2015年8月3日月曜日

アメリカでの製造コストが中国と同レベルに減少、その理由とアメリカが持つ「強み」とは?―【私の論評】中国もう終わりました!中国幻想はきっぱり捨て去ろう(゚д゚)!

アメリカでの製造コストが中国と同レベルに減少、その理由とアメリカが持つ「強み」とは?


By nikzane

安くて豊富な労働力を活かして「世界の工場」として世界中の工業品の生産を一手に請け負ってきた感のある中国ですが、ここ数年は物価の高騰や賃金レベルの上昇からその競争力を失ってきたと言われてきました。これに対するようにアメリカでは製品の製造コストが減少し、中国と同水準に下落するという現象が起こっており、さらに今後はアメリカが中国を下回ることになると考えられています。

U.S. Manufacturing costs are almost as low as China’s - Fortune
http://fortune.com/2015/06/26/fracking-manufacturing-costs/

世界的なコンサルティング企業であるボストン・コンサルティング・グループ(BCG)の調査によると、アメリカ国内で製品製造コストは減少を続けていることが明らかになっています。以下のグラフのように、アメリカを100とした場合の製造コストは中国が95とほぼ変わりなく、さらに主なEU各国と比較するとすでに10%から20%程度も低い状態であることがわかったとのこと。さらにBCGの予測では、2018年ごろにはアメリカの製造コストは中国よりも2%~3%も低くなるだろうとみられています。

これにはいくつかの要因が考えられており、中国国内での人件費の高騰やアメリカでの生産効率が向上していることなどが考えられていますが、BCGによると最も大きく関与しているのが新たに開発されたシェールガスによるエネルギーコストの減少とのこと。BCGの試算によると、アメリカ国内での産業用電力価格は他国に比べて30%から50%も低いとみられており、特に鉄やアルミニウム、製紙や石油化学製品など多くのエネルギーや石油を必要とする産業分野への影響が大きく現れているといいます。

先述のグラフを見ても、アメリカでは水色で示されたエネルギーコストが他国を大きく下回っていることがわかります。


BCGのDavid Gee氏は「中国からの出荷の遅れや港湾のストライキによる閉鎖、また外資系企業に求められる中国企業との合弁化などのリスクや要因を考慮すると、わずか5%のコスト差は取るに足らないものといえます」とその実態について語っています。

中国の国旗デザインのビキニ この写真はブログ管理人挿入

安いエネルギーが手に入ることで、アメリカでは天然ガスを使った車両による貨物輸送手段の発達が期待されており、従来のように他国にエネルギーを依存する状態から自国で全てを賄える状態へとシフトすることが予想されています。また、天然ガスからは水素を取り出すことが可能なので、トヨタが2015年夏にもカリフォルニア州で受注を開始する「ミライ(Mirai)」のような水素で走る燃料電池車にも使うことが可能。

エネルギーコストが下がったことで、アメリカ国内に対する新たな投資の機会にもつながっています。2015年春には、オイルメジャー企業の一つであるサソルがルイジアナ州・レイクチャールズに81億ドル(約1兆円)という巨額の投資を行ってエタン精製工場を建設。また、天然ガス輸出のシェニエール・エナジー社はメキシコ湾にLNG(液化天然ガス)の輸出ターミナルを建設し、日本を含めた外国へのLNG輸出に意欲を見せるなどの大きな動きが生まれつつあります。ちなみに、シェニエール・エナジーのチャリフ・ソウキCEOは2013年にはアメリカで最も高い報酬を受け取ったことで知られており、その額は1年で1億4200万ドル(約145億円)とのこと。

アメリカの国旗デザインのビキニ この写真はブログ管理人挿入

このように、アメリカではシェール革命とも呼ばれるエネルギー生産の革命により、エネルギーコストの構造が大きく変化していることが明らかになっています。多くのエネルギーを蓄えると考えられている「シェール層」はアメリカの国土をほぼ覆うほどの広さに分布しているとみられ、その埋蔵量は100年分ともいわれていることから、近い将来にはアメリカは世界最大のエネルギー輸入国から一転して資源大国になるとも考えられています。

同時に、シェールガスの生産には問題を含んでいるということも一方では事実。地中に高圧の海水や砂、化学物質を注入するという工法により地下の状態が影響を受け、水源が汚染されるという事態が起こっており、石油企業が住民への補償を強いられるという事態にもつながっています。また、地中に海水を注入することで地層が滑りやすくなり、巨大地震を誘発しているという研究者も。さらに、フランスでは環境汚染を懸念したシェールガスの生産そのものを禁止する法案が採決されています。


By Department of Energy and Climate Change

さまざまな問題を抱えてはいるシェールガスの生産ですが、それによる安いエネルギーコストは魅力的なものであり、アメリカがこの分野を世界的にリードしている状況には変わりがありません。ハーバード・ビジネススクールのMichael Porter氏は(PDFファイル)BCGと共同で発表した報告書の中で、アメリカのシェールガス生産技術は他国の15年先を行っていること、そして生産拠点となる油井はアメリカ国内で10万1117か所あり、これはカナダの1万6990か所、中国の258か所などと比べて段違いに大きな規模となっていることを挙げています。

これまで中東やロシアに依存してきた世界のエネルギー事情はいま大きく変化しており、産業にも大きな影響を与え始めているところに注目しておく必要があるようです。

【私の論評】中国もう終わりました!中国幻想はきっぱり捨て去ろう(゚д゚)!

この状況じゃ、中国幻想は完璧に終止符が打たれた見て間違いないです。この記事では、アメリカの強みがシェール・ガスなどのエネルギーなどに集約されていますが、労働コストつについても3%と低い水準にあることも凄いです。

十数年前までは、10%程度といわれ、そのときでさえ、製造業に占める人件費の割合が少なくなろったため、人件費の低い国での製造はあまり意味をもたなくなってきたといわれていましたが、それが今では3%です。これでは、中国はとても太刀打ちできません。

デフレになる前の日本も、人件費の割合が減ってきたため、海外の工場を日本に戻す動きがありましたが、その後デフレ・円高に転じたため、海外への工場の移転が進み、国内産業の空洞化ということがいわれました。もし、デフレでさえなければ、かなり状況は変わっていたと思います。


過去には、いずれ中国がアメリカのGDPを追い越す時代がやってくるといわれたが・・・・・


さらに、アメリカ優位、中国劣勢という状況で忘れてはならないことがあります。米国は輸出がGDPに占める割合ほんの11%、中国は40%台と雲泥の差ですが、これは中国が他国の影響をもろに受けるということを意味します。米国は、巨大な内需に支えられ、外国の影響をあまり受けないことを意味しています。

これは、日本も似たところがあり、日本では輸出がGDPに占める割合は、10%程度にすぎません。20年前は、これが8%程度でした。しかし、過去20年近くにも及ぶデフレ・円高政策で、国内消費は減少し国内の内需が減少してしまいました。

それでも、10%程度で、これより少ない国は先進国では他にありません。かつては、アメリカのほうが輸出が圧倒的に少なかったのですが、最近では日本のほうが少なくなりました。これは、やはり、デフレから脱却したことにより、内需が拡大したということです。これからも、どんどん是正されることになります。

