2012年9月23日日曜日

【新聞に喝!】これは反日「デモ」なのか?―【私の論評】新聞は、物事の背景を見ることができないばかりか、言葉遣いまでおかしくなっている!!

【新聞に喝!】これは反日「デモ」なのか?(京大大学院教育学研究科准教授・佐藤卓己)


日本政府による尖閣諸島の国有化に反発する中国の「反日デモ」が激化した。

16日付産経1面(大阪本社発行版)は、「パナ工場など襲撃」の見出しで中国各地の日系工場が襲撃された様子を報じた。そこには、「山東省青島で炎上するトヨタ自動車の販売店」とのネット掲載写真が添えられていた。

中国の「反日デモ」については、中国国内の格差問題に起因する鬱憤晴らしがその背景にあると解説されることも多い。同記事も次のように結ばれていた。

「言論や集会の自由を制限されている民衆の不満が政府に向かう恐れもある。中国当局の出方が大きな焦点になってきた」


その通りには違いがないのだが、各紙の「反日デモ」関連記事を読んで不思議に思うことがある。

一つは、中国民衆の不満が反政府運動に発展することを日本のメディアがなぜかくも心配する必要があるのかという疑問である。特に共産党一党独裁を批判してきたはずの保守系メディアが、中国の民主化よりも現指導部の安定化を願うのは矛盾ではないだろうか。経済重視の事なかれ主義ということであれば、さんざんに批判した丹羽宇一郎前駐中国大使(元伊藤忠商事会長)と同じことだろう。

一方で、逆に首相官邸前で繰り返される脱原発の金曜デモに関して、「デモをする社会の到来」と礼賛した市民運動家にもぜひ聞いておきたい。あなた方は中国の「反政府デモ」をどう評価するのか。あの混乱を見ても、こううそぶくのだろうか。

「市民が主権者であるような社会は、代議士の選挙によってではなく、デモによってもたらされる」、と。

であるならば、「反日デモ」が「反独裁デモ」に転化することは、民主主義にとって最大の僥倖(ぎょうこう)ではないのか。もちろん、逃げ口上は用意しているのだろう。普通の市民が主体となる自分たちのデモは、「独裁と暴力」から限りなく離れている、と。


もしそうならば、いま日本で「デモ」の必要性を訴える者は、中国の反日暴動は「デモ」ではなく「テロル」だと声を上げるべきだろう。投石も放火も略奪も「暴力」である。これを正確に表現すれば、「反日テロル」ではあるまいか。しかし、新聞各紙は「暴力」シーンの写真を掲載しながら、「反日デモ」と表記している。

新聞紙面のよく似た事例は、「いじめ」という表記である。「テロル」を「デモ」とくくる言語感覚は、学校内の暴行や恐喝など「犯罪」を「いじめ」と表現する教育委員会的な心性と変わらないではないか。                                     


【プロフィル】佐藤卓己

さとう・たくみ 昭和35年広島県出身。京都大大学院修了、文学博士。専門はメディア史。

(非常に重要な論考だと思いますので、特に新聞サイトは時がたつと、削除されてしまうので、敢えて全文掲載させていただきました)

【私の論評】新聞は、物事の背景を見ることができないばかりか、言葉遣いまでおかしくなっている!!

上の佐藤氏の意見もっともだと思います。


反日デモの背景は、はっきりしています。これは、完璧な官製デモであり、派閥のある中国政府のかなり高いレベルで実施されたものであり、派閥内の権力闘争があることははっきりしています。特に、習近平が、しばらく消息不明だったことも考え合わせると、かなり熾烈な権力闘争があることははっきりしています。

今回の反日デモにそのような背景があることは、はっきりしています。特に、最近では、中国版ツイッター微博で、デモの呼びかけがことごとく削除されていることも考え合わせると、はっきりしています。このデモは、中国政府が総意で、やめさせようとすれば、やめさせることができたということです。中国政府のコントロール下にあったということです。尖閣問題にも、そのような側面があります。もちろん、あわよくば、領土にできたらしたいという下心はありますが、当面の権力闘争の材料にされたということです。


私自身は、どこのデモがどこの派閥によって実行されたのか、あるいは尖閣に対する傍若無人なふるまいは、どこの派閥によるものなかのかまではわかりませんが、内実はそういうことです。尖閣に関しては、主流派閥が行ったことであれば、反主流派につけいる隙を与えないように、示威行動をとったということであり、反主流派が行ったのであれば、主流派閥に対してつけいる隙を得るために、過激な行動をとったということです。それに、中国は、一枚岩ではなく、様々派閥がありますから、実体はもっと複雑だと思います。

私は、最近中国の反日デモに関して、その背景など上記のようにこのブログに掲載してきましたが、書いていてどうも、すっきりしない部分がありました。それは、やはり、「反日デモ」という言葉です。新聞各社は、「デモ」という言葉の意味をわかっているのでしょうか、以下にデモの定義の一部をwikipediaから、コピペしておきます。
デモ活動(デモかつどう)は、ある特定の意思・主張をもった人々が集まり、集団でそれら意思や主張を他に示す行為である。デモとはデモンストレーションの略であり、示威行為、示威行進、デモ行進、デモ集会、あるいは単にデモとも呼ばれる。 
デモ活動は、公の場で集団で自らの意思や主張を示す行為である。事実上の責任者や決定者がいる施設の前にいながらプラカードなどを掲げる場合もある。「デモ行進」のように徒歩で一定区間を移動しながら行われるものもみられる。大きなものでは数万人から百万人の規模が参加する一種の集会のようなものもあれば、その一方で参加人数はともかくとして、非常に遠距離(都市間など)を移動しながら主張を掲げ続ける場合もある。主張されるテーマは、政治や経済・社会に対するものなど多岐に渡り、それらは個人的な主張から、社会問題を示して世間にアピールすることを目的とするものまで、さまざまである。
デモとは、何も乱暴狼藉を働くものというわけではありません。ごく最近盛んに行われるようになった、日本のデモなど、乱暴狼藉を働くものはほとんどありません。それは、下の動画などご覧いたたければよくわかると思います。

 

上の動画のような行動が、デモ(デモンストレーション:demonstration)というものです。ただし、日本以外の国、あるいは、日本でもここ数年の最近のデモでは、いわゆる暴動がつきものです。しかし、「デモ=暴動」ではありません。そうして、この暴力は、テロリズム(上の記事の作者はテロルとしていますが、同意)です。以外テロリズムに関する定義をこれも、wikipediaから掲載しておきます。
テロリズム(英語: terrorism)とは、恐怖心を引き起こすことにより特定の政治的目的を達成しようとする組織的暴力の行使、およびそれを容認する主義のことである。テロリズムに則った行為・手段、およびそれらによって敵対者を威嚇することをテロル(ドイツ語: Terror)と呼ぶ。日本では一般にテロリズムとテロルの双方を指してテロと略す。またテロリズムを標榜しテロルを行う者をテロリストと呼ぶ。
これが定義であれば、確かに上の記事の佐藤氏が言うように、反日デモも、尖閣問題も、中国によるテロリズム以外の何ものでもありません。こうして考えると、反日テロも、尖閣問題も同じく日本に対するテロリズムであるということです。テロリズムととらえると、中国内のテロも、尖閣に対するテロも、同じ穴のムジナのようなものであることが良く理解できます。


それに日本政府は、自国の都合によって、反日テロを許容する中国には、断固たる態度で臨むべきだと思います。今回も、中国政国内の反日テロに対する謝罪と、弁済をもとめるべきです。相手がどのような態度にでたとしても、そんなことはお構いなしにまずは、意図をはっきり伝えるべきです。

