2024年6月30日日曜日

フランス国民議会選挙1回目投票 極右政党が最大勢力になる勢い―【私の論評】フランス国民連合の躍進:移民政策の失敗と保守派台頭の真相

フランス国民議会選挙1回目投票 極右政党が最大勢力になる勢い

まとめ
  • マクロン大統領が国民議会を解散し、6月30日と7月7日に選挙を実施。
  • 与党連合、極右の国民連合、左派連合「新人民戦線」の三つどもえの争い。
  • 世論調査では国民連合が最大勢力になる可能性があり、マクロン大統領に厳しい見通し。
  •  国民議会選挙は577議席の小選挙区制で、2回投票制を採用。
  • 各政党は購買力向上、年金制度改革、移民政策などの公約を掲げ、選挙結果次第では政治構造に大きな変化の可能性。

マクロン仏大統領

 フランスの政治情勢が大きな転換点を迎えようとしています。マクロン大統領は、欧州議会選挙での与党連合の敗北を受け、国民議会(下院)を電撃的に解散し、6月30日に第1回投票、7月7日に決選投票を行う選挙を実施することを決定しました。この選挙は、マクロン大統領の与党連合、極右政党の国民連合、そして新たに結成された左派連合「新人民戦線」の三つどもえの激しい争いとなっています。

 世論調査の結果は、マクロン大統領にとって厳しい見通しを示しています。国民連合が最大265議席を獲得し最大勢力になる可能性があり、新人民戦線が第2勢力、与党連合は議席を半数以上減らす可能性があるとされています。国民議会選挙は577議席の小選挙区制で行われ、1回目の投票で過半数かつ有権者の4分の1以上の票を獲得した候補者が当選します。当選者がいない場合は1週間後に決選投票が行われる仕組みです。

 この選挙結果次第では、フランス政治に大きな変化が起こる可能性があります。極右政党から首相が選出される可能性や、議会に「ねじれ現象」が生じる可能性も指摘されており、これまでのフランスの政治構造が大きく変わる可能性があります。各政党は購買力向上や年金制度改革、移民政策などの重要な課題について異なる公約を掲げており、選挙後の政権運営や政策実現が国内外から注目されています。

 特に国民連合の躍進は、フランスの政治的立場や欧州連合(EU)との関係に大きな影響を与える可能性があります。一方で、左派連合の「新人民戦線」も急速に勢力を拡大しており、従来の二大政党制から多極化する政治構造への移行が進んでいます。このような状況下で、マクロン大統領がどのようにリーダーシップを発揮し、国政を運営していくかが問われています。

 フランスの今後の方向性を左右するこの重要な選挙の結果は、フランス国内だけでなく、EU全体や国際社会にも大きな影響を与える可能性があり、世界中が注目しています。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は元記事をご覧になってください。

【私の論評】フランス国民連合の躍進:移民政策の失敗と保守派台頭の真相

まとめ
  • 国民連合を「極右政党」と呼ぶのは不適切であり、「保守派政党」または「右派政党」と表現すべきである。
  • マクロン政権の移民の大量受け入れ政策が、フランス社会に深刻な問題(治安悪化、社会保障負担増、文化的摩擦)をもたらした。
  • 国民連合は移民規制強化や国家主権保護を訴え、具体的な対策(市民権取得厳格化、社会保障給付制限など)を提示し、支持を集めた。
  • 2023年の暴動事件は移民政策の失敗を象徴し、国民の不満を顕在化させ、保守派政党の主張を強める契機となった。
  • マクロン政権の移民政策失敗と社会問題の顕在化が、国民連合など保守派政党の躍進を後押しした。
上の元記事は、NHKニュースのものですが、国民連合を「極右政党」と形容することは不適切であり、不当であると言えます。国民連合の主張は、実際には伝統的な保守派の価値観や政策に沿ったものが多く、国家主権、文化的アイデンティティの保護、移民政策の厳格化などは典型的な保守的立場です。「極右」という言葉は、ファシズムや人種差別主義を連想させがちですが、国民連合の現在の政策はそのようなイデオロギーとは異なります。

さらに、「極右」という表現を安易に使用することで、政治的スペクトラムが歪められ、中道右派や穏健な保守派との区別が曖昧になってしまいます。国民連合を支持する多くの有権者は、自身を極右とは考えておらず、むしろ伝統的な保守的価値観を持つ市民です。「極右」というラベルは、これらの有権者の意見や懸念を不当に軽視することになります。

メディアには、政党を公平に報道する責任があります。「極右」という偏った表現を使用することは、この責任を果たしていないと言えるでしょう。したがって、国民連合を「極右政党」ではなく「保守派政党」あるいは「右派政党」と表現し、その具体的な政策や主張を詳細に報道することが、より正確で公平な情報提供につながります。これにより、有権者は偏見にとらわれることなく、政党の実際の立場や政策を理解し、判断することができるようになるでしょう。

これは日本の有権者も同様であり、世界の政治の潮流を正しく理解する助けになるはずです。その意味では、NHKは政党を公平に報道する責任を果たしているとは言い難いです。

国民連合第2代党首現在議員団長のルペン氏

フランスで保守派政党が躍進した背景には、マクロン政権による移民の大量受け入れが社会に大きな混乱をもたらしたことが重要な要因として挙げられます。

マクロン政権は当初、人材不足の分野での外国人労働者の受け入れ拡大を目指していましたが、この政策は結果として無秩序な移民の流入を招き、フランス社会に深刻な問題をもたらしました。特に、治安の悪化や社会保障制度への負担増加、文化的摩擦の拡大などが顕著となり、多くのフランス国民の不満を高めることとなりました。

この状況下で、保守派政党、特に国民連合(RN)は、移民規制の強化や国家主権の保護を訴え、多くの有権者の支持を集めることに成功しました。彼らは、マクロン政権の移民政策が国の安全と伝統的な価値観を脅かしていると主張し、具体的な対策を提示しました。

国民連合(RN)が提示した具体的な移民政策対策には以下のようなものがあります:
1. 市民権取得の厳格化:少なくとも一方の親がフランス人である場合にのみ市民権を付与する方針を提案しました。
2. 不法移民の正規化手続きの厳格化:不法移民を正規の移民とする手続きをより厳しくすることを提案しました。
3. 移民への社会保障給付の制限:移民に対する住宅や医療などの手厚い手当を厳格化する内容を含む修正法案を提出しました。
4. 長期滞在許可証発行の条件付け:フランス語の習得と共和国の価値観の尊重を条件とすることを提案しています。
5. 犯罪歴のある外国人の強制送還:犯罪を犯した外国人や公共の秩序を脅かす過激化した外国人を国外退去させる方針を示しました。
6. 家族呼び寄せビザの廃止:家族再結合のためのビザ発給を停止する提案をしています。
7. 亡命申請の国外処理:亡命申請をフランス国外で処理する制度の導入を提案しています。
8. 移民クォータ制の導入:固定的な移民受け入れ数の設定を提案しましたが、憲法違反とされました。
9. 「国民優先」制度の導入:フランス国民に住宅や雇用へのアクセスで優先権を与え、一連の社会保障給付をフランス国民に限定する法制度を提案しています。
これらの提案は、移民の流入を厳しく制限し、フランス国民の利益を優先する方針を反映しています。国民連合は、これらの政策がフランスの国家主権を守り、伝統的な価値観を保護すると主張しています。

さらに、2023年に起きた暴動事件(写真下)は、移民政策の失敗を象徴する出来事として国民の記憶に深く刻まれました。この事件は2023年6月、パリ郊外で警察官による17歳の若者射殺事件をきっかけに、フランス全土で大規模な暴動が約1週間続いたものです。射殺された17歳の若者ナエル・M氏は、フランス国籍を持っていましたが、アルジェリア系の移民の子孫でした。


この暴動では、多数の車両や公共施設が破壊され、略奪行為も発生しました。この暴動の参加者は主に、移民の背景を持つフランス国籍の若者たちでした。この事件は、フランスの移民政策の失敗と社会の分断を象徴するものとなり、特に移民や移民の子孫が多く住む郊外地域の若者の不満や社会的疎外感を顕在化させました。

マクロン政権は警察力の動員や夜間外出禁止令などで対応しましたが、根本的な社会問題の解決には至りませんでした。この暴動は、フランスの移民・社会統合政策の見直しの必要性を強く認識させ、政治的議論を活発化させるとともに、極右政党の主張を強める契機ともなりました。

国民連合のルペン議員団長は、この暴動の原因を「無秩序な移民受け入れ」に求め、政府の政策を厳しく批判しました。

このような社会的背景の中、マクロン政権は移民規制を強化する法案を提出せざるを得なくなりましたが、これは逆説的に保守派政党の主張の正当性を裏付ける結果となりました。

法案の可決過程では、与党内でも亀裂が生じ、マクロン大統領の求心力低下が鮮明になりました。

9日、パリで、欧州議会選の投票終了後に集まるフランスの保守政党「国民連合」の支持者ら

一方で、保守派政党は購買力の向上や年金制度の見直しなど、経済面でも具体的な政策を提示し、幅広い層からの支持を獲得しました。彼らは、移民問題だけでなく、フランス国民の日常生活に直結する課題にも焦点を当てることで、より包括的な政策パッケージを提示することに成功しました。

結果として、マクロン政権の移民政策の失敗と、それに伴う社会問題の顕在化が、保守派政党、特に国民連合の躍進を後押しする形となりました。フランス国民の間で、自国の伝統的な価値観や生活様式を守りたいという意識が高まり、それが保守派政党への支持拡大につながったと言えるでしょう。

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2024年6月29日土曜日

死亡の警備員、車道に出た抗議女性を止めようとしたか 辺野古ダンプ事故―【私の論評】沖縄辺野古で違法抗議活動が招いた悲劇:法秩序と国家安全保障の重要性

死亡の警備員、車道に出た抗議女性を止めようとしたか 辺野古ダンプ事故


 沖縄県名護市安和(あわ)の国道で28日午前、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に対する抗議活動をしていた女性がけがを負い、警備中の男性が死亡した事故で、県警名護署は同日夜、亡くなったのは名護市の警備員、宇佐美芳和(よしかず)さん(47)だったと明らかにした。抗議活動をしていた那覇市の無職女性(72)は足の骨を折る重傷だった。

 捜査関係者によると、現場は辺野古移設工事に使う土砂を搬出する安和港の近く。土砂を搬入するダンプカーに抗議するため車道に出た女性を宇佐美さんが止めに入り、その際、左折したダンプに2人とも巻き込まれた可能性もあるとみて、事故に至る詳しい経緯を調べている。

 土砂の搬出港付近では、プラカードを持ってダンプカーの前をゆっくりと横断する「牛歩」を行い、土砂の搬入を遅らせようとする市民もいる。ダンプカーにはねられた女性が「牛歩」を行っていた可能性もあり、名護署が周辺の防犯カメラの確認を進めている。

