2022年7月31日日曜日

ペロシ米下院議長、アジア歴訪を発表も訪台は明示せず 割れる賛否―【私の論評】ペロシの台湾訪問は米国による対中国「サラミスライス戦術」の一環(゚д゚)!

ペロシ米下院議長、アジア歴訪を発表も訪台は明示せず 割れる賛否

ペロシ下院議長

ペロシ米下院議長は31日、アジア歴訪を正式発表した。訪問先は日本、韓国、シンガポール、マレーシアとしており、焦点の台湾を訪れるかどうかは明記していない。正副大統領に続く米国ナンバー3の下院議長が訪問すれば、中国が統一圧力を高める台湾への連帯を強く打ち出せるが、一層の米中関係悪化と情勢の不安定化を招くジレンマがあり、賛否は割れている。

発表によるとペロシ氏は31日までに給油でハワイに立ち寄った。ワシントン出発日は不明。ミークス下院外交委員長ら5議員も同行している。

米下院議長が訪台すれば、1997年のギングリッチ氏以来25年ぶり。ペロシ氏は中国の人権問題での厳しい立場で知られ、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世とも親交がある。28日にバイデン大統領と電話会談した習近平国家主席は「火遊びは自らを焼き滅ぼす」と牽制(けんせい)した。

【私の論評】ペロシの台湾訪問は米国による対中国「サラミスライス戦術」の一環(゚д゚)!

米政府は中国が台湾への圧力を強める中、台湾に現状維持の保証を与えるために、台湾への支持を示す行動を段階的に展開してきました。今回ペロシ下院議長が台湾を訪問することになれば、これもその一環であると考えられます。

北京ではしばしば、「サラミ・スライス戦術」を使用して、飛躍的な変更ではなく、段階的な進歩を通じて現状を変えてきました。

例えば南シナ海では1つずつ埋め立て(人工島の建設)を行い、1つずつ新たな軍事基地を建設して、米国との対決につながる可能性のあるさらに大きな挑発を回避しながら、その影響力や権益を徐々に拡大しました。

習近平氏は、数年前から米国版の「サラミ・スライス戦術」に直面することになりました。この戦略は数年後にピークに達し、台湾の国際的地位を大幅に向上させる可能性があります。

そうして、この戦術は、成功する可能性が高いです。なぜなら、このブログでは従来から指摘してきたとおり、今でも米軍の海軍力は中国のそれを大きく上回っているからです。

米国国防省や米海大の台湾有事のシミレーションでは、なぜか米軍は、攻撃型原潜を用いることはありません。なぜそのようなことをするかといえば、米国の攻撃力に優れた攻撃型原潜をシミレーションに参加させれば、米海軍の中国に対する絶対優位性が証明されることになり、シミレーションの本来の目的が達成されなくなってしまうからです。

本来の目的は何かとえば、米海軍の脆弱な部分を補給するための予算を獲得すること、さらに米海軍の脆弱な点に対して、世間の耳目を惹き付けることです。

そのシミレーションの目的は、十分とはいえないものの、ある程度は効果を現しているようです。しかし、そこにたとえば、オハイオ型攻撃型原潜を参加させれば、これは比較的大型の艦体や動力ゆえに、トマホーク巡航ミサイルを154基も搭載でき、これは米誘導ミサイル駆逐艦の1.5倍以上、米海軍の最新鋭攻撃型潜水艦の4倍近いです。

米オハイオ級攻撃型原潜

トマホーク1基では、爆発力の高い弾頭を最大1000ポンド(約450キロ)搭載可能です。さらに、現在の米国の大型原潜は、巡航ミサイル以外にも、対艦ミサイル、対空ミサイル、魚雷等を多数配備し、さながら海中の大型ミサイル基地のようであり、その攻撃力は半端ではありません。

このような大型攻撃型原潜が1隻でも、台湾近海に潜んでいれば、台湾有事には最初の一撃で、多くの艦艇、航空機、中国の防空施設、監視衛星の地上施設を攻撃すれば、中国海軍は壊滅的打撃を受けることになります。

それを覚悟の上で、無理に中国が台湾に上陸部隊を上陸させたにしても、米攻撃型原潜が台湾近海に潜んでいれば、中国海軍の艦艇や航空機が、台湾に近づけばこれがことごとく破壊され、上陸部隊への補給ができず、上陸部隊はお手上げ状態になります。

中国はASW(Anti Submarine Warfarea:対潜戦)においては日米に著しく劣る中国海軍には、これに対抗する術はほとんどありません。中国軍は、米攻撃型原潜が台湾沖に恒常的に潜むことになり、米軍がそれを公表する事態になれば、第三次台湾海峡危機(1995年-1996年)において、米軍の空母に対応できず、軍事恫喝を継続することができなかったときのように、再度米国の攻撃型原潜に屈服することになります。

これについては、米国の著名な戦略家、ルトワックも台湾有事には米軍は攻撃型原潜を2、3隻攻撃型原潜を台湾沖に派遣すれば、十分防衛できると主張しています。台湾有事に、わざわざ空母打撃群などを最初に派遣して、中国軍に大きな標的を与える必要性など全くありません。

一部の米評論家は、この事実を見ようともせず、米国がやっていることはまだ十分ではない、米国は台湾に軍隊を駐留させるか、あるいは習近平氏により明確な公開警告を発するべきと信じているようです。

しかし、米軍の海戦能力が中国を遥かに凌駕している現在、「曖昧戦略」は取り消しても良いかもしれませんが、それ以上は必要があるとは到底思えません。無論、サラミスライス戦術が功を奏して、台湾に米国が軍隊を駐留させても良いとか、習近平にはっきりと警告を出しても良い時期が来た場合には、すべきとは思います。

中国当局は30日、台湾の対岸に位置する福建省福州市の平潭(へいたん)島の周辺海域で実弾射撃訓練を行うため船舶の進入を禁じました。平潭島は台湾に最も近い中国の島とされており、ペロシ米下院議長の台湾訪問計画を牽制(けんせい)する狙いがあるとみられます。

中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報の胡錫進前編集長は31日までに、台湾訪問の可能性が取り沙汰されているペロシ米下院議長について、中国軍による台湾入りへの妨害に効果がなければ搭乗機を「撃ち落とせ」と英語でツイートしました。規定違反だと警告されたため、その後削除しました。胡氏は著名な愛国主義的論客です。

過激な発言で有名な、環球時報の胡錫進前編集長

胡氏が短文投稿サイト微博(ウェイボ)に投稿した経緯の説明によると、29日に「台湾に入るペロシ氏の搭乗機を米軍戦闘機がエスコートすれば、それは侵略だ。人民解放軍には警告射撃や妨害を含め、搭乗機と戦闘機を強制的に駆逐する権利がある。効果がなければ、撃ち落とせ」とツイート。規定違反だとされて非表示になり、アカウントを復活させるため削除しました。

中国としては、ペロシの台湾訪問は嫌で嫌でしょうがないのでしょう。

米軍嘉手納基地に30日、米国内の空軍基地に所属するKC135空中給油機9機が次々と飛来した。そのほか、空母艦載輸送機C2Aグレイハウンド2機と、米軍ホワイトビーチに入港した米海軍の強襲揚陸艦トリポリの搭載機、MH60ヘリ1機も飛来しました。ペロシ米下院議長の台湾訪問計画を受け、米中間の緊張が高まっているためとみられます。

これに先立つ28日、米海軍第7艦隊は、ロナルド・レーガン空母打撃群がシンガポールに寄港後、南シナ海に戻ったことを明らかにしました。

ロナルド・レーガン空母打撃群

ペロシの台湾訪問は、台湾にさらに現状維持の保証を与えるための大きな一歩となることでしょう。是非実現していただきたいものです。それにしても、ペロシの訪問が、これだけのインパクトを中国与えるわけですから、安倍元総理が訪問していたらどういうことになったか想像に余りあります。

そうして、このような段階的な米国の「サラミスライス戦術」これからも少しずつ実行されていくことでしょう。

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2022年7月30日土曜日

中国共産党中央政治局、当面の経済情勢と経済活動を分析研究する会議を開催―【私の論評】「流動性の罠」と「国際金融のトリレンマ」で構造的に落ち込む中国経済!(゚д゚)!

中国共産党中央政治局、当面の経済情勢と経済活動を分析研究する会議を開催



 中国共産党中央政治局は28日に会議を開き、当面の経済情勢を分析・研究し、下半期の経済活動を手配しました。この会議は習近平中国共産党中央委員会総書記が主宰しました。

 会議では、「今年に入ってから、複雑で厳しい国際環境と国内の改革・発展・安定の任務に直面し、われわれは感染症対策と経済・社会発展の取り組みを効果的かつ統一的に計画してきた。新型コロナウイルス対策は積極的な成果を収め、経済・社会発展は新たな成果を収めた。同時に、現在の経済運営はいくつかの際立った矛盾と問題に直面している」との認識が示されました。

 会議では、「下半期の経済活動は質の高い発展の推進に力を入れ、新型コロナウイルス感染症を防ぎ、経済を安定させ、発展を安全にするという要求を全面的に実行していく。経済の回復・好転傾向を固め、雇用の安定・物価の安定に力を入れ、経済の動きを合理的な範囲内に保ち、最善の結果の実現を目指す」と強調しました。

 さらに、会議では、「改革開放を経済発展の原動力とする必要がある。国有企業改革3カ年行動案を引き続き実施しなければならず、プラットフォーム経済の規範的で健全な持続的発展を推進していく。輸出を積極的に促進し、輸入を拡大し、技術と外資導入をしっかりと行い、『一帯一路』共同建設の質の高い発展を推進していかなければならない」と指摘しました。

 また、国民生活保障を着実に行うことが強調され、困難を抱える人々の基本的生活の保障に力を入れ、大卒などの重点対象の就職をしっかりと支援する必要があるとしています。

【私の論評】「流動性の罠」と「国際金融のトリレンマ」で構造的に落ち込む中国経済!(゚д゚)!

