2021年12月22日水曜日

山口県職員ら公選法違反か 林外相の後援会に勧誘で県警が事情聴取―【私の論評】外交の失態をしでかした、林外相は失態を重ね岸田政権が揺らぐことになる可能性も(゚д゚)!

山口県職員ら公選法違反か 林外相の後援会に勧誘で県警が事情聴取

林芳正外相

 10月末に投開票された衆院選山口3区で当選した自民党の林芳正外相の後援会に入るよう勧誘活動をしたとして、山口県職員らが県警に事情聴取されていることが分かった。村岡嗣政知事が記者団に明らかにした。山口市職員も聴取対象になっていることも判明。県警は公選法に抵触するかどうか慎重に捜査しているもようだ。

山口3区をめぐっては、自民前職の河村建夫元官房長官と参院議員からくら替え出馬する意向を示した岸田派の林氏が激しい公認争いを繰り広げた。自民党本部は最終的に林氏を公認し、河村氏は政界を引退した。

林外相は21日の記者会見で「捜査機関の活動に関わることなので答えを差し控えさせていただく」と述べた。

【私の論評】外交の失態をしでかした、林外相は失態を重ね岸田政権が揺らぐことになる可能性も(゚д゚)!

一般職地方公務員については、地方公務員法第 36 条により、一定の政治的 行為が制限されています。 

地方公務員法第 36 条第 2 項においては「政治的目的」と「政治的行為」を 規定しており、「政治的目的」をもってする「政治的行為」に限り、制限の 対象となります。

詳細は以下の文書を御覧ください。


この事件では、小松一彦山口県副知事が、衆院山口3区の林芳正候補の後援会に入るよう県庁内で勧誘活動した公選法違反の疑いで書類送検されます。同副知事は無論辞任でしょうがが、林外相にも政治責任が生じる可能性はあります。


林氏が後援会への加入勧誘を公務員に依頼した事実が判明すれば、大臣辞職はもとより、議員辞職にも発展しかねないです。

林芳正外務大臣は11月21日、フジテレビの番組に出演し、18日の中国・王毅外相との電話協議のなかで、中国訪問を打診されていたことを明らかにしていました。応じるかどうかについては、「現時点では何も決まっていない」としていました。

公式訪問は、招いた側が招かれた側の同意か感触を得たうえで発表するのが、普通の外交儀礼だ。招いた側が友好姿勢を示す一方、応じるかどうかの選択を相手に委ねるのが普通です。ところが、今回は招かれた側の日本の外務大臣が3日遅れで、一方的にテレビで公表しました。これだけでも、十分に異例でした。

11月21日フジテレビ日曜報道 THE PRIMEに出演する林芳正外相

そもそも、いま中国と日本は、どういう関係なのか林外相は認識しているのでしょうか。

中国は沖縄県・尖閣諸島周辺で挑発行動を繰り返す一方、11月19日には中国軍艦が鹿児島県・屋久島沖の領海を侵犯しました。中国とロシアの艦隊が日本列島を一周したかと思えば、中ロ爆撃機の4機編隊が同月19日、日本上空を飛行していました。

一言で言えば、中国は日本を一段と脅しにかかっていました。 脅している中国が、脅かされた側の日本の外相を招待するというなら、日本の外務大臣なら「ふざけるな。まずオマエの態度を改めろ」と強く指摘して、招待を断るのが普通の対応でしよう。

強盗に襲われそうな家の人間が、強盗の招待を受けるなど、ありえないです。

ところが、林外相は番組で日程は未定としたものの、「招請を受けたので、調整はしていく」「ただ待っているのではなく、米中両方と話ができるのが日本の強みだ」などと、招請を受ける方向で前のめりに語ったのです。

林大臣には、「国家としての矜持」はないのでしょうか。事務方が慎重だったにもかかわらず、なぜ林大臣は公表したのか。

林氏は日中友好議員連盟の会長を務めており、自民党親中派の代表格です。外相就任に当たって、会長職を辞任しましたが、それで政治姿勢が変わるはずもないです。林氏には「米中の仲介役」「橋渡し」をしよう、という意図があったのではないでしょうか。

そんな思惑は「米中両方と話ができるのが日本の強み」という発言ににじみ出ている。そうだとしたら、訪中前から、中国の掌中に乗ったも同です。

中国は日米豪インド4カ国の協力枠組みである「クアッド(QUAD)」や、米英豪の軍事同盟である「オーカス(AUKUS)」に神経を尖らせています。そんな中国包囲網で、もっとも中国に近い日本が中核になるのを阻止するのは、中国の最重要課題といえるでしょう。

日米同盟の分断こそが、彼らの戦略目標です。林氏は「過去の田中角栄氏の中国訪問のように、政治家として、名を上げる絶好のチャンス」とみたかもしれないです。緊張関係が高まる米中の間に立って、緊張緩和のきっかけがつかめれば、大きな功績になると思ったのかもしれません。しかし、それは大きな勘違いです。

中国を訪問をして周恩来(右)と食事する田中角栄(左)

当時と今では、状況が全く異なります。当時は中ソ国境紛争があり、ソ連核攻撃を恐れる中国は、米国を仲間にしたいと考え、冷戦でソ連と対峙する米国は、中国を対ソということで、仲間に引き入れようとして、互いの利益が一致し、当時のニクソン米大統領が中国を電撃訪問した直後です。今思えば、これがその後の間違いの始まりだったかもしれません。

状況が変われば、互いに親しかった国々が反目しあようになったり、その逆に互いに反目しあっていた国々が親しくなるというような事例は過去にいくらでもありました。人間関係でさえも、一度親しくなったから、未来永劫親しくあり続けることなどないのです。特に相手が裏切った場合はそうです。そのような当たり前のことが、林氏には理解できないようです。

そもそも、日本は米国の同盟国です。しかも、このブログにも以前から掲載しているように、日本は冷戦戦勝国です。ロシア、中国、北朝鮮、東欧諸国は冷戦敗戦国です。中国は、米国などと国交を回復したこともあり、敗戦国といえるかどうかは、微妙なとこもありますが、冷戦前からの体制を維持した中国は、やはり敗戦国といえるでしょう。

日本は、冷戦中には、米国に基地を提供するほか、米国の要請にもとづきオホーツク海(ソ連原潜の聖域)において大規模な対潜哨戒を実施し、ソ連の原潜の行動を封じ込めました。そのため、日本の対潜哨戒能力は今日世界のトップクラスです。

日本も大きな貢献をしたのです。そうして、西側諸国は冷戦に勝利して、日本の国際社会における地位も高まり、国内も安定しました。

そのような日本が米中と等距離を置いて、仲介者になれるわけがないです。そんな思惑をにじませたからには、米国は当然、警戒します。仲介者どころか、二股外交の韓国のように、米国と中国の双方から信頼を失うことになるでしょう。それどころか、裏切り者とみられることになりかねません。

林外相の訪中発言は、米国の疑念に火を点けたに違いないです。そんな状況で訪中すれば、米国を怒らせ、逆に訪中しなければ、中国の面子を丸潰れにしてしまいます。どちらに転んでも、日本に良いことはありません。

これは明らかに「外交的失態」です。 いずれ結論は必ず、出さなければならないです。大臣自ら表面化させた外相訪中問題は、自民党の基盤である保守層を強く刺激して、岸田政権を揺るがす騒動になる可能性が高いです。

そこに降って湧いたのが、今回の山口県職員ら公選法違反の疑いです。警察が捜査に着手するのは、時間を掛ける価値と、それなりの手がかりや根拠があるからです。

後援会への加入勧誘を、林氏が公務員に依頼するなどということが通常まったくありえないことです。しかし、外交でも通常ありえないことをしでかしてしまった林氏です。選挙活動でも、ありえないことをしでかした可能性はあながち否定できません。

これが、きっかけとなって、岸田政権が揺らぐことになる可能性は十分あると思います。今回のことが大事にならなかったとしても、さらに何か大失態を起こしそうな予感がします。今後の趨勢を見守りたいです。

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2021年12月21日火曜日

武蔵野市条例案否決 八木秀次氏「全国波及の恐れ」―【私の論評】認識されてしかるべき「住民投票条例」と「自治基本条例」の末恐ろしさ(゚д゚)!

武蔵野市条例案否決 八木秀次氏「全国波及の恐れ」

八木秀次氏

東京都武蔵野市議会で21日、日本人と外国人を区別せずに投票権を認める住民投票条例案が否決されたことについて、麗澤大の八木秀次教授(憲法学)は「根源的な問題は自治基本条例にある」との考えを示した。


今回の条例案の根拠となるのは自治基本条例だ。国家以前に自治体が存在するとし、自治体外交や『無防備都市宣言』に代表される独自の防衛政策も想定する。法律より上位に位置付けられるとする、革命的な条例だ。

外国人投票権は、あくまで表面上の問題に過ぎない。さまざまな立場の活動家がやってきて街宣活動を繰り広げる中で、反対派の主張がヘイトスピーチ扱いされる状況が生まれてしまった。そもそもの根源である自治基本条例の問題に、土俵を変える必要がある。

自衛隊・米軍の基地や原発がある自治体、国境離島の自治体で同様の条例ができたらどうなるか。今回の条例案は否決されたが、市はこのまま断念すると思えないし、全国に波及する恐れもある。引き続き注視が必要だ。

【私の論評】認識されてしかるべき「住民投票条例」と「自治基本条例」の末恐ろしさ(゚д゚)!

八木氏の上の記事でも示されている、自治基本条例とは、「自治体の自治(まちづくり)の方針と基本的なルールを定める条例」であり、「他の条例や施策の指針となることから、自治立法の体系上の最高法規とであり、『自治体の憲法』ともいわれる。」とされます(礒崎初仁「自治体政策法務講義(改訂版)」(第一法規 平成30年3月)62頁)。

なお、全国で最初に自治基本条例を制定したニセコ町の取組みを紹介した木佐茂男・逢坂誠二編著「わたしたちのまちの憲法-ニセコ町の挑戦」(日本経済評論社2003)は、「その自治体の地方自治(住民自治・団体自治)のあり方について規定し、かつ、その自治体における自治体法の頂点に位置づけられる条例」と定義づけています(164頁)。

自治基本条例を推進する立場からの記事については、詳細は以下のリンクをご覧ください。


この記事によれば、最近自治基本条例を定める自治体は減少傾向にあります。以下にそれを示すグラフを掲載します。


クリックすると拡大します

確かに、平成20年代後半以降はその伸びは鈍化しています。これは、自民党政務調査会が作成したパンフレット「チョット待て‼“自治基本条例”~つくるべきか、もう一度考えよう~」が平成24年1月に公表されるなどした結果、制定の勢いが下火になったとの見方もあります。確かに、これも大きいですが、多くの保守界隈の人々がその恐ろしさを伝え続けてきた結果でもあると思います。

ただ、上の八木秀次氏の記事にもあるとおり、自治基本条例は、国家以前に自治体が存在するとし、自治体外交や『無防備都市宣言』に代表される独自の防衛政策も想定します。法律より上位に位置付けられるとする、革命的な条例です。

この危険性については、北海道を事例として、その危険性をこのブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
「一帯一路」を自国から締め出した豪州―【私の論評】一帯一路で中国は大失敗するが、脆弱な国や地域を大混乱に陥れる可能性が高いことに豪州は気づいた(゚д゚)!

