2017年1月16日月曜日

トランプ氏が中露分断で「支那大包囲網」が完成か―【私の論評】日本は自国防衛のため軍事作戦を遂行する意思や能力があることを示せ(゚д゚)!

トランプ氏が支露分断で「支那大包囲網」が完成か

このブログでは、「中国」という表記は本年より用いません。そのため、引用記事などで、中国と表記されているものもすべて支那に変えています。

村上政俊氏 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 トランプ次期大統領の米国ならば北朝鮮との劇的な接近があり得る、と元外交官で前衆議院議員の村上政俊氏は読む。支那が北朝鮮を支えられなくなれば、北朝鮮が新たな事大の相手先として米国に急接近する可能性は高いという。

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 トランプ大統領によって“支那大包囲網”が実現した際に、北朝鮮が支那を裏切るというのが二番目のシナリオだ。「現代のツァーリ」プーチンはトランプを才能ある人物と述べたのに対し、トランプはプーチンをオバマよりも優れた指導者だと称えており、トランプが大統領に就任して真っ先に打ち出すのは米露関係のドラスティックな改善だろう。

 そもそも米国における伝統的な安全保障観ではロシアが米国にとっての最大の脅威と位置付けられており、米国の安全保障専門家からはトランプのプーチンに対する宥和姿勢にかねて疑問符が付けられていた。

 しかしそこは大実業家のトランプだ。思惑なしにプーチンに対して一方的に譲歩しようということではなかろう。

 一つの可能性として考えられるのが“中露分断”だ。プーチンと習近平がいまのところガッチリとタッグを組んでいるのは、米国主導の国際秩序を打破しようという大戦略が一致しているからだ。しかし、冷戦期には中ソ対立という東側陣営の内輪揉めの歴史があり、現在もシベリアへの支那人大量流入など、表面的には蜜月にみえる中露にも地雷は数多い。

 トランプがこれまでの米国の安全保障観を転換し、支那を最大の脅威と考えているとすれば、プーチンへの接近とその先に見据えているであろう“中露分断”が全て一本の線で結ばれる。

 1971年の「ニクソン・ショック」になぞらえればよりわかりやすいかもしれない。反共の闘士ニクソンが策士キッシンジャーを使って支那に接近したのは、支那を抱き込んで最大の敵であるソ連を孤立させるためだった。

 トランプがもし支那を最大の敵と見做すのであれば、支那を孤立させるためにロシアを抱き込みたいと考えるのは自然の成り行きだろう。ダマンスキー島(珍宝島)での武力衝突のように、中ソ対立が公になっていた点が当時と現代の違いだが、先程述べたように中露関係には潜在的な火種が多く、トランプがそこに火を点けて回るかもしれない。

 安倍晋三政権下での日露関係の改善もこうした流れの中で位置付けられる。元来、日露接近を最も嫌っていたのは米国だった。一番の敵ロシアと一番の子分(と米国が一方的に思っているだけだが)日本が近付くことは地政学上の大変動に繋がるという認識で、日ソ国交正常化(1956年)の際に北方領土問題は解決の可能性があったが、国務長官ダレスは当時米統治下にあった沖縄を返還しない可能性をちらつかせて日ソ接近を牽制した。いわゆるダレスの恫喝だ。しかし、トランプ大統領自身がロシア接近を打ち出せば前提が変わり、日露接近と北方領土交渉にはプラスに働く。

 こうして日米同盟だけでなく、米露、日露関係の改善でロシアも加われば、水も漏らさぬ“支那大包囲網”の完成だ。このシナリオで一番あたふたするのは北朝鮮である。従来のまま支那につき従っていては、一蓮托生で自分自身が包囲網に押し潰されてしまうという危機感を抱き、支那陣営からの脱走とトランプ側への寝返りを画策するだろう。

 北朝鮮はこの時に保有する核兵器を外交交渉のカードとして使うはずだ。核放棄に応じる代わりに、それまでの数々の悪行の許しを得ようとトランプに縋り付くだろう。習近平からトランプへの寝返りを受け入れなければトランプタワーのあるNYに核兵器を打ち込むなどと凄んでみせるかもしれない。

 旧東側陣営からNATO加盟国というれっきとした米国の同盟国に鞍替えした国が現にいくつもあるではないかと叫びながら、死に物狂いで同盟国の列の末席に滑り込もうとする絵も想像できる。

 しかし北朝鮮内部では、核放棄に応じたものの、最終的には体制崩壊を招いたリビアのカダフィ大佐の例をひいて核放棄に反対する意見が出るだろう。そうなれば、金正恩vs反金正恩の内乱が起き、寝返り前に“北朝鮮崩壊”との結末になる。首尾よく寝返りが成功すれば、支那大大包囲網が築き上げられ、支那は早晩崩壊する可能性が高い。

 いずれにしても北朝鮮の運命を左右するのは支那がどうなるかだ。一人の野次馬としては、支那が崩壊する前にキャラ立ちしているトランプと金正恩の直接会談を見てみたい。(文中敬称略)

 【PROFILE】むらかみ・まさとし/1983年大阪市生まれ。東京大学法学部卒。2008年4月外務省入省後、北京大学、ロンドン大学に留学し支那情勢分析などに携わる。2012年12月~2014年11月衆議院議員。現在、同志社大学嘱託講師、皇學館大学非常勤講師、桜美林大学客員研究員を務める。著書に『最後は孤立して自壊する支那 2017年習近平の支那』(石平氏との共著、ワック刊)がある。
 ※SAPIO2017年2月号

【私の論評】日本は自国防衛のため軍事作戦を遂行する意思や能力があることを示せ(゚д゚)!

上のシナリオは十分にあり得るものだと思います。その根拠としては、このブログでも以前掲載したことのある、ルトワック氏の支露関係の分析です。ルトワック氏は、支那と露の関係は、氷の微笑であるとしていました。

今一度以下にルトワック氏の支露関係に関する分析を掲載します。これは、日経新聞に掲載されたものです。なお、このブログでは、中国という表記は使いませんので、以下の文中で特に断りがない限り、中国のことは支那、支と変更して表記しています。
接近する支ロ、氷の微笑が消えるとき

2014/5/25 3:30
ルトワック
 ウクライナ危機をきっかけに中ロはさらに接近し、日米へのけん制を強める……。世界ではこんな見方が多いが、ルトワック氏の予想はちがった。

