2017年4月19日水曜日

米紙が韓国左派一喝「外交政策を人質に慰安婦問題を悪用」 半島有事でも国民感情誘導する報道に批判の目―【私の論評】北の脅威が去ったときには、つき合い方を改めるべき(゚д゚)!


ソウルの金浦空港に到着し、取材に応じる長嶺安政駐韓大使
 韓国・釜山(プサン)の慰安婦像設置への対抗措置として、日本政府が一時帰国させていた長嶺安政(ながみね・やすまさ)駐韓大使(62)らを4日に帰任させたことについて、一部の韓国紙は「遅くなったが幸いなこと」(東亜日報)と胸をなでおろす。だが、大統領選の有力候補は、一貫して一昨年の「日韓合意」に反対姿勢だ。海外メディアからは「左派集団は外交政策を人質にしようと、慰安婦問題を悪用している」といさめる論説も出ている。

 釜山の日本総領事館前に慰安婦像が設置されたのは今年1月。韓国紙でも海外メディアでも、大使帰任を前向きに評価する論調に共通するのは、核・ミサイル開発に突き進む北朝鮮への対抗のためには日韓の協調が不可欠だとの認識だ。

 米紙ウォールストリート・ジャーナルの社説(4日電子版)は「北朝鮮への対抗はあまりに重要であり、第二次大戦の問題が支障となることは許されない」と述べる。

 社説は、基金を設けて元慰安婦を支援する内容が盛り込まれた2015年12月の日韓合意をめぐり、「老齢の被害者を支援する日韓合意を台無しにするようなことは理解できない」とする。その上で、「外交政策を人質」にとり、日韓間の政策協調を阻むことになっている左派勢力に、批判的な認識をにじませた。

 長嶺大使の帰任が、日韓の「安全保障上の関係強化を助ける」とみる同紙は、「東京が責任ある行動を続け、和解を提供しているのだから、報いるのがソウルの責任だ」と指摘する。

 一方の韓国では、慰安婦や教科書問題などに注文をつけつつも、「遅くなったが幸いなことだ」(東亜日報社説)と評価する向きもある。

ソウルの日本大使館前に設置された慰安婦像
 だが、朝鮮日報は社説で「日本政府は極端な対処で韓国政府を圧迫した」として、駐韓大使を帰国させた対処がそもそも行き過ぎだったと批判する。その上で「安倍晋三首相の支持率を上げるため韓国たたきが続いた」として、日本側の意図を曲解した論法を展開している。

 同紙は半面、韓国世論にも注文を述べる。5月の大統領選では、すべての主要候補が日韓合意の破棄や再交渉を主張し続けている。この点、「一度結んだ国家間の合意が政権が代わったといって覆されるなら大問題だ」として、扇情的な世論に警戒感を示している。

 中央日報(6日=日本語電子版)も、反日世論がまかり通る「感情外交」にくぎを刺しつつ、慰安婦問題をめぐる感情の衝突が、韓国外交の「戦略的空間を縮小すると懸念される」との専門家の見方を紹介。慰安婦問題が外交の選択肢を狭めているとしている。

 1月に長嶺大使が一時帰国したことは、主要な欧米メディアでも報道され、慰安婦問題に改めて世界の目が向けられた側面がある。

 長嶺大使の帰任決定を報じたロイター通信の記事(日本時間4日配信)は、慰安婦問題を概略した部分で、韓国人活動家が概算した「韓国人犠牲者が20万人に及んだ可能性がある」との見解を紹介しており、韓国側に立脚したバランスを欠く事実認識が、依然として一人歩きしている様子がうかがえる。

 韓国から海外に向けて発信されて続けてきた、こうした「被害者」としてのイメージは、国民感情に深く根ざしたものだ。朝鮮日報の社説は、この点に関連して、「釜山少女像の設置は韓国の民間団体が行ったもので、韓国政府が乗り出して解決するのは基本的に難しい問題だった」との見解を提示している。慰安婦問題の糾弾を求める大衆感情には、政府が立ち入ることができないという「責任放棄」を黙認する韓国政府内の空気を映し出している。

 外交問題を扱う韓国最大のシンクタンク「峨山政策研究院」のベン・フォーニー研究員は、米国の外交専門誌ディプロマットへの寄稿(2月25日)で、「外部の立場からすれば、日本を依然として宗主国として位置づける見方をする韓国人に当惑する」と述べる。

 また、「韓国メディアは被害者としての語り口を助長しており、日本という抑圧者の記憶の傷がうずく国として自国を描ている」として、国民感情を誘導する報道機関にも批判的な目を向けている。

 「東条英機の肖像は東京の下町のどこに行っても見られないが、北京に行けば(朝鮮戦争で)韓国への侵攻を命令した人物、すなわち毛沢東が、いまだに畏敬の対象として、人民元札や天安門広場でみられる」

 フォーニー氏はそうも述べ、歴史問題を中心とした対日感情が、適切な韓国外交を阻害する大きな要因のひとつだと指摘している。(外信部 塩原永久)

【私の論評】北の脅威が去ったときには、つき合い方を改めるべき(゚д゚)!

まずは、ブログ冒頭の記事で、米紙ウォールストリート・ジャーナルの社説(4日電子版)の記事の内容そのものを以下に掲載します。
【WSJ社説】日本が韓国に差し伸べた手 
駐韓大使帰任、北朝鮮に対抗するためには歴史問題にとらわれている余裕はない 
2017 年 4 月 4 日 14:32 JST   THE WALL STREET JOURNAL 
 日本政府は一時帰国させていた長嶺安政駐韓大使を帰任させる方針を明らかにした。これは日韓双方の安全保障に有益な責任ある決断だ。こうしたリーダーシップの発揮は韓国側にも内省を促すことになるはずだ。 
 日本政府は今年初め、韓国政府がいわゆる慰安婦問題を解決する2015年の日韓合意の条件を履行しなかったことを受け、長嶺氏を韓国から一時帰国させた。慰安婦とは、第2次大戦中に大日本帝国陸軍に売春を強要された韓国人の女性たちを指す。この合意には、生存している元慰安婦への日本からの補償金の支払いも含まれていた。 
 この画期的な合意には、抗議の印として在韓日本大使館前に設置された慰安婦像を韓国政府が撤去することも定められた。しかしそれは実現せず、活動家は釜山(プサン)の日本総領事館前にも同じ像を建てた。 
 日本政府が大戦中に犯した残虐行為を全面的に認めるのを拒否していることに、多くの韓国人が依然、不満を持っていることは理解に難くない。しかし、年老いた被害者たちに支援を差し伸べる合意を台無しにするのは理にかなわない。韓国では左派団体が慰安婦問題を利用して国の外交政策を人質に取っているようなものだ。 
 日韓両国は北朝鮮の脅威に対抗するため緊急に協力関係を改善する必要に迫られている。両国は昨年、軍事機密を共有できるようにする軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を締結した。今週は、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)への対抗を想定した、米日韓3カ国による合同軍事演習が行われている。長嶺氏の帰任は安全保障関係の円滑な発展を後押しするだろう。 
 小田原潔外務政務官は1月のウォール・ストリート・ジャーナルへの寄稿で「われわれが築き上げた友好への期待と信頼を根底から崩す活動家の振る舞いは容認し難いものがある」と述べた。日本政府が責任ある行動を取り、和解を提示し続けている以上、韓国にはそれに報いる責任がある。
そもそも、慰安婦問題に関しては、その大部分が1990年代に入ってからの韓国による歴史の捏造とそれに呼応した朝日新聞などの捏造によるものであることが明らかになっています。特に、日本軍が慰安婦の強制徴用をしたなどという話は全くの捏造であることが明らかになっています。

しかし、日本としては韓国といつまでもいがみあっていても何のメリットもないということで、捏造を全面的に否定することなく、 日韓合意に至りました。

その経緯などについては、このブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【釜山・慰安婦像設置】菅義偉官房長官会見詳報 韓国・釜山の慰安婦像設置に対抗措置 菅氏「日韓関係に好ましくない影響」「国と国として約束、履行してほしい」―【私の論評】先進国になれなかった韓国は、中所得国の罠にはまり発展途上国となる(゚д゚)!
 

この記事は、今年の1月7日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では1965 年に締結された日韓基本条約と、一昨年の暮れに締結された日韓合意の根本的な違いについて述べました。

以下に、その違いを簡単に掲載しておきます。
日韓基本条約の大きな問題点は、賠償請求権協定が韓国側非公開であったことであり、それを日本側も容認していたことにありました。これは、二国間の条約であり、秘密協定に近いものなので、外交カードとしては、利用しにくかったのです。そもそも、日韓基本条約が韓国で公開されたのは条約締結から40年過ぎ2005年でした。しかし一昨年の日韓合意は国際社会に開かれたカードであり、以前とは 状況が全く違います。 
一昨年末の電撃的な日韓慰安婦合意について、日本政府は「最終的かつ不可逆的な解決」と胸を張ったのにはこのような背景があったのです。
しかもこの日韓合意に関しては、米国のオバマ大統領が深く関与していました。日韓基本条約は韓国にとって都合の良い穴があったわけですが、一昨年の日韓合意ではこの穴は塞がれたのです。日韓合意そのものでは、ここでは詳細は説明しません。他の資料にあたって頂きたいものと思います

韓国政府は、この違いについて良く理解していると思います。しかし、国民の反発を恐れて、その違いを韓国民には良く説明していないようです。

そのため、韓国民はその違いがわからず、日韓基本合意の時と同じように何度でも蒸し返ししても、国際的に韓国の威信が低下するなどとは思ってもいないのです。しかし、現実には、日韓合意違反より、韓国の国際的信用は完璧に失墜してしまいました。

だからこそ、リベラル・左派系新聞(ブログ管理人注:アメリカの新聞は全部そう)であるWSJは、韓国の捏造する慰安婦問題は多かれ少なかれあったという立場で、それでも、当時のオバマ大統領が仲介してできた日韓合意について、韓国が履行しないことに対して批判しているわけです。

これだけ、日本が譲歩して、米国の仲介もあり合意に至つた、日韓合意を守らない韓国に関しては、さすがに日本を貶める立場である、リベラル・左派系新聞のWSJも、これを放置しておけば、米国の国益が損なわれるおそれもあるとしてこれを批判したものです。

そもそも、韓国は日本から独立したものでもありません。確かに日本は韓国を統治していたのですが、大東亜戦争に敗北した後、韓国は米国に再統治され、そこから独立に至っています。