詳細はこの記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。

外国人参政権こそまだですが、日本に住んで、その市町村に住民票があれば、外国人でも事実上、政治に参加できるようになりました。「住民投票条例」と「自治基本条例」のためです。

あらかじめ投票方法や有資格者を条例で定め、請求要件さえ満たせばいつでも、どんな些細なことでも実施できるというもので、市町村体位で独自に制定されています。外国人にも投票権が保証されるケースがあり、地方行政に直接参加できるわけです。

北海道内ですでにこうした条例を定めている自治体は、芦別市、北広島市、増毛(ましけ)町、稚内市、安平(あびら)町、むかわ町、猿払(さるふつ)村、美幌町、遠軽(えんがる)町の9自治体で、2015年以降は、新たに北見市、苫小牧市、占冠村が続きました。この2市1村は、いずれも外国人に対して、居住期間など条件付きで投票権を認めています。

これら12の自治体はある意味、地雷を抱えているといえます。条例を根拠に、多数派の居住者(外国人)が首長のリコールを成立させることもできるとなると地方自治が将来、多数派に牛耳られることもあり得ます。そうした懸念を道議会に忠告したのが米国総領事館だったというところに、行政機構の弛緩が窺えます。

やはり、人口という数の力は厳然とした力であり、武力にも匹敵します。

かつて「北海道人口1千万人戦略」という構想が話題になったことがありました。国交省と道開発局が主催する講演会(2005年)において発表されたもので、北海道チャイナワークの張相律代表が提唱しました。

当時は荒唐無稽なプランという受け止め方でしたが、昨今の北海道を見ていると、単なる個人の思いつきレベルではなかったことがわかってきます。「1千万人のうち200万人が中国移民」というのがポイントでした。

5人に1人が中国移民、という「戦略」が14年前に提唱されていたのです。そして土地が次々と買収され、実際に人数も増えています。このことが何を意味するのか、少なくとも政治家や官僚は警戒心を持つべきです。

このブログでも述べたことですが、たとえば中国が北海道のいずれかの市町村に、多数の中国人を意図的に送り込んで、住民投票条例」と「自治基本条例」を活用して、いずれかの市町村の植民化に成功したとしても、最後には手放すことになります。

なぜなら、西洋列強などの事例でもわかるように、植民化はほとんどの場合大失敗して、何の利益ももたらさないどころか、金食い虫となってしまうからです。オランダの東インド株式会社などは、例外中の例外です。だからこそ、ほとんどの西洋列強国は、最終的には植民地を手放したのです。

ただ、列強が植民地を手放すまで、植民地とその宗主国との軋轢は、虐殺・虐待・弾圧など凄まじいものとなりました。だから、植民されないほうが良いに決まっています。植民する側も、利益がでないどころか、損をした上に、被植民地の住民からは恨まれることになります。こういうこともあり、かつての宗主国も新たな植民などしないのでしょう。

北海道の市町村も、「住民投票条例」と「自治基本条例」などを制定して、外国人が多くなればその次の段階では外国人参政権が施行されるようになり、そのいきつく先は、実質的な中国の植民地ということになりかねません。

しかも、中国は過去に本格的な植民の経験がありません。だから、「一帯一路」などで大儲けできるという幻想を抱いています。日本の市町村も中国の植民地になれば、とんでもないことになりかねません。大陸中国のように植民地の日本人が弾圧されることになるでしょう。

ただ、日本という国は、このような危機からは様々な理由や、時の運から免れることが多いです。その根拠となることが、渡邉哲也氏の以下の記事に掲載されていました。
日本の「不動産価格」がいよいよ下がり始める理由
中国人はしばらく日本には戻ってこない
渡邉哲也

 

渡邉哲也氏


この記事で、渡辺氏は、「コロナ禍が収束して「元のように通勤しなさい」と命じる会社はどのくらいあるだろうか。最もリモートワークに適した業種であるIT系の企業が多い渋谷区の空室率の高さがそれを物語っている。都心のオフィス需要は、コロナ前の7掛け程度になると予想される」と語っています。

一方中国人によるインバウンドについては、以下のように述べています。
中国は、海外からの文化輸入をさせたくない。現在の中国は文化的な鎖国状況に近い。習近平が恐れるのはズバリ「自由の味」だ。香港の例を挙げるまでもなく、一度自由の味をしめれば、中国政府に反旗を翻す者が増加するのは当然の成り行きだ。そのため、国民を外国になど自由に行かせたくない。こうした中国政府の姿勢に最も素早い反応をしたのが、いまや中国企業傘下となったラオックスである。

2021年8月、早々と全国13店舗のうち7店舗を閉店してしまった。コロナ禍の影響で外国人が入国できず、売り上げ回復の目処が立たないからとしている。2020年2月に111人が希望退職に応じたのに続き、同年夏には社員、契約社員を対象に250人程度の希望退職者を募っている。かなりあわただしい撤退戦である。

コロナ禍の影響による撤退に擬態しているが、中国企業傘下にあるラオックスが真っ先に逃げ出したことには注目したほうがいい。この先、中国からのインバウンドに未来はないと知る「上からの指示」に違いなく、中国系企業の日本撤退の連鎖は止まらないだろう。

今後中国によるインバウンドは期待できないでしょうし、「 国民を外国になど自由に行かせたくない」というのが習近平政権の方針であれば、今後日本の市町村の土地を買い漁っても無駄になるだけなので、その動きも鈍化するでしょう。

私自身は、東京の不動産価格については、まだはっきり断定はできないとは思っているのですが、中国によるインバウンドは戻って来ないのは確かだと思います。インバウンドに再び期待を寄せるのは間違いだと思います。

そうして、中国による日本の土地などの購入も鈍化することになると思います。そうなれば、「住民投票条例」と「自治基本条例」を活用した、日本の市町村の中国による実質的植民化への動きも鈍化するでしょう。

これにより、当面の脅威はなくなるかもしれません。しかし、潜在的な脅威はいまなお存在し続けているわけであり、中国の情勢が変わった場合は、またその脅威が増大するかもしれません。それに、中国の植民化が鈍化しても、他の国が植民化をすすめるかもしれません。

そもそも、国民国家において地方自治体がまるで憲法のような「自治基本条例」を定め、「住民投票条例」で外国人差政権に道を開くというのは、国民国家の趣旨からしてもまったくおかしなことであり、それを阻止するように、法律を改正するなり、新たな立法すべきと思います。

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2021年12月20日月曜日

統計書き換え問題 集計方法変更、民主党政権時に決定―【私の論評】先進国としてはお粗末な日本政府の統計(゚д゚)!

統計書き換え問題 集計方法変更、民主党政権時に決定

多くの人は、また野党やマスコミにより、この出来事を「政治利用」するのだろうなと考えて憂鬱になったことでしょう。

彼らにとって、この出来事そのものもあまり関心がないでしょう。それよりも「安倍叩き」ができるということでぬか喜びしていたのでしょう。

ただ、「集計方法変更の検討を開始し、決めたのは鳩山由紀夫政権の時期と重なる」わけですから、「アベガー」「アベガー」とばかり叫ぶわけにもいかず、残念というのが正直なところでしょう。

もうそんなことは、多くの国民が見抜いています。上の望月氏のツイートも「このようなことがなくなるよう現政権はきちんと対応してほしい」などの趣旨の発言はありません。

このようなことをしても無駄であることは、 18、19日に実施した朝日新聞社の全国世論調査(電話)で、立憲民主党の新代表に泉健太氏(47)が選ばれたことについて、立憲への期待感を聞いたところ、「期待する」は40%で、「期待しない」は43%だったという結果をみても明らかだと思います。

泉健太立憲民主党代表

そんなことよりも、多くの国民は、なぜこのようなことが置きたのか、正しい統計値はどうなのか、このようなことが今後起きないために、政府はどうするつもりなのかということに関心があるでしょう。与党はもとより、野党やマスコミはこのような国民の関心に応えるべきです。


今回の不適切な扱いは、事業者から集めた調査票のうち、期限に間に合わなかった分の受注実績で起きた。書き換えが始まったのが2013年度からという。期限に間に合わなかった分を翌月以降の分と合算して計上するよう都道府県に調査票を書き換えさせていたという。しかも、期限に間にあわなかった分を推計値としていたが、それに実際の受注実績を加えて二重計上しているもののあったという。

通常統計調査にすべての業者が回答してくれることはないので、回収率調整を行うのですが、それは回答しなかった業者の受注額その自体を推計するのではなく、全体の回収結果額について回収率の差で補正すべきものです。いずれにしても、報道では調査票を消しゴムで計していたという報道もありましたが、まともな統計実務者からすればありえないことです。

2019年には、厚生労働省の毎月勤労統計でも統計処理で不適切な問題がありましたが、これもまともな統計の実務者なら簡単に間違いであるとわかるものでした。これは、統計委員会への報告もなしで行われていたことが判明しています。今回もおそらくは報告なしで行われたのてしょうか。

ただ、会計検査院は、2019年11月に国交省に指摘をしていました。その指摘を受け、国交省は20年1月に都道府県に対して書き換えをやめるように指示しました。しかし、書き換えそのものは国交省本省職員が今年3月まで行っていたとされています。2021年4月以降は書き換えやめ、正しい集計になっているとれています。

今後、検事経験者や弁護士などによる第三者委員会を設置し、経緯や原因を究明することとしていますが、しっかり検証すべきです。

統計法では、基幹統計の作成に従事する者は、「基幹統計をして真実に反するものたらしめる行為」をすれば、統計法60条により6月以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。

「基幹統計をして真実に反するものたらしめる行為」には、「基幹統計調査の実施に当たって、架空の調査票を捏造する行為、調査票に記入された報告内容を改ざんする行為、基幹統計調査の集計過程においてデータを改ざんする行為」が含まれると解されています。

統計改ざんをすれば、統計法による処分を受けます。法令に照らして、国の信頼を根本から失墜させるので関係者には厳しい処罰をすべきです。

ただし、調査票を書き直した上、その保存期間が短く、過去に遡って統計を正しく直すのはかなり難しいです。

さらに悪いことに、厚労省の毎月勤労統計問題が起きた後、2019年7月内閣官房統計改革推進室が作られました。ところが、岸田政権になってから、安倍政権下で作られた他の三つの推進室とともに、先月、看板が下ろさてしまったのです。

