2019年8月14日水曜日

「日韓対立は韓国のせい」米国人学者が痛烈批判―【私の論評】特ア三国は、反日以外に自分たちの生きる道を見つけなければ、いずれ崩壊する(゚д゚)!


国内政治のために日韓関係を犠牲にした文在寅大統領
2019.8.14(水)古森 義久

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 日韓対立の激化に対する米国の対応が注目されるなか、韓国研究では米国でも有数の著名学者が、日韓対立の原因は韓国の文在寅大統領の過ちにあると厳しく批判する見解を発表した。

 トランプ政権をはじめ米国では最近の日韓関係の悪化への懸念が広まっているが、日韓対立の原因について官民ともに明言する関係者はほぼ皆無だった。だが同研究者は、非は文大統領にありと明確に主張した。

日韓対立の原因は文政権にある

 8月7日、ワシントンの大手シンクタンク「ヘリテージ財団」が「日韓貿易紛争」と題するシンポジウムを開催した。同シンポジウムに出席した韓国研究学者のスコット・スナイダー氏は、いまの日韓対立は、文在寅大統領が国内政治のために対外政策を政治利用し対日関係を犠牲にしたことに原因があるとの見解を語った。また同氏は、文政権の動きは1965年に成立した日韓国交正常化条約に違反するとして、「文大統領が国際条約の順守を怠ったことの責任を批判する」とも述べた。

スコット・スナイダー氏
 スナイダー氏はハーバード大学の大学院で朝鮮半島について研究した。その後、韓国に滞在し延世大学で学ぶ。1990年代からスタンフォード大学、アジア財団、米国平和研究所などに所属して、米韓関係、朝鮮半島情勢などを中心に韓国について多くの調査結果や著書、論文類を発表してきた。アジア財団のソウル駐在代表を務めた経験もあり、現在は、米国民間の超党派の外交政策機関「外交関係評議会」の上級研究員兼米韓政策研究部長を務める。米国内では韓国研究の有数の権威として知られ、日韓両国間の歴史問題などでは韓国側の主張の支持に傾くこともあった。

 そのスナイダー氏が8月7日のシンポジウムで、パネルディスカッションの一員として登壇し、現在の日韓対立の原因について「文大統領が慰安婦問題での日韓外相合意に基づく財団を解散し、さらに元徴用工問題での韓国最高裁の判決を放置したことが対日政策を誤らせた」と述べた。日韓対立の原因は文政権にあるとの見解である。一方、日本側の動きを批判することはなかった。

国内政治に犠牲にされた日韓関係

 スナイダー氏が同シンポジウムで文在寅政権について語った趣旨は、次のとおりである。

・現在の日韓対立で私が心配するのは、文在寅大統領が国内政治のために国際関係や対外政策を政治的に利用してしまったことだ。大統領就任後、最初は対日関係もうまくいっていた。だがまもなく慰安婦問題に関して日本との合意で設立された財団を解散し、元徴用工についても韓国最高裁の判決を日韓関係の前面におくことで、自分自身を箱詰めにしてしまった。

・三権分立とはいえ、行政のトップの大統領には国内政策と対外政策の適切なバランスを保つ特別な責任がある。その責任は、1965年の日韓条約を含めた国際条約を守ることも含む。対日関係にも十分な注意を払い、総合的な国益の推進を図るべきである。文大統領は国内での支持率は上がったが、その責任を果たさず、外交への十分な配慮なしに対日関係を韓国内の民族主義的感情で押し流すことを許した。

・文大統領は慰安婦と元徴用工の問題を利用して、日本側に改めて過去の(朝鮮半島併合などの)諸問題への反省や謝罪を一気に強いることを狙ったようだ。だが、この考えは明らかにミステークだった。このような方法で日本側を強制的に追い詰め、謝罪などを強いても、誠意ある反応が得られないのは明白だからだ。

・韓国最高裁は戦時の朝鮮半島出身の労働者への賠償金支払いを日本企業に命じる判決を下した。判決はそれなりに尊重されなければならないとしても、国内政治が日韓関係を犠牲にするという事態を避けるのは大統領の責任だ。韓国では一時、韓国民間あるいは日本の民間からの寄付を得て、その支払いに当てるという案が出た。私はその案に賛成する。

 さらにスナイダー氏は全体の状況について、「私は、文大統領が対日関係を守るために政治的なリーダーシップを発揮しなかったことに批判的だ」と改めて述べ、現在の日韓対立の原因が文大統領の側にあるという認識を明確に示した。

「自粛」を脱したスナイダー氏の発言
 米国では日韓対立に対しての懸念や関心が急速に高まりつつある。トランプ政権も含めて最も一般的な反応は、「米国が日本および韓国という同盟諸国と緊密に連帯して、北朝鮮の核の脅威や、中国の軍事膨張の脅威に対処しなければならないこの時期に、日韓両国が対立することは、その連帯を阻害し、米国の安全保障政策を脅かすことにもなる」という懸念であろう。トランプ政権が日韓両国の間に入って和解の調停にあたることを求める意見も多くなってきた。だがトランプ政権は当初、調停への関心を示したものの、その後は消極的なままとなっている。

 こうした現状に対して、現在の日韓両国の対立はそもそも何が原因で、どちらに責任や非があるのか、という点について、米国の官民とも明言を避ける傾向が強かった。この態度は、どちらか一方を非難したり支持することで他方からの激しい反発を買うことになる危険を避けるための、一種の自粛だったといってよい。ところが今回のスナイダー氏の発言は、この自粛を脱して、韓国側に非があることを鋭い表現で指摘した点が注視される。

【私の論評】特ア三国は、反日以外に自分たちの生きる道を見つけなければ、いずれ崩壊する(゚д゚)!

米国人にも特ア三国の正体がわかっていない人が多いです。特ア三国(特定アジア三国)とは、特に反日に対する対抗・牽制言論が国内に無い中華人民共和国、大韓民国、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の3カ国を意味する呼称とされています。こうした反日感情は、幼少期からの徹底した反日教育によるものとされます。略称として、特アや特亜も用いられます。

もともとはインターネット上での掲示板などで使用されるインターネットスラングの一つでしたが、その後、一部の学者・政治家・ジャーナリスト・書籍なども使用するようになりました。

特ア三国

BBCの国際世論調査によれば、中国および韓国(北朝鮮はこの様な調査の実施が不可能なため非調査対象国)の日本に対する評価は他国のそれに比べて突出して低いです。北朝鮮は現在も国民の支配や対外戦略として日本に対する敵視政策を採っています。

また、これらの国々では共通して反日教育を実施しています。日本の○○又は日本人の××を「アジア又はアジア諸国、地域など△△している 」などと上記の三ヵ国における主張を「アジア」「アジア諸国」、「アジアの諸国」と主語を大きくして誇張して扇動していることを皮肉る言葉です。

これらの特ア三国には、共通点があります。それは日本とは一度も戦争もしたこともないのに、いつの間にか戦争したことになり、我が国は戦争中に我が国国民を抑圧した大日本帝国と戦って勝利して独立したという作り話です。

これは、特ア三国が勝手に作った歴史ではなく、まともな歴史を調べればすぐに理解できることてず。

そもそも、現在の中共と日本は一度も戦争をしたことはありません。日本と戦争をしたのは、その後台湾に逃れた台湾にある当時の国民党軍と戦ったのであって、中共軍が戦ったのは、日本が戦争に負けて去ったあとで、国民党軍と戦って勝利して、独立したのです。

韓国・北朝鮮は元々は朝鮮という一つの国でしたが、これは日本が日清戦争で勝利して、当時の清から独立させたのですが、しかし、その後日本が朝鮮を統治することになりました。しかも、日本の朝鮮統治は合法的に始まっています。1910年の日韓併合は朝鮮側(当時は大韓帝国)の要望によって、なされたものです。

このあたりは詳細を書いていると、長くなりますので、それこそまともな歴史書をご覧ください。日本の歴史書が信じられない等という方がいらっしゃれば、英米やドイツなど他国の歴史書でも良いので、是非ご覧になってください。

その後、現在の韓国は米国の統治の後、米国から独立しました。現在の北朝鮮はソ連の統治の後にソ連から独立したものです。この両国もしくは、無論朝鮮は日本と戦争したことは一度もありません。

にもかかわらず、中国では数年前に、抗日戦争記念などとして軍事パレードを行っていました。まさに、噴飯ものという以外にありません。

日本統治下の朝鮮全土は13の道に区画され、道 - 府・郡・島 - 邑・面 - 洞・里という階層構造をとっていました。当時の朝鮮の各道議会議員は、8割以上が朝鮮人だったという記録も残っており、西欧諸国による植民地支配というには程遠いものがありました。

さらに、慰安婦問題も、強制的に連行したなどという記録は、どこを探しても残存しておらず、当時の日本では合法だった売春婦のことです。

以上のことは、おそらく現在85歳以上の人であれば、日本でも、現在の韓国や北朝鮮でも常識の範囲で知ってるでしょう。ただし、これらの年齢の方々も少なくなっていますから、この常識が常識として通用しなくなってきたのでしょう。

だから、本格的な反日教育が、組織的、体系的に本格的行われるようになったのは、特ア三国でも1990年代からのことです。それ以前だと、上記で示した常識等をわきまえたご老人が多数生存していたため、常識から外れた教育などできなかったのでしょう。実施したとしても、すぐに否定されてしまったのでしょう。

日本悪魔化は第二次世界大戦中の欧米でもみられた

特ア三国以外の国々は、こうした特ア三国の歴史修正に惑わされずに、過去の歴史を見直すべきです。

では、なぜ特ア三国では、このような反日が行われるのでしょうか。それは、特に中国や北朝鮮では、現政府に統治の正当性が極端に低いからです。

確かに、彼らが主張するように、日本帝国と戦って独立を勝ち得たというのであれば、中国人民や北朝鮮人民に統治の正当性を認められるでし、建国の英雄も存在するでしょうが、事実はそうではありません。

このような不安定な国々は、いつ崩壊するかわかりません。だかこそ、日本を悪魔化し、日本を悪者にしたてて、自分たちの失政や、経済対策の失敗などによる人民による憤怒のマグマを自分たちではなく、日本に向くように仕向けたのです。

韓国の場合は、米国から独立たということで、中国や北朝鮮とは異なり、一応民主的な形態を整えましたが、それでも80年代まで軍事政権でしたし、その後民主化されても、古い体質などが残っており、それこそ国民の憤怒のマグマはいつ大爆発してもおかしくない状況でした。

そのため、1990年代に入ってから、体系的、組織的反日教育が行われ、自分たちの失政や経済対策のまずさ、外交問題での失敗などで、たまりにたまった国民の憤怒のマグマを自分たちではなく、悪魔の日本に向けさせるようにしたのです。

それにしても、国民の憤怒のマグマを日本に向けさせる反日など、永遠に続けることなど不可能であり、その兆候はまずは中国にあらわれました。

中国では、最近では表立った反日活動は、されていません。なぜかといえば、中国では反日デモなどが行われると、いつの間にか反政府デモになってしまい、過激化して人民の憤怒のマグマが結局自分たちが直接マグマをかぶりかねない状況になってきたからです。

その兆候は、最初は反日サイトにみられました。中国では、2011年辺りまでは、反日サイトが中国各地に存在しました。しかしこの反日サイトで、いつの間にか、反政府な書き込みなどが目立って増えたので、政府がこれを閉鎖したのです。

その後反日デモも、いつの間にか反政府デモになるということで、政府は反日デモを許さなくなりました。

この状況が続くと、反日教育もやめざるを得なくなるかもしれません。なぜなら、反日教育を受けた子どもたちや若者か、家に帰って親や親戚などにその話をすれば、家庭内などで反日の話が反政府の話にすり変わるという事態も容易に想像できるからです。

中国では反日デモがみられなくなった

中国人民がいくら反日で憂さを晴らしたとしても、現実は何も変わらないからです。

北朝鮮は今でも反日をしているようですが、情報が少ないので、現状はどうなっているのかはわかりません。ただし、最近の北朝鮮はなし崩し的に資本主義化されつつあるので、これからは随分変わっていくものと思います。

さて、韓国ですが、文在寅も特ア三国の常道である、日本悪魔化によって、自らの失政や経済対策、外交の失敗を日本のせいにして、国民の憤怒のマグマを日本に向けているだけの話です。

私自身は、韓国の反日にも限界が来ると思います。スコット・スナイダー氏のような学者が出てきたのはその兆候だと思います。それに、大学を卒業しても職がない若者も、何年たっても就職口がみつからないようであれば、反日どころではなくなります。やはり、文在寅や、韓国政府そのものを責めるようになるでしょう。

特ア三国は、反日以外に自分たちの生きる道を見つけなければ、いずれ崩壊することになります。いい年の大人が、自らの困難を打開するわけでもなく、あれが悪い、これが悪い、あいつが悪い、こいつが悪いなどとばかり言っていれば、いずれ駄目になるのと同じです。

日本政府は韓国などの、脅しに屈することなく、毅然とし対応をすべきです。そうでないと、いつまでたっても、特ア三国の馬鹿げた反日は終わりません。

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2019年8月13日火曜日

空港機能停止!香港デモ、第2の天安門事件に発展か 「香港1つ片付けることができないのか…」共産党内から習氏に批判も?―【私の論評】中国共産党が最も恐れる香港市民の価値観とは?