韓国から引きあげていた長嶺安政駐韓大使を韓国に帰任させたことについても、このブログで解説したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
長嶺安政駐韓国大使らが4日に韓国帰任へ 岸田文雄外相が表明―【私の論評】大使の帰任は、朝鮮半島有事の際在韓邦人4万人の命を守るため(゚д゚)!
長嶺安政駐韓大使
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事から一部を引用します。

さて韓国駐在大使が、韓国からひきあげていたのは皆さんご存知だと思います。慰安婦問題などで不誠実な態度をみせる韓国に大使が戻るということに、異を唱える人も多いことでしょう。 
しかし、私自身は今回の大使らの帰任は止む終えない事情によるものだと思います。それに関する説明の前に、大使や領事が一時帰国した場合、韓国は具体的にどの様な不都合が生じるのか、韓国がどのような事で困るのかということについて最初に掲載しておきます。 
まずは、韓国にとっては大使は日本国代表、すなわち首相代理です。韓国と日本の間の事案で、大使が承諾すればそれは日本が承諾したのと同じ意味を持ちます。日本首相は1人なので韓国一国の事のために避ける時間は少ないです。しかし、その代理として大使が韓国の事だけを見てお相手をします、という事です。 
駐韓大使がいなくなると韓国にはどのような不都合があるのか? 
大使がいなくなると韓国は日本政府、首相に対して直接話をするしかありません。当然、順番待ちになりますし、東京でしか話せなくなります。 
大使館自体がなくなるわけではないので日常業務的には支障がないかもしれませんが、大使の承認がいるような話が韓国内では出来なくなるので重要案件が滞るようになってしまうことになります。 
大使の召喚は、このようなことは『普通はあり得ない』という前提で『そんな事もある』というレベルの出来事です。 
国同士が揉めた時に各国政府が直接的に取れる手段としては、まずは相手国に対して抗議、その後に大使召還、国交断絶、最終的には戦争のような流れになります。 
抗議についてはそれこそ、毎日のようにありますが抗議し合いながらも妥協点を探り協力し合うのが日常の外交です。大使召還は「抗議はこれ以上しない、お前が折れるかさもなくば国交断絶、もしくは戦争への道を歩むかだ」というような意思表示とも読み取れます。 
そのため大使召還は簡単に使うべき手段ではありません。とはいいながら、大使召還の与えるインパクトが大きいので奥の手として使われることがありますが、普通は旧東側諸国と旧西側諸国の間で使われるような手段です。 
さて、この措置はかなり大きなものであり、現状では日本から韓国に対する意思表示としては、最大級のものであると考えられます。親密な国同士では考えられない厳しい措置です。
さて、世界に向けて発信された日韓合意を履行することもできない韓国です。もし、北朝鮮有事ということにでもなれば、当然北朝鮮の報復が考えられます。そうなったとき、在韓邦人約40万人はどうなることでしょうか。 非常に心許ない状況に置かれるわけです。それに備えて、日本政府としては長嶺大使を韓国に戻したのです。

その他にも、北朝鮮の報復があった場合、韓国から日本に向けての多数の難民が日本に押し寄せるという自体も考えれます。そうなったときに、大使が不在ということでは、混乱を極めることは必定です。これも、いざというとき混乱を招かないようにするということもあります。

さらに、北朝鮮の報復があった場合の、日韓の協力といことでも、やはり大使が不在ということでは、意思決定が滞ってしまいます。そうなれば、北朝鮮につけいる隙きを与えることにもなりかねません。だからこそ、長嶺大使を韓国に戻したのです。

これは、まさにWSJが指摘するように、日本が韓国に手を差し伸べたということなのです。

さて、トランプ大統領になってからの米国は、北朝鮮が核開発を継続し、現状だとたとえミサイルを複数発射したにしても、ワシントン、ニューヨークや東京など全部を焼け野が原にすることはできない状況なのですが、いずれ水爆などを開発してこれを可能にしたり、米国全土を北朝鮮の核ミサイルの射程距離内に収めるようなことは絶対に許容しません。

そうして、南シナ海を中国の戦略原潜の聖域にすることも絶対に許容しません。にもかかわらず、北朝鮮や中国がこれらの行為を続けるようなら、いずれ必ず軍事衝突します。

この問題がある限り、アジアから緊張や戦争の脅威はなくなることはありません。たとえ、今回北朝鮮がいっとき鳴りを潜めて、今回の緊張が溶けたとしても、その後も北朝鮮がはっきり核開発を放棄するようなことをしなければ、いつまでもこの緊張や脅威はなくならないのです。

韓国左派が、外交政策を人質に慰安婦問題を悪用し、半島有事でも国民感情誘導する報道を続け、韓国政府も、煮え切らない態度を取り続ければ、これは信頼に足るパートナーとはなり得ません。

無論信頼に足るパートナーといった場合、仲良しこよしということはありえません、両国とも相手国に対して、利益が相反することはいくらでもあるわけで、これに関して真摯に厳しく批判をしあいながも妥協点を見出していくというのが、信頼に足るパートナーということです。

しかし、韓国がいつまでも態度を変えることなく、日韓合意を完璧に反故にするようなことがあれば、日本としても、韓国に対する態度を改めなければならないことでしょう。

一旦今回の脅威が収まった頃には、韓国とは冠婚葬祭程度のつき合いをするだけにとどめ、あとは一切かかわらないという措置をとるべきかもしれません。その時には、韓国大使は引きあげるだけではなく、永久に設置しないという方針が良いかもしれません。

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2017年4月18日火曜日

日銀審議委員候補に「リフレ派」片岡氏-三菱UFJ銀の鈴木氏も―【私の論評】片岡氏登場で日本がデフレに舞い戻る確率はかなり減ったが(゚д゚)!

日銀審議委員候補に「リフレ派」片岡氏-三菱UFJ銀の鈴木氏も

片岡剛司氏 写真はブログ管理人が挿入 以下同じ
  政府は18日、日本銀行の審議委員に三菱UFJリサーチ&コンサルティング経済政策部上席主任研究員の片岡剛士氏、三菱東京UFJ銀行取締役常勤監査等委員の鈴木人司氏を充てる人事案を国会に提示した。

  任期は5年間。参院が記者団に資料を配布した。

  ブルームバーグが入手した政府の国会提出資料によると、片岡氏は44歳。経済政策の調査に約20年間携わっており、理論やデータに基づく「分析手法は高い評価を得ている」という。「アベノミクスのゆくえ-現在・過去・未来の視点から考える」(光文社新書)などの著書がある。慶応大学大学院商学研究科修士課程修了。

  昨年4月、自民党の有志議員の勉強会「アベノミクスを成功させる会」(会長・山本幸三地方創生担当相)に講師として出席し、消費増税の凍結を提唱した。代替の社会保障財源として相続税や資産課税の強化を挙げていた。

  昨年11月4日付の片岡氏のリポートでは、「2%のインフレ目標に向けたモメンタムが維持されているとは全く思えない」とした上で、「早期の追加緩和という具体的なアクションを行うことが定石であり、かつ必要である」との見解を示していた。

  鈴木氏は63歳。1977年に慶応大学経済学部を卒業後、当時の三菱銀行に入行した。東京三菱インターナショナル・ロンドン副社長を経て、三菱東京UFJ銀行の市場企画部長や副頭取などを歴任し、2016年6月から現職。金融市場の実務に精通していることや国内外の幅広い人脈が評価された。
量にこだわり

  片岡氏は木内登英氏、鈴木氏は佐藤健裕氏の後任で、木内、佐藤両氏の任期は7月23日まで。日銀審議委員人事は国会の同意が必要だが、自民、公明の与党が過半数を占めるため、6月18日までの今国会中に衆参両院で承認される見通し。承認が得られれば、片岡氏と鈴木氏は9月20、21両日の金融政策決定会合から参加する。

  岡三証券の愛宕伸康チーフエコノミストは、片岡氏について、金融緩和に積極的な「リフレ派の中心的な人物」と評価。ただ金融政策の実務では「あまり極端な主張に走らず、事務方と調整してバランスの取れた投票行動を取るのではないか」とみる。鈴木氏についても、銀行の経営に携わっていることから、金融緩和の「出口戦略の議論において貢献できるのではないか」と述べた。

  SMBCフレンド証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは片岡氏について「リフレ派であることは間違いない」とした上で、岩田規久男副総裁、原田泰審議委員の路線に近く、金融緩和の「量にこだわりのある人が選ばれた」と指摘する。鈴木氏については「出口政策に向けて必要な、知見のある方が選ばれてよかった」と評価。2人の加入で「金融政策の方向性が変わることはないだろう」と分析している。

【私の論評】片岡氏登場で日本がデフレに舞い戻る確率はかなり減ったが(゚д゚)!

片岡剛司氏については、ぶれないリフレ派としてかねてから有名でした。私自身はそのことを前から知っていて、ツイッターで以前から片岡氏をフォローしていました。それに、書籍も2冊くらいは購入したことがあります。

片岡氏は、少し前からツイッターをやめていたようです。以前もあまりにくだらないコメントがあったりしたのか、一度やめたことがあり、今度もそのためかなとも思っていたのですが、今回は日銀の審議員になるということもあってやめたのかもしれません。

ツイッターではかなり今回の件で、片岡氏のことがツイートされているようですが、あまり知らない人もいるものと思いますので以下に略歴など掲載します。
愛知県常滑市出身。1991年3月、愛知県立半田高等学校、1996年3月 慶應義塾大学商学部卒業後、同年4月、三和総合研究所に入社(現:三菱UFJリサーチ&コンサルティング)。2001年3月、慶應義塾大学大学院商学研究科修士課程修了(計量経済学専攻)。 
2010年6月から2ヶ月の間、東北大学大学院法学研究科客員教授を担当。2012年4月、早稲田大学政治経済学術院非常勤講師。 
また、公職として、2015年10月から参議院第二特別調査室客員調査員と会計検査院特別調査職を担当し、客員調査員は2016年6月迄担当。

2012年時点で、円高が問題であると主張していました。 
消費税の8%への増税に批判的であり、2014年4月1日には、財務省の広報戦略の中で「ご説明」の際に渡される資料の数々の写真を公開しつつ、批評を行っていました。
民間シンクタンクという実践的な場でリサーチャーとして活躍する一方で、日本のデフレーション脱却を果たすために、インフレターゲットの設定を主張していました。
片岡氏のような民間のエコノミストなどに関しては、私はほとんど信用していないのですが、片岡氏は例外です。 例外どころか、他のエコノミストなどとは異なり、まともな経済感覚と過去の研究をもとに、まさにその時々で日本経済に対する適切で妥当な提言を行ってきました。