【私の論評】沖縄辺野古で違法抗議活動が招いた悲劇:法秩序と国家安全保障の重要性

まとめ
  • 沖縄県名護市で辺野古移設工事関連の抗議活動中に事故が発生し、警備員1名が死亡、抗議者1名が重傷を負った。
  • 事故の背景には長年の辺野古移設問題があり、「牛歩」などの抗議活動が日常的に行われている。
  • 事故の原因として、抗議活動の影響、安全管理の不備、関係者の判断ミスなど複数の要因が考えられる。
  • 基地反対運動には危険な側面があり、法治国家としての秩序を乱す過激な抗議活動が公共の安全を脅かしている。
  • 安全性の確保と表現の自由の両立のため、全ての関係者が法令を遵守し、建設的な対話を行う必要がある。
事故現場の沖縄県名護市の安和港の出口付近

まず初めに、この痛ましい事故でお亡くなりになった宇佐美芳和さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。突然の出来事で、ご家族やご友人の皆様の悲しみはいかばかりかと思います。

また、負傷された方の一日も早いご回復をお祈りいたします。このような悲劇が二度と繰り返されないよう、私たちは今一度、社会の在り方を見つめ直す必要があります。

2024年6月28日午前10時15分頃、沖縄県名護市安和の国道449号で、米軍普天間飛行場の辺野古移設工事に関連する痛ましい事故が発生しました。この事故では、辺野古新基地建設に使用する土砂を搬出する安和港の近くで、ダンプカーが左折する際に、抗議活動中の72歳の女性と47歳の警備員の宇佐美芳和さんと接触しました。

事故の結果、宇佐美さんは頭部を強く打ち、搬送先の病院で死亡が確認されました。抗議活動に参加していた那覇市在住の女性は足の骨を折る重傷を負いましたが、意識はあるとのことです。

この事故の背景には、長年続く辺野古移設問題があります。安和港周辺では日常的に抗議活動が行われており、「牛歩」と呼ばれる戦術も使用されています。これは、プラカードを持ってダンプカーの前をゆっくりと横断することで、土砂の搬入を遅らせようとする方法です。

目撃者の証言によると、事故直前に82歳の女性が「牛歩」による抗議を行おうとしたところ、宇佐美さんがそれを止めようとし、それを見た72歳の女性が抗議したという状況があったようです。この時、出入り口付近で停止していたダンプが発進し、2人と衝突したとされています。

牛歩戦術でダンプの前をかなりゆっくり歩いて横断する活動家たち

事故を受けて、玉城デニー沖縄県知事は防衛局に対して土砂搬出作業の中止を求めるとともに、事故の原因究明と安全対策の実施を要求しました。また、沖縄県警名護署が事故の詳しい経緯を調査中で、周辺の防犯カメラの確認を進めています。

この事故は、辺野古移設問題をめぐる緊張状態を反映しており、工事の安全性と抗議活動のあり方について、さらなる議論を呼び起こす可能性があります。現場では規制線が張られ、機動隊が警戒に当たっており、地域社会に大きな影響を与えています。

この事故の原因を推測するには、複数の要因を考慮する必要があります。事故現場の状況、抗議活動の影響、人的要因、環境要因、そして組織的要因が複雑に絡み合っていると考えられます。

具体的には、ダンプカーの運転手の判断ミスや注意不足、「牛歩」などの抗議活動による通常とは異なる道路状況、警備員と抗議者の予期せぬ動き、工事現場周辺の安全管理体制の不備、そして抗議活動と工事の両立に関する対策の不足などが考えられます。

沖縄の基地反対運動は、戦後長年にわたる過重な米軍基地負担、辺野古の豊かな生態系を守る環境保護の観点、そして新基地建設が地域の平和と安全を脅かすという懸念から生まれています。しかし、この運動には危険な側面もあります。

今回の事故の原因となった「牛歩」戦術のような抗議行動は交通事故のリスクを高め、工事関係者と抗議者の対立による緊張状態は双方の判断力を低下させる可能性があります。さらに、日常的な抗議活動により工事現場周辺の安全管理が複雑化し、予期せぬ事態が発生するリスクも高まっています。これらの要因が絡み合って今回のような痛ましい事故につながったと考えられ、今後は安全性の確保と表現の自由の両立が課題となるでしょう。

沖縄の基地問題をめぐる状況は複雑で、長年の課題が積み重なっています。一部の過激な抗議活動は、法治国家としての秩序を乱し、公共の安全を脅かす結果となっています。「牛歩」戦術や危険な場所での座り込みなどの行為は、これからも今回のような痛ましい事故を引き起こす原因となり得ます。

危険な場所での座り込み

沖縄県には、こうした危険な抗議活動を適切に管理し、市民の安全を確保する責任があります。同時に、活動家たちも自らの行動が及ぼす影響を十分に認識し、法令を遵守しながら平和的な方法で主張を表現すべきです。

政府は、地域の安全と法秩序の維持のため、より積極的に介入し、必要な措置を講じる必要があります。これには、違法な抗議活動に対する厳格な法執行や、安全な抗議の場の提供などが含まれます。

今回の事故を契機に、全ての関係者が自らの役割と責任を再認識し、法と秩序の枠内で対話を進めることが重要です。そうしなければ、同様の事故が繰り返される危険性は高いままです。

安全性の確保と民主主義的な表現の自由の両立は可能です。しかし、それには全ての当事者が法令を遵守し、互いの立場を尊重しながら、建設的な対話を行う姿勢が不可欠です。この事故を教訓に、より安全で秩序ある社会の実現に向けて、具体的な改善策を講じていくべきです。

さらに、この事故は、日本を取り巻く安全保障環境の厳しさが増す中、国内での安全保障政策の実施における課題を浮き彫りにしています。政府は、国家安全保障戦略に基づき、地域の理解を得ながら安全保障政策を進める必要があります。

この事故を契機に、国家安全保障と地域社会の安全の両立、そして「法の支配」の確立について、より深い議論と具体的な対策をすべきです。

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2024年6月28日金曜日

KADOKAWAサイバー攻撃 ハッカー集団「BlackSuit」犯行声明 ニコ動いまだ利用できず―【私の論評】この攻撃から学ぶ企業・個人・政府の包括的セキュリティ戦略

KADOKAWAサイバー攻撃 ハッカー集団「BlackSuit」犯行声明 ニコ動いまだ利用できず


 インターネット上の脅威をモニタリングしている会社がSNSに投稿した画面は、「BlackSuit(ブラック・スーツ)」を名乗るハッカー集団が闇サイトに公開した犯行声明だといいます。

 犯行声明には「私たちは1.5TBのデータをダウンロードした」と書かれてありました。

 ハッカー集団は出版大手・KADOKAWAに「サイバー攻撃を行い、会社の事業計画や様々な機密データを盗み取った」と主張。さらに「金銭を支払わなければ、来月1日にもすべてのデータを公開する」と述べています。

 犯行声明の真偽は分かっていませんが、KADOKAWAではサイバー攻撃によって「ニコニコ動画」などのサービスが利用できない状態が続いています。

(「グッド!モーニング」2024年6月28日放送分より)

【私の論評】この攻撃から学ぶ企業・個人・政府の包括的セキュリティ戦略

まとめ
  •  KADOKAWAへのサイバー攻撃はランサムウェアによるもので、ニコニコ動画などのサービスが停止している。
  • 企業のランサムウェア対策には、オンプレミスとクラウドを組み合わせたハイブリッドバックアップが効果的。
  • 個人向けの対策には、定期的なバックアップ、セキュリティソフトの使用、OSの更新、不審なメールやリンクへの注意が重要。
  • Chrome OSはサンドボックス化された環境などにより、ランサムウェアの感染リスクを大幅に低減するが、完全には防げない。
  • 政府は基幹インフラのサイバーセキュリティ強化を最優先課題とし、常時モニタリングや能動的サイバー防御などの対策を講じるべき。


今回のKADOKAWAに対するサイバー攻撃は、ランサムウェアによるものと考えられます。ランサムウェアは、コンピュータシステムに侵入し、重要なデータやファイルを暗号化して使用不能にする悪意のあるソフトウェアです。

攻撃者は、暗号化されたデータの復号キーと引き換えに身代金を要求します。KADOKAWAの事例では、ハッカー集団「BlackSuit」が犯行声明を出しており、ニコニコ動画などのサービスが利用できなくなっています。これは典型的なランサムウェア攻撃のパターンで、企業のシステムやデータが暗号化され、業務に深刻な影響を与えています。

企業のランサムウェア対策として、オンプレミスバックアップとクラウドバックアップの両方を組み合わせることが非常に効果的です。この「ハイブリッドバックアップ」アプローチにより、データの安全性と復旧の柔軟性が大幅に向上します。

ランサムウェアの、ランサムとは「人質」の意味

オンプレミスバックアップでは、ローカルサーバーや外付けハードディスクにデータを保存します。これにより、インターネット接続に依存せずに迅速なデータ復旧が可能になります。一方、クラウドバックアップは、地理的に離れた場所にデータを保管することで、自然災害やランサムウェア攻撃などのローカルな脅威からデータを保護します。

企業は以下のような方法でハイブリッドバックアップを実施できます:
  1. 重要なデータを日次でオンプレミスのストレージにバックアップし、同時にクラウドストレージにも同期させる。
  2. 定期的に(例えば週に1回)完全バックアップをオンプレミスで行い、そのコピーをクラウドにアップロードする。
  3. 特に重要なデータや設定ファイルは、複数のクラウドサービスと複数のオンプレミスデバイスにバックアップする。
  4. バックアップデータの整合性を定期的に確認し、必要に応じて更新や修正を行う。
  5. オフラインバックアップも定期的に作成し、物理的に隔離された場所に保管する。
このハイブリッドアプローチにより、企業はローカルでの迅速なデータアクセスと復旧、そしてクラウドによる長期的なデータ保護と災害復旧の両方のメリットを享受できます。また、一方のバックアップシステムがのセキュリティが侵害された状態 された場合でも、もう一方から安全にデータを復元できるため、ランサムウェア攻撃に対する耐性が大幅に向上します。

さらに、バックアップだけでなく、従業員教育、多層防御の実施、アクセス制御の強化、異常検知システムの導入など、包括的なセキュリティ戦略の一部としてこのバックアップ方法を位置づけることが重要です。

これらの対策を組み合わせることで、企業はランサムウェアのリスクを大幅に軽減し、万が一攻撃を受けた場合でも迅速かつ効果的に復旧できる体制を整えることができます。

個人がランサムウェアなどのサイバー攻撃から身を守るための対処法は以下の通りです:
  1. 定期的なバックアップ:重要なデータを外付けハードディスクやクラウドストレージに定期的にバックアップします。バックアップはオフラインで保管するか、自動同期を無効にしておくことが重要です。
  2. セキュリティソフトの使用:信頼できるアンチウイルスソフトをインストールし、常に最新の状態に保ちます。
  3. OSとソフトウェアの更新:オペレーティングシステムやアプリケーションを最新の状態に保ち、セキュリティパッチを適用します。
  4. 不審なメールやリンクに注意:見知らぬ送信者からのメールや添付ファイル、不審なリンクをクリックしないよう注意します。
  5. 強力なパスワードの使用:複雑で推測しにくいパスワードを使用し、可能な限り二段階認証を設定します。
  6. 公共Wi-Fiの利用に注意:公共のWi-Fiネットワークでは機密情報のやり取りを避け、必要な場合はVPNを使用します。
  7. ファイル共有の制限:P2Pファイル共有ソフトの使用は避け、信頼できるソースからのみファイルをダウンロードします。
  8. USBデバイスの取り扱いに注意:出所不明のUSBデバイスは使用せず、自分のデバイスも定期的にスキャンします。
  9. ソーシャルエンジニアリングへの警戒:個人情報の取り扱いに注意し、不審な電話やメッセージに対して慎重に対応します。
  10. 教育と意識向上:サイバーセキュリティに関する最新の情報を学び、常に警戒心を持ちます。
これらの対策を日常的に実践することで、個人ユーザーもランサムウェアなどのサイバー攻撃のリスクを大幅に軽減することができます。特に、定期的なバックアップの実施は、万が一攻撃を受けた場合でもデータを守る最後の砦となります。