たとえ、一部が間違っていたにしても、他の数字から正しい数字に近い数字を推計することもできます。そのようなことも、この推進室は担っていたものと思います。

統計がしっかりとしてなければ、様々な経済対策にも悪影響を及ぼすだけではなく、国際的な信用にも悪影響がでるおそれがあります。

たとえば、中国では、2010前後まで約10年間にわたり、中国全体のGDPと、中国全省のGDPとの合計が乖離しているという珍事がありました。省の合計のほうが、全体のGDPよりはるかに大きいという不思議な事態が発生していたのです。

私自身は、これより前から中国の統計、GDPの統計資料は出鱈目であるらしいということは知っていたのですが、当時実際に省の合計を計算してみて、全体と比較してみたのですが、見事に食い違っていました。それ以来、中国の公表するGDPなど信用したことがありません。

ただ、最近はこのような食い違いはないですが、それにしても現在でも出鱈目であることは下のグラフをみてもわかります。


上のグラフは、今や懐かしのBRICs諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)、および韓国の経済成長率の推移を見たものです。中国以外の国々の経済成長率が四半期ごとに変動する様子と、あまりにも「直線的」な中国の経済成長率が確認できます。

あまりに当たり前ですが、経済成長率が毎四半期、これほどまでに一定を維持するなどということは決してあり得ないです。

もともと中国の経済統計などプロパガンダに過ぎないのです。その数値を信用して、中国経済は〇〇年までに米国経済を追い抜くなどと予測するのは、本当に無意味で愚かなことです。

日本の統計はこれほど酷くはないですが、それにしても、お粗末です。欧米だと、統計の責任者は、統計学の博士号を持った人がなるのが普通ですが、日本の役人のほとんどは文系出身で、統計の素人がほとんどです。

さらには、財務省の緊縮により、統計部署に人員が十分に割りふりされないという現実もあるようです。そのようなことのも改善も含めて、日本でも、今後間違いが起こらないようにしっかり対応していただきたいものです。

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2021年12月19日日曜日

台湾の国民投票、全て不成立 蔡総統「民主主義は最も強力な後ろ盾」―【私の論評】中国の侵入を防いだ台湾は、将来東洋のスイスになるか(゚д゚)!

台湾の国民投票、全て不成立 蔡総統「民主主義は最も強力な後ろ盾」

記者会見に臨む蔡総統

台湾で18日に行われた国民投票で、4件全てが不成立となった。蔡英文(さいえいぶん)総統は同日夜、総統府で記者会見を行い「台湾が課題に直面する際、民主主義はわれわれの最も強力な後ろ盾になると信じている」と語った。

国民投票にかけられたのは、成長促進剤「ラクトパミン」使用の豚肉などの輸入全面禁止▽第4原子力発電所(新北市貢寮区)の稼働▽液化天然ガス(LNG)受け入れ基地の建設地の移転▽全国を対象とした選挙と国民投票(住民投票)の同日実施―についてそれぞれの賛否を問う4件。

最大野党・国民党が4件全ての賛成を求める一方で、蔡氏が率いる与党・民進党は反対を呼び掛けていた。いずれも成立条件となる賛成票が有権者数の4分の1に達しなかったほか、反対票を下回り、不成立となった。

蔡氏は、今回の投票結果が示した国民のメッセージとして、国際社会への積極的な参加▽エネルギー転換と電力の安定供給および経済成長の維持▽経済と環境保護両立の重視▽公共政策に関する情報の透明化と理性的な議論―を求めているとした。


一方、朱立倫(しゅりつりん)国民党主席(党首)は同日、党全体に向け謝罪。責任を負うと述べた。

また、われわれの前には多くの課題に向き合わなければならないと強調。引き続き努力して台湾人の期待に応えたいと意気込んだ。

【私の論評】中国の侵入を防いだ台湾は、将来東洋のスイスになるか(゚д゚)!

台湾で直接参政権が強化された背景にはスイスとの関わりがあります。立法院で2003年に初の「公民投票法」が可決されてからというもの、スイスと台湾の間で活発な意見交換が行われました。

スイスが持つ民主主義に関する豊富な知識が台湾へと伝わった結果、台湾では住民投票の実施基準が緩和されました。こうして03年以降、台湾では有権者1900万人の1.5%に相当する28万人の署名を集めれば住民投票が請求できるようになりました。

ちなみにスイスでは提案を国民投票にかけるには有権者の約2%に当たる10万人の署名が必要だ。台湾の人口は、2357万 (2020年)です。一方スイスの人口は、2020年末のスイス人口は866万7100人で、前年比6万1100人(0.7%)増となりました。

スイスの直接民主制には長い歴史があります。スイス中部の山岳地帯の自治体では、中世の時代から「ランツゲマインデ」という直接投票による青空議会で自治体が運営されてきました。こうした山岳の自治体に、チューリヒやルツェルンなどの都市の自治体が加わってできたのが中世のスイスでした。

当時、ハプスブルク家とサヴォイア家という2大勢力がスイスの支配を狙っていました。この2大勢力と対抗するために、スイスでは13世紀頃から、自主独立を守るための「話し合い」の手法が編み出さたのです。

同盟を組んだスイス諸邦の間で戦争が皆無だったわけではありませんが、妥協を通してお互いの違いを乗り越えてきました。たとえ自分たちが弱くても、外国勢力の言いなりにならないためです。

近代的な直接民主制が考案されたのは、ナポレオンが没落した後の復古王政期でした。この時期にスイスでは自由主義者の運動が盛り上がりました。当時、主権在民の原則は認められていましたが、人民が主権を行使する方法はまだ定まっていませんでした。

自由主義派の左翼が1848年に近代スイスを誕生させた後、1860年代から、前述の「ランツゲマインデ」を理想としながら、それを社会の変化に合わせながら直接民主制の制度を作り出していったのです。

スイスでは議会不要論が盛り上がったことは一度もありません。ただ、1874年に、議会が通した法律を国民投票でひっくり返せる仕組みが採択されました。また、1891年には、国民の発議で連邦憲法を部分改正できる仕組みも加わりました。

スイスにはもう一つ台湾にとって、参考になる考え方があります。まず、スイスの憲法は、民兵によって構成される軍隊を持つこと(第58条)、すべてのスイス人は兵役の義務を負うこと(つまり徴兵制、第59条)などを定めています。

これは、もともとスイスの人口が少ないことにも要因があるでしょう。何しろ、国全体でも、日本でいえば地方自治体なみの人口しかありません。だからこそ、現在でも徴兵制を維持せざるをえないのでしょう。

一方台湾は2018年12月26日、軍の徴兵制から志願制へ全面移行が完了し、60年以上続けてきた徴兵制を事実上終えました。台湾は2012年に志願制への移行方針を決め、当初は3年後に徴兵制を廃止する計画でしたが、少子化などで十分な兵員数を確保できずに延期されていました。4カ月間の軍事訓練の義務は今も残っています。
スイスと日本はともに平和に徹することを国是としており、スイスの「永世中立」は、日本国憲法が第9条で日本が「国際紛争」に巻き込まれることを厳禁していることと対比できます。 

実は、スイス憲法には「中立」とはどこにも書いてありません。古い話ですが、1815年、ナポレオン戦争後のヨーロッパの新秩序を決定したウィーン体制においてスイスの中立が周辺の諸国との条約において規定されたのです。 

そうなったのは、スイスが当時軍事強国であり、スイスと同盟した国が軍事的に優位に立ち、そうなるとヨーロッパが不安定になるので、スイスを中立にしておくのがよいと考えられたのです。また、スイスとしても中立は望むところだったので各国の考えを受け入れたのです。

スイスは第二次世界大戦中においてもドイツと国境を接していながら、多くの国々が侵攻されたにも関わらず、スイスはドイツ軍に侵攻されることはありませんでした。


ドイツにはタンネンバウム作戦というスイス侵攻計画があったのですが、結局これは発動されませんでした。

ドイツはフランス侵攻作戦が長引いた場合、スイスからフランスに侵攻することも考えていたのでスイス侵攻作戦はいずれ必要と考えていたのですが、フランスが早期に降伏したのでその必要性がなくなったということも幸いしました。

ただ、当時スイスはドイツが侵攻して来た場合徹底抗戦をすると宣言しており、それは単なる張ったりではありませんでした。平坦なオランダやベルギーと比べるとスイスは狭小ですが山岳地帯にあり、小規模ながらも軍事力もあり、地の利を最大限に活かして防衛できると考えたのでしょう。強力なドイツ軍も気楽には手を出すことは出来なかったのです。

そうして他にもスイスがドイツの侵攻を免れた要因がありました。第二次世界大戦中、日本やイタリア、その他の少数の国々を除いてドイツは世界中を敵にまわしました。そのスイスはドイツにとって価値のある存在でした。

スイスは現在にいたる国際銀行決済システムBISの本部のある場所です。ナチスドイツの金はスイスを窓口として貿易決済に使われ、ドイツの戦争継続を助けました。

さらに、スイスはナチスの財産を秘匿することにも役立ちました。スイスの銀行の秘密主義は戦後もナチスの戦争犯罪者たちの財産を守ったのです。ただし、スイスはユダヤ人の財産の秘密も守りました。

小国なりに軍事力を持ち、様々な知恵も工夫も用いて、結局スイスはドイツから侵攻されることはなかったのです。そうして、そのようなDNAは今もスイスに引き継がれています。

スイスは山岳地帯にあり、台湾は島嶼国という違いはありますが、現在中国からの脅威が増している台湾にとっては、その考え方は参考になるでしょう。

民主主義敵な直接民主主義や、安全保障の点で、台湾はスイスから学び取れることが多々あります。

その台湾は、他の面でもさらに民主化が進む可能性もででききました。それは、以前もこのブログで指摘したよう、台湾においてまともな二大政党制が根付く可能性です。それについては、以前この記事でも述べたことがあります。その記事の
台湾・最大野党次期党首に習近平氏から祝電 92年合意や「統一」言及―【私の論評】国民党が原点回帰し反中姿勢に戻れば、米国よりまともな二大政党制が、台湾に根付くかもしれない(゚д゚)!

