2021年10月31日日曜日

函館市の期日前投票所で12歳の男の子が小選挙区の投票箱に投票 “有効票”に―【私の論評】選挙においては、選挙違反は見逃さず、マスコミの印象操作には幻惑されない姿勢が肝要(゚д゚)!

 函館市の期日前投票所で12歳の男の子が小選挙区の投票箱に投票 “有効票”に


函館市役所

 函館市内の衆議院選挙の期日前投票所で、選挙権のない12歳の男の子が投票するという事態が起きました。この投票は有効だということです。

  函館市の選挙管理委員会によりますと、30日午後5時前、函館市港町のショッピングセンターに設けられた期日前投票所で、12歳の男の子が50歳の母親の代わりに小選挙区投票用紙を受け取り、投票を行いました。

  その後、比例代表と国民審査の投票で、現場の担当者らが名前や年齢に違和感を覚え、投票用紙を渡すのを止めました。

  男の子は父親と一緒に投票所に来ていて、父親は、妻が体調が悪く来られなかったため、代わりに投票させようと妻の入場券を息子に渡したと話しているということです。  市選管は、小選挙区の投票用紙を渡す際に混んでいたこともあり、最初の受付係や名簿対象係、用紙交付係での確認が不十分で見落としたとしています。

  また、男の子が投票した小選挙区の投票用紙は、有効票として扱われるということです。 

 31日の投票日には、本人確認と合わせて、来場者を目で見て間違いがないか確認するなど、再発防止を徹底すると話しています。

【私の論評】選挙においては、選挙違反は見逃さず、マスコミの印象操作には幻惑されない姿勢が肝要(゚д゚)!

このニュース最初は、テレビのニュースで知ったのですが、最初は何のことかあまり理解できませんでした。上のニュースではじめて事実確認ができました。


我が国の投票に際しての本人確認は甘すぎます。考えてみれば、 レンタルビデオを借りるのにでさえ身分証明書の提示は当たり前です。それが義務付けられれば、今回のような出来事は未然に防げたでしょう。

 投票率がさがるなというのは言い訳でしかなく身分証明書による本人確認、身分証明書がない人は宣誓書提出くらいは検討すべきと思います。 反対する人は本人確認されたら困る人だけでしょう。

この事件については、悪質なものではなく、大きな影響を及ぼすものではないですが、毎回選挙では違反が起きています。

警察庁によると、今回の衆院選で、全国の警察は29日までに公職選挙法違反の警告を1376件出した。今後、悪質な選挙違反の捜査を進めるそうです。

警告件数は前回選挙の同時期より82件少なかったそうです。内訳は、禁止場所にポスターを貼るなどの文書掲示違反が1061件、法定外のビラをまくなどの文書頒布違反が262件など。ほかに、ポスターを破るなどした容疑で3人を逮捕したそうです。

衆院選が公示以降も、共産党の「しんぶん赤旗10月号外」なる文書が各戸配布などの形で全国各地で大量にばらまかれ、「選挙違反」「法律を守れ!」といった声が相次いでいます。公職選挙法では、衆院選比例代表選挙における「法定ビラ」である旨を記載しなければならないが、同文書には記載が全くありません。


選挙違反、内容によって逮捕立件、注意や警告などかなされます。注意や警告も累積すれば悪質とされて逮捕されます。ですから、丁寧に通報するのが正しいです。

写真やスクリーンショットで証拠保全した上で、所轄の警察署に通報して下さい。無論、選挙が終わった後からでも、証拠があれば通報すべきです。判断は警察や選挙管理委員会がする事です。

それと、これは選挙違反とはいえないかもしれないですが、昨日このブログに掲載したように、マスコミは政府のコロナ政策について、感染者が増えたときには、諸外国に比較すれば、かなり低いにもかかわらず、政府の対策が大失敗したように報道するのですが、最近のように感染者数が少なくなると今度は報道しません。

これについては、以下の記事をご覧いただければ良くご理解いただけるものと思います。
主要メディアはなぜコロナウイルスの大ニュースを報じないのか
この記事は、古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)によるものです。以下に要点だけ掲載します。
・主要メディアは新型コロナウイルスの感染の驚異的な減少を報じていない。

・ワクチン接種の急速な拡大や、政府の水際対策も効果を発揮したといえるだろう。

・ 主要メディアは、目前の現実を報じ、論じてほしい。それこそジャーナリズムの本来の責務だろう。
パチンコ屋でワクチン接種を受ける女性、大阪にて(2021年10月13日)

昨日このブログでは、英国のガーディアン紙が、日本の驚異的な感染者数の激減について報道していることを掲載しましたが、米ウェブメディアもこれについて報道しています。

Japan's success in smashing its latest wave of COVID has 'puzzled' health experts
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では専門家らは日本の急激なコロナ感染の収束に戸惑いを隠せないようなのですが、参考にすべきと語っていることを報道しています。

日本のメディアがこれを報道しないのは、選挙違反ではありませんが、印象操作だと謗られても致し方ないです。

選挙においては、選挙違反は見逃さず、マスコミの印象操作には幻惑されないことが肝要だと思います。

なお、日本においては米国など他国と比較すれば、投票所の数がかなり多く、比較対照がしやすいため、いくつかの投票所で大規模な不正行為が行われた場合、他の投票所と比較して、数学的に分析すると、明らかに異常であることが検証できるそうです。その点では比較的安心ともいえます。

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2021年10月30日土曜日

成功だった日本のコロナ対策 世界的にも良いパフォーマンス 死亡率もワクチンで劇的改善 ―【私の論評】菅政権のコロナ対策は、病床増床には失敗したが医療崩壊は起こさず、総体的には大成功(゚д゚)!

成功だった日本のコロナ対策 世界的にも良いパフォーマンス 死亡率もワクチンで劇的改善 
高橋洋一 日本の解き方

 衆院選では新型コロナウイルス対策が争点の一つだが、昨年以来の日本のコロナ感染状況や医療体制、経済対策、ワクチン確保はどうだったのか。今後の課題は何か。

 10月22日現在までの累積ベースの状況について、20カ国・地域(G20)の中の日本の順番をみてみよう。100万人当たりの感染者数は少ない方から4位、死亡者数も少ない方から4位、100万人当たりのワクチン総接種回数は4位。これらは良いパフォーマンスといっていいだろう。

日本のコロナワクチン接種率は、70%を超え米英・イスラエルを越した

 なお、各国の人口当たりの超過死亡推計(2020年1月からの実際の死亡者数と前年からの推計された死亡者数との差)をみても、G20諸国中13カ国のデータしかないが、その中で、日本は最も少なく1位である。これは、新型コロナに対して、日本が最も悪影響を受けなかったと解釈できるだろう。最新の超過死亡推計では、日本のデータが幾分増加しているようだが、世界の中では依然少ない。

 こうしてみる限り、結果としては日本のコロナ対策は申し分ないパフォーマンスだ。

 一方、同じベースでみて、1000人当たりの検査数では14位だった。各国の検査状況をみても、検査を多くした国とその国の感染者数や死者数には特段の関係を見いだせない。

 こうしたデータをみる限り、いまだに、検査を重要項目としている政党は世界から取り残されていると言わざるを得ない。第6波に備えて、医療体制の強化を主張している政党はまだまともだ。

 医療体制については、医療サービスの供給強化のために予算がつけられたが、結果として未消化になった。本コラムで指摘してきたが、政府分科会や医師会側は供給体制強化より感染抑制のための人流抑制など社会規制の一本やりだった。そのため、第5波にいたるまで、この2年間で医療供給体制の強化はほとんどなされなかった。この点は、衆院選後に、政府としてもしっかり検証を行うべきだ。

 経済対策についても、人流抑制一本やりのために、うまく機能したとはいえない。都道府県が飲食店などに営業時間の短縮などを要請したものの、その補償的な意味がある補助金は必ずしも十分ではなかった。地方創生交付金も配布されていたはずだが、未消化部分もあった。これも検証対象とすべきだ。

 ワクチン確保はかなりうまくいった。昨年の補正予算による冷凍庫確保などの準備、今年4月の菅義偉前首相の米ファイザー社との直接交渉や打ち手問題解決のための超法規的措置などが功を奏し、今や、欧米主要国を抜いた状況だ。

 そのため第1~4波で感染者数約77万5000人、死者約1万4000人、死亡率約1・9%だったが、ワクチンがかなり行き渡った第5波では、感染者数が約93万人と多かったが、死者は約4000人、死亡率は約0・4%と劇的な改善だった。

 ワクチンを十分に接種すればコロナは「普通の病気」並みなので、さらなるワクチン接種を行いつつ、感染症法上の扱いも引き下げるのが先決だろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】菅政権のコロナ対策は、病床増床には失敗したが医療崩壊は起こさず、総体的には大成功(゚д゚)!

これだけ、急速に感染者数も死者も減ったのにはそれなりの理由があるはずです。今後は、その理由も解明してほしいと思います。

これについては、国内メディアでも様々な報道がなされていますが、英国のガーディァン紙等の見方を掲載します。

英国のガーディアン紙は、断定的な理由づけを行なっていないものの、日本の感染収束について2つの要因が大きく影響した可能性があるとみています。

 1つ目は、ワクチン接種の浸透です。日本は接種の開始時期こそ諸外国に遅れを取ったものの、現在では人口の約65%がワクチンの2回接種を終えており、これが新規感染を食い止めた可能性があります。

 一方、イギリスで必要回数の接種を完了している率は現時点での日本と同程度ですが、ここ1~2ヶ月ほどは伸び悩んでいます。オーストラリアは55%前後と、日本を10ポイント程度下回ります。

両国では反ワクチン・デモが行われ、警官隊と衝突して負傷者を出すなどしています。米国の完了率もオーストラリアと同程度で、なおかつ伸び悩んでいます。

 2つ目の要因として、マスク着用への抵抗感の少なさが幸いした可能性があるといいます。ガーディアン紙は「諸外国が屋内その他でマスク着用義務を緩和する一方、多くの日本人は思い切ってマスクを外すことを想像しただけでも身震いしている」と述べています。

パンデミック以前から風邪やインフルエンザなどの予防で冬場のマスクは習慣化しており、着用に抵抗が少なかったことが要因のひとつとして考えられそうです。

 このほか、夏場のピーク自体が季節性のものだったとみる専門家もいます。エアコンを利用する夏冬は窓を開けづらくなり、感染症の流行につながる環境が生まれやすいです。 

デルタ株の特性か 日本の状況の変化については、英インディペンデント紙の元姉妹紙である『 i 』紙も注目しています。「日本のコロナ件数が謎めいた減少をみせた」とし、他のアジア諸国において厳しい状況が続くなかで特異な例になっているとの見方です。

