首相の「地元」民主惨敗 西東京市議選
26日に投票された西東京市議選(定数28)で、7人を公認した民主は現職4人が落選し、議席数を5から3に減らす惨敗となった。統一地方選の前哨戦として注目された選挙で、菅直人首相のおひざ元での敗退とあって、民主への逆風を強く印象づけた。
今回の市議選では、各党が統一地方選の行方を占う選挙と位置づけ、党首級が次々と地元に乗り込んだ。中でも民主は、同市が中選挙区時代の菅首相の選挙区に含まれていたこともあり、選挙期間中は菅首相の妻伸子さんや、蓮舫行政刷新担当相らが続々と応援に駆けつけた。
だが、結果は惨敗。現職5人と新顔2人を公認したが、議席獲得は現職1人、新顔2人にとどまった。
これに対し、自民は公認7人と推薦2人のうち、公認1人を除く8人が当選した。
公明は6人、共産は4人が当選。民主と会派を組んでいた社民は議席を失う一方で、みんなは現職1人を含む3人全員が当選した。西東京・生活者ネットの当選者は2人、無所属は4人だった。
選挙前から、民主の現職議員らは、国政の逆風が吹く中、都連が新顔2人を公認したことに疑問や不安を募らせていたが、それが的中した。5人の公認候補全員が当選した前回の総得票数は1万629票。7人の今回は9442票と約1200票減らしたうえ、各候補に票が分散した。
党の市支部副代表を務める二木孝之氏は落選。「新人を2人立てたので前回より自分の票が減ることは予想していたが、思った以上に逆風が厳しかった」と振り返った。森信一氏も議席を失い、「国政に対する批判の影響もあったと思う」と肩を落とした。(菅野みゆき)
◇「国政への不満を反映」民主都連
「大変厳しい結果だ。国政に満足していない有権者の思いが反映された」。民主党都連副会長の大沢昇都議は27日、支持率低下が続く政権運営が西東京市議選の惨敗につながったとの見方を示した。
多摩地域のある都議は、尖閣諸島や小沢一郎元代表の「政治とカネ」など、同党が直面する問題を踏まえ、「有権者が背を向ける原因は多岐にわたる。根本的な解決策が見つからないのが一番の問題」と話す。
「外交が任せられない」「政治とカネの問題がおかしい」「子ども手当は全額支給されないのか」……。西東京市議選の応援で市内を回った際、有権者の批判が相次いだという。
都連は10月の都連大会で、以後の都内の区市町村議選について、「定数の4分の1以上の議席獲得」を目標に掲げた。だが、政権支持率に好転の兆しが見えない中、西東京市議選では定数28人に対して公認7人を擁立しながら当選は3人にとどまった。
都連幹部は「多くの候補者を立てても共倒れになっては仕方がない。戦略見直しが必要かもしれない」と漏らした。
【私の論評】なぜ政治不在でも、日本の社会はかくも安定しているのか?ニッポン人の大きな忘れ物?
今回の市議選は、まさに、昨年の政権交代の前のいろいろな都議会、市議会、県議会の選挙を彷彿とさせます。無論、与党と野党が入れ替わっています。しかし、わずかの期間でこれほどの激変です。多くの人は、あまり気にもとめてもいないようてすが、これはとてつもないことです。
二大政党の国で、二つの政党が交代しているだけなら、あまり混乱しないのも理解できますが、そうではない国の場合、とてつもないことになるのが普通です。普通の国なら場合によっては、ゼネストなどが多発したり、混乱や暴動、内乱になる場合だってあります。
ハング・パーラメントによる二大政党制の危機もあったイギリスの先回の選挙の結果保守党が返り咲得ていますが、その後イギリスでは、経済も不振ですし、学費値上げに反対する学生の大規模なデモが話題になっていました。
政治の世界がこんなに激変しているのに、日本の社会はそうでもないです。確かに経済はふるわないですが、日本の円は高い傾向にあります。円高の理由はいろいろありますが、それでも、円高ということは、日本国内ばかりではなく、外国も日本の円が安全だとみていることに他ありません。これには、日本の社会の安定性が随分寄与してるものと考えます。これに関して、
山崎元氏が、ダイヤモンド・オンラインで『
政治不在は日本の「強み」の表れかも知れない』というタイトルで、執筆されていました。詳細は、その記事そのものを見ていただくものとして、その結論部分のみ下にコピペしておきます。
誰も突出できないし、急激な変化を起こすことはできず、時に変化へのあこがれはあっても、現実問題としては、変化を好まない集団が変化を押さえつけて、国民全体も変化への不安からこれに同意するという構造だ。
集団的にすくみ合うようにして、安定への求心力が働く社会は、すっきりしないが、意外に強い社会であるのかも知れない。
政府も政策もあてにできない。しかし、この現実を認めて、その前提で、過ごすなら、個人にとっても、企業にとっても、案外居心地のいい環境だ。
山崎元氏の論点は良く理解できます。そうして、短期的な見方によれば、それは正しい事と思います。ただし、日本の社会が長期的に安定している理由はそれだけではありません。それには、もっと深い日本人のバックボーンに根付いたものがあります。
実は、ドラッカー氏も、日本社会の安定性について言及しており、日本の政治家、官僚はともに、経済よりも社会を優先してきたということを語っています。それに加えて、ドラッカー氏は、明治維新を例にあげて、日本人は国内で一旦コンセンサスが成り立てば、一夜にして、大変化を成し遂げることができると論評しています。
このことは、前にもこのブログに書いています。ドラッカー氏は、日本の美術などにも造詣が深く、日本の歴史なども熟知しています。しかし、上のような日本の強みに対して、その原因や源は何なのかについては、あえて述べようとはしませんでした。私は、それについて、ドラッカー氏も西欧人であり、西欧人であるが故の限界であると、このブログに掲載しました。かといって、ドラッカー氏の偉業については、決して色あせることはないことも掲載しました。
さて、ドラッカー氏も述べなかった、日本の真の強み、そうして、さきほども述べたように、山崎氏も気づいていないようである、日本の社会が長期的に安定している理由とは、その源は何なのでしょうか?