晩年の李登輝元総統

詳細は、この記事をご覧いただものとして、以下に結論部分のみを引用します。

見方を変えれば、国民党は、目先の利益よりも長期的利益に着目し、より大きなビジョンを掲げることができます。台湾民主主義の父である李登輝元総統は、「反攻大陸」のスローガンを下ろしたものの、台湾の民主化を推進した国民党の政治家であり、蒋介石を補佐していたことを思い起こすべきです。
そうして、蔡英文率いる民主進歩党も、紛れもなく、民主化の産物なのです。国民党がまともになれば、台湾にまともな二大政党制が根付くことになるかもしれません。そうなれば、米国の二大政党制よりまともなそれが、台湾に出来あがることになるかもしれません。

現在、国民党が元々は、反中的どころか、「反攻大陸」といって、中国大陸に侵攻して、中国をとりもどそう考えていたような政党なのです。その国民党は長い間に、腐敗していつの間にか親中色を強めていきました。

しかし、国民党が原点回帰して、「反攻大陸」は放棄するものの、親中国路線を脱却すれば、二大政党の条件は整います。そうして、その機運は高まりつつあります。国民党は最近では、親中国路線を強く打ち出せば、国民の支持が受けられず、選挙で負けてしまうという現実に気が付きつつあるからです。

スイスの政党政治は非常に安定しています。国家政治を支配しているのは4つの政党で、これらの成立は19世紀までさかのぼります。一方台湾は、建国当初は国民党の独裁政治でしたが、民主化の産物として、民主進歩党が生まれました。

ただ、台湾ではまとな二大政党制が根付き、政党政治が安定し、さらに中国からの脅威を跳ね返し、独立を維持し続ければ、いずれスイスが世界で占めるような地位を世界で占めることになるかもしれません。

スイスはEU加盟国ではないですが、1972年に自由貿易協定を結んで以来、移動の自由など数々のEUの政策に参加している。両者の関係は120以上の協定で成り立っており、これを1つの条約にまとめる努力が長年続けられてきたが、スイスは5月26日これを打ち切りました。

台湾が今後どのような道を選ぶかわかりませんが、多くの国々と、様々な協定などをしつつあるのは事実です。これを積み木のように多数積み重ねることにより、我が国日本などの国交がない国々と様々な協定を結んだと同じようにするという道はあります。これが、まさしくスイスがつい最近まで選んできた道です。

このブログでは、何度か中国が台湾武力侵攻するのは不可能であることをその背景となるデータも含めて掲載してきました。ただ、軍事力では不可能でも、中国が軍事力以外の手を用いて台湾併合しようとしているのは間違いありません。

台湾が、それを防ぎ、スイスのように独立を維持し、安定した政党政治を実現し、さらに直接民主主義などをさらに民主主義充実させ、社会や経済を繁栄させた場合、現在スイスが世界で占めるような特異な地位(たとえばスイスの一人あたりGDPは世界第二位、87,367ドル)を台湾も占めることになるでしょう。

もし台湾がそのようなことになれば、その頃には民主化の遅れた大陸中国は、図体が大きいだけの、他国に対する影響力はまるでない、凡庸なアジアの独裁国家に成り果てていることでしょう。

日本もこうした台湾の姿勢を学ぶべきです。特に、最近では、東京都武蔵野市の松下玲子市長が提出した「外国人住民投票条例案」が、市議会最終日の21日の本会議で採決されるという危機的状況にあります。

日本は、スイスや台湾よりもはるかに人口が多い(1億2千万人)ですから、国政レベルで直接民主政を実施するのは難しいところがありまずか、地方自治レベルではできるはずです。

「外国人住民投票」などの重要な案件は、市議会だけで採決するというのではなく、住民投票などで決めるべきと思います。ちなみに、スイスはもとより台湾でも、いやほとんどの国で「外国人住民投票」などありません。認めている国も例外的にありますが、それでもその根拠は、はっきりしており、無制限に認めているわけではありません。

それは、国民国家とは、元々国籍を有す国民のための国家であり、「外国人住民投票」や「外国人参政権」を認めてしまえば、外国からの干渉を受けやすくなるからです。

そもそも、国民が属する国家から、外国人よりも恩恵を受けられたり権利を保証されるのは当然であり、国民ではない人が、国民が受けられる恩恵や権利等に制限がつけられるのは致し方ないことです。

外国人が他の国の国民と同じ恩恵を受けたり、権利を保証されたければ、その国の国民となるしかないのです。それは、いずれの国民国家でも同じことです。その原則を崩せば、国民国家は成り立たなくなります。

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2021年12月18日土曜日

対中非難決議また見送り…「外交的ボイコット」対応決まらず 茂木氏、採択に難色 門田隆将氏「親中対応続けば、自民は厳しい」―【私の論評】日本は、新冷戦で戦勝国になるか、敗戦国になるかの瀬戸際にある(゚д゚)!

対中非難決議また見送り…「外交的ボイコット」対応決まらず 茂木氏、採択に難色 門田隆将氏「親中対応続けば、自民は厳しい」

高市早苗政調会長

 中国当局の新疆ウイグル自治区などでの人権弾圧を非難する国会決議案が、先の通常国会に続き、21日に閉幕する今国会でも採択が見送られることになった。自民党の高市早苗政調会長らが採択に向けて動いたが、茂木敏充幹事長が、北京冬季五輪に政府代表を派遣しない「外交的ボイコット」をめぐる岸田文雄政権の対応が決まらないなかでの採択に難色を示したという。岸田自民党は大丈夫なのか。

 「臨時国会こそは、と思って公明党との文言の調整も含めてやってきた。茂木氏の署名がないと国会に出せない。大変悔しい。本当は今のタイミングだ」

 高市氏は17日、党本部で茂木氏に面会後、記者団にこう語った。

 この日、高市氏は党内有志による「南モンゴルを支援する議員連盟」会長として、超党派の「日本ウイグル国会議員連盟」の古屋圭司会長や、「日本チベット国会議員連連盟」の下村博文会長らと、茂木氏に今国会での採択を申し入れた。

 だが、古屋氏によると、茂木氏は「決議案の内容はいいが、タイミングの問題だ。五輪に政府関係者を派遣するかの問題に今一番、世論が注目するなか、今はタイミングが良くない」と受け入れなかったという。

 同様の決議案は先の通常国会でも、他党との文面づくりを終えていながら、当時の党執行部の「承認」が得られず、提出されなかった。

 今回の党執行部の対応について、党内保守系グループ「日本の尊厳と国益を護(まも)る会」幹事長の山田宏参院議員は18日朝、「国会決議を先にすれば、岸田政権も、政府代表派遣をめぐる判断をやりやすいはず。茂木氏のいう『タイミング』は意味不明だ。順番が違う」と語った。

 岸田政権はいつまで、「対中」で煮え切らない姿勢をとり続けるのか。

 作家でジャーナリストの門田隆将氏は「欧米諸国が、中国の暴走を食い止めようと非難決議や制裁を発動するなか、日本は何周も遅れている。『人権を重視する国際社会の輪から離脱しようとしている』とみられても仕方がない。世界に恥ずかしくないのか。こんな『親中』対応が続けば、自民党は来年夏の参院選は、かなり厳しくなる」と語っている。

【私の論評】日本は、新冷戦で戦勝国になるか、敗戦国になるかの瀬戸際にある(゚д゚)!

わずか半年前にも、似たようなことがありました。当時の二階幹事長らが、対中非難決議文案への「承認」サインを求めた自民党の下村博文政調会長と古屋圭司元国家公安委員長らと、同党の二階俊博幹事長と林幹雄幹事長代理による応酬があり、結局都議選での公明党との連携を見据えて、二階氏のサインを制止したのは林氏だとされました。

これについては、このブログでも掲載しました。以下に当該記事のリンクを掲載します。
「自民党の風当たり強くなる」有本香氏のコラム「以読制毒」詳報で波紋 対中非難決議見送り 本紙ツイッターには「日本人として申し訳ない気持ちだ」―【私の論評】中国共産党と似ている自民媚中"三人組"(゚д゚)!

17日発行の夕刊フジに掲載された有本香氏のコラム「以読制毒」の紙面

これは今年6月18日の記事です。ちょうど半年前の記事です。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より長くなってしまいますが一部を引用します。
本当に情けないです。自民には、親中的な公明が採択に及び腰だったことが見送りの原因との声がある一方、公明は閉会間近まで自民から正式な交渉の呼びかけがなかったとして、「根回し不足」(幹部)を指摘しています。

「根回し不足」どころか、林幹事長代理が、これを意識して止めたというのですから、問題外です。無論、止められる二階氏にも大きな問題があります。
二階俊博幹事長、林幹雄幹事長代理、森山裕国対委員長
この三人、中国共産党に非常に似てきたと思います。まずは、一党独裁ということで、中国は多くの人民の意向など完璧に無視します。その不満のマグマがたまって、自らに跳ね返りそうになれば、城管、警察それで事足りなければ、人民解放軍で人民を弾圧して黙らせます。

日本は、民主主義体制ですから、さすがにそこまではできませんが、それにしても長期政権が続き、国民の声を聴くということをしなくなってきたという点では似ています。この三人と、中国共産党の違いは、民主主義体制と全体主義という政治体制によるものだけかもしれません。

この三人は、昨年の米ピュー・リサーチ・センターの世論調査では、日本人の86%もが、中国に対して否定的な考えを持っていることが明らかになっていることなど気にもしていないのかもしれません。この三人も、自民党や公明党も、国民に顔を向けた政治をすべきです。

今回の決議案は、野党は全部賛成していたというのですから、この三人の態度は国民をないがしろにしていると言わざるを得ません。このようなことを平気でできるということは、中国共産党の人間と親しく交わっているうちに、知らず知らずに彼らの影響を受けているのではないでしょうか。

さらに、海外よりも、自国内を優先するということでも似ています。中国ではこのブログでも以前示したように、元々外交があまり重視されず、対外関係も自国内の都合や中国共産党の都合で動く度合いがかなり強いです。そのため、中国の外交政策は、ほとんどが失敗ばかりです。いっとき中国外交を「したたかな外交」と褒めそやす向きもありましたが、私自身は、昔から中国は外交ベタというか、外交劣等生だと思います。結局この三人も、党内事情などで、中国との対応を決めるなど、中国共産党と似た動きをしています。

また、中国共産党が内部で派閥闘争にあけくれるということでも、この三人は似ていると思います。彼らも、多くの議員を籠絡して味方につけたり、場合によっては恫喝してみせたりと、党内政治に明け暮れているようです。そのためでしょうか、中国共産党は夢のようなことを言うのですが、結局何をやりたいのかさっぱりわかりません。

戦略などなく、ただその時々で派閥抗争に勝利するために行動するというのが、中国共産党の本質です。その実自分たちは、「孫氏の兵法」の継承者であると悦にいっているところがあります。古代の戦略が現代に通用すると思っているところが、共産党の最大の弱点だと思います。この三人も腹黒く様々な姦計をめぐらして、権力を手中におさめていると悦にいっているところがあると思います。この点でも、中国共産党と似たり寄ったりのようです。
9月に総裁選があり、岸田総裁が誕生し、二階氏が幹事長を退き、新たなに甘利幹事長が誕生して、金輪際無用な中国忖度はなくなると思っていたところ、衆院選で甘利氏が小選挙区で落選し、比例で復活はしたものの、辞任してしまいました。