ロシアは、支那とは仲良くならない。シベリアなどに侵食してくる支那を脅威だとみているからだ。むしろ、ロシアは支那をにらみ、本当は日米と協力を広げたいはずだ――。ルトワック氏はこんな趣旨の予測を披露したという。 
 中ロの表面的な動きをみるかぎり、この分析は必ずしも当たっていない。まさに同じ20日、中ロはこれでもかと言わんばかりの仲良し劇を演じたからだ。 
 訪中したプーチン大統領は、習近平国家主席と懸案だった天然ガスの輸出交渉を決着。対ロ制裁への反対をかかげ、来年に対日・独戦勝70周年式典を共催することも決めた。 
 だが、会談では結局、日米の安保当局者がいちばん注目していた商談が署名にいたらなかった。ロシアの最新鋭戦闘機スホイ35(24機)と地対空ミサイルS400を、支那が買うための契約だ。 
 売却の条件で折り合わなかったとされるが、理由はそれだけではさそうだ。モスクワからは、ルトワック氏の読みを裏づけるような本音が聞こえてくる。 
 「プーチン氏は支那に相当、いら立っている」。クレムリンの内情を知るロシアの安保専門家らは、こう明かす。プーチン氏はかねて支那の台頭に懸念を抱いていたが、昨年12月、不信感を一気に強めるできごとが起きたのだという。 
 それは、習主席とヤヌコビッチ・ウクライナ大統領(当時)が北京で署名した友好協力条約だった。「ウクライナが核で脅されたら、支那が必要な安全を保障する」。条約にはこんな趣旨の合意が入った。 
 支那は「核の傘」を使い、ロシアの縄張りであるウクライナにまで手を突っ込むつもりか。プーチン氏はこう反発したようだ。 
 支那の国内総生産(GDP)はロシアの4倍を超える。支那はその分、ウクライナを含めた周辺国に影響力を広げるのは自然なこと、と考えているのだろう。 
 歴史的にも、長い国境を接する中ロの相性は良いとはいえない。新支那建国の直後、毛沢東、スターリンの両首脳はモスクワで会い、同盟の契りを交わした。それもつかの間、やがて路線対立が始まり、蜜月は10年と続かなかった。 
 「いまの支那は共産党体制だったときのソ連と同じだ。何を考えているのか、外からは分からない。しばしば、唐突な行動にも出る」。公式な場では決して支那を批判しないロシアの政府関係者からも、こんなささやきが聞かれる。 
 では、日本はどうすればよいのか。中ロの結束が弱まれば、日本の選択肢は広がる。それでもロシアが対中外交で協力したり、領土交渉で譲ったりすると期待するのは禁物だ。 
 米政府当局者は「ロシアに過剰な期待を抱かないほうがいい。日本には戦中の経験もある」と語る。第2次大戦末期、日本の降伏が確実とみるや、ソ連は日ソ中立条約を一方的に破棄し、攻め込んできた。 
 ユーラシアの両雄はどこに向かうのか。日本は歴史の教訓をひもときながら、冷徹に次の一手を練るときである。(編集委員 秋田浩之)
習近平とプーチン
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO71758060V20C14A5SHA000/?dg=1
日本では、著書『支那4.0』が話題のエドワード・ルトワック氏は、トランプ新政権は支那の冒険主義的な行動をもはや許容せず、米中関係は大きく変わると予測しています。

安全保障のダイヤモンド
さて、このブログでは、以前から北方領土交渉をめぐる安倍首相のプーチン接近の背後には、ロシアを支那封じ込め政策である「安全保障のダイヤモンド」の一角に据えようという目論見があることを主張してきました。それを掲載した記事のリンクを以下に掲載します。
【日露首脳会談】支那、日露連携を警戒「包囲網」強化に対抗―【私の論評】会談のもう一つの目的は、ロシアを安全保障のダイヤモンドの一角に据えること(゚д゚)!
日露による「対中包囲網」を警戒する習近平
詳細は、この記事をご覧いただくもとして、以下に結論部分のみを掲載します。
日本がいくら「日本はこうありたい」と理想論を語ったとしても、自分だけではどうにもなりません。
いくら「平和な日本でありたい」と願ったとしても、他国が侵略してきたら日本の平和は維持できません。そんな時に、憲法9条があっても、何の役にも立ちません。実際に北朝鮮は今年日本海に21発のミサイルを発射しています。支那は軍艦を動員して尖閣諸島を脅かしています。韓国は、未だに竹島を実力で占拠しているます。

こういう現実の中では、日本はできるだけ多くの国と友好関係を深めて、支那や北朝鮮が暴発しないように抑止していくことが日本の安全保障にとってより良いことになります。無論、支那や北朝鮮などと直接友好関係を結ぼうにも、結べるものではありません。

こんなときに、日本がロシアとの友好関係を深めれば、ロシアは支那になど軍事技術を供与しなくても良いと考えるかもしれません。もし、そう考えなかったにしても、支那側はそのように受け取るかもしれません。

安全保障のダイヤモンドを構想し、それを全方位外交を通じて実行してきた安倍総理は、当然の腹の中で、このように考えており、何とか、支那封じ込めの一角にロシアを加えたいと当然考えていることでしょう。そうして、これは、今回の日露首脳会談の目的の一つであることは間違いありません。

ロシアのプーチンは、以前にもこのブログに掲載したように、政敵は暗殺するなどして容赦なく潰すのが常であり、腹の中では何を考えているかは見えないところがあります。だから、本当に信頼できるかどうかはわかりません。

しかし、私たちは、支那やロシアのやり方で学ぶべきところがあります。それは、腹の中では互いに相手を信頼していないにもかかわらず、中ロはウクライナ危機をきっかけに中さらに接近したように首脳会談などを実施して見せつけて、日米へのけん制を強めるように中ロは動くと、世界中に思わせたという実績があります。 
これは、ルトワック氏には見ぬかれてしまいましたが、成功していれば、ロシア・支那連合は、日本はもとより、世界中の国々にとって、かなりの脅威となったことでしょう。ロシアの軍事技術と、支那の経済力が結びつけば、これは大変なことです。しかし、現実はそうではありませんでした。

日本も彼らのこのやり方を参考にして、支那に脅威を与えるべきです。実際にその効果はブログ冒頭の記事にある、新華社の「ロシアを引き込み、支那を包囲しようとの考えは希望的観測に基づく妄想だ」という言葉にもあるように、支那は日露首脳会談に警戒感を抱いています。

安倍総理としては、ロシアをうまく操っての脅威を少しでも除去できるように努力して頂きたいです。
さて、ロシアというとあまり信用できないところはあります。しかし、安倍首相はもとより、トランプ氏も支那と比較すれば、ロシアのほうが扱いやすいと考えていることと思います。

ロシアというと、日本では多くの人が大国というイメージが抜け切れていないところがあると思いますが、ソ連の末期は経済がガタガタでどうしようもない状況になっていました。現在のロシアになったばかりのときも、哨戒用のジエット戦闘機の燃料がないような状態になり、米国などから支援を受けていたこともあったくらいです。

現在でも、ロシアのGDPは日本の1/4程度に過ぎません。支那とは比較の対象にもなりません。人口も、支那は14億人であるのに対して、ロシアは1億4千万人に過ぎません。これは、日本よりわずかに2千万人多いに過ぎません。

そのロシアは、いっとき原油などで経済が潤い、BRICSの一国として脚光を浴びていた時期もあるのですが、従来から比較すると原油安の状況が続いています、

さすがに、軍事力や軍事技術ではまだ先端を行っていますが、それにしても国力の衰えは隠し仰せない程度にまで顕になっています。かつてのように、NATO軍と戦争する力など全くありません。

この状況ですから、当然のことながら、日米にとっては支那よりは御しやすいのは当然です。ロシアも、支那と同じように民主化、政治と経済の分離、法治国家が遅れている面はありますが、それでも支那よりははるかにましです。

そうして、何よりも、支那は腐敗撲滅運動の名のもとに習近平が反習近平派と熾烈な権力闘争をしていますが、ロシアはプーチンが強力なリーダーシップを発揮して、ロシアを統治しており、国民からの支持を集め安定しています。

であれば、日米はロシアと支那の両方を敵に回すよりは、ロシアを味方につけて支那から分断して、日米露の支那包囲網を構築したほうが、はるかに有利です。

だからこそ、安倍首相はその方向にすでに動き、トランプ氏もそれに続くことになるでしょう。これで、支那は日米はもとより、ロシアに対してもうかつに手をだせなくなるわけで、安全保障の面からかなり有利になるのは間違いありません。

ただし、日本については一つ懸念材料があります。それは、ルトワック氏も以下のように分析しています。
 日本について言うならば、2017年には支那が尖閣諸島に多数の「漁民」を軽武装で上陸させてくる可能性がある。実際には民兵であるこれら「漁民」は人民解放軍の指揮下にある「漁船」で上陸し、日本側が出動させるヘリコプターに対してフレア・ガン(照明弾や発煙弾を発射する信号銃)を一斉発射して撃退するだろう。 
 この尖閣攻撃は、支那側が日本のなまぬるい対応を事前に知っているためにその可能性が高くなってきた。 
 日本側は憲法上の規制などで尖閣に侵入してくる支那の軍事要員に対しても警察がヘリで飛来して、違法入国で逮捕し、刑事犯として扱おうとする対応を明らかにしている。だから支那側の偽装漁民はフレア・ガンでまずそのヘリを追い払うわけだ。ヘリがフレア・ガンに弱いことはよく知られている。この場合、米軍の介入も難しくなる。 
 日本に必要なのは、尖閣諸島を、重要施設が集中している「東京都千代田区」と同じにみなし、そこへの侵略は本格的な軍事作戦で撃退することだ。日本側はいまその軍事反撃ができないことを内外に広報しているような状態であり、支那の侵略をかえって誘発する危険を高くしている。 
 日本は自国の防衛のために現実的かつ本格的な軍事作戦を遂行する意思や能力があることを示さねばならない。そのことこそが支那の軍事的な侵略や威嚇への抑止となるのだ。