念のため、ここに掲載しておきますが、GDPの大きな国で内需が大きいということは、良いことです。輸出などがかなり大きな比重を占めるような国は、常に不安定です。それは、グローバル化を推進して、失敗した韓国をみても良く理解できます。韓国は、政府ぐるみでグローバル化を推進しましたが、内需を疎かにしたため、今はとんでもないことになっています。

いずれにしても、日米両国が中国の製造業などあてにしなくても、十分にやっていける時代が目前に迫っています。

そのせいもあってか、最近の中国、輸出入とも激減しています。この状況では、中国のGDPが米国なみになるなどとても考えられません。個人あたりのGDPでも、とても米国に比べられるような水準ではありません。

中国幻想はもう本格的に捨てるべきです。

なぜなら、アメリカの製造業の優位性もさることながら、中国自体にはもう何も優位性が存在しないどころか、劣位性ばかりが目につくからです。

過去の中国は、海外の資金を集め、国内のインフラ整備にあてることで経済成長を可能にしてきました。実際、インフラを整備すれば、需要が喚起され、経済も上向きましたが、もうこの手も通用しなくなりました。

今の中国は、完璧に不動産バブルが崩壊して、全国各地に人の住まない、巨大な高層住宅が林立しています。これを中国では鬼城と呼んでいます。

中国各地いたるところに林立する鬼城

住宅以外のインフラである、道路や、港湾、空港、その他のインフラを整備したとしても、もうそれで経済が飛躍的に伸びるということはありません。国内では、すでにインフラ整備で需要を喚起するのは不可能になりました。

そこで、中国は、国内の脅威の経済成長を今度は海外でということで、AIIBを設立して、海外投資を活発化させ、それで経済成長をしようと目論みましたが、中国にはインフラを建設するノウハウがあっても、それ以上のノウハウはありません。海外投資は、そんなに簡単ではありません。

実際、中国はアフリカ投資では、ほとんど大失敗です。実際不安定な商品価格や政情不安、失敗した投資の数々に懲り、中国の投資家らは大手国有企業が多額の資金を使って同国の海外進出の動きを推し進めた15年前ほど精力的ではありません。AIIBには日本とアメリカが参加しないため、資金を調達するにしても、金利が高くなってしまい、とても日米アジア開発銀行にはかないそうもありません。

中国のアフリカ投資はほとんどが失敗

そうなると、AIIBの海外投資もとてもうまくいくとは考えられません。

しかし、中国も本当は、過去の欧米や日本のようにさらに経済発展ができる見込みがあるにはあるのですが、中国は自らその道を塞いでいます。

どういうことかといえば、結局中国にはそのつもりは全くなく、過去の成功事例にしがみつく以外に能がないからです。もともと欧米は、数百年かけて経済的中間層を増やし、その中間層が経済・社会活動を活発にすることにより、世界の他の国にさきがけて経済発展しました。

日本は、高度経済成長時に、経済的中間層を増やし「1億総中流」などとも言われ、中間層が活発に経済・社会活動ができるようになったため、脅威の経済成長が可能になりました。日本はこれを数十年で実現しました。

鄧小平氏

しかし、中国では30年ほど前に、鄧小平氏が改革路線を打ち出し、「富めるものから富め」というキャッチフレーズのもと、先にも述べたように、海外の資金を大量に流入させて、対規模なインフラ投資を行い、それで急成長しました。そのため、中国では中間層は育たず、貧富の差が極端に広まりました。

しかし、この急成長も先に述べたように、不可能になりしました。次の手としては、やはり本来は、中国でも貧富の差を是正し、中間層を増やし、これらが経済・社会活動を活発にできるように、仕向けて、それをもって過去に欧米や、日本が成し遂げたような経済成長を目指すべきです。

しかし、中国の共産党政府にはそのような気はさらさらないようです。なぜなら、これを成就するためには、ある程度は、民主化、政治と経済の分離、法治国家化を実行しなければならないからです。

しかし、最近でも、このブログに掲載したように、中国では人権派弁護士が当局に拘束されたばかりです。その後も弁護士の拘束は続き、今で数百人レベルになったとさえいわれています。こんな状況では、中間層を増やすなどということはできません。

このブログには以前、"中国寄りの専門家さえついに唱えだした「中国大崩壊」の論拠"に関する記事を掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国寄りの専門家さえついに唱えだした「中国大崩壊」の論拠―【私の論評】ニッポン人中国スパイ、親中派、媚中派は速やかに転向せよ、そうでないと飯のくいあげになるぞ(゚д゚)!
デービッド・ジャンボー教授
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では中国寄りの専門家である、デービッド・ジャンポー教授が、中国の大崩壊を唱えだしていることを掲載しました。

この記事の内容と本日の上記の分析からみると、このままでは本当にもう中国に未来はありません。

このような分析をすればするほど、現代の中国には何も良いことがないことが理解できます。専門家でなくとも、こうして事実を掘り返してみると、本当にこれからの中国は、よほどのことがない限り、崩壊に向かって真っ逆さまと捉えるべきことが良く理解できます。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年8月2日日曜日

中国人“爆買いリターン”で狙われる「日本のセール」 各地に転売業者も ―【関連記事】貿易赤字を「悪」、中国人爆買いが日本経済を支えるなどと報道するマスコミには将来はない(゚д゚)!

中国人“爆買いリターン”で狙われる「日本のセール」 各地に転売業者も 

飽くなき購買欲。セールの主役は中国人になりつつある
上海市場の乱高下なんてなんのその。中国人観光客による常識外れの買い物「爆買い」が再び猛威を振るい始めた。円安、消費税免税に加え、日本での小売業界でのセールの季節が重なるためだ。早くも売り場の一部から商品がごっそりなくなった百貨店もあるという。純粋な個人利用での買い物もあるが、彼らのしたたかな商魂も透けてみえる。 (ジャーナリスト・奥窪優木)

全国の百貨店で開催されている夏のセールに出かけた方で、今年、ある異変に気付いた人はいないだろうか。セール開催中にもかかわらず、売り場ではセール品が不足していたのだ。

東京・新宿にある某百貨店の男性アパレル販売員はこう明かす。

「うちは毎年約2週間の予定でセールを開催するんですが、今年は2週目に入る前にセール品がほとんどなくなってしまいました。この現象はうちだけでなく、同じフロアに入る他の複数のブランドも同じことが起きていたようです」

その原因はずばり、隣国からの爆買い客だ。

「セール序盤から、去年の倍くらいの中国人が連日押し寄せていました。割引率の高いものから次々に手を取り、試着はほとんどせずにどんどん購入していくのが彼らの買い物の特徴。うちの価格帯は、セール除外の新作ジャケットでも5万円前後ですが、1人で数十万円分購入していく中国人も珍しくありませんでした。支払いはもちろん銀聯カードで一括支払いです」(同販売員)

上海市在住の知人の話によると、中国の旅行会社は最近『セール時期の日本で買い物しよう』といううたい文句のツアーを盛んに売り出しているという。急速に進んだ円安人民元高に外国人旅行者に対する消費税免税、そしてセールの割引分という相乗効果により、中国人にとっては「買えば買うほど得」といっても過言ではないという。

千葉県内のアウトレットモールに勤務する女性販売員によると、日本各地のセール会場には中国からの転売業者も紛れ込んでいるようだ。

「最近、セールのたびに同じ商品の全サイズとか、全色を購入されていく中国系のお客さんがよくいるんです。特に有名スポーツブランドの商品が、彼らのターゲットとなることが多い。買い方からして転売目的の業者でしょうね。そのせいで、一般のお客さんが買えなくなるのは不本意なのですが、だからといって断ることもできませんから…」

半期に一度の風物詩ともいえるセールだが、そのあり方は再考を迫られているのかもしれない。

【私の論評】貿易赤字を「悪」、中国人爆買いが日本経済を支えるなどと報道するマスコミには将来はない(゚д゚)!
中国人爆買に関しては、上の記事だけでは、情報として不十分です。これを補うため、以下の動画をご覧下さい(゚д゚)!