その後、岸田総理は新幹事長は茂木氏、外務大臣は林氏という、重要なポストに中国と距離の近い人物を選んでしまいました。

いくら中国に近いとはいっても、まさか茂木幹事長が、北京五輪の「外交的ボイコット」を受け入れない等の事態が発生するとは思いも寄りませんでした。

林外務大臣と茂木幹事長

ただ、なぜ、岸田首相は中国に対して煮えきらないのかを考えると、納得できるところもあります。

最大の理由は、岸田派=宏池会に染み込んだ「親中DNA」でしょう。同派の生みの親である池田勇人元首相は「日中友好」を唱え、日中貿易を推進しました。大平正芳元首相も、田中角栄内閣で外相として、「日中国交回復」に尽力しました。

宮沢喜一元首相に至っては、官房長官時代に歴史教科書検定をめぐって、中国の批判に応える談話を発表し、天安門事件の後には「天皇訪中を実現」して、中国の国際社会復帰に道筋を付ける役割を果たしました。

こうした「親中DNA」を受け継いだ岸田首相が、中国に腰が引けた振る舞いをするのは、ごく自然なことなのかもしれません。

ただ、現状の中国は一昔前の中国とは違います。一昔前の中国は、経済的にも軍事的にもとるに足りない存在でした。現在の中国は一人あたりのGDPでは世界で72位と100ドルを切るレベルで、現在でもとるに足りない存在ですが、人口が14臆人であり、全体では米国に次ぐ第二位となっており、近年は軍事力を強化し続けています。

そうして、何よりも南シナ海の環礁を埋め立て軍事基地化するなど、海洋進出に地道を上げています。経済発展の原動力の一つともなった、WTOのルールも無視しています。

そのような中国は、習近平が世界秩序を変えるとはっきりと宣言しています。それに対抗するため、米国は中国に経済制裁を課し、それにEUなども同調し、今や世界は中国対世界という対立軸で新たな冷戦状態になっています。

民主国家であり、米国と同盟国でもあり冷戦戦勝国日本は、中国共産党と対峙する以外に道はありません。

ロシア、中国、北朝鮮、東欧諸国などは、冷戦敗戦国であり、冷戦敗戦の直後には、中国や北朝鮮は経済的にも軍事的にもとるに足りない存在だったので、失うものはあまりありませんでしたが、ロシアや東欧諸国は失うものが大きく、経済的にもかなり疲弊しました。


冷戦戦勝国である日本は、経済的にも国際的な地位ということでも、戦勝で大きな恩恵を受けてきたのは間違いありません。安倍氏が総理大臣のときに、「自由で開かれたインド太平洋戦略構想」を提唱したり、QUAD構想を提唱したりできたのは、そのような背景があったからに他なりません。

その日本が、米国でさえも、中国に対峙する道を選んだにかかわらず、親中的な態度を継続していれば、冷戦戦勝国からすれば、裏切り以外のなにものでもありません。

冷戦のさらなる進展により、日本は中国とともに沈み、今度は新冷戦敗戦国になるかもしれません。このような厳しい現実に対応することもなく、「親中DNA」をそのまま引き継ぎ親中的な行動をし続ければ、そうなります。


安倍氏は、岸田首相が中国に対して毅然とした姿勢に改まるまで、圧力をかける続けるでしょう。それでも、首相が動かなければ、自民党内の保守派を本格的に動員して、党内世論を主導することになるでしょう。

高市氏は党内有志による「南モンゴルを支援する議員連盟」会長として、超党派の「日本ウイグル国会議員連盟」の古屋圭司会長や、「日本チベット国会議員連連盟」の下村博文会長らが、14日、岸田首相に北京冬季五輪の外交的ボイコットを求めたのは、その手始めでしょう。

この、3つの国会議員連盟の代表は、17日茂木氏に今国会での「人権弾圧非難決議案」の採択を申し入れました。 ところが、古屋氏によると、茂木氏は「決議案の内容はいいが、タイミングの問題だ。五輪に政府関係者を派遣するかの問題に今一番、世論が注目するなか、今はタイミングが良くない」と受け入れなかったといいます。

岸田政権が行動を改めない限り、今後このようなことが頻発し、岸田政権では参院選を戦えない、ねじれ国会だけは避けたいという声がまきおこり、政局に発展する可能性が大です。

これを機会に、既存政党の枠組みを超えて、親中派と反中派が完璧に分かれる大規模なガラガラぽんが起これば良いと思います。そうなれば、親中派は少数派ですから、必ず反中派が優位になります。

今まさに日本は、新冷戦戦勝国になるか、敗戦国になるかの瀬戸際です。このくらいの政局の波乱が置きても不思議ではありません。親中派は、いままでやってきたことを繰り返しているだけだし、純粋な党内派閥抗争くらいに思っているでしょうから、あまり危機感はないでしょうが、反中派はかなりの危機感を感じていることでしょう。

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2021年12月17日金曜日

米議会が中国抑止に強い決意 リムパックへの台湾招待、予算明記 識者「『中国への挑戦状』たたきつけた格好だ」―【私の論評】米議会は世界に、中国による台湾武力併合は不可能であるとの強力な「政治的メッセージ」を発信した(゚д゚)! 

米議会が中国抑止に強い決意 リムパックへの台湾招待、予算明記 識者「『中国への挑戦状』たたきつけた格好だ」 


 米議会が「台湾防衛」に強い決意を示した―。米上院は15日、2022会計年度の国防予算の大枠を決める国防権限法案を賛成多数で可決した。法案では、軍事的覇権拡大を進める中国への対抗姿勢が鮮明化したが、中でも、ジョー・バイデン政権に米海軍が主催する「環太平洋合同演習(リムパック)」に台湾を招待するよう勧奨したことは注目される。

 「米国と密接に協力して台湾海峡と地域の平和と安定を守っていく」

 米上院による招待要求を受け、台湾外交部は16日、こう感謝を表明した。国防部も同日、「感謝」を示した。

 リムパックは1971年以来、隔年で実施される世界最大規模の海上軍事演習。ハワイ沖で行われ、日本を含め、米国の同盟国を中心に相互連携を確認している。

 前回の「リムパック2020」には、コロナ禍のため、米国や日本、フランス、カナダ、オーストラリア、韓国など10カ国から、艦艇22隻、潜水艦1隻、人員約5300人が参加。前々回の「リムパック2018」は、26カ国から、艦艇47隻、潜水艦5隻、航空機約200機、人員約2万5000人以上が参加した。

 来年は開催年であり、台湾参加が実現すれば、米台断交後、初となる。

 バイデン大統領の対応が焦点となるが、中国が反発するのは必至なだけに、政権内で慎重に検討するとみられる。

 一方、中国は台湾の武力統一の可能性を排除していない。

 中国共産党機関紙、人民日報系の「環球時報」(英語電子版)は15日、人民解放軍が海南島周辺で、水陸両用の着陸任務と想定される訓練を実施したと報じた。詳細は不明だが、専門家の「台湾を念頭に置いている」との見解も伝えている。

 リムパックへの台湾招待が実現すれば、どうなるか。

 軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「米国や同盟国の『台湾支援』の士気や、連携の効率が上がり、有事でも迅速に動けるようになる。米国による台湾への武器売却などの段階から、さらに一歩進んで『中国への挑戦状』をたたきつけた格好となる。台湾が国際的舞台に復帰するデビュー戦になる」と語った。

【私の論評】米議会は世界に、中国による台湾武力併合は不可能であるとの強力な「政治的メッセージ」を発信した(゚д゚)!

米上院は15日、国防予算の大枠を決める2022会計年度の国防権限法案を賛成88票、反対11票の賛成多数で可決しました。バイデン大統領が署名して成立します。

米海軍主催の来年の環太平洋合同演習(リムパック)への台湾の招待に関する提言や、台湾の非対称防衛戦略強化に対する支援計画の制定への呼び掛けなども盛り込まれました。 下院では7日に賛成363票、反対70票で可決されました。

総額は約7680億米ドル(約88兆円)で、中国への対抗として設立された基金「太平洋抑止イニシアチブ」に71億ドル(約8100億円)が計上されました。 

法案では台湾に関し、米国の政策は中国の武力行使による台湾支配の既成事実化を許さないだけの米軍の軍事力を維持するものだと指摘。国防長官に対して、非対称防衛力強化支援と州兵との協力強化を盛り込んだ報告書を提出するよう求めました。 

また議会は政府に対し、台湾に十分な防衛力を確保させるため、実地訓練や軍事演習を台湾と実施することや、戦略、政策、機能的レベルでの米台官僚の交流推進を意見しました。

米国は台湾に対して非対称防衛力強化支援もするそうですが、非対称戦争とは、戦力を数値化して比較した場合、劣勢側の勝機を見い出すのが不可能に思えるほど膨大な戦力差のある戦争のことをいいます。

普通は軍事革命の進捗において一段階以上の断絶が存在している場合に用いる用語で、単純な兵員数・兵器の性能と開発技術力・資源保有量などが違うだけなら外交や戦術・戦略で覆せる可能性があるので、必ずしも非対称戦争とは呼びません。

当然ながら劣勢側がまともな戦術で太刀打ちできるわけが無いため、必然的にゲリラ戦、NBC兵器、民間人への攻撃、その他の(優勢側の理屈で言えば)犯罪とみなされる戦術の実行を余儀なくされます。この種の「非道」な戦術に対する反撃も総じて苛烈を極める傾向にあります。

また、そもそも非対称戦争が成り立つほどの劣勢を知っていて戦争を仕掛けたがる国家指導者など存在するわけがない以上、全ての非対称戦争は劣勢側当事国の意志とは無関係に行われる侵略行為です。少なくとも侵攻を受けた側は当然そのように考えます。

中国と台湾の戦争ということになれば、中国の兵力のほうが圧倒的に有利であり、そこでこの非対称戦争という言葉が用いられようになりました。


ただ、中国と台湾との戦争が、本当に非対称戦争となるかについては、冷静に考える必要があります。以前も同じようなことを掲載しましたが、下に再掲します。

中国が台湾を武力統一しようとする場合、最終的には上陸侵攻し、台湾軍を撃破して占領する必要があります。来援する米軍とも戦わなければならないでしょう。

その場合、中国は100万人規模の陸上兵力を発進させる必要があります。台湾軍の突出した対艦戦闘能力を前に、上陸部隊の半分ほどが海の藻くずとなる可能性があるからです。

100万人規模の陸上兵力を投入するには5000万トンほどの海上輸送能力が必要となります。これは中国が持つ全船舶6000万トンに近い数字です。

台湾有事をしきりに語っている軍事評論家もすっかり忘れているようですが、たとえば旧ソ連軍の1個自動車化狙撃師団(定員1万3000人、車両3000両、戦車200両)と1週間分の弾薬、燃料、食料を船積みする場合、30万~50万トンの船腹量が必要とれています。