 トランプ次期大統領の安倍晋三首相への信頼度は高い。安倍氏をいまの世界で最高水準の指導者とみなし、日本をアメリカにとって第一の同盟国とみていると言える。11月17日の両首脳の会談ではトランプ氏は安倍氏に支那への新たな強硬策を伝えたと私は聞いている。 
 だからトランプ政権下では日本は支那に対して強い措置をとる際にこれまでのようにアメリカ政府にいちいち了解を求める必要はもうなくなるだろう。 
 トランプ氏は安倍首相に今後のアメリカが支那に対して新たに厳しい姿勢をとることを内密に告げ、その後に台湾の蔡英文総統と電話会談することでその姿勢を内外に明示したのだ。 
 だから2017年は、アメリカはこれまでと異なる対支政策をとり、その結果、まったく新たな米支関係が始まるだろう。その変化は日本にとっても、プラスが多いと言える。
トランプ大統領が登場すれば、世界は変わります。日本もその変化に対応しなければなりません。先日、トランプ氏がトヨタに苦言を呈しました。

このトランプ氏の苦言に関して、「なぜ一民間会社であるトヨタにまで・・・」などと批判する人も多かったです。トヨタのほうも最初は「心外である」などと語っていました。しかし、トヨタはアメリカに随分前から進出していて、現地の人々を多く採用し地域に根付き、アメリカで日本を代表するものというと「トヨタ」といっても良いほど親しまれています。

だから、トランプ氏の発言は一民間企業に対する発言というより、日本を代表する企業「トヨタ」に対する発言であったとみるべきです。そうして、その真意は、日本はトランプ率いる米国の味方であるのかどうかを確かめるためのものだったと解釈すべきです。

米国においては、トランプ氏もそうなのでしょうが、特に軍人はこの「味方」ということを強く意識します。信頼のおける相手かどうかを単純に「味方であるか否か」で判断します。

問題の発言が飛び出したのは今月5日。2019年の稼働を目指してメキシコに新工場を建設中のトヨタに対し、トランプ次期アメリカ大統領が自身のツイッターで、〈ありえない! 米国内に工場を作らないなら高額の『国境税』を払え〉と事実上の工場新設の撤回を求めたのです。

「アメリカ・ファースト(米国第一)」を掲げるトランプ氏は、これまでも米国内の雇用増大を最優先に掲げ、メキシコに工場を持つ米自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)やメキシコに新工場を計画するフォード・モーターに「口撃」を仕掛けてきたのですが、それが日本企業にまで及んだのです。

9日、米デトロイトで開催された北米国際自動車ショーで豊田氏はメキシコ工場の計画に変更がないことを述べた上で、「これまでの60年間で米国に220億ドル(約2.5兆円)を投資してきたが、今後5年間でさらに100億ドル(約1.1兆円)を米国に投資する」と表明しました。慎重な姿勢で知られるトヨタが即断即決で1兆円規模の投資計画を明言したことは、日米の経済界で大きなインパクトを持って受け止められました。

トヨタ自動車の豊田章男社長は9日、米デトロイトで開幕した北米国際自動車ショーの新型車
発表会で、今後5年間で米国の事業に100億ドル(約1兆1600億円)を投じる考えを表明した。
そもそもトランプが問題視しているのは、米国国内の雇用を減らすことです。トヨタは米国国内の工場を閉めてメキシコに新工場を作るわけではありません。メキシコ国内で雇用が生まれることは不法移民を抑えることにもつながり、トランプ政策にはむしろプラスと考えられます。

しかし、そうした理屈を説明してもトランプ氏は納得しなかったでしょう。そこでトヨタは1兆円というインセンティブを示したのです。しかも、このタイミングで出したことでトランプに良いイメージを与えました。結果的にメキシコ工場の撤回は避けられるでしょう。

フォードと比べれば、トヨタの対応はトランプ発言の真意を見抜いた「最高のアンサー」だったと思います。これによって、トランプ氏は日本の代表である、トヨタという企業を味方とみなしたことでしょう。そうして、これはトヨタという一企業だけにとどまらず、日本を「味方」とみなす上での最上の判断材料となったことでしょう。

私は、このトヨタの判断には、日本政府の意向も働いたのではないかと思います。意向まではいかなくとも、豊田氏は政府にも相談をしたのではないかと思います。そうして、政府は「最高のアンサー」になるようなアドバイスをしたものと睨んでいます。

さて、尖閣諸島の話に戻ります。ルトワック氏が「尖閣諸島を、重要施設が集中している「東京都千代田区」と同じにみなし、そこへの侵略は本格的な軍事作戦で撃退することだ。 日本は自国の防衛のために現実的かつ本格的な軍事作戦を遂行する意思や能力があることを示さねばならない。そのことこそが支那の軍事的な侵略や威嚇への抑止となるのだ」と指摘するように、日本は少なくとも自国の領土を守れるように、法整備などをすべきです。

自国の領土は自国で守る、それが独立国というものだ
これが出来ないようであれば、トランプ氏は自国の領土を自分で守ることをしない日本を「味方」とみなすことはしなくなることでしょう。日本を「味方」であると認識しなかったにしても、トランプ氏は支那に対して当面厳しく対峙することでしょうから、日本にとって良い状態がしばらく続くかもしれません。

しかし、その後支那の現体制が崩れて、支那がある程度の民主化、政治と経済の分離、そうして法治国家化を進めて、ある程度まともになり、特にブラック国家として、人民を搾取して、安い製品を製造して米国に輸出するなどのことをやめ、為替の不当な操作をすることもやめた場合、今度は支那を「味方」とみなすようになるかもしれません。

そうなれば、日本にとっては最悪です。そのようなことにならないためにも、ルトワック氏が語るように、日本は自国の防衛のために現実的かつ本格的な軍事作戦を遂行する意思や能力があることを示さねばならないのです。

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2017年1月15日日曜日

男性が結婚しない理由? 家庭を持つことができる年収ラインはいくらなのか―【私の論評】リーマン・ショック、リフレ派 という言葉は日本にしか存在しない(゚д゚)!