上の会議、当面の経済情勢を分析・研究し、下半期の経済活動を手配したとしていますが、上記の記事を読んでいる限りでは、具体的な政策は何もありませんでした。

この会議では、成長押し上げに向けた新たな刺激策、投資と消費に破滅的な打撃を与えているコロナ封鎖の緩和、そして何より重要な不動産市場に対する締め付け解除について、何も決定されませんでした。

それどころか、中国指導部は今年の成長目標について、事実上の撤回に動いた。秋に異例の3期目続投を目指す習近平国家主席にとって政治的に重大な年に、中国経済が直面する逆風を暗に認めたと言えそうです。中国経済の突然の減速の詳細については、他のメディアをあたってください。

ここでは、中国経済の急減速、に対してなぜ何の対策も打とうとしないのか、その理由について掲載します。

ただ、中国が何もしていないということはなく、現在金融緩和を実施しています。ところが、中国の銀行システムには十分過ぎるほどの流動性があるものの、借り入れ需要が低調なままで、銀行間の翌日物レポ金利は昨年1月以来の水準まで低下しています。

翌日物レポ金利は27日に1%割れ。今月に入り94ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下しており、中国人民銀行(中央銀行)が供給している流動性の多くが市中銀行に滞留していることを示唆しています。

中国当局は景気てこ入れを図るのですが、直面する難しさが浮き彫りとなっています。新型コロナウイルスを徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策や住宅危機の拡大で資金需要は低調なままで、潤沢な流動性が需要喚起につながっていないのです。


さらには、低水準の資金調達コストを利用して銀行がレバレッジ増や国債・政策銀行債への投資を進めている兆しもあります。

現在中国ではは過剰な資金が実体経済に行き渡るのではなく、金融システムに積み上がっているようです。金融緩和で需要を押し上げることができない「流動性のわな」のリスクが高まりつつあり、コロナ感染が各地で見つかる中、7月の借り入れ需要は前月から鈍化したもようです。

さらに、中国河南省の省都・鄭州市で10日、不正流用事件のため、預金の引き出しを停止した地元銀行の預金者約3000人が集団抗議を行い、警官隊と衝突しました。日本では考えられないような異常事態です。

日本等の変動為替相場で、資本の移動が自由な国であれば、流動性の罠に陥り、名目金利が限界まで引き下げられなくなっても、マネーの量的拡大によって「いつかはインフレになる」と民間が予想することになります。それを利用して需要を創出することができます。

しかし、現状の中国はなかなかそうはいかないようです。昨日のブログに掲載したとおり、中国は国際金融のトリレンマにより独立した金融政策ができない状況に陥っています。

中国は、2016年頃、景気回復を狙い「固定為替相場制」をあきらめて、人民元を切り下げたところ、資本流出が加速したため、すぐに資本規制に乗り出していました。

日本をはじめとするいわゆる先進国は、「固定為替相場制」を放棄して、変動為替相場制に移行しています。これによって、「独立した金融政策」「自由な資本移動」を同時に達成することができました。

しかし、中国の場合は「固定為替相場制」を維持していますから、これをこれからもこれを維持し続けるというのなら、国際金融のトリレンマを克服するためには、「独立した金融政策」もしくは、「自由な資本移動」のうちのいずれかを捨てなけれはならないということになります。「自由な資本移動」を捨てるとは、中国から海外への投資や、海外からの中国への投資をさせないということです。中国は資本移動のある程度の規制をしてはいますが、それを完璧に捨て去るようなことはとてもできないでしょう。
国際金融のトリレンマ


変動相場制に移行すれば、元はかなり安くなることが予想されます。おそらく、中国はこれかも、過去のようにその都度弥縫策を講じて何とかしようとするでしょう。結局現状維持をするでしょうから、これからも独立した金融政策ができないことになります。

そうなると、上で示した、日本等の変動為替相場で、資本の移動が自由な国であれば、流動性の罠に陥り、名目金利が限界まで引き下げられなくなっても、マネーの量的拡大によって「いつかはインフレになる」と民間が予想することになり、それを利用して需要を創出することができますが、中国にはできないということになります。

「流動性の罠」にはまった現在、これを解消しようとして金融緩和をしても現状では効き目がなく、かといって金融緩和を継続し続けると、「国際金融のトリレンマ」によって、資本の海外逃避や、不況下のインフレ(スタグフレーション)が起こったりで、何らかの不都合が起こるため、それもできません。

今後、何かを根本的に変えないと、中国経済は低迷し続けることになります。少しうがった見方かもしれませんが、中国政府はすでにこのことに気付いているため、それをカモフラージュするため、「ゼロコロナ」政策に固執しているようにみせかけ、経済の落ち込みは主にこれによものとみせかけ、時間稼ぎをしているのかもしれません。

ただ、いくら時間稼ぎをしたとしても、何かを根本的に変えないと、中国経済は今後成長する見込みはなさそうです。

この秋に中国共産党第20回党大会を控え、習近平政権は内憂外患の危機に直面しています。国内には習政権の新型コロナウイルス対応に対する不満が噴出し、経済は急減速し回復の見込みもなく、外交面ではロシアのウクライナ侵攻以降、中露の同一視に基づく対中包囲網の形成が進んでいます。

このような、情勢は第20回党大会で異例の3期目を迎えるであろう習近平総書記に、さまざまな試練を突き付けています。


巨額貸し倒れリスクに怯える中国、これが「第二のスリランカ候補国リスト」だ―【私の論評】中国は民主化しなければ、閉塞感に苛まされるだけになる(゚д゚)!

「一帯一路」に〝亀裂〟参加国が続々反旗 スリランカが債務不履行、各国が借金漬けに 親ロシア、東欧地域も戦略失敗で高まる反中感情―【私の論評】自国民一人ひとりを豊かにできない中国が「一帯一路」を成功させる見込みはない(゚д゚)!

米国の台湾への「戦略的明晰さ」と中国の焦り―【私の論評】中国が台湾を武力で威嚇すれば、1998年の台湾海峡危機のように、なすすべもなく後退するしかなくなる(゚д゚)!

中国はウクライナ戦争で台湾戦略を変化させるのか―【私の論評】米軍による台湾防衛は実は一般に考えられている程難しくはないが、迅速に実行すべき(゚д゚)!

2022年7月29日金曜日

米中新冷戦下で見える途上国の「事なかれ」外交―【私の論評】戦後にウクライナが EUに加入し、急速な経済発展を遂げれば、途上国も「事なかれ」主義ではいられなくなる(゚д゚)!

米中新冷戦下で見える途上国の「事なかれ」外交

岡崎研究所

 ロシアによるウクライナ侵略を巡る国連緊急特別総会では、141カ国がロシア非難決議に賛成し、棄権した国の中にもロシアの行為を認めない発言をした国が多いが、対ロシア制裁に参加している国は40カ国強に過ぎず、アジア、アフリカ、ラテンアメリカ諸国は、ほとんど参加していない。


 その背景には、貿易や武器供与等のロシア依存、ソ連時代からの伝統的な友好関係、自国が関係する紛争について安保理でロシアに借りのある国々、欧米諸国に対する一般的な反発、或いは単に自国と関係のない紛争に巻き込まれたくないとの事なかれ主義など、さまざまな事情がある。

 Foreign Policy誌のコラムニスト、ジェイムス・トラウブ7月9日付けの論説‘Cold War 2.0 Is Ushering In Nonalignment 2.0’は、このような途上国がウクライナ問題で西側とロシアの間で中立の立場をとるのは、それ以前の米中覇権争いにおいて、既に醸成されていた超大国の間でいずれかの側に付くような選択を強いられたくないとの主張が結晶化したもので、新たな非同盟運動とも言える、と分析している。

 その背景には、西側諸国への批判と自国の利益を守るための実利的、方法論的判断基準があり、伝統的な非同盟運動がイデオロギーに基づいていたこととは異なっている。従って、ウクライナ戦争を民主主義と独裁主義の対立と位置付けるバイデン外交は、これらの途上国の支持を得られず、むしろ亀裂が深まっているのは、北と南の関係であると指摘する。

 しかし、非同盟運動は現在でも存在しており、現在はウガンダが議長国で2023年までには首脳会議が開催される予定である。非同盟運動の平和10原則の第1が基本的人権と国連憲章の趣旨と原則の尊重であり、第2が全ての国の主権と領土保全の尊重であるので、ウクライナ戦争での中立的立場とは相いれないはずである。

 非同盟運動はこの平和10原則と不可分のはずなので、最近の非同盟諸国の脱イデオロギー的な中立の傾向を第2次非同盟運動と呼ぶことにはやや抵抗感を覚え、むしろ非同盟運動の変質というべきであろう。

 バイデンの価値観外交とウクライナ戦争でロシアを敗退させるという外交目的の間では矛盾が生じ得る。すなわち、途上国には、民主的とは言えない国が多いのは現実であり、内政不干渉は非同盟運動のもう一つの重要原則でもあるので、米国による突出した民主化の圧力はこれらの国をロシア側に追いやってしまうことにもなりかねない。民主化促進は、国連や地域的国際機関或いは利害関係国との協調で取り組むといったバランス感覚が必要ではなかろうか。
経済は中国、安保は米国

 途上国は、経済的利益では中国を重視するが、安全保障の面では米国を頼りにしている国も多い。新冷戦構造において、これらの国々が中国を支持する側に付くかどうか注目される。

 この点につきトラウブは、「中国の一帯一路政策の背景には、経済面以外に、台湾有事の際に国連で非難決議が採択されないよう、インフラへの資金供給と引き換えに核心的利益の相互支持を取り付けるといった政治的意図がある。新冷戦構造が深刻化すれば、南の国々は、米中いずれの立場にもくみしないという中立原則をより重視することとなり、中国の思惑通りに行かない可能性がある」と分析する。しかし、そうなるかは、それぞれの国が置かれている状況にもよるので、そう単純な問題ではないと思われる。

【私の論評】戦後にウクライナが EUに加入して、急速な経済発展を遂げれば、途上国も「事なかれ」主義ではいられなくなる(゚д゚)!

上の記事では、米国による突出した民主化の圧力ということを強調していますが、民主化というと単なる理想主義と考えられている節がありますが、それは完璧な間違いです。実は、民主化は経済発展には欠かせないのです。

それは下の高橋洋一氏が作成したグラフをご覧いただければ、一目瞭然です。


中露の一人あたりのGDPは10000ドル強にすぎません。これは、韓国はもとより、台湾や、バルト三国よりもかなり低いです。

なぜ、このようなことになってしまうかといえば、先進国においては民主化を進めた結果、多く中間層を輩出し、これらが自由に社会経済活動を行い社会のありとあらゆるところでイノベーションを起こし、富を生み出すことになるのですが、民主化が進んでいない中露などでは、政府などか大規模な投資をしてイノベーションを行ったにしても、西欧諸国のような大規模で、星の数ほどのイノベーションにはなりえず、結果として経済が発展しないのです。

民主化しない国は、産油国などのほんの一部の例外を除いて、多くの途上国では政府が掛け声をかけて、投資をして様々な産業振興策を行えば、ある程度経済発展します。しかし、一人あたりのGDP が 10000万ドル前後になると、それ以上は経済が伸びないのです。

ロシア現在その状態にあります。中国は、数年前までは、経済発展してきたようですが(中国の出す経済統計はデララメなのでこうとしか言いようがない)ですが、一人あたりGDPは10000ドルを超えたあたりから足踏み状態です。

これは厳然たる事実です。民主化は、経済発展には欠かせないのです。西欧諸国はある時点で国内の民主化をして、経済を発展させ、国を富ませ、軍隊を強化することができ、現在に至っています。

