要創出効果はあまりない。十分な金融緩和がないと円高を誘発し輸出減となるという、いわゆる「マンデル=フレミング効果」があるからだ。

そもそも総額200兆円が先に出てくるのがおかしい。本来、公共投資は個々のプロジェクトでみて、便益と費用の比率(B/C)は1を上回っていれば採択し、下回っていたら不採択である。先に総額を決めるというのは、こうした個々のプロジェクトごとの採択基準を無視することにつながる。

それは筆者の大蔵省時代の経験からもいえる。公共投資のB/Cの計算チェックを行った。個別プロジェクトでB/Cが1・00という例が多く、それらはすこし間違いを探すと1・00未満になってしまう。そのような事例が多くなったら、チェックをしなくてもよいと言われた。予算総額が決まっていて、そのままでは予算をつけられなくなるからであろう。

建設投資を見ると、確かに投資額が減っている
もっとも、その時の経験ではB/Cが3以上だと不採択(B/Cが1未満)にはならなかった。後日、海外出張して公共投資担当の人とも話したが、やはり同じようなことを言っており、ドイツやニュージーランドではB/Cの採択基準を3や4に設定しているということだった。

そこで、経済財政諮問会議で同様な提案をしたことがあるが、国交省などから強硬な反対があって、実現しなかった。当時の高速道路で採択基準を「3」にすると採択路線は6割も減少になるからだ。逆にいえば、日本の公共投資の採択基準はそれだけ甘いわけだ。

今回は社会保障に使うから大丈夫という理屈であったが、早くも利権たっぷりの公共投資に化けようとしている。デタラメな増税だ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】デフレ脱却には、やはり、政府による財政出動と、日銀による金融緩和の両方が不可欠!!

上の記事を読まれて、皆さんはどう思われたでしょうか?私自身は、高橋洋一氏には従来から、注目しており、氏の意見はもっともであるといつも納得しています。

ただ、今回は、真正面から字面のみ読めば鵜呑みにできない点があります。ただし、裏読みをすれば、高橋氏は、無秩序なインフラ整備には賛同出来ない旨を表明しているのであり、さらに、日銀による金融緩和なしに、デフレからの脱却は困難であることに警鐘を鳴らしていると読み取るべきと思います。

高橋洋一氏
ましてや、自民党など、増税しておいて、無秩序なインフラ整備を多めに行えば、増税しても何も問題ないと考えているとすれば、とんでもない間違いであることを強調したいのだと思います。

確かに、こう考えているとすれば、とんでもないことだと思います。デフレの最中に、増税と、インフラ整備を同時行うのは、危険極まりない行為であると思います。理屈の上では、増税しても、インフラ整備を多めにやれば、国民の所得が増え何も問題ないかのようにも見えます。

福岡市のインフラ整備
しかし、経済というのはバランスが重要ですから、まず、最初は、増税などしないようにして、金融引締めで、暴走している日銀を日銀法改正などで、金融引締め一辺倒ではない金融政策に変更するという担保を確保したうえで、大規模な財政出動をして、税収を増やし、そうこうしているうちに、デフレから脱却したどころか、景気が加熱して、ハイパーインフレになりそうな状況になってきた場合、増税や緊縮財政、金融引締めを実施するというのが、順当な行き方です。

私自身も、従来は、政府の財政出動ばかり期待していたところがありますが、やはり、日銀が金融引き締めばかりやっている最中に、財政出動をしても、短期的には効果があるかもしれませんが、長期的にはデフレ克服までには至らないと思います。

さて、これに関しては、いろいろいと情報が錯綜しており、真実が把握しにくい状況になっています。真実に一歩でも近づくために、以下では、政府の税収に限って、情報を整理していきたいと想います。


さて、上の記事を論評する前に、税収に関してここ30年程度をふりかえっておきます。消費税をはじめて日本で導入して、3%の増税にしたときには、1989年のことで、日本国経済は、インフレ基調であったため、増税した翌年には、税収は増えました。ところが、その翌年から減りはじめ、その次の年は、3%にした年を下回りました。

その後、インフレは収束し、税収は減り続けました、次に、消費税を3%から5%に引き上げた1997年には、若干税収があがりました。ただし、このときはまだ、日本は統計上は、デフレに突入していませんでした。ただし、翌年の1988年に日本経済は、完璧にデフレ基調に移行しました。その後、税収が増えるどころか、1997年の税収を上回ったことはありません。

このデフレの原因は、主に政府による増税を含む緊縮財政と、日銀による金融引き締めによります。特に、1988年から、日銀法が、改悪され、日銀の暴走大勢が露となり、これ以降、完璧に金融引き締め政策を継続するようになりました。とにかく、インフレで冴えなければ良いという具合で、多少のデフレは辞さないという考えで金融政策を定め、実行しているようです。

金融引締め一辺倒で円高を誘導し、中国・アメリカに利する
ことばかり追求する日銀、いずれの国の中央銀行なのか?
しかし、経済学的に、ゆるやかなインフレ(2%から6%くらいまで)は悪性インフレとはいえず、さほど害はないですが、デフレの場合は、ゆるやかなデフレなど存在せず、デフレであること自体が、経済の重篤な病といえます。そもそも、ハイパーインフレは存在しますが、ハイパーデフレなるものは、存在しません。