空港機能停止!香港デモ、第2の天安門事件に発展か 「香港1つ片付けることができないのか…」共産党内から習氏に批判も?

抗議の群衆に占拠された香港国際空港=12日

 香港が騒乱状態だ。中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案を巡り、香港国際空港ロビーで12日午後、市民による大規模な抗議デモが発生。航空当局が同日夕方以降のほぼ全便を欠航とした影響で、空港では13日も欠航が相次ぎ機能不全となった。行政府への市民の怒りは収まるどころか拡大するばかり。「第2の天安門事件になりかねない」。専門家も緊張感をもって注視している。


 アジア有数のハブ(拠点)空港が機能停止に陥った。香港国際空港で12日、抗議の群衆数千人が押し寄せ、搭乗手続き業務などができなくなった。13日朝には業務が再開されたものの、香港メディアは300便以上に上る多数の欠航が決まったと伝え、同日午後1時半現在、混乱が続いている。

 全日空は同日未明の羽田発の運航を中止。格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーションも関西と沖縄発の2便が欠航した。キャセイパシフィック航空など香港を拠点とする航空会社でも欠航が相次ぎ、同日は各社合計で少なくとも10便以上の日本発の便が運航できなかった。「(ホテルも含めて)全部キャンセル」「国内旅行に切り替えるしかない」など、夏休みを海外で過ごす計画だった日本人旅行客は成田などでパニックとなった。

 6月に本格化した一連の抗議活動。今月5日には呼び掛けられたゼネストに航空業界の関係者らも参加、約250便が欠航したばかり。香港政府トップの林鄭月娥行政長官は13日、記者会見し、一連の抗議活動について「自由と正義の名で、多くの違法行為が行われている」と非難。だが、香港メディアによると、会員制交流サイト(SNS)では13日以降も空港での集会が呼び掛けられている。

 12日に発生した抗議活動はSNSを通じ、シンボルの黒い服を着た市民らが集まった。抗議参加者らは、11日に九竜地区の繁華街で行われた抗議活動で、警察が発射した鎮圧用の弾を右目に受けた女性が負傷したと批判。警察が地下鉄駅構内に催涙弾を発射したことにも反発した。

「世界征服を夢見る嫌われ者国家 中国の狂気」(ビジネス社)などの著書がある評論家の石平氏は、「第2の天安門事件に向かっている。10月1日が中華人民共和国70周年にあたるため、習近平政権としては祝福ムードをつくり出したいはずだが、政権内部からも習氏に対し『香港1つ片付けることができないのか』と批判が出てきそうだ。人民解放軍を投入すると国際社会から非難される可能性もあるが、最終的には何らかの武力鎮圧に出るだろう」とみる。

 その上で、「仮に鎮圧できても、経済の中心地である香港を捨てることになり、来年1月の台湾の大統領選にも影響することが考えられ、後遺症は大きい。ただでさえ、習氏は米中貿易摩擦など中国を悪い方向に進めているとみられている。中国共産党が習氏を排除するか、さもなくば習氏と中国共産党政権が共倒れする状況もありえる」。予断は許さない。

【私の論評】中国共産党が最も恐れる香港市民の価値観とは?

今回の一連の香港でのデモ活動は、単なるデモとか、香港市民が中共に抗議をしている等という見方以上にかなり大きな中国社会の分水嶺につながる大きな変動だと思います。

この問題は本来、中国が多元社会であるにもかかわらず現在の中国共産党が「一つの中国」を国是に掲げているからにほかならないです。しかしながら、歴史を背負う中国の為政者にとって、「一つの中国」はつねに追い求めなくてはならない夢想の共同体なのです。

習近平の「中国夢」カレンダーの表紙

今日から現在に至るまで、中国を端的に表現するなら、「一つの中国」「中華民族」という国是・スローガンと、それとはまったく裏腹の、上下の乖離・多元性という社会の現実、この両者の併存です。

中国には過去において、どのような帝国がつくられようが、今日の共産中国が、チベット、ウィグルまで含めた大帝国をつく出そうと、多元社会という呪縛からは逃れられません。

それは、以前のこのブログにも述べたように、今でも厳然として宗族(そうぞく)という集団が機能しているという現実があるからです。中国の宗族については、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
まさに血で血を洗う戦い!? “独立王国化”する中国マフィア…共産党は“容赦なき”取り締まり ―【私の論評】宗廟、宗族を理解しなけば、中国社会を理解できない(゚д゚)!
中国の黒社会
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、宗族とはどのようなものなのか、説明している部分を以下に引用します。
宗族(そうぞく)とは、中国の父系の同族集団。同祖、同姓であり、祭祀を共通にし、同姓不婚の氏族外婚制をたてまえとするものです。同じく血縁でも母系は入らず、女系は排除されます。

したがっていわゆる親族のうちの一つであっても、親族そのものではありません。文献では前2世紀頃あるいは3世紀頃からみえます。同族を統率する1人の族長の支配下におかれ、族内の重要問題は,同族分派の各首長 (房長) らによる長老会議または族人による同族会議が召集され、協議決定されました。

宗族は往々集団をなして同族集落を構成し、その傾向は華中、華南に強く、1村をあげて同族であることも少くありませんでした。その場合、閉鎖的で排他性が強く、利害の衝突から集落相互間に争いを引起すこともありました。また同族結合の物的基礎として、共同の祖先を祀る宗祠設立のほか、義荘,祭田の設置、族譜 (宗譜) の編集なども行われました。

そして中国のいたるところ、宗廟があって、世界中に散った一族が集まる習慣がいまも確然として残っているのです。 
これが、宗族、日本人に分かりやすく言えば、「一族イズム」です。 
中国人にとって、今でも一族の利益、一族の繁栄はすべてであり、至高の価値なのです。それを守るためにはどんな悪事でも平気で働 くし、それを邪魔する者なら誰でも平気で殺してしまうのです。一族にとっては天下国家も公的権力もすべてが利用すべき道具であり、 社会と人民は所詮、一族の繁栄のために収奪の対象でしかないのです。 
だから「究極のエゴイズム」を追い求め、一族の誰かが権力を握れば、それに群がり、もし失脚すれば、一族全員がその道連れ となって破滅するのです。 
習近平と王岐山一族が、いま何をやっているか、なぜそうなのか。正に宗族の論理によって突き動かされ、一族だけの利権を追 求し、一族だけが繁栄を究めているのです。 
中国共産党が『宗族』を殲滅したのではなく、むしろ、宗族の行動原理は生き残った上で、党の中国共産党政権自身を支配しているのです。中国における宗族制度の原理の生命力はそれほど堅忍不抜なものであり、宗族は永遠不滅なのです。 
中国人は、現代日本人の感性や規範、道徳、しきたりとまったく異なる伝統を今でも保持しているのです。
こうした宗族に支配された社会構造が、現在の中国にも厳然として残っているのです。中国の歴史は、本質的に多元的な社会を一つの中国としてまとめようとする試みの連続でした。そうして、過去の大帝国はすべて瓦解しました。

実は多元的な社会を「一つ」にまとめようとする試みは、中国史のみならず、程度の差はありますが、アジア史・東洋史にも少なからずみられました。そのプロセスで生まれる軋轢をどう処理するかが、それぞれの歴史の要諦でした。

その手段として用いられたのが、宗教です。だいたい世界3大宗教と呼ばれるイスラーム、キリスト教、仏教は、いずれもアジア発祥です。それはおそらく、多元性をまとめるための普遍性やイデオロギー、あるいは秩序体系を提供することが、アジアの全史を貫く課題だったからでしょう。

それも一つの宗教・信仰に限定したわけではありません。1人の君主が複数の宗教を奨励、信奉し、同じ場所に暮らすそれぞれの宗教の信者をつなぎ止めて、共存させるといったこともありました。

アジア各地では宗教という普遍的なものも、多元的に存在していたのです。そうであるなら、複数の宗教・普遍性の存在を認めて重層化させることでしか、多元共存を可能とする統一的な体制は保てなかったわけです。

言い換えるなら、アジア史において政教分離は成立しにくいということです。多元性の強い社会で安定した体制を存続させるには、宗教のような普遍性を有するものがどうしても欠かせません。複数の普遍性を重層させねばならない場合は、なおさらです。

ヨーロッパで政教分離が成立したのは、そもそも社会も信仰も単一均質構造でまとまっていたからです。分離しても社会が解体、分裂しない確信が、その背後に厳存しています。仮にアジアで政教分離を実施したら、たちまち体制や秩序はバラバラになって混乱をもたらしてしまったでしょう。

中国の場合も、統合の象徴として儒教・朱子学が用意されました。ところが儒教は、漢人のイデオロギー・普遍性ですので、モンゴル・チベットと共存した清朝では、それだけでは不十分です。儒教の聖人を目指した清朝の皇帝は、同時にチベット仏教にも帰依して、普遍性の重層を図ったのですが、その体制も18世紀までしかもちませんでした。

かくて近代以降、儒教・チベット仏教もろとも、先に述べた「国民国家」や「一つの中国」が代替することになります。同時に、清代の多元共存に代わる秩序と統合のシンボルとして「五族共和」や「中華民族」のような概念がしばしば提起されました。

「中華民族」は理論上「多元一体」のはずですが、そのセオリーどおりに「一体」が実現したことはありません。チベット・新疆の民族問題や香港の一国二制度の実情・現状をみれば、一目瞭然ではないでしょうか。それに、中国には宗族が根強く残っていることを考えれば、国家の設立すら困難というのが、実情です。

こうして「中華民族の復興」を「中国の夢」とする習近平政権も、はるか古くからの中国史の1コマとして捉えることができます。リアルな中国史を振り返れば、現在香港で起こっていることの本質が理解できると思います。