この動画をご覧いただければ、中国人が日本で爆買いしたからといって、日本や日本の企業がそう儲かるわけでもないことがよくお分かりになったと思います。免税店で外国人にだけ免税して販売するということも、これは逆差別であるといえます。

このようなカラクリ確かに、日本の報道機関はほとんど報道しません。爆買いによって、日本経済が発展するかのような馬鹿な報道を繰り返しています。何やら、日本のマスコミは未だに中国幻想に酔っているようです。

この現象に関しては、まともでない経済アナリスト等の方々は、あたかも日本経済の救世主のような扱いです、しかし、どちらかというとまともな経済学者の方々はあまり関心がないようですが、確かに経済的には微々たるものに過ぎないかもしれません。

中国人の多くは転売目的や役人への賄賂目的で爆買いをしていますが、それがどの程度かといえば、日本のGDPのうちどの程度を占めるかといえば、おそらく1%にも程遠いものだと思います。これに関しては、統計資料などないですから、なんともいえませんが、そもそも統計資料がないということ自体が無視しうるほどに小さいことの証であると思わます。

そもそも、今でも結構多くの人が勘違いしている日本の貿易立国などという幻想があります。これは、日本は資源が無い国なので、資源を輸入して、加工して輸出して儲けて国が成り立っているというものです。

こういう人たちは、日本おいてGDPに占める、輸出の割合を過大に評価しているようです。GDPのかなりの部分が輸出によるものであると勘違いしていて、輸出がダメになると日本は経済は落ち込むと考える人も多くいるようで、そういう人たちは、貿易赤字と聴くとすぐに、「大変だ」などと思ってしまいます。

しかし、現実には、日本においては輸出がGDPに占める割合は15%程度に過ぎません。20年くらい前までは、これかわずか8%程度でした。この割合、ドイツや中国だと、40%大でした。

GDPに占める輸出の割合が、15%ですから、それが中国向けということになるとどの程度かといえば、2%くらいなものです。輸出全体でこの程度ですから、爆買いがどの程度かといえば、ほんのほずかであり、おそらく、これらがあってもなくても、誤差未満というところだと思います。

しかし、日本の報道機関など、中国人の爆買いが日本の経済を上向かせる原動力にでもなるかのような報道ぶりでした。私からいわせると、あのような報道ぶりは馬鹿丸出しにみえました。

百歩譲って、小さな変化が大きな将来の大きな変化に繋がることがあります。これについては、このブログでも紹介したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。

又吉直樹さんが芥川賞を受賞 「火花」で―【私の論評】又吉さんのように「小さな変化に気づく人」になることがあらゆる分野での成功への近道だ(゚д゚)!

又吉直樹さん
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に小さな変化について関連する部分のみコピペします。
ドラッカーは、「未来を予測することなど誰にもできない。できるとすれば、すでに起こった未来(まだ、少数であるが、将来主流派になるような事象)をつかむか、未来を自分でつくる(長期計画で変化をおこす計画をたてて、そのとおり実施すること)である」としています。 
さて、ドラッカーのこの至言を実行するためには、時流をつかめなければ不可能だと思います。時流とは、直近の世相や、人々の変化と捉えるべきです。時流は過去と分断して、突然起こるものではありません。過去を知らなければ、時流を知ることはできません。時流を知ることができなれば、すでに起こった未来をみいだすことも、未来をつくりだすこともできません。
さて、中国人の爆買いは、日本経済にとっては、今のところ誤差の範囲内と言っても良いくらいの小さなものですが、ではこの「小さな変化」は、「すでに起こった未来」になり得るのかどうかを考えてみると、とてもじゃないですが、なり得ないです。

そもそも、これから中国の経済は停滞します。それは、このブログでも何度も掲載してきました。それに、中国では輸入が激減しています。それについても、このブログで掲載したことがあるので、その記事のURLを以下に掲載します。

中国:1月の貿易黒字は過去最高-内需の弱さ浮き彫りに―【私の論評】安倍政権批判のためには何でもする日本の敵マスコミ諸氏! 中国は貿易黒字で大躍進ではないのですか! 嘘つき日本マスコミの実体が良く理解できる記事(゚д゚)!
中国経済が、過去最大の貿易黒字であるにもかかわらず大変なことになっているとは驚き!

この記事は、今年1月のものです。この記事も詳細は元記事をご覧いただくものとして、中国の輸入がこの時点でどのようになっていたか、その部分のみ以下にピックアップして、以下にコピペします。
税関総署が8日発表した1月の輸入は前年同月比19.9%減少し、約5年ぶりの大幅減。ブルームバーグ・ニュースがまとめたアナリストの予想は3.2%減だった。輸出は3.3%減少(予想中央値5.9%増加)し、貿易黒字は600億ドルに達した。
中国では、輸入ががた減りだったため、輸出も減ってはいるのですが、減り方が相対的に少ないため、貿易黒字は過去最高になっていました。

この記事、日本のマスコミは日本が貿易赤字になると、なにやら鬼の首をとったように大喜びで報道する傾向があるので、その誤りを指摘するためにも当時掲載したものです。

貿易黒字とか、貿易赤字など、日本国の経済や、損得を決めるものではありません。赤字だから悪い、黒字だから良いということもありません。実際、このときの中国の状況は、輸入が激減したので、貿易黒字が過去最大になったということで、これは中国の経済が停滞して消費が鈍っているためであり、中国経済は窮地に陥っているということです。

この傾向は、基本的に今もかわりありません。いますぐではないにしても、数年後には、中国人が日本で爆買いして、中国にもって帰っても、転売先がなくなることが十分予測できます。

だから、現状は、日本経済全体から見ると、誤差の範囲内の中国人爆買いですが、それが将来大きな変化になって、日本経済を良くするなどということはほとんど考えられません。

そもそも、爆買いツアーによって、日本経済が好転するなどのことがあれば、中国内の輸入企業がそれを黙ってみているわけもありません。中国の輸入企業が、輸入枠をもっと増やすようにすると思います。

しかし、さすがに、輸入企業の場合は、事業としてそれを実施しているため、爆買いツアー客のように無計画な購買をするわけにもいきません。爆買いツアー客なら、電気炊飯器を、いくつも買って、それが転売できなかったにしても、自分の家で使えば良いし、余ったものも、家に在庫しておけば、現在使っているものが壊れて修理しても使えなくなった場合に使うことができます。

こんなことから、中国の人の「爆買い」は、どう考えてみてもドラッカーのいうような、「すでに起こった未来」にはなり得ないことが良く理解できます。

貿易赤字を「悪」、中国人爆買いが日本経済を支えるなどと報道するマスコミは、いかに「小さな変化」を分析することに疎いのか良く理解できます。

マスコミがこのように「小さな変化」を正しく分析できないということは、すなわち、このままでは将来はないということです。要するに、将来は潰れるということです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年8月1日土曜日

年金情報流出に中国軍が関与していた…日米タッグで大逆襲へ 文春報道―【私の論評】中国サイバー攻撃への日米協力は、我が国の集団的自衛権の行使に他ならない(゚д゚)!