私は普段は、Chrome OSを用いています。それは、Chrom OSによりランサムウェアの感染リスクが大幅に低減されるからです。

ただし、完全にゼロにはなりません。Chrome OSは、サンドボックス化された環境、読み取り専用のシステム領域、自動更新機能、クラウドベースのストレージ利用、承認済みファームウェアの使用など、複数の層でセキュリティを確保しています。

サンドボックス化された環境とは、プログラムやアプリケーションを隔離された空間で実行する仕組みです。この環境では、実行されるプログラムはシステムの他の部分やデータにアクセスできないよう制限されています。これにより、悪意のあるソフトウェアがシステム全体に影響を与えることを防ぎ、セキュリティを向上させます。Chrome OSでは、すべてのウェブページとアプリケーションがこのサンドボックス環境で動作するため、一つのアプリが感染しても他のアプリやシステム全体への影響を最小限に抑えることができます。

これらの特徴により、多くの一般的なランサムウェア攻撃から保護されます。しかし、クラウドサービスの脆弱性、ブラウザベースの攻撃、ユーザーの不注意によるフィッシング被害など、完全に排除できないリスクも存在します。

そのため、Chrome OS利用者も基本的なセキュリティ対策を怠らず、不審なリンクや添付ファイルに注意を払い、重要なデータの定期的なバックアップを行うことが重要です。Chrome OSの自動更新機能を活用し、常に最新の状態を保つことで、さらにリスクを軽減できます。

今回のような事件が国民生活に影響がある基幹インフラで起きたら大変なことになります。政府としては、基幹インフラで今回の事態にならないようにすべきです。政府のセキュリティ部門による攻撃国への能動的サイバー防御や政府内や基幹インフラへの常時モニタリングも必要でしょう。

ランサムウェア攻撃は、KADOKAWAの事例が示すように、企業の事業継続に深刻な影響を与える可能性があります。しかし、この問題が国民生活に直結する基幹インフラで発生した場合、その影響は計り知れません。政府は、基幹インフラのサイバーセキュリティ強化を最優先課題として取り組むべきです。具体的には、以下の対策が必要不可欠です:
  • 基幹インフラへの常時モニタリングシステムの導入
  • 政府のセキュリティ部門による能動的サイバー防御の実施
  • 攻撃元国に対する外交的・法的対応の強化
  • 基幹インフラ事業者へのセキュリティ対策支援と指導の徹底
  • サイバーセキュリティ人材の育成と配置
これらの対策を総合的に実施することで、基幹インフラのレジリエンスを高め、国民生活への影響を最小限に抑えることができます。また、官民連携を強化し、最新の脅威情報や対策技術を共有する体制を構築することも重要です。ランサムウェア攻撃は日々進化しており、対策も常に更新していく必要があります。政府は、国家安全保障の観点からも、サイバーセキュリティ対策に継続的に投資し、基幹インフラを守る体制を強化していくべきです。

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2024年6月27日木曜日

天皇皇后両陛下 英国の豪華絢爛晩餐会のおもてなしにネット感動「感激です」「ゴージャス〜!」―【私の論評】天皇皇后両陛下の英国訪問:150年の絆と新時代の日英関係を象徴する歴史的ご訪問

天皇皇后両陛下 英国の豪華絢爛晩餐会のおもてなしにネット感動「感激です」「ゴージャス〜!」

まとめ
  • 天皇皇后両陛下が英国を訪問し、6月25日に歓迎式典とパレードに参加した。
  • 夜にはバッキンガム宮殿でチャールズ国王主催の晩餐会に出席。晩餐会の装飾や料理は日本への配慮が見られた。
  • チャールズ国王は日本語を交えたスピーチで、両国の関係強化を強調し、ユーモアも交えた。
  • 天皇陛下も英語でスピーチを行い、日英関係の歴史と友好親善の深化を願った。
  • この晩餐会の様子はライブ配信され、ネット上では温かいおもてなしに感激の声が上がった。
天皇皇后両陛下馬車でパレード 国王夫妻と再会 国賓歓迎行事始まる

天皇皇后両陛下の英国訪問は、6月25日に華やかな歓迎行事で幕を開けました。両陛下は歓迎式典に出席された後、ロンドン市内をパレードし、沿道の熱烈な歓迎に手を振って応えられました。この日の夜には、バッキンガム宮殿でチャールズ国王とカミラ王妃主催の晩餐会が開かれ、両陛下は正装で臨まれました。

晩餐会の会場となった宮殿の舞踏室は、色とりどりの花や金色のカトラリーで豪華に装飾され、日本への配慮も随所に見られました。テーブルフラワーには英国の庭園で育てられたバラやイロハモミジが使用され、皿には桜のような花が飾られるなど、細やかな心遣いが感じられました。

チャールズ国王は晩餐会の冒頭、日本語を交えたスピーチを行い、両国の親密な関係を強調しました。世界情勢が困難に直面する中で両国の絆がより強固になることへの期待を述べるとともに、ハローキティやポケモンに言及するなど、ユーモアを交えた温かい歓迎の言葉を贈りました。

豪華絢爛な晩餐会

これに応じて天皇陛下も英語でスピーチを行い、日英両国の歴史を振り返りつつ、友好関係のさらなる深化への願いを表明されました。過去の苦難を乗り越えて築かれた現在の友好関係に触れ、両国の絆の重要性を強調されました。

この晩餐会の様子はライブ配信され、多くの人々がその模様を見守りました。ネット上では、英国王室による心のこもったおもてなしに感激の声が多数上がり、両国の友好関係を象徴する出来事として大きな注目を集めました。華やかな歓迎行事と温かいもてなしは、日英両国の絆の深さを改めて印象づける機会となりました。

この記事は元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。「まとめ」は元記事の要点をまとめ箇条書きにしたものです。

【私の論評】天皇皇后両陛下の英国訪問:150年の絆と新時代の日英関係を象徴する歴史的ご訪問

まとめ
  • 天皇皇后両陛下の英国訪問は、コロナ禍による延期を経て、チャールズ国王の正式招待により実現した。
  • 天皇陛下とチャールズ国王の40年以上にわたる個人的な友情が、両国の外交関係にも良い影響を与えている。
  • この訪問は3代にわたる天皇の国賓訪問となり、150年以上の歴史を持つ日英両国の皇室・王室交流を象徴している。
  • 文化交流、経済協力、環境問題など幅広いテーマについての意見交換が行われる予定。
  • 伝統的な儀式や行事を通じて両国の絆を深め、国家の威厳と歴史を尊重する機会となっている。
天皇皇后両陛下の現在の英国訪問は、長年の準備と複雑な経緯を経て実現しました。この訪問は、もともと故エリザベス女王からの招待に基づくものでした。エリザベス女王は、天皇陛下の即位後最初の訪問国として日本を招待していましたが、新型コロナウイルスの世界的流行により、当初の予定から約5年もの延期を余儀なくされました。

この間、世界は大きな変化を経験しました。最も注目すべき出来事の一つは、70年以上にわたり英国王室の象徴であったエリザベス女王の逝去でした。これに伴い、長年皇太子として日本の皇室と親交を深めてきたチャールズ皇太子が国王に即位しました。天皇陛下は、エリザベス女王の国葬に参列するため英国を訪問されましたが、これが即位後初の外国訪問となりました。

エリザベス女王

今回の訪問は、チャールズ国王からの正式な招待を受けて実現したものです。天皇陛下とチャールズ国王の関係は、40年以上にわたる深い友情で結ばれています。特に平成の30年間は、互いに皇太子として親密な交流を重ねてきました。この個人的な絆は、両国の外交関係にも良い影響を与えています。

日英両国の皇室・王室の交流は150年以上の歴史があり、今回の訪問で3代にわたり天皇が国賓として英国を訪問することになります。これは両国の長年の友好関係を象徴するだけでなく、現代の国際社会における両国の重要性を再確認する機会ともなっています。

この訪問では、両国の文化交流や経済協力、さらには地球規模の課題に対する共同の取り組みなど、幅広いテーマについて意見交換が行われると予想されています。また、両国の皇室・王室が共有する自然保護や環境問題への関心も、重要な話題の一つとなるでしょう。

さらに、この訪問は日英両国民にとっても特別な意味を持ちます。両国の君主が互いの国を訪問することは、単なる外交行事以上の象徴的な意味を持ち、両国の絆をより一層深める機会となります。

このように、天皇皇后両陛下の英国訪問は、長年の友好関係の集大成であると同時に、新たな時代における日英関係の出発点としても位置づけられる重要な外交イベントなのです。両国の歴史と伝統、そして未来への展望が交差する、まさに歴史的な瞬間と言えるでしょう。

天皇皇后両陛下の英国訪問において、皇太子夫妻が行った行事および今後予定されている行事は、保守派の観点から高く評価されると考えられます。以下にその理由を詳述します。

まず、皇太子夫妻が行った行事の一つとして、ウィリアム皇太子の出迎えを受け、ホースガーズ広場での歓迎式典に参加したことが挙げられます。この式典では、天皇陛下がチャールズ国王とともに閲兵し、日本の童謡「さくらさくら」が演奏されるなど、両国の文化交流が強調されました。保守派にとって、こうした伝統的な儀式は国家の威厳と歴史を尊重する重要な機会と見なされます。


さらに、天皇陛下とチャールズ国王が馬車に乗り込み、バッキンガム宮殿へ向かったパレードも行われました。このような儀式は、両国の君主制の継続性と安定性を象徴し、保守派にとっては国家の伝統と尊厳を再確認する場となりました。

また、天皇陛下はエリザベス女王の墓を訪れ、花を手向けられました。これは、礼節を重んじる日本の皇室の姿勢を示すものであり、保守派にとっては非常に重要な行為でした。このような行動は、過去の歴史に対する理解と敬意を示し、両国の友好関係をさらに深めるものと評価されます。

さらに、天皇陛下と皇后さまが共に留学経験のあるオックスフォード大学を訪問する予定があります。これは、両国の教育と文化の交流を象徴するものであり、保守派にとっては若い世代に対する国際交流の重要性を強調する機会となります。

このように、皇太子夫妻が英国で行った行事および今後予定されている行事は、国家の伝統と尊厳を重視し、両国の友好関係を深める重要な機会として高く評価されるでしょう。

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2024年6月26日水曜日

【急速に深まるロシアと中国の軍事協力】狙いは台湾か、いざという時にどこまで行動に移すのか―【私の論評】ロシアの極東軍事力低下による中露連携強化:日米がすべき現実的対応