さらに、一帯一路が頓挫しそうな状況であることも明らかになりつつあります。

世界銀行のデータによれば、中国から新興国の政府部門への資金の純移転は、16年をピークに減少し、19年と20年にはマイナスに転じています。中国の国有銀行はすでに成長のための資金提供者から債務の回収者へと転じている可能性が大きいです。

これについても、以前このブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
スリランカが「破産」宣言“燃料輸入”プーチン氏に支援要請―【私の論評】スリランカ危機の背景にある、一帯一路の終焉が世界にもたらす危機(゚д゚)!
スリランカのゴタバヤ・ラジャパクサ大統領
セバスチャン・ホーン、カーメン・ラインハート、クリストフ・トレベシュは、Centre for Economic Policy Researchのオピニオンサイト、VoxEU.orgに寄稿した論考で、一帯一路に代表される中国の海外投資ブームが、ロシアとウクライナの戦争により深刻な障害にぶつかるだろうと述べています。

その根拠となるのは、中国の政府系金融機関がロシアとウクライナ、およびベラルーシに対して行っている融資額の大きさです。ホーンらによれば、中国の国有銀行は2000年以降、ロシアに対しエネルギー関連の国有企業を中心に累積1250億ドル以上、融資してきました。

中国はまた、ウクライナに対しても主に農業とインフラストラクチャー分野のプロジェクトを中心に70億ドル程度、さらに、ベラルーシに対しても80億ドル程度、融資してきました。この3カ国を合わせると、過去20年間の中国の海外向け融資の20%近くを占めるといいます。

もともと、近年急激に増加しつつある中国の対新興国への資金貸付は、どのような基準に基づいて行われているのかが明確ではなく、債務不履行などのリスクを生じやすいものであることが指摘されてきました。スリランカはまさにその一つの例です。ホーンらは、中国の対外貸付のうち、債務危機にある借入国に対する比率は10年の約5%から現在では60%にまで増加したと指摘しています。

世界銀行のデータによれば、中国から新興国の政府部門への資金の純移転は、16年をピークに減少し、19年と20年にはマイナスに転じています。ホーンらはこのデータをもって、中国の国有銀行はすでに成長のための資金提供者から債務の回収者へと転じている可能性があるとしています。ウクライナ危機およびその後の経済制裁によってロシアおよびその同盟国の経済が直面することになったリスクは、その傾向をさらに増幅させることになるでしょう。

中国の政府系金融機関は、今後ロシアなどに対する融資が不良債権化するリスクを、よりリスクの高い債務国への新規融資の停止あるいは債権回収によって埋め合わせるかもしれないです。このことが持つインパクトは、おそらくこれまで西側諸国によって喧伝されてきた「一帯一路が『債務の罠』をもたらす」という問題よりもはるかに大きなものになると考えられます。

さらに、 中国にもともとどうしようもない欠陥があります。それについても、以前このブログで述べたことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。

【日本の解き方】中国経済もはや重篤なのか 食い止められない資本流失―【私の論評】日銀に振り回され続けるか、資本規制かを選択せざるをえなくなった中国(゚д゚)!

これは2016年の記事です。 この頃、中国政府は、景気回復を狙い「固定為替相場制」をあきらめて、人民元を切り下げたところ、資本流出が加速したため、今度は資本規制に乗り出していました。

なぜこのようなことになるかについては、もともと「国際金融のトリレンマ」という原則があります。以下にその部分を引用します。

日本をはじめとするいわゆる先進国は、「固定為替相場制」を放棄して、変動為替相場制に移行しています。これによって、「独立した金融政策」「自由な資本移動」を同時に達成することができました。

しかし、中国の場合は「固定為替相場制」を維持していますから、これをこれからも維持し続けるというのなら、国際金融のトリレンマを克服するためには、「独立した金融政策」もしくは、「自由な資本移動」のうちのいずれかを捨てなけれはならないということになります。

以下に国際金融のトリレンマの図と若干の説明を掲載します。

  • ある国はこの3つの「自由な資本移動」「固定相場制」「独立した金融政策」のうち2つだけを受容することができます。もしある国が a の位置を選択し、「自由な資本移動」と「固定相場制」を導入するのであれば、金融政策の独立性は失われます。

  • 実際の例としては欧州連合ユーロ圏が挙げられます。もしユーロを受容し自国通貨を放棄すれば、ユーロ圏内で為替を固定することになります。また、域内での自由な資本移動も認められています。しかし、金融政策はすべて欧州中央銀行に一任することになります。
中国が、固定相場制を堅持し、自由な資本移動も堅持したとしたら、何がおこるかといえば、それは日本などをはじめとする、外国の金融政策に左右され「独立した金融政策」を実行できなくなるということです。

実際にそれはもうすでに発生していました。日本が2013年の4月から、金融緩和に転じてから、円安状況になり、それまで円高の状況とは異なり、中国経済にとっては、独立した金融政策が脅かされる事態となりました。

それまでの、中国の経済発展を支えていたのは為替操作によるキャッチアップ型の経済成長であり、円高とデフレを放置する日本銀行によるものでした。

慢性的な円高に苦しんでいた日本企業は、過度な「元安」政策をとる中国に生産拠点を移し、出来上がった製品の一部を逆輸入していました。日本国内で一貫生産するより、わざわざ中国を経由した方がもうかる構造になっていたのです。

日銀は、「デフレ政策で日本の産業空洞化を促進し、雇用と技術を中国に貢ぎ続けていた」のです。まさに、日本経済はこれによって、中国に振り回されていたのです。

しかし、2013年の4月から、日銀が金融緩和に転じたため、この構造は崩れ、今度は中国が日本の金融政策に振り回されるようになり、「独立した金融政策」を維持することが困難になってきたのです。 

脅威の経済発展をした頃の中国の経済運営は、単純でやりやすいものでした。景気が加熱して、超インフレになれば、金融引締、緊縮財政を行い、素早くインフレから脱却し、抑制状況になれば、今度は金融緩和して、積極財政をするという具合で、これを交互に繰り返し、中国は驚異の経済発展をしました。

しかし、日銀が2013年4月からまともな金融政策に展示、デフレを克服のために、金融緩和をはじめてから、中国金融は大きな問題を抱えるようになったのです。

先にもあげたように、人民元を切り下げる(金融引き締め)をすると、資本流出が加速したため、その後すぐに資本規制に乗り出すという有様です。

以前の中国であれば、国内で大規模投資するなら、元を大量にすればそれですんだものが、現在ではそのようなことをすれば、すぐに超インフレになったり、資本流出が起こるなどのことが起こるようになったのです。

さらに、過去には国内のインフラ投資を熱心に行ってきたため、それが一巡して、国内に優良な投資案件がなくなってしまったのです。だからこそ、中国は「一帯一路」に望みをかけて、海外投資によって発展する道を選んだのですが、これも国際金融のトリレンマにより、ドル資本流出が激化するなどのことがおこり、うまくはいかなくなったのです。

だからこそ、中国から新興国の政府部門への資金の純移転は、16年をピークに減少し、19年と20年にはマイナスに転じるなどのことが起こっているのです。

中国を救う道はあります。それは、日本が再び金融引締に転じることです。このような馬鹿なことはすべきではないと思いますが、親中派の林外務大臣が存在する岸田政権においては、また金融引締に転じて、中国を有利にする道を歩むことになるかもしれません。

これは、来年の4月、現在の黒田日銀総裁の任期が終了し、新たな日銀総裁が誰になるかではっきりするでしょう。いわゆる緊縮派の総裁になれば、中国は大喜びで、また海外投資を始めるでしょう。ただ、それを米国が座視するとも思えません。そのようになれば、米国は何らかの方法で中国のみならず、日本に対して報復に打って出るでしょう。

上の記事では、バイデン氏による民主化への圧力を、おせっかいのように批判しているところがありますが、そんなことはないと思います。

突然並外れた産油国になるなどのことでも起こらない限り、途上国は民主化しない限り、経済発展する見込みはありません。

途上国が民主化を嫌がるのは、その国の統治者とそれにつながる者たちの利権を離したくないという単純な理由でしょう。民主化をすれば、自国は豊かになるのは明らかですが、そうしたとしても、利権を手放せば、自分たちには全くメリットはないと考えているのでしょう。

そのような連中からすれば、中国は投資すれば良いだけの存在てあり、投資ができなくなった中国には何の関心もないでしょう。米国についても、投資はできそうだが、投資と引き換えに、民主化を強制されれば、自分たちの利権を失うということで、これにもあまり魅力はないのでしょう。

そうして、こうした途上国の多くの国民は、貧乏で、日々暮らすのに精一杯であり、民主化への声を上げることなど、思いもよらないというのが現実でしょう。一部の変わり者が、その声を上げることもあるでしょうが、変わり者が、多くの国民の声を代表するようにはならないというのが現実です。

結局、統治者とそれに連なる者たちの、利権が脅かされない限り、彼らは現在の投資しない中国にも米国にも無関心でありつづけ、これが続く限り、途上国は途上国のままであり続けるでしょう。

ただ、こうしたことを打ち破る可能性もでできました。それは、ウクライナの経済発展です。世界銀行は4月10日、ウクライナの2022年の経済成長率見通しをマイナス45.1%と発表しました。

大幅な落ち込みの要因は、鉄道や橋、港、道路などのインフラ設備が破壊されたことによって経済活動の継続が不可能になったことや、貿易の停止、多くの国民が隣国に避難したことや収入喪失による家計消費の急激な下落など。世界銀行によると、軍事侵攻によってウクライナ企業の約半数が閉鎖に追い込まれ、残りの半数も事業を縮小せざるを得ないといいます。

確かに、直近では経済が落ち込むのが目に見えていますが、戦争が終了すれば、復興がはじまります。また、ウクライナはEUに入ることを宣言し、EUもその前提で交渉をすすめています。そうして、なんとロシアのプーチンは、これに反対していません。

しかし、これは後にロシアを後悔させることになるかもしれません。なぜなら、人口が比較的に多く、軍事産業や宇宙産業、最近ではIT産業などもある、産業基盤がある程度整ったウクライナがEU諸国並に民主化されれば、急激に経済成長する可能性があるからです。

ウクライナが経済成長し、ロシア経済と同等もしくはそれ以上になれば、中露に対しては大きな牽制になります。何しろ、武力侵攻すると、武力侵攻された側が、一時的には疲弊しても、民主化の道を選べば、経済発展することが明るみにされるからです。

ロシアの隣にロシアと同程度の経済力を有するウクライナができあがれば、安全保障上にも良いことですし、途上国の国民に対しても強力なメッセージなります。いわゆる大国にいつも脅かされるような貧乏な国であっても、民主化すれば、その大国に経済的に対抗できるような国に生まれ変わることができるかもしれないという希望が生まれるからです。これは、バイデンの価値観外交よりもはるかにインパクトがあります。

米中新冷戦下で見える途上国の「事なかれ」主義にも大きな影響を与えることになるでしょう。

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2022年7月28日木曜日

石破氏ら台湾訪問 超党派、日台パイプ強化が急務 蔡総統や副総統と会談予定「安倍元首相が築いた遺産、関係の基軸になる政治家出てくるか重要」石平氏―【私の論評】日台関係の基軸になり得る政治家は、菅前総理をおいて他にない(゚д゚)!