だからこそ、私は片岡氏のことを信頼しているのです。他のエコノミストに関しては、ほとんど信用していません。なにせ、彼らは、為替でも何でも、目の前の数ヶ月間のことをもとにしか、予測などできないようですし、実際そうなのだと思います。

そうして、なぜか経済に関する一般常識はもとより、日本や世界の経済史的なことも知らずに、日々頓珍漢な発言や、素っ頓狂な予言を出してほとんど当たった試しもありません。しかし、片岡氏は、過去には妥当な発言をし、予測はほとんど当たっています。

そうして、何よりもも片岡剛司氏は、あの悪手中の悪手であるデフレから回復しきっていない時期の8%増税に対して反対の意見を主張していたことです。これについては、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。

【お金は知っている】消費増税の災厄もたらす御用学者と無責任議員 自身の「誤り」にダンマリ ―【私の論評】増税推進派の似非論評に騙されない方法(゚д゚)!
衆院第1委員室に到着し、質問者の民主・野田佳彦前首相(左)とあいさつ
しながら着席する安倍晋三首相=国会内で2016年2月19日午後0時58分
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事から以下に、2013年当時政府の指揮者会議で2014年4月からの8%増税に関して、賛成・反対の意見をまとめたリストを掲載します。


さて、このリストの一番右の「☓反対」の欄の上から二番目に片岡剛司氏の名前が掲載されています。この有識者会議には、民間のエコノミスト・アナリストも参加していますが、その中で増税に反対したのは片岡剛司氏ただ一人です。

民間エコノミスト・アナリストの中で私が信用するのは、片岡剛司氏と村上尚樹氏くらいなものです。他にも、信用できる人はいるのかもしれませんが、本当の実数は少ないです。

それについては、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
NHK日曜討論「徹底分析 日本経済のゆくえは」―【私の論評】いつも予想を外す酷すぎる分析をするエコノミストの提言は、完全無視せよ(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、NHK日曜討論で昨年の2月のNHK日曜討論という低劣な番組で、大学教授と民間のエコノミストらがとんでもない経済の分析と提言を行っていたことを中心に掲載しました。

以下に、一部分を掲載します。
本日のNHK日曜討論の内容は、本当に酷いものでした。特にひどかったのは、昨年の10-12月期のGDPのマイナス成長に関して、討論参加者の誰からも、8%増税の悪影響をあげた人はいなかったということです。 
もうこの時点で、この討論は奇妙奇天烈、摩訶不思議で、まともに聴いている価値はないと判断しましたが、それでも我慢して聴いていると、マイナス金利についてもなにやら筋違いの話ばかりしていました。 
この討論を聴いていると、本当に脱力感を感じてしまいました。この人たちは全員見当違い、筋違いの話をしているとしか思えませんでした。 
ここで討論している人たちは、経済分析や予想を大外ししている人たちばかりです。それに、8%増税の日本経済に与える影響は軽微と予測していました。こんな人たちが、偉そうに日本の実体経済を語る資格はないです。ツイッターのつぶやきをみていると、こう思うのは私だけではないことが良くわかります。以下にいくつかあげておきます。
私自身は、このような経験がこの番組だけではなく、過去にも何度も重なったため、民間のエコノミスト・アナリストという人たちは、結局自社の商品を売るために、出鱈目の話をして売り込みをする人たちなのではないかと思っています。

しかし、このブログには片岡剛士氏の記事そのものを元記事として掲載したこともあります、その記事のリンクを以下に掲載します。
GDPマイナス成長は暖冬のせいではない―【私の論評】増税派はどこまでも、8%増税が大失敗だったことを認めたくない(゚д゚)!

この記事は、昨年2月の季節外れの気温の高さがGDPが伸びない原因であるなどと、8%増税賛成派が、屁理屈を主張したことに対して片岡氏が反論したものです。

以下に一部を引用します。
 今回公表されたGDP統計では、家計消費の推移が自動車や家電製品といった耐久財、衣料品などの半耐久財、食品などの非耐久財、輸送・通信・介護・教育などを含むサービスといった4つの品目群(GDP統計では形態と言う)別にまとめられている。2015年7-9月期と比較しても、1年前の2014年10-12月期と比較しても、家計消費の落ち込みに最も大きく影響しているのは耐久財消費の落ち込みである。石原大臣の述べるとおり、家計消費の落ち込みの主因が冬物衣料品などが大きく落ち込んだことにあるのならば、その影響は半耐久財消費の大幅減という形で現れるはずだが、統計データを参照する限り、そうはなっていない。 
 思い起こせば、天候不順が消費低迷の主因であるという指摘は、2014年4月の消費税増税以降繰り返されてきた。確かに天候不順が消費を落ち込ませる可能性はゼロではない。しかし消費意欲が旺盛であれば、多少の天候不順でも、消費の落ち込みがこれほど長くかつ深刻な形で続くことはないだろう。GDP速報値の結果からは、2015年10-12月期の民間最終消費支出の値は304.5兆円だが、これは、消費税増税直後に大幅な落ち込みとなった2014年4-6月期の305.8兆円をも下回っているのである。これほどの大きな変動が天候不順で生じると考えられるのだろうか? 
 やや長い目で民間最終消費支出の推移をみれば、2002年から2012年までの10年間の民間最終消費支出は前期比0.2%程度のペースで緩やかに増加していたことがわかる。2013年に入るとこのペースがやや拡大したが、2014年4-6月期以降になると、民間最終消費は落ち込みが続き、2015年10-12月期の民間最終消費支出は、統計的に見て、前期比0.2%増のトレンドから有意に下ぶれしたと結論できる。つまり、統計的に「消費の底割れ」が生じたというのが今回の結果だということだ。
いたって、まともな分析です。私も、当然のことながら、当時GDPがマイナスだったのは、天候のせいであるとはとても思えませんでした。

それにしても、8%増税をしても日本経済に与える影響は軽微であるとか、実際に8%増税して、GDPがマイナスになると、今度は天候のせいにするような人たちを雇っている企業は、このことを何とも思わないのかと疑問に感じてしまいます。

その中にあって、片岡剛司氏や村上尚樹氏などは例外で、まともな経済感覚を持ち、まともな提言を行っています。

片岡剛士に関して8%増税に反対したことをあげましたが、当然のことながら、日銀の金融緩和政策に関してもまともな判断力を持っておられます。それについてもこのブログでとりあげたことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
アベノミクスの破綻を煽る「金融岩石理論」は簡単に論破できる―【私の論評】常識を働かせば金融岩石論にははまらない(゚д゚)!
晴れ着姿の女性が見守る中でスタートした東京株式市場
この記事は、今年の1月17日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、いわゆる「金融岩石理論」が、理論的にも実証的にも成立しがたいことを、丁寧に解説した『アベノミクスは進化する』(中央経済社)を原田泰・片岡剛士・吉松崇編著で出版したことを掲載しました。

ちなみに、「金融岩石理論」とは坂に岩石があり、びくともしません。しかしこれをいったん動かすと、猛烈な勢いで坂を転がりだしてしまう。これと同じで、日銀がマネーをどんどん増やしても物価はまったくあがらない。しかしいったん上がりだすと、どんどん物価は上昇してハイパーインフレ(猛烈なインフレ)になってしまう、という理論です。

片岡剛士氏は、この書籍の中でも、明確に金融岩石理論が成り立たないことを示しています。

このまともな経済感覚を持ち、まともな分析をする数少ない民間のエコノミストの一人である、片岡剛士氏が今回日銀の審議員になったことはまことに喜ばしいことです。

片岡氏が日銀新議員になったことで、また日銀の誤った金融政策で、日本がデフレに舞い戻る確率はかなり減ったと思います。
これからも、片岡氏のような民間エコノミストが大勢出てきて、まともな予測や提言を行い、日銀の審議員や、政府の中でも大勢活躍するようになってほしいです。そうなれば、デフレの最中に増税したり、金融引締めをしたりするようなバカマネをするようなことはなくなると思います。

しかし、これはまだ政府が人事案を国会に提出したという段階です。これに対して、野党はどう反応するのでしょうか。よもや、また反対というということになってしまったら、本格的に堪忍袋の尾が切れると思います。そうなれば、私だけではなく他の多くの人々もそうなるでしょうから、次の選挙では大惨敗して、雲散霧消するでしょう。

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2017年4月17日月曜日

台湾・八田像損壊犯は元台北市議だった FBで公表し出頭―【私の論評】台湾が100%親日とは言えないことを示した残念な事件(゚д゚)!

台湾・八田像損壊犯は元台北市議だった FBで公表し出頭

頭部が切り取られた八田與一像
   台湾南部・台南市で日本統治時代の技師、八田與一像の頭部が切り取られた事件で、台湾と中国の統一を主張する元台北市議の男が17日、交流サイト上で犯行を自供、警察に出頭した。

男はフェイスブックで「自分がやった」と公表した上で、台北市内の警察署に出頭。当局は共犯とみられる女とともに身柄を台南に移して事情を聴いた。

男は1958年生まれで、現在は台湾の急進統一派の団体「中華統一促進党」に所属。94年に統一派の政党「新党」から台北市議に当選し、1期務めた。任期中、市幹部を殴り起訴された。また、2016年には急進的な台湾独立派の団体の敷地に放火し逮捕、起訴されている。

男は自身を日本統治時代の義賊になぞらえる発言も投稿。像の頭部を指すとみられる「八田さん」を、中華統一促進党の「党本部に届ける」などとする記載もあった。

頭部が切り取られる前の八田與一像

【私の論評】台湾が100%親日とは言えないことを示した残念な事件(゚д゚)!