船舶輸送は重量トンではなく容積トンで計算するからです。それをもとに概算すると、どんなに詰め込んでも、3000万トンの船舶が必要になる計算です。

4月23日に海南島・三亜で就役式が催された、中国初の強襲揚陸艦「海南」(推定排水量約4万トン)

この海上輸送の計算式は、世界に共通であり、中国も例外ではありません。むろん、来援する米軍機を加えると、中国側には上陸作戦に不可欠な台湾海峡上空の航空優勢を確保する能力もありません。

それだけではありません。軍事力が近代化するほど、それを支える軍事インフラが不可欠ですが、中国側にはデータ中継用の衛星や偵察衛星が決定的に不足しています。

しばしば脅威が喧伝される空母キラー(対艦弾道ミサイル)も、移動する空母を追跡して直撃する能力には至っていません。そういう中国側が、サイバー攻撃を仕掛けようとしても、上陸作戦の成功がおぼつかないのは明らかです。

ただ、要注意なのは、台湾国内で親中国的な世論が生まれ、内乱のような混乱に乗じて、かいらい政権が登場することでしょう。あらゆる手段を駆使するハイブリッド戦です。これなら、中国でも台湾を併合できる可能性はあります。ただ、軍事的には、ほぼ無理です。

中国が台湾に侵攻しようとしても、海上輸送力が十分ではないため、不可能なのです。しかし、それでも無理に侵攻しようとすれば、兵力を小出しにせざるをえなくなり、それは台湾軍に個別撃破されてしまうことになります。

中国陸軍の水陸両用装甲車(中国軍系SNSの7月17日の投稿より)

ただ、中国はそのあたりを見透かされていると感じたのか、中国共産党機関紙傘下の環球時報(英語版)最近、中国軍が民間の大型フェリーを利用して大量の兵員や戦車など軍用車両を海上輸送する訓練を実施したと伝えました。

台湾有事の際に不足する揚陸艦を民間船舶の徴用で補い、大量の陸上戦力を迅速に投入できる態勢の整備を進めている可能性があります。

中国国営中央テレビも訓練を伝えました。北京に司令部を置く「中部戦区」に所属する陸軍機動部隊「第81集団軍」が、排水量4万5000トンのフェリーを使って実施しました。フェリーは兵員1000人以上と戦車や歩兵戦闘車など数百台の軍用車両を載せて14日夜に出港し、15日午前に1000キロ・メートル以上離れた港に到着したとしています。

中国軍は揚陸艦の数が限られていることなどから、大型の民間船舶を利用して多数の軍用車両を輸送する訓練を進めています。同紙は訓練について、「将来の戦場で部隊の輸送効率を高める目的がある」との専門家の分析も伝えました。

ただ、中国軍がこのようなことをしたとしても、先にも述べたように、100万人規模の陸上兵力を投入するには5000万トンほどの海上輸送能力が必要となり、これは中国が持つ全船舶6000万トンに近い数字ですから、たとえフェリーなどを輸送にあてたとしても、十分とはいえません。仮に軍・民の全艦艇を台湾への輸送にもちいれば、中国は輸出入ができなくなりますし、海洋の守備が疎かになります。

それに、台湾軍は破壊力の強い対艦ミサイル雄風III型ミサイルや、米国製対艦ミサイルなども多数配備しており、中国が民間フェリーで兵員や、補給を試みても、多数が撃沈されることになります。

さらに、一昨日このブログに掲載したように、米軍の攻撃力が強い、攻撃型原潜が台湾を包囲してしまえば、中国軍がこの包囲を突破しようとすれば、中国海軍は崩壊します。

6月17日、米軍トップのミリー統合参謀本部議長は上院で「中国が台湾への侵攻能力を備えるには長い時間がかかり、その意図もない」と述べ、今後6年以内に台湾侵攻の可能性を指摘したデービッドソン発言を否定しましたが、上記で示したリアルな数字に基づいていると考えられらます。

中国側も当然のことながら、この現実を認識しているでしょう。そうなると、台湾侵攻はありえないです。そのことを米国も見透かして、リムパックへの台湾招待をしても、それで中国が硬化して、台湾への武力侵攻などないだろうとみているのでしょう。

一方米上院を国防権限法案に「環太平洋合同演習(リムパック)」に台湾を招待するようバイデン政権に求める文言が明記されたことについて、台湾側は謝意を表明する一方、バイデン政権が実際に招待に踏み切るか慎重に見極める構えです。リムパック参加は台湾への威圧を強める中国への牽制になるとはいえ、実務的には課題もります。

台湾の国防部(国防省に相当)の史順文報道官は16日、「台湾に友好的な法案が可決されたことに感謝する」と述べました。一方、参加については「動向を引き続き注目し、総合的に判断する」と述べるにとどめました。

米議会としては、中国に対して「政治的メッセージ」を送ったということでしょう。中国は従来から強いメッセージを送っており、少なからぬ人が、中国はすぐにも簡単に武力で台湾を併合すると考えがちですので、そのよう人たちにむけても「メッセージ」発信したということでしょう。


フランス・スペイン共同開発 インド海軍期待の新型潜水艦「ヴェラ」就役―【私の論評】多くの国々が対潜戦闘力を強化し、中国の多くの艦艇を持てば勝てるという幻想を打ち消すことに(゚д゚)!



2021年12月16日木曜日

企業物価指数上昇は絶好機 財政・金融政策フル稼働で「デフレ完全脱却」の可能性も―【私の論評】岸田政権に期待するのは、安倍・菅両政権の置き土産を台無しにしないことだけ(゚д゚)!

日本の解き方



 11月の企業物価指数は前年同月比9・0%上昇の108・7で、伸び率は比較可能な1981年1月以降で最大、指数は85年12月以来、約35年11カ月ぶりの高い水準となった。

 背景には、原油などの資源価格の上昇がある。その上、円安による円ベースの輸入価格の上昇も拍車をかけた。

 問題は、企業物価がどのように消費者物価に波及するかだ。

 まず考慮しておきたいのは、企業物価指数と消費者物価指数は、それらの対象が異なっていることだ。

 企業物価指数は、企業間で取引される財に関する物価の変動を測定するものだ。消費者物価指数には、企業物価指数が対象としていない授業料、家賃、外食などのサービスの価格もウエートにして5割程度含まれている。サービスの価格は、財に比べて人件費の割合が高いため、財の価格が上昇・低下しても、財と一致した動きをするとはかぎらない。

 また、消費者物価指数が対象としている財は世帯が購入するものについてであり、企業物価が対象とする原油などの原材料、電気部品などの中間財、建設機械などの設備機械は含まれていない。

 このため、企業物価指数と消費者物価指数は、必ずしも一致しないが、一定程度の連動はある。一般的に、企業物価の変動は大きいが、その一定割合はタイムラグを経て消費者物価に反映される。

 2000年以前、消費者物価指数上昇率は、直近3カ月程度の企業物価指数上昇率の6割程度となって9割程度の相関があった。00年以降、連動の度合は低くなったが、それでも企業物価指数上昇率の2~3割程度となって6割程度の相関がある。その関係式を考慮すると、直近3カ月移動平均での企業物価指数上昇率が8%程度なので、近い将来、消費者物価指数上昇率が2%程度になっても不思議ではない。

 もっとも、企業物価の消費者物価への反映は、企業がどの程度、価格転嫁できるかどうかに依存する。

 00年以降をみても、企業物価が上昇したのは、08年のリーマン・ショック直前と、14年の消費増税時があるが、前者では世界経済の急落、後者では消費増税による景気ショックがあり、消費者物価に反映する余裕もなく、その直後に企業物価は急落している。

 今回は、世界での新型コロナ後の景気拡大への方向もあり、日本にとってはまたとないチャンスである。ここで、日本は財政政策と金融政策をフル稼働すれば、GDPギャップ(完全雇用を達成するGDPとの乖離)も縮小し、景気の腰折れもなく、賃金と物価がともに上昇する好循環にも入れる。

 菅義偉前政権のおかげであるが、岸田文雄政権は、新型コロナの感染が少ないという運にも恵まれている。ここで、財務省の緊縮病さえ抑え込むことができれば、マクロ経済でデフレからの完全脱却という良い結果を残せる可能性がある。ここは岸田政権の正念場でもある。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
【私の論評】岸田政権に期待するのは、安倍・菅両政権の置き土産を台無しにしないことだけ(゚д゚)!

上の高橋洋一氏の記事では、菅義偉前政権のおかげでという言葉があり、新型コロナ感染が少ないという運にも恵まれているとしています。

安倍元総理と菅前総理

確かに、岸田内閣は菅政権と、安倍政権の置き土産で、恵まれたスタートを切っています。これは、以前のブログにも述べたことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
本文わずか“2ページ”立民の残念なアベノミクス検証 雇用創出の実績を分析できず、支持母体の労働者に響くのか ―【私の論評】安倍・菅両氏の「お土産」と立憲民主党の体たらくで、新政権は安定(゚д゚)!
この記事の元記事は、9月29日のものですです。総裁選の結果は同月29日に公表されていますから、この記事は総裁選の前に書かれたものです。詳細はこの記事をご覧いただくものとしして、この記事から少し長いですが、一部を引用します。
アベノミクスによる雇用増は、以下のグラフをご覧いただければ、一目瞭然です。


このような成果がなぜ得られているかといえば、安倍政権の時には、結局増税を2回も実施してしまったにもかかわらず、日銀はイールド・カーブ・コントロールにより、緩和を手控えながらも緩和姿勢を崩していないからです。

さらに、上のグラフでみても、わかるとおりコロナ感染症が経済に悪影響を与えても、日本では雇用が悪化しなかったのは、以前のこのブログにも掲載したように、日本には雇用調整助成金があるからです。
この制度は、労働者の失業防止のために事業主に給付するものです。類似制度は世界ではそれほど多くないが、似た制度があるドイツも、ピーク時の失業率上昇は0・7ポイントと他国と比べて抑えられています。

日本の失業率はコロナ前の2020年2月に2・4%でしたが、その後上昇し、10月に3・1%とピークになり、21年7月は2・8%まで低下しました。米国は20年2月に3・5%でしたが、4月に14・8%とピークで、21年7月は5・4%。EUは20年3月が6・3%でしたが、8月に7・7%、21年7月は6・9%となりました。

それぞれ、コロナ前とコロナ後のピークの差は日本が0・7ポイント、米国が11・3ポイント、EUが1・4ポイントでした。コロナ前と直近の差は日本が0・4ポイント、米国が1・9ポイント、EUは0・6ポイントです。