石破氏ら台湾訪問 超党派、日台パイプ強化が急務 蔡総統や副総統と会談予定「安倍元首相が築いた遺産、関係の基軸になる政治家出てくるか重要」石平氏

台湾の空港に到着した石破氏(右から2人目)ら=27日

 自民党の石破茂元幹事長ら超党派の国会議員でつくる勉強会「日本の安全保障を考える議員の会」のメンバーが27日、台湾入りした。中国の軍事的覇権主義の拡大を受けて西側諸国が「台湾シフト」を強めており、日本も台湾とのパイプ強化が急務だ。

 「ロシアによるウクライナ侵攻を踏まえ、この地域の安全保障環境と、それぞれ果たす役割について議論し見識を深めたい」と石破氏は記者団に語った。

 訪問団には、石破氏のほか、自民党の浜田靖一衆院議員、長島昭久衆院議員、日本維新の会の清水貴之参院議員が参加した。滞在中に蔡英文総統や頼清徳副総統と会談や、李登輝元総統の墓参も予定している。

 27日には台北で開催された国際フォーラムに出席した自民党鈴木馨祐衆院議員らと蔡氏が会談。蔡氏は、中国などを念頭に「権威主義の拡張により民主主義国家は団結しなければならないと気付かされた」と述べた。

 3月以降、フランスやスウェーデン、スロバキア、欧州議会などの要人が相次いで蔡氏と会談した。来月上旬にはナンシー・ペロシ米下院議長の訪台計画が取り沙汰される。「台湾有事は日本有事」ともいわれる中、日台のパイプ強化を求める声は多い。

 評論家の石平氏は「議員の訪台は総じて評価できるが、議員個人のアピール材料にするだけではなく、国会や自民党内に台湾担当の委員会を置いたり、日台間の定期的な対話チャンネルを創設するなど組織的な動きも必要だ。親台派の重鎮だった安倍晋三元首相が築いた遺産は大きく、今後は日台関係の基軸になる政治家が出てくるかが重要だ」と指摘した。

【私の論評】日台関係の基軸になり得る政治家は、菅前総理をおいて他にない(゚д゚)!

台湾の、謝長廷(しゃちょうてい)駐日代表(大使に相当)は8日、フェイスブックを更新し、安倍晋三元首相が死去したことについて、哀悼の意を示しました。前週には表敬訪問の際に訪台を招請したところ、安倍氏が快諾していたことも明らかにしていました。

仮に安倍元総理が存命で、台湾を訪問した場合、今回の議員団の訪問よりもはるかにインパクトがあったことでしょう。

実際、安倍前首相は台湾訪問の意向があり、台湾外交部はこれを全力でサポートすると表明していました。そうして、実際に訪問する兆しがあったのですが、台湾でのコロナ感染の広まりなどの事情で、実現しませでした。

これについては以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
安倍前首相、台湾訪問の意向 外交部「全力でサポート」―【私の論評】台湾は日本の優れた海洋戦能力に期待し、中国はこれに脅威を感じている(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に結論部分を掲載します。

現在台湾は国産の潜水艦を建造中で、最終的には8隻を建造しようとしています。これに対して、米国の軍事アナリストは、もし台湾がこれに成功すれば、今後中国は数十年にわたって台湾に進行できないだろうとしています。

無論、これは、台湾が日本の潜水艦と同等のステルス性と攻撃性を有することを前提として、このように語っているのだと思います。そこまでいかなくても、中国側に探知されにくい潜水艦を作れば、これは成就すると思います。実際、台湾の潜水艦建造には日本の技術者も参加していますから、そうなることでしょう。
自前の潜水艦の着工式に出席した蔡英文総統=2020年11月24日、高雄市
ただ、現在は建造中ですから、すでに潜水艦22隻体制をとっている日本は、台湾にとってそれまでの間、強力な助っ人になりえるわけです。

以上軍事的には、日本が台湾有事に十分対抗できるわけですから、日米台の戦略対話に、日本が参加する意味が十分あるわけです。もしそうでなければ、参加の意味は半減するわけです。「インド太平洋戦略」も同じことです。

日本のこの優れた海洋戦能力があるからこそ、台湾は日本に期待しているのです。中国は、これに脅威を感じているのです。

安倍元総理には、議員による「戦略対話」から、日米台の政府による「戦略対話」にもっていくための架け橋になっていただきたいです。日米台が協力すれぱ、中国による台湾侵攻は、不可能になります。
以前からこのブログに述べているように、日本はステルス性に優れた潜水艦を22隻保有していることと、対潜哨戒能力が中露よりも格段に優れているため、海戦においては、中露に比較して圧倒的に有利です。

その日本が、台湾が高性能潜水艦を8隻建造するまでの間、台湾の安全保障に関与する姿勢を見せれば、これは中国にとっては大きな牽制になります。台湾有事に日本が潜水艦を何隻か台湾近海に派遣して、台湾を包囲してしまえば、中国海軍はこれを突破できません。

米軍も台湾有事に攻撃力が圧倒的に強い大型の攻撃型原潜を台湾に2〜3隻派遣すれば、十分対応できるとルトワック氏は語っています。

日米がこれを実行すれば、中国による武力侵攻は絶望的になります。それでも無理に侵攻しようとして、仮に台湾に人民解放軍を上陸させたにしても、補給ができずに、上陸部隊はお手上げになります。

米国の国防総省や海大までが、米中軍事衝突のシミレーションにおいては、潜水艦を抜きでシミレーションを行っています。そのためか、米国が負けるという結果になっています。しかし、現実には潜水艦を有効に用いれば、米軍が負けるなどというシナリオは、成り立ちません。

なせ、そのようなことをするかといえば、予算獲得と、多くの人々の耳目を惹き付けるためです。これは、多くの人が指摘するところです。私もこれを前提として物事を考えています。

ロシアは、台湾有事ということになると、当然中国に加勢しようとするでしょうが、仮に日露が有事になったとするとロシアの艦船は、日本の潜水艦が潜む宗谷海峡と津軽海峡は危なくて通れなくなるので、太平洋方面での作戦やウラジオストクから補給を受けるカムチャツカの基地の維持も難しくなり結局、中国に加勢はできなくなります。

海戦では、日本はロシアを圧倒することになるでしょう。実際もし第二次日露戦争が勃発したら「日本が海戦を制する」とロシアメディアが断言しています。これをなかなか信じない人もいるようですが、こういう人はロシアのGDPは今や韓国を若干下回るほどしかなく、一人あたりGDPは韓国を大幅に下回るという現実を無視していると思います。

防衛大臣と海軍長官を率いるプーチン露大統領

そうして、当然のことながら、米国もこの動きに対応するでしょう。対潜水艦戦争に優れた米国がロシアを牽制すれば、ロシア海軍は中国に加勢どころではなく、日米によって壊滅の危機にあうことになりかねません。

それでも、台湾有事などで中国の艦隊と連携行動を取られると、ロシア海軍も日米にとって煩わしい存在になるのですが、それも大したものにはならないでしょう。

潜水艦の行動は、昔からどの国でも表には出さないのが普通であり、このような実体を知る人は少ないです。ただ、様々な情報を辻褄が合うようつなぎ合わせるとこのようなことになります。

そうして、このようなことを総理大臣をつとめた安倍元総理大臣は熟知しています。この他熟知しているのは、歴代の総理大臣と防衛大臣だけでしょう。ただ、十年以上前と、現在とでは諸事情が随分異なっています。

十年以内ということになれば、岸田総理大臣、安倍元総理、菅前総理大臣、そうして何人かの防衛大臣歴任者ということになります。

ただ、安倍元総理はなくなり、岸田総理大臣は、上のような事実をデータとして知ったとしても、インテリジェンスの次元まで高め、日米台の政府による「戦略」にまで高められるかどうかは、はなはだ疑問です。

過去の防衛大臣の中には岸氏を筆頭に優秀な方もいらっしゃいますが、将来はともかく、残念ながら現状では政治家としての力ということになると疑問符がつきます。石破氏は論外です。

さて、菅前総理は、総理だったときの、2021年4月16日、米ホワイトハウスでバイデン米大統領と初めての日米首脳会談に臨んでいます。

日米首脳会談後の記者会見に臨んだバイデン米大統領と菅首相2021-04-17

会談後に発表された共同声明では、「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す」ことが明記されました。日米首脳共同声明に台湾が盛り込まれるのは52年ぶりでした。

台湾紙は「国際社会による台湾支持の輪が広がっている」と歓迎。一方、中国紙は「米日同盟はアジア太平洋の平和を脅かす軸」だと批判し、共同声明に反発しました。

その菅義偉首相は総裁選に出馬しない旨を公表した後の2021年9月24日、米ワシントンで開かれた日米豪印(通称クアッド)首脳会議に出席しました。国内では菅首相の後任を決める自民党総裁選(同年同月29日投開票)のさなかの異例の訪米でした。

まもなく退陣する菅首相がなぜ、米国を訪問したのか。外務省関係者は「各国とも日本の新しい首相が選ばれるまで待てない事情があった」と打ち明けました。

当時のクアッド首脳会議開催に最もこだわったのは米国です。外務省関係者は「菅首相の任期を十分理解したうえで、『ぜひ来てほしい』と言ってきた」と打ち明けたしています。

これは、クアッド首脳会談においては、日本は欠かせないという米国の意図があるからでしょう。しかも、当時の菅総理大臣のことを米国は安倍元総理の政策の継承者であり、かつ力のある政治家であり、仮に総理大臣を退いたとしても、クアッド首脳会談の合意事項を日本が反故にすることはないと見込んだからでしょう。

このような菅前総理です。日米台の「戦略」の重要性は熟知しているどころか、安倍元総理の考えを完璧に継承していると考えられます。


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2022年7月27日水曜日

〝宇宙大国〟崩壊の危機 ロシア、ISS計画から離脱 独自のステーション建設優先「西側の制裁が相当効いている…本格的な衰退見えてきた」識者―【私の論評】ソ連崩壊時のように現在のロシア連邦は、宇宙開発どころではなくなった(゚д゚)!