男性が結婚しない理由? 家庭を持つことができる年収ラインはいくらなのか

総務省が2016年10月発表した平成27年国勢調査確定値で、大正9(1920)年の調査開始以来、初の減少に転じた日本の総人口。厚生労働省がまとめる人口動態統計の年間推計でも2016年に生まれた子どもの数が1899(明治32)年の統計開始以来、初めて100万人を割り、98万1000人にとどまる見通しであることが明らかになりました。こうした少子化の最も大きい要因として挙げられるのが結婚しない男女の増加です。

人口減少時代

 未婚者が結婚しない理由には何が考えられるのでしょうか。平成28年版少子化対策白書(内閣府)から探っていきます。

9割弱が「いずれ結婚するつもり」…でも「結婚資金が足りない」未婚男性の3割

 白書によると、国立社会保障・人口問題研究所が実施した「出生動向基本調査(独身者調査)」では、「いずれ結婚するつもり」と考える未婚者(18~34歳)の割合は、2010年で男性86.3%、女性89.4%でした。1987年時の男性91.8%、女性92.9%よりは下がりましたが、結婚に対する意欲は高い水準にあるといえます。

 また、未婚者(25~34歳)に独身でいる理由を尋ねたところ、「適当な相手にめぐり会わない」の選択肢を選ぶ割合が男性46.2%、女性51.3%と最も多く、次いで「まだ必要性を感じない」男性31.2%、女性30.4%となりました。しかし一方で、男性は「結婚資金が足りない」(30.3%)も大きな理由になっています。(2010年第14回調査結果、回答は選択肢から3つまで選択可)

高年収ほど結婚している割合が多くなる

 では、収入の違いが、結婚に影響しているのでしょうか。25~29歳、30~34歳、35~39歳の各年代で年収別に配偶者がいる男性の割合を比べてみました(グラフ1)。すると、25~29歳の年収100万円未満の男性では、結婚している割合は1割を切りますが、500万円以上の年収がある場合、およそ半数が結婚している結果になっています。


 年収が高いと既婚者が増える傾向はほかの年代も同様で、30~34歳は年収500万円以上でおよそ7割が結婚、有配偶者率の最も多い年収800~899万円は、87.4%になりました。35~39歳の場合は、年収200万円未満の場合、配偶者がいる比率は4割に届きませんが、500万円以上になるとおよそ8割に。結婚している割合が最も多い800~899万円は88.8%にのぼりました(出典:労働政策研究・研修機構「若者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状」(2014年)。

 ちなみに平成27(2015)年国政調査によると、男性の有配偶者率は25~29歳26.3%、30~34歳50.8%、35~39歳は61.7%です。グラフ1を見ると、25~29歳と30~34歳は年収300万円以上、35~39歳は年収400万円以上になると、その割合より多く家庭を持っているとわかります。

若い世代の収入は20年前と比べ、低所得にシフト

 それでは若い世代(20、30代)はどのくらいの所得の人が多いのでしょうか。1997(平成9)、2007(同19)、2012(同24)年の所得分布を見てみます(グラフ2)。すると20代の雇用者では、1997年時は年収300万円台が最も多かったのに対し、2007、2012年になると300万円台の比率が低下、200万円台前半とほぼ同じ割合になっています。


 30代では、1997年には年収500~699万円台が4分の1近く占めていましたが、2007、2012年は300万円台が2割弱で最も多く、500~699万円の収入を持つ割合は15%前後にまで落ち込んでいます。1997年から10年間に20、30代の所得分布は低所得層にシフトし、その状態が続いている、と白書は指摘しています。

 また、正社員の男性は25~29歳31.7%、30~34歳57.8%が結婚していますが、パート・アルバイト雇用の男性は25~29歳7.4%、30~34歳13.6%と有配偶者率が大きく下がり、就労形態によって家庭を持つ割合に大きな違いが生じていることがうかがえます(出典:労働政策研究・研修機構「若者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状」(2014年)。

 国挙げて、働き方改革の取り組みが必要とされていますが、若い世代の雇用のあり方や収入を増やすことができるかが、未婚率に影響しそうです。

【私の論評】リーマン・ショック、リフレ派
という言葉は日本にしか存在しない(゚д゚)!

上の記事を読んでいると、いろいろと分析はしているのですが、肝心要の結論は、結局のところ若者の雇用を増やすことと、収入を増やすことができるかが、未婚率に影響することを言っているのですが、それに対する解決法に関しては何も触れていません。

なぜ、こういうことになるかといえば、この記事を書いている人の頭の中に、金融政策と雇用とは密接に結びついているという事実が全く欠落しているからです。

現在若者の雇用そのものについては、アベノミクスの一環であった金融緩和政策により、かなり改善されて良くなっています。

それについては、何度かこのブログにも掲載しています。その記事の最新のもののリンクを以下に掲載します。
人手不足は金融緩和による雇用改善効果 さらに財政政策と一体発動を―【私の論評】年頭の小さな変化に気づけない大手新聞社は衰退するだけ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
 年末年始は人手不足などの事情で宅配便の遅配が生じたという。また、ファミリーレストランでは24時間営業をやめるところも出てきている。 
 筆者は日用品でも宅配便を利用しているが、たしかに筆者のところへの宅配便も遅れた。それほど緊急性のないものだったので別に気にしなかったが、到着予定日より2日ほど遅れたものもあった。 
 百貨店も昔は元日営業が当然だったが、元日は休みで2日から初売りも多くなり、一部では3日から初売りというところも出てきている。さらに三が日は休業し4日からの初売りを検討するところもある。これらの正月休業の動きは従業員に配慮する観点からとされている。 
 いずれも人手不足感が出てきた証拠であり、これまでアベノミクスで金融緩和を続けたことの成果だといえる。
そうして、これを裏付けるような統計資料もあります。そのグラフを以下に掲載します。


このグラフにも示されているように、昨春卒業した大学生の就職率は97・3%で、前年同期から0・6ポイント増え、調査を始めた1997年以来最高となった。高卒の就職率も同じような状況です。

さて、失業率が下がっていることについて、「生産年齢人口の低下によるものだ」と主張する人がいます。しかし、この議論は、「デフレの原因は人口減少だ」というのと同じくらい、間違った考え方です。

それは、生産年齢人口が増えていた以前の方が、失業率が低かったことからもすぐ分かります。こうしたトンデモない議論をする一部の識者や経済評論家は、統計データのリテラシーに欠けていると言わざるを得ません。

失業率と生産年齢人口の推移をみても、最近の失業率の低下は生産年齢人口の低下によるものだとの結論にはなりません。まともに統計分析すれば、生産年齢人口はコンスタントに減少する一方、失業率は景気によって上下するので、傾向を除去して考えれば両者は無関係であることが分かります。

失業率は、労働力人口から就業者数を引いたもの(完全失業者)を労働力人口(就業者数+完全失業者)で除して定義されるものです。労働力人口は15歳以上の人口で、生産年齢人口は15歳以上65歳までの人口であり、両者はパラレル(並列的)な概念です。労働力人口(生産年齢人口)が減少するとき、それを所与として経済状況によって就業者数が決まってきます。なので失業率は分子も分母も労働力人口の動きを見込んだものとなり、景気だけに左右されます。



マクロ経済の基本概念として、総供給と総需要の差である国内総生産(GDP)ギャップがあります。景気の良し悪しは、GDPギャップで計ることもできます。

金融緩和と財政出動はともにGDPギャップを縮めます。短期的な効果は財政出動の方が強いが中長期的には金融緩和も効果が出ます。となると、継続的に実施しやすい金融緩和の方が、失業率低下の累積効果は大きくなります。

財政出動は公的部門の有効需要を直接創出するので分かりやすいです。一方、金融緩和については、実質金利の低下、為替安などによる民間部門の有効需要への効果は、短期的には少ないが、長期的な累積額でみると大きく作用します。民間部門の有効需要創出なので、効果ラグ(時間のずれ)があって民間雇用に効いてきます。

こうしたマクロ経済学の理解があれば、金融緩和が失業を減らすということも分かるはずです。そうして、インフレ目標は緩和しすぎないための歯止めになります。

雇用を守るべき立場のはずの日本の左派系識者や経済評論家にはそうした常識が欠けています。しかし、実は右派にもそのような常識に欠る人が多いです。

金融政策と雇用の関係はマクロ経済学の基本中の基本です。日本では、金融政策を正しく理解している人がその知識に基づいて様々な主張をしているにもかかわらず、そのような主張をする特殊なグループであるかのように「リフレ派」と呼ばれ、特殊扱いされてしまいます。

私は、このブログでマクロ経済学の基本から、全くたり前の主張をしていたにもかかわらず、Twitterで「リフレ派」と呼ばれて批判されてしまい、釈然としなかったことが何度かあります。