【急速に深まるロシアと中国の軍事協力】狙いは台湾か、いざという時にどこまで行動に移すのか

まとめ
  • 中国とロシアの軍事協力関係が深化し、特に台湾周辺での活動が米国の懸念事項となっている。
  • 両国の軍事協力は合同演習、ミサイル防衛協力、情報共有など多岐にわたり、その多くが日本近海で行われている。
  • ロシアのミサイル防衛早期警戒システム技術の中国への移転が重要な要素となっている。
  • 実際の戦闘では共に戦わないまでも、両国は政治的・経済的・軍事的に相互支援を行う可能性が高い。
  • この状況は日本を含む西側諸国にとって脅威となり、警戒を強める必要がある。

ロシア海軍記念日観艦式に参加した中国駆逐艦「西安」2019年7月

 中国とロシアの軍事協力関係が深まっており、特に台湾周辺での活動が米国の懸念を高めている。米国の情報機関長官らは、中露両国が台湾に関して初めて合同軍事演習を行っていると警告した。この協力関係は、緊密な合同演習やミサイル防衛協力にまで発展しており、その多くが日本近辺で行われている

 専門家らは、ロシアが中国の対台湾軍事作戦を支援する可能性があると指摘している。両国は戦闘協力に必要な通信システムの構築や機密データの共有を進めており、特にロシアのミサイル防衛早期警戒システム技術の中国への移転が重要な要素となっている。

 さらに、中国が台湾をめぐって戦争をする場合、ロシアからの物資輸送が米国の海上封鎖の影響を緩和する可能性があるとの見方もある。実際の戦闘では共に戦わないまでも、両国は政治的・経済的・軍事的に相互支援を行う可能性が高いとされている。

 この状況は日本を含む西側諸国にとって脅威となり、警戒を強める必要がある。米国の情報機関は、この新たな軍事協力関係を踏まえて防衛計画の見直しを行っており、潜在的な二正面作戦の可能性も考慮に入れている。

 一方で、中露関係には依然として一定の警戒感も存在していると指摘されている。両国の協力関係が深まる中で、互いの核心的利益を尊重し合うという姿勢が強調されており、これは長年の相手に対する警戒感の表れとも解釈できる。

 このような状況下で、台湾の総統は中国に対して地域の安定に向けた責任の共有を呼びかけており、国際社会も中国の軍事演習に対して懸念を表明している。今後も中露の軍事協力の動向は、アジア太平洋地域の安全保障環境に大きな影響を与える可能性があり、継続的な注視が必要である。

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【私の論評】ロシアの極東軍事力低下による中露連携強化:日米がすべき現実的対応

  • ロシアは極東の軍事力が低下しており、台湾に対する直接的または間接的な支援能力は限定的。プーチン大統領の訪朝時のロシア軍行動から、ロシア軍の極東の軍事力低下を認識できる。
  • 米軍の「バリアント・シールド」や北朝鮮の弾道ミサイルの実戦配備は、地域の緊張を高めており、日米はこれに対処するためにサイバーセキュリティや情報戦の強化を進める必要がある。
  • ロシアの海軍演習は規模が小さく、空軍の活動も見られず、その能力低下が露味の連携強化の要因になっている
  • 日米は同盟国との協力を強化し、多国間での安全保障体制を構築することで中露の連携に対抗すべき。また、技術開発や経済制裁の強化、防御力とミサイル防衛システムの増強を通じて脅威に対応すべき。
  • ロシアの太平洋艦隊と極東の軍事基地の課題は深刻だが、日米の対潜水艦戦(ASW)能力の優位性を活かし、戦略的な軍事演習と共同訓練を通じて地域の安定を図ることが重要。

上の記事では、中露の軍事協力の動向に注視が必要と述べていますが、現実にはロシアは中国の武力侵攻に対して直接的にも、間接的にも支援する能力はほとんどないというのが実情です。


これについては、最近プーチンが北朝鮮を訪問したときのロシアの動きをみていると良く理解できます。

プーチン大統領は深夜2時過ぎという異例の時間帯に平壌の空港に到着し、金正恩総書記が直接出迎えました。このような時間帯に一国の首脳が他国を訪問すること自体が極めて異例であり、さらに受け入れ国の首脳が直接空港まで出迎えるというのも尋常ではありません。これは、戦時下の国家元首が警戒心を強めつつ、重要かつ緊急な用件で同盟国を訪れたことを示唆しています。

この訪問の背景には、米軍の大規模な軍事演習「バリアント・シールド」があります。米空軍のステルス戦略爆撃機「B-2スピリット」、ステルス戦闘機「F-22ラプター」、米海兵隊の垂直/短距離離着陸戦闘機「F-35B」などが編隊で飛行し、グアム周辺での演習に参加しました。さらに、この演習には日本の自衛隊も約4,000人が参加し、初めて日本国内の基地で共同訓練を行いました。

米軍の大規模な軍事演習「バリアント・シールド」

一方で、北朝鮮もこのような日米韓の動きに対抗して、弾道ミサイルを実戦配備につけていつでも発射できる態勢をとっていたと考えられます。米空軍の弾道ミサイル追尾専用機「RC-135Sコブラボール」が北朝鮮東方沖の日本海上空で偵察活動を行っていたことから、北朝鮮で弾道ミサイルの発射兆候があることを米軍が探知していた可能性が高いです。

ロシアもまた、米韓の動きに対応して海軍演習を発表しました。ロシア国防省は、約40隻の艦船と約20機の航空機が参加する海軍演習を日本海、オホーツク海及び太平洋の海域で行うと発表しました。しかし、実際に確認されたのは、駆逐艦1隻と戦車揚陸艦2隻の計3隻のみでした。これは、現在の極東ロシア軍にとってできる精一杯の対抗措置であり、ロシア軍の窮状を強く示しています。

さらに注目すべきは、ロシア空軍の活動が全く見られなかったことです。日本海周辺での偵察活動や戦闘機による警戒飛行が行われなかったことは、ロシア空軍の能力が著しく低下していることを示唆しています。これは、ロシア軍の国防力が大幅に低下していることを示すものであり、特に空軍の窮状が深刻です。

今回のプーチン大統領の訪朝は、日米韓の結束の強化やNATOを含む民主主義国間の軍事的連携の強化によって、ロシアや北朝鮮が苦しい立場に立たされていることを示しています。これが露朝の軍事同盟化へと駆り立てている要因であることは間違いありません。金正恩総書記にとっては大きな賭けであり、今後の露朝情勢がどのように展開するかは注視する必要があります。

ロシア太平洋艦隊と極東の軍事基地は、ウクライナ戦争前から、複数の深刻な課題に直面していました。まず、装備の老朽化が顕著な問題となっています。ロシア海軍の専門家であるパベル・リザソフ氏によると、太平洋艦隊の主力艦の多くが1980年代に建造されたものであり、現代の海軍作戦に必要な能力を欠いているとのことです。

さらに、ロシア国防省の公表した予算データによれば、極東地域の軍事施設への投資は他の地域と比べて低い水準にとどまっています。このことは、インフラの更新や新規装備の導入を困難にしています。

人材確保の面でも苦戦しています。ロシア国家統計局の人口移動データによれば、極東地域からの人口流出が続いており、特に若年層の流出が顕著です。これは軍にとっても優秀な人材の確保を難しくする要因となっています。

地理的な課題も無視できません。ロシア太平洋艦隊の管轄範囲は広大で、ウラジオストクからカムチャツカまで約4,000キロメートルに及びます。この広大な範囲をカバーするには多大な労力とコストがかかります。

国際情勢の緊張も艦隊の活動に影響を与えています。例えば、2022年以降、日本政府は対ロシア制裁を強化しており、これによりロシア艦艇の日本寄港が事実上不可能になっています。

これらの問題に対し、ロシア政府は対策を講じようとしていますが、その進展は遅いのが現状です。例えば、2020年に発表された「極東社会経済発展国家プログラム」には軍事インフラの近代化も含まれていますが、その成果はまだ限定的です。というより、ウクライナ戦争により、さらに後退した状況にあります。

ロシア太平洋艦隊旗艦「ワリャーグ」

ロシアの太平洋艦隊と極東の軍事基地の現状を考慮すると、ロシアが中国の台湾侵攻に直接的または間接的に加勢することは現実的ではありません。老朽化したインフラ、予算の制約、装備の更新の遅れ、人員不足、地理的孤立、そして対潜水艦(ASW)戦能力の低さがその主な要因です。これらの要因は、中国とロシアが日米に対抗する際の大きな障害となっており、特にASWにおいては日米の優位性が顕著です。

中露の軍事連携が強化されているものの、ロシアの極東の軍事力が低下しているため、中露県警による台湾を巡る直接的な危機は直ちには生じないと考えられます。しかし、中露の連携強化は依然として脅威となります。

中露の戦略的プレゼンスがアジア太平洋地域で拡大し、日米に対する軍事的圧力が増大する可能性があります。サイバー戦争や情報戦のリスクも高まるため、日米はサイバーセキュリティと情報戦対策を強化する必要があります。

また、中露の経済的および技術的協力により、中国がロシアの軍事技術を活用する可能性があるため、日米は技術開発と経済制裁を強化する必要があります。対潜水艦戦(ASW)能力のさらなる向上や潜水艦活動の監視も重要です。

さらに、日米の基地や戦略的拠点への脅威に対抗するため、防御力とミサイル防衛システムの強化が求められます。中露の連携に対抗するため、同盟国との協力を強化し、多国間での安全保障体制を築く必要があります。外交的な取り組みも重要で、中国およびロシアとの対話を続けるべきです。

総じて、日米は中露の連携強化に対抗するために、中露を等身大で見たうえで戦略的かつ総合的なアプローチが必要です。

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2024年6月25日火曜日

「ポスト岸田」世論調査で〝大異変〟高市氏が2位に急浮上 トップ石破氏「『女系天皇』検討発言」の波紋 菅氏は「新リーダー」に期待―【私の論評】自民党総裁選の行方: 石破茂氏と高市早苗氏の勝算を徹底分析

「ポスト岸田」世論調査で〝大異変〟高市氏が2位に急浮上 トップ石破氏「『女系天皇』検討発言」の波紋 菅氏は「新リーダー」に期待

まとめ
  • 岸田文雄首相の支持率が急速に低下しており、党内外での支持が収縮している。
  • 世論調査では、石破茂元幹事長がリードしているが、高市早苗経済安保相が急浮上し、毎日新聞の調査で2位につけた。
  • 岸田首相のLGBT法制化の拙速な対応が保守層の一部を離反させた。
  • 石破氏の「女系天皇」検討発言が波紋を呼び、保守層の支持を失う可能性がある。
  • 菅義偉前首相が岸田首相の退陣を事実上要求し、次期総裁選での新リーダー登場に期待を示している。

 時事通信社が6月に実施した世論調査の結果、岸田文雄内閣の支持率は16.4%まで低下し、2012年12月の自民党政権復帰以降で最低を記録した。この数字は前月比で2.3ポイント減少しており、岸田政権の苦境が一層深刻化していることを示している。

 政権浮揚の切り札として期待されていた定額減税についても、物価高対策としての効果が乏しいという評価が大勢を占めている。調査では65.3%の回答者が定額減税の効果は「ない」と答えており、政府の経済政策に対する国民の不信感が浮き彫りになった。

 さらに、政治資金規正法改正案についても、7割を超える回答者が評価していないことが明らかになった。この法案は政治とカネをめぐる問題への対応策として政府が打ち出したものだが、国民の期待に応えられていない現状が浮き彫りになっている。