〝宇宙大国〟崩壊の危機 ロシア、ISS計画から離脱 独自のステーション建設優先「西側の制裁が相当効いている…本格的な衰退見えてきた」識者

国際協調の象徴とされるISS

 ロシアの国営宇宙開発企業、ロスコスモスのボリソフ新社長は26日、2024年で国際宇宙ステーション(ISS)の計画から離脱することを決めたとプーチン大統領に報告した。欧米の制裁や民間企業の成長でロシアの宇宙ビジネスは斜陽化が指摘されており、プーチン氏が掲げた「宇宙大国」の地位は崩壊しようとしている。


 15日に社長に任命されたボリソフ氏はモスクワのクレムリンでプーチン氏と会談し、共同運用期間が終わる24年での離脱が「決定された」と説明。地球の軌道を周回するロシア独自のステーション建設が当面の最優先課題になると述べた。

 日米欧露など各国の飛行士が滞在するISSは国際協調の象徴とされ、ロシアが14年にクリミア半島を強制編入した際も関係は保たれてきた。

 ISSの運用期限は24年で、米航空宇宙局(NASA)は30年まで延長する方針を示していたが、2月のロシアによるウクライナ侵攻で延長の交渉は事実上中断した。

 ISSへの有人輸送は、長年ロシアの宇宙船ソユーズが担ってきた。昨年12月、ISSに滞在したZOZO(ゾゾ)創業者、前澤友作氏を運んだのもソユーズだった。

 だが、イーロン・マスク氏が立ち上げた米スペースXなど民間企業が相次いで宇宙事業参入している。21年のロケットの打ち上げ回数でロシアは中国と米国に大きく水をあけられた3位だ。

 ロシアの宇宙開発企業、エネルギヤのソロビヨフ主任設計士は26日、ロシアが独自の宇宙ステーションを開発する場合、最初のモジュール打ち上げは早くても28年になるとの見方を示した。ステーション建設とISSへの参加を並行しないと、ロシアは数年間、有人宇宙飛行を中断することになり「新たに再開するのは、かなりの困難が伴う」と危機感をあらわにしている。

 筑波大名誉教授の中村逸郎氏は「ロシアにとって宇宙ビジネスは、米国に負けない技術力を持っていると誇示するプーチン氏の愛国主義と国威発揚の手段だった。重要な資金源でもあったが、ISSを放棄せざるをえないのは西側の制裁が相当効いているのだろう。技術力を欧米や中国にどんどん水を開けられ、ロシアの本格的な衰退が見えてきた形だ」と語った。

【私の論評】ソ連崩壊時のように現在のロシア連邦は、宇宙開発どころではなくなった(゚д゚)!

ロシアの宇宙開発というと、どうしても思い出すのは、ソ連崩壊時に宇宙飛行士が宇宙ステーションに、しばらくの間放置されことです。

1991年5月18日にミール宇宙ステーションに搭乗したセルゲイ・クリカレフが帰還したのは1992年3月でした。表向きの理由は、1991年12月26日、ソビエト連邦が解体され、クリカレフは国を持たない宇宙飛行士となったからだとされています。彼は、今でも最後のソビエト連邦市民とロシアでは呼ばれています。

セルゲイ・クリカレフ氏

ただ、本当の理由は、ソ連崩壊し、ロシア連邦がソ連の核兵器、軍事技術、宇宙技術などを継承したのですが、経済が極度に低迷し、宇宙ステーションどころではなくなったというのが実情でしょう。

実際、核兵器のメンテナンスなどでも、膨大な資金が必要です。実際、ソ連が崩壊に伴い独立した、ウクライナは、国内にソ連邦時代の核兵器が多数残っており、当時一時的に米露に続く世界第三位の核保有国になったくらいです。

ロシア連邦と同じく経済が低迷していたウクライナは、核兵器の破棄を決めました。そうして、ロシアも西側諸国もこの決定を歓迎し、核兵器の廃棄が進められることになりました。

ただ、ロシア連邦にはウクライナの核兵器を廃棄する余力すらなく、実際にウクライナの核兵器を無力化して廃棄したのは、米国をはじめとする西側諸国でした。

これだけ、経済が低迷していたロシア連邦が、宇宙開発に回せる資金はほとんどなく、ミールをしばらく放置せざるを得なかったのでしょう。

クリカレフは、現在ロスコスモス所属の宇宙飛行士です。1958年8月生まれの彼は現在63 歳、健在です。

さて今回、ロシアの宇宙開発の本格的衰退がみえてきた形ですが、今回はそれがはっきりしたということで、ロシアの宇宙開発は随分前から衰退傾向にありました。

米スペースシャトルが2011年に退役して以降、地球と国際宇宙ステーション(ISS)を往復する手段は露宇宙船「ソユーズ」だけとなりました。安定感を誇ってきたソユーズでしたが、その信頼は揺らぎました。

2018年8月にはISSに接続していたソユーズの穴が原因でISSの気圧低下が発生。同年10月に行われたソユーズ打ち上げも組み立てミスが原因で失敗し、米露の飛行士2人が緊急カプセルで脱出しました。米スペースX社は有人型ドラゴン宇宙船の実用化に成功した現在、ソユーズの独壇場は終わりました。

1950年~60年代、旧ソ連は世界に先駆けて人工衛星「スプートニク」の打ち上げやガガーリンによる有人宇宙飛行に成功。初の有人月面着陸(69年)では米国の後塵(こうじん)を拝しjましたが、71年には世界初の宇宙ステーション「サリュート1」の打ち上げを実現しました。

しかし、91年のソ連崩壊を境にロシアの宇宙開発は大きく停滞しました。90年代には国家資金が宇宙分野に回らず、人材も大量に流出。2000年発足のプーチン政権は宇宙大国再興を掲げましたが、明るい展望はありませんでした。

米科学者団体によると、19年3月末時点で稼働中の人工衛星は米国901基、中国299基に対し、ロシアは153基。昨年1月~12月中旬のロケット発射成功回数も中国の35回、米国の30回に対し、ロシアは15回にとどまりました。

ロシアは現在、ソ連崩壊後で初の純国産ロケット「アンガラ」の開発を進めています。汎用(はんよう)ロケットモジュール(URM)を組み合わせ、軽量級から重量級まで各種のロケットを造る構想です。ただ、技術不足から試験発射が2度行われたのみで、23年までの有人飛行という目標にはほど遠いです。

極東アムール州では12年から、アンガラの射場設備も備えたボストーチヌイ宇宙基地の建設が進んでいます。ところが、給与未払いや建設費の横領、作業員のストライキと醜聞続きで、やはり計画は大幅に遅れています。

ボストーチヌイ宇宙基地の建設現場

ちなみに、基地建設に関連して総額約110億ルーブルを超える規模の不正支出事件が摘発されて2019年に58人が有罪判決を受けました。

そもそも、現在のロシア連邦のGDPは、韓国を若干下回る程度あり、東京都と同規模です。一人あたりのGDP は10000ドルを若干超える程度であり、このような国が宇宙開発するのは、そもそも最初から無理筋というものです。中国の一人あたりのGDPもロシアを若干上回る程度ですが、人口がロシアの10倍ですから、国あたりのGDPでは、10倍あります。

しかし、中国ですら宇宙開発は難しいと思います。ソ連は、米国と宇宙開発競争と、軍拡競争を繰り広げた結果、国力が衰退し、結局崩壊しました。実際、このブログでも、中国が米国と宇宙開発競争と軍拡競争を繰り広げれば、旧ソ連のように経済が衰退し、旧ソ連のように崩壊する可能性があることを主張したことがあります。

中露がこのようになってしまうのには、もう一つ理由があります。それは、非常に非効率な官僚主義です。米国の宇宙開発でも、この官僚主義がはびこっています。特にNASAのそれは、非常に評判が悪いです。

実際ISSの運用管理は、NASAが管理すると、非常に非効率であり、採算を度外視した管理をするため、現在では、民間企業が行っています。民間企業が行うと利益が出るのですが、NASAが直接管理すると、信じがたいほど低効率で、利益が出るどころか、大赤字になるそうです。

中露とも、宇宙開発には民間企業を関わらせていますが、それでも官僚主義による弊害は免れないでしょう。

米国が、米スペースXなど民間企業などに委託するのも、官僚主義による弊害を避けるためです。

スペースX Crew-2 ISSへ接近するエンデバー

現在のロシアは、ウクライナ侵攻と、西側諸国による制裁で、宇宙開発どころではありません。ロシアは今後宇宙開発から脱落する可能性が高いでしょう。

ただし、ソ連崩壊後でも宇宙開発を完璧に捨て去らずに、何とか温存し、復活させたロシアです。何かの形で、将来復活してくる可能性は、わずからながら残されていると思います。ただ、しばらくの間表舞台から姿を消すのは間違いないでしょう。

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2022年7月26日火曜日

安倍派「跡目争い」をめぐる「集団指導体制」のトラブル爆弾!「キーマンは菅前総理」の舞台裏―【私の論評】今後の政局で、菅前総理がキーマンとなる可能性がでてきた(゚д゚)!

安倍派「跡目争い」をめぐる「集団指導体制」のトラブル爆弾!「キーマンは菅前総理」の舞台裏


13日にBSフジの番組に出演され言葉をつまらせたた菅前総理

 安倍晋三元総理の死去による、自民党最大派閥である安倍派(清和会)の「跡目争い」に関連し、安倍派の重鎮、森喜朗元総理の体調問題が注目されている。永田町関係者によれば、

「3日に1回の割合で通院しており、面会する人間もかなり制限しているようだ」

 安倍派の次期会長は森氏が指名し、当面の間はバックアップする必要があるとの見方がもっぱらだが、仮に森氏が表舞台に出られないのなら、安倍派の流動化は避けられない。

 安倍派は呼称に「安倍」の名を残し、集団指導体制とすることを決めている。塩野立元総務会長、下村博文前政調会長、世耕弘成参院幹事長、高木毅国対委員長、西村康稔前経済再生担当相、松野博一官房長官、萩生田光一経済産業相──この7人の世話人会で、運営方針を決めていくという。

 だが、派閥の集団指導体制はうまくいったことがない。古くは旧竹下派の七奉行、安倍晋太郎元外相死去後の「安倍派四天王」の中での三塚博元幹事長と加藤六月元政調会長の「三六戦争」などがある。派閥が推す総裁候補は一人ゆえ、最終的には権力闘争が勃発することになる。

 先の7人の中で一歩リードしているのは萩生田氏だと、自民党担当記者は言う。

「下村氏、西村氏、世耕氏はパフォーマンスが好きで、派内からの信用もいまひとつ。松野氏は岸田氏に近い。萩生田氏は、安倍氏が岸田政権で官房長官に推薦したこともありました」と前出の自民党担当記者。

 ここで浮上してくるのが、菅義偉前総理の動向だという。

 岸田文雄総理は安倍氏の国葬を今秋に行うと早々に発表したが、

「これは安倍派や党内保守派と、表面上は対立したくない、という配慮。今後の政権運営は、公明党を利用して独自色を出していく」(前出・永田町関係者)

 そうした中で岸田総理、公明党などと綱引きができる人物は、菅氏以外には見当たらず、

「安倍派は菅氏と連携する動きを模索するしかない」(前出・自民党担当記者)

 菅氏は安倍氏銃撃の直後、現場の奈良に赴いた数少ない政治家だ。三歩先を常に読んでいるのかもしれない。

【私の論評】今後の政局で、菅前総理がキーマンとなる可能性がでてきた(゚д゚)!

