2017年7月19日水曜日

加計問題を追及し続けるマスコミの「本当の狙い」を邪推してみた―【私の論評】安倍政権支持率低下の原因はネガティブキャンペーンだけではない(゚д゚)!

加計問題を追及し続けるマスコミの「本当の狙い」を邪推してみた

加戸守行前愛媛県知事(左)と前川喜平前文科省時間(右)  写真はブログ管理人挿入 以下同じ
   苦しい答弁

先週10日、加計学園問題について国会閉会中審査が行われ、前川喜平前文科事務次官らの参考人招致があった。読者のなかにも、注目してみていた人が多くいるだろう。

加計学園問題の本質は、先週のコラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52245)に書いたように、2003年3月の文科省告示である。

前川氏に対する質疑では、自民党参議院議員の青山繁晴議員のものがもっとも良かった。青山議員は、「石破4条件」における文科省の挙証責任、既存大学の獣医学部の定員水増し問題、そして文科官僚の天下り問題との関係について質問していた。

まず挙証責任については、前川氏は当初行った記者会見では「文科省にはない」と言っていたが、さすがにそれではまずいと思ったのか、どこにあるとも言わずにはぐらかしていた。

また、既存大学の獣医学部では、全国で総数930名の定員に対して1200名までの「水増し入学」を黙認している現状がある。これで「需要と供給が均衡している」と文科省が判断しているとすればおかしいのではないか、と青山氏は質問している。これに対しても、前川氏は「既存の体制のままでいい」と苦しい答弁だった。

文部官僚の天下りが大学新設規制に関係しているのではないか、という点についても、前川氏は「関係ない」と述べたが、これらが関係しているのは霞が関の「常識」であり、規制がなければ天下りもあり得ないということは、前川氏だって知っているだろう。

青山議員とのやりとりで、筆者には、前川氏は平然とウソをついているように見えた。

閉会中審査で質問する青山繁晴議員
特筆すべきは青山議員が、前川氏と一緒に参考人招致を受けた加戸守行前愛媛県知事(文科省OB)に対しても質問をして、両者の発言の対比ができるようにしたことだ。

青山議員はマスコミ出身だが、この対比手法こそ、一部のマスコミへの強烈な批判になっていた。というのは、一部のマスコミはこうした手法をまったくとらず一方的な意見だけを垂れ流しているのだ。それは、12日の産経新聞に詳しい(http://www.sankei.com/politics/news/170712/plt1707120010-n1.html)。

加戸前知事は「ゆがめられた行政が正された」などと文科省の過去の対応を批判したが、この発言について、朝日新聞と毎日新聞の紙面では取り上げていない。産経新聞と読売新聞が取り上げたのとは大きな差である。

テレビでも同様の傾向があった。前川氏の発言はどの局でも取り上げられたが、加戸氏のものはほとんどなかった。

もっとも今は、インターネットがある。青山議員の質疑は、参議院のサイト(http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?ssp=31131&type=recorded)にアップロードされているので、是非ご覧いただきたい。加戸氏は「マスコミが自分の意見を取り上げないので、ネットの動画を見て欲しい」という趣旨の発言もしているため、ますますマスコミは加戸氏の発言を使えないだろう。

さらには7月14日(金)、京都産業大が国家戦略特区を利用した獣医学部の新設を断念した経緯について、記者会見を行った(http://www.yomiuri.co.jp/politics/20170715-OYT1T50005.html)。その理由は、「教員確保が困難だったため」としたうえで、今回の戦略特区の選定作業が不透明だったか否かについては、「不透明ではなかった」と明言している。

加計学園問題についてマスコミや野党が流布してきたストーリーは「学園の理事長が安倍首相の友人であるから、特別に優遇された」というものだった。しかし、加戸氏の国会証言と京産大の記者会見によって、このストーリーは崩れたのだ。

   謝るべきは民進党では?

これまでの本コラムでも書いてきたように、文科省と内閣府の両者が合意済みの、過去の戦略特区関係の議事録を見れば、「文科省内のメモ」にすぎない件の文書は信憑性がなく、手続きはすべて公正に行われたことが読み取れる。それが当事者間の証言によって改めて裏付けられたと言っていいだろう。

繰り返すが、文科省行政の「歪み」を示す証拠として筆者が取り上げてきた文科省告示は、大学新設申請をさせない「門前払い」のためのルールである。

結局、今年1月にやっと文科省告示の「特例」を出して、ドリルの穴をあけたが、それは、学部新設の認可ではなく、あくまで申請していいという「特例」なのだ。実際に、学部新設が認められるかどうかは、文科省において適切に審査される。「特例」では申請するだけなので、常識的にいっても「順番」が重要だ。

この点、7月14日に記者会見した山田啓二・京都府知事は「愛媛県は10年間訴え続けたのに対して、こちらは1年。努力が足りなかった」と述べた(http://www.sankei.com/west/news/170715/wst1707150016-n1.html)。これが妥当な意見だろう。

この「順番」を役所の言葉で言い換えると「申請の熟度」という。申請が前であるほど、準備がよくできているという意味の表現だ。今回のケースはまさに「申請の熟度」の問題そのものだった。この順番をひっくり返したら、それこそ権力の濫用と言われかねない。

いずれにしても、こうした当事者の意見が出てくると、これまで加計学園問題を「行政が歪められたもの」として追及していた者はつらいだろう。それは、前川氏に乗っかった一部マスコミと野党である。

民進党の蓮舫代表は「京都産業大は被害者だったのではないか」と語った(http://www.yomiuri.co.jp/politics/20170715-OYT1T50099.html)。民進党の的外れな追及があったので、京産大はやらなくてもよかった記者会見をやらざるを得なくなったわけで、むしろ謝るべきは民進党ではないか。

ついでに国民にも、無駄な時間をかけてこの問題を国会で追及したことを謝るべきだ。獣医学部新設の抵抗勢力である獣医師会から政治献金をもらった議員が、この問題を追及するというのは、国民に申し開きができないだろう。

この種の疑惑では、まずカネの流れをチェックするのがセオリーであるが、追及する側の民進党議員に疑惑があるようでは話にならない(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51813)。

    あまりに不毛

筆者がこの問題に興味をもったのは、本件については、マスコミの報道のしかたがあまりに通常のものとかけ離れていたからだ。筆者がテレビに出演した際にも、「キャスターに意見を遮られる」といった珍しい体験をした。

そして本件に過剰反応しているのは、たいてい安倍政権が嫌いな人々だ。多くの場合、憲法改正を嫌っている人々でもある。

安倍政権が憲法改正に取り組むと明言した5月3日以降、こうした反発が強くなっているような気がする。もっとも、その俎上に上がっている(1)憲法9条、(2)憲法29条の改正は、彼らにとっても批判の筋道が立てづらいものになっている。

具体的にはこういうことだ。

(1)憲法9条では、現行の1、2項はそのまま、3項で自衛隊を規定するだけだ。これは公明党が言うところの「加憲」であり、現行の自衛隊を憲法に明記するだけなので、反対しにくい。

一部の野党などは「どのような理屈を並べようと、憲法の平和主義を踏みにじることに変わりない」と勇ましいが、この「加憲」は彼らの中にも主張していた人がいるくらいで(保守系からは評判が悪いものの)、リアリストである安倍首相の真骨頂だ。

(2)憲法29条の改正の目的は、教育無償化である。これに対して「憲法改正など必要ない。個別法を改正すればいい」という反論が多いが、これでは積極的な反論になっていない。教育無償化を法改正で実現することは確かに可能だが、その場合、財務省の思う壺だ。というのも、法律での規定は必ず財政法の枠内になる。

そうすると、原則的に国債発行ができないため、無償化の財源確保のために増税か歳出カットが必要になる。必要財源は数兆円にのぼるので、日本経済を壊してしまう可能性が高い。

現在の状況は、一部のマスコミと野党が、憲法改正を阻もうとするために加計学園問題を利用しているのではないか、と邪推してしまいそうになるほどだ。もしそうなら、あまりに不毛である。

【私の論評】安倍政権支持率低下の原因は、ネガティブキャンペーンだけではない(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事で、高橋洋一氏がマスコミの報道の仕方について、問題点を指摘しています。確かに、これにはかなり問題があります。しかし、最近安倍政権の支持率が落ちたのは、マスコミのネガティブキャンペーンによるものだけであると断定する前に、過去をふりかえってみる必要があります。

2015年の集団的自衛権を含む安保法案の改正のときにも、マスコミは日々大ネガティブキャンペーンを展開しましたし、シールズのような団体が連日「アベ辞めろ」「戦争法案反対」と繰り返しました。それをテレビは毎日報道し続けました。それでも安倍政権の支持率はほとんど落ちませんでした。にもかかわらず、今回は支持率がかなり落ちています。

2015年の戦争法案反対デモ。法案成立して2年近くたちますが戦争は起こっていませんが、何か?
これには、野党による追求や、マスコミによるネガティブキャンペーン以外にも、何か理由があるものと考えられます。それは何かといえば、やはり経済だと考えられます。安倍政権が登場したばかりの頃は、機動的財政政策や異次元の金融緩和への期待度は嫌がおうでも高まりました。

これに対して、いわゆる岩石理論により、金融緩和をすればハイパーインフレになるとか、金融緩和をしても景気は良くはならないという識者もいましたが、結局はそのようなことも起こらず経済指標は軒並み改善していきました。

しかし、平成14年に消費税増税が行われてからは、状況は一変しました。個人消費が落ち込み、GDPは伸びず、デフレにまた戻りかねないような状況が続きました。その中にあつてハロウィーン緩和もあって、雇用だけは改善していきました。

2014年10月31日の「ハロウィーン緩和」を発表する日銀黒田総裁
実際に、消費増税が行われた14年以降においては、政府が実施してきた中で、消費増税の先送りや毎年の最低賃金引き上げ、そして昨年度末の補正予算ぐらいが「意欲的」な政策姿勢だったという厳しい評価もできます。2%のインフレ目標の早期実現を強く日銀に要請することはいつでもできたはずです。ある意味で、雇用の改善が安倍首相の経済政策スタンスの慢心をもたらした、ともいえます。