そもそも、世の中に「リフレ派」なる派閥が存在し、日々会合を開き、意見を集約させているなどということは聞いたこともありません。

そして、もし、「リフレ派」なる集団が存在するとしても、彼らはただ「デフレ解消のためには大胆な金融緩和が必要である」という考えを共有するだけであり、その他の政策については必ずしも意見の集約はないようです。

デフレ対応をめぐって、いろいろ分析した方のブログ記事から、リフレ派、デフレ派の分類を以下に掲載します。


この分類では、広義リフレ派をいくつかに分類していますが、その共通項は結局、「デフレ解消のためには大胆な金融緩和が必要である」ということです。

そうして、気づいたことが一つあります。それは、「リフレ派」という言葉自体が、日本には存在しますが、日本以外の国には存在しないという事実てす。そうなのでは、「リフレ派」などという言葉は、米国にも英国にも、その他の国々にも存在しません。

リフレ派もそうなのですが、「リーマン・ショック」という言葉も外国には存在しません。これは、純然たる和製英語です。

リーマン・ブラザーズが破綻して、経済に悪影響を与えた直後各国の中央銀行の動きを振り返ってみると、直後に景気が落ち込み、これに対処するために、各国の中央銀行は、大規模な金融緩和に踏み切りました。

緩和の量的規模や、期間はまちまちにしても、ほとんどの国が大規模な金融緩和に踏み切ったのは事実です。しかし、唯一例外がありました。それは、日本です。日銀だけは、大規模な金融緩和に踏み切らなかったため、どうなったかといえば、強烈な円高と、当時日本はデフレだったのですが、さらに強烈なデフレスパイラルに見舞われることになりました。

そのため、震源地であるアメリカや、かなり大きな影響を被った英国など含め金融緩和に踏み切った国々が、いちはやく不況から脱したにもかかわらず、日本はなかなか不況から脱却することができず、世界の中でひとり負けの状態になりました。

しかし、この時いわゆるリフレ派と言われる人々は、無論私も含めて、日銀は大規模な金融緩和に踏み切るべきだと主張しましたが、他の人々はそうではありませんでした。

そのため、リーマン・ブラザーズ破綻の悪影響が、日本にだけ長期間にわたり深刻な事態をもたらしました。その悪影響があまりに大きかったので、日本では「リーマン・ショック」という言葉が生まれたのでしょう。

しかし、現実には、日本はサブプライムローンの悪影響などほとんなかったので、本来はリーマン・ブラザース破綻の悪影響はなかったはずなのですが、日本以外の他国がこぞって大規模な金融緩和に走ったにもかかわらず、日本だけはそうしなったため、あれだけ深刻な状況を招いてしまったのです。

こうして、考えてみると、「リーマン・ショック」の原因は、金融緩和すべきときにしなかったこと、「リフレ派」は「デフレ解消のためには大胆な金融緩和が必要である」と主張する人々のことであり、両方とも金融緩和という共通項があります。

そうして、「リーマン・ショック」「リフレ派」という言葉が、日本には存在するものの、日本以外にはないというこの事実から、はっきりわかることは、やはり日本では「金融政策」の重要性が日本以外の国々のようには理解されていないということです。

そうして、日本でほとんど未だに理解されていないのが、雇用と金融政策の関係です。

さて、ブログ冒頭の記事の、未婚率を減らすために、「若者の雇用を増やすことと、収入を増やす」ことのうち、若者雇用を増やすことはもうすでに実現されていることを述べました。もう一つは、収入を増やすという部分です。

これは、実質賃金などが未だ上昇してないという事実があり、まだ達成されていません。のでは、これを達成するにはどうすべきかということになりますが、それを実現するには、マクロ政策的に観点からは、やはりさらなる量的金融緩和が必要なのです。無論、積極財政もすべきですが、これは比較的短期間で効き目が薄れてきます。

本格的に賃金をあげるためには、やはりさらなる量的金融緩和が必要なのです。その根拠として、このブログでは、過去に完全失業率について掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
日銀の資金供給 8か月連続で過去最高を更新―【私の論評】金融緩和政策は限界でなく、まだまだ不十分なだけ(゚д゚)!
過去の失業率の推移

さて、詳細はこの記事をご覧いただくものとして、このブログでは、上の過去の失業率の推移のグラフから、日本の完全失業率は2.7%程度あろうということを掲載ました。

そうして、現在の日本は、物価目標2%も達成されておらず、さらに完全失業率も3%を切っていない状況なので、追加の量的緩和が必要であることを主張しました。

しかし、このことはいわゆる「リフレ派」以外の人にはなかなか理解不能のようです。しかし、本来的にマクロ経済的な観点からすれば、これはきわめてまともな主張です。

日本では、そもそも「リフレ派」とか、「リーマン・ショック」という和製英語があるように、他国と比較すると、マクロ経済の基本的なことが理解されていないのです。

それにしても、特に若者は、若者の雇用状況が新卒の就職率の良さによって、かなり改善されたことを理解している人もかなり多いことですから、20・30代の所得をあげるには、まずはさらなる量的金融緩和を実施し、2%物価目標を達成するのは、無論のこと完全失業率を2.7%台にもっていくことが、前提条件であるということを理解して頂きたいです。

そうして、理解するだけではなく、そのような主張をするとともに、選挙のときには、まともにマクロ経済を理解している政治家に投票するように行動すべきです。

若者かそのように率先して行動すれば、やがて日本からも「リフレ派」なる言葉は消えて、マクロ経済に関してまともになり、政府がデフレを長期間放置して、若者を苦しめるということはなくなると思います。

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2017年1月14日土曜日

「汚い言葉を使う人ほど正直者」であることが研究で判明―【私の論評】なぜトランプ氏は大統領選で敢えて「汚い言葉」を用いて成功したのか?



悪口やののしりなどの「汚い言葉」を使うのは一般的にタブーとされていますが、「口の悪い人ほど根が正直」であるという研究結果が発表されました。

Frankly, we do give a damn: The relationship between profanity and honesty | Gilad Feldman - Academia.edu

http://www.academia.edu/29725191/Frankly_we_do_give_a_damn_The_relationship_between_profanity_and_honesty



A new study linking profanity to honesty shows people who curse are more authentic — Quartz
https://qz.com/881289/a-new-study-linking-profanity-to-honesty-shows-people-who-curse-are-more-authentic/

一般的に汚い言葉を使う人は社会規範を破りやすい傾向にあり、誰かをののしることは不道徳な行為と考えられています。一方で、無実の罪で逮捕された人は、罪を犯した自覚を持つ人より、取り調べの際に汚い言葉を使う傾向にあることも過去の研究で示されています。そこで、マーストリヒト大学心理学部のジラド・フェルドマン氏率いる国際研究チームは、「汚い言葉」と「率直さ」の関係性を、個人および社会レベルで分析するべく3つの研究を行ないました。


By Neil Girling

1つ目の研究は個人レベルの汚い言葉の分析が目的で、276人の男女に「一般的に人は悪い言葉を使っている」という事実を伝えた上で、「人気の汚い言葉リスト」から、それぞれの汚い言葉から連想する怒り・恥などの感情を答えてもらいました。その後、被験者に1985年に発案された「アイゼンク性格検査(EPQ)」を受けてもらい、汚い言葉に対して話したことの信頼性が調査されました。EPQの結果により、一部の人間がうそをついていることがわかるとのこと。

2つ目の研究は世界中から集めた7万人の被験者を集め、Facebookの更新内容から汚い言葉の使用頻度を割り出し、抽出された内容はオンラインユーザーの正直度を計測する「Linguistic Inquiry and Word Count(LIWC)」という分析にかけられました。この2つの研究はいずれも、「汚い言葉を使う人の方が正直である」という結果を残しており、研究チームは「特にFacebookでは、より多くの汚い言葉を使う人の方が、より正直な人であることを示していました」と話しています。

3つ目の研究では社会レベルの傾向を調べるため、アメリカの48の州で2012年にセンター・フォー・パブリック・インテグリティによって公的に行なわれた「Integrity Analyses(誠実性分析)」のデータが使われました。また、2万9701人のFacebookユーザーを集めて「汚い言葉がよく使われる州」と「汚い言葉をあまり使わない州」が調べられ、2つのデータを比較した結果、汚い言葉をよく使う州ほど、誠実性分析の点数も高いという相関が見られたとのこと。

研究チームは「3つの研究により、個人および社会レベルで汚い言葉の使用頻度に比例して正直度が高くなることがわかりました」と話しています。一方でこの件を取り上げたQuartzは「この研究は倫理的な部分は追求しておらず、口の悪い人が罪を犯さないというわけではない」と警告しています。なお、この研究結果は学術誌・Social Psychological and Personality Scienceで発表される予定です。

【私の論評】なぜトランプ氏は大統領選で敢えて「汚い言葉」を用いて成功したのか?

