2007年5月28日月曜日

ピザ特集(3)-世界のピザ

世界のピザというより、ピザに似た世界の食物を中心として、小麦粉文化を広く紹介する。
ⅰ.イタリア
近代ピザの原型であるマルガリータ。さらに、南北で非常に異なる料理の数々。包みピザのカルツォーネ。
下は、カルツォーネの写真です。持ち運びには便利です。

ⅱ.ドイツ
ドイツ風ピザ、フラメンクーヘン。旧ドイツ領、アルザス・ロレーヌ地方の郷土料理。ドイツ国内に広く普及。ソースは(サワー)クリーム系。
ⅲ.ロシア







ハチャプリ(グルジア風ピザ。上左写真)。パンの中にはチーズが入っている。中央の窪みにはアツアツ・トロトロの卵。チーズがこってりしていて、卵の甘さがあって、非常に美味い。
ただし、食べ方が難しい。中の柔らかな卵をこぼさないように、しかも溶けたチーズを上手くパンに混ぜ込みながら食べる。意外に難しい。
ロシアにはクレープと同じような小麦粉でつくった生地であるブルヌイ(写真上右)がある。ロシアのブルヌイには、さまざまな種類があって、バターたっぷりの素朴派から、ジャムに練乳にと甘い系もあればイクラやハム、チーズなんかをはさんだり、多種多様である。
ⅳ.フランス
日本でクレープというと菓子以外の何物でもないが、フランスでは軽食としてのものが広く普及している。小麦粉を用いるものもあるが、そば粉を用いるものもある。そば粉のクレープは、フランスのブルターニュ地方の郷土料理だ。本場ブルターニュ地方に行くと、ハムやチーズや野菜を使った主食用のものから果物やジャムを使ったデザート用まで、さまざまな種類のクレープがある。もちろん、フランス風にアレンジされたピザもある。

下はガレット(フランスのそば粉のクレープ)の写真

ⅴ.中南米
小麦粉を用いたものの他に、トウモロコシの粉を用いたものもある。ラップス系のタコス、ブリトーがある。 下はタコスの写真

下はブリトーの写真、トウモロコシのものは日本では少ないがメキシコでは一般的。 ⅵ.インド
インドのナンは日本国内でも広く普及している。今や巷のスーパーマーケットでも販売されている。また、インド・バングラディシュで広く主食とされているチャパティも存在する。
下はナンの写真


ⅶ.ギリシャ
ギリシャにはピタパンの一種であるヒーロスがある。去年の夏、アテネ五輪開催のギリシャブームに乗って東京都内にヒーロスを提供するファーストフード店がオープンした。ヒーロスは、色々な具材をピタパンにはさんだもの。ギリシャらしく、数種のハーブが効いた味付けで、生野菜も多く見た目よりアッサリしている。ハーブに漬け込んでから焼いてあるチキンが美味い。腹持ちがもかなり良い。
下はヒーロスの写真

ⅷ.トルコ
愛知地球博では、トルコ風「地中海ピザ」が人気を呼んだ。正式にはトルコのピザは「Pide(ピデ)」と呼ぶ。ピデ屋を「pideci(ピデチ)」と呼ぶ。ピデはイタリアのビザの原型ともいわれている。トルコの典型的なピデチで提供されるピデの特徴は生地が肉厚でどちらかというとパンに近い感じで、細長い楕円形をしている。大人数の場合は2メートルほどの長さで、独特の高い台に置いて提供されることもある。

下はピデの写真。
うまさの秘訣はやはり、ちゃんとした釜で焼いていること、そしてトルコ共通の材料の良さに尽きると考えられる。注文を受けてからトッピング、釜に入れてチャイ(トルコ茶)でも飲みながら待つこと約10分でできあがる。
トッピング(というのとはだいぶんイメージが違うのだが)でポピュラーなのはクイマル(kıymalı:kiymali:挽肉)、ペイニール(peynir:チーズ)、ウスパナック(ıspanak:ispanak:ほうれん草)。それぞれにユムルタル(yumurtalı:yumurtali)を付けて注文すれば、卵を上に載せて焼き上げてくれる(非常にうまい)。ピデに似た料理でラーマジュン(lahmacun)というのもある。ピデよりも薄い生地に挽肉やタマネギを載せて同じくオーブンで焼いた料理。「ピデでは量が多いな」というときにはこちらにするとよい。
ⅸ.スペイン・ポルトガル
スペインのコカ。スペイン語のコカはケーキのこと。コカはピザ風とデザートと2種類あって「コカ・デ・~」(何何~のコカ)という。普通に「コカ」というと日本人にはピザ風コカのこと。ピザに似ているが、パリッとしたクラッカーにも似ている。スペインのコカでは、チョリソを用いることがあるが、スペインの元々のチョリソはメキシコのように唐辛子ではなくパプリカを使用しているため辛くない。
下はコカの写真
ポルトガルでもピザは普及しており歴史も古い、ポルトガル産のピザのような産品はないものの、ポルトガルの豊富な水産物を使ったピザが美味しい。

ⅹⅰ.その他
韓国ソウル市のソンデピジャ(韓国ではピザではなく、ピジャと発音する)というピッツエリアにはキムチを用いたピザがある。韓国の代表料理のキムチを刻んで肉、野菜、煮唐辛子などのトッピングと一緒に焼き上げたキムチピザは、見た目は普通のピザと変わらないが、食べるとピリッカラッとしておりなかなかのものである。韓国にして初めてできたピザといえる。さらにソンデビジャでは緑茶を生地に練りこむなどして新たなピジャに挑戦をしている。


下は韓国のピジャの写真

モンゴルでも最近はピザが普及してきたという。下北沢の『遊牧民』で初めてピザ(普通の)を食べたモンゴルの人が、そのおいしさに感動してモンゴルに持ち帰ったことから、あっという間にピザがモンゴルに広まり、現在ではモンゴルにピザ屋が軒を連ねている。
下はモンゴルの一般家庭に伝わるピザ風の食べ物。このようなものが伝承されているので、ピザも普及しやすかったのだろう。
これらのようにピザは輸入されたり、逆輸入されたりして今日でも発展している。輸入された国では、その国独特の食材などを用いてさらに新たなものを開発したりしている。このようなピザも日本国内に紹介していく。ほかの国でも変わったトッピングがある。例えば、ブラジル:グリーンピース、インド:しょうがの漬物、マトン、タンドリ・チキン、ロシア:サーディン、ツナ、にしん、鮭とオニオンのコンビネーション、フランス:オニオンとクリームのコンビネーション(フランベという)、パキスタン:カレー、コスタリカ:ココナッツ、チリ:ムラサキガイ、ハマグリなどがあり、これらとその背景となっている食文化などをいずれ皆さんに紹介する。

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