週刊文春の最新号の表紙と、緊急特集の内容を伝えるサイトのバナー

日本年金機構の個人情報流出事件をめぐり、衝撃的な報道が飛び出した。警視庁公安部が、犯行グループが中国人民解放軍の事実上の傘下組織であることを突き止めた-とするリポートを、30日発売の「週刊文春」が掲載したのだ。米国では最近、中国政府傘下のハッカーらが関与したとみられる個人情報の流出が相次いでいる。安全保障関連法案の国会審議が進むなか、国民を守るためにも、日米両国のタッグを堅固にすることが急務ではないのか。

「人民解放軍が関係する組織が、日本の省庁にサイバー攻撃を仕掛けてくることは十分考えられる。日本と同盟関係を結んでいる米国が、中国と『サイバー戦争』状態にあるからだ」

アジア情勢に詳しい元公安調査庁調査第2部長の菅沼光弘氏は、こう警鐘を鳴らす。

習近平

菅沼氏の解説は後述するとして、文春が「衝撃スクープ」と銘打った、「『年金情報』流出犯は中国サイバー部隊!」という記事の概要は以下の通りだ。

警察は、不審なメールや通信について年金機構から相談を受けた今年5月当初、生活安全関係の部門が水面下で捜査に当たった。ところが、通信やメールの解析を進めるうち、中国のハッカーグループが浮上した。

捜査はスパイやテロリストを取り締まる警視庁公安部へと引き継がれ、外国情報機関からの情報も勘案した結果、グループの所在地が中国の上海など複数の都市であることを突き止めた。グループを実質的に運営しているのが、中国人民解放軍のサイバー攻撃部隊の「別動隊」だということも判明した-。

今回の事件に、中国系組織が関与している可能性は、以前から指摘されていた。日経新聞(電子版)も6月末、「一連のサイバー攻撃に新証拠 中国系組織が関与した」との記事を掲載している。

ただ、文春報道のように、犯行グループが単なる犯罪集団ではなく、人民解放軍系の組織だということになれば、事態は一気に深刻さの度合いを増す。前出の菅沼氏が続ける。

「中国が、米国へのサイバー攻撃の一環として、同盟関係にある日本に矛先を向けるのは、ある意味、自然なことだ。その場合、真の攻撃の対象は官邸や警察、防衛省などの省庁であり、日本年金機構を狙ったのは“予行演習”だと推測できる。日本のコンピューターシステムの脆弱(ぜいじゃく)なポイントを探ろうとしているのではないか」

実際、中国が絡むとみられる対米ハッカー攻撃は近年、激しさを増している。

6月には、米連邦政府の人事管理局のコンピューターシステムに何者かが不正に侵入し、約400万人分の政府職員や元職員の個人情報が流出した可能性があることが発覚した。今月9日には、他にも2150万人分の情報が盗まれていたとする同局の調査結果が発表され、サイバー攻撃の被害では「米国史上最大」(AP通信)となった。

米人口の実に約7%にあたる個人の情報が盗まれるという異常事態であり、人事管理局のアーチュレタ局長の引責辞任にまで発展した。

中国側は、自国の関与について否定しているが、ワシントン・ポスト紙(電子版)は、複数の米政府当局者の話として「中国政府傘下のハッカーたちによる侵入」と伝えている。前出の文春の報道によると、日本年金機構を狙った解放軍系組織は、米人事管理局の流出事件でも「第1容疑者の中に含まれると断定された」という。

サイバー問題は「米中間の最も深刻な懸案の1つ」(米国務省高官)と位置づけられており、両国の対立は深まるばかりだ。オバマ政権は、一連のサイバー攻撃を中国によるスパイ活動の一環とみており、ワシントンで6月に開かれた閣僚級の「米中戦略・経済対話」でも、両国はサイバー問題について主張をぶつけ合った。

こうした事態を踏まえ、米国は日本との協力態勢の整備を急いでいる。今月9日には、日本政府との間でサイバー空間をめぐる課題を討議する対話を近く開くことを明らかにした。

日米両政府は2013年から「日米サイバー対話」を定期的に開催しており今回で3回目。これまでも、サイバー攻撃は安全保障上の脅威だとの認識を共有し、防護策を議論してきたが、今回は新たに日本年金機構の事件も議題となりそうだ。

菅沼氏は「サイバー攻撃は、まさに『現代の戦争』だ。日米が協力し、情報共有などを進めていかなければならない。協力関係をアピールすることは、中国に対する牽制にもなる」と語っている。


【私の論評】中国サイバー攻撃への日米協力は、我が国の集団的自衛権の行使に他ならない(゚д゚)!

中国がサイバー軍に力を入れていることは前々から知られていることです。中国がサイバー攻撃などの予行演習をしているのは既成事実と言って良いでしょう。

これについては、このブログでも随分前から警鐘を鳴らしてきました。それに関する記事のリンクを以下に掲載します。
中国発のサイバー攻撃は「重大なターニングポイント」--マカフィー幹部が言及-情報統制をする中国共産党に未来はない?!


この記事は2010年1月のものです。上の動画もその当時この記事に掲載したものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この動画などご覧いただいただけでも、中国が結構前から、サイバー戦に力を入れていることはご理解いただけるものと思います。

この動画をご覧いただければ、この当時から日本も中国により、ネットの情報統制が行われていることは、明らかでした。

そうして、今後は情報統制だけではなく、サイバー攻撃を仕掛けていることは明白になりました。今後もっと大規模な攻撃を仕掛け来ることになるでしょう。

なぜ、中国がサイバー戦に力を入れるかといえば、軍事技術が圧倒的に劣っているからです。どうしようもないほど劣勢です。これについても、以前このブログに掲載したことがあります。その代表的なもので最新の記事のリンクを以下に掲載します。
【世界を斬る】中国に米国と戦争する能力はまったくない 空でも海でも餌食になるだけ ―【私の論評】人民解放軍は日本の自衛隊にも勝てないレベル、それどころか軍拡によりソ連崩壊の二の舞いになる可能性も(゚д゚)!
中国の最新鋭戦闘機「殲31」。ステルス機といわれているが、ステルス性も低く、
実質上第三世代に属するものとアメリカの軍事筋がレポートしている
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、中国の軍事力ならびに軍事技術力はあまりにも劣勢であるため、アメリカと戦争をした場合、地域戦争や総力戦など戦争にもいろいろ種類がありますが、いかなる戦争をしたとしても、中国に全く勝ち目はありません。もし、戦争をすれば中国は惨敗することでしょう。