さらに、自民党内には、安倍首相と同じリフレ政策の支持者は、菅義偉官房長官はじめ、自民党内にはわずかしかいません。ただし、二階派は、プライマリーバランスは先送り、景気が先としています。しかし、石破氏はもとより他の派閥は全部増税派です。

そうして、次の日銀の正副総裁人事が来年の3月に行われるはずですが、そのときに最低1人のリフレ政策支持者、できれば2人を任命しないと、リフレ政策すなわちアベノミクスの維持可能性に赤信号が点灯することになります。

このリフレ政策を支持する人事を行えるのは、安倍首相しかいないのです。それが安倍政権の終わりがリフレ政策のほぼ終わりを意味するということです。

もちろん日銀人事だけの問題ではありません。仮に日銀人事をリフレ政策寄りにできたとしても、政府が日銀と協調した財政政策のスタンスをとらないと意味はありません。デフレを完全に脱却するまでは、緊縮政策(14年の消費増税と同様のインパクト)は絶対に避ける必要があります。デフレ脱却には、金融政策と財政政策の協調、両輪が必要なのです。

ここにきて、直近では財務省人事や産業経済省の人事などで、増税派が順調に出世したことなどから、市場関係者には安倍政権は経済を立て直しができないかもしれないという、ある種の失望感が生まれるようなっていたのだと思います。

ただし、、自民党の支持率も低下していますが、野党側も支持率を上昇させるどころか低下させています。

特に市場関係者による失望は、自民党の支持率の低下をまねいているようですが、かといって他党を支持するには至っていないようです。なぜなら、自民党政権は経済を立て直しができないかもしれないという失望感があっても、ではそれかわって経済を立て直しすることができる野党がいるかといえば、そうではないからです。

実際、自民党以外の政党は、ほとんどが増税派です。政権交代したとしても、増税を阻止することとはできません。それどころか、さらに加速することになるだけです。

こうした市場関係者の失望感と、最近のマスコミなどのネガティブキャンペーンなどにより、支持率が下がったのだと考えられます。そうでないと、最近の著しい支持率の低下は説明がつきません。マスコミによるネガティブキャンペーンにだけが原因であるとは、到底思えません。そうして、この隙に乗じて、増税派(政治家、官僚、マスコミ等)がまた暗躍をはじめています。この増税派の暗躍も各方面で影響与え、支持率を落としている可能性もあります。


さて、安倍首相はこのまま党内闘争に巻き込まれ、守勢に立たされるのでしょうか。それとも攻勢に出るのでしょうか。そのきっかけは大胆な内閣改造や、より強化された経済政策を行うことにあるでしょう。後者は18年夏頃までのインフレ目標の達成や、教育・社会保障の充実などが挙げられますが、端的には減税が考えられます。何より国民にとって目に見える成果をもたらす政策パッケージが必要です。それこそ消費減税がもっともわかりやすいです。

消費税の減税は、国民が目に見えてわかる経済対策です。これを実行することにより、安倍政権は、また2013年の振り出しに戻ることができます。そうして、雇用は当事よりも格段に良い状況からスタートできます。

2012年に政権交代の選挙が始まる前から、市場は敏感に反応し株価がすこしずつ上がり始めていました。

そこから、順調に経済を発展させることができれば、2020年あたりには、少なくともこれから経済がかなり回復することになると、有権者が信じられる状況になるかそれ以上になります。これがうまくいけば、安倍政権は長期政権となり、憲法改正も成就することでしょう。

ただし、これは序盤にすぎず、新たな憲法をつく出すことこそ、安倍総理の理想だと思います。ただし、これは安倍総理では成し遂げることはできないでしょう。次の政権への宿題になることでしょう。

また、これを有権者に訴えるためには、人事も重要です。コントロールには様々な方法がありますが、人事こそ最大のものであり、真のコントロールです。政策・法律が良くても、人事が駄目なそれを実行に移すことはできないのです。市場は、一部の財務省におもねる人たちや、マスコミに媚びへつらう人たちは除いて、そのほとんどが厳しい現実の中で鍛え上げられた実務家たちの集まりであり、それらの人々は人事を重視します。

さらなるアベノミクスの拡大には実現の余地はあります。ただ、それを行うだけの政治力が安倍首相にまだ残っているかどうか、そこが最大の注目点です。それを占うには、まず8月の組閣において明らかになることでしょう。それに続き、次の各省庁の人事で、安倍首相の本気度がうかがわれることになると思います。

ブログ冒頭の記事で、高橋洋一氏は、憲法改正について「リアリストである安倍首相の真骨頂だ」と高い評価をしています。経済面でも、安倍総理にリアリストの本領を発揮していただきたいものです。

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2017年7月17日月曜日

二重国籍解消の自民・小野田紀美氏が蓮舫氏を猛批判「ルーツや差別の話なんか誰もしていない」「合法か違法かの話です」―【私の論評】日本でも、国会議員や閣僚は、多重国籍を禁止すべき(゚д゚)!

二重国籍解消の自民・小野田紀美氏が蓮舫氏を猛批判 「ルーツや差別の話なんか誰もしていない」「合法か違法かの話です」
自民党の小野田紀美参院議員
 民進党の蓮舫代表の「二重国籍」問題で、蓮舫氏が公的書類公開を表明しながら戸籍謄本公開に難色を示していることを受け、自民党の小野田紀美参院議員が自身のツイッターで「国籍法に違反していないことを証明できるのは、国籍の選択日が記載されている戸籍謄本のみです。ルーツや差別の話なんか誰もしていない」などと立て続けに批判した。

 小野田氏自身も昨年10月、米国との「二重国籍」状態だったことが発覚し、その後手続きをとって今年5月に正式に解消した。自身のフェイスブック上で戸籍謄本や米国籍の喪失証明書を公開している。

 小野田氏は、蓮舫氏が13日の記者会見で公的書類を公開すると表明したことを受け、翌14日に国籍に関するツイートを相次いで投稿した。蓮舫氏を名指しせずに「国籍法14条の義務である日本国籍の選択を行ったかどうかは戸籍謄本にしか記載されません」と紹介し、戸籍謄本を公開する必要性を説いた。

 その上で小野田氏は、蓮舫氏が個人のプライバシーを理由に「戸籍を差別主義者、排外主義者に言われて公開するようなことが絶対にあってはいけない」と発言したことを念頭に「公職選挙法および国籍法に違反しているかどうか、犯罪を犯しているかどうかの話をしています。日本人かそうでないかの話ではない。合法か違法かの話です」と断じた。

 小野田氏のツイートには「なるほど! だから蓮舫さんはかたくなに戸籍謄本の公開を避けているのですね」「小野田さんが言うと説得力があるね」「テレビなどでこの件について詳しい説明をしていただけないでしょうか。都合の悪いことは報道しない自由を振りかざすマスメディア相手では困難はあるでしょうが」-など多数のコメントが寄せられている。

【私の論評】日本でも、国会議員や閣僚は最低限、多重国籍を禁止すべき(゚д゚)!

以下に小野田議員のツイートを掲載します。
民進党の蓮舫代表のいわゆる「二重国籍」問題について、金田勝年法相は昨年の10月18日の記者会見で、一般論と断りながら、「法律の定める期限後に日本国籍の選択宣言を行った場合、それまでの間、国籍法上の国籍選択義務14条に違反していた」と述べたいました。

国籍法は20歳未満の人が二重国籍になった場合、22歳までの国籍選択を定めている。蓮舫氏の国籍選択宣言は今月で、国籍法違反の状態が25年以上続いていた可能性が高まっている。

蓮舫氏は今月、都内の区役所に提出した台湾籍の離脱証明書が受理されなかったとし、「(日本国籍の)選択宣言をした」と述べていました。関係者によると、宣言は昨年10月7日付といいます。

国籍法では、二重国籍の人が日本国籍を選ぶ場合、(1)外国籍離脱を証明する書面を添えて外国国籍喪失届を出す(2)日本国籍選択の宣言をし、かつ外国籍離脱の努力をする-の2つの方法があります。

ただ、政府は台湾を正式な政府として認めていないため、台湾当局発行の国籍離脱証明書は受理していません。このため、台湾出身の二重国籍者の場合は(2)の方法を原則22歳までに求められています。

一方、蓮舫氏は昨年10月16日、訪問先の熊本県で記者団に対し「法務省から(国籍法)違反に当たらないとの考え方を文書で頂いた」と述べていました。これについて金田法相は再び一般論とした上で、「期限後に(法の定めることを)履行しても、それまでの間は違反していたことになる」と強調しました。

蓮舫氏
ただし、違法だからといって、特に罰則規定が定められているわけではないので、特に一般人や、一般人でなくても、芸能人などが蓮舫氏のように、二重国籍問題があったにしても、ほとんど何も問題はないでしょうが、やはり、政治家、それも野党第一党の党首ということであれば、非常に問題です。

これに関して、左翼系はどのように思っているのでしょうか。

以下に、朝日新聞の鮫島記者のツイートを掲載します。朝日新聞社の鮫島浩と言えば、プロメテウスの罠「手抜き除染」の捏造報道で新聞協会賞を獲ったものの、新潮に自作自演を暴露された特別報道部次長です。

鮫島浩
やはり、戸籍を公開するかもしれない蓮舫氏に対し三行半をつけているということのようです。もしあくまで、戸籍を公開しないというのなら、徹底的に擁護するつもだったのでしょう。

ちなみに、現状では公職選挙法でも二重国籍を罰する規定はありません。あくまで選挙に出るためには、日本国民であることが必要であるだけであり、重国籍であったとしても、選挙権に影響を与えるわけではないのです。

蓮舫代表の二重国籍の問題には、現実的に罰則や、公職選挙法上の問題は生じ難いことがいえます。このため、よく聞く汚職、脱税、男女トラブルの問題のようなはっきりとした違法の問題とは状況が違うとはいえるでしょう。

そのため、鮫島浩氏のような左翼は、二重国籍など違法であったにしても、罰則規定も何もないのだから、蓮舫氏には、国籍問題などには拘泥すべきでないとしているのでしょう。