香港にも宗族が、新界原居民という形で形跡は残っていますが、多くの香港市民は長い間の英国による統治により、台湾のように、宗族の良い面だけが残っているようです。

台湾の宗族については、以前もこのブログで説明したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
「親中」に逆風が吹き始めた台湾総統選―【私の論評】台湾では、宗族の良い要素だけが残ったため、民主化が実現されている(゚д゚)!
台湾の蔡英文総統
現在の台湾では、宗族の伝統は残ってはいますが、中国のように「究極のエゴイズム」を追い求めるような存在ではありません。 
台湾においても、従来の宗族は儒教を通して、祖先崇拝、族長の統治、系譜の存在、一族の互助、家廟、祀堂場所の建立など、宗族の組織は非常に厳密でした。宗族員の結合は堅く、宗族の機能も広汎でした。 
しかし、古くは日本統治、最近では産業の進展にともない、宗族の構成は大きく変化しました。 
喪失して要素としては、族長権威と、共有財産です。持続されている要素としては、祭祀と墓参りです。残存要素としては、豊かな人間関係、経済の援助、系譜の尊重などです。 
台湾では、宗族の良い要素だけが残ったようです。ここが、宗族の伝統の悪い面も根強く残り、中国共産党をも支配している大陸中国とは、対照的です。
台湾では、宗族の構成が大きく変化したからこそ、まがりなりにも民主主義が根付いているということができます。
中国共産党が『宗族』を殲滅したのではなく、むしろ、宗族の行動原理は生き残った上で、当の中国共産党政権自身を支配している大陸中国と、香港は本質的に社会が違うのです。

長い英国支配により、香港では行政的に宗族は大きな意味を持たなくなったのです。これは、国家の成立にとっては避けて通ることができない道でした。国家が成立しないところに、民主主義も生まれることはないのです。政治と経済の分離、法治国家化も無理なのです。

大陸中国も本来はこの道を通るべきでしたが、結局中国共産党は「宗族」を殲滅できなかったどころか、当の中国共産党を支配しているのです。大陸中国では、結局共産主義も宗族のエゴイズムには勝てなかったのです。現在の中国の本質は、共産主義ではないし、国家資本主義でもないのです。その本質は、宗族支配の究極のエゴイズムなのです。

香港も宗族が支配する地域であれば、中国共産党もこれを比較的簡単に制御できたかもしれません。強力な宗族を懐柔できれば、香港は意外と簡単に中国の手に落ち、一国二国制度など有名無実になっていたかもしれません。

この価値観の相克が、現在の香港に色濃く反映されているのです。この問題は、かなり大きな中国社会の変動であり、これからますます大きくなっていくことでしょう。やがて、香港だけでなく、中国全土に広がっていくことでしょう。

最終的には、中国は価値観を共有できるいくつかの単位にまで、分裂することでしょう。中国共産党は、それを最も恐れているのです。おそらく、彼らにとっては米国との冷戦よりも、こちらのほうを恐れているに違いありません。だからこそ、香港の取り締まりは厳しくなる一方で、第二の天安門事件になるのではと危惧する専門家も存在するのです。

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「親中」に逆風が吹き始めた台湾総統選―【私の論評】台湾では、宗族の良い要素だけが残ったため、民主化が実現されている(゚д゚)!



2019年8月12日月曜日

トランプ氏、韓国・文政権に厳重警告! 「GSOMIA」破棄なら…日韓に対立緩和を促した“本音” ―【私の論評】信頼できない相手からの情報は、混乱と誤謬をもたらすだけ(゚д゚)!


トランプ大統領

 ドナルド・トランプ米大統領が、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権に厳重警告を発した。日本政府が、半導体素材の輸出管理を強化したことに反発して、文政権が「日韓軍事情報包括保護協定」(GSOMIA)の破棄をチラつかせているからだ。トランプ氏は表向き、日韓両国に関係改善を求めているが、対立の背景を十分理解している。文政権の「裏切り」を戒め、韓国内の保守派に奮起を促すものといえそうだ。

 「日韓は同盟国のはずなのに、米国を難しい立場に追い込んでいる」「日韓はいつもケンカしている。仲良くしなければならない」

 トランプは9日、ホワイトハウスで記者団にこう語った。

 北朝鮮の非核化問題や中国との覇権争いを抱えるなか、対立緩和を促した-と報じられるが、事態はさらに深刻だ。

エスパー長官は韓国訪問に先立って日本を訪問している

 訪韓中のマーク・エスパー米国防長官は9日、文大統領や鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相らと相次いで会談し、米国の要請で締結したGSOMIAの継続が重要だとの考えを伝えた。

 ところが、鄭氏は「有効性などを考慮し、更新するかどうか決めたい」といい、継続を明言しなかったのだ。

 実は、日米防衛当局者の間では「文政権がGSOMIAを破棄する可能性が高い」「日本に責任を押し付けて、中国や北朝鮮に接近する兆候がある」と分析している。

 このため、米シンクタンクなどを通じて、「GSOMIA破棄=米軍撤収・同盟解体」と警告してきたが、「反日・離米・従北・親中」の文政権には通じない。

 トランプ氏の発言は、韓国の保守派勢力に「自国が自由主義陣営から離脱していいのか? 目を覚ませ」とメッセージを送ったともいえそうだ。

 日米情報当局関係者は「ホワイトハウスには『北朝鮮は戦略的な敵だが、韓国の文政権はもっと問題だ』という分析がある。明確に『韓国を切るべし』という強硬意見もある。GSOMIAが破棄されれば、韓国は安全保障上も、経済的にも重大局面を迎える」と語っている。

【私の論評】信頼できない相手からの情報は、混乱と誤謬をもたらすだけ(゚д゚)!

冒頭の記事にもあるように、日韓関係が悪化の一途をたどる中、韓国政府は日本による半導体関連材料の輸出規制措置に対抗し、日韓GSOMIA(ジーソミア=軍事情報包括保護協定)の破棄をチラつかせています。韓国お得意の「手首切ってやる!」の脅しを仕掛けているわけだ。

日韓GSOMIAには様々な利点があるはずだったが・・・・

8月7日には世論調査会社のリアルメーターが、破棄の賛否を問う世論調査の結果を賛成(47.7%)、反対(39.3%)と公表しました。

訪日したエスパー米国防長官は同7日、岩屋毅防衛相、安倍晋三首相と相次いで会談し、GSOMIAが維持されることを「心の底から願う」と強調しました。そのエスパー氏は、8日からは訪韓して、鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相らと会談、同様の意向を伝えました。

日本は米英仏など7カ国、さらに北大西洋条約機構(NATO)と同協定を締結しています。日本との歴史問題を持ち出す韓国とは紆余曲折がありましたが、16年11月にようやく締結しました。

日韓GSOMIAの場合、協定の有効期間は1年で、期限の90日前に破棄を通告しない限り自動的に延長されると規定されています。これまでは毎年自動延長されてきましたが、今年は通告期限の8月24日までに韓国政府が破棄を通告するのか、注目が集まっています。そこでGSOMIAとは何か。韓国に破棄されると日本は困るのか検証してみます。

同協定は韓国からの要望で、ようやく実現にこぎ着けています。北朝鮮が発射するミサイルの着弾地点や高度、飛行距離などを分析する技術は日本の方が高いですから、韓国にとっては、自国向けに発射されるミサイルの性能分析に日本の情報が役に立ちますし、日本は北朝鮮などの潜水艦を探知する能力も韓国より高いです。

一方、日本にとっては、朝鮮半島有事の際、韓国側から戦況の情報が得られれば現地の日本人を助け出す上で役立つでしょう。それにヒューミント、人間の口からもたらされる情報も重要です。韓国は脱北者や北朝鮮内部に潜り込ませたスパイから現地の政治経済、ミサイル発射の兆候の情報を得ています。日本は韓国からこうした情報を教えてもらえるという関係です。

しかし、北とつながる韓国・文在寅政権とのGSOMIAは、ある意味で危険です。日本からの情報が北に筒抜けになるばかりか、逆にガセネタをつかまされる可能性もあります。要は韓国は、日韓GSOMIA破棄をチラつかせ米国を困らせ、日本を米国に叱ってもらいたのです。

2016年11月に締結したものですから、今年の11月で三年目ということですから、そもそもこの条約は2年と少ししか締結されてから時が経っていないということてず。その前は、韓国からの情報がなくてもやってこれたということですから、今になってそれを破棄されたらといっても、それが日本の安全保障にどれたけマイナスになるのかといえば、おそらくないでしょう。

韓国が破棄したいと言えば、日本はどうぞご自由にで良いでしょう。現状の韓国のハチャメチャ様子をみていれば、その韓国から情報がもたらされたからといって、それが信用できるかどうかは甚だ疑問です、

日本の哨戒機のレーダー照射についても未だに、何の情報の提供もありません。これでは、北朝鮮の船に対してせどりを行っていた現場の近くを日本の哨戒機が飛んだので、制裁破りを糊塗とようとして、照射をしたのではないかと疑われても仕方ないです。


日本側は、そんな相手からの情報を得たにしても、それをそのまま信じるわけにもいかず、その審議を確かめるために二度手間になるだけのことになりかねません。それであれば、米国からの情報のほうがはるかに信憑性・信頼性が高いはずです。

また韓国からの情報を鵜呑みにしてると、それこそ北朝鮮や中国に都合よく情報操作をされ、いざという時に痛い目を見ることになるかもしれません。

日本に対して韓国が不正確な情報を流せば、いざというとき大きな被害を受けることもありえます。であれば、米国の情報並びに自ら、哨戒機や潜水艦で情報を収集すれば、そちらのほうが余程信頼できます。

信頼できない筋からの情報は、混乱と誤謬をもたらすだけです。米軍ももはや北に接近し、中国に従属しようとする韓国からの情報など信頼していないでしょう。

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2019年8月9日金曜日

韓国、ウォン暴落&株安で金融敗戦! 不良債権抱える中国も助けにならず “通貨危機の悪夢”再来か―【私の論評】最悪は米軍韓国撤退に伴う経済焦土化、反日どころではなくなる(゚д゚)!

韓国、ウォン暴落&株安で金融敗戦! 不良債権抱える中国も助けにならず “通貨危機の悪夢”再来か

ロボット部品などのメーカーを視察する文大統領。反日を続けても
経済は落ち込むばかりだ=7日、ソウル近郊

 韓国からの資金逃避が始まったのか。日本政府が貿易上の優遇措置を適用する「グループA(『ホワイト国』から改称)」から韓国を除外することを受け、通貨ウォンが暴落、株安も止まらない。国内の人気取りで「2度と日本に負けない」と言い放つ文在寅(ムン・ジェイン)大統領だが、見境のない反日暴走の先に待ち受けるのは、国際通貨基金(IMF)支援、リーマン・ショックに続く3度目の「金融敗戦」だ。


 外国為替市場でウォン相場は今月5日、対ドルで一時、1220ウォンを突破し、2016年3月以来約3年5カ月ぶりの安値を付けた。対円でも約3年ぶりの安値水準だ。

 株式市場も、韓国総合株価指数(KOSPI)も節目の2000どころか、一時的に1900を割り込む場面もあった。

 輸出の前年割れが続く韓国にとって、本来なら通貨安は干天の慈雨となるはずだが、韓国経済を長年ウオッチする元週刊東洋経済編集長の勝又壽良氏は、「いまの韓国にとってウォン安は歓迎すべき事態では決してない。対ドルで1300~1400ウォンまでウォン安が進むことは、金融危機が目前に迫っていることの予兆だ」とみる。

 過去の為替相場でも1ドル=1400ウォンを突破したのは2008年のリーマン・ショック時、そして1997~98年にIMFの支援を受けた悪夢の時期だ。

 勝又氏は「外資は株を売って逃げているが、韓国政府はこうしたときに支えてくれるはずの日本とけんかしてしまっている。日本が資金を引き揚げても問題はないと豪語しているようだが、金融危機が起こるとだれも貸してくれないことをどこまで分かっているのか」と首をひねる。