中国の今の実力では、小国ロシア(日本のGDPの1/5、今やインド以下)にも勝てる見込みはありません。そうして、結論からいうと、条件付きで今の中国実力では日本の自衛隊と戦争しても勝てる見込みは全くありません。

その条件とは、核兵器は使わない、日本が中国本土に侵攻しないというものです。また、日本は、法律の縛りなどなく、中国を相手に何でもできるという条件のもとです。

中国が海軍力を増強しつつあるとはいっても、空母遼寧は単なるボロ船に過ぎません。他の艦艇も、潜水艦も、中国では新造船かもしれませんが、日本や米国では数十年前の技術のものであり、とても現代の海戦には使えるものではありません。

軍事力では、アメリカの足元にも及ばず、総力戦以外の局地戦では日本にも惨敗してしまう状況です。なぜ、こんなことになるかといえば、あまりにもすべてにおいて、日米に軍事技術を含めたすべての技術力に劣るからです。そのため、膨大な軍事費を費やしても、ボロ船、ボロ航空機、ボロ戦車、ボロ軍隊、ボロレーダーしか持つことができないからです。

なぜこのようなことになるかといえば、たとえ軍事技術を日米からサイバー戦などで盗んできたとしても、それですぐに日米と同程度の兵器を作れるようになったり、軍事技術と同等になれるかというと、そんなことはないからです。

日米の軍事技術など、何十年もかけて培ってきたものであり、軍事技術を支える他の技術や、ノウハウなどを持ってい泣けば、容易に追いついたり真似したりできないからです。

実際、中国やロシアも、日米などが第二次世界大戦前から持っていた空母から航空機を飛ばす蒸気カタパルトを製造することができません。その他、軍事的に転用がきく民間産業の技術力もかなり劣っています。

中国そうして過去のソ連は、軍事技術力では日米に到底及ばず、そのため能力的に遥かにおとる兵器を生産しても、日米においつくことができず、それが国力を弱める原因ともなっていました。

しかし、サイバーは違います。比較的新しい分野ですから、中国もこれから追い上げることができます。今のところは、あまり技術水準が高いとはいえないですが、中国には日米より有利な部分があります。それは、特に中国国内では、中国共産党の意のままに、情報統制や、サイバー攻撃ができるからです。これは、実戦経験として多いに役立つし利用できるものと考えられます。

ただし、日米の場合は、ハッカーなどの裾野がかなり広いし、深いですから、この戦いは通常の兵器などによるものと違い、互角の戦いになる可能性が高いです。

国家間のサイバー攻撃を可視化「Norse IPViking Live」の画面

こんなときに、集団的自衛権が違憲などということを言っていては、日本は遅れをとります。まさに、中国に何をされるかわかったものでありません。

最近、憲法解釈の変更による限定的集団的自衛権の行使を含む、安保法制は衆院を通過したものの、これを強行採決とか、違憲とかはなはだしいのになると、「戦争法案」などとするむきもあります。

昨年時点では、集団的自衛権など賛成派がほとんどだったのですが、最近は憲法学者なども違憲などという摩訶不思議な理屈で、騒ぎ立てるものですから、多く人が幻惑されています。

実際、昨年時点でのアンケートなどみると現状とは、全く違います。これは、昨年このブログに掲載した記事をご覧いただければ、ご理解いただけるものと思います。以下のその記事のリンクを掲載します。これは、昨年5月の記事です。
集団的自衛権、71%が容認 読売調査―【私の論評】集団的自衛権は世界の常識、今までが非常識であったと認識すべき(゚д゚)!
集団的自衛権に関する「政府の基本的方向性」を表明した安倍総理大臣
この時点では、賛成派が71%もあったのに、現状は酷いものです。やはり、憲法学者が違憲と騒いだのが効いていると思います。

しかし、「違憲の疑いがある」などの判断ならまだ理解できますが、このブログで過去に掲載してきたように、はっきり「違憲」と言ってみたり、ましてや「戦争法案」などとするのは、全く根拠薄弱なとんでもない大嘘です。

昨日のこのブログに掲載したように、私はいずれこれらに対して安倍総理による壮大なちゃぶ台返しが始まると思います。

そうでなければ、日米合同による中国サイバー攻撃による対処が困難になってしまいます。これができなければ、かなりの脅威です。これに限らず、集団的自衛権を違憲とすることは、日米の軍事協力は全部違憲ということになります。無論、日本に米軍基地を置くことも、違憲です。そんなバカな話は、憲法上も全く根拠が薄弱です。

私は、そう思います。皆さんは、どう思わますかか?

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2015年7月31日金曜日

緊急特番!安保法制を語る 第1回 「安保法制の大事な論点。そして、辻元清美。」―【私の論評】いずれ壮大なちゃぶ台返しが始まる!馬鹿とスパイを見定める、絶好の機会か(゚д゚)!




集団的自衛権は一貫して行使を禁止されてきたのでしょうか?
辻元清美氏の誘導尋問を山村先生が発見!

【私の論評】いずれ壮大なちゃぶ台返しが始まる!馬鹿とスパイを見定める、絶好の機会か(゚д゚)!

さて、上の動画をご覧いただくと、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使は、違憲でもないし、歴代の内閣が解釈を変更してきたし、安倍内閣だけが、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使ができないなどということは全くあり得ないことがわかります。

この動画でコメンテーターをしている倉山満氏は、この動画のずっと以前からこれについて語っていました。その記事を以下に引用させていだきます。

この動画と、この記事をご覧いただければ、安倍内閣が憲法解釈による限定的な集団的自衛権の行使に踏み切ることは、合憲であり、安倍内閣が例外ではなないことが良く理解できるものと思います。