一方、小野田紀美氏は、罰則規定があるなしにかかわらず「違法か、合法か」という事自体が問題であるとしているのです。

しかし、国籍をふたつ持っているということは、ふたつの国の国民であるということです。

このため、極端な例ではありますが、「日本の総理大臣が、いつか中華民国総統になりうる」という事態を生じる可能性を持っています。

こと国家の意思決定を担う政治家を、重国籍の人が担うことの意味は、よくよく話し合われるべきものといえます。

だからこそ、蓮舫代表には、この点の説明や対応が求められているのです。

諸外国では、どうなっているのでしょうか。オーストラリアの野党・緑の党に所属するスコット・ラドラム上院議員(47)は今月14日、二重国籍と知らずに過去9年間、議員活動をしていたとして、議員を辞職しました。移民国家の豪州では二重国籍は珍しくないが、議員の二重国籍は憲法で禁じられているのです。

スコット・ラドラム上院議員
ヨーロッパでは、テロ事件以来、国民意識が高揚しており、そのなかで、国家への忠誠求める風潮が、極右などでなくても高くなっています。

そこで、プーチン大統領は、最近、帰化するときに厳密な忠誠宣言をさせることを決めました。韓国などでも同様ですから、日本に帰化するときに、何の忠誠宣言も求めないのはとんでもないことで。日本に心を売らないが、日本のパスポートの方が便利だからとかいった芸能人がいたが許せないことです。

ヨーロッパでは義務兵役があったときは、二重国籍でも、どこでそれを果たしたかで忠誠対象を判断できましたが、兵役廃止で意識が希薄になったことに悩んでいます。また、女性の地位が高くなると女性の忠誠はどう確保するかも問題です。

そこで、スウェーデンに続き、フランスでもマクロン新大統領が男女共通軍事教練の義務化を公約にして当選しました。女性も軍事教練と愛国教育を受けなければならないことになりそうです。

まして、政治家では、先オーストラリアの例もありますが、韓国では、康京和外相の任命にあたり、娘の二重国籍が合法的なものにもかかわらず、問題視されました。

イラン司法当局は16日、同国の裁判所が米国と第三国の二重国籍者に、違法な情報収集活動を行ったスパイ罪で禁錮10年の判決を言い渡したと発表した。

日本でも、国会議員や閣僚は最低限、禁止すべきです。法的整備も急ぐべきだが、まず、与党が次回の国籍選挙で、二重国籍者は公認しないという姿勢を明確にして欲しいものです。

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2017年7月16日日曜日

雇用増で結果を出す長期政権…財務省の管理と日銀人事に力 株価も上昇―【私の論評】小学生にも理解できることを理解しない馬鹿が日本をまた駄目にする(゚д゚)!

雇用増で結果を出す長期政権…財務省の管理と日銀人事に力 株価も上昇

 国の経済パフォーマンスを計る際に、どんな指数や指標を選ぶかは重要である。筆者は、雇用こそ国の政策の基本だと考えているので、就業者数をあげてみたい。

 平成以降の政権の寿命をみてみると、小泉純一郎政権と第2次安倍晋三政権だけが長期政権で、その他は1、2年でつぶれた短命政権であった。

小泉純一郎氏 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 この2つの長期政権は、短命政権と比較して、デフレこそ悪であると規定して、日銀人事をうまく使って金融緩和をやり、雇用を良くした点に特徴がある。

 筆者はこの2つの政権の近くで、その経済運営をみてきた。小泉政権では金融政策は前面に出してはおらず、竹中平蔵・経済財政相がマクロ経済運営の中で実施していた。一方、第2次安倍政権では、アベノミクスの「3本の矢」でもわかるように金融政策が前面に出ている。筆者の知るかぎり、安倍政権は戦後史で金融政策の重要性を理解した唯一の首相が率いる政権である。

プレミアム・フライデーに座禅を組んだ安倍総理
 なぜ金融政策が重要かといえば、雇用を改善する必要条件であるからだ。ただ、マクロ経済政策において、金融政策と並ぶ財政政策も、雇用では重要な役割を果たす。

 実は、雇用が良かったのは、平成以降の政権では橋本龍太郎政権(前半)、小泉政権(後半)、そして安倍政権しかない。橋本政権は大型公共投資を実施したことで出足が良かったが、1997年4月からの消費増税でその成果がふっ飛んだ。

 一方、小泉政権は発足当初から消費増税はやらないと宣言していた。安倍政権は2014年4月からの消費増税で一度失敗したが、強力な金融緩和で持ちこたえ、2回目の失敗はしていない。

 なお、マクロ経済政策を行う上で、長期政権は、財務省の管理と日銀人事をうまくやったことにも共通点がある。財務省のコントロールについて、小泉政権では、表だって公務員改革・天下り規制を行わなかったが、郵政民営化とともに政策金融改革も行い、政策金融機関の整理統合を実施したことで事実上の天下り規制にもなった。安倍政権では、公務員改革基本法などで天下り規制をし、内閣人事局を作ることでにらみを利かせた。日銀人事に関しては小泉、安倍政権は他の政権よりうまかった。特に安倍政権では首相が先頭で主導している。

 金融緩和をすると雇用の増加につながるが、それと同時に株価も上がる。ただ、株式市場は先取りして動くので、株価は半年後の就業者数と9割近い高い相関を持っている。つまり、雇用を増やした政権は、結果として株価も高くなっている。

 この意味で、雇用を重視すべき左派政党が、株式市場が活況になると、格差問題を持ち出し、資産家とそうでない人の格差が広がると批判するのは、かなり滑稽だ。

 株価が上がるのは、経済の先行きが好調であることの予兆であり、雇用の確保につながるからだ。もちろん株式市場の将来予測は完全ではないが、過去のデータではまずまずの結果となっている。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】小学生にも理解できることを理解しない馬鹿が日本をまた駄目にする(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事では、以下のように掲載されています。
実は、雇用が良かったのは、平成以降の政権では橋本龍太郎政権(前半)、小泉政権(後半)、そして安倍政権しかない。橋本政権は大型公共投資を実施したことで出足が良かったが、1997年4月からの消費増税でその成果がふっ飛んだ。 
 一方、小泉政権は発足当初から消費増税はやらないと宣言していた。安倍政権は2014年4月からの消費増税で一度失敗したが、強力な金融緩和で持ちこたえ、2回目の失敗はしていない。
これは、以下のグラフを見ると、はっきり理解できます。

さて、安倍一次政権は短命でしたが、その理由の一つにそ小泉政権のときには金融緩和を実施していたにもかかわらず、その末期には金融引締めに転じたというこしともありました。

日本は当時の統計資料が示すところでは、2006年、2007年と需要不足ではありませんでした。需給ギャップはゼロだったのです。2006年は、小泉(純一郎)内閣から第1次安倍(晋三)内閣に引き継ぐ年でした。

あのまま日銀が金融緩和政策をそのまま続けていれば、日本のデフレは克服できていたはずでした。ところが、何を思ったか2006年3月に、日銀はそれまで5年間行っていた量的緩和をやめて金融を引き締めました。

これによって、皆さんご存知のように、デフレ克服はできなくなりました。私はそういう意味で、日銀の責任は極めて大きいと思います。本当に大罪を犯したと思います。これは、本当に腹立たしい出来事でした。

そのことを、同じように悔しい思いで見ておられたのが、当時内閣官房長官だった安倍晋三氏だったのです。そうして、第一次安倍内閣で、総理大臣になりましたが、結局短期政権で終わることになりました。

そのため、第二次安倍政権で、総理になってすぐ日銀と政府との関係を変えたのです。

日銀と政府の間で、明示的な2%の物価目標というアコード(政策協定)を結んで、それを実行するために新しい総裁を置いたのです。新しい総裁に就任された黒田東彦さんは、経済学の高い知見を持った人です。

そうして、2013年4月4日の最初の日銀政策決定会合で、2年間でベースマネーを2倍にするという非常に分かりやすいメッセージを出しました。

ただし、2014年4月から8%の消費税増税が行われ、せっかくの金融緩和の効果がそがれてしまいました。しかし、上の記事にもあるように強力な金融緩和で持ちこたえ、2回目の失敗はしていません。その政策を今も継続しているわけです。

そうして『アベノミクス』の1本目の矢はちゃんときき、現状では雇用情勢はかつてないほど良くなっています。

ブログ冒頭の記事にもあるように、安倍政権は戦後史で金融政策の重要性を理解した唯一の首相が率いる政権です。それは、以上の事実からも十分うかがい知ることができます。

結局は、安倍政権の経済対策は消費税増税でのつまづきと、現時点ではいまだ失業率が3%台と高くさらなる追加金融緩和が必要なのに、未だ実施されていないなど、十分とは言えない面もあるのですが、それにしてもかなりの成果をあげているのは間違いないです。

そうして、民進党などの野党は、野党やまともな対案を出せないので、森友・加計学園問題などのフェイクニュースや選挙妨害などの奇手を使って政権のイメージダウンをはかり、ともかく安倍政権が終わる=アベノミクスを終わらせれば、あとはどうにかなると思っているのでしょう。

そうして、マスコミはその尻馬に乗ってフエイクニュースを大拡散したり、報道しない自由を満喫しているという状況です。


フェイクニュースの事例 握手拒否はなかった、あったのは写真撮影の拒否


残念ながら、現状では安倍政権が終了して、アベノミクスが終わった場合、その後いかなる政権がついたにしても、日銀が金融引き締めに転じ、それが故に日本は再びデフレスパイラルの底に沈み、雇用・経済ともに悪化し、それが故にかつてと同じように短命政権となります。

そもそも、残念ながら現状では安倍総理以外は、なぜデフレが良くないかその本当の意味を理解していません。デフレがなぜ良くないのか、それを理解するために何も小難しい理論など必要としません。小学生にでもわかる理屈です。

その理屈を以下に簡単に説明します。

デフレ下においては、お金を持っている人はモノを買ってはいけません。なぜならモノの価値が下がるからです。お金を持っている人は投資をしてはいけません。なぜなら投資の価値が下がるからです。お金を持っている人は何もしないでじっとしていなさい。そうするとリスクなしで、物の価値がどんどん下がっていくから、自分の資産が増えていきます。

つまり、デフレ経済の下では、消費も投資も進まないということです。経済が停滞するのは当たり前で、諸悪の根源はデフレにあると考えた安倍(晋三)総理は誠に正しいです。

であれば、デフレの原因は何なのかということですが、デフレとは、モノの値段が下がり、お金の価値が上がり続ける状態、つまり貨幣的現象です。したがって、デフレを解消するには、まず金融を緩和しなければいけないということになるのです。 

このような簡単な理屈を理解しているのは、野党側ではほんの一握りの人であり、与党側でも、公明党は皆無、自民党内でも安倍首相な菅官房長官を含めたごく一部の人だけなのです。マスコミも皆無といって良いです。

このような状況では、また日本はデフレスパイラルのどん底に沈み、せっかく良くなった雇用状況もまた悪くなるということがいつ起こっても不思議ではないのです。小学生にも理解できることを理解しない馬鹿が日本をまた駄目にするかもしれません。

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2017年7月15日土曜日

習氏、批判で袋叩き…劉暁波氏が死去 評論家・石平氏「中国共産党政権崩壊の始まりの日」―【私の論評】ところで劉暁波氏て何をした人?