 外資の韓国離れも進んでいる。ゴールドマン・サックスが2013年、JPモルガンが18年に韓国市場から撤退したが、朝鮮日報は「フィデリティ、マッコーリーなど主な外資系資産運用会社の従業員は過去5年間で289人から148人に減少した。外資系資産運用会社5社のファンド受託額も12年の14兆ウォン台から現在は4兆ウォン台へと65%も減少した」と報じた。

 前出の勝又氏も「主要な上場企業の上半期の営業利益は前年と比べて約40%落ち込んでいる。格付け会社は韓国企業の大量格下げを警告しており、韓国全体の格下げを招く状況だ」と話す。

 事態をより悪化させているのが、感情的で支離滅裂な言動を繰り返す韓国政府自身だ。

 「日本は、韓国をホワイト国から除外しても、韓国の民生用の需要は減らさないと明言している。本来なら手順を踏んで3カ月待てば元に戻るはずだが、騒ぎを大きくしてしまっている。韓国経済が落ち込むのはその後だ」(勝又氏)

 韓国経済は中国への依存度が高いが、中国も助けにはならない。自国の銀行が抱える不良債権が膨らむなど深刻な事態を抱え、余裕がないのが実情だ。

米財務省が中国を「為替操作国」に指定したことも暗い影を落とす。当の韓国も米財務省に不透明な為替介入を指摘されている立場で、身動きが取れない。

 文大統領は、日本政府が韓国をグループAから除外すると決めたことについて、世界貿易機関(WTO)に提訴すると息巻く一方で、韓国側も、自国が設定した「ホワイト国」から日本を外すと表明した。

【私の論評】最悪は米軍韓国撤退に伴う経済焦土化、反日どころではなくなる(゚д゚)!

韓国の現在の経済の落ち込みなど、大した問題ではありません。そんなことより、米国が在韓米軍を撤退させるとき、米国は韓国経済を焦土化することてしょう。そうなれば、韓国経済はとんでもないことになります。それこそ、大東亜戦争終了直後に戻ることになるかもしれません。

昨年11月に訪韓したドナルド・トランプ米大統領が、京畿道平沢のキャンプ・ハンフリーズ基地の
米8軍司令部状況室で記念撮影を終え、ビンセント・ブルックス在韓米軍司令官と握手している

なぜ米国が、米軍を韓国から撤退させる前に焦土作戦を実行する可能性があるかといえば。韓国は、もう、米国の同盟国とは言えない状態だからだです。在韓米軍は、韓国と、軍事行動を共にすると、その軍事情報が北朝鮮に、すぐ漏れるとみなしています。

これが、軍事演習や平時の行動であれば、さほど問題はないかもしれません。しかし、有事の際に起これば、大量の米兵の死に直結することになりかねません。さらに、軍事物資に関しても敵国が、自分の兵器よりより高性能な兵器を持っていると、戦争をすれば大きな犠牲をともなうことになります。

さらに、兵站の問題もあります。日本は、韓国の経済を発展させ、インフラを整えさせました。これは、韓国に米軍がまともな兵站を確保するためにも役立ちました。しかし、米軍が撤退するとなると、経済的に発展させた韓国をそのまま北朝鮮に渡すわけはありません。米軍は、韓国から撤退する際、韓国経済を焦土化して出て行くことになるでしょう。

北朝鮮の金正恩は、中国に干渉されるのを極度に嫌っています。それは、中国に近かった叔父の張成沢や実の兄の金正男氏を殺害したことでも、明らかです。そうして、北朝鮮およびその核は結果として、中国の影響力が朝鮮半島に浸透するのを防いでいます。

これは、日米にとって悪いことではありません。最悪なのは、中国の影響力が朝鮮半島全体に及ぶことです。とはいいながら、米軍が韓国から撤退することになれば、北朝鮮や中国が韓国を接収しようとするかもしれません。そこまでいかなくても、韓国を自国の覇権が及ぶところにしようとするかもしれません。そのときに、韓国が現在のままであれば、敵に塩を送るようなものです。

だからこそ、米国は韓国を経済的に焦土化するのです。経済的に無意味な存在にしてしまえば、北朝鮮も中国も韓国を接収することに二の足を踏むでしょう。北朝鮮は韓国を摂取すれば、南北統一ができて一見良いようにもみえますが、そうなるとチュチェ思想には無縁で、金王朝に敬意も払わない多数の韓国人が北に入ってくることになります。

大東亜戦争時焦土化された日本の街。現代では経済的焦土化という方法がある。

それは、金正恩には到底許容はできません。中国にとっても経済的に無意味な存在になった韓国には全く魅力を感じません。そうなると、北朝鮮も中国も韓国は放置することになるかもしれません。さらに、接収すれば、多くの難民を抱えることになるだけです。

在韓米軍は、後2年は、最低でも韓国に駐留します。韓国に韓国軍の統帥権を委譲され南北戦争を戦って63年。米国は、文大統領に統帥権を返還を要請され、韓国にその資質があるか試しているというのが現状です。

その最終期限が2年後です。この2年間米国は、韓国に強く出ることはないでしょう。米軍は韓国本土に駐留しているわけで、闇夜に後ろから刺されるわけにいかないからです。当然兵站も必要です。だから表立って、、この2年に何をするかと言うと、何もしないというのが答えでしょう。

この、何もしないとは、どういうことかいとえば、例えば、日本が、韓国の貿易に関する優遇措置を撤廃するとしても、口を挟まないことです。韓国にの告げ口外交や、ロビー活動を展開されようが、何もしないのです。それだけでも韓国は、弱体することになります。

2年後以降は、いつ米軍が、韓国から撤退してもおかしくない状況になります。文大統領の任期は後3年。韓国が、近々に慌てて文大統領を引きずり下ろすというなら、状況が変わる可能性もありますが、このままいくというなら、在韓米軍徹底ということになるでしょう。在韓米軍の行き先は台湾ということになるでしょう。台湾にある米大使館予定地は、かなり広大で、一個師団が入れる広さです。

2008年の韓国通貨危機の時、米国は、韓国を通貨スワップで助けました。しかし今は、協定を結んでいません。日本も2012年に、期限延長を取りやめています。まずは、韓国を助けることはないでしょぅ。

現状では、韓国が問題を起こすたびに制裁することになるでしょう。既に、多くの問題を起こしていますから、一挙に制裁かけることも出来ますがが、在韓米国企業などに、警告を発する最終猶予は、与えるでしょう。

とにかく韓国には多くの問題がありすぎます。まずは、北朝鮮に対する瀬取り、日本の優遇を利用した軍事物資の敵国への横流し、米軍を守るためのTHAAD設置を邪魔したことです。

韓国は、北朝鮮を制裁すべき国なのにそれを邪魔しているどころか、積極的に北朝鮮を助けています。これは、国際法違反です。それだけで制裁対象になります。韓国は、世界のつまはじきになるでしょう。

在韓米軍が韓国を去る前に日本は、韓国と断交して、この米軍の韓国経済焦土作戦の煽りを受けないようにガードするとともに、米国とともに、焦土化に協力することになるでしょう。かつての日米の韓国への優遇措置など当然全部剥ぎ取られます。

アジア金融危機のときに、米国は韓国の大手銀行すべてに投資し、韓国経済の窮地を救いました。そのため、韓国人が汗を流して貯蓄すると、それは米国に配当金として流れ、米国が潤うということで、韓国は米国の経済植民地と揶揄されたこともありました。

しかし、焦土化にあたっては当然のことながら、これらの資金を米国は回収することになるでしょう。米国、日本企業、その他先進国の企業も韓国から引き上げることになるでしょう。

そうなっても、北朝鮮はもとより、冷戦で自己保身がせいいっぱいの中国も韓国を助けることはできません。

旭日旗を掲げて行進する緒先人志願兵

米中貿易韓戦争を思い浮がべれば、韓国焦土化は、苛烈なのになることが考えられます。韓国は中国と比べてもはるかに小さな存在です。GDPは日本の東京都と同規模です。日米への依存度が高すぎます。産業構造は日本のコピーのようであり、日米の助けがなければ、韓国自身は何できません。韓国の日米企業は、日米韓国焦土化に乗り遅れないように今から準備しておくべきです。

焦土化された韓国は、第二次世界大戦終戦直後の韓国経済に戻ることになるでしょう。それは、北朝鮮経済より多少ましなくらいか、それ以下かもしれません。そのような韓国は、荷物になるだけで、北朝鮮も中国も何も関心を示さなくなるでしょぅ。北朝鮮は、38度線を厳重に警備し、韓国難民を受け入れない体制を強化することでしよう。

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2019年8月8日木曜日

トルコ軍のシリア侵攻が切迫、クルド、“ISカード”でけん制―【私の論評】トルコ軍のシリア侵攻はもはや、確定的なったとみるべき(゚д゚)!

トルコ軍のシリア侵攻が切迫、クルド、“ISカード”でけん制

佐々木伸 (星槎大学大学院教授)

トルコ軍のシリア侵攻が切迫してきた。シリア北東部からトルコが安全保障上の脅威とみなすクルド人を排除するのが目的だが、クルド人と共闘を組んできた米国が侵攻しないよう土壇場の説得を強めている。だが、エルドアン・トルコ大統領はあくまでも侵攻の構えを崩していない。クルド人は臨戦態勢にあり、新たな大規模戦闘勃発の危機が高まっている。

シリアに侵攻したトルコ軍戦車、写真は2018年

数万人が2週間以内に進撃か

 現地からの情報などによると、トルコ軍はすでに数万人がシリアとの国境地帯に集結し、侵攻の準備を整えつつある。「2週間以内に侵攻するだろう」(ベイルート筋)との見方も出るなど緊迫の度合いが高まっている。トルコ軍の作戦には、トルコ配下のシリア反政府アラブ人勢力1万4000人も合流する見通しだ。トルコがシリアに侵攻するのは3回目となる。

 これに対して、迎え撃つシリアのクルド人の武装組織「人民防衛部隊」(YPG)4万人は塹壕やトンネルを建設するなど臨戦態勢。トンネルには野戦病院も設置された。米国と連携してきたYPGは過激派組織「イスラム国」(IS)との地上戦の主力を担い、米国が訓練し、武器を供与した。

 ベイルートからの情報によると、反政府アラブ人勢力はクルド人がISとの戦いの中で、シリア北東部を実効支配し、アラブ人を締め出したと非難しており、「クルド人対アラブ人」という民族的な対立にもなっている。この対立を「トルコがうまく操っている」(ベイルート筋)というのが今の状況だ。

YPGの女性戦闘員たち(2015.1.30)

トルコ軍が侵攻すれば、こうした民族的な対立もあって大規模な戦闘に発展、シリア内戦に新たな戦線が生まれる恐れが強い。そうなれば、米国にとっての同盟者であるクルド人が窮地に陥る他、シリアから米部隊を撤退させるというトランプ大統領の公約が破綻しかねない。このため、米政権は現在、国防総省の代表団をアンカラに派遣、トルコとの土壇場の協議を続けている。

 トルコはテロリストと見なすクルド人の勢力拡大が自国の脅威に直結するとして米国にクルド人支援をやめるよう要求。国境のシリア側に「安全保障地帯」を設置し、トルコ軍がその一帯に進駐し、クルド人を国境地域から排除する構想を米側に提案してきた。米国は「安全保障地帯」の設置を認める代わりに、米・トルコ部隊による合同パトロールの実施と、トルコ軍がクルド人を攻撃しないよう保証を求め、この対立が解けていない。