これらの数字から、コロナ禍による失業率の上昇を最も抑えたのが日本であることがわかります。

ご存知のように、本日自民党総裁選においては、岸田氏が勝利しました。

これまでの歴史を見ると長期政権の後は短命政権が続いています。ただ岸田政権には「貯金」と「お土産」があります。

「貯金」は安倍元首相が残した「雇用の改善」と「国政選挙6連勝」です。このおかげで衆参ともに自公で過半数をがっちり確保しており、一度の選挙で多少負けても毎年の予算は通ります。

だから短命になりにくいでしょう。政権が長く続くと成果も出ます。

「お土産」は退陣する菅首相からもあり、ワクチン接種を強力に進めたおかげでコロナは終息しつつありますし、先にも述べたように、コロナで雇用が激減することもなく、菅政権下で東京オリパラも開催してもオリパラが感染を加速することもなく終えたので、国内では大きな懸案事項もありません。安倍・菅路線を継承すれば、大やけどすることもないでしょう。
そうして、今後自民党はさらにコロナ対策のために、補正予算を組むことになるでしょう。それは、様々な日程を考えると、衆院選後になるでしょう。そうして、日本経済は復活するでしょう。 つまりこれだけの貯金とお土産があれば、当面首相は誰でも務まるかもしれません。

菅退陣で政党支持率が上がり衆院選で大負けすることもないでしょう。

なぜなら、上の記事にもあるように、最大野党の立憲民主党の体たらくがあるからです。今年は、自民党の総裁選ですっかり影が薄くなったのですが、昨年も同じでした。

そうして、実際自民党は、この予想通り衆院選では大負けすることもなく、議席数は減らしたとはいえ、予想をはるかに上回る善戦をしました。

こうした大きな置き土産を前・前々政権から受け取った岸田政権は余程の間違いをしない限り、かなり運営しやすいはずです。今回の企業物価指数上昇も、安倍・菅政権の置き土産がなければ、デフレからの脱却へのチャンスともなり得なかったことでしょう。

特に経済面では、すぐに増税をするなどして緊縮に走ることなくまともな財政・金融政策を実施すれば、上の記事で高橋洋一氏の言うように、岸田政権は、マクロ経済でデフレからの完全脱却という良い結果を残せる可能性はあります。

ただ、気がかりなのは岸田政権の進める新しい資本主義は、日本の経済を窒息死させる恐れがあるということです。選挙公約で所得倍増の旗を振りながら引っ込めてしまったり、歴代の政権が必ず提唱してきた規制改革を言わなかったり、成長より分配を先に言ってしまったりしているからです。


そもそも、政府が経済政策でできることは限られており、税制、公共投資、規制改革などが中心です。その3つとも、具体的な政策も方向も示せていないのが、岸田政権です。岸田政権は、公共投資になるグリーン政策も、当初にはCOP26に参加見送りを言ってしまうほど、新たなビジネスチャンスがわかってないくらいに経済オンチです。

18歳以下に現金5万円クーポンで支給するとしていた特別給付金についても11月に補正予算出して、来月に国会で審議しますから、その後すぐ年末年始の休みになり、年明けくらいから実務作業が始まりますから、うまくいって3月くらいに給付できれば良いという状況になるのは最初からわかっていたことです。

さらにクーポンはデザインや印刷に時間かかりますから、もたもたしていると参院選後に給付ということになりかねません。そのようなことは、最初からわかっていたことです。

様々な批判を受けた後で、ようやっと政府は14日、18歳以下の子どもへの現金5万円とクーポン5万円分の給付について、現金での全額支給を容認する方針に転じたことを踏まえ、自治体向けの指針をまとめました。現金給付を認めるケースについて「自治体の判断を尊重するとの考えの下、政府において一律の条件を設け、審査を行うことは考えていない」と明記しました。

それだけではなく、GOTOキャンペーンも来年2月からを予定するなど、岸田政権の政策はあまりに「とろい」です。

新型コロナウイルスからの経済回復も「日本だけが出遅れている」います。どうしようもないこのスピード感のない、岸田政権で来年夏の参院選をまともに戦えるでしょうか。

このような岸田政権は、せっかくの安倍・菅両政権の置き土産を台無しにしてしまう可能性が大です。そのため、マクロ経済でデフレからの完全脱却という良い結果を残せる可能性は低いです。

岸田政権に期待できるのは、今以上に日本経済を毀損(きそん)することがないようように、現状維持することだけです。それ以上の期待はできません。長期政権になれば、日本経済を毀損する確率が高まるだけです。自民党は、岸田政権は短命で終わらせ、他のまともな総裁のもとで、やり直すべきと思います。

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2021年12月15日水曜日

安倍元首相、中国を再び批判 国際フォーラムで講演―台湾―【私の論評】「中国による台湾武力侵攻は、控えめに言っても自殺的になる」は事実(゚д゚)!

安倍元首相、中国を再び批判 国際フォーラムで講演―台湾

安倍晋三元首相=6日、東京都港区

安倍晋三元首相は14日、台湾や米国、日本のシンクタンクなどが台北で開催した国際フォーラムでビデオ講演し、「中国のように巨大な経済体が、軍事における冒険を追い求める場合、控えめに言っても自殺的になる」と強調した。台湾統一を目標に掲げ、軍事的威圧を強める中国を再び批判した。

【中国ウォッチ】安倍氏の台湾有事発言に異例の強硬対応─中国高官「火遊びで焼け死ぬ」

 安倍氏は、「中国に対しては、領土拡張を追い求めてはならないと強く言うべきだ。隣国を挑発したり、しばしば追い詰めたりする行いは控えるべきだと言うべきだ」と発言。台湾や沖縄県の尖閣諸島、南シナ海の周辺で軍事活動を活発化させている中国を強くけん制した。その上で、日米台などの民主主義陣営の結束を呼び掛けた。

【私の論評】「中国による台湾武力侵攻は、控えめに言っても自殺的になる」は事実(゚д゚)!

上の記事にもあるように、自由民主党の安倍元総理大臣は12月14日、日米台のシンクタンクが共催したシンポジウムのなかでビデオメッセージを寄せ、軍備増強と海洋進出を進める中国と台湾との間で高まる緊張関係に関し、「中国に対し、隣国を挑発したり、追い詰めたりする行いは控えるべきだと言うべきだ。中国自身の利益を損ねるからだ」と重ねて指摘しました。 

 安倍さんはここ最近、精力的に発言されていらっしゃいますが、 総理でなくなったということを、良い意味で活用されていると思います。中国共産党によるウイグル人に対する弾圧に対する批判を中国は「内政問題だ」と主張することに対して、安倍氏は総理の時代から反論されて来ましたけれど、ここまではっきりとは言えませんでした。

来年は、ますます「中国に対してどういう姿勢で臨むのか」ということが日本の鍵になるという示唆でもあると思います。アジアのなかで、いま中国共産党の独裁主義にものを言える国は、実は日本しかいないのです。

ナチズムの専制主義に対して、1930年代当時のヨーロッパでものを言うことができたのは、ドーバー海峡を挟んだ英国だけでした。 しかし、その英国でさえも最初はチェンバレン首相が宥和政策を取り、宥めようとして、かえってチェコやポーランドを差し出す結果となり、それが大きな戦争につながることになりました。

英国はそこで切り替えて、チャーチルが現れたのです。岸田総理は、その分岐点に立っていると思います。チェンバレンのようになるのか、チャーチルになるのか。

チャーチル(左)とチェンバレン(右)

最近の安倍氏は、自由に意見を述べていますが、岸田総理に対しては「対中国に宥和的な姿勢はもう通用しない」と語りかけているのだと思います。 そうして、このメッセージは対中国のというよりは、日本国内に向けてのもでしょう。 

中国共産党に対してメッセージを出すのも大事ですが、それで方向転換するような中国ではありません。というより、独裁体制ではそれは、できないのです。 

民主主義のようにいろいろな意見が出て来ないですから、独裁者が失脚するような極端なことがなければ意見を変えられないのが、独裁主義の大きな弊害の1つです。

そのため、中国共産党をこのメッセージで動かそうとしているのではなく、岸田現政権に対して、「いたずらな宥和政策は、アジアの平和にとって有害ですよ」ということを言いたいのでしょう。台湾のことを例にして語っていますが、本当の真意はそこだと思います。

ただし、台湾国防部からすると、中国は演習に見せかけていきなり攻撃して来る可能性もなきにしもあらずです。その可能性の恐れを指摘されることは正しいのですが、現実の中国軍にはこのブログでも何回か述べたように、台湾に侵攻できるような能力はありません。 

ただ、台湾の南には東沙諸島があり、日本の尖閣諸島と似ているのですが、そこに対して攻撃をしかける可能性はあると思います。そこに拠点を置き、台湾を破壊することはせず、そこを拠点に台湾の内政を動かし、中国共産党の思い通りにするという懸念はあります。


 東沙諸島まで、横須賀からアメリカ海軍の主力である第7艦隊が向かっても、数日はかかりますから、狙われる可能性は否定できません。現在台湾海峡から南にかけては異常な緊張状態にあります。ただ、私自身は、このブログでも述べてきたようにすでに米国は台湾付近に強力な攻撃型原潜を潜ませていると考えています。

米海軍は、中国海軍よりもはるかに対潜水艦戦闘能力(ASW)が強力ですから、攻撃型原潜の脅威があれば、中国は迂闊に手を出せません。手を出した海軍部隊は破滅することになります。東沙諸島にさえ手をだすのは、中国にとっては大冒険です。

「中国のように巨大な経済体が、軍事における冒険を追い求める場合、控えめに言っても自殺的になる」という安倍総理の発言は、このことを意味していると思います。中国が台湾に武力侵攻した場合、米軍の攻撃型原潜の猛攻撃を受けるのは間違いありません。

そうなると、中国海軍はほぼ壊滅するでしょう。おびただしい数の犠牲者が出ることになります。これを安倍元総理は、「自殺的」と表現したのでしょう。

これは、わかりやすい言葉です。特に、米攻撃型原潜の攻撃力は以前にも述べたように、強力ですから、中国のほとんどの艦艇は撃沈され、壊滅状態になる一方米側にはほとんど被害がでず、このような言葉は使いたくないですが一方的な「虐殺」に近いことになるでしょう。中国が台湾に武力侵攻するということは、これだけ無謀なことなのです。

さらに、中国海軍が壊滅するだけではなく、米国は報復のため国際金融支配力を用いて本格的に中国を世界経済から切り離すことになるでしょうから、そうなるとまさに「自殺行為」になってしまいます。安倍総理のこういった実体を中国側に認識させるという意味もあったでしょう。