7月14I日福岡天神で、中共による劉暁波氏殺害に対して、抗議の声をあげたランダム陽子さん
ノーベル平和賞を受賞した中国の民主活動家、劉暁波(りゅう・ぎょうは)氏(61)が13日、多臓器不全のため死去した。国外での治療を求めていた劉氏の希望を拒否し、当局の監視下に置き続けた習近平指導部に対し、国際社会からは強い非難の声が上がった。劉氏の存在感は死去後、さらに高まるとみられ、専門家は「中国共産党政権崩壊の始まりの日になるだろう」と指摘する。

 「中国政府は、彼の早すぎる死に対して重い責任を負っている」

 ノルウェーのノーベル賞委員会のレイスアンデルセン委員長は中国を批判する声明を発表した。

 ティラーソン米国務長官は声明で「中国に対して劉氏の妻、劉霞氏を自宅軟禁から解放し、本人の希望通り中国からの出国を認めるよう求める」と訴えた。ドイツのメルケル首相は「人権と言論の自由のための勇敢な闘士だった」と劉氏をたたえた。

 各国メディアも中国当局の対応を問題視する。仏紙ルモンド(電子版)は、中国が劉氏の問題を「欧米と(民主主義など)普遍的価値の非難に利用している」と批判。米紙ワシントン・ポスト(電子版)は社説で「劉氏は現代の権威主義を代表する中国の体制と最期まで執拗(しつよう)に、しかし平和的に戦い続けた」と論評した。

 香港の週刊紙「香港01」は妻の劉霞氏が7年間、軟禁状態にあることを指摘し、「その理由は国家の敵の妻であることだけだ」と訴えた。

 新華社電(英語版)によると、中国外務省の耿爽副報道局長は14日、劉氏への対応は内政問題だと強調し、「外国は不適切な意見を述べる立場にない」との談話を発表した。だが、批判は収まりそうにはない。

石平氏
 評論家の石平氏は「世界中に怒りが生じたのは、中国政府が事実上、劉氏を殺すべくして殺したからだ」と指摘。すぐに中国国内で動きはないとしながらも、こう続けた。

 「劉氏は今までは民主化運動のシンボルだったが、ある意味ではイエス・キリストになった。歴史的に見れば、2017年7月13日は『中国共産党政権崩壊の始まりの日』になるだろう」

【私の論評】ところで劉暁波氏て何をした人?

劉暁波氏(左)と妻の劉霞氏。撮影場所や日時は不明。広州市の活動家がツイートした

まず最初に、劉暁波氏のご冥福をお祈りさせていただきます。

大陸中国では、劉暁波氏はあまり有名ではないようです。それは政府が劉暁波氏に関わる情報を人民から遮断しているからです。一方日本では今回の件があったので、名前自体は結構知られるようになったようですが、その業績などについては良く知られてはいないようです。本日は、劉暁波氏の業績など掲載させいただきます。

中国作家劉暁波(りゅう・ぎょうは)氏は、2008年に「零八憲章」を書いたことで逮捕されたました。「零八憲章」は中国共産党の一党支配を終わらせるべきだとするもので、三権分立や民主化の推進あるいは人権保護などを訴えた憲章です。

中華人民共和国憲法にも言論や報道あるいはデモの自由は謳われているものの、一方では中国共産党を「中国を指導する党」と憲法で決めており、一党支配を批判する言動を行なった者は法に依らない逮捕拘束をしているとして、新たな国家のための憲章を起草した。
発表したのが2008年であることから、「08」を漢数字で書き「零八」(ぜろはち)とした。12月9日に発表しているのでまもなく7周年となります。

劉暁波氏は作家であり、2005年4月7日に「中共執政後対抗日歴史的偽造(中共執政後の、抗日戦争史に対する捏造)」というタイトルでアメリカにある中文ウェブサイト「博訊boxun.com」に投稿しています。これは『単刃毒剣』というシリーズの中の一つです。その要約を以下に掲載します。
中共が政権を掌握してからの「嘘による統治」および「歴史の捏造」は、「日本の右翼による侵略歴史への改ざん」を遥かに上回るものである。中共による自分自身の独裁統治に対する美化も、日本の右翼による軍国主義の美化よりもはなはだしい。 
1949年に中共が執政を始めて以来、ひたすら中日戦争の歴史を歪曲してきた。日本人はアメリカに負けたのであって中国に負けたのではないことは前に述べた通りだ。国共による抗日戦争の歴史の中で、中共はただひたすら嘘しかついてこなかった。 
蒋介石
当時の日本人だったら誰でも知っているだろう。戦っている相手は蒋介石であって毛沢東ではなく、日本が連合国の攻撃を受けて降参に追い込まれたとき、降参した相手は国民政府(国民党の政府)であって、中共に対してではないことを。 
もし日本軍が蒋介石を疲労困憊させていなければ、蒋介石の当時の実力と決意からすれば、中共を叩きのめすなど非常に容易なことで、中共が政権を奪うなどということは絶対にありえなかった。 
当時のドイツ軍風の装備をしていた国民党軍
 これに関しては毛沢東も政権掌握後否定していない。だから(建国後)日本人に会ったときに、毛沢東は自らこの事実を持ち出したのだ。 
1994年に中央文献出版社&世界知識出版社から出版された『毛沢東外交文選』によれば、 
毛沢東は1960年6月21日に日本の左派文学者・野間宏らに会った時、日本の皇軍に感謝する話をした(省略)。 
1964年7月10日に、日本の社会党の佐々木らと会った時も、佐々木が謝罪するので「謝罪などする必要はありませんよ。もし日本の皇軍が中国の大半を占領していなかったら、われわれは政権を奪取することはできませんでした」「皇軍が来たからこそ、われわれは国共合作をすることができて、だからこそ2万5千まで減っていた(中共の)軍隊は、8年間の抗日戦争の間に、なんと120万人の軍隊に発展することができたのです。皇軍に感謝しないでいいと思いますか?」などと回答している。 
1972年に日本の首相・田中角栄がやって来たときにも、毛沢東は「日本が中共を助けてくれたことを感謝します。もし抗日戦争がなかったら、中共は政権を掌握することはできませんでした」と語っている。 
1942年3月23日、延安高級技術幹部会議での毛沢東
その一方で、中国は教科書に何と書いているのか? 
たとえば2003年に人民教育出版社から出版された『全日制普通高級中学教科書(必修)』の『中国近現代史』下巻を見てみよう。そこには抗日戦争時代、いかに中共が積極的に日本軍と戦い、いかに主動的な役割を果たしたかが強調してあり、蒋介石・国民党軍の功績など、一文字たりとも書いてない。 
歴史教科書を書く中国の歴史家たちに聞きたい。 
あなたがたはなぜ、日本の歴史改ざんばかりを責め立てて、中共がここまで嘘で塗り固めた歴史の偽造をしていることに対しては一言も言わないのか? 
なぜ中共の歴史の歪曲に憤慨しないのか? 
この歴史家たちは皆、中共の意識形態(イデオロギー)部門が虚偽の歴史を製造する広大な工程に参画していることになる。 
仮に、中共が国内だけにおいて嘘をつきまくり愚民を育てようとしているだけで、対外的には中日戦争時の歴史の事実を尊重しているのだとしても、中共の一貫した「嘘をつく」本性は、人の信頼を得ることはできない。 
いったい誰が、毎日自国の民に嘘をつき続けているような政権を信頼することができるだろうか? 
いったい誰が、この御用史学者たちが、対外的にだけは誠実で嘘をつかないなどと信じることができるだろうか?
以上が劉暁波氏の論考の概略です。

これを読むと、劉暁波氏がいかに「中共が日中戦争史に関してついている嘘」に関して真摯に向き合っていたかがわかります。

このような政権の中で生きている中国の心ある民は、命を懸けて「日中戦争史を捏造する中共の罪」を問わないと、嘘で固めた中共が統治する中国の中で人間らしく生きていくことは不可能だと思い、闘っていたのです。この状況を変えなければ、中華民族の心は亡ぶと必至です。

そもそも、中華人民共和国(現在の大陸中国)の建国は、1949年10月1日です。この事実をもってしても、現在の中国が日本と戦争をしたなどというのは、間違いであることがわかります。

日本の敗戦は、1945年8月15日です。現在の大陸中国が建国したのは、その5年後です。この5年間は、中国の共産党軍と国民党軍との内乱があったのです。

もし、大陸中国の「中共が積極的に日本軍と戦い、主動的な役割を果たした」というのなら、日本の敗戦とともにすぐに独立できたはずです。しかし、現実には5年もかかったのです。そうして、中共軍といえば、大東亜戦争中には逃げ回っていたというのが実体で、日本軍と戦闘をしたなどという記録は残っていません。

では、なぜこのような歴史の修正を行ったのかといえば、それは共産党政府の統治の正当性を高めるためです。そもそも、大陸中国では建国以来国政において選挙が行われたこともありません。単に、内乱で国民党軍と戦って勝利しただけというのでは、多くの人民からその統治の正当性が疑われます。

だからこそ、抗日戦争なるフィクションをつくりあげ、統治の正当性を高めて、自分たちの政権を安定させようとしたのです。

「抗日戦争と世界反ファシズム戦争勝利70周年」の軍事パレードで
行進する中国人民解放軍兵士=2015年9月3日、北京

そうして、1990年代からは、江沢民によって組織的、体系的な反日教育がなされるようになりました。これも、共産党独裁体制の統治の正当性を高めるためです。これは、現在の習近平体制の中国にも引き継がれていて、大陸中国は恥ずかしげもなく抗日70周年記念軍事パレードを開催したことは記憶に新しいです。

このようなことは、何も劉暁波氏が明かさなくても、世界中の歴史家が理解している事実です。ただし、中国ではそうではないので、劉暁波氏が生命の危険までおかして、暴露したのです。

中国共産党は、無論この暴露を放置することはできません。放置すれば、自分たちの統治の正当性をかなり毀損されることになるからです。そうなれば、中国の現体制は崩壊しかねません。だかこそ、今回も劉暁波氏に対して最期まで、酷い仕打ちをしたのです。

日本人も、この現実に目を向けてほしいです。このような嘘は、中国が世界を征服するというようなことがない限り、隠しおおせるものではありません。

その事実が、中国人民の多くに知れ渡ったとき、現中国の体制は崩壊します。

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2017年7月14日金曜日

【炎上】テレビ朝日が蓮舫の「差別主義者、排外主義者」発言をカットして放送。不自然なVTRに―【私の論評】情報源が新聞・テレビだけの人は事実と情報操作を取り違える(゚д゚)!