 「安全保障地帯」の規模についても、米側は長さ約140キロ、奥行き14キロと主張しているのに対し、トルコは奥行き30キロ以上を要求し、難航している。トルコは現在、国内にシリア難民360万人を抱えているが、これら難民の一部の帰還場所として「安全保障地帯」を活用したい意向を持っており、できるだけ広大な一帯を確保したい考えだ。

IS戦闘員1万人脱走の恐れ

 エスパー米国防長官は6日、日本訪問の途中、「トルコの侵攻は受け入れ難い。われわれがやろうとしているのはトルコの一方的な侵攻を食い止めることだ」と強く警告した。だが、両国の交渉がうまくいかない理由の1つはトルコが7月、米国の反対を押し切ってロシア製地対空ミサイルシステムS400を導入したことにある。

 米国はトルコのこの決定に対し、最新鋭ステルス戦闘機F35の多国間共同開発計画からトルコを排除、100機の売却も停止するなど、関係悪化が修復する兆しはない。エルドアン大統領が米国からロシア寄りにシフトしたのは対米不信を示すためだ。

 その対米不信の大元は、2016年のクーデター未遂の首謀者としてエルドアン大統領が引き渡しを要求する在米のギュレン師の送還を、トランプ政権が拒んでいることにある。エルドアン大統領は国内で5万人を超えるギュレン派を逮捕、約20万人を職場などから追放した。それだけに、ギュレン師引き渡しに応じない米国に対する疑念を強めた。

 だが、トルコ軍が侵攻した場合、実はもう1つ深刻な問題がある。それはクルド人が仮設の刑務所に収容している約1万人のIS戦闘員の扱いだ。クルド人は学校を改造した刑務所などにこれら戦闘員を拘留しているが、裁判などの法的手続きは全くなく、その扱いは放置されたままだ。

 米紙ワシントン・ポストによると、戦闘員の内訳は約8000人がシリア人とイラク人で、残りの2000人は他の国からISに参加した若者らだ。ISには世界80カ国から戦闘員が集まった。だが、こうした拘束されたIS戦闘員については、各国とも引き取りを拒否、その扱いは宙に浮いたままだ。

 同紙によると、クルド人の政治家の1人は「トルコと戦うか、ISの囚人を警護するかの2つに1つだ。われわれは両方に対応することはできない。トルコが攻撃してきたのを彼らが目撃すれば、刑務所を破壊して逃亡するだろう」と指摘し、“ISカード”をちらつかせてけん制している。

 確かに、1万人のIS戦闘員が脱走すれば、トルコにとっても、また米国にとっても大きな厄介事を抱えることになる。米国防総省の監察官は8月6日、「シリアでISが復活しつつあり、イラクでは実際にテロなどを引き起こしている」との報告書を発表した。トルコの侵攻はISとのテロとの戦いにも深刻な問題を提起することになるだろう。

【私の論評】トルコ軍のシリア侵攻はもはや、確定的なったとみるべき(゚д゚)!

トルコのエルドアン大統領の求心力の低下が囁かれています。最大の理由は、6月23日に再投票された最大都市イスタンブールの市長選で、世俗派の最大野党・共和人民党(CHP)のエクレム・イマームオール候補者が、得票率で約9ポイント、得票数で約80万票もの大差で与党候補のユルドゥルム元首相に勝利したことです。

エルドアン大統領

3月31日に行われた市長選では、イマームオール候補者が得票率にして0.2%強、得票数にして1.3万票の僅差ながら勝利していました。

ところが、その後、エルドアン大統領が党首を務める公正発展党(AKP)の主導する与党陣営が、明らかな組織的不正があったとして投票のやり直しを求めた結果、最高選挙管理委員会(YSK)が同投票を無効と宣告しての今回の再投票でした。それだけに、再投票での大差での敗北は大統領にとり痛手となりました。

エルドアン大統領の党内の掌握力が弱まりつつあることを示す今一つの動きが、AKP創設メンバーのババカン元首相とギュル元大統領による新党結成の動きです。既にババカン元首相筋は、今秋を目途に新党結成の可能性の高いことを明らかにしています。

エルドアン大統領は外交面でも難問に直面しています。最大の課題は、ロシア製ミサイル防衛システム「S400」の導入を巡り悪化した米国との関係をいかに修復するかです。

トランプ米大統領とエルドアン大統領は6月29日、主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の開催された大阪で会談し、ロシア製ミサイルの購入に関して意見交換しています。

トランプ大統領は、同会談冒頭でトルコがロシア製ミサイル・システムを導入した場合に制裁を発動するかを記者団に問われ、検討していると答えるに留めました。その上で会談後の記者会見において、トルコが同ミサイル・システム購入を決定したことに懸念を表明し、トルコに対して、北大西洋条約機構(NATO)の同盟強化につながる対米防衛協力の推進を要請していました。

他方、トルコ大統領府は同会談後、トランプ大統領は両国関係を害することなく問題の解決を図りたいとの願いを口にしていたと発表していました。

今のところ、ロシア製ミサイル・システムのトルコ導入が始まっていないこともあり、米国の制裁も発動されていません。

ただし、米国は既に6月中旬時点で、ロシア製ミサイル・システムの購入を撤回しない限り、米国の最新鋭ステルス戦闘機「F35」をトルコに納入しないと表明しています。また、仮に導入となった場合に備えて3種類の制裁が検討されていることも明らかにされていまか。

求心力が低下するなか、内憂外患に陥ったエルドアン大統領が、次の手がトルコ軍のシリア侵攻のようです。

シリア北部でアメリカと連携して構築される予定の「安全地帯」に向けて、アメリカ軍当局と行われた会談により、トルコで合同作戦局が直近で設立されることで合意がなされています。

トルコ国防省から出された声明によると、シリア北部で米国と連携して構築される予定の安全地帯に向けて、8月5-7日にトルコ国防省でアメリカ軍当局との間で行われた会談が終了しました。

会談で、トルコの安全保障への懸念を解消するための最初の段階の措置を一刻も早く講じること、その枠組みで安全地帯の構築がアメリカと連携して行われること、その管理のためにトルコで合同作戦局が直近で設立されることで合意がなされました。

トルコ軍とアメリカ軍当局は、安全地帯を「平和回廊」とすること、住む場所を追われたシリア人の帰国のためにあらゆる追加の措置を講じることでも合意に至りました。

シリア北部への「安全地帯(secure zoneあるいはbuffer zone)」設定という案は、以前からシリアの反政府勢力から要求されており、トルコも繰り返し提案してきました。

2012年10月ごろに報じられた、その当時トルコが意図した安全地帯はこの地図のようなものだったとされています。一部の報道では現在の問題を議論する際にもこの地図が流用されていますが、トルコと関係諸国との議論で同じ領域が念頭に置かれているかどうかは定かではありません。



アレッポ県では、ANHA(8月7日付)によると、トルコ軍とその支援を受ける反体制武装集団が、北・東シリア自治局とシリア政府の支配下にあるタッル・リフアト市近郊のマルアナーズ村を砲撃しました。

この砲撃に先立って、トルコ軍戦闘機2機が、タッル・リフアト市一帯地域(いわゆるシャフバー地区)に飛来、上空を旋回しました。

一方、アフリーン解放軍団が声明を出し、6日にタッル・リフアト市近郊のシャワーリガ村、マーリキーヤ村に侵攻を試みたトルコ軍と反体制武装集団を迎撃し、戦闘員(シャーム戦線、北の嵐旅団)7人を殲滅したと発表しました。

トルコ軍のシリア侵攻はもはや、確定的なったとみるべきでしょう。

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2019年8月7日水曜日

「信教の自由」でも衝突する米中―【私の論評】米国政治で見逃せない宗教という視点(゚д゚)!

「信教の自由」でも衝突する米中

岡崎研究所

7月16-18日、第2回「信教の自由に関する閣僚級会合」が米国務省の主催により開催された。これは、信教の自由を促進する世界最大規模の国際会議で、2018年に引き続く開催となる。18日には、ペンス副大統領とポンペオ国務長官が演説、ベネズエラ、イラン、ミャンマー、北朝鮮などにおける信仰、人権への攻撃を非難した。そして、日本の報道でも大きく取り上げられた通り、中国によるウイグル人弾圧を含む宗教弾圧は、特に強く非難された。

       ドナルド・トランプ大統領と共に祈るためにホワイトハウスの大統領執務室を
       訪れた米国の福音派指導者ら=2017年12月11日

 ペンス副大統領は、新疆ウイグル自治区での状況について「共産党は100万人以上のウイグル人を含むイスラム教徒を強制収容所に収容し、彼らは24時間絶え間ない洗脳に耐えている。生存者によれば、中国政府による意図的なウイグル文化とイスラムの信仰の根絶だ」と述べた。共産党政府がキリスト教を迫害しているにも関わらず、中国でキリスト教徒の数が急速に増加していることも指摘した。

 ポンペオ国務長官は、「中国共産党は中国国民の生活と魂を支配しようとしている。中国政府はこの会合への他国の参加を妨害しようとして。それは中国の憲法に明記された信仰の自由の保障と整合するのか」、「中国では、現代における最悪の人権危機の一つが起きている。これはまさしく今世紀の汚点である」と述べた。

 そして、ペンスは「米国は現在、中国と貿易交渉を行っており、それは今後とも続くだろうが、交渉の結果がどうであれ、米国民は信仰を持って生きる中国の人々とともにあると約束する」と述べた。つまり、信教の自由と貿易交渉を引き換えにすることはないという強いメッセージを発したのである。

 「信教の自由に関する閣僚級会合」というのは、世界中の信教の自由を促進することが目的であるが、この中で中国が大きく取り上げられたことの意味を過小評価すべきではないだろう。ペンスが言った通り、米国としては、信教の自由、ひいては人権と経済的利益は、究極的には取引することのできないものである。というのは、宗教の自由は、米国建国以来脈々と受け継がれてきた理念であり、DNAと言ってもよいような価値だからである。このことは、ペンスの以下のような発言からもよく分かる。

 ペンスの今回の演説の冒頭には、次のような文言がある。「米国は最も初期より宗教の自由を支持してきた。米国憲法の起草者たちは、宗教の自由を米国の自由の第一に位置付けた」「我々の独立宣言は、我々の貴重な事由が、政府から与えられたものではなく、神から賦与された不可侵の権利であると宣言した。米国人は、政府の命令ではなく良心の命令に従って生きるべきだと信じている」「我々は、世界中の他の国々の宗教的自由を支持し、人権を尊重し、それにより世界中の人々の生き方をより良いものにしてきたことを誇りに思う」「自由な精神が自由な市場を作るのだ」。



 トランプ政権は、人権への取り組みが弱いと非難されてきた。その批判には当たっている面が少なくない。トランプ政権は、独裁者に対して甘い傾向がある。しかし、信教の自由を前面に打ち出すとなると、トランプの重要な支持基盤の一つである宗教保守へのアピールになる。米バード大学のWalter Russell Mead教授は、ウォール・ストリート・ジャーナル紙に7月22日付けで掲載された論説‘Trump’s Hesitant Embrace of Human Rights’において、「チーム・トランプはアジアやその他で中国の勢力に対抗する連合を形成するうえで、米国のポピュリストと保守の支持者を団結させる必要がある。宗教の自由に焦点を当てた人権のビジョンを取り入れることは、その両面で役立つ」と指摘している。鋭い指摘である。

 トランプ政権においても、宗教の自由擁護という人権問題が重視されてきていることははっきりしてきた。そうした中で、米中関係の今後がどうなっていくかは世界各国にとり、特にアジア諸国にとり、大きな関心事項である。経済問題は互恵のプラスサムの関係を築くことで、政治問題は利益をバランスさせる政治的妥協によって解決可能であるが、宗教の自由問題は深く価値観にかかわる問題であって、妥協によって解決するのが困難な問題である。

 中国はウイグル問題を内政問題と整理し、内政不干渉を盾に国際的批判に対抗しようとしているが、そんな対応でやり過ごせる問題ではないのではないかと思われる。宗教の自由を重視する米国と、宗教をアヘンとみなし宗教を国家の監督下に置きたいとする共産主義の中国との対立は今後ますます深刻になる可能性が高い。今や、米中対立は、単なる覇権争いを超えて「価値観の衝突」となっている。

【私の論評】米国政治で見逃せない宗教という視点(゚д゚)!