八田與一氏
八田與一氏は台湾では有名ですが、日本ではなぜかあまり知られていないので、以下に八田氏について簡単に触れておきます。

八田與一氏は、昭和初期に活躍した当時の台湾総督府の水利土木技術者です。1910年、東京帝国大学工学部土木科を卒業後、台湾総督府の技手として赴任しました。台湾南部に位置する嘉南平野は、当時、広大な面積を有していたものの、灌漑設備が未整備であったことから、雨季の大雨により、この地域が水浸しになり作物が育たないという治水問題を抱えていました。

その問題解決のため、当時東アジア最大級のダム建設計画を立案し、現場指揮にあたったのが八田與一氏なのです。約10年の長い年月をかけ完成した烏山頭ダムにより、豪雨による水害のなくなった嘉南平野は台湾で一番の農作地帯へ変貌しました。

また、この烏山頭ダムは素晴らしい技術構想の元で建設されています。当時高価であったコンクリートをほとんど用いず、砂利と粘土を巧みに組み合わせた手法を用いることで、ダム内に土砂が溜まりにくい構造になっており、建設後80年を越えた現在でもその機能を十分に果たしています。

総工費は当時の日本円で5,400万円(現在の日本円で5兆円と推測)でた。1日1,000人を超える作業者が従事しました。いかに大規模な建設計画であったかが伺えます。


「台湾の人々に安全な生活と豊かな農地を提供したい。」という願望と、一大計画を完遂した本人の強い信念、卓越したリーダーシップ、魅力的な人柄は今も現地の人々のみならず台湾中の人々から敬われています。

東日本大震災の際、台湾から200億円余りの巨額の寄付金が寄せられました。実は、この理由は八田與一氏を始めとする多くの日本人が当時の台湾の発展に大きく寄与したことが関係しているようです。現地の人々から、「八田與一が成しえたことは、決してお金に変えられるものではないが、東日本大震災に際し少しでも貢献できれば」という声が多数あったことは事実です。

後日談ではあるが、八田與一氏の功績を称え作られた銅像は、戦時中には日本政府の金属の供出や、戦後大陸からきた国民党政府から像を守るため、住民により20年近く別の場所に保管され、1981年に住民によって銅像が戻されました。

八田與一氏がいかに台湾の人々にとって偉大な人物であったかが読み取れるエピソードです。銅像は現在もかつての工事現場を今も見守るような姿で烏山頭ダムを見下ろす丘の上にあります。八田與一氏の命日である5月8日には、昨年も住民のみならず台湾政府の要人を始め多くの人々が集い、八田與一氏の偉業を偲ぶ催しが営まれました。

さて、今回この八田與一氏の象の頭の部分が切り取られるというとんでもない事件が起こってしまったということです。しかも、その犯人が元台北市議だったということも、衝撃的でした。

多くの日本人は、テレビなどを通じて、台湾には新日的な人が多いというこを知っているようですが、単純にそうとばかりは言えないところもあります。八田與一象は、住民によって他の場所に移され、1981年になってから元の場所に戻されたということは、それを如実に物語っています。これれに関しては、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
「尖閣は台湾のもの?」“二重国籍”蓮舫新代表が知っておくべき日本と台湾の対立点―【私の論評】南京・尖閣問題で台湾は決して親日ではない(゚д゚)!
民進党代表決定の名前を呼ばれる直前にハンカチで目頭を押さえる 蓮舫新代表=昨年9月15日
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、台湾は日本にとっては外国です。外国と我が国とでは、当然のことながら、利益が相反することもあります。

台湾と日本の間で利益が大きく相反するものして、この記事では、 台湾が尖閣諸島を台湾領であるとしていることと、南京市民の日本軍による大量虐殺は事実であるとしていることを上げました。

尖閣諸島が台湾領であるという台湾の主張に関しては、詳細はこの記事をご覧いただくものとして、これはどの観点からみても、無理筋というものであり、尖閣諸島は日本の固有の領土です。

無論、これに関しては、馬英九前総統の国民党政権のときには、そのような主張を表だって、していましたが、蔡英文総統の民進党政権からは、日本との関係を考慮してか、これに関しては表立って主張するようなことはなくなりました。ただし、だからと言って、蔡英文政権が、尖閣諸島は日本固有の領土であると正式に認めてはいません。

南京虐殺問題に関しては、台湾は元々、大陸中国と同じように30万もの市民を日本軍が虐殺したと主張しています。

そもそも、南京での戦闘は、異常なものでした。なぜなら、国民党政府軍軍事委員長・蒋介石が戦いの途中で麾下の数万の兵士を置き去りにして高級将校とともに南京から逃げたからです。この時蒋は督戦隊を残して逃亡しています。

督戦隊とは、逃げる兵士を撃ち殺す部隊のことです。そのため、南京市内の国民党軍兵士は逃げるに逃げられなかったのです。よって、置き去りされた兵士らは、便衣兵(一般市民と同じ私服・民族服などを着用し民間人に偽装して、各種敵対行為をする軍人)となって難を逃れたとも言われています。

そのため、南京では一般の市民が日本軍により便衣兵と間違われ、戦闘で命を落としたり、あるいは戦闘の後で捕獲した便衣兵の中に一般市民がいた可能性も否定しきれない部分があり、確かに市民が犠牲になった可能性は否定しきれません。

しかし、だかといって、日本軍が南京市民を数十万を意図に虐殺したという事実はありません。それに、当時の南京攻略の成功責任者であった、松井石根大将は、この事件のため戦後に極東軍事裁判において死刑になっています。しかし、この事件の大元の責任者である、蒋介石と高級将校たちには、いっさい何の罪にも問われていません。

南京虐殺記念館に刻まれた虐殺された市民30万の虚構
そうして、蒋介石は後に台湾の総統となり、国民党政権を樹立しました。台湾でも戦後何度か政権交代があり、国民党以外の政党が政権を担ったこともありました。しかし、その時期にも尖閣諸島が台湾であるとか、南京で日本軍は数十万の市民を虐殺したという主張を変えたことはありません。

ブログ冒頭の記事のように、親日的な台湾人が多いことは事実です。しかし、そもそも台湾の建国は蒋介石率いる国民党によって行われたことや、大陸中国の息のかかったような人も多いことから、政界や財界などにもまだまだ、国民党に関係の深い人間が、隠然と勢力や権力を保持しているため、国民党による主張など簡単に取り消すことができないのです。

現在の台湾は蔡英文総統の民進党政権が率いていますから、台湾は独立国であり、大陸中国の一部ではないという考え方であり、どちらかというと日本との関係を強化させたいと考えています。

他方、国民党を支持する層も多いという現実もあります。そのような台湾の現実を示したのが、今回の八田像損壊だったのです。

私達日本人も、このような台湾の現実を知り、台湾がいつまでも親日的であるとは限らないかもしれないことについては、肝に銘じるべきです。

そうして、日本政府や民間も、台湾の親日的な人々の絆を深めていくべきものと思います。

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2017年4月16日日曜日

北朝鮮ミサイル発射「失敗」への不安 「不安定な武力ほど危ないものはない」―【私の論評】核ミサイルがすべて破壊されても北は核攻撃できる(゚д゚)!

北朝鮮ミサイル発射「失敗」への不安 「不安定な武力ほど危ないものはない」

北朝鮮は2017年4月16日午前(日本時間)に、弾道ミサイル1発を発射した。ミサイルは発射直後に爆発し、失敗したと見られる。ソウル聯合ニュースが報じた。ミサイルの種類は不明としながらも、4月5日に発射されたものと同系列と見られるとした。

米国との緊張関係が極度に高まるなかで、4月15日に北朝鮮によるミサイル発射や核実験があるのではないか、という憶測がネット上で広まっていたが、失敗に終わったとはいえ、その翌日に北朝鮮がミサイルを発射した事実ついて、今後の北朝鮮の動きを不安視する声がネット上では目立った。

北朝鮮の「労働新聞」に掲載された弾道ミサイル発射の模様(画像は今回の発射のものではない)

 米副大統領の訪韓の前に発射

韓国メディアなどによると、北朝鮮がミサイルを発射したのは16日午前6時21分(日本時間同)ごろでで、東部・新浦近くからミサイル1発を発射したが、直後に爆発したという。

ミサイル発射の前日の15日は、北朝鮮では故・金日成主席の105回目の誕生日「太陽節」の式典が開催された。式典では大規模な軍事パレードが行われ、大陸間弾道ミサイル(ICBM)と見られる新型ミサイルも公開された。

それを受けて、日本のネットユーザーの間では「15日にミサイルが発射される可能性が高い」という憶測が流れていた。

また、米国のペンス副大統領は、ミサイル発射の際、北朝鮮情勢に関する協議に向けて韓国へ移動中で、その最中のミサイル発射は、米韓に対する牽制という見方も根強い。いずれにせよ、このタイミングでは北朝鮮は自制するのではないかという見方は崩された。

米国のマティス国防長官は、北朝鮮のミサイル発射と失敗を受けて、「大統領も米軍も、北朝鮮のごく最近のミサイル発射失敗について把握している。大統領からのそれ以上のコメントはない」と、米国時間15日(日本時間16日)、米国防総省のサイト上で短い声明を出した。日本政府も、北朝鮮のミサイルの発射が安全保障に直接影響することはないと、NHKなどに対してコメントするなど、総じて冷静な受け止め方を示している。

 「次は失敗する可能性が少なくなるってこと」

結果として、16日の発射が失敗に終わったことについては、ツイッターでは様々な声が上がっている。
北朝鮮が強気な姿勢を示した直後に、ミサイル発射に失敗したことを揶揄する投稿がある一方で、そうした投稿を「平和ボケ」と批判し、実際に発射が行われたことを重く見る人も多く、
「失敗したとはいえミサイル発射してるじゃないか...日本人平和ボケしすぎ...」
「ミサイル打ち上げに失敗したってことより撃とうとした、いや実際に撃ったってことの方が重要だと思う」
「発射した事実が怖すぎるねんけど 成功したら確実に戦争やで」
「威嚇のために日本近海に落とすつもりが、システムトラブルで日本に届いちゃった...みたいな事にはならないのかな。不安定な武力ほど危ないものはないような気がします。」 「失敗したってことは次は失敗する可能性が少なくなるってこと」
などの意見が投稿されている。

【私の論評】核ミサイルがすべて破壊されても北は核攻撃できる(゚д゚)!