 岸田首相の自民党総裁としての任期が9月末に迫る中、政権の「死に体」化が急速に進んでいるという見方が強まっている。支持率の低迷が続く中、岸田首相が次期総裁選に出馬するかどうかも不透明な状況となっている。

 一方、次期総裁候補として注目されているのが石破茂元幹事長と高市早苗経済安保相だ。毎日新聞の世論調査では、「次の首相にふさわしい人」として石破氏が1位(20%)、高市氏が2位(9%)となっている。石破氏は世論調査で人気がある一方、自民党内では反発もあり、総裁選での勝利が難しい状況にある。

 高市氏は保守派に支持されており、全国各地での講演会も盛況だ。彼女は2021年の自民党総裁選で国会議員票で100票を超え、河野太郎デジタル相を大きく上回る2位に付けた。さらに、安倍晋三元首相の宿題とされていたセキュリティ・クリアランス制度の法制化を実現するなど、外交・内政の諸課題で毅然とした姿勢を示している。

 今後、岸田政権がこの危機的状況をどのように打開していくのか、また自民党がどのような党運営や政策転換を図るのか、政治の動向が注目されている。特に、9月の総裁選を控え、党内での議論や次期リーダーの選出プロセスが重要な焦点となることが予想される。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。「まとめ」は、元記事の要点を5つにまとめ箇条書きにしたものです。

【私の論評】自民党総裁選の行方: 石破茂氏と高市早苗氏の勝算を徹底分析

まとめ
  • 石破茂氏は世論調査では人気があるが、党内での支持が弱く、総裁選での勝算は低い。
  • 高市早苗氏は保守層から強い支持を得ており、2021年の総裁選で2位につけるなど一定の支持基盤がある。
  • 高市氏はセキュリティ・クリアランス制度の法制化など具体的な政策実績があり、全国行脚で支持拡大に努めている。
  • 自民党が高市氏を総裁に選出しない場合、保守的支持基盤が弱体化し、連立政権や下野のリスクが高まる可能性がある。
  • 世界的な保守政党躍進の潮流の中、高市氏の強い保守的姿勢は自民党の生存戦略として重要になる可能性がある。
自民党総裁選は党員と党所属国会議員による投票で行われますが、石破茂氏の勝算は極めて低いと見られています。石破氏は世論調査では常に上位に位置し、一般国民からの支持は高いものの、党内、特に国会議員の間での支持基盤が弱く、過去の総裁選でも議員票での得票が少なかった経緯があります。この党内と党外での評価の乖離が、石破氏の総裁選での最大の障壁となっています。


石破氏は岸田政権や過去の安倍政権に対して批判的な立場を取ることが多く、党執行部との関係が良好とは言えません。特に、石破氏は「後ろから鉄砲を撃つ奴」と党内で批判されることがあります。

これは、党の方針や現政権に対して公然と異を唱える姿勢を指しており、例えば、安倍政権時代に憲法改正や経済政策について度々批判的な発言をしたことなどが挙げられます。このような行動は、党の団結を重視する自民党内では、裏切り行為とみなされかねず、石破氏が党内での信頼を得ることを極めて難しくしています。

さらに、自民党を支える「岩盤保守層」の支持を得られていない可能性も高いです。深谷隆司元通商産業相は、この層が約3割存在し、彼らの支持が崩れない限り選挙で勝てると述べています。

深谷氏は「国民の人気と、保守を支持する人気とは若干異質なものがある」とも指摘しており、石破氏の世論調査での人気が必ずしも党内での支持につながらない理由を説明しています。石破氏の政策スタンスが、時として自民党の伝統的な保守層の価値観と合致しないことが、この支持の欠如につながっていると考えられます。

加えて、高市早苗氏のような保守派に強く支持される候補の存在も、石破氏の立場を一層難しくしています。高市氏は2021年の自民党総裁選で国会議員票で100票を超え、河野太郎氏を大きく上回る2位に付けました。また、安倍晋三元首相の宿題とされていたセキュリティ・クリアランス制度の法制化を実現するなど、外交・内政の諸課題で毅然とした姿勢を示しており、保守層からの支持を集めています。

また、茂木敏充氏のような党内実力者の存在も無視できません。茂木氏は党内での人脈が広く、政策通としても知られており、党内からの支持を得やすい立場にあります。このような候補者たちの存在が、石破氏の総裁選での勝算をさらに低くしています。

石破氏自身も、この状況を認識しているようです。最近のインタビューでは、総裁選への出馬について慎重な姿勢を示しており、「党内の空気を読まなければならない」と述べています。これは、自身の党内での立場の難しさを自覚している表れと言えるでしょう。


一方、高市早苗氏の総裁就任の可能性については、状況が変化する余地があると考えられます。高市氏は「保守派のスター」と呼ばれ、保守層からの強い支持を得ています。2021年の自民党総裁選では国会議員票で100票を超え、2位につけるなど、一定の支持基盤があることが示されました。

高市氏は安倍晋三元首相の「宿題」とされたセキュリティ・クリアランス(SC)制度の法制化を実現するなど、具体的な政策実績を積み重ねています。また、自身の政策や考えを訴える「全国行脚」を行うなど、支持拡大に努めています。「保守団結の会」など、高市氏を支持する保守系議員グループも活発に活動しており、これらの動きが高市氏の立場を強化する可能性があります。

高市氏は過去に放送法をめぐる問題で批判を受けたことがありましたが、この件については高市氏の対応に問題がなかったことが明らかになっています。高市氏は国会で強い姿勢で自身の立場を説明し、批判に対して毅然とした態度を示しました。

ただし、自民党内での力学や他の有力候補との競争など、総裁就任には様々な要因が影響します。石破茂元幹事長が党内の結束を呼びかけるなど、高市氏の動きに対して慎重な見方をする声もあります。

しかし自民党が高市氏を総裁に選出しない場合、党の保守的な支持基盤が弱体化し、結果として公明党も含めて他党と連立政権を組まざるを得ない状況に追い込まれる可能性があります。さらに、保守層の支持を失うことで、長期的には下野のリスクも高まります。

30年前に発足した細川連立政権は263日で退陣 中央は細川護煕首相

高市氏の政策や姿勢は、時として論争を呼ぶこともありますが、それは同時に自民党の伝統的な価値観を強く主張できる可能性も示しています。この強い主張は、党の独自性を維持し、他党との差別化を図る上で重要です。

世界的に保守政党が躍進する中、日本の政治においても保守的な価値観を前面に打ち出すことが、自民党の生き残りと発展にとって不可欠となる可能性があります。高市氏はその役割を担える数少ない政治家の一人です。

したがって、高市氏を総裁に選出することは、自民党が単独政権を維持し、下野を回避するための重要な選択肢となり得ます。党の将来を見据えた場合、高市氏の強みを活かすことが、自民党の生存戦略として重要になる可能性が高いと言えます。

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2024年6月24日月曜日

【ウクライナの反撃開始】戦況を左右するクリミア半島、アメリカ兵器使用制限緩和でロシアへ打撃に―【私の論評】狂人理論の実践とその影響:ヒトラー、スターリンからプーチンまで

【ウクライナの反撃開始】戦況を左右するクリミア半島、アメリカ兵器使用制限緩和でロシアへ打撃に

まとめ
  • バイデン政権の610億ドルの軍事支援とATACMSミサイルの到着により、ウクライナはクリミア内のどの目標も攻撃可能となり、ロシアの軍事インフラが脅かされている。
  • ウクライナの作戦は、クリミアをロシア軍にとって居住不可能な場所にしつつあり、黒海艦隊の半分の行動力を奪い、残りの艦隊をロシア本土に避難させた。
  • クリミアはロシアにとって守るべきものが多すぎて弱点となっており、将来の譲歩を引き出すための圧力をかける最善の道を提供している。
  • プーチンにとってクリミアを失うことは心理的に受け入れがたく、核兵器の使用を含めた極端な対応に出る可能性がある。
  • 2014年のクリミア併合の成功体験がプーチンをウクライナ侵攻に向かわせたが、クリミアでのウクライナの反撃が戦争の終わりに貢献する可能性がある。

 Economist誌は、ウクライナがクリミアでロシアに対して優位に立っていると報じている。バイデン政権の610億ドルの軍事支援パッケージが大きな影響を与えており、特に射程300キロメートルのATACMSミサイルの到着により、ウクライナはクリミア内のどの目標も攻撃可能となった。さらに、バイデン大統領がロシアの核のエスカレーションを懸念して課していた制約を緩和したことも重要な意味を持つ。

 ウクライナの作戦は、クリミアをロシア軍にとって駐留が不可能な場所にしつつある。プーチン大統領はクリミアをロシア本土とつなぐケルチ橋を建設し、クリミアを不沈空母と見なしていたが、その軍事インフラは現在脅かされている。英国の戦略家ローレンス・フリードマンによれば、クリミアはロシアにとって守るべきものが多すぎて弱点となっており、将来ウクライナがロシアの譲歩を引き出すための圧力を最もかけやすい地域になっている。

ウクライナはクリミアをプーチンにとって資産ではなく重荷にすることを目指しており、クリミアを孤立させ、南部ウクライナからロシアの海・空戦力を追い出し、兵站を窒息させることを狙っている。ウクライナは既に無人機とミサイルにより、黒海艦隊の半分の行動力を奪い、残りの艦隊はロシア本土のノヴォロシースク港に避難している。ウクライナはクリミアのジャンスコイ空軍基地やベルベクの空軍基地などのロシアの軍事拠点にATACMS攻撃を加え、大きな被害を与えている。

NATO同盟国の衛星情報や空中偵察、ウクライナ側の深い知識と地上の秘密部隊により、ウクライナはロシア軍のすべての動きを把握している。ATACMSの到着とウクライナの無人機の性能向上により、クリミアでの航空機、道路や鉄道は射程内にある。クリミアの空軍基地もウクライナ側の攻撃の対象となっており、防空のためのS-400システムも攻撃されている。ホッジ将軍によれば、ウクライナ側はケルチ橋を取り壊すことに自信を持っている

クリミアはロシアにとっての戦略的資産から戦略的重荷になってきており、プーチンにとってクリミアを失うことは心理的に受け入れがたいことだ。プーチンは核兵器の使用を含め、極端な対応に出る可能性もある。プーチンをどう抑止するか、米国を含む西側の対応をシミュレーションしておく必要がある。

プーチンをウクライナ侵攻に向かわせたのは2014年のクリミア併合の成功体験であり、ウクライナ侵攻も同じように簡単にできると考えたからだ。クリミアでのウクライナの反撃がこの戦争の終わりに貢献するのであれば、皮肉な結果となるだろう。

プーチンは「米国などに対し同じことをする。ロシアの兵器を米国攻撃に使えるように供与する」としているが、プーチンは少しおかしくなっている気がする。ロシアはウクライナを侵略し、ウクライナは自衛権行使をしている。その中での供与兵器の使用基準の話と、侵略などしていない米欧に対し、他国が自衛ではなく武力行使をするためにロシアが兵器を供与する話とは全く違う。

この記事は元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。「まとめ」は元記事の要点をまとめたものです。