【炎上】テレビ朝日が蓮舫の「差別主義者、排外主義者」発言をカットして放送。不自然なVTRに

腹BLACK 2017年7月14日

マスコミは安倍総理の「こんな人たちに負けるわけにはいかない」発言は散々偏向報道したくせに、民進党・蓮舫代表には忖度するようだ。

テレビ朝日の不自然な放送。

世間で最も注目されている部分が編集でカットされている。蓮舫は記者からの質問に対して次のように回答していた。

※太字の部分はテレビ朝日がカットした部分

蓮舫「我が国におきましては、戸籍というのは優れて個人のプライバシーに属するものであり、これまで私も言ってきましたけれども、積極的にあるいは差別主義者、排外主義者の方たちに言われてそれを公開するようなことが絶対にあってはいけないと今なお思っています」

ひとつなぎの発言であるため、なにも編集を加える必要はないはずなのに、テレビ朝日は蓮舫代表に気を配り、問題発言をあえて放送しなかった。

netgeek編集部の解説入り動画。

途中でシーンが飛んでいるので映像が継ぎ接ぎでつくられていることがはっきりと分かる。会見で蓮舫代表は確かに戸籍謄本の公開を求める国民を「差別主義者、排外主義者」と呼んでいた。証拠動画は以下の記事に残っている。

参考:【速報】蓮舫「戸籍謄本を公開するなんて言ってませ~ん!残念でした~!」

テレビ朝日は加計学園問題の決定的な証言もきちんと放送しなかった。加戸前知事の発言を16分13秒中に27秒しか使わなかったのは不自然だ。△マークの中で最も×に近い。

加計学園問題に関する参考人招致における各メディアの加戸愛媛県知事の発言の取り上げ方



今回の蓮舫代表の発言カットにより、皮肉にも加戸前知事が言った「YouTubeだけが事件の真実を表していた」という趣旨の発言と同じ結果になった。マスコミは結論ありきで情報操作を行い、国民を洗脳しようとしている。大げさな表現に聞こえるかもしれないが、森友学園、加計学園という2連続の冤罪で安倍内閣の支持率が急落したのを見ればマスメディアの影響は大きいと実感させられる。

テレビしか見ない人は騙されるに違いない。



テレビ朝日の放送では、蓮舫代表が会見でいかにも正論を言っているかのような雰囲気がつくられていた。肝心の「差別主義者、排外主義者」発言をなぜカットしたのか正当な理由を説明することはできないはずだ。

マスコミはなぜか森友学園問題での辻元清美の疑惑も、加計学園での玉木雄一郎議員の獣医師会との癒着も全然放送しない。おかしいことはおかしいと声を上げていきたい。

【私の論評】情報源が新聞・テレビだけの人は事実と情報操作を取り違える(゚д゚)!

上の情報操作をされたテレビ朝日のVTRの元の動画(蓮舫代表定例会見)を以下に掲載します。



蓮舫代表の「差別主義者、排外主義者」という表現は、昨日もこのブログで主張したように、蓮舫代表が戸籍謄本などの資料を公開すべき考える国民のことを指しているとしかとりようがありません。

公開しなくても良いと考える国民も存在することでしょう。しかし、公開すべきと考える人も多いはずであって、しかもそれは疑惑を払拭する手段としてはもっともわかりやすいものであると考えられます。

こういう国民を「差別主義者、排外主義者」とレッテルを貼っているわけです。これをテレビ朝日は、カットしているわけです。この部分は確かにかなり重要な部分です。

これは、テレビ朝日がこのようにあまりにも不自然な情報操作をするので、目立ちますが、上の「加計学園問題に関する参考人招致における各メディアの加戸愛媛県知事の発言の取り上げ方」の表をみてもわかるように、新聞でも、テレビでも不自然な情報操作をしているところかあります。

このような不自然な情報操作は、無論今に始まったことではないですし、戦後急にそうなったということもありません。



これは、戦前とまったく同じ構造で、リベラル・左派系の識者とマスコミの官僚依存・デフレ体質での政権攻撃は、日本社会の伝統芸と言って良いくらい、くりかえされてきたことです。これは、戦前も今でも驚くほど類似しています。ただ、当時と現代とでは、テクノロジーが発展して、現在ではテレビがあることと、ネットがあるという違いがあるというくらいなものです。

そうして、このような戦前の状況に対して、現在ではネットがあるので戦前の過ちは繰り返されないだろうという人々もいますが、それも心許ない状況です。

確かに、戦前はネットは存在していませんでした。しかし、それに変わるものとして、いくつかの小新聞がありました。しかし、この小新聞の多くは確かにまともな報道をしていたものも多数あったのですが、あまりにも弱小でした。

これに対して大新聞は、戦前には戦争を煽るような報道をしていたにもかかわらず、敗戦による決定的破綻以降は被害者面をしています。今回の安倍政権破壊キャンペーンは一体どうなるのでしょうか。

マスメディアの一角を担う新聞が、日刊新聞として発刊されだしたのが1870年(明治3年)からです。

当初、明治政府は、新聞の発行を奨励していたのですが、征韓論や民権論の流布をみて、政府への批判を抑えるために、明治8年、名誉毀損法や新聞条例を制定、そして罰則規定を設け、さらに発行禁止・停止処分を行いました。新聞は、猛烈な政府攻撃を行ったのですが、政府は、記者を禁固、禁獄処分にしました。

政府批判を繰り返す「大新聞(おおしんぶん)」といわれた政論新聞や、反骨ジャーナリストによる「独立新聞」は、政府の度重なる言論弾圧によって次々と抹殺されてしまいました。代わりに生き残ったのが「小新聞(こしんぶん)」といわれる商業新聞です。これは、一般庶民や婦人女子を対象にした娯楽本位のものでした。 朝日新聞 や読売新聞など、戦前・戦中を生き延び現存する大手新聞社の出自のほとんどがこの「小新聞」です。

また、毎日新聞は福地源一郎の「東京日日新聞」を淵源とします。これは明治政府の官報という性格のものでした。ちなみに福地は、明治維新前は幕府側に付き、維新後は薩長の明治政府に寝返った人物で有名です。

現存する大手新聞社の成り立ちは、娯楽本位の商業新聞か政府の公報(言いなり)機関だったのです。

さて、もともとは「小新聞」だった、新聞社のうち朝日新聞や、毎日新聞のように大新聞に成長したものもありました。

これら大新聞が、戦前には戦争を賛美しだしたのです。特に朝日新聞のそれは、酷くまさに戦犯といっても良いくらいの有様でした。しかし、マスコミが戦争を賛美するのはこのときが始めてではありませんでした。

その兆候は明治後期の日露戦争時からありました。戦争に消極的だった政府を煽って戦火を拡大させたのは、マスコミと言われています。戦中には「神風が吹いた」などと吹聴しながら、戦後には簡単な自己反省・批判を紙面に掲載しました。マスコミがある出来事や人物を煽ったり、持ち上げたりして、しまいに突き落とすやり方は今も昔も変わりません。

特に朝日新聞社は、満州事変が始まると戦争推進派の評論家などを動員し全国で講演会や戦地報告会を多数開催しました。またテレビ以前の映像メディアとして「ニュース映画」というものがあったのですが、朝日のカメラマンが現地で撮影してきた事変のニュース映画も全国で多数公開されました。

戦中のニュース映画

昔は普通の映画館に隣接して全国各地に「ニュース映画専門館」があったことを、団塊の世代ならかろうじて覚えているでしょう。もちろん、これらの朝日のキャンペーンは、この戦争が正義の戦いであるから、国民は軍部の方針を支持するように訴えたものです。
 
それだけではまだ不充分だと朝日は戦意高揚のための「国民歌謡」の歌詞を全国から公募しました。しかし応募作の中には朝日の意に沿うような作品がなかったのでしょう。結局朝日新聞記者の作品を当選作としプロの作曲家に作曲を依頼し完成したのが『満州行進曲』です。これは大ヒットし親しみやすい曲調からお座敷などでも盛んに歌われました。残念ながら、戦後作られた「反戦映画」にはこうしたシーンはほとんど出てきません。


当時、世の中には新聞を読まない人、ニュース映画を見ることができない人もたくさんいたのですが、そういう人々にこの歌は「戦争することが正しい」と教えました。その結果日本に「満州を維持することが絶対の正義である」という強固な世論が形成されまし。

軍部がいかに宣伝に努めたところでそんなことは不可能です。やはり、「広報のプロ」である朝日が徹底的なキャンペーンを行なったからこそ、そうした世論が結成されたのです。それゆえ軍部は議会を無視して突っ走るなどの「横暴」を貫くことができたし、東條(英機)首相も「英霊に申し訳ないから撤兵できない」と、天皇を頂点とする和平派の理性的な判断を突っぱねることができたのです。
 
新聞が、特に朝日が軍部以上の「戦犯」であるという意味がこれでおわかりでしょう。

朝日新聞社にとって極めて幸いなことに、戦後の極東軍事裁判(東京裁判)によって東條らは「A級戦犯」とされましたが朝日にはそれほどの「お咎め」はありませんでした。そこで朝日は「A級戦犯である極悪人東條英機らに弾圧されたわれわれも被害者である」という世論作りをこっそりと始めたのです。