 英エディンバラ大学で疫学を研究するマーク・ウールハウス教授は同紙に対し、デルタ株が従来株よりも顕著な波を描く特性があるためではないかと説明している。デルタ株は急速に感染拡大する特性をもつが、感染の収束も早いのだといいます。

 ウールハウス教授は日本の緊急事態宣言を評価し、「こうした対策は感染数を抑えることを目的としており、その意味で成功しているように思われる」とも述べています。 教授はインドにおけるデルタ株の第1波でも同じく急激な拡大と収束がみられたと指摘し、日本の急速な感染者数減少は特別な驚きではないと見ているようです。

ある感染者が感染してから二次感染者にうつすまでの時間を疫学用語で「世代時間」というが、デルタ株はこの世代時間が短い特性があります。結果、集団内に急速に広まり、そして急速に波が引く形になるのだといいます。 

 医療機器の充実も貢献 i紙は日本の状況から、英国が学べる点は多いと指摘しています。「日本の主要メディアではネガティブな記事がヘッドラインを飾りがちだが、データを比較すれば他のG7諸国よりも日本はおおむねうまくパンデミックに対処している」との評価です。

英国の倍近い人口を抱える日本ですが、新型コロナの死者数は同国の7分の1未満となっています。 同紙は理由のひとつとして、日本は人口あたりのCTスキャナー配備数が世界で最も多く、肺の異常を早期に発見しやすいことを挙げています。

100万人あたり111台を確保している日本に対し、英国では9台に留まります。ほか、体外式膜型人工肺(ECMO、エクモ)の配備数や病床数が多いことも有利だといいます。一方、医師と看護師の数は他のG7諸国よりも少ないとの指摘です。 

英国メディアの報道は、日本のコロナ対策は大成功という認識のもとで報道しています。一方日本の主要メディアでは少し前までは、ネガティブな記事がヘッドラインを飾り、多くの人に日本の「コロナ対策」は大失敗だったかのような印象操作ばかりしていました。

最近では、どう考えてもコロナ対策、特にワクチン接種は大成功したのは間違いないことが明らかになりつつあるせいでしょうが、今度はほとんど報道しないという状況です。ほとんど報道しないということで、ワクチン接種の大成功も報道しないという、報道の自由の権利を行使しているようです。

衆院選終盤に入った26日、菅義偉前首相と立憲民主党の枝野幸男代表が鹿児島入りし、新型コロナウイルス対応を巡って舌戦を繰り広げた。菅前首相が「切り札はワクチン接種」と強調したのに対し、枝野氏は「常に後手後手」と批判しました。

菅前首相は志布志、鹿屋両市で演説しました。国民の7割以上がワクチンの2回接種を終えた現状を踏まえ「一日も早く、一人でも多く接種することが、国民の命と暮らしを守ることになると考えた」と成果をアピール。「安心安全で、にぎやかな日常を取り戻すための一歩を踏み出すことができた」と指揮した対策に自信を見せました。

現状日本でコロナが収束しつつあるのは、ワクチン接種の驚異的な速さが功を奏したのは明らかです。それについては、このブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
誰が五輪を「政治利用」するのか 一部野党は政府批判の材料に…日に日に現実離れする中止論 ―【私の論評】世界に先駆けて日本が「人類がコロナ禍に打ち勝てる可能性を世界に示す」 ことの意義は大きい(゚д゚)!

この記事は、月日のものです。以下に一部を引用します。 

100万回に関しては識者の人でも不可能と語っていました。しかし、この認識は全くの間違いです。

安倍政権だった2020年5月、2次補正予算が成立したときにワクチンに関しては1300億円の補正予算がつけられました。その予算計上の積算においては、ワクチンはファイザー製を用いることが前提でしたから、冷凍施設が必要とされ、これを全国1万ヵ所に設置するという想定で積算したのです。

冷蔵庫を1万ヵ所設置することを前提とすると、そこで1日に100人打つというのは難しい数字ではありません。100人には3時間ほどで打ててしまいます。だから100万回というのは、別にとんでもない数字ではないのです。当時の安倍総理はおそらく、一日100万回は不可能ではないと思っていたと思います。 さらに、ワクチン供給に関しては、2021年3月のときにほぼ決まっていました。さらに菅総理が渡米したときに、ファイザー協議して本決まりになりました。このときに、6月末までに1億回分のワクチンが送られて来ることは決まっていたのです。そうなと、6月末には高齢者はそれで全員接種できるし、2回打っても余ってしまうのです。それはもうわかっていたことです。

ワクチン1日100万回接種というのは、当初から予定されていたことなのです。そうして、それは安倍政権が計画をし、菅政権に引き継がれ、実行されて今日に至っているのです。 

一方、上の高橋洋一氏の記事にもあるように、「医療体制については、医療サービスの供給強化のために予算がつけられたが、結果として未消化になった。本コラムで指摘してきたが、政府分科会や医師会側は供給体制強化より感染抑制のための人流抑制など社会規制の一本やりだった。そのため、第5波にいたるまで、この2年間で医療供給体制の強化はほとんどなされなかった。この点は、衆院選後に、政府としてもしっかり検証を行うべきだ」とありますが、これについては、その理由をこのブログにも掲載したことがあります。

その記事のリンクを以下に掲載します。

【日本の解き方】菅首相1年間の大きな功績 懸案を次々処理した「仕事師内閣」、対韓国でも厳しい姿勢貫く―【私の論評】新政権は、雇用の維持、迅速な鉄の三角形対策ができる体制を整えれば、長期安定政権となる(゚д゚)!

これは、10月2日の記事です。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、一部を以下に引用します。

日本には様々なルールや規制があります。それに守られ、いわゆる“既得権益”を受けている人たちがいます。農業の分野で言えば、日本は零細農家を守るため、株式会社は農地を持つことができません。

当初は意味のある制度だったのでしょうが、農業が国際化されてきた今日日本は世界的にみても良い作物を作れるのですから、株式会社に農業にも参入してもらい、生産性を上げ、輸出もしたほうが良いはずです。

ところが“入ってはいけない”という人たち、そこに結びついた政治家たち=族議員、そして業界の既得権益を持った人をつなぐ役割を担っている官僚がいます。この三角形がスクラムを組み、新しいことをやろうとするときに妨害するのです。こうした三角形はどこの国にもありますが、日本の場合はそれを取り持つ官僚組織がかなり強い状態で維持されています。
それは、医療の世界にも厳然として存在します。医師会、族議員、厚生官僚による三角形(医療ムラ )は厳然として存在してるのです。これは、ある意味「加計問題」と本質は同じです。

1年以上も前から、コロナ病床は、かなり増床すべきことはわかっていました。そうして、昨年の補正予算でも、それに関する予算は潤沢につけられていたにもかかわらず、この医療ムラの猛反撃にあい、現在に至るまで大きく増床されることはありませんでした。感染症対策分科会も、こうした医療ムラの圧力に対抗できなかったのか、結局対策といえば、病床の増床ではなく、人流抑制ばかりを提言していました。
尾身会長
そのため、コロナ感染者数が増えるたびに、野党・マスコミは、医療ムラを批判するのではなく、菅政権を批判しました。尾身会長は、マスコミに利用された形になったといえます。これは、間違いなく菅政権を追い詰めていきました。特に、マスコミは感染者数が増えるたびに、不安を煽り、様々な印象操作で菅政権を追い詰めました。

菅政権のコロナ対策のうち経済対策については、マスコミ等はボロクソにいいますが、失業率という面でいうと、これもかなり良いパフォーマンスを発揮しました。それについても、このブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。

衆院選、初の任期満了後に…臨時国会10月4日召集を閣議決定―【私の論評】誰が総裁になっても、当面緊縮路線には振れない、今後の政局だが・・・(゚д゚)!

これは、9月22日の記事です。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。

日本の失業率はコロナ前の2020年2月に2・4%でしたが、その後上昇し、10月に3・1%とピークになり、21年7月は2・8%まで低下しました。米国は20年2月に3・5%でしたが、4月に14・8%とピークで、21年7月は5・4%。EUは20年3月が6・3%でしたが、8月に7・7%、21年7月は6・9%となりました。
それぞれ、コロナ前とコロナ後のピークの差は日本が0・7ポイント、米国が11・3ポイント、EUが1・4ポイントでした。コロナ前と直近の差は日本が0・4ポイント、米国が1・9ポイント、EUは0・6ポイントです。

これらの数字から、コロナ禍による失業率の上昇を最も抑えたのが日本であることがわかります。その理由は、日本では雇用保険の中に雇用調整助成金があるからです。この制度は、労働者の失業防止のために事業主に給付するものです。類似制度は世界ではそれほど多くないが、似た制度があるドイツも、ピーク時の失業率上昇は0・7ポイントと他国と比べて抑えられています。

コロナ失業を防いだ雇用調整助成金
厚生労働省は16日、2021年版の労働経済白書を公表しまた。新型コロナウイルス感染拡大により雇用が悪影響を受けたとする一方、雇用調整助成金(雇調金)などの効果により、完全失業率は2・6ポイント程度抑制されたとの推計を示ました。雇調金がなかった場合、失業率は5・5%に上昇した可能性があるとしています。

このように、雇用調整助成金は確実に効果を上げたのですが、一方では財源が逼迫しているので、保険料をあげようなどとの議論もされています。しかし、それでは何のための保険なのかということにもなりかねません。総裁選、衆院選と選挙が続く時期に、政府は当然このようなことはできないでしょう。それに、こういうことのためにも、補正予算を組むべきです。

このブログでは、経済政策においては、雇用政策がうまくいけば成功ですが、他の経済指標が良くても雇用政策がうまくいかなければ、失敗であるとのべてきました。その観点からすると、菅政権の経済政策はうまくいったといえます。

そのようなことを掲載すると、飲食店がどうのとか、旅行業者がどうのこうのという人もいるかもしれませが、それはミクロな見方であって、マクロ的には世界の先進国の中では最も失業者が少なかったのですから、菅内閣の経済政策は失敗したなどとはいえません。それは、何よりも数字ではっきり示されています。

岸政権は発足したばかりで、まだ良いとも悪いとも評価はできませんが、マスコミは菅政権の政策が大失敗したように、印象操作しているようですが、大失敗とはいえません。

それどころか、菅政権のコロナ対策は、病床増床には失敗しましたが医療崩壊は起こさず、総体的には大成功しました。

明日の選挙では、是非とも上に掲載したことなども考慮して投票をしていただきたいものです。

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2021年10月29日金曜日

中露の航行許す津軽の「特定海峡」指定 「領海」にしないと国益を損ねる 「非核三原則」も早急に見直しを ―【私の論評】中露などの軍艦艇、潜水艦や核兵器積載艦艇の海峡通過は有害通行とみなすべき(゚д゚)!