【私の論評】狂人理論の実践とその影響:ヒトラー、スターリンからプーチンまで

まとめ
  • 狂人理論は、指導者が予測不可能で危険な人物であると見せかけることで、相手国を威嚇し譲歩を引き出す戦略である。
  • この理論はヒトラー、スターリンなども使用したとされ、ニクソン大統領がベトナムやソ連に対して用いた。トランプ大統領も用いたとされている。
  • 狂人理論の有効性には疑問が呈されており、相手国が正確にメッセージを受け取らない、信頼しない、屈服しないなどの理由で失敗することがある。
  • この戦略は一貫した行動パターンではなく、状況に応じて選択的に用いられる外交・軍事戦術の一つである。
  • プーチン大統領の最近の発言も狂人理論の適用と解釈できるが、欧米諸国はこれに過剰反応せず、冷静に対応すべきである。
上の記事の最後の部分で、「プーチンは少しおかしくなっている気がする」としていますが、これは典型的なプーチンによる「狂人理論」の適用ではないかと思われます。

リチャード・ニクソン米大統領

狂人理論(Madman Theory)とは、リチャード・ニクソン米大統領の外交政策において重要な役割を果たした戦略です。この理論は、指導者が予測不可能で危険な人物であると見せかけることで、相手国を恐れさせ、譲歩を引き出すことを目的としています。ニクソンは、特にベトナム戦争の際にこの戦略を用い、北ベトナムに対して自分が核兵器を使用する可能性があると信じさせようとしました。

狂人理論の基本的な考え方は、相手に「何をするかわからない」と思わせることで、相手の行動を制約し、自国に有利な状況を作り出すことです。ニクソンは、ソ連や北ベトナムに対して自分が予測不可能であると見せかけることで、交渉を有利に進めようとしました。

しかし、この理論の有効性には疑問が呈されています。専門家によれば、狂人理論が失敗する理由として、ターゲットとした国家が「狂人」のメッセージを正確に受け取らない、信頼できるものと見なさない、または将来の行動について確証を得られないため屈服しないことが挙げられます。

近年では、ドナルド・トランプ大統領もこの理論を用いたとされています。トランプは、予測不可能な行動を取ることで、他国に対して圧力をかけ、交渉を有利に進めようとしました。例えば、日本の安倍晋三元首相は、トランプの狂人理論に影響を受けたとされ、トランプの予測不可能な行動に対して対応を迫られました。

安倍晋三元首相は、トランプ大統領の狂人理論に対して、慎重かつ戦略的に対応しました。安倍氏は、トランプの予測不可能な行動に対して、柔軟かつ迅速に対応することで、日米関係を安定させることを目指しました。

ゴルフに興じるトランプ米大統領と安倍首相

具体的には、安倍氏はトランプとの個人的な信頼関係を築くことに注力し、頻繁に会談や電話会談を行うことで、トランプの意図を把握し、適切な対応を取るよう努めました。また、安倍氏はトランプの政策に対しても柔軟に対応し、例えば貿易問題や安全保障問題において、トランプの要求に対して一定の譲歩を行う一方で、日本の利益を守るための交渉も行いました。

このように、安倍氏はトランプの狂人理論に対して、冷静かつ戦略的に対応することで、日米関係を安定させることに成功しました。

ヒトラーとスターリンも、特定の状況下で狂人理論を効果的に用いていました。ヒトラーは、1938年のミュンヘン会談でチェコスロバキアのズデーテン地方の割譲を要求し、戦争も辞さない姿勢を示すことでイギリスとフランスに譲歩を強いることに成功しました。

また、1939年のポーランド侵攻では、西側諸国が介入しないだろうと計算しつつ、極端な行動を取る用意があることを示しました。これらの行動は、狂人理論の典型的な適用といえます。

一方、スターリンも特定の状況下で狂人理論を活用していました。1948年から1949年にかけてのベルリン封鎖では、西ベルリンへのアクセスを遮断し、核戦争の可能性すら示唆しました。これは西側諸国に対する極端な圧力戦術であり、狂人理論の要素を含んでいます。

また、1950年から1953年の朝鮮戦争では、スターリンは北朝鮮の南進を支持し、アメリカとの直接対決の可能性を示唆しました。これも予測不可能で危険な行動を取る用意があることを示す狂人理論の適用といえます。

ヒトラーとスターリンは、常に狂人のように振る舞っていたわけではありませんが、特定の外交・軍事的局面において狂人理論を効果的に用いていました。彼らは、予測不可能で極端な行動を取る用意があることを示すことで、相手国を威嚇し、譲歩を引き出そうとしました。

このように、狂人理論は一貫した行動パターンではなく、状況に応じて戦略的に適用される外交・軍事戦術の一つであることが明確になります。ヒトラーとスターリンの事例は、狂人理論が強力な指導者によって、特定の目的を達成するために選択的に用いられる可能性を示しています。


先のプーチンの発言は、国際社会に対する威嚇としての側面が強く、実際に実行される可能性は低いと考えられます。ロシアが他国に兵器を供与して米国を攻撃させることは、国際的な孤立を深め、さらなる制裁を招くリスクが高いため、現実的な選択肢とは言えません。

また、プーチンの発言は、国内外の支持を得るためのプロパガンダの一環としても解釈できます。ロシア国内での支持を維持するために、強硬な姿勢を示すことが重要であり、そのために過激な発言を行うことがあります。

しかし、これが実際の政策に反映されるかどうかは別問題です。欧米諸国は、プーチンの発言を冷静に分析し、過剰に反応することなく、国際法に基づいた対応を続けるべきです。プーチンの狂人理論的な発言に振り回されることなく、ウクライナ支援を継続し、国際社会の結束を強化することが重要です。

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2024年6月23日日曜日

ドイツは移民流入で一変「においも10年前と違う」 ハンガリー首相―【私の論評】ドイツの移民政策失敗から学ぶ日本の未来:治安悪化と文化喪失への警鐘

ドイツは移民流入で一変「においも10年前と違う」 ハンガリー首相

まとめ
  • ハンガリーのオルバン首相は、ドイツが移民の流入により過去10年で大きく変化し、景観やにおいが変わったと批判した。
  • 彼は、ドイツが「勤勉な国民」と「秩序」の模範国から多文化世界に変質したと主張した。
  • この発言は、ハンガリーがEU議長国就任を前に、ドイツのショルツ首相との会談を控えて行われた。
オルバン首相

 ハンガリーのオルバン・ビクトル首相は、ドイツを訪問中(21日)に、移民の流入によってドイツが過去10年で大きく変化したと述べました。彼は、ドイツの景観やにおいが変わり、多数の移民が迅速に市民権を取得していると指摘しました。

 また、かつてのドイツは「勤勉な国民」と「秩序」の模範国であったが、現在はそうではなく、多彩な多文化世界に変わったと批判しました。オルバン首相は、移民がもはや「客人」ではないと評価しています。

 オルバン首相は反移民政策を推進するナショナリストであり、この発言はハンガリーが欧州連合(EU)理事会の輪番制議長国を引き継ぐのを前に、ドイツのオラフ・ショルツ首相との会談を控えて行われました。2023年には、ドイツがEU加盟国で最多となる33万4000件の難民認定申請を受け、過去2年間で約100万人の難民を受け入れています。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】ドイツの移民政策失敗から学ぶ日本の未来:治安悪化と文化喪失への警鐘

  • ドイツは2015年以降、十分な計画なしに大量の難民を受け入れたが、この無秩序な政策により、社会の安定が大きく損なわれ、様々な問題が発生している。
  • ナイフによる殺傷事件が1日60件にも上り、市民の安全が深刻に脅かされており、最近では警官がイスラムテロの犠牲となる事件も発生した
  • 大量の移民流入により、ドイツの伝統的な文化や価値観が脅かされており、多くの移民が社会に統合されず、平行社会を形成し、文化的対立や社会的摩擦が生じている。
  •  寛大な社会保障制度、特に「市民金」制度により、多くの移民が社会保障に依存し、就労意欲が低下している。これはドイツの財政に大きな負担をかけ、経済の持続可能性を脅かしている。
  • ドイツの失敗を教訓に、日本は慎重な移民政策を採るべきであり、厳格な入国管理と、受け入れ基準の厳格化をはかり、日本の安全、文化、経済を守るべき

ドイツ・ベルリンで行われた親パレスチナデモ=2023年11月4日

上の、オルバン首相の発言は、「ドイツが移民の流入により過去10年で大きく変化し、景観やにおいが変わったと」というのは本当でしょうか。

景観が変わったというのは事実だと思います。移民が増えれば、移民が往来し、移民目当ての商売も生まれ、看板などもたてられ、街の景観もかわるでしょう。しかし、匂いはどうなのかと感じる人も多いのではないかと思います。

ただ、国ごとに独特の匂いが存在する現象は、多くの旅行者が経験し、その国の文化や食習慣、気候を反映しています。

例えば、韓国ではキムチ、タイでは香草やスパイス、日本では醤油の匂いが特徴的です。イギリスのロンドンでは湿った匂い、フランスではバゲットや香水、インドではカレースパイスやインセンス、モロッコではタジン料理やミントティーの香りが漂います。

米国の大都市ではファストフード、イタリアではエスプレッソやトマトソースの香りが広がっています。これらの匂いは、その国の印象を強く残しますが、感じ方は個人差があります。

オルバン氏がいいたかったのは、無論これだけではないでしょう。

オルバン首相は、移民の大量流入によりドイツの社会や文化が大きく変化し、伝統的な景観や日常生活に影響を与えていると指摘しているのです。この発言には、ドイツの移民政策への批判が込められており、多文化主義がドイツの伝統的な価値観や社会構造を変質させているという懸念が表れています。

オルバン首相は、かつての「勤勉な国民」と「秩序」の模範国としてのドイツの姿が失われつつあると主張し、移民政策の見直しを求める意図があると考えられます。この発言は、オルバン首相の反移民政策を支持する立場からのものであり、移民がもたらす社会的変化に対する警鐘を鳴らしているのです。

オルバン首相の警告はもっともであり、ドイツの危機を象徴するような事件が先月末に発生しています。

この事件は、5月31日にマンハイム市で予定されていた「パックス・ヨーロッパ」という移民反対派市民運動の集会準備中に起こりました。25歳のアフガニスタン出身の移民スレマン・Aが、集会の主催者であるミヒャエル・シュトゥルツェンベルガー氏を突然襲撃したのです。

わずか25秒という短い時間の中で、6人が重軽傷を負う惨事となりました。中でも最も悲劇的だったのは、29歳の警官ルーヴェン・Lが首を刺されて2日後に死亡したことでした。

なくなった警察官のルーヴェン・L氏

犯人のスレマン・Aは2013年に14歳でドイツに入国した難民で、テコンドーの国際大会で入賞経験もある格闘家だったことが後に明らかになりました。またドイツの警察官は、通称ナイフ・ショールと呼ばれる防御帯を首にしていますが、犯人はこの防御帯の隙間にナイフを意図的に刺したことがわかっています。

この事件は、ドイツが長年抱えてきた難民政策や治安問題に関する議論を再び活発化させました。ドイツ政府は、これまでイスラムテロの危険性を軽視し、難民問題に関する本質的な議論を避ける傾向にありました。しかし、近年の難民の増加に伴い、外国人による犯罪や暴力事件が急増しており、社会の不安が高まっていました。