それから、尖閣テロ問題についても、はっきりした態度を示すべきです。中国は、1970年代にも、尖閣テロリズム問題を起こしたことがあります。その当時は、鄧小平が、一時棚上げにするとして、事態は収束しました。しかし、もともと、日本の領土であることがはっきりしている問題に関して、棚上げなどという理屈が成り立つはずがありません。これは、本来、その時に棚上げなどする必要性などないことをはっきり、日本政府が相手方に伝えるべきことを怠ったのだと思います。


だからこそ、現在でも、尖閣テロリズム問題が、起こってしまうのです。これから、このようなことが起こらないようにするためにも、中国側に、はっきり尖閣テロはやめるように伝えるべきです。それをしない限り、このテロ問題はいつまでも尾を引きます。

これからは、このブログでも、反日デモなどとは表記せず、正しく反日テロリズムなどと表記します。それから、尖閣問題も改め、尖閣テロリズム問題などと表記することにします。

それにしても、今の日本の新聞は、反日テロや、尖閣テロリズム問題などの背景も、良くわかっていないし、そもそも、言葉遣いも間違っているということで、本当に情けない限りです。


それから、上の記事では、一番最後に、「新聞紙面のよく似た事例は、「いじめ」という表記である。「テロル」を「デモ」とくくる言語感覚は、学校内の暴行や恐喝など「犯罪」を「いじめ」と表現する教育委員会的な心性と変わらないではないか」として、締めくくっていますが、まさにその通りです。

このことに関しては、私もこのブログに掲載したことがあります。


いじめ 警察に被害訴える動き相次ぐ―【私の論評】「いじめ」という言葉は間違いではないか!!

詳細は、上記のURLをご覧いただくものとして、この記事では、最後に以下のように締めくくりました。
今後、私たちは「いじめ」の問題を語るのではなく、「学校犯罪」という行為をどうするかという視点でものごとをみていくべきです。そうして、自らも犯罪者にならないように、絶対に見過ごさないようにすべきです。そう思うのは、私だけでしょうか?皆さんは、どう思われますか? 
全く佐藤氏のいう通りです。まさに、我が意を得たりという心持ちがします。私は、「いじめ」という言葉遣いは完全に間違いだと思います。やはり「学校犯罪」という言葉を遣うべきと思います。最初は、「校内犯罪」という言葉でも良いとは思いましたが、「校内」というくくりがあれば、学校の生徒間で発生した犯罪であっても、学校以外であれば、対象外ということになりますので、「学校」というものが関わっている「犯罪」ということで、「学校犯罪」という言葉がもっとも実体を表していると思います。

大津の学校犯罪事件では、学校や、教育委員会の連中が、「学校犯罪」があったことを知りつつ、「いじめ」という言葉遣いで、犯罪などなかったように糊塗しているだけの話だと思いますが。だからこそ、警察も異例の家宅捜索に入ったのです。もう、マスコミも、この種の出来事に関しては、「いじめ」などという言葉遣いはせずに、「学校犯罪」という言葉遣いをすべきです。

カッパじゃ「教育委員」は無理?(笑)

「デモ」といい、「いじめ」といい、言葉遣い一つの間違いでも、本当に大事な背景を見逃してしまうことになりかねないという良い事例だと思います。このようなこと、探せば他にもいくらでもあります。これは、新聞に限らず、テレビや、ラジオなどのマスメディアをはじめとして、あらゆる組織で、あることかもしれません。私たちは、言葉の本来の意味を意識して、意図して意識して、コミュニケーションを図っていく必要がありそうです。そう思うのは私だけでしょうか?皆さんは、どうお考えになりますか?



【関連記事】

蛙食べさせられた大津自殺少年 親戚宅でひどい下痢していた―【私の論評】マスコミで報道されない大津市で実践された道徳を破壊する人権擁護教育の恐怖!!





2012年9月22日土曜日

中国人民銀、日銀の追加緩和にいら立ち 過度の資本流入懸念−【私の論評】中国の経済破綻が始まる?!日銀を何とかしなければ、日本は草刈場になる!!

中国人民銀、日銀の追加緩和にいら立ち 過度の資本流入懸念

中国人民銀行
【北京=大越匡洋】中国人民銀行(中央銀行)が日銀が19日に決めた追加金融緩和にいら立ちをみせている。人民銀は19日夜、5カ月前の周小川総裁の講演内容を突然、ホームページに掲載。大規模な金融緩和策について「将来のインフレ、新興市場への過度の資本流入などの問題を招く」と指摘する内容だ。中国経済が減速するなか、人民元高などにつながりかねない先進国の金融緩和拡大を暗に批判した形だ。

掲載したのは、4月28日の講演。周総裁は「中央銀行は水路を通じて特定の干上がった田畑に水を流そうと考えるが、実際には単に大量の水を放出し、一部が必要な田畑に届くと信じるだけだ」と指摘。中国ではインフレ懸念がなおくすぶり、簡単には追加緩和に動けない。先進国であふれたマネーが流入し、国内経済が一段と不安定になる恐れがある。「5カ月前の講演」を使った遠回しな先進国批判には、難しい政策運営を迫られる人民銀の悩みが透ける。

【私の論評】中国の経済破綻が始まる?!日銀を何とかしなければ、日本は草刈場になる!!
さて、上の記事での中国のいらだち、良く分かります。これに関する理解を深めるには、以下の動画を是非御覧になってください。

以下の動画では、アメリカのQE3(量的緩和)が半端ではないことが良く分かります。しかも、期限すらありません。とにかく、雇用が回復するまで、やり続けるということです。


下の動画は、もう中国は、経済的に魅力のない国になったので、日本企業は、他の国にシフトすべきことを説いています。


この両方とも、妥当な解説であり、日本側からみれば、当然のことを掲載しています。このような見方が一般的になりつつありますから、そんなことをされれば、中国にとっては全く良いことはないので、上の苛立ちが理解できるというものです。

中国では、特に国家的にも、中国に対するあきらめが、みられます。それは、近年とみに盛んになっている中国による対外投資をみていると良くわかります。もう、中国にはしばらく見込みがないことがはっきりしているので、中国国内ではなく、海外に投資する動きが活発化しています。中国の経済が落ち込むことがわかりきっており、それを回避する手立ても、最早昔のように簡単にはできないことがわかっているので、リスクを分散しようという試みです。


一昔前だと、景気が落ち込めば、政府が大規模な財政出動をして、人民銀行は、これに呼応して元の大量増刷をする、これを続けていて、景気が過熱して、インフレ傾向になれば、政府は、緊縮財政をして、人民銀行は、金融引き締めを行う。これを続けていて、景気が落ち込んでくれば、再び、財政出動と、金融緩和でまた景気を回復するなどで、伸ばしてきました。

しかし、最近はバブルは崩壊しましたし、にもかかわず、あいかわらずのインフレで、いわゆるスタグフレーションの様相を呈してきています。今の状況で中国が財政出動や、金融緩和をすすめれば、ハイパーインフレになってしまいます。非常に難しいことになっています。

一方日本は、この超円高が続けば、企業の海外移転はますます増え、中国などを利するだけです。ただし、中国へ移転する企業は最近へりつつありますが、それにしても、中国政府は、固定相場制という金融環境の中で元を増刷しやすい環境にあり、日銀は、増刷拒否の姿勢を崩さず結果として中国を利するような行動をしてきました。これに関しては後で詳細を掲載しします。

個人の動きもこの流れに沿っています。特に最近は、裸官の暗躍が目立ちます。裸官とは、「裸体官員」の略で、配偶者や子女が仕事以外の理由で海外で暮らす、あるいは外国国籍や永住権を取得している中国政府の公務員のことをいいます。汚職の温床とされています。