マズすぎる安倍内閣の憲法議論 法制局の大ウソに挑むのは戦略ミス

倉山満氏
 ★ニュースディープスロート 倉山満氏 
 ◆なぜ安倍内閣にだけ解釈変更が許されないのか 
庇いようがない大失態だ。6月4日、衆議院の憲法審査会は、参考人として3人の識者を招いた。現在審議中の集団的自衛権の行使を可能にする安保法案に関し、意見を聞くためだ。野党推薦の参考人はともかく、自民党推薦の長谷部恭男教授までが、「本法案は憲法違反である」と断言した。さらに同日の菅義偉官房長官が記者会見で「合憲だという著名な憲法学者はたくさんいる」と言い切ってしまい、傷口を広げた。日ごろは慎重な発言の菅長官だが、今回ばかりは迂闊の謗りを逃れられまい。自民党は、「憲法九条を世界遺産にしよう」などと主張する爆笑問題との共著もある長谷部教授に、何の疑いも抱かなかったのか。どうやら、特定秘密保護法成立に協力してくれたので、油断したらしいが。 
 しかし、この一事が問題ではない。安倍内閣は憲法論議の仕方が、一事が万事マズすぎるのだ。 
 最大の点を挙げる。メディアでは、「戦後一貫した憲法解釈を守ってきた内閣法制局」と「それを変えようとしている安倍内閣」との構図で報道されている。この構図を受け入れている時点で安倍内閣の大きな戦略ミスである。こんな戦い方では内閣法制局は安泰だ。 
 実は、内閣法制局の憲法解釈など、歴代内閣ごとに変わっているのだ。代表的な例を挙げよう。憲法制定時の吉田茂内閣は「自衛も含めて、すべての戦争を放棄します。もちろん軍隊を持ちません」と宣言したが、朝鮮戦争が起きるや、警察予備隊~保安隊~自衛隊を創設した。鳩山一郎内閣では「敵のミサイル攻撃を座して待つつもりはない。敵基地攻撃は自衛の範囲だ」と幅を広げる。岸信介・池田勇人内閣では核武装まで容認し、集団的自衛権の行使など自明であった。そもそも、日米安保条約など、集団的自衛権を行使するための条約ではないか、という理解が当たり前だったのだ。 
 朝鮮戦争勃発から池田内閣までの解釈をすべてひっくり返したのは佐藤栄作内閣の高辻正己長官である。法制局がのたまう「戦後一貫した憲法解釈」など、せいぜい佐藤内閣・高辻長官以来の話にほかならない(詳しくは、樋口恒晴『平和という病』ビジネス社を参考。それでも、その後も解釈変更は繰り返されたが)。 
 ■日本国憲法など守る価値も変える価値もない
そもそも、在日米軍への基地提供や湾岸戦争での資金供与は集団的自衛権の行使であり、日本は中立国などではない。アメリカの戦争に協力している交戦国なのだ。既に行使しているものを「行使できないのです」と大ウソをついている内閣法制局に、「これから行使するのだ」と挑む安倍内閣の手法こそ問われるべきだ。 
 戦後レジームからの脱却とは日本国憲法の条文をいじることではない。だいたい、解釈改憲で核武装が可能なのだから、これ以上、何を望むのか。もはや日本国憲法など守る価値がないのだから、変える価値もまたない。 
 安倍内閣は正面から堂々と「お前らの解釈はコロコロ変わってきた。安倍内閣にだけ解釈変更が許されない根拠を言ってみろ」とぶつければよいではないか。 
 さて、その覚悟があるか。 
 ◆与党推薦の憲法学者も安保法案は「違憲」と明言 
集団的自衛権行使を可能にする安保法案について、衆院憲法審査会に参考人として呼ばれた自民推薦の長谷部恭男教授ら憲法学者3人全員が「違憲」と明言。墓穴を掘った格好となった与党は菅官房長官が火消しに動いた(写真/時事通信社)

以上の動画と、倉山満氏の記事をご覧いただければ、最初に述べたように、安倍内閣による憲法解釈による集団的自衛権の限定行使は、全く合憲であり、安倍内閣だけがそれをしてはいけないなどという考えは、全く成り立たないことが良くわかります。

これについて、倉山満氏は安倍政権の戦略が全くなっていないと批判しています。確かに、そうかもしれません。

ただし、良いこともあると思います。上の事実が、国民の多くに知れ渡るところになれば、何が起こるかを考えてみれば良く理解できます。

まずは、大方の憲法学者の馬鹿さ加減が国民に良く周知されることになると思います。大方のマスコミも、とんでもない報道をしていることが、周知されることになります。そうして、野党のほとんども、どうしようもないほど酷く劣化していることが白日のもとに晒されることになります。

これらは、すでに多くの国民が理解済みのことなのですが、全く理解していない人々もまだ大勢います。だからこそ、安倍政権の支持率が下がっているのだと思います。

安倍政権は憲法改正も視野に入れています。憲法改正となると、多くの反対勢力がもっともらしく好き勝手な御託をならべて、これを阻止しようとするのは必定です。

しかし、今回の安保法制改正の論議よって、このような勢力のあらかたが浮かび上がってきました。

憲法学者、政治学者、官僚、マスコミなどの多くが反対勢力であることははっきりしました。そうして、彼らの弱点も白日のもとにさらされました。

いずれ、過去の歴史、それも大昔ではなくはっきりと動画や音声も含めた記録が残っている現代史が示すように、安倍政権による憲法解釈による集団的自衛権の限定的行使などに屁理屈で異を唱える勢力に対して、安倍総理の壮大なちゃぶ台返しがはじまると思います。


多くの国民のもとに、憲法学者、マスコミ、野党の完璧に誤った認識が白日のもとに晒されことになります。単なる馬鹿はもとより、中国スパイなども白日の元に晒されることになると思います。

そのときには、これらの連中の権威は、地に落ちることになります。国民のほとんどが、振り向かなくなるとと思います。雨降って地固まるのことわざの通り、集団的自衛権の限定的行使はもとより、改憲論議などかなりやりやすくなることになります。

昨年の12月には、10%増税見送りを公約として、解散総選挙を行い勝利した安倍総理です。これは、マスコミが「大義なき解散」などとして報道しましたが、戦後はじめて、総理大臣が財務省(大蔵省)にたてついて、勝利したおさめた事例となりました。官僚は、安倍政権の今後の出方に戦々恐々としていると思います。多くのマスコミ、野党、学者らが思っているいるほど、安倍総理は御しやすい相手ではありません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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京都学派の憲法学者、佐々木惣一氏の書籍で現在アマゾンで入手できるものと、佐々木惣一氏を紹介した倉山満氏の書籍を以下にチョイスさせていただきました。佐々木惣一氏は、憲法9条は、国の防衛戦争まで禁じているわけではないと主張しています。

憲政時論集〈1〉 (日本憲法史叢書)
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憲政時論集〈2〉 (日本憲法史叢書)
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2015年7月30日木曜日

本日は所要で函館まで来ていますので、いつもの記事はお休みさせていただき函館の写真を掲載させていただきます(゚д゚)!

 本日は所要で函館まで来ていますので、いつもの記事はお休みさせていただき函館の写真を掲載させていただきます(゚д゚)!


そのかわり函館の風景などの写真を掲載させていただきます。明日からまた、通常の記事を掲載いたしますので、よろしくお願いします。

五稜郭タワーからパノラマ写真です クリックすると拡大。以下同じ。
上の写真五稜郭公園が大体全部収まっています。パノラマ写真でないと全部は収まりません。



上の写は、五稜郭タワーから函館山方面を写したものです。当日は雲海があったので、残念ながら海は見えませんでした。函館山が雲海に浮かんで見えます。



昨夜撮影した函館山からの夜景です。 10時過ぎに行きましたので、若干ショーアップの光がせ消えて寂しいですが、それでも良く見えました。



函館山頂上から見た、月とイカ釣り船の光です。写真ではなかなか再現できませんが、なかなか幻想的な風景でした。


昨日夜10時過ぎの函館山駐車場です。平日だというのに結構車がとまっていましたが、ロープウェイは止まっていましたので、展望台そのものはスカスカでした。無論展望台の建物は閉まっていました。

ブルームーン号

本日は、時間的にも余裕があったので、ブルームーン号にのりました。


ブルームーン号から写した、函館山です。


本日は、たまたまイージス艦のような自衛艦も見ることができました。これってイージス艦なのでしょうか。詳しい方がいらっしゃったら教えて下さい。


その他以下に、金森倉庫近辺の写真を掲載します。









2015年7月29日水曜日

元来、リスク背負っている自衛隊 「リスクの有無」議論は失礼 ―【私の論評】もともとリスクのある自衛隊員にも天皇陛下の勲章を(゚д゚)!