日本人は宗教と政治は、無関係であることを当然のこととしているため、米国の宗教的価値観をなかなか理解できないでょう。

米国の政治にはいわゆる福音派が、大きな影響を与えていることは間違いありません。福音派とは、キリスト教の潮流の一つで、聖書の記述を忠実に守り、伝道を重視し、積極的に行動することを旨とします。プロテスタントの系譜を引くのですが、米国では宗教別人口の約4分の1を占め、主流派のプロテスタントを上回る最大勢力です。また、トランプ大統領の強力な支持基盤で、2016年の大統領選では白人福音派の8割がトランプに投票したとされます。

福音派がその名に冠する福音主義は、16世紀の宗教改革当時にルターらが唱えた、教会の権威によらず聖書に立ち返ろうとする考えを指します。福音派も含めてプロテスタントは、神学的にはこの流れをくむものですが、様々な歴史的経緯からいくつかの会派に分かれていきました。

19世紀の前後にかけて自然科学などの発展に伴い、プロテスタントの中には自然科学の知見を認める自由主義神学の流れが現れました。その一方で、米英の保守的なプロテスタントの中からは、自由主義神学に異を唱え、進化論などを否定して聖書の霊感と無謬(むびゅう)性を固持するファンダメンタリズム(原理主義)が現れました。

米国の福音派の代表的な伝道師であるビリー・グラハムらは、このファンダメンタリズムから出発しています。しかしグラハムらは、ファンダメンタリズムが内包する分離主義や反知性主義、伝道についての無関心などを批判する姿勢を示しました。

ビリー・グラハム氏

それと共に、自由神学に対して一定の評価を与え、ファンダメンタリズムとも自由主義神学とも一線を画する新しい福音主義として福音派の潮流を興したのです。このため、福音派は穏健なプロテスタント保守派と位置付けられています。

一般的に、このような立場をとるプロテスタントが、自他共に福音派とされます。したがって、福音派とは特定の会派ではなく、会派をまたいだ信仰における姿勢や立場を示す呼称となっています。

このため、国によって福音派の定義にも違いがみられます。また、社会問題についての見解などにも会派により多少の差異があります。しかし、一般的には妊娠中絶や同性婚には否定的であることが多いです。

基本的には聖書の教えどおりに生きることに価値を置くため、旧約聖書の一節を「神がイスラエルをユダヤ人に与えた」と解釈し「世界が終末を迎えるとき、エルサレムの地にキリストが再来する」などとしています。

トランプ大統領自身は、米国のリベラル系メディアの否定的な報道から、信仰心を有しているとは思われていようですが、実はそうではありません。選挙公約に米大使館のエルサレム移転などを掲げ、当選後まもなくエルサレムをイスラエルの首都と認めるとしたのは、有力な支持層である福音派への配慮だとされています。

そうして、日本の多くの人々は、米国の福音派に違和感を抱くのは、「どうしてあそこまで政治と宗教(キリスト教)が関連付けられるのか」ということでしょう。これは、日本のキリスト教が1パーセント未満であることとも連関しますが、まず米国は日本で一般に認識されているところの「政教分離」の原則が当てはまらない国家であることを知る必要がある。

ご存じの方も多いと思いますが、米国では大統領が就任式で宣誓するとき、聖書に手を置いてこれを行います。日本では絶対にありえない光景です。日本では首相が般若心経やコーラン、あるいは仏典の上に手を置いて就任式をする光景はないです。

トランプ大統領は就任式で、左手を聖書に置き、右手を挙げて恒例の宣誓をした

ところが、米国ではこれは当たり前のことになっています。それは、米国において「宗教(主にキリスト教)」は政治に関与することが大いに奨励されているからです。そもそもWASP(白人でプロテスタント信仰を持つアングロサクソン系民族)と呼ばれる人々は、キリスト教信仰に基づいた国家を建設しようとして、米大陸に乗り込んできたやからです。だからキリスト教精神に則って政治が行われることは、至極まっとうなこととなのです。そのため、彼らの意識としては、政治と宗教は親和性の高いものとなっているのです。

これを端的に表しているのが、「Separation of Church and State」という考え方です。これは詳訳するなら「特定教派と政治の分離」となります。一方、日本をはじめ他の先進諸国が使用している形態は、「Separation of Politics and Religion」です。同じく詳訳するなら「政治と宗教の分離」です。この土台が異なっているため、日本では、当福音派クリスチャンですら二重の意味で混乱を来すことになるのです。そうして、非キリスト教以外の人々にも誤解や混乱をもたらしてるのです。

一つは、日本国民として「政治の中に宗教性を持ち込んではダメ」と思っていることです。もう一つは、「キリスト教はあくまでも心や精神的癒やし(解放)を目指すものであって、政治とは相いれない」と思い込んでいることです。

しかし米国においては、このいずれも決して自明なことではありません。もちろん政治的発言を控えるという風潮や、そういう考え方を訴える福音派の牧師もいます。しかし同じ「福音」の捉え方にしても、やはり国が違えばその強調点、濃淡に差異が生じやすくなるのです。

多くの日本の福音派教会は、米国の宣教師からのDNAを受け継いでいます。宣教師になるくらいですから、米国にいながらどちらかというと政治よりも個々人の精神性に重きを置く傾向がある人々であることは否定できないでしょう。

日本的な「政教分離(政治と宗教の分離)」の原則と、日本にクリスチャンが1パーセント未満であるということ、そして海外からもたらされた形而上学的側面を強調する「キリスト教」が相まって、米国の「政教分離(特定教派と政治の分離)」を理解しにくくしているという一面があることは、覚えておく必要があります。

日本のメディアの論調は、米国人の4分の1が「福音派」であり、その大多数が共和党支持であり、福音派の主張(中絶禁止、公立学校での祈祷推進、同性愛禁止、イスラエル支援など)を積極的に受け止めて実現させているトランプ大統領を熱烈に支持している、というものです。

しかしこのような情報の流布には、大きな功罪が伴っています。「功」の部分は、「政治と宗教が一体となる国家こそ素晴らしい」と考える集団が米国には今でも確かに存在することをリアルに示しているというところです。

一方、「罪」の部分は「功」を上回って深刻な偏見を私たちに与えることになります。それは、全国民の4分の1が福音派として一枚岩で、福音派の主張を政治的に成就させようとしている、という印象を与えてしまうことです。そもそも「福音派」とは一体何なのでしょうか。

「福音派」はなかなか明確化しづらい概念であり、専門家たちも確たる定義を行えないまま現在に至っています。

政治への関与という点で、「福音派」は「政治的に解決することもいとわない」という「宗教右派」から、政治関与には消極的な集団まで幅広く存在しており、その境界線はかなり曖昧です。

「福音派」の多数は後者ですが、メディアなどに取り挙げられるのは圧倒的少数派である前者です。これは、米国のメディアのほとんどが、リベラル系に握られており、大手新聞の全部はリベラル系、大手テレビ局ではfoxTVのみが保守系であり、あとはリベラル系であることを認識しておくべきでしょう。だから、米国保守派の正しい姿をなかなか報道できないのです。

つまり、テレビに登場する「福音派指導者」という輩は、その素性、経歴、現在の立場などがまったく分からないまま「福音派の代表」に祭り上げられているといえるかもしれません。もちろん、本人がそう願って取材に応じている場合もあるでしょう。しかし往々にして、日本のメディアが大々的に取り上げることで、彼らを頂点とする「政治的思想集団=福音派」が米国に出来上がりつつあるような印象を与えてしまっています。

しかし、ネットで彼らの素性を調べると、そのほとんどが「宗教右派」に分類される人々です。一部のコアファンが集まっているというところでしょう。

このような現状を鑑みるとき、もし誰かに「福音派ってあんな人たちなのですか」と尋ねられたり、「どうして米国の福音派はトランプ大統領を支援しているのですか」と聞かれたりしたとき、特に日本の福音派との比較で聞かれた場合には、現状では以下のように認識すべきでしょう。

1)日本の福音派と米国の福音派は、信じている事柄(福音主義的教理)においては一致していても、そのアウトプットの仕方は異なっています。その理由は「政教分離」の中身がまったく違うからです。

2)米国の福音派はトランプ大統領に絶対的な支持を与えているわけではないです。政治的関与に対して、幅広い意見を持つ福音派は、その定義すらつかみどころがないです。自分たちの願うアクションを政策として掲げてくれるトランプ大統領を「熱烈に」支持する一部の福音派(宗教右派)もいれば、彼らのプレゼンにほだされて、トランプ支持に回る「浮遊層」も存在します。さらに、政治的な解決は自分たちの信じている聖書のやり方に反する、と主張する反トランプ派の福音派も存在するのです。

さて、米国の福音派について長々と述べてきましたが、米国では政治に大きな影響力を持つ福音派は、現状のウイグル族の状況をどう捉えるでしょうか。

当然のことながら、ウイグル人はイスラム教という信仰に基づいた国家を建設するのが自然であると考えるでしょう。これは、宗教を否定した共産主義者からはとても受け入れられない考え方です。

米国の福音派等からすれば、信仰に基づかない国家を建設した中国は、偽善でありまやかしであると写るに違いありません。

両者は水と油なのです。だからこそ、米中対立は、単なる覇権争いを超えて「価値観の衝突」となっているのです。

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2019年8月6日火曜日

【暴走する韓国】数々の裏切り行為や侮辱発言…日本人の堪忍袋の緒は切れた―【私の論評】韓国にとって重要な国、日本を粗末に扱った文在寅の代償はかなり大きなものになる(゚д゚)!