上の記事、アサ芸の記事で、なにやら胡散臭く、特に最後の結論の「三歩先を常に読んでいる」の部分は、本当にいやらしい書き方だと思いました。

大手新聞や週刊誌にはこういう部分があるので、あまり掲載したくないとは思いましたが、とはいえ、現状の政局については良くはまとめられていると思うので、敢えて掲載しました。それに、新聞はある程度確定してから記事を書く傾向がありますが、週刊誌はそうではなく、確定する前であっても、掲載することがあります。

それは無責任といえば、無責任なのですが、週刊誌にはそれが許されいるようで、場合によっては、様々な報道の先駆けとなる可能性もあります。この記事がそうなるかどうかは、わかりませんが、いずれにせよ、私も菅前総理が今後の政局のキーマンになる可能性は捨てきれないと思いますので、私の思うところを以下に掲載します。

私は、菅前総理が13日にBSフジで放送されたニュース番組に生出演したのを視聴しました。菅氏は安倍氏が銃撃された日に事件が起こった奈良にすぐに向かったそうです。最期の瞬間には間に合わなかったそうですが「胸だと聞いたものですから万が一のことを考えて…同じ空気を吸いたいという感じでした」「さみしがり屋でもありましたので、そばにいてやりたいっていう…そんな感じ。とにかく行ってみようと…」と語っていました。

この発言の直前に、約 5 秒くらいでしたか、私にはもっと長くも感じられた沈黙がありました。これ、テレビをこの時につけた人なら、「放送事故」ではないかと思うくらいの長い沈黙でした。

きっと、菅前総理の胸中には、安倍元総理との間での様々な思いが交錯していたのでしょう。私は、菅総理は必死で涙をこらえているように見えました。だから、「三歩先を常に読んで」安倍総理が銃撃された時に、奈良に赴いたなどという見方には、到底承服できません。この記事を書いた政治記者は、政治家の世界、野党はいざしらず、自民党の中では義理人情を欠くような人間は大成しないことを知らないようです。

きっと、菅前総理は、本当に「同じ空気を吸いたい」と無我夢中で、奈良に向かったのだと思います。誰だって、盟友があのような形で非業の死を遂げたら、そうなると思います。それが理解できない政治記者など、碌なものではないはないと思います。ただ、残念ながら、大手新聞の政治記者などほとんどがそのようなものです。

ただ、安倍前総理が暗殺された大ショックの後でも、政局は日々動いていくわけで、安倍総理亡き後のことを考えれば、菅前総理が、キーマンになるのも当然のことだと思います。

菅前総理は、2012年12月26日、第2次安倍内閣の発足に伴い、内閣官房長官に任命され7年8ヶ月勉め、そうして、ご存知のように2020年9月16日 から 2021年10月4日まで、総理大臣をつとめらました。首相時代は、安倍氏の路線を継承しました。

総理大臣のときには、安倍路線を継承しつつ、仕事師とも異名を持つ菅前総理は、様々な仕事をされました。これについては、このブログにも取り上げさせていただいたことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
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 この記事の高橋洋一氏の元記事より一部を引用します。
 要するに、菅首相は、国家観を語りながら大きな方向性を論じる理念型政治家ではなく、歴代政権がやれなかった案件を地道にこなす実務的政治家だったのだ。

 菅首相には、確たる国家観がないなどと批判され、外交での対中姿勢を疑問視された。親中とされる二階俊博幹事長がいるからで、そのために国会での対中非難決議ができなかったともいわれる。しかし、国会の決議は、政府の責任ではない。政府としては、日米首脳会談での共同声明に「台湾海峡の平和と安定」を明記したのは国会決議より大きな意味があった。国会決議には政府に対する拘束力はないが、共同声明は政府そのものの方針を示しているからだ。

 しかも、安倍政権でも二階幹事長のクビは切れなかったが、菅首相は二階氏と差し違えた形となった。

 外交姿勢は、韓国に対しても厳しかった。21年6月に英コーンウォールで開催された先進7カ国(G7)首脳会議や7月の東京五輪をとらえて、韓国政府は日韓首脳会談をやりたかったが、菅首相は「国と国との約束が守られない状況で、首脳会談をする環境にはない」と言い切り、誘いに乗らなかった。

 次の政権は、新型コロナを含む国内問題については菅政権が「大掃除」をしてくれたので楽だろう。政権の大きな目標を達成するために政治資源を残務処理に充てないですむ。

 一方、外交では、中国と韓国とどのように向き合うか、なかなか難しいかじ取りが求められるだろう。
この記事で私は、結論部分で以下のように結びました。
自ら短期政権になっても、自民党政権を守った菅総理そうして安倍元総理の思慮深さに学ぶべきです。政権交代に耐えられるような、まともな野党が存在しないし共産党に浸透されつつある立憲民主党が存在する現在、これは非常に重要なことです。現状では、場合によっては短期政権になっても、国民のため、自民党政権存続のためなどに何かを確実に変えるという覚悟も新総裁(注 : 岸田総理のこと)には必要になると思います。

ただ、これはもちろん、安倍元総理が存命であることを前提とした結論です。現在岸田政権は直近の参院選で勝利しましたが、安倍元総理が暗殺されてしまうというとんでもない事態に見舞われるということになりました。

政権運営する岸田総理としては、安倍元総理が亡くなったことは大打撃です。なぜなら、自民党にも様々な議員がいて、保守派もいれば、リベラル派もいます。

安倍元総理がご存命のときには、安倍元総理が保守派をとりまとめ、岸田総理がリベラル派をとりまとめ、安倍元総理と岸田総理が密接にコミュニケーションをはかることによって、自民党の党としての統一をはかることかできました。

ところが、安倍元総理が亡くなってしまったことにより、この党としての統制が難しくなったのです。しかも、自民党内で、岸田総理が属している派閥は第5派閥であり、岸田総理としても、これは、心穏やかではないでしょう。 

であれば、自民党内の最大派閥である安倍派が、実質的に党内を統治すれば、良いという考えも出てくるかもしれませんが、残念ながら、それはできません。

なぜなら、残念ながら、安倍派には総理大臣になり得る人材が育っていません。これについては、安倍氏はこれから育てていこうと考えていたのでしょうが、それはかなわぬことになってしまいました。

高市早苗氏は、安倍政治を引き継ぐことを宣言しましたが、高市市は無派閥です。安倍氏の支えがあったからこそ、高市待望論も高まったのでしょうが、安倍氏の支えがなくなった現在は、残念ながらその芽はなくなったと言わざるを得ません。

高市早苗氏

現在の政局はまさに八方塞がりの状況です。だかこそ、菅元総理が注目されるようになったのです。

自民党内で安倍元総理が担っていた、安倍派のとりまとめと、岸田政権がリベラル派に完全に振り切れてしまい、安倍氏が敷いた路線を逸脱することないように牽制するという役割を担っていたからこそ、自民党政権は安定し、参院選でも勝利を収めることができました。

しかし安倍氏暗殺により事情は大きく変わってきました。

安倍の死去で会長不在となった安倍派(清和会)は今後、幹部7人による集団指導体制をとるといいます。派閥というのは派の領袖 を総理に押し上げるために存在します。そうでなければ派のトップが政治的実力者で金集めが巧みな場合にかぎって機能します。 

集団指導とはあくまでも過渡的な措置です。 突然、派のトップが暗殺され弥縫策 として集団指導体制を敷いても、中長期的には必ず破綻することはわかりきっています。

そもそも清和会は、かつて森氏が「わが派は分裂と脱藩の歴史だ」と認めたように、分裂癖を持った派閥です。清和会内部からは既に、分裂もありうると心配する声も上がっています。現に「清和殿の7人」をめぐり、西村康捻・前経済再生担当大臣が派閥トップに意欲を示しているとか、世耕弘成・参議院幹事長が衆議院に鞍替えして総理の座を狙おうとしているなど、流言飛語が飛び交っている実情があります。

ただ、そのようなことをしても、自民党内での安倍派の力が弱まるだけです。そこに、長い間安倍元総理の懐刀でもあり、総理経験者でもある菅元総理が安倍派に属することになれば、事情が変わってきます。

あるいは、そこまでいかなくても、菅氏と安倍派が近い関係を築き、菅氏が安倍派の若手を育て、また党内の様々な軋轢から、安倍派議員を守り、そうして何よりも、岸田政権がリベラル派に完全に振り切れてしまい、安倍氏が敷いた路線を逸脱することないように牽制するという役割を担うことになれば、自民党の党としての統制も保たれることになります。

菅氏は先にもあげた、13日のBSテレビ番組で、かねて検討していた勉強会の開催を当面見送る考えを説明。安倍氏の死去を念頭に「こういう状況になったので考えるところがある」と述べました。 

勉強会は縦割り行政の打破をテーマとし、二階派や森山派など「非主流派」の議員の参加が見込まれ、「菅氏の影響力を借りて対抗軸を示す」(二階派若手)との声が出ていました。 

安倍氏の死去を受けて党内が動揺する中、菅氏は政局的な動きを避けたとみられます。ただ、首相も菅氏の影響力は無視できないです。参院選で菅氏が支援した神奈川選挙区の三原じゅん子氏や東京選挙区の朝日健太郎氏などが当選を果たし、力を保持し続けていることを印象づけました。 

首相は内閣改造・党役員人事で「党の結束」を演出するため、菅氏を副総理などで処遇するとの臆測も出ています。

国語の政局は、どのようになるかはわかりませんが、菅前総理を抜きに語ることはできなくなると思います。

今後、自民党の議員として力があり、さらに安倍路線を引き継ぐことができる人物は、菅前総理をおいていないと思います。

私としては、菅元総理が自民党党内派閥安倍派と近い関係を構築し、分裂を防ぎ、安倍派議員を庇護し、育て、育ち切る前には、場合によっては、総理大臣に返り咲き、安倍路線を確実に踏襲していただきたいです。できたら、安倍氏の遺志を引き継ぐ高市氏の庇護もお願いしたいです。

清和会が分裂したりすれば、鵜の目鷹の目で自分に有利な風を巻きおこそうと、いつも狙っている小池百合子や、小沢一郎などのゾンビ勢力が、また性懲りもなく蠢き出すと思います。もう、うんざりです。安倍派の方々や、菅元総理や岸田派の方々も、そのようなことになって奴らにつけこまれようになることだけは、避けていただきたいものです。

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2022年7月25日月曜日

安倍晋三元首相の国際的評価から学ぶべきこと―【私の論評】将来世代が迷い無く歩けるように、美しい日本を愛する心を大人のわたしたちも引き継いでいこう(T_T)