北朝鮮のミサイル発射が失敗しても、北の脅威は変わることなく存在し続けます。今後、この脅威が日本から消えてなくなることはありません。そのことは、絶対に忘れるべきではありません。

それに関しては、昨日述べたばかりです。昨日の記事のリンクを以下に掲載します。

【北朝鮮情勢】トランプ米政権、北朝鮮に「最大限の圧力」で核放棄迫る 空母カール・ビンソン、間もなく朝鮮半島周辺へ―【私の論評】日本は安全か?リベラル・左翼・マスコミ・野党政治家はなぜ騒がないのか??
南シナ海を航行する米空母カール・ビンソン 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に北朝鮮の核ミサイルがすべて破壊されたとしてもなお、北朝鮮は日本に核攻撃できる可能性は捨てきれない理由を示した部分のみを掲載します。

そうして、この原発に対するテロに関しては、過去にそのような計画があったことが明らかになっています。

以下の内容は、Yahoo ニュースなどに掲載されていた内容ですが、現在ではリンク切れになっています。

"
北、対日原発テロ計画 韓国侵攻前「戦意そぐ」
 
 元軍幹部証言北朝鮮の朝鮮人民軍が対韓国開戦直前に日本全国にある原子力発電所施設に特殊工作員計約600人を送り込み、米軍施設と同時に自爆テロを起こす計画を策定していたことが28日、軍元幹部ら脱北した複数の関係者の証言で分かった。計画実施に向け工作員を日本に侵入させ、施設の情報収集を重ね、日本近海でひそかに訓練も行っていたという。北朝鮮による原発テロが現実的脅威に浮上した。 
 元幹部らによると、計画は、金日成(キム・イルソン)主席の後継者だった金正日(ジョンイル)総書記が「唯一指導体系」として朝鮮労働党と軍双方の工作機関に対する指示系統を掌握した1970年代半ば以降、具体化に動き出し、90年代に入って本格化したという。 
(略) 
 作戦のため、現地の協力者らが施設周辺を撮影するなどし毎年、情報を更新。特殊工作員が潜水艇で日本に上陸、施設内に忍び込んで情報収集することもあったという。 
(略)

 原発が最重要ターゲットとされたのは、爆破すれば、「甚大な損害を与えられ、核兵器を使う必要がなくなる」(元幹部)との思惑からだという。さらには、広域に放射能が拡散することで「日韓両国民の間に戦争に反対する厭戦(えんせん)ムードが広がり、日米韓の戦意をそぐ政治的効果を狙った」と元幹部は説明した。
仮に、北朝鮮の核ミサイルが米軍のイージス艦などですぺて撃墜され、さらに、米軍の攻撃によって、核ミサイル基地などがすべて破壊したとしても、このような脅威はつねについてまわります。

さらに、 "天然痘ウイルスをまき散らすといった生物・化学兵器を使用する恐れ"と言った場合、北朝鮮は金正男氏暗殺にサリンを用いたとされてることから、当然のことながら、サリンをテロに用いる可能性も否定することはできません。

"
実際に北朝鮮が、原発テロを起こせば、たとえ北の核ミサイルがすべて破壊されたり、撃墜されたにしても、日本に対して核攻撃と同じ効果をもたらす攻撃は可能なのです。

私としては、このようなことが過去に明らかになっていることから、それは表には出さずとも、警察や場合によっては自衛隊がそのような自体に対処できるようになっていると信じたいです。ただし、これは表に出せば混乱を招くので、表には出ていないものの、いくつかの筋書きが作られていると思いたいです。

ただし、テロ等準備罪がまだ審議途中であることなとがら、このような攻撃が予知されていても、現状では逮捕したり、自然に阻止することができない可能性も否定しきれないです。

リベラル・左派、左翼の連中は、テロ等準備罪には真っ向から反対です。しかし、彼らは北朝鮮による原発テロ攻撃の阻止に関して、絶対に反対なのてじょうか。

これに関しては、メディアや野党が悪質な印象操作を行っています。彼らは、パレルモ条約は 「テロを対象としたものではない」から、テロを対象とするのテロ等準備罪はおかしいなどとの奇妙な論理を用いて、テロ等準備罪に反対しています。

 しかし、パレルモ条約は「テロだけを対象としたものではない」ものであり、当然 テロも対象になります。 パレルモ条約とは、当然のことながら、テロも含めて「一定刑以上の重要犯罪の合意」を取り締まるという条約であり、187か国締結(残り10か国程度)しているものです。そうして、残り10 カ国程度のうちの一国が日本なのです。

パレルモ条約がテロ集団を対象としないという解釈はフェイク
今国会 においては、2003年に署名はしたものの条件を整えられず批准できないパレルモ条約について、 その条件を整えるために政府はテロ準備罪を提出したわけです、そうしてこれは最低条件であるとしているわけです。

テロであるないに関わらず、「重大な犯罪を行うことの合意」がパレルモ条約の内容であり、目的を限定したものではないのです。 パレルモ条約はテロを対象としていないとするもっともらしい発言は事実ではないのです。

にもかかわらず、民進党などの野党もこれに対してまでどこまでも反対するのでしょうか。しかし、この緊急事態が目の前に存在するわけですから、百歩譲って北朝鮮によるテロ攻撃の可能性に絞り、当面の北朝鮮の脅威が去るまでの時限立法という形でも良いから賛成するということはできないものなのでしょうか。

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2017年4月15日土曜日

【北朝鮮情勢】トランプ米政権、北朝鮮に「最大限の圧力」で核放棄迫る 空母カール・ビンソン、間もなく朝鮮半島周辺へ―【私の論評】日本は安全か?リベラル・左翼・マスコミ・野党政治家はなぜ騒がないのか??


南シナ海を航行する米空母カール・ビンソン 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
北朝鮮に対する戦略を見直してきたトランプ米政権が14日までに、「最大限の圧力と関与」で核放棄を迫る方針を固めたことが明らかになった。AP通信が14日、米当局者の話として伝えた。日韓など4カ国を歴訪するペンス副大統領は16日、最初の訪問地・韓国で米韓連合軍司令部があるソウルの竜山(ヨンサン)基地で米韓両軍関係者を前に演説する。

トランプ政権は先制攻撃、体制転換から核兵器保有国家としての容認まで「あらゆる選択肢」を検討してきたが、北朝鮮との結び付きの強い中国やロシアの協力を得て制裁を強化し、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の体制に最大限の圧力をかける。あくまでも北朝鮮の非核化を目標とし、核保有国であると認める形となる交渉には応じない。

米軍当局者はAPに、核実験やミサイル発射だけでは米軍が攻撃に踏み切る意図はないが、ミサイルが日韓や米国領を標的にした場合には計画は変更される可能性があると述べた。

ティラーソン国務長官が「終わった」としたオバマ前政権の「戦略的忍耐」も北朝鮮への制裁を強化し、北朝鮮が非核化の意思を示さないかぎり外交交渉に応じないという政策だったが、トランプ政権は北朝鮮の挑発によっては武力行使もためらわないことを明確にしている点で異なる。

トランプ政権はシリア攻撃に続き、アフガニスタンで非核兵器として最大の破壊力を持つ大規模爆風爆弾(MOAB)を投下し、武力行使に慎重だった前政権との違いを強調。北朝鮮にメッセージを送った。


 アフガニスタンでのMOAB投下の模様

原子力空母カール・ビンソンを中心とする空母打撃群は間もなく朝鮮半島周辺に展開する見通し。核実験や弾道ミサイル発射の挑発を牽制し、必要となれば攻撃に踏み切る態勢を取る。

【私の論評】日本は安全か?リベラル・左翼・マスコミ・野党政治家はなぜ騒がないのか?

米軍はブログ冒頭の記事のように、北有事に備えて鉄壁の構えをみせています。原子力空母『カール・ビンソン』(CVN-70)はイージス艦4隻(巡洋艦1隻、駆逐艦3隻)とともに来るという事実に注目する必要があります。

「カール・ビンソン」の加勢で韓半島近隣の西太平洋に計16隻のイージス巡洋艦・駆逐艦が集結することになります。これに加えて、日本や韓国のイージス感も当然のことながら欠集することになります。

だからといって、これで確実に北朝鮮のミサイルをすべて確実に撃ち落とせるというわけでもないようです。このあたりの技術的な事柄については、他のメディアにあたっていただきたいと思います

 しかし、米軍は持てる力を最大限に使って、北朝鮮からの先制攻撃や、米側の先制攻撃に対する北の報復攻撃に備えるということをしているようです。

しかし、北の報復といった場合、何も北によるミサイルや、正規軍による報復だけではありません。

以前このブログに掲載したように、予め日本にすでに上陸済みの北朝鮮工作員によるテロ 活動が懸念されます。その記事のリンクを以下に掲載します。
北朝鮮有事が日本に突きつける8つのリスク【評論家・江崎道朗】―【私の論評】 森友学園問題で時間を浪費するな!いまそこにある危機に備えよ(゚д゚)!
今月1日に始まった米韓合同演習「フォールイーグル」
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に北朝鮮による工作員によるテロに関する部分のみ引用します。
 北朝鮮はすでに日本国内に多数のテロリストを送り込んでいて、いざとなれば発電所や交通機関などを攻撃する可能性が高い。 
 天然痘ウイルスをまき散らすといった生物・化学兵器を使用する恐れもある。天然痘ウイルスの感染力は非常に強いことで知られていて、感染者からの飛沫や体液が口、鼻、咽頭粘膜に入ることで感染する。北朝鮮は、天然痘感染者を山手線に乗せて一気に関東全体に広める生物兵器テロを計画しているという話もあり、こうした危機を前提に、ワクチンの準備も含め地方自治体、医療機関が予め対処方針を立てておく必要があるだろう。
この記事には、はっきりとは書かれていはいませんが、発電所や交通機関といった場合の発電所とは、当然のことながら原子力発電所も含まれます。

そうして、この原発に対するテロに関しては、過去にそのような計画があったことが明らかになっています。

以下の内容は、Yahoo ニュースなどに掲載されていた内容ですが、現在ではリンク切れになっています。

北、対日原発テロ計画 韓国侵攻前「戦意そぐ」
 
 元軍幹部証言北朝鮮の朝鮮人民軍が対韓国開戦直前に日本全国にある原子力発電所施設に特殊工作員計約600人を送り込み、米軍施設と同時に自爆テロを起こす計画を策定していたことが28日、軍元幹部ら脱北した複数の関係者の証言で分かった。計画実施に向け工作員を日本に侵入させ、施設の情報収集を重ね、日本近海でひそかに訓練も行っていたという。北朝鮮による原発テロが現実的脅威に浮上した。 
 元幹部らによると、計画は、金日成(キム・イルソン)主席の後継者だった金正日(ジョンイル)総書記が「唯一指導体系」として朝鮮労働党と軍双方の工作機関に対する指示系統を掌握した1970年代半ば以降、具体化に動き出し、90年代に入って本格化したという。 
(略) 
 作戦のため、現地の協力者らが施設周辺を撮影するなどし毎年、情報を更新。特殊工作員が潜水艇で日本に上陸、施設内に忍び込んで情報収集することもあったという。 
(略)

 原発が最重要ターゲットとされたのは、爆破すれば、「甚大な損害を与えられ、核兵器を使う必要がなくなる」(元幹部)との思惑からだという。さらには、広域に放射能が拡散することで「日韓両国民の間に戦争に反対する厭戦(えんせん)ムードが広がり、日米韓の戦意をそぐ政治的効果を狙った」と元幹部は説明した。
仮に、北朝鮮の核ミサイルが米軍のイージス艦などですぺて撃墜され、さらに、米軍の攻撃によって、核ミサイル基地などがすべて破壊したとしても、このような脅威はつねについてまわります。