今回の反日運動でも見られた、「裸官下台」。「裸官は去れ」という意味。
そうして、裸官のほとんどが、資産の大部分を子女が暮らしている外国などに、移しています。もう、中国には見込みがないことがわかっているので、儲けられるだけ儲けて、資産を蓄えてドルなどにかえて、ほとんどを海外に移しています。こうすることにより、中国が駄目になれば、海外に移住してしまおうと考えていわけです。裸官のなかには、国の資産をかってに持ち出し、自分の子女がいる海外に逃亡してしまうものも多数に上っています。

国単位でも、個人単位でも、もう中国にはしばらくは、見込みがないこと理解しているので、このような動きが活発化しているのです。


それにしても、周総裁の「先進国であふれたマネーが流入し、国内経済が一段と不安定になる恐れがある」という発言は、真実を覆い隠していると思います。いつまでも、中国にいままでどおりに、マネーが流入し続けるなら、それはそれで良いことだと思います。

しかし、国単位でも、個人単位でも、海外に投資したり、海外に資産を移しているわけですから、中国には、もはや美味しい投資先はないと考えて良いと思います。

であれば、本当に嫌がっているのは、そんなことではなく、他国が金融緩和して最も怖いのは、他国が通貨安になることです。元に比較して、ドルなどが、安くなることです。機軸通貨であるドルが元に比較して安くなればどういうことになるかといえば、中国から海外に向けての輸出が不振になるということです。では、中国も金融緩和を行い、元など刷り増しすれば、すぐにも元安になり、輸出も好調になるではないかとという考えもありますが、でもこの手は、現在中国がインフレということもあり、なかなかできません。


中国の場合輸出が全GDPに占める割合は、40%を超えています。これは、日本は、16%前後、アメリカなど数%に過ぎません。しかも、欧州危機で、ただでさえ、中国の最大の輸出先である国々の輸入は滞っています。まさに、中国国内は、八方塞という状況です。だから、国単位では、海外投資を活発化させ、個人単位では、資産を海外に移しているのです。

さて、頼みの綱である日本はどうかといえば、日銀も金融緩和の姿勢を見せる可能性が高いです。日銀といえば、このブログでも再三にわたって、まるで、中国人民銀行東京支店のような行動をとてきていることを掲載してきました。

どいうことか、過去のブログから下にコピペしておきます。
この超円高が続けば、企業の海外移転はますます増え、中国などを利するだけです。ただし、中国へ移転する企業は最近へりつつありますが、それにしても、中国政府は、固定相場制という金融環境の中で、日銀が増刷拒否の姿勢を崩さない限り、あたかもそれを担保として、元を刷りたいだけ刷ることができます。そうなれば、日本はさらにデフレスパイルの深みにはまっていくだけです。
詳細は、以下のURLから御覧ください。

【日本の解き方】白川日銀総裁は“デフレ・円高大魔王” - 経済・マネー - ZAKZAK―【私の論評】財政ばかりでなく、金融政策にも目を向けよ!!

どういうことか、さらに解説すると、日本銀行がどんなことがあっても、金融緩和をせず、金融引き締めに固執しており、特に増刷はかたくなに拒否しています。だから、中国は、過去には、国内が不況になりかけても、元を大量に刷っても、元安傾向になるため、日本に対して大量に輸出ができ、インフレ傾向となっても、あまり被害をこうむることはありませんでした。これは、まるで、打ち出の小槌を持っているようなもので、いままでは、一種の担保、安全弁のようなものであり、中国経済の発展に寄与してきました。

しかし、このような打ち出の小槌もそろそろ効き目がなくなってきたということです。なぜなら、今までだと、日本銀行の安全弁をあてにして、固定相場制の中で、元をかなり大量に刷り増したとしても、さほど危険はなかったのですが、今や、大量に刷り増しすると、ハイパーインフレになってしまいます。かといって、緊縮財政、金融引き締めをすれば、ただでさえ、景気が悪いのにさらに落ち込みます。このようなことは、なかなかできません。

中国はごく最近まで日本銀行という打ち出の小槌

現状では、すぐに打って効果のある対策はありません。あるとすれば、中国の産業構造を変えるしかありません。今までのように、世界の工場を自認にして、安い労働力により、世界の製品の部品を組み立てそれを輸出して儲けるなどということはもう成り立ちません。産業構造を変化させて、自前でいろいろな製品を開発して、それを国内で消費したり、海外に輸出するなどのことをしなければなりません。

この産業構造の転換は、すぐにできものではありません。10年くらいはかかるでしょう。その間は、中国の経済はなかなか成長しないでしょう。だかこそ、国レベルでは、海外への投資活動が活発化していますし、個人レベルでは、資産の海外移転が進んでいるのです。中国自体がわるくなっても、リスクを回避できるよう準備しているというわけです。


それにしても、上の動画でも、アメリカが大々的な無期限の金融緩和をすることを伝えているのに、このままだと、年末にかけて確実に円高になることを言っていますが、日銀の金融政策に対して批判するようなことは、言っていません。これは、どうしたことでしょうか。もう、日銀の円高・デフレ政策の守護神のような態度に慣れ切ってしまい、それが当たり前になっていて、批判する気にもなれないのかもしれません。

しかし、中国の打ち出の小槌の役割を担っている中国人民銀行東京支店のような日銀、このまま放置しておけば、ここしばらくは、中国の打ち出の小槌の役割は担えませんが、他国の打ち出の小槌になるかもしれません。それこそ、アメリカなど、大々的に金融緩和をする国々の草刈り場になるかもしれません。

この暴走に関してもう誰も止めようがないのでしょうか?今の民主党は、もし、金融政策の重要性を理解していれば、もっとやりようがあったかもしれません。自民党に関しては、金融政策の重要性を理解していれば、ずっと政権の座についておられたかもしれません。それほど、金融政策は、重要なものです。しかし、その重要性は、ほとんどの人に理解されてきませんでした。

 しかし、最近では、だんだんと認識されるようになってきました。それは、たとえば、自民党の総裁選候補である、安倍晋三氏です。先日、安倍晋三氏に対する、SakurasoTVの社長の水島氏のインタビューを見ましたが、インタビューの内容に入って、すぐに、安倍氏の口から、「金融政策」という言葉がでてきました。過去の、自民党の総裁や、総裁候補者さらに、民主党の代表や、代表候補者であれば、「金融政策」を開口一番に語るような人はいませんでした。

 

結局過去20年においては、いっとき金融緩和がされても、すぐにもどってしまい、結局どの総理大臣も十分に金融緩和ができなかったというのが、実体です。わかりきっていることなのに、結局誰も実現できませんでした。しかし、安倍氏の言葉には、勇気づけられました。安倍氏なら、本当に金融緩和を推進するかもしれません。20年の長きにわたって、結局金融緩和できずに、日本は、円高・デフレのスパイラルの中から、脱出できなかったわけですから、これは、最重要課題だと思います。どんなに素晴らしい公約を掲げようが、どんなに人気ものであろうが、この一点を解決できないような総理大臣は、他のことはできません。もう、20年近くも騙されっぱなしというのでは、あまりに情けないです。

私たちは、とにかく、日銀の大暴走を一日でもはやくやめさせる政党や、政治家に一票を投じるべきです。そう思うのは、私だけでしょうか?



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2012年9月21日金曜日

ちょっとイイ話! 愛から生まれた世界的ヒット商品の開発秘話−【私の論評】愛は社会を変革する!!