安倍晋三元首相の国際的評価から学ぶべきこと

岡崎研究所

 7月9日付の英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)が、社説で、安倍晋三は日本を再び世界の舞台に押し上げ、長期政権の総理は経済と外交において並外れたレガシーを残したと称賛している。


 このFTの社説は、
①安倍は長年の経済、外交の停滞から日本を国際舞台に引き戻した。
②そのレガシーは政策にあり、安倍の名前は常に「アベノミクス」との関連で記憶されるだろう。
③ナショナリスト的な、時には修正主義的な歴史の理解は特に韓国との間で問題となった。
④自己主張を強める中国への懸念と相俟って、安倍の安保政策は「先見の明があった」。
⑤安倍の名前は日本を超えて世界に生き続けるだろう。
と述べる。社説は、アベノミクスを前向きに評価する。道半ばでコロナ禍に遭遇し、「安倍の大胆な政策をもっと続ける必要があったが、それが齎(もたら)した成果は日本の利益になった」という。

 安倍晋三論の議論は他でも続いている。7月8日付の米ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)の社説は、「戦後の日本の総理で、安倍ほど重要な指導者はそういない」という。最大の賛辞だろう。7月11日付のワシントン・ポスト紙(WP)社説は、「安倍は余りに早く逝ってしまった」と書く。これ程まで世界から評価される総理は少なくとも中曽根総理以来であろう。

 世界から寄せられる弔意を見れば、安倍元総理が如何に大きな評価と信頼を得ていたかが分かる。弔意を表した世界の指導者達のうち注目したのは、バイデン米国大統領、トランプ前米国大統領、インドのモディ首相、マクロン仏大統領、台湾の蔡英文総統、韓国の尹錫悦大統領などである。ウクライナ戦争で日本と対立するプーチンも弔電を送った。

 主要20カ国・地域(G20)外相会議に出席中の中国の王毅は元総理の容態を気遣い、その後中国外務省は「安倍元首相は生前、日中関係改善と発展のために貢献した」と哀悼の意を表した。99歳のキッシンジャーもニューヨーク総領事館に弔問し、その際「安倍元総理は日本を米国にとって掛替えのない同盟国に、そしてアジアの体制の不可欠な柱に育て上げた」と述べた。

 バイデンは3日間の半旗掲揚を命じるとともに、G20会議でインドネシアにいたブリンケン国務長官を弔意表明のために急遽日本に派遣した。7月15日には、マレーシアのマハティール元首相が、安倍元総理の自宅を弔問した。

 安倍外交は世界に強い印象を残した。日米同盟の強化、自由で開かれたインド太平洋とクワッド(日米豪印)の立ち上げ、環太平洋連携に関する包括的および先進的な協定(TPP11)の発効、警戒と現実主義の対中姿勢等が特筆される。

 安倍外交には、強い世界観と戦略性があった。更に日本外交に新たな力とスタイルを吹き込んだ。恐らく元総理の最大の心残りは、対露関係であったのではないか。責任はプーチンに有るのだが、ウクライナ戦争により一層見通しがつかなくなった。

日本外交の損失を最小限にしなければならない

 安倍元総理の死は、日本外交にとり少なくとも一時的には大きな損失になろうが、その影響を最小化せねばならない。7月11日、岸田文雄首相は安倍元首相の「思い」を受け継いで行く旨述べている。日本外交を引き続き力強く、積極的に推進していくこが重要だ。特に来年は主要7カ国(G7)議長国になり、重責を担うことになる。

 このように安倍元首相は、最近国際社会で最も評価、信頼される日本の総理だった。それは日本にとり幸運なことだった。一つ気になることがあるとすれば、内外評価の乖離である。この乖離により、日本は何か重要な機会を逸しているような感がする。

 世界は現実的に評価する。われわれももう少し有りのままに指導者や政策を見るべきではないだろうか。更に自己や自国にもっと楽観的になるべきではないか。過度の悲観主義や完璧主義は良いことではない。

【私の論評】将来世代が迷い無く歩けるように、美しい日本を愛する心を大人のわたしたちも引き継いでいこう😭

安倍晋三氏の国会での演説で一番記憶に残っているのは、以下施政方針演説の動画での言葉です。

これは、全くそのとおりです。安倍晋三氏がこの話をしたのは、  2015年の施政方針演説においてでした。

その後安倍晋三氏はこの言葉通りに、安保法制の改正に取り組み、インド太平洋戦略を推進し、世界が安定し、日米が近年最も輝いていた時代が、トランプ・安倍政権時であったと思います。特に、日本は「失われた時代」が続き、多くの国民が意気消沈していましたが、安倍総理が登場し、雇用を劇的に改善させ、世界での日本のプレゼンスを高め、日本は輝きを放っていました。

インドやフィリピンを訪問した安倍総理が、現地で大歓迎を受け、その当時も漠然とそ思っていましたが、今になって振り返るとまさに、そうだったと思います。

これは、安倍総理がいなければ、なかったことだと思います。日本を輝かせてくれた、安倍総理に感謝です。

安倍晋三氏の御母堂の94歳の誕生日を祝う安倍ファミリー 午後7:54 · 2022年6月14日

安倍総理があんな形で亡くなられてしまい、反対派は亡くなってなお安倍総理を批判し侮辱し続けています。安倍総理が兇弾に斃れたあの日から、安倍総理について思わない日はありません。 同時に、いわれなき批判を浴びせ続けた朝日新聞をはじめとする無責任なメディアに腹が立ちます。

安倍総理のご逝去直後から各国の首脳が日本大使館に足を運んで記帳して下さる様子が報じられました。訪日して弔問したいという問い合わせが多いと聞いており、内閣が弔問の場を用意することは必要であると考えます。

安倍総理の国葬は、正式には『国葬儀』です。あくまでも、国が催行する葬いの儀式であり、無宗教で行われる典礼です。既に宗教上の葬儀告別式は家族葬として、浄土宗の仕来りにより終わっています。

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"安倍総理国葬に対する『国葬上めろ』『あべ正治』など、小学生レベルの漢字が書けない左翼の皆さん、義務教育を日本国で受けていないか、IQが著しく低い、あるいはその両方疑い
周囲も「これおかしいよ」と指摘し修正しないのだから参加者全員そのレベルってこと"と、くつざわ元豊島区議が語っておられました。確かに日本人なら絶対書かないようなプラカードが散見されます。

安倍総理の国葬が営まれると世界各国の要人が東京に集まり、安倍元総理の偉業が再確認され世界中に広まることになります。

それと共に中共の包囲網が再確認されることになります。これに一番困るのが中共の習近平です。

そして我が国で、大反対しているのがアレなメディア野党とその仲間達です。もう、最初からお里が知れているのです。

これは、本当に悲しいことですが、安倍総理は死して永遠に語り継がれる伝説となりました。献花台に並ぶ多数の若者や子どもたちを見て、私は彼らが日本を支える保守の流れを作ると確信しました。将来世代が迷い無く歩けるように、美しい日本を愛する心を大人のわたしたちも引き継いでいこうではありませんか。

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2022年7月24日日曜日

[スキャナー]ロシア産業界にじわり打撃、制裁で機械も原材料も不足…「一番怖いのは機械の故障」―【私の論評】対露経済制裁は確実に効いており、3年後くらいにはソ連崩壊時並になるのは間違いない(゚д゚)!

[スキャナー]ロシア産業界にじわり打撃、制裁で機械も原材料も不足…「一番怖いのは機械の故障」

ロシア銀行大手ズベルバンクから預金を引き出すために列をつくる人々=2月25日、チェコ・プラハ

 ロシアがウクライナ侵略を始めてから24日で5か月となる。プーチン露大統領は、侵略に伴って米欧や日本が科してきた対露制裁を、ロシア経済を発展させる機会にすると強弁してきたものの、産業界の基礎体力はじわじわと奪われている。
  「一番怖いのは機械の故障だ。ここの製本機はドイツ製で、企業が撤退したので保守サービスが受けられない。いざとなったら自力での修理も考えている」

 モスクワ北東部で印刷工場を経営するアルチョム・ジュジャコフさん(51)は深いため息をついた。工場にある印刷機器はすべて外国製だ。今年4月に欧州連合(EU)が発動した、精密機器の輸出を禁じる制裁の直撃を受けた。

 ジュジャコフさんの工場では、ほぼ全量を欧州製に頼っていたインクも輸入できなくなった。侵略前からロシアでは製造していなかった厚手の上質紙も手に入らない。それ以外の紙やインクは中国製などで代替しているが、調達コストは2割ほど上がり、最近はロシア製の紙も品薄だという。

対応に奇策次々

 プーチン政権は制裁の打撃を緩和し、自国経済の機能を維持するため、国際ルールも無視して様々な奇策を繰り出している。

 最も制裁の影響が顕著だとされる自動車産業の「生産を維持し、雇用を守る」(副首相)ため、政府は5月、新車を認可する際の安全基準などを引き下げた。

 ロシアの自動車大手アフトバスが6月に発表した「新型モデル」は、ブレーキ時にタイヤがロックしないようにするアンチロック・ブレーキ・システム(ABS)やエアバッグといった装備が付いておらず、排ガス性能も最新の基準には適合しない。アフトバスを傘下に置いていたフランスのルノーが保有株を売却して撤退したため、いずれも自前の技術では調達できなくなったのだ。

【随時更新】ロシア軍、ウクライナを侵略…最新ニュース・速報まとめ

 アフトバスは、ソ連時代に生産していた車種の復刻版も相次いで発表し始めた。ロシアの自動車業界は、急速に懐古色が強まっている。


 露政府は3月には、対露制裁で輸入が禁止された品目について、商標権者の許可なく輸入して流通させても合法とみなす「並行輸入」制度を導入した。産業貿易省が、スマートフォンや自動車、精密機器から医療品まで広範なリストを発表しており、国が率先して違法行為を推奨している格好だ。

 外国のリース会社から借りている航空機を返却せず、所有権をロシアの航空会社に移すことを認める法律も発効している。

物流混乱

 制裁対象の品目以外でも原材料の調達は課題になっている。モスクワでクラフトビールの醸造会社を経営するアレクサンドル・グロモフさん(32)は、欧州の仲介業者から輸入しているモルト(麦芽)やホップの供給が途絶える事態を心配し、精神安定剤を服用している。侵略の影響で物流が混乱したため、国境の税関も大混雑しており、原料を運ぶトラックの通関に1週間以上かかることもあるという。

 人材流出も加速している模様だ。米紙ニューヨーク・タイムズは、侵略開始から1か月で5万~7万人のIT技術者がロシアから出国したとの推計を伝えた。周辺国などで人材の囲い込みが起きており、侵略は長期的にもロシア経済に深い傷を残しそうだ。

【私の論評】対露経済制裁は確実に効いており、3年後くらいにはソ連崩壊時並になるのは間違いない(゚д゚)!