さらに、 "天然痘ウイルスをまき散らすといった生物・化学兵器を使用する恐れ"と言った場合、北朝鮮は金正男氏暗殺にサリンを用いたとされてることから、当然のことながら、サリンをテロに用いる可能性も否定することはできません。

幸いなことに今日の時点では、北朝鮮による核実験はなく、米国による先制攻撃もありませんでした。

しかしながら、米国は北朝鮮が水爆実験に成功し、アメリカ全土を標的にできる核ミサイルを開発し実用化することは絶対に許さないことでしょう。

それを考えると、現在の平和はつかの間の平和でしかないわけで、いずれ北朝鮮の脅威が確実に私達の身近に迫ってくることは否定しようがないわけです。

森友問題が一巡したためか、最近ようやっとマスコミは北の核ミサイルの脅威などについて報道するようにはなりました。しかし、上記のような工作員によるテロ活動までは報道しません。

国会でも、テロ等準備罪を審議拒否するとみられていた民進党が、かなりの批判晒されたため審議拒否を即座に撤回するという珍事が発生しました。

自民党の竹下亘、民進党の山井和則両国対委員長は13日、不正常となった国会運営を巡り国会内で断続的に協議しました。「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案に関し、予定通り14日に衆院法務委員会で趣旨説明を行う日程を確認。12日の衆院厚生労働委員会で採決が強行された介護保険関連法改正案は、来週以降の衆院本会議採決で合意しました。国会は正常化する方向です。

13日の衆院本会議は開催が見送られました。予定されていた民法改正案の採決は14日の本会議に先送りしました。衆院厚労委では追加的に質疑を実施することで合意しました。

安全保障の問題を考えるときは、左、右、リベラル、保守などの立場以前に、現実的に対処すべきです。

マスコミや、野党政治家、リベラル・左翼の皆さんも、まずは北朝鮮による原発テロの危険性について、騒いでみてはいかがでしょうか。

今騒がなければ、結局皆さんは、「反権力、反政府が使命」と思い込み他には、理想も目的も目標もない無間地獄に落ちた餓鬼どもとみなされてしまうと思います。

そうではないことを証明してください。

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2017年4月14日金曜日

ミサイル接近なら、その時この音が鳴り響く 覚えておきたい「国民保護サイレン」―【私の論評】(拡散希望)すぐに諦めるな今そこにある危機に備えよ(゚д゚)!

ミサイル接近なら、その時この音が鳴り響く 覚えておきたい「国民保護サイレン」

北朝鮮情勢の緊迫が続く。繰り返されるミサイル発射実験に、米トランプ政権は強硬姿勢を強め、韓国では「(2017年)4月27日に空爆があるらしい」といった噂が乱れ飛ぶなど危機感が高まっている。日本にとっても他人事ではない。

もし万が一、危機が現実のものになったとき、あなたはどう対応するか。そのために覚えておきたいのが、国民保護に係る警報のサイレン、通称「国民保護サイレン」の存在だ。

北朝鮮の「労働新聞」に掲載された、弾道ミサイル発射の模様
 「Jアラート」を通じ一斉に警報

政府は2007年から、「Jアラート」と呼ばれるシステムを展開している。全国瞬時警報システムと呼ばれ、武力攻撃や地震・津波などが発生した際、避難が必要な地域に直ちに危険を知らせるものだ。

たとえばミサイルやゲリラ部隊の上陸、大規模なテロなどが発生した際、情報はこのJアラートで、内閣官房から消防庁の中央システムに送られ、自治体や携帯電話会社などに発信される。その内容は緊急速報メールやケーブルテレビ、防災行政無線などを通じて、自動的に私たちに届けられることとなる。

このうち国民保護サイレンは、ミサイルを含む武力攻撃に対して使用される。「武力攻撃が迫り、又は現に武力攻撃が発生したと認められる地域」に対し、防災無線から流されるもので、Jアラート誕生にさかのぼる2005年に決められた。

J-CASTニュースの記事ページ内に、音声が聞ける動画を掲載しているので、一度お聞きいただきたい。「プォー......」と、どことなく不気味な不協和音が、長々と響く。



 国民保護サイレンが聞こえたら?

当時の新聞記事(05年12月24日付毎日新聞夕刊)によれば、既存のサイレン音との区別のほか、「危険性・緊急性が感じられる」「高齢者や聴覚障害者にも聞き取りやすい」といった点を重視して作成された。

実際、この警報を受け取ったらどういう行動を取るべきだろうか。

内閣官房が配布しているパンフレットによれば、屋内ならばまずはドアや窓をすべて閉め、ガス・水道・換気扇も閉じる。そして、ドアや壁、窓ガラスから離れた位置に座り、待機する。屋外にいれば、近くの堅牢な建物や地下街などに避難する。その上で、落ち着いて情報収集を行い、行政機関からの指示に応じて避難する――といった行動が求められるという。

【私の論評】(拡散希望)すぐに諦めるな今そこにある危機に備えよ(゚д゚)!

核攻撃に対する対処の方法を今一度以下に掲載しておきます。

もし核ミサイルの警報があれば、即座にコンクリートのビルの中か、地下街に避難してください。 核爆発の光と爆風を直接受ければ即死ですが、ビルの中や地下にいると助かる可能性が格段に高まります。 諦めずに、少しでも堅牢な建物、地下を探してそこに移動してください。

ブログ冒頭の記事の最後のほうにでてくる内閣官房が配布しているパンフレットとは、『武力攻撃やテロなどから身をまもるために』という表題のものです。以下に表紙の画像だけ掲載しておきます。


核攻撃などから、身を守るための一般人用のパンフレットで出されているものはこれくらいのものなので、このパンフは一度を目を通しておくべきでしょう。このパンフは以下のリンクから見ることができます。

http://www.kokuminhogo.go.jp/pdf/hogo_manual.pdf

まだ、ご覧になっていない方は、この機会に是非目を通していただきたいものです。

ただし、このバンプは過去に作成されたものなので、サリンに対する対処は掲載されていません。

ところが、安倍晋三首相は13日午前の参院外交防衛委員会で、北朝鮮の弾道ミサイル技術に関し「サリンを弾頭につけて着弾させる能力をすでに保有している可能性がある」と述べています。北朝鮮の核・ミサイル技術が向上していると指摘し「新たな段階の脅威であり、朝鮮半島の非核化は日本が絶対に実現させるべき課題の一つだ」と強調しました。

サリンに晒されれば、一般には即死とも思われているようで、対処は防護服とガスマスクしかないと思われているようですが、そうではありません。

実は、サリンは加水分解しやすいので、お風呂に水を溜めておき、接触したらすぐ飛び込むとか、シャワーを浴びるという方法が有効です。

サリンには無論解毒剤もあります。プラリドキシムヨウ化メチル(プラリドキシムヨウかメチル、pralidoxime methiodide)又は単にヨウ化プラリドキシムとは、有機リン剤中毒の特異的な解毒剤です。一般的な通称はパム(PAM)もしくはオキシム剤と呼ばれることもあります。化学的にはピリジニウム環にオキシム部位が置換した構造を持ちます。IUPAC名は 2-formyl-1-methylpyridinium iodide oxime 。この解毒剤も手に入るかたは手にいれると良いと思います。

日本ではサリンに対する備えも十分ではありませんが、核ミサイルに対する備えも十分ではありません。以下に、それを示す動画を掲載します。


この動画の中で示された、フリップを以下に掲載しておきます。


このフリップの意味するところは、赤丸で囲まれた地域に関しては、北朝鮮からミサイルが飛翔してきた場合、PAC3などで迎撃することはできるものの、それ以外の地域では不可能ということです。

無論、イージス艦などで対応ということも考えられますが、たまたまイージス艦が近くにいあせた場合は可能かもしれませんが、そうでなければほとんど防御することはできません。

また、漁業者の方で、沖に出ている場合には、これもほとんど対処できない、お寒い状況にあることが、この動画で示されています。

とにかく、ここ数日は緊張して生活してください! いたずらに不安を煽っているわけではありません。 何もないことを祈っていますが、万が一の備えと知恵は必要です。

憲法9条が改正されていれば、あるいは改正しないまでも、解釈を変更していれば、日本人を拉致した北朝鮮と戦うことができました。その時には米軍の支援もあり、金王国は倒れていたかもしれません。 しかし現実は日本は抗議する以外は何もできませんでした。米にとっては、日本人がいくら拉致されようとそのようなことは無視して、対北融和政策を取って来ました。 今日の危機はそのツケがまわつてきたということです。

とはいいながら、今目の前に大きな危機がある事実は変わりありません。以上に述べた内容など知らない方に、一人でも多くこの内容を知らせてあげていただきたいと思います。

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2017年4月13日木曜日

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ「森友」問題で露呈した 「官僚の裁量で文書管理」の罠―【私の論評】最初からバレバレの財務省キャリア官僚の嘘八百はこれだけではない(゚д゚)!

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ「森友」問題で露呈した 「官僚の裁量で文書管理」の罠

森友学園問題は終わりつつあるが、そこで仰天発言がでてきた。筆者は、本コラムにおいて財務省官僚に裁量を与えすぎて入札にしなかったり、文書の保存をしなかったりしたのが問題の本質といってきた(2017年2月23日配信3月7日配信3月23日配信)。最後になって、財務省がついに馬脚を現した。

財務省の佐川宣寿・理財局長は、4月3日の衆院決算行政監視委員会で、「パソコン上のデータもですね、短期間で自動的に消去されて復元できないようなシステムになってございますので、そういう意味では、パソコン上にも残っていないということでございます」と答弁した。

財務省の佐川宣寿・理財局長 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 どこに発注したのか

この非常識発言に対して、ネット上では直ちに「ありえない」という反論がでてきた。少しでもシステムを経験した人であれば、このようなシステムは運用コストの割が合わないことを知っているだろう。HDD(ハードディスク)の容量に制限があれば、いっぱいになった段階で古いものに上書きしていくだけだ。これは、HDDへのテレビ録画を見れば素人でもわかる話だ。

HDD上で自動的に消去するシステムを作ることはできるが、そんな間抜けなシステムを設計する気になれないのはすぐ分かる。そこで、財務官僚が自らプログラムすることはできないので、誰かに発注したはずであるので、どこに発注したのかを聞けばいいと、筆者はツイートした。

そうこうしているうちに、4月10日になって、ようやくそうしたシステムが存在しないことを財務省の情報管理室が認めた、と朝日新聞が報じた(データは上書きされるが、上書きされてもデータはシステム上に残り、「復元できる可能性を否定できないという」)。だとすれば、国会で虚偽の答弁をしていたわけだ。