トランプ氏(左)とオバマ氏(右)
悪口やののしりなどの「汚い言葉」というと、最近では米国新大統領のトランプ氏と、前オバマ大統領を思い浮かべてしまいます。この二人対照的でした。

トランプ氏はいわゆる「汚い言葉」を語るということで、選挙戦当初は泡沫候補とされていましたが、最終的には大統領選挙に勝利しました。

一方オバマ氏はといえば、大統領選中も、大統領になってからも「汚い言葉」はほとんど使いませんでした。オバマ氏の占拠での合言葉は"Yes, we can."でした。

トランプ氏の大統領としての最後の演説の締めくくりは、"Yes We Can. Yes We Did. Yes We Can."でした。最後の演説は自画自賛で終わりました。外交においては、あれほど大失敗を繰り返し、アメリカの世界における存在感を毀損したにもかかわらず、全く反省がありませんでした。

上の心理学の研究の結果からすると、トランプ氏のほうがよりオバマ氏より正直ものであるということがいえそうです。

さて、トランプ氏の「汚い言葉」については、このブログでも以前とりあげたことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
テロリスト扱い?軍人はこんなにヒラリーが嫌い 大詰めの大統領選、軍人票がトランプを押し上げる―【私の論評】トランプの暴言は軍人・保守派に対する強烈なメッセージだった(゚д゚)!
米フロリダ州オーランドで開かれた選挙集会で演説する米大統領選民主党
候補のヒラリー・クリントン前国務長官(2016年9月21日撮影、資料写真)
この記事は、米国大統領選挙前の10月5日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくもとして、以下に一部分を引用します。

"
そうして、これがトランプ氏のあの暴言の謎を解く鍵になるかもしれません。アメリカの軍人は日本人の感覚からすると、かなり口が汚いです。特に新兵に対する訓練時の教育での教官は口が汚いです。

アメリカの軍人は口が汚い
たとえば、「フルメタルジャケット」という映画に出てくる、ハートマン先任軍曹の訓練兵に対する口のききかたは、以下のようなものです。

「口でクソたれる前と後に『サー』と言え! 分かったかウジ虫ども!」
Sir,Yes Sir!

「ふざけるな! 大だせ! タマ落としたか!」

Sir,Yes Sir
貴様らは厳しいを嫌う!だが憎めば、それだけ学ぶ!

は厳しいがだ!人種差別許さん黒豚ユダ、イタを、は見下さん!
すべて―
等に―     
―価値がない!
以下にフルメタルジャケットのハートマン先任軍曹の動画を掲載します


この軍曹の口のききかたからすれば、トランプの暴言など霞んでしまうほどです。私は、トランプ氏は、軍人や保守層に訴えるため、あのような暴言をはいたのだと思います。これは、軟なリベラル・左派には出来ない芸当です。あれこそ、軍人に受ける言葉遣いなのです。

トランプ氏は数々のいわゆる暴言で、アメリカの軍人や保守層に以下のようなメッセージを発信したのです。
「てめぇら、アメリカがリベラル・左翼に乗っ取られてもいいのか、俺は厳しいが公平だ!人種差別は許さん!黒豚、ユダ豚、イタ豚を、俺は見下さん!すべて―平等に―リベラル・左派に屈するようでは価値がない!」
無論、周到に計算した上で、場合によっては、ネガティブに受け取られないというリスクをおかしてまで、強力に訴えたのです。そうして、自分はリベラル・左派とは全く異なる保守派であることを強烈にアピールしたのです。
"

ハートマン軍曹は映画に出てくるキャラクターであり、現実のものではないので、本当は違うのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。以下に、アメリカの最近のブート・キャンプの初日の動画を掲載しておきます。


字幕が出ていないので、はっきりとはわかりませんが、これは実際の海兵隊の訓練ですが、当に指導教官の罵声がひっきりなしに飛び交い、ファッキン、ガッデームが頻繁に聞こえ、かなり汚い言葉の連続のようです。確かに、リアル・ハートマン軍曹です。

アメリカでは新兵訓練は叩き上げのベテラン下士官が担当します。たいていは実戦経験豊かな鬼軍曹が担当し、絶対に手を上げないかわりに、これでもかっ、というくらい屈辱的な罵詈雑言で罵倒が行われます。新兵はどんなに罵倒されても絶対服従です。

映画『愛と青春の旅立ち』では新兵がバスで基地に到着すると、L.ゴセットjr演ずる鬼軍曹の、次のようなシーンがありました。

鬼軍曹がある新兵に出身を尋ねた。

鬼軍曹 「貴様の出身はどこだ?」
新兵  「サー、オクラホマであります!」
鬼軍曹 「何、オクラホマだと?いいかよく聞け、オクラホマには牛とホモしかいない、
貴様は角がないからホモだなっwww」
新兵  「いいえ、違います、サッー」
鬼軍曹 「ホモでも牛でもなければ貴様は牛の糞だっ、いや糞以下だ、覚えとけwww」
新兵  「ノー、サー」

このシーンが含まれている動画を以下に掲載します。



実際にアメリカの軍隊の新兵訓練はこのようです。多民族移民国家で個人主義のアメリカの学校教育では、自分の考えを持ち、はっきりと意見を言い、議論することが大切だと教わります。

それにしても、なぜ米軍の新兵訓練でここまで凄まじい罵詈雑言を浴びせかけるかといえば、それはやはり、より緊密なコミュニケーション能力を身につけさせるためであると思われます。ここでいう、コミュニケーションとはいわゆる、どうでもいい「ノミニケーション」や、「ホウレンソウ」の次元のものではなく、真の意味でのコミュニケーションです。

多くの新兵は、頭では軍隊とはどういうものかという解ったつもりでいるのでしょうが、その実解ってはいません。

軍隊において兵士とはまずは、『戦闘マシーン』であり、まずは上位下達の縦社会で、規則と命令のみで動く機械にならなければならないのです。まず必要なことは命令を実行し、任務遂行の為のチームワークです。

兵士の任務はいろいろありますが、戦争は基本的に殺人が前提条件です。これはきれいごとでなく現実です。

兵士は軍隊の規則に従い、敵の殺害も含めてまずは命令されたことを場合によっては、命をかけても忠実に実行する『規格品』でなければならないのです。

このことを頭や理屈ではなく、体で覚えさせるため、このような罵詈雑言を浴びせかける訓練が行われているのです。

経営学の大家であるドラッカー氏は、コミュニケーションについて以下のように語っています。
「上司の言動、些細な言葉じり、癖や習慣までが、計算され意図されたものと受け取られる」(『エッセンシャル・マネジメント』) 
 階層ごとに、ものの見方があって当然である。さもなければ仕事は行なわれない。だが、階層ごとにものの見方があまりに違うため、同じことを話していても気づかないことや、逆に反対のことを話していながら、同じことを話していると錯覚することがあまりに多い。 
 コミュニケーションを成立させるのは受け手である。コミュニケーションの内容を発する者ではない。彼は発するだけである。聞く者がいなければコミュニケーションは成立しない。 
 ドラッカーは「大工と話すときは、大工の言葉を使え」とのソクラテスの言葉を引用する。コミュニケーションは受け手の言葉を使わなければ成立しない。受け手の経験に基づいた言葉を使わなければならない。 
 コミュニケーションを成立させるには受け手が何を見ているかを知らなければならない。その原因を知らなければならない。 
 人の心は期待していないものを知覚することに抵抗し、期待しているものを知覚できないことに抵抗する。 
「受け手が期待しているものを知ることなく、コミュニケーションを行うことはできない。期待を知って初めてその期待を利用できる。あるいはまた、受け手の期待を破壊し、予期せぬことが起こりつつあることを認めさせるためのショックの必要を知る」(『エッセンシャル・マネジメント』)
さて、海兵隊などに入った新兵は、海兵隊という軍隊についても、一般社会常識や、自分たちがそれまで属してきた人種、地域、職場、コミュニティーと同じような価値感や、尺度が通用すると無意識に考えているところがあります。新兵たちは、そうであることをまさに期待しているのです。

