外国人参政権問題の背景には、日本人の国民国家意識が希薄になっていることがあるのは否めない
民主党の小沢幹事長の資金管理団体をめぐる政治資金規正法違反事件が、小沢氏の肝いりで推進してきた国会改革や永住外国人に地方選挙権を付与する法案の行方に影を落としている。
与党内にはもともと慎重論があっただけに、事件の推移を見守る空気が強まっている。
「この件が片づかないとな。片づけば、選挙も含め死ぬ気でやる」
小沢氏は28日、永住外国人選挙権付与法案に積極的な同党の川上義博参院議員と国会内で会った際、悔しげにこう語ったという。逮捕された石川知裕衆院議員は2月4日に拘置満期を迎える。その後の展開を見極めなければ、積極的には動けないというわけだ。
永住外国人への地方選挙権付与は民主党内で賛否が分かれ、国民新党は強く反対している。それでも政府が政府提出法案として今国会に提出することを検討しているのは、小沢氏が強く働きかけてきたからだ。
しかし、鳩山首相は27日、国民新党の賛同を法案提出の条件とすることを記者団に表明した。国民新党が賛成に転じる見通しは立たず、提出に向けた機運はしぼみつつある。
政府提出となる場合に所管大臣となる原口総務相も、30日の読売テレビの番組で「拙速を避けることが大事だ」と慎重な検討を求めた。党幹部は「小沢氏が刑事責任を問われるかどうかなどがはっきりするまで、法案の扱いを棚上げしようという空気が強まっている」と指摘する。
官僚が答弁する政府参考人制度の廃止を柱とする国会改革も、消極的だった社民党に対し、小沢氏自ら説得に乗り出して推進してきた経緯がある。小沢氏は早急に与野党協議を開始したい考えだが、他党の動きは鈍い。民主党は衆院の議会制度協議会(衆院議長の私的諮問機関)の開催をたびたび求めているものの、石川容疑者の逮捕後は動きが止まり、開催のめどは立っていない。
一方、民主党は28日、「政治資金対策チーム」(主査・海江田万里衆院議員)の初会合を開き、企業・団体献金の全面禁止を盛り込んだ政治資金規正法改正案を今国会で成立させる方針を確認した。
民主党は昨年の衆院選政権公約(マニフェスト)で、小沢氏が主導する形で企業・団体献金の全面禁止を掲げた。小沢氏の秘書が逮捕、起訴された西松建設の違法献金事件に対する世論の批判をかわす狙いがあったが、党内では「癒着を防ぐためには、公共事業受注企業などからの献金を禁止すれば十分だ」との慎重論が根強い。
このため、社民党や野党などから民主党に対し、「政治とカネ」に関する対応が遅いとの批判も強まっている。
外国人参政権問題の根底にあるものは?
外国人参政権問題に関しては、そもそも、憲法違反であるとか、そうではないとか、いろいろ言われています。民主党がいうような形で参政権を与えている国は、世界ではかなり稀というのは事実です。アメリカでは、帰化するためにはいわゆるグリーンカードを取得しなければなりませんが、これを取得するのがかなり大変なことは、多くの人が知るところです。
しかし、こういった話題に関して、いちいちその是非を問う前に、諸外国ではこうした問題がほとんど起こらないのになぜ日本にだけ起こるのか考えてみる必要があると思います。
まずは、ドラッカーの「ネクスト・ソサエティー」と言う著書の中から引用させていただきます。これは、国民国家について、述べたものです。
「すでに産業革命の初期のころから、国家間の経済的な相互依存性は国家主義的な情熱よりも強く作用するはずであると説かれてきた。最初にこれを言ったのがカントだった。南北戦争勃発の直前、1860年の穏健派も、サムター砦で最初の銃声が轟までそう考えていた。オーストリア=ハンガリー帝国の自由主義者たちも、最後の瞬間まで、分裂するには経済的な結びつきが強すぎると考えていた。明らかに、ミハイル・ゴルバチョフも同じように考えていた。
しかし、この200年間を見る限り、政治的な情熱と国民国家の政治が、経済的な合理性と衝突したときには、必ず政治的な情熱と国民国家のほうが勝利してきている。」
普通の国家では、国民と国家のあいだに契約意識があります。国家は外敵から国民を保護する存在であり、外国では国境が人為的なものとして強く意識されます。今でも、イギリスの皇太子が前線に出ていって、ヘリコプターのパイロットになるのはこうした背景があるからです。イギリス人は、これを「貴族の責任」として当然のこととしています。国民と、国家の契約の証として、身分の高いものほど、戦に率先して従軍することは、当然のことなのです。第二次世界大戦中の、ドイツ軍とのイギリス本土航空決戦で活躍したパイロットの命知らずの若者たちの多くは、良家の出身でした。