特に問題視されているのは、現在の左派政権下での言論環境です。政府の方針に批判的な意見を述べただけで「極右」のレッテルを貼られる風潮があり、マスコミもこれに追従し、健全な議論が困難になっています。国民の間では政府の対応への不満が高まっていますが、解雇や停学などの社会的制裁を恐れて声を上げにくい状況が生まれています。

この事件は、ドイツの難民政策や治安対策の根本的な見直しを迫る契機となる可能性があります。しかし同時に、若い警官の犠牲を払って初めてこの問題に真剣に向き合うことになった現状に対する悔しさや怒りの声も上がっています。

さらに、この事件は、ヨーロッパ全体の移民政策にも影響を与える可能性があります。EU諸国の中でもドイツは比較的寛容な難民政策を取ってきましたが、今後はより厳格な審査や管理が求められる可能性があります。

ドイツの移民政策は明らかな失敗であり、今回の警官殺害事件はその象徴的な結果だと言えます。2015年以降、ドイツは十分な審査や計画なしに大量の難民を受け入れ、この無秩序な政策が今回の事件の根本的な原因となりました。難民申請を却下された者でさえ国外退去させられないなど、移民管理における深刻な欠陥が露呈しています。

その結果、外国人による犯罪、特に暴力犯罪が急増し、公共の安全が著しく脅かされています。ナイフによる殺傷事件が1日60件に上るという事実は、移民政策の失敗が直接的に市民の生活を脅かしていることを示しています。同時に、多くの移民が社会に統合されず平行社会を形成し、文化的対立や社会的摩擦を生み出しています。

経済面でも、多くの移民が社会保障に依存し、ドイツの財政に大きな負担をかけています。特に2023年1月に導入された「市民金」制度は、この問題をさらに悪化させています。市民金は、基本的な生活費の提供、住宅費の補助、就労支援などを含む新しい社会保障制度ですが、低賃金で働くよりも条件が良いため、就労意欲を削ぐ結果となっています。この制度は、難民や移民も利用可能であり、長期的にドイツ経済の持続可能性を脅かしています。

さらに深刻なのは、移民政策に対する健全な議論が抑圧されている点です。批判的な意見が「極右」とレッテルを貼られ、問題の本質的な解決を困難にしています。政府は国民の安全よりも「寛容」や「多様性」といった理念を優先し、結果として警官の命が失われるような事態を招きました。

大量の移民を受け入れを始めたメルケル首相(当時)

今回の事件は、これらの失敗が積み重なった結果であり、ドイツの移民政策の欠陥を如実に示しています。本来の難民保護の理念から大きく逸脱し、経済移民の流入を招いた現状を直視する必要があります。

ドイツは今こそ、国民の安全を最優先し、厳格な入国管理、効果的な統合政策、そして法の厳正な執行を実施することが不可欠です。このような悲劇を二度と繰り返さないためにも、自国の利益と国民の安全を重視する移民政策への大きな転換が求められています。政府はこの事実を真摯に受け止め、根本的な政策の見直しを行うべきです。そうすることで初めて、安全で調和のとれた社会を再構築することができるでしょう。

無秩序な大量移民の受け入れは国家の自殺行為に等しく、日本は断固としてこの道を避けるべきです。

ドイツでは警官までもがイスラムテロの犠牲となり、ナイフ犯罪が日常茶飯事となっています。かつての安全な街は失われ、ドイツ人は自国で恐怖に怯えています。我々は日本の治安を守り、国民の安全を第一に考えなければなりません。

文化的にも、ドイツは取り返しのつかない混乱に陥っています。イスラム教徒の増加により伝統的なキリスト教文化が脅かされ、ドイツらしさが失われつつあります。日本の固有の文化や伝統を守ることは我々の責務です。

経済面でも、寛大すぎる社会保障制度により、働かない移民が増え、勤勉なドイツ国民の負担が増大しています。日本がいまだデフレを完璧に克服を考えれば、このような愚策は絶対に避けるべきです。

左翼やリベラル勢力は「多様性」や「寛容」を謳いますが、それは国家の存立を危うくする空虚なスローガンに過ぎません。ドイツの混乱は、彼らの主張が如何に危険であるかを如実に示しています。

日本は、自国の利益と国民の安全を最優先する政策を堅持すべきです。厳格な入国管理と、資格要件を厳しくしたうえでの少数の受け入れこそが、我が国の繁栄と安定を守る唯一の道なのです。ドイツの二の舞を演じないためにも、我々保守派の主張こそが日本の未来を守る正しい選択であることを、国民は理解すべきです。

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2024年6月22日土曜日

南鳥島沖レアメタル鉱物密集―【私の論評】日本の海洋資源戦略:マンガンノジュールからインド太平洋戦略まで

南鳥島沖レアメタル鉱物密集


まとめ
  • 東京大学と日本財団の調査で、南鳥島沖の海底にレアメタルを豊富に含むマンガンノジュールが約2億3000万トン確認され、日本が資源大国になる可能性が示唆された。
  • 確認された鉱物には、国内消費分の約75年分のコバルトと約11年分のニッケルが含まれていると推計されている。
  • 来年から実証試験を開始し、2026年以降の商用化を検討している。


日本の鉱物資源の活用が前進する可能性があります。電気自動車の電池などに使われるレアメタルを豊富に含む鉱物が小笠原諸島の南鳥島沖に密集していることが東京大学などの調査でわかりました。

日本財団 笹川陽平 会長
「資源大国になれる可能性がある」

東京大学と日本財団によりますと、日本の排他的経済水域内にある南鳥島沖の海底を調査したところ、レアメタルを豊富に含むマンガンノジュールと呼ばれる鉱物がおよそ2億3000万トン確認されたということです。

鉱物には、▼コバルトが国内消費分のおよそ75年分、▼ニッケルがおよそ11年分、含まれていると推計されています。

来年から実証試験を始め、2026年以降、商用化を検討するとしています。

レアメタルはEV=電気自動車の電池に使われるなど世界的に需要が高まっていて、“資源小国”の日本が今後、海底資源を活用できるかが焦点となります。

【私の論評】日本の海洋資源戦略:マンガンノジュールからインド太平洋戦略まで

まとめ
  • マンガンノジュールには、マンガン、コバルト、ニッケル、銅などの重要金属が含まれており、これらは電池、鉄鋼製造、ハイテク機器など現代技術に不可欠です。
  • 日本は広大な排他的経済水域(EEZ)を有し、海底熱水鉱床、レアアース泥などの資源開発を進めることで、資源自給率向上と将来的な輸出国化の可能性があります。
  • 南鳥島沖でのレアアース試掘計画やマンガンノジュールの発見は、日本の海底資源開発における重要な取り組みであり、資源安全保障強化に貢献します。
  • 安倍首相の「自由で開かれたインド太平洋」戦略は、資源安全保障を含む包括的なアプローチで、シーレーンの安全確保、資源供給源の多様化、国際協力の促進を目指しています。
  • 日本の海洋資源開発は、単なる経済的利益追求ではなく、国際協調と平和構築のビジョンを示し、新たな国際秩序の構築を目指すものです。

マンガンノジュールには以下の金属が含まれています。
  • マンガン:鉄鋼の製造において、酸素と硫黄を還元する試薬として使用され、特殊鋼やアルミニウム、銅の合金化剤としても利用されます。また、乾電池の電極や化学工業の酸化剤としても重要です
  • コバルト:電気自動車(EV)の電池やハイテク機器に使用されます。
  • ニッケル:ステンレス鋼や電池の製造に使用されます。
  • :電気配線や電子機器に使用されます。
これらの金属の用途は以下です。
  • スマホ、電気自動車等の電池:コバルトとニッケルはリチウムイオン電池の主要な成分であり、電気自動車の性能と寿命を向上させるために不可欠です。
  • 鉄鋼の製造:マンガンは鉄鋼の強度、硬度、耐食性を向上させるために使用され、特にステンレス鋼や特殊鋼の製造において重要です。
  • ハイテク機器:コバルトはスマートフォンやノートパソコンなどの電子機器の製造にも使用されます。
  • ステンレス鋼:ニッケルはステンレス鋼の製造に不可欠であり、耐食性や強度を高めます。
  • 電気配線:銅は優れた導電性を持ち、電気配線や電子機器の主要な材料として使用されます。
これらの金属資源は、現代のテクノロジーやグリーンテクノロジーにおいて欠かせないものす。

日本が資源自給率を高めるだけでなく、輸出国になる可能性もあります。日本は既にメタンハイドレートやシェールガスの試掘に成功しており、これらの資源の商業化が進めば、エネルギー自給率の向上が期待されます。

また、世界的に資源ナショナリズムが進行している中で、日本が自国の資源開発を進めることで、国内での資源供給が安定し、余剰分を輸出することが可能になるかもしれません。これらの要素を考慮すると、日本が資源自給率を高めるだけでなく、将来的には資源輸出国になる可能性も十分に考えられます。

南鳥島近辺はこれ以外にも、レアアース試掘計画がすすめられています。

政府が進める日本最東端の南鳥島沖でのレアアース試掘計画が、当初の予定から約1年遅れ、令和7年度以降に開始されることが昨年明らかになりました。遅延の主な原因は、海底から泥を吸い上げるための「揚泥管」の調達の遅れです。ウクライナ戦争の影響で、英国の製造企業が軍事部門に注力したため、揚泥管の製造に遅れが生じています。

南鳥島沖の水深約6千メートルの海底には、世界需要の数百年分相当のレアアースを含む泥が確認されています。政府の計画では、地球深部探査船「ちきゅう」から揚泥管を伸ばし、1日当たり約70トンの泥を吸い上げる予定です。

地球深部探査船「ちきゅう」

南鳥島沖のレアアース試掘計画とマンガンノジュールの発見は、直接的な関係はありませんが、どちらも日本の海底資源開発における重要な取り組みです。

レアアース試掘計画は政府が進める海底泥からのレアアース採掘を目指すもので、一方のマンガンノジュールの発見は東京大学と日本財団による調査結果です。両者は同じ南鳥島沖の海域で行われていますが、対象資源が異なります。

これらの取り組みは、日本が海底資源開発を通じて資源自給率を高め、中国などへの依存度を下げることを目指す国家戦略の一環として位置づけられています。両プロジェクトは日本の海洋資源開発の可能性を示す重要な成果であり、将来的な資源安全保障に貢献する可能性があります。

日本の領海と排他的経済水域(EEZ)を合わせた面積は約447万km²に及び、これは世界第6位の広さです。この面積は日本の陸地面積(約37.8万km²)の約12倍に相当し、多くの離島を含むため広大です。

日本の海域には、海底熱水鉱床、コバルト・リッチ・クラスト、マンガン団塊、メタンハイドレート、海底石油・天然ガス、レアアース泥などの資源が存在する可能性が指摘されています。これらの資源は、日本の資源自給率を高めるだけでなく、将来的には輸出国になる可能性も秘めており、政府は資源安全保障の強化を目指しています。

将来的には、日本が豊富な海洋資源を背景に、国際的な平和と繁栄に貢献すべきです。世界的に需要が高まるレアメタルやエネルギー資源を安定的に供給し、国際市場の安定化に寄与し、これを通じた外交関係の強化や、資源開発技術の共有を通じて、他国との協力関係を深めることによって世界に平和と安定をもたらすべきです。