軍事ジャーナリスト 桜林美佐さん

「England expects that every man will do his duty(=英国は各員がその義務を尽くすことを期待する)」

トラファルガー海戦における英国ネルソン提督のこの言葉は、決戦に臨む兵士たちを鼓舞しただけでなく、英国民にも「国民としての義務」を意識させることにつながったと前回書いた。

それは、イザとなれば一般市民が竹やりを持って戦うといった次元の話ではない。自分がどのような態度をとれば国のためになるのか、賢明な振る舞いによっても十分に果たせることだろう。

安全保障関連法案をめぐる小競り合いの傍らで、中国は南・東シナ海で何をしていたか考えれば答えは明らかだろう。報道各社も、低次元な論調に律義にくみすることで、自ら質の低さを露呈してほしくないものだ。

ネルソン提督の記念メダルに関する逸話を思い出したのは、安保論議において、本来は同時に検討すべき自衛官たちの処遇についてほとんど取り上げられないからだ。

常に述べているが、彼らは「事に臨んでは危険を顧みず…」と服務の宣誓をしている。リスクがあるかないか、広がるかそうではないかなどという言い方は失礼だ。

熱中症で死亡者が出るような猛暑でも、自衛官は通常の任務に就いている。「外出は控えましょう」といわれる悪天候の中でも出動している。「海外で殉職したら、国内で殉職するより重い」という意見も聞くが、自衛官の命に軽重はないし、任務によって差別すべきではないと私は考えている。

もともと、リスクを背負っている自衛隊なのである。今後は活動件数や人員が増える可能性に伴い、リスクを背負う「数」が増加すると認識すれば、それで誰もが納得できるのではないか。

「リスクの有無」議論は、自衛隊を知る者にとってはバカバカしくて聞き流していた。だが、ネルソン提督の勲章へのこだわりと重ね合わせると、「もしかして、相応の手当などをケチるための方便ではないか」などと、うがった見方が頭をよぎってしまった。

そんなことはないと信じたいが、これまでも日本では、国として現役自衛官に勲章を与えていない。どんな国でもその功績に対し授与するのが常識だが、自衛官には防衛省が独自に作った「防衛功労賞」と、その略章の「記念章」しかない。

普段はそれでもいいが、問題は礼装をしなければならない外国の公式な場でのことである。


【私の論評】もともとリスクのある自衛隊員にも天皇陛下の勲章を(゚д゚)!

上の記事で桜林さんが述べているように、自衛隊員のリスクがどうのこうのという指摘は、何を今更という思いがします。もともと、リスクを背負っていることははっきりしています。

国会て野党が、集団的自衛権を行使すれば、自衛隊員のリスクは高まるのではないかという懸念を表明していましたが、今更何をいうのでしょうか。

元々日本の野党は、従来は自衛隊そのものが違憲だとしていたのではないですか?それどころか、終戦直後においては、日本の首相そのものが、「自衛隊日陰者発言」をしていました。

それについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。

首相 防衛大卒業式で訓示「安保法制整備進める」―【私の論評】時代が変わった!防大卒業式第一回目の訓示は吉田首相による「日陰者」発言だった!このような理不尽は二度と繰り返すな(゚д゚)!

昭和32年2月防衛大学校第1回卒業式にて訓示をする当時の吉田首相
 詳細は、この記事をご覧いただくものとて、第一回防衛大学校の卒業式の訓示における、当時の吉田首相の「自衛隊日陰者」発言の部分のみを以下に引用します。
「君達は自衛隊在職中、決して国民から感謝されたり、歓迎されることなく自衛隊を終わるかもしれない。きっと非難とか誹謗ばかりの一生かもしれない。御苦労だと思う。しかし、自衛隊が国民から歓迎されちやほやされる事態とは、外国から攻撃されて国家存亡の時とか、災害派遣の時とか、国民が困窮し国家が混乱に直面している時だけなのだ。
言葉を換えれば、君達が日陰者である時のほうが、国民や日本は幸せなのだ。どうか、耐えてもらいたい。」 
(吉田茂 昭和32年2月、防衛大学第1回卒業式にて)
今では、ほとんど信じられないような発言です。この当時は、まだまだ、米国も、日本を弱体化させたままにしておき、二度と米国に歯向かうことができないようにすべきという考え方が主流だったし、さらには当時の米国は、経済的にも軍事的にも名実とも世界の超大国であり、現在とは、比べ物にならないほど強力でした。

だからこそ、このような発言になったものと思います。しかし、時代の変化とともに、自衛隊に対する考え方も変遷していっています。今では、自衛隊が非合法とか、違憲という語る人はいません。

そうして、今から4年ほど前の東日本大震災のときには、自衛隊の救援活動や、行方不明者捜索活動により、一般国民の評価が非常に高まりました。

2011年4月11日、宮城県気仙沼市で津波の被害者に黙とうをささげるため整列する自衛隊員
被災地の方々の中には、今でもあのときの自衛隊に対する評価が高いです。自衛隊を日陰者とする見方は、このあたりを境として、もはや日本では完璧に払拭されたと思います。

 このように、自衛隊に対する見方や、解釈なども世の中が変わると、変わってくるのが当然のことです。今の日本は、世界の常識からするとまだまだ、異常です。

そもそも、日本国内のどの都市に行っても、軍隊の行動が目に見えません。戦後の日本人は、これを当たり前と思っていますが、そんなことはありません。街中を軍隊が、移動したり、場合によっては、警護のために出動しているなどということもあります。

そんなわけで、世界中の多くの都市で、軍隊の姿をみることはあまり珍しいことではありません。

吉田首相のような発言をする、総理はもう日本には存在しません。これからも、出現することはないでしょう。野党も、マスコミももう自衛隊が日陰者であるかのよう発言はしないことでしょう。

このこと自体が、マスコミや、野党や、憲法学者などが、時の政府が安全保障に関する憲法解釈を変えてはならないという前提が根底から間違っていることを如実に示していると思います。

「違憲」、「戦争反対」、「安倍辞めろ」などと連呼している人々は、この事実をどうとらえるのでしょうか。

歴代の政権が、憲法学者が、内閣法制局が、民主党政権時代も含めて、安全保障に関する憲法解釈を変えてきたことは、事実です。しかし、多くの人々は、なぜか安倍政権だけが、それを変えてはいけないなどという、とんでもない主張をしています。

かつての軍人は国の勲章が授与された

こんな理不尽なことが許されるわけがありません。こんな理不尽いいい加減にやめにして、まともな安全保障を論議すべきですし、それとともに、リスクある仕事に志願して、就いている自衛隊の仕事にもっと光をあてるべきです。

上の桜林さんの主張にピンとこないかたもいらっしゃるかもしれないので、ここで念押しをしておきますが、自衛官には防衛省が独自に作った「防衛功労賞」と、その略章の「記念章」は、あくまで、防衛大臣が授与するものです。国の勲章とは天皇陛下が授与するものです。両者の間にはその重みに、天と地との差があります。名誉ということでは、天皇陛下からいただく勲章のほうが、はるかに重みがあります。

郵便局に長い間勤めて、風雪に耐え長年郵便配達してきた人にも国の勲章が授与されることがあります。しかし、場合によっては生命の危機に晒されながら、任務を全うする自衛官には、どんなに素晴らしい勲功があっても、国の勲章が授与されることはありません。

国として現役自衛官に勲功があっても、勲章を与えていないというような、こんな馬鹿なことをいつまでも続けるべきではありません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われまますか?