中露の航行許す津軽の「特定海峡」指定 「領海」にしないと国益を損ねる 「非核三原則」も早急に見直しを 
高橋洋一 日本の解き方

 中国とロシアの艦隊が津軽海峡を通過した後、太平洋側を南下し、大隅海峡を通過して東シナ海に入るのが確認された。この動きの背景は何か、日本としてはどのように対処すべきか。

 これまでも、中国とロシアの艦艇はそれぞれ津軽海峡を通過していた。中には、通常の通過通航とは言い難い、情報収集活動をしているとおぼしき船もあった。しかし、今回、中国とロシアの艦艇が津軽海峡を通過したのは軍事演習にも準じるものなので、日本としては看過できない事態だ。

 中国の言い分としては、米艦隊が台湾海峡に来るのと同じだというものだ。

 だが、台湾海峡は広く、中国の領海と台湾の領海が交わるところはない。その意味で、公海であるから米国に限らずどこの国の艦隊が通過通航しても、潜水艦が潜っても、航空機が飛んでも何の問題もない。

 一方、津軽海峡は狭いところの幅は20キロもない。領海は海岸から12カイリ(約22キロ)なので、津軽海峡は日本の「領海」であると素人目にも思える。その「領海」内を堂々と、他国の艦隊が通過通航することがそもそもおかしいというのが素人の感覚だ。


 しかし、津軽海峡は国際海峡とされ、軍民を問わず艦艇、潜水艦、航空機も通過通航権が認められている。その国内法の根拠となっているのが領海法で、津軽海峡は「特定地域」に指定されている。

 その建前は、「国際交通の要衝たる海峡における商船、大型タンカー等の自由な航行を保障」とされているが、実際のところ、米艦艇などが核兵器を保有して通過通航するので、日本の非核三原則の一つ「持ち込ませず」に反することを回避する措置とみるのが常識だ。

 この非核三原則のうち「持ち込ませず」くらい馬鹿げたものはない。日本に帰港する米艦艇がどこかで核兵器を下ろすはずないからだ。「持ち込ませず」がこれまでも空文化しているのは、現実的な国民はみんな分かっていて、無意味な建前を言っているだけだ。この意味で、この議論は「お花畑」とほとんど変わりはない。

 その結果、津軽海峡を国際海峡としているのは日本の国益を損なう。

 なお、特定海峡には、津軽海峡のほか宗谷海峡、対馬海峡東水道、対馬海峡西水道および大隅海峡が指定されている。宗谷海峡はロシア、対馬海峡西水道は韓国と向かい合うが、それ以外の3海峡は日本の領土に囲まれているので、領海としないのはそもそもおかしい。

 こうした政府の決定は、40年以上前に行われたが、今や時代や国際情勢は大きく変わっている。

 非核三原則は法律でもないので、不合理なものは一刻も早く見直して、津軽海峡などの特定地域指定についても変更すべきだ。その場合、領海内の無害通航の範囲で外国艦艇に対処したらいい。そうなれば、もちろん今回の軍事演習のような行為は国際法上認められなくなるのはいうまでもない。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】中露などの軍艦艇、潜水艦や核兵器積載艦艇の海峡通過は有害通行とみなすべき(゚д゚)!

津軽海峡を通過する中露艦隊

今回の中国・ロシア艦隊の通航を背景として、上記のように「特定海域を廃止し、全て領海に含めてしまうべき」という主張も見られます。

無害通航の近代的制度は19世紀になって(国際法として)成立したといわれますが、通過通航の概念は比較的新しい考え方です。国連海洋法条約の制定によって、それ以前は(主に)3海里とされていた領海幅が12海里に拡張されるに伴い、それまで公海部分を自由通航すればよかった多くの国際海峡が沿岸国の領海となることがわかりました。

そうなると国際海峡の船舶の通航は無害通航しか認められず、航空機の公海上空飛行はできなくなってしまいます。

そこで先進諸国の主張を入れて、(公海と公海を結ぶ)国際海峡は全ての船舶および航空機に通過通航権(国連海洋法条約38条)を認めることになったのです。


大隅海峡、対馬海峡、津軽海峡などは、国際海峡ではなく、わが国独特の「特定海域」として国際社会に通告しています。これらは日本の領海内の海峡であり、もしここに通過通航権を設定するとなるといろいろと難しいことが想定されます。

例えば、核保有国である中国の(核兵器搭載の公算がある)軍艦が(領海である特定海域を)通過した場合、日本の国是である非核三原則に抵触することになり(その瞬間)非核三原則が崩れてしまいかねないです。無論米軍の軍艦が核兵器を積んで通過しても同じことです。

そこでわざわざこのような海峡に限って我が国政府独自の判断により領海幅3海里に縮めて公海部分を設け、自由航行ができるようにしたのです。

ただ、上の高橋洋一氏の主張するように、宗谷海峡はロシア、対馬海峡西水道は韓国と向かい合うのですがが、それ以外の3海峡は日本の領土に囲まれているので、領海としないのはそもそもおかしいです。

領海幅が12海里に拡張されたのですから、日本の領土で囲まれる、津軽海峡、大隅海峡、対馬海峡は領海にすべきです。この三海峡をわざわざ国際海峡のようにようにして扱う必要はないでしょう。通過通行権は、領海を除く国際海峡に適用されるものです。そうなると、外国の船は無害通航しかできなくなります。

軍艦も一般の商船と同様にこの無害通航権を行使することができるかどうかということについては争いがあります。欧米の海洋先進国は、無害通航権は船種の違いを根拠に否認されることはないと主張しているのに対して、軍艦の通航は当然に無害とみなすことはできず、その領海通航については、事前の通告を行わせるか、または事前の許可を求めさせると主張する国は少なくないです。

国連海洋法条約の採択過程では、この問題をめぐって諸国の見解が対立したので、条約には、軍艦が無害通航権を有するかどうかを直接に規定した条文は置かれていないです。

また、今日では、地球環境保護の問題への関心が急速に高まっていることもあり、軍艦のほかに、核物質など危険で有害な物質を積載する船舶の領海通航が規制の対象となるかどうかが論議を集めるようになっています。

そのため、今後の各国の実行が大いに注目されています。日本は、1968年の国会において、核兵器積載艦船の領海通航は無害とはみなさないという立場を表明し、この立場に変更がないことは、96年の国連海洋法条約を批准する際の国会審議においても確認されています。


日本としては、「核三原則」は捨てても、この立場は堅持すべきです。ただし、米国など同盟国の艦艇や潜水艦、核兵器積載艦艇の通過は無害とみなし、中露などの艦艇や潜水艦や核兵器積載艦艇に関しては、有害とみなすようにすべきです。

これにより、今回の中露の軍事演習のような行為は国際的にも認められなくなります。

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2021年10月28日木曜日

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蔡総統、米軍の台湾軍訓練認める 1979年の米台断交後、初


 台湾の蔡英文総統は27日に放映された米CNNのインタビューで、米軍が台湾に駐留し、台湾軍に訓練をしていると認めた。台湾の総統が米軍による訓練の実施を公に認めるのは1979年の米台断交後、初めて。米国の強い関与を公表することで、台湾側は軍事的圧力をかけてくる中国に対抗する狙いがあるとみられる。

  米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は今月上旬、米海兵隊と台湾海軍が共同で小型艇を使った訓練を実施しているほか、特殊作戦部隊と支援部隊の二十数人が台湾陸軍の訓練に当たっていると報じていた。こうした訓練は少なくとも1年前から実施されているという。 

 蔡氏は英語で取材を受け、米軍が台湾軍の訓練に参加しているかを問われ「イエス」と答えた。CNN記者が「現在、何人の米兵がいるか」と問うたが、蔡氏は「多くない」と述べるにとどめた。蔡氏は訓練の詳細は明かさなかったが「我々の防衛力を向上させるために米国とは幅広い協力をしている」と言明。中国が台湾への攻撃を試みた場合に「米国が台湾を守ると信じているか」との質問には「確信している」と答えた。

  米国は79年に中国と国交正常化し、台湾と断交。台湾駐留米軍は中国との合意に基づき、撤収した。一方で米国は断交後に制定した台湾関係法に基づき、台湾への武器売却は続けてきた。だが米台は、米国の対台湾代表機関、米国在台協会(AIT)台北事務所に勤務する「警備要員」を除いて、米軍兵が台湾で活動していると公に認めていなかった。

  CNNは米国防総省の情報として、台湾に駐留する米兵は2018年の10人から今年は32人に増えたと報じた。この人数にはAITの警備要員が含まれている可能性がある。

【私の論評】米台ともに中国は台湾に侵攻できないと見ているからこそ、蔡総統は米軍台湾駐留を公にした(゚д゚)!