グローバル化した現代にあっても、この事実には変わりありません。しかし、日本は島国であり、陸続きの地域とは違っているし、イギリスのように島国とはいっても、ヨーロッパにかなり近くしかも、日本のように朝鮮半島をはさんで、中国と対峙しているのとはわけが違います。だから、もともとこうした観念があまりなかったのかもしれません。だから、外国と日本という関係よりも、自分の藩と他の藩のことしか眼中になかったのだと思います。しかし、世界では国民国家や、民族国家は大昔からそうして今でも経済的な利害を超越して大勢を占めています。チェコや、ユーゴの分割はまさしく、その典型です。
現在は、日本では国民と国家の契約意識が希薄です。だから、国民国家意識は、かなり希薄になってしまっています。
明治時代には、国家と個人の利益がかなりの程度で一致していました。当時は、列強の植民地化が頂点に達していた時代でした。そのため、国民の間にも国家が消えたら、植民地にされて個人の利益も消えるという時代背景がありました。そのため、国民国家というものが、かなり理解しやすかったのだと思います。
昭和初期から戦中の日本も、その当時の世界は植民地主義の第一次世界大戦に続く二回目の調整の時代にあたっており、日本は、アメリカから無理難題を押し付けられ、ABCD包囲網を構築され、さらに最後通牒であるハル・ノートの内容をつきつけられ、戦争に踏み入らざるを得ない状況に追い込まれ、日本国民もこれに憤慨し、いやでも、国民国家を強く意識せざるを得ない状況にありました。今日では、国家の統治がまともになされており、近代的な軍事力を持った国がこのようなことをされれば、戦争に突入するのは必至とみるであろうといのが、日本や一部の国を除く世界の多くの国際法の学者などの間では通説になっています。
戦後は、アメリカが日本の防衛の大部分を担うようになったため、戦前・戦中のようにはっきりと国家と個人の利益関係が見えなくなってしまいました。現代では、国民と国家の契約関係は曖昧になっているし、戦中・戦前のような、国民国家意識は完全に希薄になってしまいました。だからこそ、外国人参政権などという、国民国家意識がはっきりしている諸外国からみれば、奇妙奇天烈な話がもちあがったりするのです。安定した契約意識があれば、そもそもこんな話は出てこないはずです。
それに、戦後60,年以上もアメリカの傘の下で、平和な時代が続いたため、多くの日本人が平和ボケをしてしまった上に、マスコミや、左翼系の人々や政治家が、自虐的国家観などを道具として、さんざんぱら国家というものを意図的に意識の外に置いたり、矮小化につぐ、矮小化をするように誘導してきたため、それに扇動された多くの人々がこの問題の意味すらわからなくなっているのです。そうして、現代では国民国家意識あるいは民族国家主義の低い世界でも稀有な国になってしまったのです。
鳩山総理大臣の「日本は日本人のためにだけあるのでない」という発言は、その最たるものです。学校教育の場で、日章旗を掲げることに反対する教職員などが存在するというのも、その最たるものです。フィギュアスケートの荒川静香が、現役最後のウィニングランを日章旗を掲げて行ったシーンをほとんど報道しなかったマスコミもその最たるものです。
外国人参政権問題には、こうした問題が根底にあることを日本国民に再認識させるということで民主党の意図などには相反して意義深いものになるかもしれないと私は思います。
しかし、大多数の日本国民が国民国家を理解できないというのなら、そのような国は中国の属国にでもなれば良いと思います。そうなって、はじめて、国民国家の重要性を認識するに違いありません。ただし、そうなれば、国民国家意識のある人々がつどって、新しい国民国家を北海道にでもつくり独立すべきです。天皇陛下にもお出ましいただき、『新大日本帝国』をつくるべきです。そうして、経済を活性化し、軍事力を増強しその10年後は、中国の属国となった日本領土を取り返し、再統一すべきと考えます。統一された国には、しっかりとした国民国家意識が根付くことになるでしょう。
しかし、最近の動きをみていると、私の意に反して、はるかに大勢の人々が外国人参政権問題に大反対しています。だから、今回の問題を契機にして、民主党や、マスコミなどの意図とは裏腹に、逆に日本人の国民国家意識が刺激され醸成される契機となるかもしれません。私は、この傾向が広まり、日本にも国民国家意識が従来のように当たり前に、根付くように願ってやみません。
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