【暴走する韓国】数々の裏切り行為や侮辱発言…日本人の堪忍袋の緒は切れた

ソウルの日本大使館が入居するビルに突入した乗用車=19日未明

韓国が破滅に向かって暴走している。全国各地で「反日」集会が連日開かれ、日本の対韓輸出管理厳格化をやり玉にあげて、「安倍(晋三首相)は、韓国が『未開な国』だと言っている」「もう一度、日本の僕(しもべ)にするつもりで経済侵略を仕掛けてきた」などと、感情の赴くままに言いたい放題である。

 ソウルの日本大使館にはガソリンを積んだ乗用車が突っ込み、運転手は車に火をつけて自殺した。釜山の日本総領事館には学生6人が中庭に侵入し、「安倍は謝罪しろ」と騒いだ。産経新聞やフジテレビの支局にも暴漢が侵入した。釜山市は長く続いた長崎県との交流を断絶し、韓国中部・瑞山(ソサン)市は、天理市の中学生交流団の受け入れを直前に拒否した。

 韓国政府もマスコミも、国民の反日感情を煽るばかりだ。走り出したら止まらない彼らの行き着く先は、日本との「断交」しかない。

 現在の日韓関係の悪化は、昨年から続く韓国の裏切り行為や侮日発言にその原因がある。すべて、「韓国が売ったケンカ」なのだ。「完全かつ最終的な解決」を確認した元徴用工への補償問題を蒸し返し、慰安婦問題が「不可逆的に解決した」ことを確認した日韓合意も完璧に反故(ほご)にして、相変わらず「性奴隷説」を世界にバラまいている。

 韓国駆逐艦が自衛隊機に火器管制用レーダーを照射した事件も、「超低空飛行で自衛隊機に威嚇された」と言って、逆に日本を非難している。韓国国会議長は「天皇陛下(現上皇さま)は元慰安婦に謝罪せよ」と、不敬極まる発言を行い、日本が抗議すると「盗人猛々しい」と開き直った。

 自己の責任は棚に上げ、自分の都合に合わせて事実を捻じ曲げ、これをどこまでも押し通す彼らのやり方に、もはや日本人の堪忍袋の緒は切れた。「断交は望むところだ」と多くの日本人が思い始めている。

 実は、韓国経済が日本経済に支えられていることを、ほとんどの韓国人が知らされていない。日本のメガバンクが韓国の銀行が発行する信用状に保証を付けなければ、貿易決済さえまともにできないのが実態だ。しかし、自虐史観で不必要な負い目を負わされた日本が、ことあるごとに韓国の理不尽な要求を受け入れたために、彼らは自己過信に陥り日本を徹底的に侮るようになった。そして、いつの間にか条約一つ守れず、日本の在韓公館や企業を襲う暴徒が英雄となる、独善的で理性と品格に欠けた国家に成り下がってしまったのだ。

 日本にも、その責任の一端がある。日本の名誉と国益を守るためにも、毅然(きぜん)と反論して目に見える対抗処置を取り、「断交→自滅」へ一直線の反日暴走から、彼らを覚醒させるべきであろう。

 ■松木國俊(まつき・くにとし) 朝鮮近現代史研究所所長。1950年、熊本県生まれ。73年、慶応大学を卒業し、豊田通商に入社。直後から韓国担当を務め、80~84年、ソウル事務所に駐在する。秘書室次長、機械部次長を経て、2000年に退社。松木商事を設立する。韓国問題を長く研究しており、「慰安婦の真実国民運動」前幹事長。著書に『こうして捏造された韓国「千年の恨み」』(ワック)、『日本が忘れ韓国が隠したがる 本当は素晴らしかった韓国の歴史』(ハート出版)など。

【私の論評】韓国にとって重要な国、日本を粗末に扱った文在寅の代償はかなり大きなものになる(゚д゚)!

どうして韓国がこのようになるのか、多くの日本人には理解しがたいことです。

日本兵の姿をしている人に怒りの水鉄砲を撃って喜ぶ韓国の子供達

それは、このブログにも以前から掲載してきたように、韓国政府や文在虎大統領というより、1990年代ころから、歴代の政府と大統領が、体系的、組織的な反日教育を通じて意図的に日本を悪者に仕立てて、自らの失敗などで自分たちが国民の憤怒のマグマを直接かぶることなく、日本に向けて発散させるとともに、それによって国内の求心力を訴求してきたという歴史があるからです。文在寅も、自分の失敗を日本のせいにしているだけのことです。

今日の文政権は、金融緩和や積極財政もをせずに、最低賃金だけあげるという、日本でいうと立憲民主党の枝野氏のような政策を実行し、大失敗しました。そうなることは、最初からわかりきっていました。雇用のパイが変わらないのに、最低賃金だけあげれば、当然のことながら、雇用が激減するわけです。

文在寅氏と枝野氏

さらに、安全保障においても、中途半端に中国に接近するなどして、米国の不興を買い、とんでもないことになっています。

外交においても、周辺諸国が現状維持(Status quo)を望んているということも理解せず、北朝鮮に接近し、何かといえば、制裁解除をしようとしてさらに米国の不興を買いました。さらには、この制裁破りをしている可能性が大です。おそらく、例の自衛隊の哨戒機へのレーダー照射はそれに関係しているでしょう。

文在寅は北に接近して、金正恩と気脈を通じたつもりになり、いずれ南北統一ができるかのような錯誤をして有頂天になっていたようですが、金正恩にはその気は全くありません。

南北が統一されてしまえば、どのような形であれ、子供の頃から主体(チュチェ)思想で鍛え上げられ、金王朝を尊敬する北朝鮮人民以外の金王朝には敬意を払わないどころか、無関心な韓国人が大勢北にやってくることになります。そんなことは、金正恩は絶対に許容できません。中国やロシアだけではなく、北朝鮮も朝鮮半島の現状維持を望んでいるのです。

では、なぜ金正恩が、文在寅と気脈を通じたように演出してみせたかといえば、それは無論制裁破りです。北への制裁はかなり効果があり、金としては、なんとしてでも制裁を少しでも破りたかったので、文にまともに対応し、歓迎してみせたのです。

2018年9月20日、朝鮮半島最高峰の白頭山を訪れ,
      ヵルデラ湖「天地」で笑顔の文在寅と金正恩

しかし、文在寅は、北と接近する一方で、中国にも接近し、従属する姿勢を継続しました。文は、南北統一や中国への従属ということで、周辺諸国からみれば、文在寅は、朝鮮半島の現状維持の破壊者なのです。

そもそも、金正恩、北朝鮮の幹部らは嫌中です。そのため、北朝鮮および北朝鮮の核は、結果として、中国の朝鮮半島への浸透を防いでいます。北朝鮮の核は、中国やロシアにとっても脅威なのです。

そうして、この状況は米国にとっては決して悪い状況ではありません。米国にとって一番悪い状況は朝鮮半島全体が中国の覇権が及ぶ地域になることです。

文在寅はこのようなことも理解せず、中国に従属しようとするだけではなく、南北統一への道筋をつけようとしたわけですから、金正恩も最初は、文は制裁破りで役立つかもしれないと考えていたのですが、あまり文と接近しすぎると、日米中露から、金も文と同じく、現状維持の破壊者とみられては、とんでもないとばっちりをうけるかもしれないと思い、最近では短距離ミサイルを発射するなどして、文とは一定の距離を置こうとしているのです。

以上のように文在虎は、歴代の大統領の中でも、経済特に雇用、安保、外交でもすべて大失敗しているのです。文はこれらに対する打開策もみつからず、ことさら日本を攻撃してみせて、国内アピールをして何とか国内の批判をかわそうと試みているのです。

しかし、このようなことが長く続くとは思えないです。なぜなら、冒頭の記事にもあるように、日本は韓国に対して安保上の理由でいつでも送金停止の処置ができるからです。

韓国の銀行は既に米国で送金できなくなっています。米ニューヨークに進出した韓国系銀行の支店と現地法人が昨年11月から送金中継や貸付などの核心業務を相次ぎ中断しています。米金融当局のコンプライアンス強化の要求に対応できないためです。グローバル金融の中心地ニューヨークで韓国系銀行は連絡事務所に転落しています。

これは、北朝鮮に対する制裁破りをしている韓国に対する米国の事実上の制裁と考えるべきでしょう。 これは、韓国内ではソフトに報道されていますし、米国もはっきりと制裁とは言ってはいません。

日本では、最近になって貿易制限をしていますが、米国では似たようなことをすでに昨年の11月あたりから実施していたということです。

上の記事では、「日本のメガバンクが韓国の銀行が発行する信用状に保証を付けなければ、貿易決済さえまともにできないのが実態だ」としていますが、もっと具体的に言うと、日本の銀行が韓国の貿易決済に関する送金を停止すれば、韓国の金融取引は止まり、輸出入ができなくなります。その結果、韓国は金融危機に陥ることになります。

もし韓国が日本と国交を断絶するようなことをすれば、無論日本のメガバンクは保証などできなくなくなります。さらに、日本からは様々な韓国産業にとっての死活的な物資や機器が輸入できなくなります。韓国にとっては、本来日本は死活的な重要な国なのです。

その重要な国を粗末に扱った文の代償はかなり大きなものになることでしょう。

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2019年8月5日月曜日

日本経済には漁夫の利も、英国のEU離脱―【私の論評】英国はブレグジットで緊縮策を捨て去り、新たな経済モデルを樹立するかもしれない(゚д゚)!

日本経済には漁夫の利も、英国のEU離脱

塚崎公義 (久留米大学商学部教授)

英国の新首相は、EU離脱を強行する方針なので、欧州経済は混乱しそうです。しかし、日本経済への悪影響は限定的だろう、と久留米大学商学部の塚崎公義教授は考えています。



失われる「自由貿易のメリット」は限定的

 EUは「人・物・資本・サービスの移動の自由」を基本理念としていますので、英国がEUを離脱すれば、大陸との間での様々な移動に支障が出る事になるでしょう。

 その中で、日本経済に影響しそうなのは、物の移動すなわち貿易でしょうから、本稿は貿易に焦点を当てましょう。

 経済学は、「自由貿易によって国際分業が促進され、それぞれの国が得意な物を作って交換し合うことで、双方にメリットがある」と教えています。それはその通りなのですが、工業国と農業国のような場合はともかく、産業構造も得意分野も似通っている先進国同士の場合には、そのメリットは限定的でしょう。したがって、EU離脱の悪影響も限定的です。

 イギリス人が「フランス産ワインに関税がかかるので国産スコッチで我慢しよう」と考えると、フランスのワインメーカーにとっては輸出が減ってしまいますが、一方でフランス人が「英国産スコッチに関税がかかるので国産ワインで我慢しよう」と考えれば、ワインメーカーの国内販売が増えるので、トータルの影響は限定的なのです。

 悲観論の好きな評論家やマスコミが「ワインメーカーは輸出が減って困るだろう」と書き立てるかもしれませんが、物事は多面的に見る必要があるので、要注意です。

 物の移動以外でも、たとえば金融業は英国から大陸への大量脱出が起こりそうですが、それによって英国のGDPが減った分は大陸のGDPが増えるわけでしょうから、欧州全体のGDPも、したがって日本から欧州への輸出も、それほど影響を受けないと思われます。

日本企業の英国工場は英国企業

 日本企業が英国に生産子会社を持っているケースは多いでしょう。したがって、英国経済が混乱したり、工場から欧州大陸への輸出が難しくなったりした場合、親会社の日本企業が痛手を被ることになりかねません。

 しかし、本当に痛手を被るのは英国企業である生産子会社であって、仮に失業するとしたら英国人従業員です。日本の本社は、海外子会社からの配当が減るだけです。これは、日本の景気にほとんど影響しません。

 日本企業は海外子会社から配当を受け取っても、それを日本人従業員のボーナスとしたり日本国内の設備投資に使ったりせず、手元資金として貯めておくか銀行に借金を返済するために使う場合が多いでしょう。それならば、配当が増えても減っても日本の景気には影響がない、というわけですね。

 親会社から生産子会社への部品の輸出が減るかも知れませんし、親会社の株価が下がれば株主の消費が減るかも知れませんが、いずれも影響は限定的でしょう。

合意なき離脱だと短期的には混乱するだろうが……

 英国のEUからの離脱が「合意なき離脱」になると、短期的には混乱が生じるでしょう。たとえば、税関が混乱して荷物が届かない、といったことが起きるかもしれません。しかし、時が経てば混乱も収まり、荷物も届くでしょう。

 部品が届かないから生産が止まる、ということもありそうですが、その場合にも部品が届き始めてから遅れを取り戻すべくフル生産が始まるでしょうから、少し長い時間軸で見れば、影響は限定的でしょう。

 そもそも、合意なき離脱の可能性が高まってから実際に離脱するまでに時間がありましたから、各企業が十分な準備をしていると考えてよさそうです。

日本経済には漁夫の利も

 欧州のGDPはそれほど減らず、英国子会社の損失も日本経済には響かず、合意なき離脱の影響も少し長い時間で考えれば影響が小さいとすれば、上記を見る限り、日本経済への影響は、限定的でしょう。