たとえばその手口として「反戦映画」に「新聞社も被害者」というニュアンスを盛り込むというのがあります。「よく言うよ」とはこのことですが、特に団塊の世代の読者たちはずっと騙され続けてきたようです。いやひょっとして、今も騙されている人がいるのではないか。身近にそういう人がいたら、是非この一文を読ませてあげてください。

そして、戦後の大新聞はかなり画一的になってしまいました。なぜ日本の新聞がかくも画一的になったかといえば、その原因は戦時体制に遡ります。

近代日本における新聞の普及に一番役立ったのは戦争でした。特に日露戦争では朝日と毎日が、地方新聞の割り当てまで奪って、自社の記者を戦地に派遣し、写真、電送といった新技術で紙面競争をし、軍艦同乗記などのルポもので読者を獲得しました。

満州事変の時には、当初粛軍ムードだった朝日に対し在郷軍人会が不買運動をおこしたのです。あわてた朝日内部では販売が主導権を握り、毎日と同じく戦争賛歌の論調になっていきました。

部数へのこだわりが編集内容を簡単に変えたのです。当時、新聞は検閲の関係上、警察行政の管轄下にありました。やがて日中戦争が進んでくると、内務省警保局はより効率的に内容を検閲するため、新聞の数を減らしました。こうして1937年には1,422紙あったのが、1942年には情報局の管轄の下で一気に五十五紙にまで減りました。これが、現在に至る全国紙と地方紙一県一紙体制の始まりです。

このような上からの強制的な統合に対して、日本の新聞界は抵抗よりもむしろ歓迎しました。部数は十分に採算のとれる規模に拡大し、一県一紙体制の経営の安定で新聞社は事業体として近代化を遂げるきっかけを掴んだのです。但しそれは自由競争による淘汰を経ていません。あくまでも上からの近代化でした。検閲体制の下で、言論、報道の自由の大幅な制限を受け入れた代償として日本の新聞界の発展がもたらされたのです。

戦後、ドイツでは戦時中の新聞は全て廃刊になりましたが、日本の新聞は生き残りました。そしてこれが先進国に例をみない、異常な発行部数の多さにつながることになります。

“画一的” であるとか、“多様性がない”とかの問題より、売上げ(発行部数)のためなら、なんだってやる。その精神は、現代のマスコミに通じている。そのことの方が問題です。

そうして、戦後は戦争を賛美することに変わって、米国による“War Guilt Information Program"に従い、日本を貶めることに邁進したのが、大手新聞です。これは、太平洋戦争(大東亜戦争)終結後、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ/SCAP、以下GHQと略記)による日本占領政策の一環として行われた「戦争についての罪悪感を日本人の心に植えつけるための宣伝計画」です。ウォー・ギルトと略されることもある。

これについては、ここで述べていると長くなりますので、いずれまた機会を改めて論評します。

そうして、この大新聞の精神は現在のテレビ局にも受け継がれています。これは、当然といえば、当然です。大手のテレビ局と新聞社は同一の資本に属していることがほとんどです。いかにその資本関係を掲載します。

現在の資本関係
読売新聞グループ本社 - 日本テレビホールディングス(22.82%を保有)および日本テレビ系列局 
日本テレビはアール・エフ・ラジオ日本を45.26%所有 
朝日新聞社 - テレビ朝日ホールディングス(24.7%を保有)およびテレビ朝日系列局 
日本経済新聞社 - テレビ東京ホールディングス(33.3%を保有)およびテレビ東京系列局、日経ラジオ社(19.93%を保有) 
フジ・メディア・ホールディングス - フジテレビジョン(100%を保有)および系列局、ニッポン放送(100%を保有)、産業経済新聞社(40.0%を保有) 
東京放送ホールディングスはかつて毎日新聞社が大株主であり[8]、現在も役員を相互派遣している。
このような新聞社、テレビ局であるからこそ、情報操作をするのは当たり前といえば、当たり前です。

当然のことながら、情報源が新聞・テレビだけの人は多くのことで、事実とマスコミの情報操作取り違えることになります。このブログにも掲載したきたように、森友・加計問題なるものは、元々存在せず、マスコミの情報操作によって作為的に作り出されたものです。これで、内閣支持率がいっときでも落ちるのですから、やはり、戦前からのマスコミの伝統芸は未だ強く根付いていると言わざるを得ません。

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2017年7月13日木曜日

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遅すぎた戸籍公開…蓮舫氏「二重国籍」問題、第2ステージの開幕 八幡和郎氏緊急寄稿

蓮舫民進党代表 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 民進党の蓮舫代表は11日の党執行役員会で、自身の「二重国籍」問題をめぐり、戸籍謄本を公開する方針を明らかにした。25日にも開く党両院議員総会で事実関係を説明したうえで、近く謄本を公開するとみられる。東京都議選での民進党大敗を受け、党内外の公開要求に応じざるを得なくなったようだ。夕刊フジで昨年8月、この問題をいち早く指摘し、蓮舫氏の政治的資質を追及してきた評論家の八幡和郎氏が緊急寄稿し、「これは第2ステージの開幕に過ぎない」と、改めて宣戦布告した。

八幡和郎氏
 とうとう蓮舫氏が戸籍謄本を公開するそうだ。私が「“蓮舫代表”は適格か」「『日本国家への忠誠度』に疑問」と、夕刊フジに「二重国籍」の疑惑を書いてから、やっとここまで来た。特に、戸籍謄本は、言論プラットフォーム「アゴラ」編集部が昨年9、10月、公開質問状で開示を求めた書類の1つであるので感慨深い。一連の経緯は、自著『蓮舫「二重国籍」のデタラメ』(飛鳥新社)に詳しい。


しかし、蓮舫氏の問題の解明は、戸籍謄本の公開で終わるわけではない。何よりも、日本の戸籍法で認められていない「二重国籍」状態を長年放置し、その公開を約10カ月も拒み続けてきたことは、国会議員として決して許されない過去である。

戸籍謄本の公開で分かることは、「国籍選択宣言」という国籍剥奪につながることもある義務を、ようやく果たしたというだけのことだ。それで「二重国籍」が解消されたとは言い切れない。

アゴラ編集部は昨年10月の公開質問状で、戸籍謄本以外に、(1)台湾の当局から受け取った国籍喪失証明書(=これがないと『二重国籍』状態は継続していることになる)(2)台湾の大使館的な役割を担う台北駐日経済文化代表処に提出した台湾旅券を含むすべての書類-なども、すべて公開するよう求めている。

さらに、蓮舫氏に対しては、以下のことも問いただしたい。

「戸籍謄本を見れば容易に知ることができるはずの『国籍選択をしていないこと』に気がついたのはいつか? どんな経緯か?」

「タレント時代に、蓮舫氏は『父は台湾で、私は、二重国籍なんです』(週刊現代1993年2月6日発行号)などと発言している。これは『二重国籍』の事実を知っていたのか? 口から出まかせのつもりで言ったら、結果的に本当だったのか?」


蓮舫氏は公党の代表である。まさか、戸籍謄本を公開するときに、ごく一部だけ、それもコピーの公開にとどめることはないと信じたい。

ここまで、かたくなに公開を拒否していたのは、「何かほかに、国民に知られると都合が悪い重大な問題が記載されているのでないか」と、国民は考えているのである。

【私の論評】やはり戸籍謄本は公開せず!あきれた定例記者会見(゚д゚)!

民進党の蓮舫代表は13日の定例会見で戸籍謄本を公開するつもりはないと意思表明しました。これでは、八幡氏のブログ冒頭の記事での主張も前提が違ってくるでしょうから、これからはさらに厳しい批判を展開することになると思います。

事前の話ではしっかりと公開されるという話のはずだったのだですが一体どういうことなのでしょうか。以下のこの会見の動画を掲載します。



この動画の中から、「二重国籍」にかかわる部分のみをピックアップしているサイトがありましたので、その部分以下にコピペさせていただきます。

産経新聞
11日、執行役員会等で、戸籍謄本を公開する意向があるという形で報じられましたけれども、これについて真偽を改めて伺いたいと思います。
蓮舫
はい。あのー、戸籍謄本そのものとは言っていません。特に我が国におきましては戸籍というのは個人のプライバシーに属するものであり、これまで私も言ってきましたけれども、積極的に、差別主義者、あるいは排外主義者の方たちに言われてそれを公開することがあっては絶対にいけないと、今でも思っています。前例にしてはいけないとも思っています。
ただ、いち私人ではなく、いち公人ではなく、野党第一党の党首として、今特に安倍総理に対して強く説明責任を求めている立場からして、極めてレアなケースではありますけども、戸籍そのものではなくて、私自身が台湾の籍をすでに有していないことがわかる部分。これをお伝えするのは準備があるとお示ししたところです。

記者会見司会者


ちょっとその前にお伝えしておきますけども、あのー今日の戸籍関係についての発言はここまでにさせて頂きたいと思います。

何故なら、今、申請書類を出したり、証明書類を出したり、諸々の書類、それから法的な部分を踏まえながらですね、いま整理をしておりますんで、たぶん明日の夕刻までには、次のその諸々の書類の提示と、全てオープンにしますから、書類の提示と説明、この部分を18日の午後、最後の都議選の総括、そしてそのあと執行役員会と常任幹事会がございます。

その以降に、その説明を終えた以降に、本人が会見の場を持たせて頂きたいと、こう思っておりますから、今日、この場でいろんなことをお聞きしたことがあろうかと思いますけども、今手元の十分な資料もありませんし、しっかり見せるもの、公開すべきものはきちっと火曜日の日にお出しをして、しっかりと説明をしたうえで、それを見て頂いたうえで代表本人の意見といいますか、質問を受けさせて頂くということで約束させて頂きますので、その点はよろしくお願い申し上げます。