米軍が台湾で活動していることは、以前から指摘されていました。それについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
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2020年11月、中部台中市内で戦車のメンテナンスを行う台湾陸軍部隊。同年7月には、台中に中国軍が上陸したケースを想定して大規模な軍事演習が行われている。

詳細は、この記事をご覧いただくものとしして、この記事では、結局バイデン政権は現状変更を認めることはないだろうことを掲載しました。

このことがあって、なかば米軍の台湾駐留が公にされた後でも、米国は以下のような動きをしています。

米国の外交代表部の役割をする米国在台湾協会(AIT)関連の航空機が相次いで台湾に到着し、中国側が強く反発しました。

7月20日、台湾の「自由時報」などの報道を総合すると、同日前日午前、フィリピンのニノイ・アキノ国際空港を出発したAITのチャーター機が午後0時14分ごろ、台湾の首都台北の桃園国際空港に着陸しました。このチャーター機は、米空軍の主力輸送機C-130を民間用に改造した機種だといいます。

台湾空港に着陸したC-130輸送機

AIT関連の米国の航空機が台湾に降り立ったのは、7月に入ってすでに2回目でした。15日にも沖縄の嘉手納空軍基地を離陸した米軍C-146ウルフハウンド輸送機が午前9時32分頃、台北の松山空港に到着しました。ウルフハウンドは米特殊戦司令部の主力輸送機として知られます。「自由時報」は当時、「輸送機には、今月12日に台湾に到着し2週間の義務隔離に入ったオウドカーク所長に渡される物が積まれており、荷物を降ろした直後の10時6分頃に離陸した」と報じました。

中国側は反発を強めました。官営の「グローバルタイムズ」は同日、「民間用に改造した軍用機が再び台湾に着陸したのは米国側の『サラミ戦術』(敵対する勢力を懐柔などによって少しずつ滅ぼす手法)流の挑発であり、台湾分離独立勢力に誤ったシグナルを送る行為」だとし、「中国側は米軍機の台湾着陸が日常化することを座視しない」と主張しました。

同紙は「AIT側が民間目的で利用したとしても、当航空機が軍用機を改造した機種だということ自体が挑発的」だとし、「一部では当航空機が米中央情報局(CIA)側と関連があるという主張もある」と付け加えました。

これに先立ち、中国国防部報道官は15日、ウルフハウンド輸送機の台湾着陸と関連して声明を発表し、「台湾は中国の一部であり、中国領土に着陸する外国軍用機は必ず中国政府の許可を受けなければならない」としたうえで、「米国が火遊びを止めなければ、厳しい結果を招く」と警告しました。

米軍の駐留等がなかば公になり、さらに今回蔡英文総統によってそれが公に公表されたのです。

これは、米国も台湾も中国はここしばらくは台湾に侵攻できないと踏んでいると考えるのが妥当です。もし本気で中国が近いうちに、台湾に侵攻してくると考えているとしたら、このような挑発的なことは言わないはずです。

では、なぜ中国は台湾にここしばらくは、台湾に侵攻できないのでしょう。具体的に考えてみましょう。どんな戦争も目的を達成すれば勝利で、達成できなければ、たとえ戦闘に勝利したとしても、それは敗北です。中国にとって台湾の武力統一とは、100km以上離れた重武装した島を完全占領し、新政権を樹立して統治を開始し、長期にわたって維持することを意味します。 

そのためには、弾道ミサイルなどによる攻撃、航空・海上優勢の確保、着上陸侵攻作戦などを成功させ、上陸させる大部隊に対して、途切れることなく補給をしなければなりません。どの段階で失敗しても、例えば米軍が介入して補給が途切れたとしたら、上陸部隊は孤軍となってせん滅されます。

これについては、このブログでも過去に何度か指摘されています。対潜水艦戦(ASW)に中国よりも圧倒的に優れた米軍が、強力な攻撃型原潜を数隻台湾に派遣して、台湾を包囲してしまえば、中国軍はこの包囲を破ることはできません。

ASWにすぐれた、米攻撃型原潜が、台湾に近づく中国の潜水艦を含む艦艇や航空機をことごとく撃沈することになります。特に、中国の潜水艦は米攻撃型原潜に真っ先に撃沈されることになるでしょう。さらに、中国のレーダーや監視衛星の地上施設なども破壊されるでしょう。

その後に、米軍は空母を含む艦艇などを出して、追撃戦にでくることになるでしょう。そうなると、中国としては、全く歯型たたず、降伏するしかなくなります。この戦いに英軍が加勢していればそれこそ、香港、澳門奪還作戦を敢行するかもしれません。しかし、そうされたとしても、国際世論は英国に味方するでしょう。

さらに、この間台湾軍が反撃して中国本土にも戦火が及びます。台湾にも対空、対地、対艦用など多数ミサイルがあります。最も航続距離が長いものでは、三峡ダムに到達する能力があることをこのブログでも述べたことがあります。三峡ダムが破壊されれば、中国の40%は洪水に見舞われるとされています。中国が台湾に侵攻しようとすれば、当然のことながら、台湾側は中国に対しても報復攻撃をすることでしょう。

台湾の巡航ミサイル雲峰の飛行距離は2000キロで、台湾から三峡ダムを納める距離

仮に宇宙やサイバーのドメインで中国がいくら強かったにしても、台湾占領はできません。台湾が抵抗する限り必ず大戦争になります。台湾は台湾を守り切りさえすれば勝ちになります。台湾を完全占領する作戦はあまりにもコストとリスクが高く、中国が踏み切れるとは到底思えません。

こういうとあまりに楽観的にすぎると思う人もいるかもしれません。たとえば、米誌ナショナル・インタレストが昨年8月に掲載した記事によると、米国防総省が米中の軍事衝突、中でも台湾をめぐる争いを想定して実施したWar Game(机上演習)で、米軍が敗北する可能性が高いことを示す結果が複数出ています。

しかし、米軍がなぜそうした机上演習をするかを理解する必要があります。それは、自軍の弱点を見つけ出して改善するためです。ですから、彼らは中国軍が最大限能力を発揮する条件で、台湾軍や米軍の弱点を突いてきた場合どうなるかを研究するのです。そしてその結果を、米軍の弱点を補強する改善策や予算要求につなげます。それが机上演習の目的です。

次に、中国が核兵器をもちいたらどうなるのかという人もいるかもしれません。米中が互いを核攻撃しあわない限り、米国本土はほぼ無傷の一方で、中国は戦場になります。対台湾武力統一は米国への真っ正面からの挑戦ですから、米国は中国が少なくとも短期的に立ち上がれないほどの打撃を中国に与える選択肢を念頭に置くでしょう。例えば、当然中国の空母は撃沈するでしょうし、ミサイル基地、空軍基地、軍需産業拠点を破壊することもできます。

それほどの打撃を被る中国が核使用の誘惑に勝てるでしょうか。ただし、もしも中国が対米先制核攻撃の構えをわずかでも見せたら、米国はためらうことなく中国に核の先制攻撃をかけるでしょう。つまり、対台湾武力統一戦争とは、米中どちらも始めたら絶対に負けられない戦争なので、エスカレートしやすいのです。

台湾占領に失敗し、自国の発展の機会が失われ、それどころか人類滅亡にもなりかねない核攻撃にまでエスカレートしかねない選択を中国がとるとは思えません。

おそらく中国の指導者が常軌を逸した誤算をしない限り、あり得ません。しかもこれは国運をかけた大戦争ですから準備に数カ月かかり、奇襲はできません。つまり、台湾、米国、日本など、中国がこの戦争に踏み出すことを察知し、ほぼ守りを固めた状況で中国の攻撃が始まるのです。それなのに、中国は、台湾の完全占領と占領の長期間にわたる維持というパーフェクトな戦争を完遂しなければ勝ったことにならないのです。

さらに、戦争に勝利できたとしても、その後数十年にもわたって台湾に軍隊を駐留させて、反中派を武力弾圧しながら、台湾を根本から作り変えなければならないのです。民主主義と、責任を伴う自由を知った台湾人は、香港人より人口も多いですし手強い存在です。

その間、米国および日本を含む同盟国が反攻の機会をうかがうでしよう、台湾の反中派を支援することになるのは当然です。そのさなかに中国は台湾を統治をして、台湾をつくりかえなければならないのです。そもそも侵攻してきた中国に台湾人が統治の正当性があると認めることはあり得ません。

国際社会も無論台湾に味方します。現状よりもさらに酷い制裁が中国に課されることになるでしょう。中国は世界から完全に孤立することになるでしょう。

台湾は、中国にとって、米国にとってのかつてのアフガンのようになることでしよう。仮に台湾を統治できたとしても、いつまで統治できるかもわからないのです。

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2021年10月27日水曜日

【日本の解き方】日本の賃金はなぜ上がらない? 原因は「生産性」や「非正規」でなく、ここ30年のマネーの伸び率だ!!―【私の論評】日本人の賃金が低いのはすべて日銀だけのせい、他は関係ない(゚д゚)!

【日本の解き方】日本の賃金はなぜ上がらない? 原因は「生産性」や「非正規」でなく、ここ30年のマネーの伸び率だ!!


 今回の衆院選に関連して、この30年間、日本の賃金が欧米に比べて上がっていないことが報じられた。生産性の低さや非正規雇用の多さ、企業の内部留保などを原因とする分析もあるが、引き上げるには何が必要だろうか。

 賃金は名目所得であるが、その伸び率は名目経済成長率とほぼ連動する。つまり、ここ30年間でなぜ名目経済成長率が低かったのかという問題だ。「失われた30年」の原因は何かという、今でも喧々囂々(けんけんごうごう)の論争でもある。

 筆者の分析は国際比較を使う。世界各国のここ30年間の名目経済成長率を比べると、日本は世界でほぼ最下位だ。その上で、何が関係してそうした順番になるかを探るために、他の要因となるような変数を探して、ここ30年間の数値を並べてみる。統計の言葉でいえば、30年間の名目経済成長率と相関(絶対値)の大きい他の変数を探すということだ。

 これまでの筆者の試行錯誤では、マネーの伸び率が最も相関が大きい。マネーの伸び率でも日本は世界の中でほぼビリだ。ちなみに、140カ国で30年程度の名目成長率とマネー伸び率の相関は0・90(1が最大)、大きな異常値と思われる数字を除いた130カ国でも0・73といずれも高い。社会科学ではめったに見られない高い相関だ。

 もちろん相関関係は因果関係を意味しないが、マネーの伸び率は政策的に操作可能なので、結果として名目経済成長率の低下を招いた可能性がある。つまり、こうした国際比較分析からいえるのは、日本の賃金が伸びなかったのはマネーの伸び率の低さによるものということだ。

 「生産性が低かった」という議論もあるが、生産性は名目成長率の一つの構成要素なので、トートロジー(同義反復)であり、原因とはいえない。賃金の伸びが低かったことと生産性が低かったことは、他の原因により同時に発生した可能性がある。

 筆者には思い当たる経験がある。1990年までは日本のマネーの伸び率は先進国の中でも平均的だったが、バブル潰しのために90年に入ってから日銀は引き締めた。その引き締めをその後30年近く、基本的に継続しているのだ。

 「非正規雇用の多さ」という議論は、非正規雇用が総じて低賃金だからという発想であろうが、国際比較すると日本だけが特別に多いわけではないので、必ずしも日本の賃金の低さを説明できない。

 「企業の内部留保の大きさ」というのは、企業が内部留保を吐き出さないので低賃金になっているとの主張だが、30年間常に日本企業の内部留保が大きかったわけではないので、30年間の現象をよく説明できない。

 マネーの伸び率を高めるために有効な政策は、インフレ目標の数字を引き上げることだ。筆者はすでに、インフレ目標を現状の2%から4%に引き上げれば、所得倍増を12~13年で達成できることを指摘している。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】日本人の賃金が低いのはすべて日銀だけのせい、他は関係ない(゚д゚)!