 一方で、日本経済が漁夫の利を得ることも期待されます。いままで「ドイツ車は関税がかからないから、日本車よりドイツ車を買おう」と考えていた英国人が、「どちらも関税がかかるなら日本車を買おう」と考えるかもしれません。

 もしかすると、英国と日本の自由貿易協定が締結され、「ドイツ車には関税がかかるけれども日本車はかからないから、日本車を買おう」ということになるかもしれませんね。

EUの崩壊は起きない

 悲観論を述べたがる評論家の中には、英国がEUを脱退すると、次々に脱退する国が出てきてEUが崩壊する、と言う人がいるかも知れませんが、それは杞憂です。

 まず、英国経済は今回のEUからの離脱で少なからぬ痛手を被るでしょうから、それを真似ようという国は多くないはずです。

 それ以上に重要なのは、英国がEUを離脱したのは、ユーロを使っていなかったからであって、ユーロを使っている国がユーロ圏から離脱するのは大変な労力が必要です。

 特に、対外純資産がマイナスの国がユーロ圏から離脱するのは、大きなリスクを伴います。海外の債権者が返済を求めて来たときに、今ならユーロを返済すれば良いのですが、自国通貨を使うようになると、自国通貨をユーロに替えて返済する必要が出て来ます。

 最初の返済は良いのですが、最初の返済のためにユーロを買うと、自国通貨安ユーロ高になりますから、次の返済は少し大変です。次の返済のためにユーロを買うと、3回目の返済はさらに大変です。こうして、最後の返済は非常な負担となるかもしれないわけです。

 そのことは、外国の債権者も予想ができますから、ユーロ圏を離脱した対外純債務国に対しては、高い金利を要求するようになるでしょう。今はユーロ圏にいるから安い金利で借りられているのだ、と考えれば、離脱はリスクというより明白なコストと言うべきかもしれませんね。

世界経済への影響は限定的

 英国が離脱しただけでEUの経済が大混乱をすることは考えにくいですから、仮に大混乱するとしても英国経済だけでしょう。それであれば、英国の輸入が落ち込む程度ですから、世界経済への影響は限定的なはずです。

 かつてのように英国ポンドが基軸通貨であったならば、世界中の投資や貿易等に使われている通貨の流動性が低下したりすれば大問題となりかねませんが、今は概ね英国国内だけで使われている通貨ですから、対外的な影響は小さいでしょう。

 リーマン・ショックが基軸通貨である米ドルの流動性を著しく低下させて世界経済に甚大な打撃を与えたのとは、その面でも大きく異なるわけですね。

 本稿は、以上です。

【私の論評】英国はブレグジットで緊縮策を捨て去り、新たな経済モデルを樹立するかもしれない(゚д゚)!

ロンドンではなぜか、ジョンソン氏への懸念がさほどでもないようです。それは以下の2点に集約されるようです。

1、強硬派のジョンソン氏も、首相になれば現実路線に転じて円滑な離脱を目指すはずだ
2、「合意なき離脱」でも悪影響は案外大きくないだろう
です。

1について、もう少し詳しく説明すると、党首選におけるジョンソン候補の「合意なき離脱も辞さない」とする主張は、あくまでもEU離脱派の保守党議員向けであり、首相になり離脱派と残留派が拮抗する国民世論を前にすれば、より現実的な道を選ばざるを得ないだろう、というのです。

ボリス・ジョンソン英国首相

実際、党首選が進むにつれ、ジョンソン氏は10月末の離脱を目指すという目標は変えないものの、「合意なき離脱」ではなく、EUとの交渉による円滑な離脱の可能性を探る姿勢を強めています。

ジョンソン氏は、ロンドン市長時代の左派的なスタンスからEU強硬離脱という右派的なスタンスへと立ち位置を変化させており、特定の主張に固執せず、柔軟だという指摘もあります。こうした彼の特徴が、やや根拠に欠ける安心感を国民に与えているのでしょう。

2の「合意なき離脱」でも影響はないという見方の根拠としては、

1、悪影響の試算がマイナス面だけであり過大
2、予測不能な部分が多いため、思ったほど悪くならない可能性がある
3、事前に悪影響をある程度織り込んでいるため、事後に反動でプラスとなるものがある
の3点が挙げられる。

確かに、1の過大推計はこの手の試算によくあることです。たとえば大イベントの経済効果試算などでは、プラス要因ばかりを積み上げ、消費者がイベント参加で使うお金を捻出するために、実は節約するといったマイナス面を十分に考慮しないことが多いです。

2の予測不能に関しても、予想から大きく上振れすることも下振れすることもあるということであり、上振れにのみ注目すれば、そういう考えもできるのでしょう。

3の反動についても、不透明感から投資は抑制気味のようであり、離脱後に動き出すものもあるでしょう。とすれば、思ったほど悪くはならないという程度は言えるのでしょうが、希望的観測の域を脱していないようにも見えないではありません。

ある大手会計系コンサルティングファームによると、2千社のCEOに対して行った調査で、英国は最近もなお、投資対象国としての人気ナンバーワンを維持しているといいます。ポンド安が投資の魅力を高めている面があり、こうした結果を踏まえ、ブレグジット後もイギリスへの投資が加速するのではという見方もあります。

また、ブレグジットはそもそも英国が抱える課題を解決するために実施するのですから、一時的に混乱しても、長い目で見れば悪いはずがないという声もありました。これは、日本人など部外者が見落としがちな視点なのかもしれないです。

もともと英国がブレグジットを目指した背景には、移民の流入で生活が圧迫される層の存在があり、移民流入をもたしたと彼らが考えるEUルールへの根強い反発があります。裏返せば、EUルールから解放されることが自らの生活改善につながるという期待感が、ブレグジットの原動力になっています。

ロンドンの移民

こうしてみると、楽観論の根底に、ブレグジットによってもたらされるであろう環境改善への期待があるのは確かです。離脱やむなしとなったからには、それを信じるしかありません。円滑な離脱であればなお良しということなのでしょう。

そうして、これは以前のこのブログにも掲載したのですが、ジョンソン新首相は、これまでの英国の緊縮財政を変える可能性が高いです。ジョンソン氏は以前から積極財政に舵を切ることを国民に約束しています。

金融政策に関しては不透明なところもありますが、イングランド銀行(英国の中央銀行)は、以前から果敢な金融緩和政策をおこなつてきました。ブレグジットで景気が落ち込んだ場合も、おそらく大規模な緩和に踏み切るでしょう。

これと、ジョンソン氏の積極財政が結びつけば、ブレグジットによる悪影響はかなり緩和される可能性があります。

英国で19世紀の「ディケンズ病」が再燃、猩紅熱などの患者急増

そもそも、英国の最近の保守党による緊縮策は像像を絶するところがあります。英国で19世紀から20世紀初頭にかけて流行した猩紅熱(しょうこうねつ)や栄養不良など「ディケンズ病」と呼ばれる疾病が再燃し、患者数が急増しています。

専門家が英国民保健サービス(NHS)の統計をもとにまとめた調査によると、2010年以来、猩紅熱や栄養不良、百日咳、痛風のために病院を受診した患者は、年間3000人(52%)のペースで増加しました

1900年代初頭に乳幼児の死亡の筆頭原因だった猩紅熱については、2010~11年にかけて429人だった患者数が、17~18年にかけては1321人と208%増加ししました。

百日咳は、1950年代に英全土で予防接種を推進した結果、英国ではほぼ根絶されたはずだったのですがが、患者数は2010~18年にかけて59%増となりました。

同じ期間に栄養不良の患者は54%、痛風の患者は38%、それぞれ増えています。

今回の調査結果を発表した野党労働党は、こうした疾患が増えているのは政府による緊縮策が原因だとして政府を非難しました。

労働党の影の内閣保健相、ジョナサン・アシュワース議員は、「緊縮策のために我々の社会が病んでいる」「これは貧者が若くして死亡するということだ」と強調しています。

英看護協会の専門家ヘレン・ドノバン氏も、緊縮策の影響で検査や予防対策などの予算が削減されたと述べ、「過去のものと思われていた疾患は今後も見過ごされ、国民が危険にさらされる」と指摘。「我々は、健康の不平等拡大が国土を荒廃させる国家非常事態に直面している」と危機感を募らせています。

ボリス・ジョンソン英国首相は7月25日午前、初の閣議を開催。昼前には首相として初めて議会で演説しました。

ジョンソン首相は演説の中で、英国のEU離脱(ブレグジット)を10月31日までに実現する決意を重ねて強調。EUに対しては「離脱協定に変更を加えることを一切受け付けない姿勢を再考するよう期待する」と述べました。EUがこれを拒否すれば、合意なき離脱(ノー・ディール)を選択するとし、離脱期限までにその準備を最大限加速させると力説しました。

ブレグジット以外の政策課題については、医療、治安、インフラ整備などを重視する姿勢をにじませました。演説で言及した主な方針は以下の通りです。
●国営医療サービス(NHS)の予算拡大。20の病院で施設改修を実施。かかりつけ医師(GP)の診察待ち時間の短縮。
●路上一般犯罪の抑制。2022年までに警察官2万人を増員。職務質問権限の拡大。
●初等・中等教育機関における児童・生徒に係る予算の引き上げ。今国会閉会までに教育費支出を過去の水準まで増加。
●全国の地方自治体への支援強化。各地における機会不平等の是正。
●道路、鉄道、光ファイバー、第5世代移動通信システム(5G)、住宅など社会インフラの整備。
●移民諮問委員会(MAC)によるオーストラリア型ポイント制移民政策の検証。
●(メイ前政権が発表した)2050年までの温室効果ガス(GHG)純排出ゼロ実現に向けた政策の推進。蓄電池技術開発などによる電気自動車(EV)産業や航空機産業の集積強化。
●バイオ産業、衛星や地球観測システムなどの強化。
●全国各地で自由貿易港(特区)を設置。通商交渉を加速。
演説では触れませでしたが、ジョンソン首相は保守党の党首選を通じ、個人への減税にも取り組む姿勢を明言してきました。英国では年収5万ポンド(約675万円、1ポンド=約135円)以上の所得がある居住者は40%の最高税率が適用されますが、これを8万ポンドに引き上げると約束。社会保険料の支払いが免除される所得基準も引き上げる方針を打ち出していました。

しかし、英国のシンクタンク、財政研究所の試算によると、政府はこれらの減税策を実現すれば、社会保険料免除の基準の引き上げ幅に応じて年間120億ポンドから200億ポンド超の歳入を失うことになります。

減税をうたう一方で、演説で述べたような積極財政を伴う政策を打ち出していることについて、実行を疑問視する声も聞こえています。ロンドン市長時代に見せた行政手腕を発揮できるか、注目が集まります。

ただ、財政研究所などの試算は、日本の財務省の官僚のように、緊縮脳に凝り固まった人間が算出している可能性が大であり、ジョンソン新首相が過去の緊縮財政から決別して、国債などを大規模に発行して、減税などの積極財政に取り組んだ場合は、これまでとは全く話が違ってきます。

そうして、英国にとってこれがブレグジットの最大の利点となります。自国の考えで、全く制約を受けることなく、金融緩和や積極財政ができるのです。

これが実現すれば、英国は短期ではブレグジットの悪影響を最小限にとどめ、長期的にはかなり発展することになるかもしれません。

そうなれば、緊縮という呪縛から免れることがいかに素晴らしいことなのか、多くの国々が理解するかもしれません。

それが、緊縮に凝り固まっているEUや日本にも良い影響を及ぼすかもしれません。そうして、英国が新たな経済モデルとなるかもしれません。

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