ちょっとイイ話! 愛から生まれた世界的ヒット商品の開発秘話:


世の中にはたったひとりの愛する女性のために作ったもの大ヒット商品となることがあります。

そこにはピュアな愛と思いやりで溢れ、商売根性な計算はありません。
そんな世界的ヒット商品のエピソードをまとめてみました。
■マスカラ
ある薬剤師トーマスが妹メイベルのためにワセリンと石炭粉をブレンドし、世界初のマスカラを開発。目が小さいことが悩みだった妹は、兄が考案したマスカラ... 続きを読む

■著者データ

マイスピ

ウェブサイト: http://www.myspiritual.jp/news/



【私の論評】愛は社会を変革する!!

メイベルへの愛がなければ、メイベリンは生まれなかった?!
上の記事、ちょっとイイ話としていますが、これは「かなり良い」話だと思います。「マスカラ、医療用ゴム手袋、原動機付自転車、バンドエイド」これらの製品が、すべて身の回りの本当に親しい人のために生まれたというのは、全く偶然でありません。これは、どれも起こるべくして起こった、イノベーションだと思います。(本日は、インパクトのあるマスカラ美人の写真とともに、掲載させて頂きます【笑い】!!)

さて、イノベーションとはなんでしょう。ドラッカーは以下のように言っています。
イノベーションは企業家の道具−イノベーションに成功するには3つの心得がある 
「企業家はイノベーションを行う。イノベーションは企業家に特有の道具である。イノベーションは、富を創造する能力を資源に与える。それどころか、イノベーションが資源を創造する」(ドラッカー名著集(5)『イノベーションと企業家精神』) 
 ドラッカーは、イノベーションに成功するには、3つの心得が必要だという。いずれも当たり前のことでありながら、しばしば無視される。 
 第一に、集中しなければならない。複数の異なる分野でイノベーションに成功することはほとんどない。あのトーマス・エジソンさえ、発明を発明したといわれるほど発明の方法論に通暁しながら、電気の分野でしかイノベーションを行なわなかった。 
 イノベーションには、勤勉、持続、献身を必要とする。集中することなくして、これらのものを手にすることはできない。知識は多分野のものを必要とするであろう。だが、目指すものについては、集中がなければならない。 
 第二に、強みを基盤としなければならない。あらゆる人、あらゆる組織に、得意と不得意がある。イノベーションに利用できるのは、得意とする能力である。あらゆる機会を検討し、自らの能力を最も生かしてくれる機会を探す。 
 相性も必要である。狙いとするものの価値を心底信じていなければならない。さもなければ、忍耐を必要とするイノベーションの仕事はできない。 
 ありがたいことに、多くの場合、強みと価値観は一致する。 
 第三に、世の中を大きく変えるものでなければならない。イノベーションとは、あくまでも市場志向たるべきものである。誰かが買って、使ってくれなければ、イノベーションとはならない。イノベーションとは、市場に発し、市場で花開き、市場で実を結ぶべきものである。 
 イノベーションのためのイノベーションは、珍奇なものは生んでも、イノベーションとはならない。 
「企業家として成功する者は、その目的が金であれ、力であれ、あるいは好奇心であれ名声であれ、価値を創造し社会に貢献しようとする。その目指すものは大きい。すでに存在するものの修正や改善では満足しない」(『イノベーションと企業家精神』)
クリックすると拡大します。拡大するとマスカラの凄さがわかります!!
さて、上の記事の、身近な愛する人への贈り物としてのイノベーションは、まさに、この三つを満たしています。第一の集中というこでは、これらを実施した人たちは、まずは、身近な人の嫌がること、大変なことに、集中しています。集中しなければ、これらのことはなし得なかったことでしょう。

第二の強みを基盤とすることでも、これらの偉業を成し遂げた人たちは、すべて自分の強みを基盤としてこれらをなしとげています。メーベリンは、薬剤師という能力を最大限に活かしています。その他の事例もまさにそうです。

第三の、世の中を大きく変えるものということでも、確かに、すべての事例が、大きく変えています。メーベリンも、世の中、社会をずいぶん変えたと思います。無論世の中を大きく変えようと思って、着手したわけではないのですが、どの試みも、自分の身近な愛しい人のために、努力したのですが、結局世の中には、自分の身近な人だけではなく、同じことで悩んでいる人がたくさんいたので、結局社会を大きく変えることにつながっていました。

「ドラッカーは、企業家として成功するものは、価値を創造し社会に貢献しようとする」としています。まさに、これこそが、企業家がイノベーティブになる最短の近道だと思います。ただし、社会とはいっても、広範囲ですから、まずは身近な人に着目するということが、大きな社会貢献につながる可能性が高いです。まずは、身近な人のことに、関心を持たない人は、多くの人たちで構成されている社会にだって関心を持てるはずがありません。

まずは、身近な人に焦点をあてて、その人が困っていること、あるいはもっと便利にしてあれげることなどを考え、さらに、それが、本当に社会に貢献するかまで見通すことによって、はじめて、イノベーションが可能になります。



ドラかーは、さらに同じ『イノベーションと起業家精神で』イノベーションでやってはいいなことを述べています。
イノベーションの三つのタブー 
「企業家たる者は、体系的にイノベーションを行わなければならない」(ドラッカー名著集(5)『イノベーションと企業家精神』) 
 イノベーションは思いつきではない。地道な作業である。 
 しかもドラッカーは、イノベーションに成功するには避けるべきタブーが3つあるという。それはちょうど、イノベーションに成功するための心得を反対側から見た注意事項でもある。 
 第一に、凝り過ぎてはならない。凝り過ぎは失敗の元であり、生産者側の自己満足にすぎない。懲り過ぎた財・サービスに大事な時間とおカネを使う者はいない。博物館で見せてもらえばよい。 
 大きな事業にしたいのであれば、時間もおカネもさほど余裕のない人たちが、気軽に買って気軽に使えるものでなければならない。ドラッカーは、組み立て方や使い方の凝ったイノベーションは、ほとんど例外なく失敗してきたという。 
 第二に、多角化してはならない。これは、イノベーションに成功するには集中しなければならないとの心得と同義である。核のないイノベーションは、雲散してアイディアにとどまり、イノベーションには至らない。 
 イノベーションの成功には大勢の人たちの参画が必要である。共通の核がなければ、参画に必要な理解も不可能となる。 
 第三に、明日のためにイノベーションを行なってはならない。イノベーションはすべて、今日のために行なわなければならない。 
 イノベーションが完成するには日にちを要するかもしれない。しかし、「20年後には大勢の高齢者がこれを必要とする」といえるだけでは十分ではない。「これを必要とする高齢者はすでに大勢いる。20年後にはもっと大勢いる」といえなければならない。
医薬品の開発では、10年を要することが珍しくない。しかし今日、医療上のニーズがない開発に取りかかる製薬会社はない。 
「成功したイノベーションのほとんどが平凡である。単に変化を利用したものにすぎない。したがって、イノベーションの体系とは、具体的、処方的な体系である。すなわちそれは、変化に関わる方法論、企業家的な機会を提供してくれる典型的な変化を体系的に調べるための方法論である」(『イノベーションと企業家精神』)

身近な人たちに対する愛によって、イノベーションを行った人たちも、見事にこのタブーは破っていません。第一の凝り過ぎてということは、ありませんでした。一番最初のメーベリンだって、今のマスカラと基本的には変わりません。もし、凝ってつくっていたら、一部のお金持ちしか使わず、結局珍奇な発明として、博物館入りしていたかもしれません。そうして、他の人が開発した現在あるようなマスカラが、主流になっていたことは間違いありません。

第二の多角化もしていません。すべて自分達の持てる力を最大限に活かして、新しいことに挑戦しています。またったく新しい技術や、考え方を投入して行っていることは一つもありません。

中国の女の子のメイク前と、メイク後、落差が激しいですな!!これも偉大な社会変革?