それにしても、財務省の文系官僚の無能さがはっきりと出てしまった。筆者は大学で数学専攻であり、若いときにはプログラム経験もある。官僚時代に、幹部がパソコン操作を人には表だって聞けず、筆者はしばしば幹部室に呼ばれて内々に聞かれた。そのとき「ウィンドウズをひらいて下さい」と言ったら、本当に窓を開けられたのには驚いた、など冗談のような話は尽きない。

 なかったはずの文書が「いろいろと出てくるはずだ」

前の本コラムでも指摘したが、そんな官僚に文書保存規則を任せている。そこがおかしいのだ。

この文書保存には、いろいろな経緯がある。筆者が第1次安倍政権の時、国家公務員改革が企画されている。そのときの基本法では、文書保存義務が書かれている。しかし、その基本法を骨抜きにしたい官僚たちは、福田政権になると、基本法の代わりに文書管理法を制定した。文書管理法では、法令上は文書保管義務が書かれていたが、その実施は官僚の裁量で決められる政令や各省規則に委ねて、骨抜きにした。

民主党への政権交代後、官僚たちは政権運営に不得手な民主党下で、文書管理法の政令や各省規則を作った。そこで、今回のように文書を廃棄したとしても、「法令に基づき、適切に処理」となるわけだ。

もっとも、これからは、なかったはずの文書がいろいろと出てくるはずだ。森友学園問題は、いろいろな刑事事件(告発を受理)、民事事件になっている。そこで、財務省も関係者になってくるが、そのとき資料がないでは済まないのだ。今の役所の文書は電子化され、職員のPCやサーバー上で記録されており、各種のメールも含め、いろいろなところにある。職員は仕事上、紙のファイルも持っている。裁判ともなれば、必死にかき集めてくるので、なかったはずのファイルが出てくる。財務省の嘘が後でバレてくるだろう。

++ 高橋洋一

【私の論評】最初からバレバレの財務省キャリア官僚の嘘八百はこれだけではない(゚д゚)!

ブログ冒頭の高橋洋一氏記事でも指摘しているように、「パソコン上のデータもですね、短期間で自動的に消去されて復元できないようなシステムになってございますので、そういう意味では、パソコン上にも残っていないということでございます」という発言は、私も当初からかなり胡散臭いと思っていました。というより、普段事務などでパソコンを扱い慣れている方は、ほとんどの人がそう思ったに違いありません。

何しろ最近のコンピュータのハードディスクの記憶容量は、テラバイトというものも珍しくないほど、大容量化しています。これだと、音楽や、動画を保存するというのであれば、容量不足になってしまうということも考えられますが、文書や画像程度のものであれば、かなりのものが保存できます。

それに最近では、クラウドという手法もあります。このような時代に、10年以内の文書が自動的に消えるなどということはありえないです。一昔前のように、メモリも記憶容量も極度に少なかった場合にはあり得なくもないとは思いますが、この発言は時代錯誤と言っても良いものだったと思います。

時代錯誤といえば、私はある地方都市の保健所のパンフレットを読んでいて驚いたことがあります。結構前のことでしたが、それでも確実に10年以内のことです。あまりのことに驚いたの良く覚えています。おそらくは、10年くらい前(ひよっとすると10年を切っていたかもしれません)だったと思います。それはその保健所の使用しているシステムに関するものでした。細かいことは忘れましたが、何とその保健所では未だにオフコンなるものが使わていたのです。

そうして、記憶媒体は何と8インチフロッピーでした。システムの概念図を見ると、ハードディスクもあるようですが、その容量はたかだか数十メガバイトでした。フロッピーディスクは補助記憶装置として使われていました。

そうして、この実体を知って、いかに地方の保健所などでは、業務のほとんどがルーチン業務で占められているのか、理解できました。おそらくこのシステム数十年前に、優れたSEが開発したのでしょう。そうして、数十年たっても、保健所の業務はほとんど同じなので、そのまま継承され使われてきたのでしょう。だからこそ、生き残ったのだと思います。

そうして、思い立ったのが、この補助記憶装置と言う存在です。仮に財務省が古いパソコンを用いていたとしても、このような補助記憶装置を用いれば、文書などいくらでも保存できるはずです。さらに、補助記憶装置を使わなったにしても、プリントはできたはずです。

財務省でもこのような古いコンピュータを使っているとは思えません。しかし、世界には古いシステムを未だに使い続けているところもあります。

それは、たとえば米軍です。米国防総省によると初期のフロッピーディスク規格となる8インチフロッピーディスクが未だに現役なのは、大陸間弾道ミサイル、戦略爆撃機、空中給油・支援機など一連の核兵器を運用、調整する指揮統制系統だとしており、現場では今から40年前に発売された1976年「IBMシリーズ/1」や当時普及し始めていた8インチフロッピーディスクが運用に用いられているといいます。

弾道ミサイル発射管制センターで撮影された写真。8インチフロッピーディスクが使用されている
その理由について米国防総省報道官は「簡単に言えば現在も機能しているため」とし、「老朽化が懸念されていることから2017年末までにフロッピーディスク・ドライブをSDカードリーダーに置き換える予定だ」と説明しているそうです。

さすがに財務省では、ここまで古いコンピュータを使うということはありえないでしょう。それに財務省がこのような古いシステムを使ってはいないというれっきとした証拠もあります。それに関する記事のリンクを以下に掲載します。
女性官僚、働き方に物申す 財務省でも改革始動
自宅から職場のパソコンにアクセスして仕事する財務省の中西佳子さん(東京都内)
この記事は、2014年7月5日のものです。以下に一部を引用します。
 男職場の印象の強い財務省でも、女性たちの声を受けて働き方改善が始まっている。 
 午前2時。財務省関税局業務課の中西佳子課長補佐(36)は夜泣きする長女(2)をあやした後、パソコンを開いてメールを確認する。セキュリティーを保つ機器を使って自宅から省内ネットワークに接続する在宅業務を育休から職場復帰した昨年秋から取り入れている。「翌朝、前日の流れを理解した上で業務を始められるのは大きい」 
 「夫は単身赴任中。平日はお互いの母が長女の面倒をみてくれるが、土日は娘と2人のことも。「週末に登庁しなくて済む。娘の顔をゆっくり見られるのもうれしい」

 女性官僚の要望に応え、木下康司前事務次官(7月4日付で退任)の声かけで昨年9月、在宅業務のための機器を希望者全員に配布。全職員の4割、課長以上の7割弱が活用している。
 このようなシステムを全職員の4割に、課長以上の7割が利用しているというのですから、どう考えてみても、最初から財務省が古いシステムを用いているというわけもなく、佐川宣寿・理財局長のあの発言は最初から嘘であることがバレバレだったわけです。

ひよっとすると、佐川氏ほとんど日常はパソコンなど用いないIT音痴なのかもしれません。別に官僚でも地位の上の人は、日々パソコンを直接使う必要はありません。パソコンは事務職員に操作させ、自らはパソコンから出てくる資料をみて、判断すれば良いわけです。むしろ、ある一定以上の職位の人は、パソコンを日々いじくるのは仕事ではありません。

しかし、社会一般常識としてのコンピュータ・サイエンスの基礎ぐらいは知ってはおくべきです。それを知らなかったからこそ、この件の発言をしてしまったのでしょう。

そうして、なぜこのようなことを長々と書いてきたかといえば、衆院決算行政監視委員会においてこんな単純に見え透いた嘘をつく財務省なのですから、当然のことながら、他にも嘘があるとみなすのが当然のことであるということです。

そうして、エリートといわれる財務省の高級官僚が、現在では社会一般常識となっているコンピュータ・サイエンスの基礎を知らないということは、他の社会常識にも欠けている可能性が十分にあるということです。

そうして、それは可能性どころか、"国の借金1000兆円であり、増税しなければ社会保障費などが増大して大変ことになるという大嘘"を平気で、政治家、他省庁の官僚、マスコミなどに言い触れ回っていることからみて、それは事実であるとみるべきです。

そもそも、デフレの真っ最中や、デフレから脱却しきっていないうちに増税するというのは、経済政策としては悪手の悪手であるということは、疑いのない事実であり、マクロ経済の標準的な教科書にはそのようなことは絶対に書かれていません。8%増税も大失敗であったことが今では明らかになっています。

それに、財務省の官僚は、一般には東大卒で高学歴とみなされていますが、実はそうではありません。彼らの多くは東大卒ですが、経済学部出身者はほとんどいません、法学部出身者が多いです。さらには、大学院卒もあまりいません。大学院で経済学を専門に学んできたものはほとんどいません。

言い方が悪いですが、世界の他の国の財務省の高級官僚などと比較すると、低学歴なのです。そうして、残念ながら社会常識にかけています。だからこそ、性懲りもなくいつまでも増税キャンペーンをやり続けるのです。彼らの頭にあるのは、国民生活は二の次で、省益最優先で、出世の階段を上り詰めて、その後はどこかに天下り、贅沢三昧のハッピーライフ送ることなのです。

ただし無論これは、高級官僚に関してです。財務省には無論、そうではない人も大勢働いています。私は、これらの人々を批判する気は毛頭ないです。批判しているのはいわゆるキャリア官僚です。それも、将来事務次官になる可能性のあるキャリア官僚です。

ブログ冒頭の記事で、高橋洋一氏はなかったはずの文書が出て来る可能性を指摘しています。今回の森友問題に限らず、政治家たるものは、財務省の過去の文書を検索して、分析し、財務省の旧悪を露見させるべきです。私は、これこそ、政治家が挑戦すべき事柄であると思います。

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2017年4月12日水曜日

アベノミクス景気長期化でも回復の恩恵乏しいという論調 雇用重視するなら実感可能だ―【私の論評】景気が良くなれば給料二倍的感覚はただの情弱(゚д゚)!