上の高橋洋一氏の主張は、以下のグラフをご覧いただければ、一層理解しやすいです。


名目賃金とは、貨幣額で示された賃金を指します。つまり、賃金の額面そのものが名目賃金であり、賃金額が30万円であれば名目賃金も30万円で、3000米ドルであれば同額が名目賃金です。

原則的に、名目賃金は雇用契約による労働の対価として、金銭によって支払われた賃金額のみを指します。

通常、労働の報酬には無料の社員食堂や特別休暇、社員旅行といった福利厚生もあり、報酬の形は金銭とは限りません。

しかし、こういった労働者向けのサービスは賃金には含まれず、名目賃金として計算されないのが一般的な認識です。

実質賃金とは、物価の変動を考慮した賃金です。

一方、貨幣は財・サービスや商品などの価格を示す役割があり、店頭の商品や金・原油といったコモディティの価格は「10円」「1米ドル」といったように貨幣額によって表されています。

しかし、そういったお金で示された財・サービスの価値は絶対的なものではありません。貨幣の価値もモノの価値もその時々によって相対的に変動しており、額面の指す価値は一定ではないのです。

例えば、モノの価値が高まり貨幣の価値が下がるという物価上昇が起これば、同じ100円でも購入できるモノが減ることになります。賃金は日本円や米ドルといった通貨(貨幣)で支払うものです。そのため、賃金の価値は変動することになります。

例えば、名目賃金は同じ金額であっても、物価上昇(インフレーション)が起これば実質的な賃金価値は下がり、物価下落(デフレーション)が起これば賃金価値は上がるでしょう。

そこで、名目賃金に対して物価上昇率の影響を差し引いて、実質的な賃金価値を示すものが実質賃金なのです。

上のグラフは、1991年から2019年の28年間で日本を含めた22カ国で、この30年間の名目賃金と、物価変動を考慮した実質賃金の伸びを示したものです。名目賃金はほとんどの国で2倍以上になっているのですかが、日本は最低で、ほぼゼロの伸びで飛び抜けて低いです。実質賃金も50%程度伸びている国が多いですが、日本は5%程度であり、これも低いです。

それぞれの国で名目賃金の伸びと実質賃金の伸びを見ると、相関係数は0.75(1が最大)になっています。この観点から、日本の実質賃金の伸びが世界で低いのは、名目賃金の伸びが低いからだといえます。

名目賃金は、1人当たり名目国内総生産(GDP)と同じ概念なので、名目賃金が低いのは、名目GDPの伸びが低いからだということになります。

確かに、日本の名目GDPは、90年からほとんど伸びていません。これは世界で最も低い伸びであり、先進国の中でも際立って低いです。そのくらい名目経済が成長していないので、その成果の反映である賃金が伸びていないのは当然の結果です。労働が経済活動からの派生需要である以上、経済が伸びなければ賃金は伸びないです。つまり、賃金が低くなったのは、90年代以降の「失われた時代」の結果です。

そうして、この30年間で、名目GDPの伸び率と最も相関が高いのはマネー伸び率です。世界各国のデータでみても、相関係数は0.8程度もあります。

以下のグラフは、名目GDPとM2の成長率を比較したものです。相関係数は0.7です。M2とは、マネーストックの一種で、市場全体に供給される通貨(マネー)の量を測る指標です。日本ではかつて、「マネーサプライ」と呼ばれていました。

マネーストックにはいくつかの種類があります。現金と預金通貨の合計は「M1」と呼ばれ、このM1に定期性預金や譲渡性預金(CD)を加えたものが「M2」です。
ここで重要なのは、マネーは金融政策でかなりコントロールできることです。ところが、金融政策の主体である日銀はかつて、「マネーは、経済活動の結果であって管理できない」ととんでもないことを言っていましたた。マネーが管理できないなら中央銀行は不要だが、こうしたばかげた議論が実際にあったのです。

2000年代になっても、日銀はインフレ目標を否定し、その上、デフレ志向でした。いわゆる「良いデフレ論」です。しかし、「デフレ」で良いことは一つもありません。結論をいうと、日銀がこのようなスタンスで、金融緩和をしないで来た結果、日本人の賃金は30年間も上昇しなかったのです。

日本銀行

この間、政府も消費税増税や緊縮財政を繰り返し、さらにデフレと賃金低下に拍車をかけました。ただ、日銀が金融緩和をしない限り、仮に政府だけが積極財政をしても、短期的には成果をあげられるかもしれませんが、中長期ではマネーそのものが足りていないのですから、名目GDPも上がらず、名目賃金も上がりません。結局、日銀の金融政策が日本人の賃金が上がらないことの主要因だったのです。

しかしそうした意見は徐々に修正されてきました。第2次安倍晋三政権になると、世界の先進国でビリではありましたが、ようやくインフレ目標が導入され、日本もまともになり始めました。

00年代初めのような愚かな議論はなくなりました。それでも現状は胸を張って「デフレ脱却」と言えるところまではいっていないです。失われた20年に引き続き、今もデフレから完璧に脱出していないことから、現状も失われた20年は続いており、その意味で「失われた30」としています。いずれにしても、「失われた30年」はなんとも痛恨です。

これは、何とかしなければならないでしょう。しかし、これを何とかしようとして、いくら努力しても、日銀がさらなる量的金融緩和に踏み切らない限り、名目GDPも名目賃金も上がることはありません。これだけは、勘違いするべきではないです。

勘違いすれば、とんでもないことになります。たとえば、お隣韓国では、雇用状況がわるいというのに、あまり金融緩和をしないで最低賃金を機械的にあげましたが、どうなったでしょうか。雇用が激減してとんでもないことになりました。今日もテレビで、韓国の悲惨な現状が報道されていました。

日銀が大規模な金融緩和をしないうちに、「非正規雇用」が多いからなどとして、非正規雇用を機械的に減らしてみたり、「企業の内部留保」を機械的に減らすようなことをすれば、がん患者に、突然激しい運動をさせてみたり、厳しいダイエットをするようなものであり、無論賃金が上がるということもなく、韓国のようにとんでもないことになります。

立憲民主党のように「分配なくして成長なし」というのも、これと同じようにとんでもないことになります。成長する前に分配をしてしまえば、韓国のように雇用が激減するだけになります。

考えてみれば、「失われた30年」は、日銀による実体経済にお構いなしに、金融引締を実施し続けたことによるデフレ、政府によるこれも実体経済にお構いなしに増税など緊縮財政を長い間にわたって続けてデフレに拍車をかけてきたことが原因です。

もう、いい加減このような愚かな政策はやめるべきです。


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2021年10月26日火曜日

中国経済が抱える“深すぎる闇” 統計資料も企業開示も不透明…日本企業は守ってもらえない ―【私の論評】中国当局による中国企業への統制強化の方が、より深刻な「チャイナリスク」に(゚д゚)!

中国経済が抱える“深すぎる闇” 統計資料も企業開示も不透明…日本企業は守ってもらえない 
高橋洋一 日本の解き方

輸入額、鉄道貨物輸送料が減っても、変わらない中国のGDPの不思議

 中国経済をめぐって、経済成長率の減速や不動産大手の経営問題が浮上している。世界第2の経済大国である一方、経済安全保障の観点では問題も抱えている。日本や日本企業はどのようなスタンスで中国に対峙(たいじ)することが望ましいのか。

 中国経済の話をするのはいつも難しい。というのは、信頼できる統計がないからだ。中国国家統計局は18日、7~9月期の国内総生産(GDP)成長率が前年同期比4・9%増となったと発表したが、このタイミングは先進国から見れば信じがたいほど早い。GDP統計は各種の経済統計を加工しており、先進国でも1カ月以上の期間を要する。しかし、中国では2週間あまりで公表されている。

 筆者はかつて、中国の統計システムが旧ソ連のものと手法も組織も似通っていることを指摘し、旧ソ連のGDPがデタラメだったことから、中国のGDPも信頼性がないとし、統計がごまかしにくい輸入統計を利用してGDPを推計した本を書いたことがある。その際、中国関係者から筆者らに異常なほど直接クレームが来た。学問の世界であれば、異論があれば論文や本を書けばいいのに、どうして直接のクレームをつけるのか不思議だった。

 不動産大手の経営問題でも、財務諸表が十分に公開されていれば、その実態を把握するのはそれほど困難ではないが、何しろ中国では企業開示は先進国と比べて問題が多い。

 筆者は不良債権処理の専門家として中国に招かれたことがあるが、そのたびに情報開示の問題に直面した。今も情報開示が不十分なために、憶測が憶測を呼び、実態が分からない。

 不動産大手の経営問題の処理も、習近平国家主席らのさじ加減次第なので、先行きは不透明だ。もっとも、今回、債務返済において、ドル建て債務は中国人民元建て債務より劣後することは分かった。

 このように、中国経済は民主主義国の資本主義とはかなり異なっている。企業経営者は統計などの情報より、個人の体感をベースに判断するので、統計の有無など問題にしないのかもしれないが、危機的な状況になった際、統計資料が十分とはいえない中国政府の対応力に筆者としては疑問を感じる。

 最近、経済安全保障の考え方が国際政治では主流になりつつある。これは、平時では戦争行為はしないが、経済取引を武器として「戦争」を行っているという考えだ。サプライチェーン(流通網)で各種部品の供給元として中国に過度に依存していると、部品供給をストップされた場合に大打撃を受ける。販路を中国市場に依存しているのも経営にとって危うい側面がある。

 いずれにしても、中国経済のルールや情報開示は不透明であり、民主主義国とは異なっていることを認識したほうがいい。中国流ルールの下では、外国私企業という概念は極めて希薄なので、いざというときに日本企業は保護されないということも肝に銘じておくべきだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】中国当局による中国企業への統制強化の方が、より深刻な「チャイナリスク」に(゚д゚)!