それは、無論、朝廷です。朝廷があるが故に、わたしたち日本人は、昔から分裂、内乱などを避けることができたのです。明治維新などのドラッカー氏が絶賛する、無血革命も、互いに敵同士に別れても、天皇を頂点とした、日の本の国の人として、気脈を通じることができたからです。
特に、朝廷に関しては、日本人にとっては神道や他の伝統文化等と渾然一体となっていて、意図して、意識しなくても、子供の頃から、潜在意識に埋め込まれ、自分の皮膚のようになっていると言えると思います。本来、日本の長期的な安定性は、朝廷を抜きにして語ることはできません。山崎氏は、このことを忘れ、全く頭の片隅にもないニッポン人なのかもしれません。
最近では、山崎氏のように、顕在意識からそれが完全に離れてしまっているニッポン人も増えてきました。かつての日本では、朝廷はあまりに当たり前だったので、ことさら、それを強調しなくても良かったことや、戦後60年を超える米国の日本弱体化政策や、その尻馬にのった、戦後の民主主義教育や、個人主義教育がこのような多くのニッポン人を生みだして来たのだと思います。良く考え見てください、日本が戦争に敗れたあとで、アメリカ軍が進駐してきましたが、それでも、朝廷を崩すことはできませんでした。何度も存続の危機にあいながらも、このような長い2670年にも及び、朝廷のようなシステムを長期間維持してきた国は他にあるでしょうか?
どこにもないですね。イギリスには王室がありますが、日本の朝廷と比較すれば、歴史など及ぶべくもありません。また、イギリスの王室はあくまで、為政者の末裔であり、日本の朝廷とは根本的に異なります。
私は、こうした安定システムでもある、朝廷は古の日本人の空前絶後の卓越した知恵であり、これからも、維持発展させていくべきものと思います。
先に掲載したドラッカー氏、現在の価値観が多数存在する、多元的な社会について、「多元性のある社会は強く、健全である。全体主義的なカリスマに支配されるような社会は脆弱で不健全である。私たちは害悪の根源たるカリスマの出現に常に目を光らせていなければならない」としています。しかし、多元的な社会を統合することについては、必要性は述べているものの、その答えは述べていません。しかし、多元的な価値観だけが、存在する社会は分裂するものです。
やはり、多元的な社会を統合する理念や、哲学が必要です。日本では、西欧の伝統文化においては、ドラッカー氏ですら、結論を出すことができない、多元的な社会を統合する要としての天皇を、古来から設けて、維持してきたということです。西欧文化においては、従来これは宗教が担ってきました。しかし、宗教に限界があったことは、今では周知の事実です。
しかし、日本には、古来から朝廷があり現在まで存続しているということは、本当に日本独自の強みです。日本の天皇は、他国のように為政者がなるものではありません。だから、ドラッカー氏が述べている、ヒトラーや、現在であれば、中国共産党や、北朝鮮、古くはナポレオンなどのような全体的なカリスマとは根本的に異なります。むしろ、古の日本人は、このようなカリスマが出現することを恐れ、さらには予知していたがゆえに、為政者とは異なる朝廷を設立したのです。これほど、類稀な安定システムは日本独自のもので、他国にはありません。
多くのニッポン人は、そのことをすっかり忘れているようです。しかし、私を含めて、日本には、まだまだ、多くの日本人がいます。私は、日本人が日本人たるためには、天皇は絶対に避けて通る事はできないと思います。それを忘れてしまえば、日本人はたとえDNAが日本人ではあっても、文化的には日本人ではなく、ニッポン人になってしまいます。ニッポン人が多数になってしまうような日本は、きっと、極めて不安定な社会になることでしょう。一時安定したように見えても、長期では不安定化し、混乱することでしょう。そうして、一時、日本にも、ニッポン人が増えてしまったようですが、これからは、本来の意味での日本人をどんどん増やしていくべきと思います。
先に述べたような、政治の世界のことなど、悠久の朝廷やそれを生み出した日本人の精神からすれば、太洋のなかに生じた小波程度のことでしかありません。これからも、悠久の歴史の中で、燦然と輝いてきた朝廷を頂点とする日本の伝統文化は、未来においても輝き続けることでしょう。これからも、日本人はイノベーティブでありつつも、古き伝統で変えてはいけないものは、守り続けていくべきです。
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