第三の明日のためのイノベーションも誰も行っていません。メーベリンは、妹の現在のニーズにあっていたものでしたが、将来数多く女性たちが使うことは十分予想することができました。他のイノベーションも同じことがいえました。だからこそ、大成功したのです。

それにしても、身近な愛しい人に着目した人たちがイノベーションに大成功しているということです。以上で、私が最初に掲載した、これらのイノベーションは起こるべくして起こったという意味がお分かりいただけたち思います。このような事上記の記事に経済されているのは、ほんのわずかであり、探せばまだまだあります。

では、私たちは、このような事実からどのような教訓を読み取るべきでしょうか?

私は、企業家のやることは、確かに、社会に貢献することなのですが、結果としてそうなることは良くわかります。しかし、社会というとあまりに広く茫漠としています。社会に対して、感受性が高い人などは、最初から社会に着目して、社会貢献できるのでしょうが、普通の人は、なかなかそういうわけにはいきません。


であれば、まずは、自分の本当大切な人から、その人たちのニーズや困っていること、シーズなどを注目するということからはじめては、いかがでしょうか。そうしつつ、広げていくのです。会社の同僚とか、町内会の人などから始めるのです。であれば、やりやすいし、かなり具体的にイメージできます。こうしたことを日常的に行えるようになれば、いずれ、新聞や、テレビでみたような社会の大きな動きも、さらに、具体的に見えるようになるはずです。

そうして、その根底にあるのは、「愛」です。「愛」という言葉が、重すぎるとか、気恥ずかしいと思う方などは、無理に「愛」という言葉を遣わなくても良いと思います。「思いやり」、「良い意味での関心を持つ」とか、そんな言い方でもかまわないと思います。

そうして、それが、本当に当人たちにとってイノベーションになるようなことが発見できたとすれば、それが、本当に社会に大きく影響を与えて、社会貢献になるかどうかを考えて、市場に投入することを決めればよいのです。

私は、そう思います。皆さんは、どうお考えになりますか?

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2012年9月20日木曜日

中国人記者に「民主主義の国なのにおかしい」と指摘される日本のマスコミ―【私の論評】日本の大手マスメディアの中国報道は劣化している!!必ず裏取りをせよ!!

中国人記者に「民主主義の国なのにおかしい」と指摘される日本のマスコミ:


毎週金曜日の午後に行われている石原都知事の定例会見は、都政の発表・説明だけにとどまらず、石原都知事が延々と知見を語ったり愚痴ったり、時には記者を攻撃しはじめたりすることもあるなど、政治よりもむしろエンタメという意味でちょっとした見ものだったりする。そんな石原都知事の定例会見で、尖閣問題に触れた日の動画が、『YouTube』や『ニコニコ動画』で話題を呼んでいる。

会見で、「なぜ日本のマスコミは“尖閣問題は中国の内政干渉”と書かないのか」と不満を述べた石原都知事に対し、ある記者が質問を投げかけた。

「今回の尖閣問題もそうだが、日本のマスメディアの中国に関する報道は、上辺のこと、一部分しか報道しない。例えば蟻族(※1)とか上訴(※2)とか臓器狩り(※3)とかの問題は取り上げず、中国政府の都合のいいように報道する。それは1960年代に“日中記者交換協定”があって、日本のマスメディアはそれに縛られているんじゃないかと思うが、知事はどう思うか」

訛りのある発音と石原都知事の対応から、中国人とみられるこの女性記者の口から日中記者交換協定の名称が出たことに、ネット住民は驚いた。

『Wikipedia』によると、日中記者交換協定とは
1.日本政府は中国を敵視してはならないこと。
2.米国に追随して「二つの中国」をつくる陰謀を弄しないこと。
3.中日両国関係が正常化の方向に発展するのを妨げないこと。
を3原則とする、いわば中国共産党から“踏み絵”として日本のマスメディアに突きつけられた覚え書き。もともとメモレベルの取り決めであったことと、その内容があまりにも共産党政府に都合のいいものだったことから、これまではなかば都市伝説や根拠のないネットミームのように思われていたのだが、中国人記者の口から公の場で指摘があったために、「『2ちゃんねる』でよく見かけたコピペが本当だったとは……」と驚いているのだ。

中国人記者は、「法輪功は“邪教”、ウイグル族のデモは“暴動”と報道するというようなことが結構ある。日本はアジアで一番歴史が長い民主主義国家で経済大国でもあるのに、どうして独裁国家に対してこんな態度を取るのか、不思議です」と述べて質問を終えた。

自身いわく「独裁国家」出身の記者が勇気を出して母国の実情を伝えているのに、報道の自由があるはずの日本のマスメディアは中国政府の顔色をうかがった報道しかできないとは、なんともおかしく情けない話だ。

※1.蟻族:大学を卒業したのに職がなく、同じような境遇の者同士、寄り集まって安アパートなどで生活する若者たちのこと。

※2.上訪:農村地帯の住人が、地元役人の腐敗や生活苦を中央政府に直訴するために北京へやって来ること。共産党大会前には数千人が集まることも。

※3.臓器狩り:刑務所で(共産党政府にとっての)犯罪者から臓器を抜き取り、闇市場へ横流しすること。臓器目当ての人さらいや子どもの人身売買も横行している。中国には世界最大の臓器売買の闇マーケットがあると言われている。


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【私の論評】日本の大手マスメディアの中国報道は劣化している!!必ず裏取りをせよ!!


このブログでも、日本の大手マスメディアによる、中国報道の異様さは再三にわたって掲載してきました。たとえば、以下の動画のような内容もほとんど報道されません。(この動画かなりグロなので、食事の直前後には、見るのは、避けて下さい)





これは、やはり、上の記事による「日中記者交換協定」による圧力が未だにあるのだと思います。中国中央政府としては、上記の協定に反するようなことを日本のマスメディアが報道すれば、情報提供しないことを徹底しているのだと思います。

これを恐れて、日本メディアは、中国中央政府が都合が悪いと思もうようなことは、自主規制して流さないのだと思います。しかし、こういうことを長い間続けてきた結果、思考力もなくなり、中国中央政府の背後の意図など読み取れなくなっているのです。また、中国が決して一枚岩ではないことを意識してないのだと思います。

結果として、今のマスコミ大手の中国報道は、私達のようなブロガーの掲載する内容よりも、はるかに劣化してきたのだと思います。私達ブロガーは、無論、直接中国の高官や、報道官の話など直接聞ける機会などありません。



しかし、中国の情報など、今のような時代いくらでもあります。日本国内のネットはもとより、中国のネットもありますし、それも、日本語で書かれてあったり、英語のものも多数あります。また、アメリカや、他の国でも、中国報道は多いです。こういったものを調べていくと、かなりのことがわかります。そうしたほうが、少なくとも、思考力は停止しないですみます。

日本の大手マスコミなども、このような協定など完全無視して、独自の取材方針を貫くべきです。中国の正式なチャネルからのニュースソースが遮断されたとしても、頭を使えばいくらでもやりようがあります。



まずは、最近インターネットが発達してきたことから、中国内のニュースなど結構取得するのが簡単になっています。特に、中国では、金盾が情報統制をしますが、その統制もいつも完璧にできるものではありません。だから、削除するのが遅くなったりする場合もあります。そういう記事などストックしておき、時系列での変化を見極め、それらは、なぜ削除されなければならなかったのかを良く考えればおのずと真実に近づくことができます。