中国政府は7月26日にネット業界に対する半年間の集中取り締まりを始めたことを突如発表しました。「今年前半のアプリの取り締まりを踏まえ、さらにネット業界の問題を整理する」と説明しています。

昨年来、中国当局はIT業界に対する統制強化をにわかに強めています。その起点となったのは、EC最大手のアリババグループ傘下で決済アプリであるアリペイを提供するアント・グループの昨年11月の上場延期です。その後、アント・グループの金融ビジネスは、事実上解体されようとしています。

当局は今年4月に、アリババグループに巨額の罰金を科し、またネット企業大手のテンセントなど他社にも相次いで指導や罰金処分などを行っています。7月に入ってからは、米国に上場したばかりの配車サービス大手、滴滴出行(ディディ)に対して「違法に個人情報を収集している」としてアプリのダウンロードの禁止を命じました。



7月24日には、国家市場監督管理総局が、国内ネット音楽配信市場における独占行為で、テンセントに対し独占禁止法違反で是正措置と罰金50万元の支払いを命じたと発表しています。

そうして、当局の規制・統制強化は、まったく別の業界にも及び始めている。7月24日には、小中学生向け学習塾を非営利団体化することを柱とする規制策が公表されました。教育産業はネット企業の利益拡大を助けるネット広告の大口顧客であるが、その観点以外に当局は、学習塾など義務教育以外の教育ビジネスが教育費の上昇を後押ししており、それが教育を受ける機会の不平等を生じさせるとともに、養育費の上昇を通じて出生率を高めることを妨げている、としています。

IT業界、教育産業以外に、今後は過剰債務などの大きなリスクを抱える不動産業界や医療業界などにも、当局の統制強化が広まるとの観測が、投資家の間で浮上していました。恒大集団のデフォルト危機などもあったためか、不動産業界では既にそうした動きが見られ始めています。

昨年までは、投資家にとっての「チャイナリスク」とは、IT関連の中国企業が、米国政府によって米国や先進国市場から締め出され、また、半導体など中国企業のサプライチェーンを遮断されることを意味しました。

しかし現在では、中国当局による中国企業への統制強化の方が、より深刻な「チャイナリスク」となっています。中国当局は、中国企業の海外での上場、あるいは海外での中国企業の活動に対しても統制を強めています。


7月23日には、中央銀行の中国人民銀行が、ネット決済事業者に対して、国内外での新規株式公開(IPO)など経営上の様々な「重大事項」について事前報告を義務づける、新たな規則を公表しています。

中国企業の海外での上場や海外での活動を規制することは、中国企業の資金調達や市場拡大を制約し、その成長を妨げることにもつながります。それにもかかわらず、中国当局が統制を強化する理由には、海外で活動する中国企業から、中国の個人データなどビッグデータが米国などに流出することへの警戒があるのでしょう。

従来は、米国で活動する中国企業が、米国での情報を不当に集め、中国に流していると米国政府は批判していました。米国側だけでなく、中国側からも情報流出を警戒して米中間の経済活動を切り離す、「デカップリング」を進め始めたのです。そうしたもとでは、中国企業に投資するグロース投資家に対する中国当局の配慮も、次第に低下しているように見えます。

中国政府が中国企業に対する統制強化を進めるのは、巨額の利益を上げ、また個人データを蓄積する企業が、中国政府の経済あるいは政治的な統制にとって脅威となり始めているからです。それに加えて、巨額の利益を上げる企業への統制強化を通じて国民の支持を集める狙いもあるようです。

この点、習近平国家主席がかつて断行した、腐敗取り締まりキャンペーンとも似ているように感じられます。それは、不正に利益を上げた政治家などを取り締まることで、国民の支持を得る狙いであるとともに、習近平国家主席の政敵を排除し、政権基盤の安定化に資することを狙ったのでしょう。

しかし、中国企業に対する統制強化の場合には、果たしてそれが国民の支持を集めるかどうかは分からないです。確かに、巨額の利益を上げるIT企業に対する統制を強化し、収益環境を損ねれば、それによって留飲を下げる国民も中にはいるかもしれないです。

しかし、ネット企業への統制強化は、サービスの低下にもつながります。また、教育産業が急成長している背景には、エリート大学に入学し限られた高給の職を子供に得させたい、という親の願いがあります。そうしたニーズを無視して、学習塾など教育産業への規制を強化すれば、それは国民からの反発を生む可能性もあるでしょう。


中国企業に対する統制強化は、このように国民の利便性を直接低下させる可能性があることに加えて、イノベーションを阻害することを通じて、中国経済の潜在力を低下させてしまう可能性もあります。これも、国民にとっては大きな不利益となります。

中国政府が急速に進める企業への統制強化は、中国が再び先進国グループと袂を分かち、独自の政治・経済体制の追求を進めていることの一端のようにも見えます。ただし、それがどこまで進められるかは、今後の中国経済のパフォーマンスと中国国民からの支持に大きくかかっているのではないでしょうか。

特に大企業に対する規制などは、いままで中国政府を支えてきた富裕層の反発を招くことになり、多くの一般国民からの反発に加え富裕層からの反発も招くことになれば、中国共産党の当地の正当性の基盤が揺らぐことにもなりかねません。

米中両サイドから中国デカップリンクがはじまり、チャイナ・リスクはさらに破滅的になりました。中国当局による中国企業への統制強化が新たな「チャイナ・リスク」となってるのですから、日本企業だけが安泰でいられるわけなどありません。


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2021年10月25日月曜日

習近平の反資本主義が引き起こす大きな矛盾―【私の論評】習近平の行動は、さらに独裁体制を強め、制度疲労を起こした中共を生きながらえさせる弥縫策(゚д゚)!

習近平の反資本主義が引き起こす大きな矛盾

岡崎研究所

 習近平が展開している反資本主義キャンペーンは習政権の将来を左右するものだが、危険に満ちている、と10月2日付の英Economist誌の社説が論じている。

 習近平が資本主義行き過ぎ一掃のキャンペーンを行っているが、その範囲と野心は壮大だ。2020年、当局がアリババ傘下のアント・グループの新規株式公開を阻んだのが最初で、以来、タクシー配車サービスDiDiは米国で株式を上場して罰せられ、巨額の負債を抱える恒大集団は債務不履行に追いやられつつある。暗号通貨による為替取引も、学習塾も、事実上禁じられた。


 習のキャンペーンは中国経済を脅かし、恒大等、企業の債務問題の追及が引き起こす痛みは予測不能な広がりを見せつつある。締め付けは企業活動を難しくし、利益を上げにくくしている。これらはみな中国経済を破裂させる可能性さえある。そうでなくても、既に中国経済はインフラ投資の利益縮小、労働人口の減少、高齢者の増加等で圧迫されている。

 政治面では習のキャンペーンは個人崇拝に陥る危険性がある。習は変革を実現すべく毛沢東以降、最大の権力を掌握し、来年の第20回党大会では三期目の続投を目指す。習はイデオロギー的締め付けの基盤と主席続投の根拠を作ろうとしているが、これらは中国の将来にとって危険を孕んでいる。

 中国共産党の抱える根本的矛盾は、政治と経済の矛盾である。毛沢東は経済を無視して失敗した。鄧小平は、経済を基本に据え、政治の干渉を減らすことによって驚異の経済成長を実現した。習近平は、政治の復権を図っているが、経済を無視することもできない。その矛盾のまっただ中にいる。

平等の理念は経済の腰折れも起こしかねない

 これまでは経済発展を確保するために成長産業は甘やかされてきた。IT(情報技術)産業や恒大集団などの不動産産業が、それに当たる。その結果、規制の緩い乱雑な産業となった。一連の動きは、その整理整頓という側面がある。

 同時に「習近平思想」により、党の関与の正当性と、社会主義、つまり平等を重視する理念を注入しようとしている。この動きが行き過ぎると、エコノミスト誌の社説が主張するように経済パフォーマンスを大きく削いでしまう。

 習近平は、多くの委員会を立ち上げ、そのトップにつき、国務院に属する事項も直接、自分の管理下に置いた。党の指導、総書記の指導を担保するメカニズムを作ったのだ。党中央、即ち習近平への忠誠要求を強めれば強めるほど、下部機構の自発性は消えていく。何かを言い出して責任をとらされたり、習近平のご機嫌を損ねたりすれば、良いことは何もないからである。

 現在、恒大集団問題への対処の仕方を見ていると、国務院(李克強)の姿が見えない。上手くいかなければ、すべて習近平の責任となる。誰かの首を取って失敗を糊塗するであろうが、習近平の党内の権威はその分傷つく。来年の党大会まで、このような綱渡りが続くであろう。

【私の論評】習近平の行動は、さらに独裁体制を強め、制度疲労を起こした中共を生きながらえさせる弥縫策(゚д゚)!

中国の習近平国家主席は2012年11月に開かれた共産党中央委員会で総書記・軍事委員会主席に選出された際に「社会主義のみが中国を救うことができる」と宣言しました。しかし、市場経済化した今日の中国で文字通りには受け取られず、手あかの付いたスローガンを形ばかり口にしただけだと、ほとんど気にとめられることはありませんでした。

ところが、習氏はインターネット企業や営利目的の教育産業、オンラインゲーム、不動産市場のバブルなど広範な分野で締め付けを行ったり、格差解消戦略「共同富裕」を提唱したりするなど、新しい政策を次々と打ち出し、本気で中国を社会主義の原点に回帰させるつもりだということが明らかになってきました。

ただ、社会主義の原点への回帰は、大きな矛盾をはらんでいます。特に習近平の主張する「共同富裕」は大きな矛盾をはむものです。

確かに毛沢東時代は「みんなが均等に貧乏」でした。その時代を理想とするわけでもないでしょうが、習近平国家主席が言い出した「共同富裕」の実態は「共同貧困」です。つまり、「文化大革命」を強行した毛沢東時代に戻ることです。 


「共同富裕」の考えは、1953年、中華人民共和国を建国した際に毛沢東氏が初めて提唱したものです。その内容は、「貧富の格差を縮小して社会全体が豊かになる」という共産党らしい思想です。 

その後、1978年に、改革開放に着手した鄧小平氏が唱えた「先富論(一部の集団がまず豊かになる中国経済発展の必要性)」がメインの思想となっていたのですが、「社会主義市場経済」と「自由主義市場経済」が混在する現代中国において、習近平氏が再び「共同富裕」を歴史の表舞台に引っ張り上げたわけです。 

習近平氏は、2021年8月17日の中央財経委員会第10回会議にて、中国の深刻な経済格差の是正を目指すという目的で「共同富裕」を提唱しました。習近平氏は、演説のなかで、「不合理な所得の清算と所得分配の是正」を述べています。 

暗号資産の取引による所得が「不合理」に該当するのか判断は難しいところですが、今回の暗号資産規制で「情報の提供」も対象となっていることを考えると、一部の投資家のみにその情報が伝わる(インサイダーに近い情報)ことで、一部の投資家が「不合理」な所得を得た場合という整理が成されているのでしょう。 