明日の夕刻には18日の日程確認をして、皆様方に連絡したいと思いますので宜しくお願い致します。

フリー宮崎
明日の夕刻までには明らかにして、18日にはブロック会議と仰いましたが、明日の夕刻に何を出すと仰ってるんですか?
記者会見司会者

明日の夕刻に18日の日程かんを出します。いま書類を整理中なんです。

経緯表も含めて、それから法的な部分も含めて作ってますから、それを整理してます。

謄本だけ開示すれはいいというわけではないと思ってますから、そこの部分も含めて整理中、それが明日の夕刻までにはしっかり確認できると思います。

夕刻といわず、わかった段階で18日の日程をお示しします。18日はっきりわかっているのは都議選の総括がございます。

そのあと執行役員会がセットされておりまして、常任幹事会がセットされております。それまでに重要な証明書類等々を踏まえてですね、皆様方にご開示いたします。

そこで代表が会見をさせて頂きます。そこで十分お答えしたいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。経緯について他にありましたらどうぞ。

記者
会見も同じ日にやるんですか?
記者会見司会者
はい。やらせて頂きます。

宮島
ファクターの宮島です。
民進党の綱領にはですね、共生社会とあり、多様性を重視するとある。ま、そういう政党がね、私は考え方を伺いたいんですけど、そういうものをね、ま、それが最大の障壁らしいんですけど、公開するようなね、それって看板に偽りありじゃないですか?
先ほど仰った状況がどうじゃなくてね、本当に説明すべきは、先ほど仰ったようにね、安倍さんどうこうじゃなくて、もっと根本的な、党の綱領てらしてね、やっぱり変だなーとみんな思うと思うんですけど、それ伺いたいですね。中身じゃなくて。

記者会見司会者

ちょっと待ってください。賛否両論あろうと思います。いろんなお考えあろうと思います。
そこの部分はしっかり18日の日に時間をとらせて頂きますから、出すも、公開するものはして、本人の質問も受けさせて頂きますので、そこの意見の部分について、今日はいろんな部分含めて控えさせてください。経緯については結構です。内容については待ってください。
IWJ
説明責任と仰いましたが、何に関して説明をするというのが、この問題の当初からサッパリわからないんですれども、日本国籍であることは明らかなわけですから、二重国籍のことなのか、それとも説明が二転三転したことなのか、何について説明責任を果たそうとしているのかをお聞かせください。

記者会見司会者
その全てをきちっと説明したいと思います
それは先ほども言いましたように、謄本だけの開示だけではなく、本来これはすべきではないとおもってますが、謄本だけの開示ではなしに、これまでの離脱であったり、申請のパスポートであったり、あらゆる限りの書類関係を揃えて用意させて頂いてますから、今日のところは・・・(同じ説明なので略)
宮島
あのね、民進党という村では、女酋長いじめをしてるんだと、私には見えるんですけど、その点はどうなんでしょうかね。やはりこれは民進党の体質なんだと、背中から鉄砲うつと、そういうことじゃないんですか?

記者会見司会者
そのことは中身の分ですから(以下略)
朝日新聞
18日にされることとしては、代表の謄本含めた・・・

記者会見司会者

諸々の書類すべて出させて頂きます。
蓮舫
あのーすいません。今弁護士も含めて整理をしています。ただ多様性を否定するものでなく、わが党の仲間がどうのこうのというものでもありません。私は多様性の象徴だと思っています。その部分では共生社会を作りたいという民進党の理念には一点の曇りもありませ。ただ若干の曇りが私の二転三転した説明にあるという疑念が残っているのではあれば、そこを明確にさせていただきたい。そのことにつきます。
フリー寺田
内容には踏み込みませんから、代表が仰ったことをもう一回確認させてください。
台湾の国籍を有していない、と今仰っていましたが、その一方でしばさん(司会者)はあらゆるものを出すと仰っていましたが、どうなんですか。
蓮舫
あの、しばさん(司会者)の言いぶりが、ざっくり広いというだけだと思います。そこを含めて整理しますので。
※中略 二重国籍問題関連とは違う質問のため略
記者
あのー二重国籍の問題で誠に恐縮なんですけども、蓮舫代表が先ほど言われたですね、排外主義、差別主義者に屈すると言われて公開するのではないと言われましたけども、党内では蓮舫さんが説明を二転三転されたという、それで二重国籍の疑惑がないのかという、マスコミが言わなくなってからも議員さんの方では聞かれてまして、そういう疑問をもつ声をですね、差別主義者、排外主義者とひとくくりにする発言があったと思うですけども、それについてどうお考えなのかなと。
蓮舫
それは受け止め方が完全に間違っています。差別主義者やレイシストの人たちには私は屈しませんし、世の中一般的に絶対にあってはいけません。それと党内の声は別です。



そもそも戸籍公開が求められたのは都議選で惨敗したことを受けて代表としての資格が問われたからだったはずです。戸籍謄本を公開して日本の政治家として過去にも現在にも問題がないということを国民に見せなければ民進党の議員たちも納得しないでしょう。

台湾の籍が抜けているというのは二重国籍問題が浮上したときに手続きしたのだから当たり前の話です。そんなところを見ても意味がないです。

台湾と連絡を取り、きちんと台湾籍を放棄したのはみんなが知っていることです。しかし、ここまでして戸籍謄本の公開を拒むというのはよほど隠したい事実があるに違いないです。実は国会議員になったときに日本人としての戸籍を持っていなかった、あるいは今までずっと嘘をついていたなどのことがあるのかもしれません。

さすがにここまでの騒ぎになっているのだから過ちを犯していたと発表し謝罪すべきなのに、どうしてそんな簡単なことができないのでしょうか。今回、逃げた蓮舫氏はもう一生文句を言われ続けることになるでしょう。

二重国籍に関しては、あまり問題にしない人もいますが、それは間違いです。まずは、台湾は親日的とはいいながら、やはり利益が相反する部分があります。その利益相反が問題なのです。これについては、以前のブログにも掲載したことがあります。これに関心のある方は、その記事のリンクを下の【関連記事】のところに掲載しておきますので是非ご覧になって下さい。

それに、台湾には大陸中国と親和的な人々も大勢います。こういう人々と蓮舫氏が親和的になれば、大陸中国とかなり利益が相反する日本の政治家としては問題です。

それに、現在では非常にその可能性は低くはなってはいるものの、野党第一党の代表である蓮舫氏は場合によっては、政権与党の党首になることもあり得る立場です。そのような人に二重国籍問題があるなどということは、かなりの問題です。

アメリカ大統領選挙に立候補するには以下の条件があります。
・35歳以上
・国内への在留期間が14年以上
・出生によるアメリカ合衆国市民権保持者
(=①国内で出生して出生地主義に基づいて国籍を得た者および②合衆国市民を両親として海外で出生した者)
つまり①でも②でも可能ですが、生まれた瞬間から米国籍を持っていたことが必要です。日本でも、現状では曖昧なままのようですが、日本でも少なくとも、政権与党の党首になる可能性のある人には、これと同等もしくはそれ以上の条件を付与すべきです。

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2017年7月12日水曜日

【閉会中審査】朝日と毎日は「ゆがめられた行政が正された」の加戸守行前愛媛県知事発言取り上げず―【私の論評】前川喜平も鼻白む巨大既得権者である新聞・テレビ局(゚д゚)!




衆参両院で10日に開かれた学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設計画をめぐる閉会中審査から一夜明けた11日の朝刊各紙は、官邸の不当な関与を主張する前川喜平・前文部科学事務次官の発言を大きく取り上げた。一方、国家戦略特区として獣医学部設置が認められたことに関し「ゆがめられた行政が正された」などと文部科学省の過去の対応を批判した加戸守行前愛媛県知事の発言については記事で取り上げないところもあり、報道の“印象操作”が浮き彫りとなった。(今仲信博)

朝日新聞は1面トップの記事に「加計ありき 疑念消えず」の見出しで、前川氏の発言を多めに盛り込んだ。「(政府の)説明責任はなお果たされていない」と強調した記事の隣には「『首相信用できない』61%」とする同社の世論調査結果を添えた。

2面では「『丁寧な説明』なき審議」との見出しで、安倍晋三首相らがいなかったことを指摘し、3面では「加計巡り説明不足」と政府側の説明は足りないと断じた。一方、加戸氏の発言は記事では報じず、審査の詳報では加戸氏の発言を引き出した自民党の青山繁晴参院議員の質問を掲載しなかった。

毎日新聞も「加計 論戦平行線」と1面トップで大きく報じる中、加戸氏の発言はなく、これでは地元の獣医学部誘致を文科省などが阻止してきたことが読者には分からない。東京新聞は社会面で加戸氏の発言を取り上げたが、同氏の発言の肝である「ゆがめられた行政が正された」の部分を記載しなかった。

一方、産経新聞と読売新聞、日経新聞は「行政がゆがめられた」と主張する前川氏に対し、加戸氏が「岩盤規制にドリルで穴を開けていただいた。『ゆがめられた行政が正された』が正しい発言ではないか」との発言を記事で取り上げた。

加戸氏は閉会中審査で「今までたくさんの取材があったが、申し上げたいことを取り上げてくれたメディアは極めて少なかった」と訴えていた。

【私の論評】前川喜平も鼻白む巨大既得権者である新聞・テレビ局(゚д゚)!