それに、中国内のなるべく政府に近い官僚などの複数人と親しくなって(親しくなる方法は書きませんが、こんなの当たり前の真ん中で、いくらでも方法はあります)おき、その人間の立場を理解しておき、複数からの情報を得て、真実に迫っていくという方法もあります。



こんなことを長く続けてきたせいでしょうか、日本の大手マスコミは、政治・経済その他多くの分野にわたってかなり劣化しています。今や、新聞や、テレビで報道されること、それも、重要な事柄に関しては、ほとんど鵜呑みできない状況になっています。

私達は、鵜呑みは慎みましょう。必ず裏を取るくせをつけるべきです。裏取りは、一昔前なら、難しいことで、一部の人しかできませんでしたが、今なら誰もがインターネットで簡単にできます。それに、インターネットの歴史も長くなってきましたので、私をはじめ、多くの人達が、様々な解説したり、キュレーションもあまたあります。この時代に裏取りをしない人は、時代から取り残されるだけです。



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【中国】大規模デモがあっても日本大使館は中国版Twitterで平常運行の書き込み「味噌カツとは味噌香るトンカツのこと。味噌が好きなみんなは逃しちゃダメだぞ!」



【中国】大規模デモがあっても日本大使館は中国版Twitterで平常運行の書き込み「味噌カツとは味噌香るトンカツのこと。味噌が好きなみんなは逃しちゃダメだぞ!」―【私の論評】中国の反日デモは、反日とは全く関係ない!!

2012年9月18日に「中国で未曾有の大規模反日デモ」が発生するとの情報が流れ、日本でも大きく報じられた。このデモのようすを取材するべく北京へと向かったロケットニュース24記者によると、確かに北京市内の日本大使館の周囲はデモが行われ騒然としていたという。

日本大使館は、中国人に理解を深めてもらうため、中国版Twitterで日本の文化、習慣、料理などの紹介を書き込みしている。デモに備えて日本大使館の書き込みも非常に緊迫しているだろう……と思いきや、いつもどおりにユルい書き込みが続いていたようなのだ。デモがあった当日にも平常と変わらないつぶやきをしていたのである。

日本大使館
日本大使館のつぶやきが確認できるのは、中国でTwitterのようなサービスを展開しているWeiboの日本大使館公式アカウント。中国人向けなのでつぶやきはすべて中国語。9月17日~19日までのつぶやきは以下の通り。

9月17日15:04
【日本情報】「マリモ」:淡水性の緑藻です。見た目は緑の毛糸玉のようです。(中略)北海道の阿寒湖のマリモは人の頭ほどの大きさにもなり、その形の美しさはまさに無双。そのため阿寒湖も貴重な湖となりました。絶滅に瀕した「特別天然記念物」を守るため、毎年盛大に「まりも祭り」が行われます。

9月18日13:59
【日本情報】「シルバーマーク」:日本にはたくさんの高齢者ドライバーがいます。身体機能の衰えにより運転に支障をきたす場合があります。歩行者や他のドライバーに注意を促すために日本の交通管理部門では70才以上のドライバー(タクシー運転手も含む)にはシルバーマークをつけるよう呼びかけています。強制力はありません。

9月18日16:53
【日本旅行】「五色沼」:福島県磐梯山の北側に位置、1888年の磐梯山噴火でできた火山湖です。(中略)秋には湖畔咲く草花の影が映り美しいことこの上ありません。

9月19日12:16
【日本グルメ】味噌カツ:味噌カツとは味噌香るトンカツのこと。三重県津市発祥の料理です。三重、愛知、岐阜で広く親しまれています。(中略)味噌味が好きなみんなは逃しちゃダメだぞ!

……などと書き込みされている。コメント欄には中国人と思われるユーザーたちからコメントが寄せられており、たとえば以下のようなコメントが書き込みされていた。

「五色沼に行ったことあるよ! いつかまた行けるようになるといいなぁ」
「キレイな景色だなぁ」
「シルバーマークとは! 思いやりのある制度だ」
「味噌カツうまそ~」
「白ご飯おかわり!」
「日本料理からは味噌は外せないよね」

……など、つぶやきに対する感想もみられるが、時期が時期だけに反日的なコメントもかなり多い。しかし、一方で、大使館周辺を取材していた本誌記者によると、現地時間15:30ごろは大使館の周辺は騒がしかったが、街の様子は平常とあまり変わらないように感じられたという。

なかにはデモが行われているのを知らない人さえいたそうだ。ネットと現実には温度差があるのだろうか。なお、デモ当日は日本大使館の窓口業務は臨時休業しているが、大使館内部のスタッフがパソコンやケータイでWeiboの更新をしていたと思われる。

インターネット上では、中国人への情報発信用のアカウントととはいえ、この「平常すぎるつぶやき」の時期と内容について適切だったのか、疑問の声も上がっている。

尖閣諸島について日本政府は「尖閣諸島は日本固有の領土であり いかなる国・地域とも領土問題はない」という見解を示している。日本大使館は「中国人を刺激したくない。かと言って変に意識している態度を見せたくない」という微妙なラインで苦悩しているのかもしれない!?

【私の論評】異質中国の反日デモは、反日とは全く関係ない?!!

上の記事の、一番最後の文章「日本大使館は「中国人を刺激したくない。かと言って変に意識している態度を見せたくない」という微妙なラインで苦悩しているのかもしれない!?」は、日本のマスコミが真実をほとんど報道していないことの証であると思います。

まずは、中国の場合日本「世論」に相当するようなものは、ほとんどありません。大方の日本人は、中国にも日本と同じようにいわゆる日本国内でいうところの、日本人による「世論」に相当する中国人民による「世論」というものがあり、その「世論」により、中国人民が、日本に対して激高して、反日デモを行っていると思います。

そんなことはありません。厳密にいえば、中国にはまともな「世論」などありません。形成しようもありません。そもそも、中国に言論の自由などありません。言論の自由のないところに、「世論」は形成されません。

「世論」など形成する動きがあれば、すぐに政府によって、弾圧され、挫かれてしまいます。インターネットがあるから、最近では、中国でも世論が形成されつつあるという人もいますが、確かにその面を否定できないところもありますが、中国には、悪名高い金盾という情報封鎖システムがあります。

これで、中国版ツイッターの微博のツイートも都合の悪いものは片っ端から消去します。中国のサイトなどみていても、そりゃ反日デモについて書いてあるものもありますが、そうではないものも多く、下のような女の子の自分撮り撮影写真などが掲載されいたりして、特に普段ともあまり変わりないようです。

小姐美人性感自拍1
本日は、反日デモは随分と少なかったようですし、それに、微博も"反日"というキーワードを入れてみても、ほとんど何もでてきません。金盾により、削除されたものと思います。

中国のデモは人民の世論の高まりによって、実施されるものではなく、すべてが官製デモといって良いものであり、日本のそれと比較対象とするなどそもそも、最初から成り立ちません。微博には、反日デモ隊のメンバーが、デモのあと、人民解放軍の制服に着替えていたのを目撃したというツイートも掲載されています。

このブログでも、先日最近の中国の反日デモの背後には何かあるということを掲載しました。詳細は、以下のURLをご覧になってください。

反日運動激化 「愛国無罪」中国当局野放し―【私の論評】マスコミはまた思考停止か、反日運動激化の裏にあるのは何か?