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本日は、桜林美佐さんの書籍を以下にチョイスさせていただきました。


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2015年7月28日火曜日

自民特命委、河野洋平氏と朝日新聞を“断罪” 慰安婦問題で提言最終案を策定―【私の論評】日本ではなぜか追求されない官僚の責任も問われなければならない!慰安婦問題も例外ではない(゚д゚)!





慰安婦問題をめぐる間違った認識が世界に広まっている問題で、河野洋平元官房長官と、朝日新聞が厳しく“断罪”された。自民党の「日本の名誉と信頼を回復するための特命委員会」(委員長・中曽根弘文元外相)が策定した、同問題をめぐる提言の最終案に記されていたのだ。最終案の内容は、産経新聞が28日朝刊で報じた。

河野氏は1993年、「河野談話」を発表した後、政府の共通認識を踏み外して「(強制連行の)事実があった」と発言した。朝日新聞は、吉田清治氏の虚偽証言に基づく一連の大誤報を30年以上も放置した。

提言は、河野氏と朝日について「事実に反する認識を韓国をはじめ国際社会に広めた大きな原因になった」とし、「重大な問題だ」と非難した。

韓国や米国で進む慰安婦像や碑の設置については「著しく日本の名誉を毀損し、国益を損なうものとして看過できない」と指摘した。

米国の公立高校で使われる教科書に「日本軍は14~20歳の約20万人の女性を慰安所で働かせるために強制的に募集、徴用した」などの記述があることについては「教科書などで虚偽を教えて、いたずらに日本の名誉を毀損することは許されることではない」と批判した。

自民党は28日の党総務会で提言を正式決定し、安倍晋三首相に提出。政府に日本の立場、取り組みなどの発信を強化するよう求めるという。

【私の論評】日本ではなぜか追求されない官僚の責任も問われなければならない!慰安婦問題も例外ではない(゚д゚)!

さて、上記の記事を読んだ限りでは、河野洋平氏の責任や朝日新聞の責任については語られていますが、全く外務官僚などの責任には言及されていません。これは、著しくバランスを欠いていると思います。

河野談話に関する、官僚の責任にも言及している動画を以下に掲載させていただきます。


この動画は、昨年4月のものです。詳細は、この動画をご覧いただくものとして、この動画の内容を以下に簡単にまとめます。

西岡力氏
 この動画は、西岡力氏との対談ですが、西岡氏はこの中で怒っていました。政府が昨年4月20日、衆院予算委員会に提出した「河野談話」の作成過程を検証した報告書の内容について「検証されるべきことが検証されず、自己弁護ばかり考え、日本の名誉を守ろうしない外務官僚の顔が浮かんできた」と憤りを隠しませんでした。 
 櫻井キャスターは「河野さんの罪はもの凄く深く,国会喚問すべきで、この資料を出した外務省、谷野作太郎元外政審議室長も国会喚問すべきだ」と応じました。櫻井キャスターと西岡氏は、検証報告書に書かれた内容のどこが問題なのか、何が書かれなければならなかったのかを検証する作業を行いました。 
 拉致問題の動きが早まっています。7月1日に北京で日朝局長級協議が開かれますが、何らの保証、確証があるのでしょうか。北朝鮮が拉致調査を開始したと言い、名簿を見せれば日本は制裁の一部を解除することになりかねません。西岡氏は外務省が安倍総理にどんな報告を上げているのか、裏で相当な勝算が無ければ危険すぎる瀬戸際勝負だと指摘します。日本の持っているカードはあるのでしょうか。
さて、この動画をご覧いただけば、ご理解いただけるものと思いますが、この問題にもやはり外務官僚が大きく関与しています。西岡氏は、谷野作太郎元外政審議室長の見苦しい自己弁護に対して怒りを顕にしているのだと思います。

谷野作太郎元外政審議室長

そもそも、谷野氏は、河野談話見直しに反対しています。河野談話見直し反対論にも二種類あります。一つは、良いものだから撤回してはいけないという意見と、何がなんでも改「正」させまいというグループです。

憲法問題で言えば、平和憲法の理想を何が何でも変えたくないという派と、日本政府が軍国主義復活を目論んでいると触れ回るようなナンセンス型(何がなんでも反対型)です。後者については、外国の反日グループと結びつくものです。慰安婦問題も同じ構図に陥っています。

これをさらに複雑化しているのは、何がなんでも型の中には共産党のように強制連行説の拠り所として河野談話を死守しようとするグループがいる一方で、小川敏夫のように談話には強制連行があったとは書いていないのだから見直しの必要はないというレトリックを使う者がいるということです。



谷野作太郎は、小川議員と同じく、河野談話を批判する人は「談話に書いていないところ(強制連行の有無)まで内容を膨らませ、その点を批判している」と牽制しますが、両者とも「書いていないところまで」内容を膨らませられた河野談話が日本叩きに利用されている状況が先にあることを省いています。

谷野作太郎はまた、朝鮮人の娘が警官や兵隊の監視下で泣き叫びながらトラックで連れ去られたのを目撃したという話(慰安婦の話ではない)を韓国人の友人から聞いたと言っている。これが彼の意識形成そして河野談話にもに影響したようですが、いっぺんアン・ビョンジク教授あたりに事実確認をしてもらった方がいいのではないでしょうか。

谷野は、小川とは、異なり河野談話の直接の関係者であったので、このような見苦しい自己弁護をしているのだと思います。

さて、ブログ冒頭の記事においては、河野氏の責任追及については言及されているものの、谷野氏をはじめとする、河野談話作成に関わった官僚の責任には全く言及されていないようです。

日本においては、何か政治的な問題があるとその背後には必ずといって、官僚の存在が垣間見えます。

デフレの最中の金融引き締めという明らかな間違いは、日銀官僚にも大きな責任があります。8%増税は大失敗でしたが、これには財務官僚にも大きな責任があります。最近の、安保法制の審議の混乱には、内閣法制局にも大きな責任があります。

内閣法制局の憲法解釈など、歴代内閣ごとに変わっていますが、メディアは、「戦後一貫した憲法解釈を守ってきた内閣法制局」と「それを変えようとしている安倍内閣」との構図で報道されている。



このように、日本で大きな問題があると、その背後には必ず官僚の姿が垣間見えます。官僚は選挙などの民主的手続きで選ばれるわけではありません。役人は役人です、彼らはもともと、政治家のように日本国全体の利益を考えるべき存在ではなく、省益や、面子、自己弁護で動くのが当たり前と考えるべきです。

このような官僚が、日本の財政や、金融政策、違憲合憲の判断をするべきではないし、もしそのようなことをすれば、その責任を問うべきです。

それと同じく、河野談話に関わった官僚の責任も追求すべきです。そうでなければ、著しくバランスを欠くことになりますし、日本の大きな問題の背後に見え隠れする官僚の責任は永久に追求されることがなくなってしまいます。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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