しかし、軍隊は場合によっては敵を殺害しなければならないこともあり、一般社会とは全く異なる理念や組織風土があります。新兵はまずは、これを理解しないと、自らも危険ですし、これに関わる人々を危険に陥れかねません。

新兵訓練にあたる教官は、これを新兵に 周知徹底させるために、新兵の期待を破壊し、新兵が予期せぬことが起こりつつあることを認めさせるためのショツクとして、このような罵詈雑言を用いているのです。

多民族国家ではない、単一民族で言葉も日本語だけで十分通じる日本の自衛隊などでは、新人に対してここまで罵詈雑言を浴びせかけなくても、コミュニケーションは成り立つので、十分自衛隊員を養成できるのでしょう。実際、日本の自衛隊は米軍との共同訓練を行っても、米軍が驚嘆するほどかなり良い成績を収めています。ただし、自衛隊でも罵詈雑言は浴びせかけないものの、何か間違ったことをしたり失敗したときには、その場で腕立て伏せをさせるというような罰則はあるようです。

以上のようなことを考えると「汚い言葉」を使う人にも、いろいろいて、本来の意味でのコミュニケーションを深めるために敢えて「汚い言葉」を使う人と、そうではなくてそれが習慣になっている人や病気の人もいるのだと思います。

病気と診断されるものして、汚言症があります。常に汚い言葉を発するのが特徴です。英語では、コプロラリア(Coprolalia)といいます。

社会に受け入れられないわいせつで卑猥な単語を言ってしまう人のことです。YouTube でCoprolaliaと検索すると患者さんの映像が映し出されます。特徴としては、性的なものを単語やフレーズにしてしまう場所や状況などお構いなしにです。

文章のつながりのないところで社会的に許されない場所で大声で言ってしまうため周囲から嫌われます。共通点は止めようと思っても止められない点です。

トゥレット症候群の重篤な多発性チックの症状である汚言症ですが、実際に、汚言症があらわれるのは、3分の1以下です。トゥレット症候群 と診断されたからといって汚言症というわけではありません。

また子どもがふざけて発することばや、わざと言っている場合コプロラリア(汚言症)とは呼びません。
丁寧な言葉では相手に本当の意味が伝わらないときがある
そうして、ブログ冒頭の記事で心理学者が発見した「口の悪い人ほど根が正直」というのは、無論「汚い言葉」を本来の意味でのコミュニケーションを深めるために敢えて意図して意識して使う人なのでしょう。そうして、敢えてこのようなことをしようとする人は、そうでない人と比較して正直者であるであろうことは、容易に納得がいきます。

無論、昨年物議を醸した「日本死ね」などという汚い言葉は、コミュニケーションを深めるためではなく、それこそ政治利用のために用いられたということですから、この言葉を用いた人は正直者ということはあてはまらないでしょう。

もしトランプ氏が、「汚い言葉」を単にリベラル・左派を攻撃するための政治利用のためだけに用いたとしたら今頃大統領にはなっていなかったでしょう。

周りの人とコミュニケーションなど取れなくても良いという人は、うわべではいつも慇懃に丁寧な言葉をつかいますが、その実腹の中では何を考えているのかわからないところがあります。

さて、トランプ氏は、大統領選のとき敢えて「汚い言葉」も有権者とコミュニケーションを深めるために用いたのだとと考えられます。

以前にも掲載したように、米国のマスコミの90%はリベラル・左派で占められていて、本当は米国にも全体の半分くらいは保守層が存在しているはずなのですが、それらの声はかき消され、リベラル・左派の考えが世の中の本筋であるかのように思う人が多いです。それは、今も基本的に変わっていません。

トランプ氏は、大統領選にあたって、まともなことをしていては、自分の味方になってくれる保守派の人々に自分の声や、自分の考えが届かずコミュニケーションを深めることもできないと考え、敢えて「汚い言葉」をつかったり、ポリティカル・コレクトネスなど無視したような話かたをしたのだと思います。

保守派の人々に対して、自分は今までの大統領候補者とは違うということを周知徹底するために、敢えて「汚い言葉」用いて、覚醒のためのショックを与えて、コミュニケーションを深めようとしたのです。

そうして、この試みは、トランプ氏が大統領選挙に勝利したということで、十分に報いられたのです。

もし、トランプ氏がオバマ氏のように"Yes, we can."のような生ぬるいメッセージを発したとしても、大統領選に勝つことはできなかったことでしょう。オバマの場合は、米国リベラル・左派が大挙してオバマを応援して、初の黒人大統領が誕生することを拒むような人は、人種差別主義者であるかのように思われてしまうような状況をつくりだしてしまったため、トランプ氏のようにコミュニケーションを深める必要性もなかったのでしょう。

もしトランプ氏が登場していなかったとしたら、アメリカのメディアは、大挙してクリントンを応援して、初の女性大統領が誕生することを拒むような人は、女性差別主義者であるかのよう思われてしまうかのような状況をつくりだし、クリントンが圧勝したことでしょう。

しかし、有権者とコミュニケーションを深めなくても、当選できたオバマ大統領は、当然のことながら、最初から良い仕事ができるわけもなく、実際オバマは及び腰外交で、在任中に米国の存在感を毀損してしまいました。

そうして、このことは私たちも肝に命じておかなければなりません。パワハラなどになることを恐れて、日々いつも丁寧な言葉を使い続け、本来コミュニケーションを深めなければならない人に対しても、苦言を呈したり、叱ったりするようなことができない人は、人の上に立つことはできません。

そのような人は、いつまでも一番最下位の職位に甘んじるべきです。企業なのどの組織の中で、今よりももっと大きな仕事をしようとか、進歩しようとか、向上しようとすれば、それを自分だけではなく、周りの人にも周知徹底しなければなりません。そんなときに、オバマのような生ぬるい言葉しか発することができなければ、何も成就できません。

組織の中でイノベーションをおこそうとか、周りの大事な人たちに少しでも良くなってもらいたいと思えば、場合によっては「汚い言葉」もつかう勇気も必要なのです。

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2017年1月13日金曜日

【痛快!テキサス親父】韓国はまさに「赤化危機」 完全な日韓合意違反、国際的信用は失墜した―【私の論評】韓国の赤化で、半島全体が支那の傀儡になる?