アベノミクス景気長期化でも回復の恩恵乏しいという論調 雇用重視するなら実感可能だ


アベノミクスによる景気回復が52カ月と戦後3番目の長さになったと報じられた。一方で景気回復の実感が乏しい理由として、「潜在成長率の低下」が挙げられているが、こうした分析は妥当だろうか。

景気の動向については、内閣府が作成する景気動向指数の一致系列指数が改善しているのか悪化しているのかにより、回復期か後退期かを判定することができる。

景気動向指数の一致系列は、生産指数(鉱工業)、鉱工業用生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、所定外労働時間指数(調査産業計)、投資財出荷指数(輸送機械を除く)、商業販売額(小売業、前年同月比)、商業販売額(卸売業、前年同月比)、営業利益(全産業)、有効求人倍率(新規学卒者を除く)である。

これをみてもわかるように、幅広い経済部門から経済指標が選ばれているが、特に一致系列では、生産面に重点が置かれている。

筆者が経済状況を見るとき、「1に雇用、2に所得」である。つまり、雇用が確保されていれば、経済政策は及第点といえ、その上で所得が高ければさらに上出来で、満点に近くなる。

それ以外の、たとえば輸出や個別の産業がどうかという話や、所得の不平等のように各人の価値判断が入る分野は、評価の対象外にしている。

このように経済をシンプルに考えているので、必須な経済指標としては、失業率(または有効求人倍率、就業者数)と国内総生産(GDP)統計で、だいたいの用は足りる。

筆者の立場から見ると、景気動向指数の一致系列は、生産面の指標が重複し、雇用統計が足りないと思えてしまう。逆にいえば、このような雇用を重視しない指標を見ていれば、雇用政策たる金融政策への言及が少なくなってしまうのは仕方ないだろう。

雇用を経済政策のミニマムラインとする筆者から見れば、アベノミクス景気は実感できる。筆者の勤務する大学はいわゆる一流校というわけではなく、ときどきの「景気」によって就職率が大きく変化する。

4、5年前には就職率が芳しくなく、学生を就職させるのに四苦八苦だった。ところが、今や卒業者の就職で苦労することはかなり少なくなった。この間、必ずしも学生の質が向上したとはいえないにも関わらずだ。これは、アベノミクスの金融緩和によって失業率が低下したことの恩恵である。

「潜在成長率の低下」という説明も怪しい。本コラムの読者であれば、「構造失業率」が通説より低かったことを知っているだろう。この「構造失業率」は「潜在成長率」と表裏一体の関係にあり、構造失業率が低いなら、潜在成長率は高くなる。つまり、報道は、構造失業率は高いままという誤ったことを主張しているに等しい。こうした報道を読むときは、よく注意したほうがいい。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】景気が良くなれば給料二倍的感覚はただの情弱(゚д゚)!

上の記事で、高橋洋一氏が主張しているように、「景気動向指数の一致系列は、生産面の指標が重複し、雇用統計が足りないと思えてしまう。逆にいえば、このような雇用を重視しない指標を見ていれば、雇用政策たる金融政策への言及が少なくなってしまうのは仕方ないだろう」というのは事実だと思います。

企業で働く人のうちでも、人事に関係ある分野で働いている人や経営層ならば、現状の人材獲得は非常に困難を極めはじめていることから、景気が良くなっていることは十分実感できると思います。

一般サラリーマンでも、人事に直接かかわる仕事をしていれば、これは強烈に感じます。特に、日本がデフレスパイラルのどん底に沈んでいたときにのリーマン・ショックの前後など、人の採用にかかわった人は、二度とあの時代のようなことを繰り返すべきではないということを実感したと思います。

あの頃には、人を採用するのはかなりやりやすかったと思います。そうして、このブログにも当時のことを書いていますが、実際に雇用した若者たちの話を聴くと本当に悲惨というか、夢も希望もない若者たちの実体が手に取るようにわかりました。

たとえば、国立大学を卒業し、その後私と同じ国立大学の大学院を卒業した女子学生が自分の会社に入社したのですが、入社後に話をしてみると、なかなか就職先がなくて本当に困った話や、卒業と同時に数百万円の奨学金による借金をかかえてしまった話などを聞き本当に当時は若者にとっては、生活すること自体が大変であることを実感しました。

また、ある男子学生は、札幌で4年間を過ごしたのに、何とすすき野に一度も行ったことがないとか、飲むとすれば、ほとんど家飲みしかしたことがないとか、車などそもそも買うつもりにもなれなかったなどとか、バイトをしてもさほど稼げないことなどを聞きました。

そうして、実はその学生が特に厳しいというわけでもなく、良く話を聴くと、結構裕福な家庭の出身であることを聴いて、驚いてしまいました。ちょうどその頃、統計などをみると日本の若者の自殺率は世界で突出して高いことなどを知り、さらに憤りを感じたものです。

自分たちの学生の時と比較して、何と今の若者は悲惨な境遇に置かれているのかと思い、忸怩たる思いがしました。

そうして、数年たったときに、あのリーマン・ショックなるものは、英語ではなく単なる和製英語であることを知りました。日本以外の国では、景気が落ち込んだときに、中央銀行が大規模な金融緩和をはじめたにもかかわらず、日銀は実行しなかったために、震源地である米国や、英国などがいち早く不景気から抜け出したにもかかわらず、日本だけが一人負けの状態となり、超円高とさらなるデフレスパイラルのどん底に沈み込んでしまいました。

この状態が長く続いたので、日本ではこの時期の不況をリーマン・ショックと呼んだのです。そのため、このブログではリーマン・ショックではなく、「日銀ショック」と呼称したほどです。

それについては、以下のグラフをご覧いただければ、よくおわかりになると思います。

このグラフは2008年を100として、各国の中央銀行がどの程度金融緩和をしたのかを示すものです。米国が最大で300を超えるほどの大規模な金融緩和を行ったにもかかわらず、日銀は150にも満たないほどの緩和しかしませんでした。

これが、日本では不景気が長引き、リーマン・ショックなる和製英語ができた所以でもあります。

日本でいうリーマン・ショック時の若者の状況や経済の状況を考えれば、現在はかなり景気が回復しているのは間違いないです。この状況を絶対に後戻りさせるわけにはいきません。

それにしても、現状は、過去のデフレの悪影響は未だ残ってはいるものの、上で述べたようにそもそも、学生を雇用するのが大変になりましたし、最近の若者は、さすがにリーマン・ショックの時のようなひどい状況と比較すれば、随分良くなりました。この状況を理解できず、景気の回復を実感できないという人たちは、かなり情報感度が低いのではないかと思います。

これに関して、経済学者の田中秀臣氏が以下のようなツイートをしていました。
数年で給料二倍でないと、景気がよくなったという実感がないという平気で言う人は、情弱のそしりを免れないと思います。

年率数%の緩やかなインフレが続いた場合、給料などどうなるのかというか、感覚的にどのような感じになるか、私は長年米国で暮らしているご婦人から、それに関して聴いたことがありますので、その話の内容を以下に掲載します。

米国では、その時々で凸凹はあるものの、長期的にみれば3%くらいのゆるやかなインフレが続いてきました。その中で実際に暮らすと、以下のような感じだそうです。
「1、2年だと、給料が上がったにしても、誤差くらいにしか感じられないのですが、20年経つといつの間にか給料が倍になっているという感じです」
感覚としてはこのようなものなのでしょう。実際、働き始めてから20年〜30年たつと、給料が徐々にあがるし、経済成長しているわけですから、それなりに仕事に慣れたり、地位が向上した分も含めると2倍になったという感覚なのでしょう。

無論、地位が向上しないで、そのまま同じ地位で同じところに勤めていたにしても、経済成長をしているわけですから、インフレ分を差し引いても給料は20年前の1.5倍くらいにはなっているのでしょう。

いくら緩やかなインフレであったにしても、終戦直後の日本のような場合は、別にして、給料が倍というのは20年くらいはかかるものとみて間違いないです。

以下に、このご婦人と似たような境遇にいて、米国で長い間居住された方の、2012年時点での、米国のインフレと、日本のデフレを比較した記事のリンクを掲載しておきます。
インフレのある暮らし – 15年ぶりの1ドル80円時代に思うこと
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの方の物価に関する米国に在住していての感覚などを掲載しておきます。
さて、アメリカの方のインフレも年間3%くらいでしかないのだが、それでも15年たつとモノの値段が5割高になる。これはつまり、去年と今年の値段の差は誤差の範囲だが、10年、20年たつと目に見えて高くなる、というレベル。
やはり、物価のほうからみても、10年、20年たって目に見えて高くなるという感覚のようです。

このようなことでは、景気回復を実感できないというのは、全くの見当ハズレです。緩やかなインフレでは、物価も給料も去年と今年の差異ということになれば、誤差のようにしか感じられないのですが、10年、20年たつと目に見えて高くなるというレベルです。

これが、常識的な感じかたでしょう。しかし、これでは意味がないとお考えでしょうか。私は、決してそうは思いません。

緩やかなインフレだと、雇用状況も良いですから、まずは就職ということについてあまり心配しなくても良くなります。それに、就職してからでも、誰もが20年たてば、給料は現状の1.5倍から2倍は見込めるとなれば人生に対する考えたかも変わってきます。

これから、給料が下がることはあっても上がることはなかなかないと考えているのと、とにかく20年もたてば倍になると考えられるのでは雲泥の差です。

それに、緩やかなインフレが続いていれば、たとえば会社で正社員と、パートやアルバイトなどの臨時雇用の人とが、全く同じ仕事を同じ時間だけした場合、臨時雇用の人のほうがその仕事に関しては賃金が多くなります。これは、デフレ時代しか経験したことのない人にはなかなか理解できないかもしれません。しかし、これは緩やかなインフレが続いている経済下では当然のことです。過去の日本もそうでした。

結局、雇用情勢が良ければ、人手不足でそうせざるを得ないからそうすることになるだけのことなのです。臨時雇用であっても、賃金が低けれ誰も仕事をしなくなります。しかも臨時の仕事ですから、仕事が終われば即解雇と同じですから、ある程度割が良くなければ、その仕事をす人を集められなくなるのです。

こうして、学生のバイトもデフレの時から比較すれば、緩やかなインフレの時のほうが実入りがよくなります。

それと、若者というと、車という時代もありました。大学生で車を持つ人も結構いましたし、高校卒業したばかりで勤めはじめたばかりの若者が、かなりの高級車を所有するというのも当たり前の時代がありました。

その当時は、若くても将来は給料があがっていくという見込みがあったので、車のディーラーも競って若者に車を売ることができました。それに高級車であれば、再販して、若者にさらに上の車を比較的安く売るということもできました。

人々のインフレ期待は、このように経済を活性化していくのです。これからも、デフレが続くと頑なに思い続けるのは間違いですし、緩やかなインフレになれば、給料がすぐ倍になると考えるのも間違いです。

これから、社会がどう変わっていくのか、これからの社会に必要とされるものは何なのか、それを示す兆候は、現在の社会をみれば、いたるところに見られます。

景気が良くなれば、すぐに給料が倍になるなどと思い込むような人は、そのような目にあうことは滅多にないでしょうが、現在ある小さな変化で、今後大きくなるであろう変化を見極めることができる人にはビジネスチャンスが舞い込んできて、2倍どころか、20年後には、10倍、100倍にもなっているかもしれません。

それが、緩やかなインフレの時代の常識です。

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