この中から、一部を下にコピペしておきます。
中国の新聞が「反日デモ」報道を連日一面で報じるのは「習近平隠し」である可能性が高いです。それが事実だとしても、「習近平隠し」は、すでに発生した出来事によるか、発生して今も継続しているか、いずれの動きにしても、これは、氷山の一角にすぎず90%の水面下の出来事はまだ見えていません。 
これが、単なる中国内共産党内容の権力抗争の激化なのか、その結果として、習近平は、失脚するどころか、今は存命しているのかいないのかもはっきりしません。 
それとも、背後には、最も大きな、後からみれば、歴史的な大変動の予兆だったといわれるような、大きな動きがあるのかもしれません。ひょっとすると、従来からこのブログで掲載してきたように、中国分裂の予兆なのかもしれません。これに関しては、様々な動きを注視し、今後何か新しい動きがあれば、このブログに掲載していきます。
この予測は、やはり当たっていたようです。本日、YouTubeを見ていたら、中国通の宮崎正弘さんの動画で、現在の中国の反日デモは、反日デモではなく、結局中国内部の権力闘争であることを解説していました。



習近平の上海派閥と、団派の権力闘争の一環であるというのです。これにプラスして、まったくの負け組である旧毛沢東派も、この機会に乗じて、デモに参加したようです。この負け組は、毛沢東の写真など掲載しながら、でも活動をしていたので、それと知れたということです。ただし、だからといって、負け組であることに変わりはなく、このような機会に乗じて不満を発散させているだけのことです。
武漢の反日デモに登場した毛沢東?
宮崎氏は、権力闘争の一環てあると主張していましたが、あれだけ、強固な基盤を築いたかに見えた、習近平ですが、そうではなかったということです。党大会直前にして、この有り様ですから、この権力闘争かなり根が深いと思います。

それにしても、上の記事の日本大使館ですが、このようなこと知り抜いているのだと思います。だからこそ、デモがあったにしても、所詮官製デモにすぎないことが最初から分つていたので、いつもどおりで、いくらデモが過激化しようとも、一定の線以上は超えないことを知っているので、微博でのツイートもいつもとかわりなく実施していたのだと思います。当然といえば、当然です。

小姐美人性感自拍2
日本で報道されるのは、当然反日デモそのものを報道します。たとえば、北京で反日デモが開催しれたとしても、その開催された場所付近では、暴動に近いようなことが行われたにしても、世論の高まりによって行われるものではないので、少し離れてしまえば、何の影響もないのだと思います。

尖閣の問題も基本的にそうです。これも、基本的には権力闘争の一環です。もちろん、あわよくば領土に出来れば良いという下心があることには間違いないです。これも、基本的には、上海派閥、団派などの権力闘争です。詳細は、どうなのかはわかりませんが、団派が日本に対する厳しい態度を見せつけて、上海派閥を牽制したり、あるいは、上海派閥が、団派を牽制するために、厳しい態度をみせつけているということです。



それにこれは、以前このブログにも掲載したように、中国は決して一枚岩ではないことから、もっと複雑な様相を呈している可能性もあります。いずれにしても、尖閣で様々なデモンストレーションをする根源は、反日ということではなく、権力闘争の一環です。いずれにしても、自国というより自分たちの派閥の都合で、他国に干渉するというのは良くないことです。これを理解しないと、中国の意図がよめなくなります。これを日本が完璧に牽制しようとするなら、旧帝国海軍を復活するしかないでしょう。連合艦隊復活をするのが一番と思います。

尖閣問題は、1970年台にも似たようなことがあり、それは、中国側から棚上げをしました。日本の外交筋には、これをもって、棚上げするのが一番良い解決方法とする者もいますが、それは、根本的な解決でないことははっきりしています。ここは、日本の領土である旨をはっきり主張し、中国の派閥争いを激化させ、あわよくば、派閥争いから、内乱になり、内乱から中国分裂をさせるほうにもって行くほうが、日本にとっても、中国にとってもずっと良いと思います。中国今のまま無理に一枚岩でまとまっていれば、いつまでも異質な中国がまともになることはありません。

最近かなり低俗化している中国大衆文化。これも、中国共産党中央政府の仕業か?
そのためには、反日など無視して、場合によっては、中国からすべての日本企業撤退ということも許容する姿勢が重要です。実際、徹底しようとしている企業も多数あります。日本では、中国に対する輸出は、GDPの4%に過ぎません。日本の多くの人達は、勘違いしていますが、日本はもともと、貿易大国ではありません。内需大国であり、輸出がGDPに占める割合は、16%に過ぎません。中国に対する輸出などやめたとしても、その影響は微々たるものです。

そんなことより、中国人民銀行東京支店のような行動を撮り続ける、日本銀行をまともにさせれば、中国との関係をしばらく断ったとしても、本当に影響は微々たるものです。異質中国によるバーチャル反日運動に惑わされることなく、日本は、まずは、日本の国内問題を解消して、中国共産党中央政府の衰退を促すべきです。

それにしても、今回は、結構大規模な反日デモになりました。上の宮崎氏の動画では、権力闘争であるといいきっていますが、私は、これからこのようなことが結構繰り返されるようになり、そうして、それが、歴史上の転換点になる可能性も十分にありますので、何か新しい動きがあれば、またブログに掲載します。



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2012年9月18日火曜日

働けども独女の暮らし楽にならず!?:―【私の論評】そろそろ真実に目覚めても良いのでは?

働けども独女の暮らし楽にならず!?:

完全失業率の推移。日本では、3.0未満の場合ほぼ完全雇用が実現されている状態だ!!
20歳から64歳の単身者の3人に1人は貧困状態だというニュースは当通信「独女でいると貧困に!」でもお伝えしたが、20歳から39歳の若年層の生活保護の受給率が急速に上昇。生活保護全体の9.7%を占めているという。(2010年7月1日現在)


なぜ働く世代がこのような状況に陥っているのか?

「ナマホが簡単にもらえるからじゃないんですか?」と口を突き出すのはユリさん(28歳・エステティシャン)。ナマホとは生活保護のこと。

「うちに来ているお客さんで、病気で働けないという理由でナマホをもらっている人がいるんです。以前はホステスをやっていたそうですが、外にでて働くよりナマホをもらっていたほうがいろいろお得だというんです。家賃やNHKの受信料、住民税、医療費は全額無料、光熱費も減額らしいです。で、浮いたお金でうちのエステにきているんですから」

不正受給は様々な問題になっているが、受給資格の調査をもっとしっかりやってほしいとユリさん。


「そりゃあ派遣やパート、フリーターで働く人が増えたからでしょ」

若年層の受給が急増した理由を知子さん(35歳・会社員)は雇用形態にあると指摘する。

「仕事で知り合った30代のライターさんから『取材に行きたいけど交通費がでないから電車賃を貸してくれ』と言われてびっくりしたことがあります。その額が1,000円なんです。彼女は仕事が全くない月もあり、家賃も滞納しているみたいだしフリーで生活していくのはきついでしょうね」

都内で一人暮らしをしている由美さん(37歳・会社員)は、将来に備えて貯金をしているという。

「親は年金暮らしだし自分たちの生活で精一杯。兄が結婚して近くに住んでいるので両親に何かあっても安心です。私は親には学生時代に仕送りをしてもらったので、社会人になってからは親に迷惑をかけないようにと心がけてきました。これからもそのつもりです」

自立している独女に生活保護の心配など余計なお世話だったようだが、今後、独女の数は益々増えていく。現況の社会保障制度は専業主婦世帯が一般的として構築されているものだ。既女も独女も暮らしやすい世の中にするようには社会保障制度をどうすればいいのか? 不正受給に策ずるより国民みんなで悪知恵ではない知恵を絞りたい。(オフィスエムツー/佐枝せつこ)

この記事の詳細は、こちらから!!

【私の論評】そろそろ真実に目覚めても良いのでは?