【痛快!テキサス親父】韓国はまさに「赤化危機」 完全な日韓合意違反、国際的信用は失墜した

釜山の日本総領事館前に設置された慰安婦像。除幕式前から公開された
 日本の安倍晋三政権が、理不尽極まる韓国に見事な対抗措置を取ったようだな。釜山の日本総領事館前に昨年末、慰安婦像が設置された問題について、駐韓日本大使らの一時帰国や、日韓通貨交換(スワップ)協定再開の協議中断などを発表した。当然だ。俺は全面的に支持するぜ。

 日韓両国は一昨年12月、慰安婦問題について「最終的かつ不可逆的解決」する日韓合意を交わした。日本は責任を認め、韓国が設立する元慰安婦の支援財団に10億円を拠出した。米国が仲裁したもので「両国は過去ではなく、未来を見つめよう」というものだ。欧州諸国も支持した。

 ところが、韓国では合意後も続々と慰安婦像が設置されているという。そして、ソウルの日本大使館前に続き、釜山の日本総領事館前にもウィーン条約違反である慰安婦像が設置され、韓国政府はこれを放置した。

 完全な日韓合意違反であり、世界中が「韓国と条約や合意を交わすということは、その程度のことだ」と理解した。韓国で外交交渉すべき相手は、選挙で選ばれた大統領や外交官ではなく、路上の群衆だってことだ。そんな異常な国が他にあるか? 韓国人は民主主義を侮蔑している。

 そもそも、韓国側が主張する「慰安婦=性奴隷」というのは大ウソだ。俺は2013年から慰安婦問題に関わり、第2次世界大戦中の米陸軍の資料などを徹底的に調べて、「架空の事実だ」と分かった。

 米陸軍が1944年、ビルマ(現ミャンマー)で朝鮮人慰安婦20人を尋問した調書がある。当時、日本は米国の敵国だったが、調書には《慰安婦は強制ではなく雇用されていた》《接客を断る権利を認められていた》《女性たちは大金を持って楽しんでいた》《洋服や化粧品など好きな物を買うことができた》《日本兵とスポーツやピクニックをしていた》と記されていたんだ。性奴隷がそんなことできるのか?

【私の論評】韓国の赤化で、半島全体が支那の傀儡になる?

上でテキサス親父が主張しているように、韓国は日韓合意違反をしたために、世界中の国々から軽蔑されることとなり、まさに韓国自らが韓国を貶める結果となりました。

これについては、以前もこのブログに掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
【釜山・慰安婦像設置】菅義偉官房長官会見詳報 韓国・釜山の慰安婦像設置に対抗措置 菅氏「日韓関係に好ましくない影響」「国と国として約束、履行してほしい」―【私の論評】先進国になれなかった韓国は、中所得国の罠にはまり発展途上国となる(゚д゚)!

詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では1965 年に締結された日韓基本条約と、一昨年の暮れに締結された日韓合意の根本的な違いについて述べました。

以下に、その違いを簡単に掲載しておきます。
日韓基本条約の大きな問題点は、賠償請求権協定が韓国側非公開であったことであり、それを日本側も容認していたことにありました。これは、二国間の条約であり、秘密協定に近いものなので、外交カードとしては、利用しにくかったのです。そもそも、日韓基本条約が韓国で公開されたのは条約締結から40年過ぎ2005年でした。しかし一昨年の日韓合意は国際社会に開かれたカードであり、以前とは 状況が全く違います。
一昨年末の電撃的な日韓慰安婦合意について、日本政府は「最終的かつ不可逆的な解決」と胸を張ったのにはこのような背景があったのです。 
しかもこの日韓合意に関しては、米国のオバマ大統領が深く関与していました。日韓基本条約は韓国にとって都合の良い穴があったわけですが、一昨年の日韓合意ではこの穴は塞がれたのです。

韓国政府は、この違いについて良く理解していると思います。しかし、国民の反発を恐れて、その違いを韓国民には良く説明していないようです。

そのため、韓国民はその違いがわからず、日韓基本合意の時と同じように何度でも蒸し返ししても、国際的に韓国の威信が低下するなどとは思ってもいないのです。しかし、現実には、日韓合意違反より、韓国の国際的信用は完璧に失墜してしまいました。

そうして、韓国の赤化危機が現実のものとなりました。赤化といえば、韓国に親北政権ができるということにとどまらず、韓国の弱体化に乗じて支那の動きが活溌化することでしょう。

金正恩は、支那の意思に逆らい、核・ミサイル開発を進めています。実戦配備されれば、北京や上海はその射程圏内となり、到底、中国として見過ごすわけにはいきません。

金正恩
しかし、中国が本気で制裁を加えれば、追い詰められた金氏が暴発して、南進しかねなくなります。そうなると、たちまち米韓軍に敗北し、朝鮮半島は韓国によって統一されてしまいます。

では、支那はどうするでしょうか。手っ取り早い方法として、北朝鮮のトップを金氏から、兄の金正男(キム・ジョンナム)氏か、中国の息のかかった人物にすげ替えることでしょう。北朝鮮を支那の傀儡にして、核・ミサイルや核施設を破棄させれば、北朝鮮の脅威はなくなるかもしれません。

しかし、支那の本音は、別のところにあります。朝鮮半島全体を赤化して日米への楯にしたいというのが本音です。北朝鮮を傀儡化した中国は、かつて北朝鮮の金日成主席が描いたシナリオ通りに、韓国を吸収させようとするでしょう。

赤化した韓国は、THAADの導入を拒否するか、導入した後に撤去することになるかもしれません。そうして支那は、それを促すため、北朝鮮と韓国に平和条約を結ぶよう勧告するでしょう。そうして、支那は韓国に平和条約を結すべばTHADDの導入は必要ないことを強調することでしょう。

THAAD導入で支那から制裁を受け、経済面に苦しい韓国は、THAADを導入を断念すれば、韓国制裁を解くといわれれば、赤化した韓国は拒否できないことでしょう。軍事境界線に配備した長距離砲の撤去など、非核化した北朝鮮が韓国の要求をのめば、平和条約が締結される可能性はかなり高くなると思います。

平和条約締結後の韓国には、在韓米軍が存在する意義がなくなくなります。韓国は、米軍の撤退を要求するかもしれません。それに呼応して、在韓米軍は大幅に削減され、いずれ撤退することになるかもしれません。


次のステップは「南北連邦国家形成」ということになるでしょう。支那の意を受けた北朝鮮の工作員が「今こそ悲願の統一だ」と民族感情を刺激し、すでに赤化している韓国の人々は「一国・二政府・二体制での統一」という建前に熱狂することでしょう。そうして「南北朝鮮民主連邦」が実現することになります。

そして、最終段階が「北朝鮮体制での完全統一」です。支那傀儡の北朝鮮は「一国二体制は非効率だ。一方の体制に統一しよう」と国民投票を韓国側に呼び掛けることでしょう。人口が2倍いる韓国は「北朝鮮をのみ込める」と踏んで、これに応じることでしょう。

しかし、北朝鮮は約2000万人の有権者全員が北の体制を支持します。一方、韓国側の約4000万人の有権者はそうはいきません。仮に、投票率80%とすると投票者は約3200万人。うち、600万人以上が北の体制を支持すれば、北朝鮮側の勝利となります。


大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国の人口の推移

「財閥を潰して社会格差を無くせるなら」「地獄の生活苦から抜け出せるなら」など、韓国には国全体をガラガラポンしたい衝動に駆られる住民が大勢存在します。

国民投票で選ばれるのは、恐らく北朝鮮側の体制でしょう。そうなれば、韓国は北朝鮮にのみ込まれて「支那の属国」と化し、人々からすべての人権が剥奪されることになります。その時韓国は、真実の「HELL(地獄)のKOREA(韓国)」となるのです。

上のシナリオは、悪夢のようですが、オバマ大統領の任期がもう少し長ければ実現したかもしれません。トランプ大統領の登場で上記のようなシナリオは成り立ちにくい状況となるでしょう。

トランプ新大統領は、  韓国がTHAADの導入を断念したり、導入後廃棄などということは絶対にさせないでしょう。そうなれば、支那は対韓国制裁をやめることはないでしょう。

しかし、日韓合意を簡単に翻すことができると思い込む韓国人が多数存在し、政府がそれを制御出来ない現状をみると、韓国に親北政権ができあがり、赤化した場合、似たようなシナリオで、朝鮮半島全体が赤化される可能性を否定することはできません。


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