安倍総理の「自由で開かれたインド太平洋」戦略は、世界に新たな秩序をもたらし、現在でも日本の国家安全保障の中核を成すものであり、資源安全保障と密接に関連しています。この戦略は、重要なシーレーンの安全確保を通じて日本のエネルギー資源の安定供給を保証し、同時に資源供給源の多様化を推進しています。また、国際法に基づく秩序維持により、南シナ海や東シナ海における日本の海洋資源権益も守ろうとしています。

さらに、この戦略は地域諸国とのエネルギー協力促進や、インフラ投資を通じた新たな資源開発機会の創出も目指しています。技術協力による資源利用効率化や循環型経済の推進、経済連携協定の締結による安定的な資源取引環境の整備も、戦略の重要な側面です。加えて、新エネルギー技術の開発・普及を通じて、長期的な資源安全保障の強化も図っています。

このように、安倍首相のインド太平洋戦略は、地政学的な構想を超えて、日本の経済安全保障、特に資源安全保障を多面的に強化する包括的なアプローチとなっており、変化する国際環境の中で日本のエネルギーと資源の安定確保を目指す長期的なビジョンを示しているのです。

日本の海洋資源を活用した国際貢献は、安倍首相のインド太平洋戦略の重要な一面を形成しています。それは単なる経済的利益の追求ではなく、資源を通じた国際協調と平和構築の ビション を示すものです。この アプローチは、資源をめぐる紛争を防ぎ、共存共栄の理念に基づいた新たな国際秩序の構築を目指すものであり、安倍首相の外交ビジョン の本質的な部分を体現しするものでもあるのです。

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2024年6月21日金曜日

変化が始まったEU、欧州議会 選挙の連鎖は続くのか?―【私の論評】日本メディアの用語使用に疑問、欧州の保守政党を"極右"と呼ぶ偏見

変化が始まったEU、欧州議会 選挙の連鎖は続くのか?

まとめ
  • 2024年6月の欧州議会選挙で右派・極右政党が躍進し、EUの政策に影響を与える可能性が高まった。
  • 移民政策の厳格化、環境規制の緩和、ウクライナ支援の見直しなど、EUの主要政策に変更が生じる可能性がある。
  • フランスでは選挙結果を受けてマクロン大統領が議会を解散し、極右政党のさらなる躍進が懸念されている。
  • 世界的に保護主義化の傾向が強まっているが、これは一時的な反作用である可能性もある。
  • 右派の躍進によるEUの政策変更は、日本の自動車産業などにとってはチャンスとなる可能性がある。
欧州議会選挙マップ(青が与党)

 2024年6月6日から9日にかけて実施された欧州議会選挙は、EUの今後5年間の政策方針を決める重要な選挙となりました。この選挙では、多くの国で右派・極右政党が躍進し、全体で20%以上の議席を獲得しました。これらの政党は、インフレ、移民問題、環境規制などに対する不満を背景に支持を集めました。

 フランス、ドイツ、ポーランド、イタリアなど主要国で右派勢力が伸長しましたが、全体としては中道右派の欧州人民党(EPP)が最大会派を維持し、連立3会派で過半数を確保しました。しかし、右派の躍進により、EUの移民政策、環境政策、ウクライナ支援などに影響が出る可能性が高まっています。

 特に注目されるのは、移民政策の厳格化、環境規制の緩和、ウクライナ支援の見直しなどです。右派・極右政党は、これらの問題に対してより保守的な立場を取っており、EUの従来の政策方針に変更を迫る可能性があります。

 フランスでは、選挙結果を受けてマクロン大統領が議会を解散し、新たな選挙に突入しました。極右政党のさらなる躍進が懸念されており、フランスの政治情勢が欧州全体に影響を与える可能性があります。

 この選挙結果は、世界的に広がる保護主義化の傾向を反映しているとも言えます。グローバル化に伴う様々な問題に対処するため、「自国は自国で守る」という考え方が強まっているようです。しかし、この傾向は一時的な反作用である可能性もあり、中長期的な視点で状況を見極める必要があります。

 一方で、このような変化は日本にとってチャンスとなる面もあります。例えば、EUでの「EVへの完全移行」に対する異論の高まりは、日本の自動車産業にとって有利に働く可能性があります。日本が強みを持つハイブリッド車やプラグインハイブリッド車の技術が再評価される可能性があるからです。

 今回の欧州議会選挙の結果は、EUの政策決定に大きな影響を与えるだけでなく、世界の政治経済の動向にも波及する可能性があります。今後のEUの動向、特に移民政策や環境政策、対外関係などの分野での変化に注目が集まっています。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。「まとめ」は元記事の要点をまとめて箇条書きにしたものです。

【私の論評】日本メディアの用語使用に疑問、欧州の保守政党を"極右"と呼ぶ偏見 

まとめ
  • 日本の主要メディアが欧州の保守派政治家を「極右」と呼ぶことは偏見を含み、不適切である。特に、民主的に選出された政治家に対してこの用語を使用することは、その妥当性が疑わしい。
  • 欧州議会選挙で躍進した保守派政党は、EUの権限拡大や大規模な移民流入に反対し、各国の主権や文化を重視する立場を取っている。これらの政策は極端ではなく、多くの有権者の支持を得ている。
  • 米国の共和党や英国の保守党など、他国の主要な保守政党が「極右」と呼ばれることはほとんどない。日本のメディアも他国の政治傾向を安易に断定すべきでない。
  • 「極右」という言葉は、20世紀前半のファシズムや国家社会主義を指す言葉として使用されてきたが、現代の政治的言説では不適切に適用されることが増えている。
  • 欧州の保守派政党の躍進は、日本の保守派にとって自らの主張の正当性を裏付ける材料となるり、移民政策への反対や伝統文化の保護、技術革新と環境保護のバランスを重視する政策提言が可能になる。また、防衛力強化やデジタル主権確立の動きも、日本の保守派にとって重要なチャンスとなる。
上の記事では、極右という言葉を使っていませんが、他のメディアでは極右が躍進という言葉を使っているものが多いです。これには違和感を感じます。

G7サミットでイタリアのジョルジャ・メローニ首相が議長を務めましたが、日本の主要メディアは彼女を含む欧州の保守派政治家を「極右」と呼んでいました。この表現は偏見を含み、不適切です。

イタリアのジョルジャ・メローニ首相

欧州議会選挙で保守派政党が躍進したが、これらの政党はEUの権限拡大や大規模な移民流入に反対し、各国の主権や文化を重視する立場を取っています。しかし、これらの政策が「極右」と呼ばれる理由は不明確です。

「極右」という表現は、民主的な選挙で多数の支持を得た政党や政策に対して使用されており、その妥当性は疑わしいです。この用語の使用は、使用者自身の政治的立場を反映している可能性があります。EUの政策に対する批判や移民政策への反対が自動的に「極右」とされるべきではないです。日本のメディアは、他国の政治傾向を安易に断定することを避けるべきです。

「極右」という言葉は、20世紀前半のファシズムや国家社会主義など、極端な全体主義的イデオロギーを指す言葉として使用されてきました。しかし、現代の政治的言説では、この言葉が民主的に選出された保守的政治家や政党に対して不適切に適用されることが増えており、これは問題視されるべき状況です。

突撃隊員を閲兵するヒトラーとレーム(1931年9月)

例えば、イタリアのジョルジャ・メローニ首相は、2022年の選挙で民主的に選出され、G7サミットの議長を務めるなど国際舞台で活躍しています。同様に、フランスのマリーヌ・ルペン氏も国民の広範な支持を得ており、2022年の大統領選挙では決選投票に進出しました。これらの政治家たちが「極右」と呼ぶことは、彼らの政策や支持基盤の実態を正確に反映していないと言えます。

彼らの政策を詳しく見ると、国家主権の尊重、伝統文化の保護、慎重な移民政策、家族の価値観の重視など、典型的な保守的価値観に基づいていることがわかります。これらの政策は、グローバリゼーションや急速な社会変化に対する不安を抱える多くの有権者の懸念に応えるものであり、全く極端といえるものではありません。

さらに、欧州議会選挙の結果を見ても、保守派政党の躍進が顕著です。2024年の選挙では、ドイツの「ドイツのための選択肢(AfD)」が第二党に躍進し、フランスでは「国民連合」が与党を大差で破りました。これらの結果は、保守的な政策に対する有権者の支持が広がっていることを示しています。

国際的な文脈を考えると、米国の共和党や英国の保守党など、他の国の主要な保守政党が「極右」と呼ばれることはほとんどありません。例えば、米国のドナルド・トランプ元大統領は、移民政策や国家主義的な姿勢で知られていますが、一般的には「保守派」または「右派」と呼ばれることが多いです。

「極右」という言葉の使用は、政治的な立場を過度に単純化し、重要なニュアンスを失わせる危険があります。例えば、環境政策に関して、多くの「極右」と呼ばれる政党が気候変動対策に慎重な姿勢を示していますが、これは必ずしも環境保護を否定しているわけではなく、経済的影響を考慮した上での慎重な姿勢である場合が多いです。

また、「極右」という言葉の使用は、特定の政治勢力を不当に貶める効果があり、建設的な政治的対話を阻害する可能性があります。例えば、2016年のイギリスのEU離脱(Brexit)を支持した人々が「極右」と呼ばれることがありましたが、これは国民投票で過半数の支持を得た政治的選択を不当に否定的に描写することになります。

代わりに「保守派」という中立的な用語を使用することで、より公平で偏りのない政治的議論が可能になります。これは、民主主義の健全な発展に寄与し、多様な政治的見解を尊重する社会の構築につながります。私自身も、日本のメディアに影響されていて、無意識に「極右」という言葉を使うこともありましたが、これを機会にきっぱりとやめようと思います。

結論として、「極右」という言葉の代わりに「保守派」を使用することは、現代の複雑な政治的現実をより正確に反映し、建設的な政治的対話を促進する上で重要です。これは、民主主義の原則を尊重し、多様な政治的立場を公平に扱うための重要なステップとなるでしょう。

米保守派の集会

日本の保守派にとって、現在の欧州の政治的変化は重要なチャンスをもたらす可能性があります。まず、欧州での保守派政党の躍進は、日本の保守派にとって自らの主張の正当性を裏付ける材料となるでしょう。特に移民政策や伝統文化の保護といった分野で、欧州の動向を参考にした政策提言が可能になるかもしれません。

また、EUのEV政策への異論の高まりは、日本の自動車産業にとって有利に働く可能性があります。これは単に経済的な機会だけでなく、技術革新と環境保護のバランスを重視する保守的な立場を強化する機会にもなるでしょう。

さらに、欧州の防衛力強化の動きは、日本の防衛産業の発展や自衛隊の役割拡大を主張する保守派にとって追い風となる可能性があります。欧州との防衛協力を通じて、日本の安全保障政策の見直しを促す機会にもなるかもしれません。

加えて、欧州でのデジタル主権確立の動きは、日本の保守派が主張する国家主権の重要性を裏付ける事例として活用できるでしょう。これは、グローバル化の中での国家の役割を再定義する議論につながる可能性があります。

これらの機会を活かすためには、日本の保守派が欧州の動向を注視し、国内の文脈に適した形で政策提言を行っていくことが重要です。同時に、単なる模倣ではなく、日本の独自性を保ちつつ国際協調を進める姿勢が求められるでしょう。

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