ロシア制裁については、すぐには効果がないとか、抜け穴があるので効かないなどの意見もありますが、どの意見も明確な定量的な裏付けがないままになさてれいます。

ただ、わかっていることもあります。ロシア経済発展省は24日までに、今年上半期に破産宣告あるいは債務返済のための資産整理を申告した同国国民の人数は前年同期比で37.8%増を記録したとの報告書を公表しました。

これらロシア国民の総数は12万1313人で、破産宣告が最多の地域は首都モスクワの6000人以上でしたた。首都近辺の地域がこれに続き5600人以上となりました。

同省当局者は今年上半期の数字に触れ、破産に見舞われた国民の人数は既に相当な高水準に達していると認めました。

報告書によると、個人の破産は2019年には6万8980人だったが、21年には19万2833人とほぼ3倍に膨れ上がっていました。

個人的な破産宣告の件数とロシアによるウクライナ侵攻との明白な因果関係を示す材料はないが、ロシアは侵攻以降、多数の国際的企業が同国市場から撤収するなどの影響を受けています。ロシアは日米欧やほかの諸国から資産凍結などの制裁も科されました。これは、やはり制裁の強化によるものとみるべきでしょう。

さらに、米ソ冷戦も参考になります。第二次世界大戦の終結直前の1945年2月から1989年12月までの44年間続き、連合国としては味方同士であったアメリカ合衆国とソビエト連邦が軍事力で直接戦う戦争は起こらなかったので、軍事力(火力)で直接戦う「熱戦」「熱い戦争」に対して、「冷戦」「冷たい戦争」と呼ばれました。

ソビエト連邦の崩壊(1988年 - 1991年)とは、ソビエト連邦(USSR)が内部分裂を起こし、主権国家としての存続を断念した出来事です。

冷戦が始まってから、ソビエトが崩壊するまでは、 45年もかっているのです。ソ連は崩壊しましたが、新たにできたロシア連邦が、ソ連の軍事技術、宇宙開発技術、核兵器などを継承しました。

ただ、経済は著しく低迷しており、その窮状は、想像を超えており、当時のロシア連邦空軍は燃料すら十分ではなく、国内のパトロールさえままならぬ状態で、見るに見かねた米空軍がロシア連邦空軍がパトロールできるように燃料などの支援を行ったとの記録があります。

このような状態にあってもロシア連邦は、核兵器や軍事技術を継承し維持したのてす。1991年ウクライナは独立しましたが、ウクライナはこのとき世界第三位の核保有国となりましたが、核兵器を廃棄することを決めました。もし、ウクライナが核兵器を廃棄しなければ、今日ロシアに侵攻されることはなかったかもしれません。

米シンクタンク、ピーターソン国際経済研究所(PIIE)は、1914年の第1次世界大戦勃発から約100年間の経済制裁、204ケースを分析した。対象国の政策変更を実現させたか、制裁の効果はどの程度あったか、などを1~16点で評価しました。その結果、制裁が「成功」とされる9点以上だったケースは、34%でした。

ジェフリー・ショット氏

分析を担ったPIIEのジェフリー・ショット氏(73)は、「中でも軍事行動に対する制裁の成功ケースは約20%にとどまった。いまのロシアに対する輸出制裁は武器を製造できなくし、徐々に兵力を弱めるだろうが、制裁でただちに軍事行動を止めることはできない」と説明しています。

だからといって、「さらに厳しい制裁を科して対象国を追い込むことは、激しい対抗行動を引き起こす」として、ショット氏は太平洋戦争前の日本に対する米国の制裁を例にあげています。1941年夏に米国が打ち出した石油輸出禁止によって追い込まれた日本は、真珠湾を攻撃し対米開戦に踏み切りました。「石油禁輸が日本に多大な圧力となり、不幸な結果を招いた」

ショット氏によると、最古の経済制裁は紀元前432年の古代アテネによる経済封鎖にさかのぼります。それがスパルタとの「ペロポネソス戦争」につながったといい、制裁が戦争の理由の一つになるのは昔から変わらないようです。

制裁が失敗に終わる原因について、ショット氏は「抜け穴」となる支援国の存在をあげる。「21世紀に入りグローバル化が加速し、モノやサービスを供給するさまざまな経路ができたため、制裁対象国を支援する国がでてくる」。実際、制裁を科せられたロシアも中国やインドに原油などを輸出することで、経済が下支えされています。

ショット氏は、ロシアの軍事行動に武力ではなく経済制裁で対抗するのは「やむをえない」といいますが、「歴史からの教訓の一つは、制裁は始めるよりやめるのが難しいことだ」と長期化を予測しています。

制裁には別の意味合いもあります。「制裁側が同盟関係を広げて、包囲網をつくることが重要だ。一致して制裁を科すことは、ロシアに対してだけでなく、他の国が将来とる可能性のある行動、たとえば中国が台湾に対して軍事行動をとることを牽する効果もある」
としています。

ただ、以上は具体的数値に基づくものですが、実際にロシア経済が戦争継続が不可能になるまで、どのくらいの年月を必要とするかの答えにはなっていません。

それに対する答え出した人もいます。それについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
対露経済制裁は効果出ている 3年続けばソ連崩壊級の打撃も…短期的な戦争遂行不能は期待薄―【私の論評】制裁でロシア経済がソ連崩壊時並みになるのは3年後だが、経済的尺度からいえばこれは長い期間ではない(゚д゚)!
販売できる商品が何もない魚介類専門店で店員に詰め寄る市民たち(1990年11月22日、モスクワ)

この記事の元記事で、高橋洋一氏はロシア経済について具体的に数字を出しながら推測しています。その部分を以下に引用します。
 5月13日の英エコノミスト誌によれば、ウクライナ侵攻以降、ロシアの輸入は44%減少、輸出は8%減少した。輸出の減少が抑えられているのは、エネルギー価格の上昇にも支えられているという。

 これらからロシアの国内総生産(GDP)の動きを推計すると、年率10%程度の減少になるだろう。これは、リーマン・ショック並みの影響だといえ、これが3年間程度継続すると、ソ連邦崩壊並みになる。

ロシアが公表するGDPなどの資料は、昔から信用できないことが多く、だから髙橋洋一氏は輸入、輸出に着目したのだと思います。GDPに関しては、ロシア政府が公表するものですが、輸出入に関しては、相手国があることですし、あまりごまかすことはできません。

GDPと、輸出入に関してはある程度の相関関係があります。経済が良くなると、輸入が増える傾向にあります。輸出は、GDPに直接影響を与えます。これらから推測すると、ロシアのGDPの事実額までは推定できないかもしれませんが、GDP伸び率などは、当たらずとも遠からずの予測はできます。

これらの推測から、現状の制裁が3年続けば、ソ連邦崩壊時並の経済状況になると高橋洋一氏は予測しているのです。

経済制裁だけで、こうなるのですから、ロシアのへの経済制裁は相当効いているといえます。冷戦が始まってから、ソ連邦が崩壊するまでには45年もかかっていることを考えると、3年でこれほどの成果を出せる現状の経済制裁はかなり有効だということがいえると思います。

第二次世界大戦後、ソビエト連邦のGDPは米国についで世界第二位だったこともあります。その後日本に追いつかれて、世界第三位に落ちましたが、その後は冷戦を経て、ソ連が崩壊し、ロシア連邦がその後を引き継いだのですが、経済は落ちる一方でしたが、プーチンになってからエネルギー戦略でいっとき多少持ち直したものの、また落ち始め、現在のGDPは韓国を若干下回るまでに落ち込んでいます。

そうして、韓国の人口は、5千万人であり、ロシアの人口は1億4千万人ですから、一人あたりのGDPではロシアは1万ドル(日本円で100万円くらい)に過ぎず、これは途上国並です。一人あたりのGDPは、一人あたりの年収に近似できますから、いかに低いかが理解できます。

もともとの水準低いからこそ、3年間現在の水準の経済制裁が続けば、ソ連崩壊並になるのでしょう。

これを期間が長いとか、効き目がないという人は、一体何をを標準としているのか、聞きたいです。

先にあげた、ブログ記事にも述べましたが、もし戦争がエスカレートして、NATOとロシアとの直接戦争になってしまったとしたら、ロシアは核兵器数だけは世界一ですから、これは大変なことになります。

通常兵力では、現在のロシア連邦軍は米国を抜いたNATO軍よりも遥かに脆弱であり、まともに対峙することもできません。

核兵器についても、数は多いものの、旧式なものが多く、新型を開発しているとはいっても実数は多くはないです。さらに、防空能力でも米EUにはとても及びません。核兵器を用いても何をしてもロシアには全く勝ち目はありません。

ただ、両陣営が本格的に武力で対立して、核ミサイルを打ち合えば、世界は第二次世界大戦よりもはるかに甚大な被害を被ることになります。そこから、復興するには数十年の年月を要することでしょう。

これと、経済制裁の3年とどちらが良いかということになれば、経済制裁のほうが良いに決まっています。

ただ、これは思ったよりは長いと感じてしまうのかもしれません。それに、たしかに直接被害を被っているいるウクライナの人にとっては、大変なことです。

経済制裁でロシアの国力を削ぎ、軍事的にも弱体化させ、3年間でロシア連邦の戦力を削いで戦争継続を不能にするには、現在はない新たな手立てが必要だと思います。

現状では、NATOはウクライナ軍がロシア領内に侵攻することがないように、兵器も制限をつけているようですが、これはそのままでも良いのですが、ウクライナの都市などが、ロシア軍のミサイルによって徹底的に破壊されている状況にあります。

この状況を変えるために、防御型の兵器を強化すべきです。特に、ロシアからのミサイルを迎え撃つ兵器が必要です。たとえば、イスラエルのアイアンフィストのようなミサイル兵器です。


この装置は、RADAエレクトリック・インダストリーズが開発した固定式のレーダーセンサー、およびエルビット・システムズ(英語版)の子会社であるエリスラ(英語版)社が開発した付属の受動型赤外線検知器により、飛来する脅威を探知します。脅威が差し迫っている際には、炸裂する投射迎撃体がその前方へ撃ち出されます。

迎撃体は脅威となるものの非常に近くで炸裂し、破壊もしくはこれを逸らして、弾頭を起爆させることなしに安定を失わせます。このためには炸裂の爆風効果のみが用いられます。迎撃体のケーシングは可燃性の素材で製造されており、そこで炸裂によって生成される破片は存在せず、副次的な損害を最低限にする助けとなっています。

このような防空システムは様々なものがあります。有効なものを配備して、ロシアからのミサイル攻撃による被害をなるべく減らしつつ、経済政策を継続するという方式が良いと思います。

そうすれば、ロシアからのミサイル攻撃を受けつつも、ウクライナの復興ができるでしょうし、現在国外に退去していた人たちが、ウクライナに戻ることも増えているといいます。防御兵器が充実すれば、これも加速すると思います。

いずれにしても、ロシアへの経済制裁が効いていないということはありません。そうして、私自身は3年間という期間は長いとは思いません。


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