モノの価値が、一夜で低くなり、モノを買うためにお札を山のよう支払うようなことはあっても、その逆に一夜にして、モノの価格が安くなり、昨日払った金額の1/10で、本日は、同じ商品を購入できるなどということは歴史が始まって以来一度もありません。たとえ、0.5%のデフレであっても、経済の病であることにはかわりありません。大変なことです。そうして、最大でも、年率2%程度のデフレしか、人類は経験したことがありません。



そのため、インフレは誰でもすぐに認識できますが、デフレは意外と多くの人が認識できないため、人の病気きでいえば、自覚症状のない癌のようであり、人によっては、デフレを経済の癌と呼ぶ人もいるくらいです。現在の日本のように、デフレが、14年間も続く異常な状況にいると、デフレが慢性化して、異常な状況を認識しない、ゆでガエル状況の人がでてきます。野田総理や、安住財務大臣などは、今がデフレであり異常な状態であるとは、本当は認識していないのかもしれません。

当時ライブドアの社長だった、堀江貴文氏も今や牢の中
2001年小泉政権になり、この政権は、2006年まで継続した。2003年から、2006年にかけて、税収が増えていますが、これに関しては、小泉政権による、国債の日銀引受は禁じ手でも何でも無く高橋洋一氏主導で、毎年やっていたため、この対策により小泉政権下では1ドル120〜130円台の円安をキープしていました。結果として、日銀に、金融緩和政策を実施させたことになります。この時期に、いわゆる堀江貴文によるライブドア事件、村上ファンド事件が発生したことは記憶に新しいです。


村上ファンドの村上氏、いまはこの人も牢の中
小泉政権は、2006年までしか存続しなかったため、これ傾向は、2008年でピタリと終焉しています。2007年には、税収があがっていますが、これは、小泉政権が終焉して、高橋洋一氏が第一線を退いても、結果としてマネタリーベース(市中で出回っているお金)が、多めであったため、このような結果になったものと推察します。



2008年(平成20年)9月24日から2009年(平成21年)9月16日まで続いた麻生政権による2008年における、予算策定により、2009年中は大規模な財政出動が行われ、景気の拡大がみられました。ちなみに、この30年間で、緊縮財政を行わなかったのは、麻生政権と、小渕政権のみです。おぶち政権のときは、株価が回復して、2万円台だったことをご記憶の人も多いと思います。その後、民主党政権に政権交代し、「コンクリートから人」をスローガンとして、緊縮財政に戻ったため、昨年の3月に発生した、震災による復興需要も、帳消しされ、現在でも、デフレ基調にあります。

平成の幕開けを伝えた、在りし日の小渕氏

また、日銀は、1%のインフレ目処を発表したため、市場も好感し、一時株価が上昇するなどの現象もみられたが、結局追加緩和策などとりやめとなり、あいかわらず、金融引き締め的な金融政策から、脱し切れていません。

未だ記憶にあたらしいニュージーランド地震
私自身は、上の記事で、高橋氏が、日本の公共投資のB/Cが、ドイツやニュージーランドではB/Cの採択基準を3や4に設定しているといいますが、日本とドイツや、ニュージーランドとは、根本的に異なるところがあります。それは、日本は、これらの国に比較して、自然災害が極めて多いということです。最近、ニュージーランドでは地震がありましたが、その後発生した、日本の、地震や津波の被害とは比較しようもなく規模が小さいです。また、日本では、地震は、他国に比較すれば、頻繁に発生します。


毎年繰り返される台風による被害
それに、日本には、これらの国にはない、台風による風水害その他の災害が毎年のように発生しています。さらに湿度も高く、インフラが痛みやすい条件が揃っています。だから、日本のB/Cがこれらの国より、多少甘くなるのは、当然のことと思います。それに、このブログの冒頭で示したグラフのように、建設投資など、数十年前の水準にまで下がっています。そのため、最近では、老朽化したインフラが目立っていることも事実です。そのため、経済効果が薄いにしても、やるべき公共工事は実施しなければなりません。それに、同じ公共工事でも、経済効果が高いものは、優先的に実施するべきと思います。

しかし、高橋氏は、自民党による国土強靱化は、10年間で総額200兆円をインフラ整備などに集中投資ということだけで、どのような投資をするのか、そのビジョンがはっきりしていないことを批判しているのだと思います。


そうして、忘れてはならないのは、日本のデフレ脱却は、まずは、日銀によるデフレ促進策をやめさせること、その上で、今後の日本のあるべき姿に向けた、強力な財政出動を行うべきことです。日銀の金融政策が変わらない限り、円高は是正されず、となれば、産業の空洞化は避けられません。だからこそ、この両輪が揃わない限り、あり得ないということです。


経済も、人体のように均整のとれたプロポーションであらねば?
それに、増税しつつ、インフラ整備に多大な資金投下するということは、癌患者に対して、癌の進行を止めるどころか、進行させるような外科手術を施し、それと同時に抗癌剤を投与するような、ハチャメチャなやり方です。こんなやり方をすれば、癌患者がどうなるのか、わかったものではありません。とんでもないことです。高橋氏は、だからこそ、上の記事のような言い回しになったのであり、順番など間違えていなければ、上のような言い方はしなかったと思います。経済は、人体が均整がとれてなければ、問題があるのと同じように、時間軸も含めた種々様々なバランスのもとに成り立っていることを忘れてはいけないということです。


みなさんは、どう思われますか?





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