「青山繁晴」氏の参考人質問と、それに対する元文科省官僚で前愛媛県知事の「加戸守行」の参考人発言の動画全編を以下に掲載します。

ソース:参議院文教科学委員会、内閣委員会連合審査会(2017年7月10日)
青山繁晴(自由民主党こころ)、前川喜平(参考人 前文部科学事務次官)、加戸守行(前愛媛県知事)


加戸氏は旧文部省OBで、愛媛県知事を1999年から2010年まで3期12年務めた。今治市への獣医学部誘致をスタートさせた「当事者」で、今回の閉会中審査では与党側の求めに応じて参院での審議に参考人として出席しました。

青山繁晴氏
自民党の青山繁晴議員の質問で答弁に立った加戸氏はまず、
「10年前に愛媛県知事として今治市に獣医学部の誘致を申請した当時のことを思い出して、はなもひっかけて貰えなかった問題が、こんなに多くの関心を持って頂いていること、不思議な感じがいたします」
と皮肉の効いた一言。続けて、鳥インフルエンザやBSE(牛海綿状脳症)といった感染症対策の充実を大きな目的に獣医学部の誘致に取り組んだが、文科省への申請は一向に通らなかったとして、
「(前川氏の)『行政がゆがめられた』という発言は、私に言わせますと、少なくとも獣医学部の問題で強烈な岩盤規制のために10年間、我慢させられてきた岩盤にドリルで国家戦略特区が穴を開けて頂いたということで、『ゆがめられた行政が正された』というのが正しい発言ではないのかなと思います」と述べた。
加戸守行氏
さらに加戸氏は、四国では「獣医師が確保できない」現状もあったとして、国や専門団体が獣医学部誘致に反対することは「あまりにも酷い」と感じていたと説明。その上で、
「私の知事の任期の終わりの方に、民主党(当時)政権が誕生して『自民党じゃできない、自分たちがやる』と頑張ってくれた。(中略)ところが、自民党政権に返り咲いても何も動いていない。何もしないで、ただ今治だけにブレーキをかける。それが、既得権益の擁護団体なのかと、悔しい思いを抱えてきた」
と声を震わせて訴えました。

このように獣医学部新設をめぐる経過を説明した上で、加戸氏は、自身が訴えてきた獣医師の養成が進まない中で、現在「今治は駄目、今治は駄目、加計ありき」と言われることについて「何でかなと思ってしまう」との不満を漏らした。そして、
「私は、加計ありきではありません。たまたま、今治選出の議員と加計学園の事務局長がお友達だったからこの話が繋がってきて、飛びついた。これもダメなんでしょうか。お友達であれば、全てがダメなのか」
と主張。続く質問の答弁では、「本質の議論がされないまま、こんな形で獣医学部がおもちゃになっていることを甚だ残念に思う」とも述べました。

さらに加戸氏は、加計学園問題をめぐるメディア報道にも不満を漏らしました。これまでに受けた取材について、「都合のいいことはカットされて、私の申し上げたいことを取り上げて頂いたメディアは極めて少なかったことは残念」だと指摘。

その上で、国家戦略特区諮問会議の民間議員が6月13日に開いた記者会見で、加計学園の獣医学部新設のプロセスについて「正当」と結論付けたことを、加戸氏はYouTubeの動画で見たとして、
「これが国民に知ってもらうべき重要なことなんだなと思いました。(中略)あのYouTubeが全てを語り尽くしているのではないかな、と思います」
とも話していました。
加戸氏の発言がメディアの報道で取り上げられるケースが少ないという指摘は、ブログ冒頭の新聞記事の以前から、ネット上で多くの人が指摘していました。実際、自民党の三原じゅん子参院議員は7月11日14時過ぎに更新したツイッターで、
「昨日の閉会中審査の模様が報じられていますが、どの番組も平井卓也議員と青山繁晴議員の質疑はスルー。加戸元愛媛県知事も大事な事話してるのに、、、」
との不満を漏らしていました。

三原じゅん子氏
また、閉会中審査が行われた10日夜に放送された情報番組「ユアタイム」(フジテレビ系)で、番組MCを務めるタレントの市川紗椰さん(30)は、加戸氏の答弁について、
「私が印象的だったのは、加戸前愛媛県知事です。なんか、それがすべてだったのかなって気もした。経緯を丁寧に説明していて、辻褄が合うんですよね、議事録とかを見ると。なんか、いいのかなって、納得しちゃいました」
と好意的に捉えていました。

また、同番組では、国際ジャーナリストのモーリー・ロバートソン氏が、加計学園をめぐる問題を報じるメディアへの「苦言」を漏らす場面もありました。

モーリー氏は「(加計学園問題は)そもそも様々な観点があるし、メディアは、それを能動的に一番初めに取材できたと思う」とした上で、
「ただどうしても、野党による内閣への追及ということで、ショーアップに加担して尻馬に乗ってしまったように思います。だから下手をすると、今回信頼を失うのは自民党というよりも、メディアが敗者になる可能性があります」
と指摘。続けて、「(メディアは)本来の機能を果たしてこなかったんじゃないか、エンターテインメントと報道を混同してまったのではないか。そう自戒を込めて思います」とも話しました。

こうした発言を受け、市川さんは「この問題について話す人は、目の前にある材料というよりも、安倍総理が好きか嫌いかだけでポジションを取っているような...」との感想を漏らしていました。

情報番組「ユアタイム」(フジテレビ系)で、番組MCを務める
タレントの市川紗椰さん(左)、モーリー・ロバートソン氏(右)
昨日も加計学園に関する記事を掲載しましたが、その記事の結論は以下のようなものです。
私のように、当初から議事録などの情報にあたった側からすると、現在のいわゆる加計問題の野党による追求や、マスコミの報道は、非常に腹立たしいです。ただし、最初はそうだったのですが、最近では腹立たしさなど通り過ぎて、虚脱感すら感じます。

そうでない人にとっても、マスコミの報道や野党の追求をみていても、元々何も問題のないものに関して、問題ありとしているわけですから、かなり無理があり、最初のうちは注目を浴びても、その後はかなりの消化不良気味な状況にあると思います。

野党やマスコミ、こんなことを続けていると、多くの人から完璧に飽きられてしまうか、フェイクであることを見破られ、怒りを買い、視聴率や支持率などをかなり下げてしまうことになるでしょう。
まさに、モーリー・ロバートソン氏の「下手をすると、今回信頼を失うのは自民党というよりも、メディアが敗者になる可能性があります 」ということばとこの結論は同じ方向性を指していると思います。

マスコミは、市川紗椰さんや、モーリー・ロバートソン氏のようなスタンスの人は生き残るでしょうが、そうでない人は敗残者になる可能性が濃厚です。

現在の日本で獣医学部を新設することは重要な成長戦略であるですから、どこかの大学が特区の仕組みを活用して、新設の突破口をつくる必要がありました。加計学園は、福田内閣以来、何度もはねつけられながらも規制改革提案を続けました。

開きかけた岩盤規制の穴がまた閉じられそうになった時点で、加計学園は正当な手続きを踏んで設立申請を行いました。永年続けてきた、既得権による参入規制との闘いを続行したのは、正しい選択だったと私は思います。

過去にも、国交省と総務省に規制緩和を要求して勝ち取ってきたヤマト運輸や、厚労省に対して医薬品のネット販売解禁を勝ち取ったケンコーコムといった会社があります。

このような勇敢な会社は、彼らの成果にタダ乗りした企業に比べて、社会的に大きな賞賛を受けるにふさわしいと思います。加計学園は、官僚の岩盤規制と闘ったヤマト運輸やケンコーコムと同じ社会的役割を果たしました。

岩盤規制に立ち向かっていく事業者と自治体には、大変なエネルギーと時間と行政資源が必要です。メディアがそのような努力を応援せずに、今回の加計学園が突破口をつくる努力を潰す方向に加担してしまえば、どの事業者も自治体も規制改革など要望しなくなります。そうなれば、一番不利益を被るのは国民です。

ヤマト運輸のない生活、ケンコーコムのない生活、獣医学部のない生活など一端、それが設立されて、その便利さ、有り難さを知ってしまえば、誰も元にもどることなどできないはずです。これに反対するような報道をするということ、政治に働きかけることによって利権を得続けてきた前川喜平をはじめとする、既得権者たちが、最も望むことです。

現在のマスコミの本質は、既得権益者を守ることです。それは、今回の加計問題でも顕になりました。

そもそも、新聞はメディアは日刊新聞紙法で守られています。はすごく短い法律で、正式には「日刊新聞紙の発行を目的とする株式会社の株式の譲渡の制限等に関する法律」といいます。名前に書いてあることがこの法律のすべてで、「株式は譲渡されない」ということしか書いていません。これは、新聞の既得権の最大のものと言って良いです。



2015年の11月に、日経新聞が米フィナンシャル・タイムズを買収したことは記憶に新しい。日経新聞が、米フィナンシャル・タイムズの親会社だった英ピアソンから株式を買収して自らのグループに組み込んだのだが、これはごく普通の企業買収と言える。しかし、日経新聞のほうは株式が譲渡できないから、決して買収されない仕組みになっています。

普通の会社で普通に働いている人たちには馴染みがないでしょうが、新聞社に務める人間ならみんな知っている法律です。

しかし、新聞社の人間でこのことを堂々と記事で書く人間はいません。新聞は企業の不祥事があった時に「コーポレートガバナンスができていない」「社内制度が悪い」などと書き連ねまずが、一番ガバナンスができていないはその新聞社です。記者も、それが分かっているから日刊新聞紙法について恥ずかしくて書けないのでしょう。

この法律が、新聞社を堕落させていることに、記者も早く気がつくべきです。自分だけ安泰な身分では、他者に厳しいことがいえるはずないです。自分には甘く他者に厳しいのはありえないです。言論で勝負する人は、やせ我慢が必要なのです。だからこそ、今回の加計問題でも、前川のような明らかな既得験者に対して厳しいことがいえないのです。

それは、テレビも同じことです。テレビ局が既得権化している理由は、地上波放送事業への新規参入が実質的に不可能になっていることにあります。

総務省の認可を受けた場合にしかテレビ放送事業はできません。「放送法」によって免許制度になっているわけなのですが、このことがテレビ局を既得権まみれにしている最大の原因です。

放送法に関しては、たびたび問題になるが、結局何も変わっていない
はっきり言いましょう。「電波オークション」をやらないことが、テレビの問題なのです。電波オークションとは、電波の周波数帯の利用権を競争入札にかけることです。

日本では電波オークションが行われないために、電波の権利のほとんどを、既存のメディアが取ってしまっています。たとえば、地上波のテレビ局が、CS放送でもBS放送でも3つも4つチャンネルを持ってしまっているのもそのためです。

電波オークションをしないために利権がそのままになり、テレビ局はその恩典に与っています。テレビ局は「電波利用料を取られている」と主張するのですが、その額は数十億円程度といったところです。もしオークションにかければ、現在のテレビ局が支払うべき電波利用料は2000億円から3000億円は下らないでしょう。現在のテレビ局は、100分の1、数十分の1の費用で特権を手にしているのです。

この有様では、既存のテレビ局や新規参入者と互いに競い合って、より良い報道をしようなどという気持ちが失せるのも当然のことです。このようなことでは、新聞業界にもテレビ業界にも、ヤマト運輸やケンコーコムのような既成概念を打ち破るような企業などでてくるわけがありません。

これを知れば、新聞社やテレビ局など既得権者の代表ともいえる前川喜平も鼻白む既得権者であり、当然のことながら、まともな報道などできないという私の主張もご理解いただけるものと思います。

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