つまり、「共同富裕」のスローガンのもと、暗号資産業界の規制強化が行われているとの見方もできます。

中国では、貧困階層が6億人以上と推定され、地方の生活は苦しくなるばかりです。都会へ出稼ぎに出たのはいいが、あちこちの建築現場は工事中断となっています。 

せっかく大学を卒業しても、月給3000元(約5万円)では、アパートの家賃も払えません。若者は未来への希望を失い、最低限の生活を送るだけの「寝そべり族」が急増しました。結婚も子供づくりも諦めたようです。 

日本の報道番組で報道された中国の「寝そべり族」の実態

一方で、不動産価格が高騰し続け、北京の都心ではマンションが2億円と東京より高いのです。大もうけをしたのは共産党幹部たちでしたた。 

そのため、習氏の「共同富裕」に、富裕層が戦々恐々となる。まさに内部矛盾です。 

金持ちからカネを吐き出させる格好の標的は、企業経営者や映画俳優、歌手、学習塾、ゲーム産業となりました。もうかっている企業は寄付キャンペーン競争を開始し、映画スターは脱税を問われる前に外国籍取得に走っています。学習塾が経営難に陥り、家庭教師の失業は200万人とも300万人ともいいます。

「デジタル人民元」の普及は全国民の監視を意味します。「治安が良くなるから社会が安定し、社会主義に戻ることは賛成だ」と共産党の宣伝に乗せられた庶民が多いのには驚かされます。 

マネーロンダリング、不正送金を防ぐために「ビットコイン全面禁止」、ついでマカオの「カジノ規制」を強行しました。香港の民主化を弾圧したため、従来の国際金融都市の機能は顕著に低下しました。香港の優位を失う危機も顧みないのです。

 このような、浅知恵による「すり替えの世論操作」は世界に見透かされています。持続的安定が不可能な、中国の体制矛盾がもたらすものとは何なのでしょうか。 

約6億人の国民は月に1万7000円以下で暮らしていますが、金持ちは豪邸に住み、自家用飛行機を持ち、愛人を囲っています。富裕層への憎悪を他に振り向けるため、台湾への軍事侵攻を煽っているようです。 

「不都合な真実」を隠蔽することは得意な全体主義にも脆弱(ぜいじゃく)性があります。党内の不満による「見えない脅威(=クーデターの脅威)」を人事で抑え、敵対矛盾にすり替えて体制維持しようとするのが当面の作戦でしょう。 

この動きを「毛沢東主義への回帰」とする人もいますが、それは大きな間違いです。複数の報道によると、中国共産党建党100周年に先立ち、中国では統一と忠誠を強調する宣伝活動の障害と見なされる主義者や活動家等の一勢検挙が実施されました。

中華人民共和国を建国した初代最高指導者である毛沢東(Mao Zedong)の思想を支持する毛沢東主義者さえもこの罠に嵌ることになりました。

毛沢東

2021年7月に建党100周年を迎える前、香港、チベット自治区、新疆ウイグル自治区だけでなく、全国規模で反対意見の弾圧に取り組んだ中国共産党の政策の一環として多数の毛沢東主義者が拘束されました。

市場重視派の劉鶴副総理ディディ問題で自己批判書を提出したこと等は、文化革命中のことを想起させました。しかし、現在の中国の問題は毛沢東に回帰してうまく処理できるものではなく、中国国民も開放改革を経験し、変わってきています。

中国の路線変更は大きな問題であり、「毛沢東主義への回帰」とか「鄧小平路線の変更」というよりも、もっと細かく見ていく必要があります。ただ、習近平の今のやり方は中国経済にとってはよい結果をもたらさないということと、中国はますます独裁的な国になることは確かです。共産党と独裁には元々強い親和性があります。

しかし、国民の不満は爆発寸前です。私自身は、習近平の一連の行動は、結局のところさらに独裁体制を強め、国民の不満を弾圧して、制度疲労を起こした中国共産党を生きながらえさせるための弥縫策と見るのが正しい見方だと思います。実際は本当は、単純なことなのでしょうが、それを見透かされないように、習近平があがいているだけだと思います。

習近平に戦略や、主義主張、思想などがあり、それに基づいて動いていると思うから、矛盾に満ちていると思えるのですが、習近平が弥縫策を繰り返していると捉えれば単純です。2〜3年前までくらいは、戦略などもあったのでしょうが、現在は弥縫策とみるべきと思います。

今や習近平の戦略や、主義主張、思想などは、弥縫策であることを見破られないようにするためのツールに過ぎないのです。

一つだけ確かなのは、習近平は様々な弥縫策を打ち出し、さらに独裁体制を強め、制度疲労を起こした中共を生きながらえさせようとしているということです。

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2021年10月24日日曜日

【日本復喝】中国進出企業に軍組織“侵食” 「軍民融合」で日本企業を虎視眈々…技術流出など経済安全保障の危機 ドイツ大手製造業内にも―【私の論評】衆院選後に、対中外交安全保障政策が激変しつつあることが明らかに(゚д゚)!

【日本復喝】中国進出企業に軍組織“侵食” 「軍民融合」で日本企業を虎視眈々…技術流出など経済安全保障の危機 ドイツ大手製造業内にも

岸田首相


 衆院選(31日投開票)では、新型コロナ対策や経済政策、外交・安全保障政策などが焦点で、自民党と公明党の連立与党と、立憲民主党と共産党を中心とする左派野党、第3極の日本維新の会などが競り合っている。岸田文雄首相は、経済活動と安全保障を重ね合わせて、日本の独立や生存、発展を確保する「経済安全保障」を打ち出しているが、軍事的覇権拡大を進める中国を意識しているのは間違いない。こうしたなか、中国に進出した日本の製造メーカーの合弁企業内で、民兵・予備役の軍事訓練や政治教育を行う「人民武装部」が活動していたことが分かった。日本企業は大丈夫なのか。産経新聞論説副委員長の佐々木類氏が迫った。


 「わが国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増すなか、領土、領海、領空、国民の生命と財産を断固として守り抜く」「防衛力の強化、経済安全保障など、新しい時代の課題に、果敢に取り組んでいく」

 岸田首相は8日の所信表明でこう語った。

 やや説明不足の感はあるが、「経済安全保障」を重視する認識は正しい。自民党は選挙公約「衆院選2021公約」にも、「経済安全保障推進法」策定を書き込んだ。

 ただ、中国は、軍事技術と経済発展を結び付ける「軍民融合」を国家戦略と位置付け、日本企業を虎視眈々と狙っている。

 都内に本社がある大手製造メーカーが中国に設立した合弁企業内で「人民武装部」が活動していたことが、日中関係者への取材で分かった。この合弁企業は、日本側と中国側が50%ずつ出資して約20年前に設立された。

 注目の人民武装部は、中国共産党への絶対服従を求められているほか、人民解放軍の指揮下にもある。主に、民兵や予備役の「軍事訓練」や「政治教育」など、軍事関連業務を担う。企業が所有する「資源の徴用」に応じることも義務付けられている。

 「民兵」とは、中国国防法で規程された組織で、人民解放軍、武装警察と並ぶ実力組織。「予備役」も日ごろから軍事訓練を行い、民兵同様、平時も暴動の取り締まりや災害救助などの任務を負う。

 問題の合弁企業内の人民武装部は昨年11月中旬、「人民武装愛国主義教育活動」を実施し、同社の民兵ら30人余りが参加していた。彼らの写真も存在する。

 日本側企業による管理が及ばない内部組織の存在は、企業統治のあり方が問われるだけでなく、技術流出など安全保障上の懸念もある。そもそも、中国では合弁企業内に共産党員が3人以上いる場合、党組織をつくることが義務付けられている。

 ■ドイツ大手製造業内にも 広報担当者、存在を否定

 この大手製造メーカーの広報担当者は、取材に対し、「(合弁企業内において)“人民武装部”という組織は存在しておりません。従いまして、いただいたご質問事項に関してお答えできるものはございません」と回答した。

 写真の存在も指摘したが、担当者は「回答は変わりません」と語った。

 中国国防法には外資企業を除外する規定はなく、人民武装部が存在するのは日本企業だけではない。

 ドイツ大手製造業内にも、人民武装部の存在が日中関係者への取材で確認されている。在中国のドイツメーカー広報担当者も「人民武装部はない」と存在を否定した。

 外資企業における人民武装部の存在は、まだ表立って公表されるケースは少ない。他社にも存在する可能性は十分ある。中国側も、外資企業や外国政府から反発を受けないよう慎重に活動を展開しているとみられる。

 米国は現在、安全保障の観点から中国への輸出管理を強めている。日本企業内の人民武装部の活動次第によっては、米国が今後、日本企業を米国のサプライチェーン(供給網)から外すなどの制裁措置を検討する可能性もある。

 岸田政権は、人民武装部の実態を調査し、「経済安全保障上のリスク」について、目配せしていく必要がありそうだ。

 ■佐々木類(ささき・るい) 1964年、東京都生まれ。89年、産経新聞入社。警視庁で汚職事件などを担当後、政治部で首相官邸、自民党など各キャップを歴任。この間、米バンダービルト大学公共政策研究所で客員研究員。2010年にワシントン支局長、九州総局長を経て、現在、論説副委員長。沖縄・尖閣諸島への上陸や、2度の訪朝など現場主義を貫く。主な著書に『静かなる日本侵略』(ハート出版)、『日本が消える日』(同)、『日本復喝!』(同)など。

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まずは、人民武装部とは何なのかを説明します。中華人民共和国国防法22条に人民解放軍現役部隊および予備役部隊、人民武装警察部隊と並んで中華人民共和国武装力量として民兵組成が記載されています。


また、同22条の後半部分には「民兵は軍事機関の指揮下で戦備勤務、防衛作戦任務、社会秩序の維持と補佐を担う」と規定されています。

同様に中華人民共和国兵役法第六章(36条〜38条)では民兵の位置づけや役割、任務が規定され、 さらに細則については民兵工作条例[1]および当条例に従って公布、施行された各地方政府発布の条例等で規定されています。

各地の民兵は中華人民共和国の各地方政府の人民武装部と人民解放軍の二重リーダー制により管理されています。各地方政府の人民武装部は地方政府の幹部がリーダーとなっています。

民兵といっても様々なタイプがある。上は「中国女民兵方隊」

全国統一的な「民兵」部隊というまとまった1つの大きな組織ではなく、広大な国土の地域ごとの特性に応じた民兵組織の集合体であり、その組織も規模が大きなものは1つの社会を形成しています。