安倍元総理は、今回のメッセージのなかで、「日米台は海洋や空中、サイバー空間、宇宙においても能力を高め続ける必要がある」と、ここを連携すべきだと強く訴えています。

ただ、現状では、日本の自衛隊と台湾軍が何かをやろうという動きは、公式にはできないところがありまます。 法的にできないわけではないのですが、ただ、簡単に言うと、自衛隊は活動範囲がかなり限定されています。

もちろん憲法9条の制約もあります。安倍政権下で平和安全法制ができて、集団的自衛権を認めたのですが、米軍筋の反応として、むしろ逆にこの安保法制は限定条件が厳しすぎてで使えないとみているようです。 

第二次世界大戦当時からそうですが、戦争を避けるには、一国だけで自国を守備するというのではなく、様々な国と組まなければならないという厳しい現実があります。この時代に米国側からは「自衛隊だけで国防ができる」という考え方を、日本はいつまで続けるのかと見られているのです。

存立危機という奇妙な言葉を使ったり、「〇〇事態」なるものがたくさんあり、国民には理解しにくいですが、米国にとっても理解しにくいのです。無論台湾にとつても理解しにくいです。ただ、中国にとっては、いざというときに自衛隊かが動けないわけですから、理解しにくいままで良いのです。

ただし、このブログで過去に主張してきたように、自衛隊の海戦能力、特に潜水艦艇の能力は、世界最高レベルです。原子力潜水艦より、日本の通常艦の方が局地戦で見れば上といっても良いです。

確かに、日本の潜水艦は、攻撃力や巡航能力は米攻撃型原潜には劣るところがあります。ただし原子力潜水艦は構造上どうしてもある程度騒音が出ますから、中国海軍でも探知できる可能性があります。ところが日本の潜水艦は、ステルス性(静寂性)がかなり高いですから中国はこれを探知できません。

そうりゅう型潜水艦「とうりゅう」 「出典:海上自衛隊ホームページ」 クリックすると拡大します

そのため台湾や米国から、「平和を守る範囲内において、もう少し活動範囲を広げるべきだ」という議論がずっとあります。安倍元総理の発言はそこに対しても問題提起をしていると思います。

私たちの国日本は民主主義の国です。総理大臣をはじめとする国会議員の後ろには有権者がいるわけですから、主権者の方も改めて客観的に冷静に、「平和を守るために何をすべきなのか」ということを、現実の中国の動きをよく見て考えるべきです。 

ただ、「中国にとっても利益にならない」と、安倍元総理は語っています。例えば経済から言うと、中国がものを買ってくれる大きさと、台湾がものを買う大きさは、桁がゼロ3つくらい違います。

それでも、これだけ台湾の存在感が増して来ているということは、あまりにも中国共産党の最近の動きが、習近平国家主席の独裁が極端に強化されているからです。それは自滅につながるでしょう。

 それに対して、諫言するような人は、習近平政権の体制下では生まれ得ないです。 もともと少なかったのが、習近平は、汚職追及の名の下に徹底的に敵対勢力を失脚させ、追放し逮捕し、投獄ししました。

しかし、習近平の派閥に属する人たちは一切そういう目に遇いません。習近平、あるいは中国共産党自身は独裁体制のほうが良いのです。決定も早いし、ブレもないのだと自負しているようですが、弊害も自分で大きくしているというのが実情です。

そうすると、いろいろな諫言は国外からもせざるを得ません。 さらに人間の尊厳、命に関わる台湾、ウイグル、チベット、南モンゴルなどの問題は、内政問題で片付けるわけにはいきません。

来年(2022年)の通常国会まで待たずに、対中国、人権非難決議を本国会で行うべきです。とは言っても、もう時間がなくなってしまったのですが。少しでもはやくすべきです。

安倍元総理の発言は、そういうことを促すと意味もあると思います。

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2021年12月14日火曜日

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フランス・スペイン共同開発 インド海軍期待の新型潜水艦「ヴェラ」就役

インド海軍「ヴェラ」の就役式典の様子

同型6隻あるうちの4番艦として就役

 インド国防省はこのたび、同国海軍向けの新型潜水艦「ヴェラ」の就役式典を2021年11月25日に挙行したと発表しました。

「ヴェラ」はインド海軍が整備を進めるカラヴァリ級潜水艦の4番艦です。全長は67.5m、幅は6.2m、高さ(深さ)は12.3m、水上航行時の喫水は5.8mで、満載排水量は1775トン。乗員数は43人で、ディーゼルエンジンと発電機によって、水中ならば最大20ノット(約37km/h)、水上ならば11ノット(約20km/h)の速力で航行できるといいます。

 主武装は魚雷並びに対艦ミサイルで、配備先は司令部をムンバイに置く西海軍コマンドになるそう。

 カラヴァリ級は、フランスのDCNS社とスペインのナバンティア社が共同開発した輸出用のスコルペヌ級潜水艦をインドがライセンス生産し導入しているもので、開発元であるフランスとスペイン両国での採用実績こそないものの、インド以外にもチリやマレーシア、ブラジルなどで購入・配備されています。

 累計建造隻数はすでに「ヴェラ」を含めて12隻を数えており、さらにインド海軍では1隻が進水済みで現在艤装中、もう1隻も2023年初頭の就役を目指して建造中です。

 なお、インド海軍によると「ヴェラ」とはアカエイを指す言葉で、海中を泳ぐモノとしてピッタリとのこと。その由来から、同艦のマスコットキャラクターとして艦名イラストにもアカエイが描かれているとのことです。

【私の論評】多くの国々が対潜戦闘力を強化し、中国の多くの艦艇を持てば勝てるという幻想を打ち消すことに(゚д゚)!

インドの新型潜水艦の就役は、インドが対潜水艦戦闘力(ASW)を強化する決意の現れとみることができます。インドをはじめ、中国を警戒する多くの国々が、ASW(対潜水艦戦闘能力)を強化するのは当然の流れといえます。

中国の対米海洋戦略では、中国は中距離ミサイルの配備などで(沖縄、台湾、フィリピンなど結ぶ軍事戦略上の防衛ライン)第1列島線内で米空母が活動できない体制を実現しようとしているのですが、沖縄や台湾など全てを中国のものにしない限りその実現は不可能です。

仮に中国のミサイルなどにより米空母が近づけなくなるとしても、米軍には「見えない空母」と言われる巡航ミサイル原子力潜水艦(SSGN)が4隻あります。1隻でトマホークを154発積むことができます。

中国の最大の弱点はASWで、特に潜水艦を見つけ出す能力が低いでのです。仮に台湾有事が発生した場合、600発の巡航ミサイルを積んだ「見えない空母」が、第1列島線の内側に入り込み、ピンポイントで中国のレーダーや宇宙監視の地上施設を攻撃して、まず「目」を奪うでしょう。そうなれば、中国は米空母などがどこにいるか把握できず、ミサイルを当てようがなくなります。

そもそも中国の空母キラーと呼ばれる弾道ミサイル「DF21D」は米空母には当たらないとみらている専門家も多いです。弾道ミサイルはスピードがありすぎてコントロールが難しく、自由に動く対象に簡単には当てられないからです。

先に述べたように、中国のASWはかなり低いので、結果として海戦においては、日米などにとっては脅威ではありません。これは、ロシアも同じことです。そもそも、中国のASWは、ロシアから導入したものです。それよりも、警戒しなければならないのは、中国の軍人が米国に勝てると誤認することです。

軍事筋では昔からいわれているように、艦艇には二種類しかありません。水上に浮いている艦艇と、水中に潜む潜水艦です。水上に浮いている艦艇は、巨大な空母であろうと、巨大軍艦であろうと、航空機やミサイル等の標的に過ぎません。現在なら、対艦ミサイル一発で撃沈されてしまいます。

艦艇には二種類しかない、水上艦艇と潜水艦である

しかし、水中に潜む潜水艦は違います。ただ、潜水艦があったにしても、ASWが相手方よりも劣っていれば、不利です。潜水艦も撃沈されることになり、その後に水上艦艇もすぐに撃沈され無力化されてしまいます。

そのため、中国がいくら多くの艦艇を有していたとしても、現在の海戦では圧倒的に不利なのです。ただ、海戦戦闘の経験がほとんどない中国の軍人は、多くの艦艇を持てば勝てると勘違いするかもしれません。それで、米国などに挑めば、とんでもないことになります。

ただ勘違いしていないとしても、ASWの低い国々に対しては、脅威になります。そのため、インドをはじめ各国がASWに力を入れているのでしょう。それに日米等海戦能力が高い国々でも無用な衝突は避けたいでしょう。もし衝突して、本格的な海戦になれば、中国海軍は壊滅します。おびただしい死傷者がでるでしょう。

日本のASWは対潜哨戒力が元々高く強力ですが、近年は特に潜水艦隊を重視しており、毎年のように新しい潜水艦を進水、就役させており、昨年3月には世界初のリチウムイオン電池搭載の通常動力型潜水艦「おうりゅう」も就役しました。これはステルス性にすぐれ、ほとんど無音に近いとされており、潜航して行動していても中国軍が発見するのは困難です。

10月14日進水排水量3000トンの「たいげい」

潜水艦に抗う最も有効な手段は、潜水艦に他ならず、新しい最新型潜水艦が続々就役させることにより、海上自衛隊の対潜戦闘能力がさらに高まることは間違いないないです。このような流れの中で、インドはすでに新型通常型潜水艦を就役させており、オーストラリアは原潜、台湾は通常型潜水艦の開発を決めました。

インドは対潜水艦哨戒能力も高めつつあります。ボーイングは、インド海軍に11機目のP-8I哨戒機をこのほど引き渡しました。インド国防省が2016年に発注した追加4機のオプション契約のうち3機目の納入となりました。

インド海軍のP-8Iと奥にはラジャリ基地配備のTu-142MK-Eも見える

インド海軍はP-8初の海外顧客で、2013年から導入。米国外では最多機数で、ボーイングによると飛行時間は3万時間を超えたといいます。P-8の米国外の顧客ではインドのほか、豪州空軍、英国空軍が運用しています。

P-8は、小型旅客機の737-800をベースに開発された対潜水艦、対水上戦、情報収集、監視、偵察を担う多目的哨戒機で、2004年6月14日に公開されました。胴体は737-800、主翼は737-900を基に開発されました。今年8月にはノルウェー空軍向けの初号機が初飛行し、9月にはドイツ連邦軍向けに5機を受注しています。

このように世界各国が、ASWに力を入れつつあります。多くの国々がASWに力をいれるようになれば、中国の軍人の、多くの艦艇を持てば勝てるという誤解を打ち消すことになるでしょう。

そうして、ASWに力をいれることこそ、中国に対抗するためには、最も費用対効果が高いことはいうまでもありません。空母を開発するくらなら、一隻でも多くの高性能潜水艦、一機でも多くの対潜哨戒機をもつことが、中国の海洋進出の野望を打ち砕くことに近づくことになります。


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