上の記事はもとより、他の雇用関係の記事など読んでいると、現在の雇用に関する閉塞状況がなぜかくも深刻になっているか、ほとんどの人が理解していないと思ってしまいます。ものごとには、必ず因果関係があります。こと雇用に関しては、その因果関係をつきつめる人はあまりいないようです。本日は、その因果関係を明らかにしていきます。本日はいわゆる独女(年齢30歳以上で結婚していな女性)と言われる女性たちの写真も掲載させていただきます。



他国は別として、かくも雇用問題が悪化している原因は、はっきりしています。というより、あまりにもはっきりしていて疑う余地は全くありません。では、それは何かって?

はい、日銀の金融政策のまずさです。しかし、日本ではなぜか、一国の金融政策と雇用の関係が全く理解されていないようなので、少し、金融政策と雇用の関係について説明させていただきます。これに関しては、以前にもこのブログに掲載させていだたいたことがあるので、詳細は、以下のURLをご覧いただくものとして、そこから、一部をコピペさせていただきます。


若者雇用戦略のウソ―【私の論評】雇用と中央銀行の金融政策の間には密接な関係があることを知らない日本人?!
このブログでも、前に掲載したと思いますが、一国の雇用の趨勢を決めるのは、何をさておいても、まずは中央銀行による金融政策です。たとえば、中央銀行が、インフレ率を2〜3%現状より、高めたとしたら、他に何をせずとも、日本やアメリカのような国であれば、一夜にして、数百万の雇用が生まれます。これに関しては、まともなマクロ経済学者であれば、これを否定する人は誰もいないでしょう。無論、日本に存在するマクロ経済学と全く無関係な学者とか、マルクス経済学の学者には、否定する人もいるかもしれませんが、そんなものは、ごく少数であり、グローバルな視点からすれば、無視しても良いです。 
日銀が、やるつもりもないインフレ目処1%など無視して、インフレ率を本当に2〜3%上昇させたとします。そうすれば、日本でも、一夜にして、数百万の雇用が生まれます。これは、マクロ経済学上で昔から知られているし、経験則としても成り立っている法則です。
無論、雇用対策のため、のべつまくなく、インフレにするというわけにはいきません。ある程度以上、インフレになれば、ハイパーインフレとなり大変なことになる場合もあります。そういうときは、中央銀行は、すぐにはインフレ率を高めるわけにはいきませんから、これは、打ち出の小槌のようにいつもできるというわけではありません。雇用枠が増えても、ハイパーインフレということにでもなれば、雇用が増えたという経済に対するブラス要因が、ハイパーインフレというマイナス要因によってかき消されるどころか、経済が悪化してしまいます。 
それに、経済のその時々の状況で、インフレ率を高める方法もいろいろあります。いろいろある方策のうち、雇用に悪影響を及ぼす方策もあります。同じ二つ三つの金融政策を実施するにしても、順番があります。順番を間違えると、かえって、雇用に悪影響を与える場合もあります。こうしたことを認識しながら、雇用調整を行うことは、本当に難しいことです。だからこそ、アメリカではFRBの金融政策の専門家が専門家的立場から、これを調整して、雇用対策を行います。 
雇用を直接生み出すのは、日本でも、本来日銀であるはずです。しかし、日本では雇用対策といえば、厚生労働省の管轄とかたく信じて疑わない人が多いようです。しかし、厚生労働省は、雇用枠を増やすことはできません。一定の雇用枠の中で、雇用対策ができるのみです。できることは限られていて、雇用のミスマッチを改善することくらいのものです。

特に平成10年に日銀法が改正(というより改悪)されてから、酷いというより暴走を続けはじめました。その暴走は今でも続いています。結局どういうことかといえば、頑なに金融引き締め政策を行い、少しでもインフレになりそうになれば、すぐに金融緩和をやめてしまうということを繰り返してきました。

日銀は、今年の2月には、インフレ目度1%を打ち出しました。この1%は、かなり低い数字です。これだけデフレ続きの日本であれば、当面4%にしたとしても、何ら悪影響はないはずです。ただし、いくら目処が低くても、一応は打ち出した目標です。しかし、日銀は、この1%目処ですら、実行しようとしません。実際、少しでもでもインフレになりかけると、すぐに追加緩和措置をやめてしまうというのが実態でした。


これじゃ、どうしようもありませんね。雇用といえば、もちろん、賃金もかかわってきます。過去20年日本は、失われた20年といわれ、経済は停滞し、賃金はあがるどころか、下がってしまいました。同じ時期に、他の先進国は、日本のようなデフレ政策をせず、程度の差はあれ、緩やかなインフレ政策を続けてきたために、経済も緩やかながら発展し、賃金も倍近くあがっています。ただし、毎年緩やかなインフレが続いたため、実質的には、1.5倍くらいです。

この間日本では、日銀が経済の癌ともいわれる、デフレを放置するどころか、デフレの守護神となり、積極的にデフレを推進してきたため、現在のような状態になってしまいました。そのしわ寄せが、独女の方にもかなり及んできているというのが事実です。マクロ的にみれば、そういうことです。無論、ミクロ的な見方もあり、上記のように雇用形態の問題もあるかとは、思います。


しかし、日銀の金融政策によって、雇用枠そのものを広げない限り、同じ雇用枠の中で、いくら厚生労働省あたりが、雇用のミスマッチを減らすよう努力しても焼石に水ですし、もぐら叩きに終わるだけです。ある独女の方が、職をみつけたり、賃金が上昇すれば、別の独女が職を失ったり、賃金が下がるということになるだけです。

雇用問題には、このような背景があるということが理解されていないため、多くの人が、日銀の金融政策に対して苦言を呈する人はいません。あくまで、厚生労働省や、自分達の責任であるかのように錯覚して、堂々巡りりを繰り返し、閉塞感にさいなまされています。水道の蛇口から、水が多量にもれているときに、漏れた水を汲み出して、頑張ったとしても全く意味がありません。水道の蛇口をとめるべきです。現在の雇用問題の水道の蛇口は日銀の金融引き締め政策です。これを止めない限り根本的な解決にはなりません。


もうこのようなことには、終止符を打つべきです。独女の方々も、最近では、SNSなどのコミュニケーション・チャネルを持っていらっしゃると思います。実際、私も、facebookで、多くの独女の方とお友達になっていただいています。独女の方々も、機会あるごとに、日銀の金融政策のまずさを理解し、訴えていくべきものと思います。それから、政治にも関心を持っていただきたいものです。

独女の方々をはじめとして、日銀のおバカな金融政策による無用な犠牲など、もう十分はらってきたと思います。今の民主党政権では、全く無理だし、それにもう次のない政権に期待してもしかたないですから、これから、政権を担いそうな、政党などがどのような金融政策をとるつもりなのか、特に、暴走する日銀に対して日銀法改正などで、対処していくつもりがあるのかどうか、関心を持つべきです。

ちなみに、自民党の総裁選が近いですが、各総裁候補が金融政策について、どのような考えを持っているかなど、以下の記事をご覧いただければ良くわかります。ぜひご覧になってください。
金融政策のイロハも知らない自称「金融財政のスペシャリスト」も登場!「経済政策」から見た自民党総裁選5氏の「通信簿」
2012年09月17日(月) 高橋 洋一
高橋洋一「ニュースの深層」
次の政権の金融政策は、独女の皆様の生活にもこれから、おおいに関わっていくことです。ゆるがせにはできません。今の失われた20年が、30年にならないように、注意深く見守っていく必要があります。そうして、次の選挙では、まともな金融政策を実行するような政党や、候補者を応援すべきです。

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