平時は民間人と同様にあらゆる産業(工業、農業、漁業、他)、業務(生産、輸送、警備、護衛、監督、他)に従事しているが、法律の規定により状況に応じた一定の軍事訓練が課されています。

大学にも民兵組織があり、サイバー戦部隊も存在しています。

新型肺炎COVID-19の流行においても民兵が動員され、防疫等の活動に従事しています。

民兵は、正規兵の兵役を終えたもの、正規兵から削減されたものなどの受け皿としても機能しています。中華人民共和国駐日本大使館によれば「民兵は国の武装力の構成部分である。民兵は軍事機関の指揮のもとで戦争に備える勤務、防衛作戦任務を担い、社会秩序の維持に協力する。総参謀部は全国の民兵活動を主管し、各軍区は当該区域の民兵活動に責任を負い、省軍区は当該地区の民兵指導と指揮機関である。」とされ、中国人民解放軍の軍区の指揮下にあるとされています。

キャベツを収穫する中国民兵

2004年国防白書で初めて1000万人と発表しました。2011年の中国共産党の発表によれば800万人にまで削減されています。

さて、日本と中国との合弁企業においては、当然のことながら中国共産党が何らかの形で関与しているのは間違いないでしょう。ただ、共産党や、人民解放軍、警察などが直接関与するということであれば、日本企業は警戒心を抱くので、直接は関与せず、人民武装部の民兵が合弁企業に浸透したり、中国人労働者に人民武装部が接近し、それらを人民武装部に取り込むなどの形で間接的に関与しているものと考えらます。

米金融大手ゴールドマン・サックスは17日、中国で投資銀行業務を手がける現地合弁の完全子会社化を巡って、中国当局の承認を受けたと発表しました。これにより、経営の自由度が高まり、成長戦略を進めやすくなります。米系による全額出資が認められたのはJPモルガン・チェースに続き2例目。米中対立が続くなか、中国政府は金融市場の開放を国際社会にアピールする狙いもあるようです。

ただ、いまのところ完全子会社化されたのは、この二社だけです。ただし、完全子会社しても、人民武装部が会社内部に深く浸透している可能性は否定できません。

こうしたことは、中国にある海外企業の全部にあてはまります。日本も例外ではないでしょう。そうして、いずれ米国は、中国の米国企業における人民武装部の排除を試みるでしょう。排除できない場合は、中国の米国企業を中国から撤退させるようにする可能性もあります。

そうなれば、米国が日本企業を米国のサプライチェーン(供給網)から外すなどの制裁措置を検討する可能性も当然のことながらでてきます。

そうして、それに対して政府もそれなりの対応する構えを見せています。

岸田首相の政策の一つの目玉となるのが、「経済安全保障政策」という新しい分野の構築と推進です。首相は先般の自民党総裁選で、「経済安全保障推進法」の策定を公約に掲げましたた。そうして10月4日の組閣では、経済安保相のポストを新設し、若手の小林鷹之氏をあてました。

 同政策の源流は、岸田首相が自民党政調会長時代に創設した「新国際秩序創造戦略本部」にあります。その座長を務めたのが自民党幹事長に就いた甘利明氏であり、小林氏は事務局長として実務面から甘利氏を支えてきました。

地元で遊説した甘利幹事長



経済安全保障政策は、甘利氏の強い影響力のもとで今後進められていくでしょう。 この新国際秩序創造戦略本部での議論をベースに、来年の通常国会で「経済安全保障一括推進法(仮称)」が制定され、経済安全保障政策が本格的に稼働することが見込まれます。 

今年5月に示された「中間とりまとめ」で同本部は、経済安全保障政策を「わが国の独立と生存及び繁栄を経済面から確保すること」と定義しました。その上で、具体的な政策を「戦略的自律性の確保」と「戦略的不可欠性の維持・強化・獲得」に分けています。

前者は、主に他国に過度に依存する状況を変えること、後者は、世界で日本のプレゼンス、優位性を高めていくことです。前者が守りの戦略、後者が攻めの戦略と言えるでしょう。当面は、前者に力点が置かれるとみられます。

自民党は12日、経済安全保障政策を担った「新国際秩序創造戦略本部」を「経済安全保障対策本部」に名称変更し、高市早苗政調会長が本部長に就任したと発表した。発令は11日付。政府が経済安全保障担当相を新設したのに合わせました。その他の人事は次の通りです。(敬称略)

経済成長戦略本部長 小里泰弘▽人生100年時代戦略本部長 上川陽子▽新型コロナウイルス感染症対策本部長 西村康稔▽デジタル社会推進本部長 平井卓也
この動きをみると、日本の対中国政策は、自民党を中心して法律の立案が作成され、国会で審議され法律を制定し、その法律にもとずき「経済安全保障担当相」が実行するという形で実施されていくものとみられます。

24日最初で最後の地元街宣を行った高市早苗氏

先日もこのブログに掲載したように、我々は頭のスイッチを切り替えて、日本の外交安全保障政策の政策形成過程の枠組みを捉え直す必要があります。甘利氏が幹事長であることが意味する外交安全保障上の変化のシグナルを敏感に感じ取ることは、日本の未来を考える上で極めて重要なことです。中国はこれに相当危機感を感じているはずです。

現状では、衆院選があるので、この流れはあまり目立ちませんが、今回の選挙で自民党が勝利性が、負けるにしても政権交代でも起こらない限り、はっきりすることになるでしょう。

過去においては、遅々として進まなかった対中国政策が一気加速されることになりそうです。自民党はこの流れについても、わかりやすく有権者に伝えていくべきです。

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2021年10月23日土曜日

【日本の解き方】「悪い円安論」は本当なのか? 経済全体ではプラスの影響の方が大きく、原油高よりデフレが問題だ―【私の論評】現在の日本においては、スタグフレーション懸念より需要不足のほうが深刻(゚д゚)!

【日本の解き方】「悪い円安論」は本当なのか? 経済全体ではプラスの影響の方が大きく、原油高よりデフレが問題だ

4月1日以降値上げをする会社も増えたが・・・・・・

 このところ為替相場で円安が進み、原油価格が上昇基調となったことを受けて、メディアでは「悪い円安」「悪い物価上昇」「スタグフレーション(不況下のインフレ)」などの言葉が増えているようだ。こうした見方は妥当なのか。

 まず円安と原油高を分けて考えよう。円安にはメリット、デメリットの両面があるとしても、短期的には景気に対してメリットが大きいと考えるのが一般的だ。購買力を低め内需を低迷させる効果と比べ、外需を増加させる効果の方が大きいとみられるためである。

 こうしたメカニズムを確認するには、マクロ計量モデルの推計結果が有用だ。日本では、少なくとも数年の期間では自国通貨安(円安)は国内総生産(GDP)にプラスの影響を及ぼす。これは内閣府の短期マクロモデルでも確認できる。10%の円安によって、GDPは0・2~0・5%程度増加する。

 このように自国通貨安が経済全体にプラスの影響を与えることはほとんどの先進国でみられる現象だ。どの国も総じて輸出産業は世界市場で競争しているエクセレント企業群で、輸入産業は平均的な企業群だ。エクセレント企業に恩恵を与える自国通貨安は、デメリットを上回って経済全体を引き上げる力が強いと筆者はみている。

 例えば、経済協力開発機構(OECD)のインターリンクモデルでみても、輸出超過、輸入超過の貿易構造にかかわらず自国通貨安は短期的には景気にプラスである。その影響は貿易依存度によって異なり、依存度が高い国ほどプラス効果が大きい。日本は、先進国の中では内需依存で貿易依存度が低いことから、円安の効果は他の国と比べると実はそれほど大きくない。市場関係者らが唱える円安弊害論は、一部の産業に限られており、日本経済全体の話ではないのが実態だ。

 一方、原油価格の上昇はどうか。これは交易条件の悪化を通じて、日本経済からの海外への所得移転になり、日本のGDPを低下させる。この意味で、原油高は日本経済にマイナスだ。

 2011年初から13年末頃まで、原油価格は1バレル80~100ドル程度の高値で推移した。今後も、新型コロナからの回復に合わせてエネルギー価格が上昇する可能性はある。産油国も一定の生産調整をしているので、需給関係は崩れそうにない。しかし、14年から20年まで30~70ドル程度で安定していたので、現在の原油市場は回復期待で行き過ぎのようにもみえる。

 原油価格が高かった11~13年でも一般物価上昇率はマイナスで、デフレのままだった。こうしたことから、原油価格の上昇が限定的ならば、一般物価上昇率はそれほど上がらないだろう。つまり悪い物価上昇でもなく、スタグフレーションまでいかないだろう。

 むしろ、個別価格が上がっても、ここ1年ほど消費者物価総合が前年比マイナスとなるなど一般物価上昇率がデフレ基調であることの方が問題ではないか。スタグフレーションは全体の供給不足で起こる現象だが、日本の足下では需要不足のほうが心配だ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】現在の日本においては、スタグフレーション懸念より需要不足のほうが深刻(゚д゚)!

上の記事では、「日本は、先進国の中では内需依存で貿易依存度が低い」としていますが、日本ではなぜか昔から「輸出立国」などとして、日本は輸出で成り立っていると頑なに信じている人がいます。

輸出依存度は、GDPに輸出が占める割合で示されますが、日本の輸出依存度は他国に比較するとかなり低いです。これについては、以前からこのブログに何度か述べていますが、最近はのべていなかったので、また述べようと思います。

名目GDPに対する輸出額の割合も見てみましょう。2003年と2018年の対比でみてみます。

日本12→18%に対して、米国9→12%、ドイツ41→42%、韓国38→39%、イギリス23→30%です。

米国は極端に割合が低いですが、その他の主要国は日本よりも明らかに大きな数値です。ドイツ、韓国はまさに輸出に大きく依存していると言っても良いです。

その他OECD加盟国で輸出割合の大きな国はたくさんありまして、ルクセンブルク227%、アイルランド120%、東欧諸国は軒並み80~100%程度の数値です。

その他の国も概ね20%台後半以上の割合です。日本とアメリカだけ突出して低い数値です。この数値から見る限り、日本は輸出依存国ではなく、むしろ逆で日本は現在の状況では明らかに内需依存の国です。


そうして、輸出依存のほうが競争力が高いなどと考えられ、良いと思われる風潮がありますが、それが良いとは限りません。

ドイツや韓国のように、輸出依存度が高いと、GDPが他国の状況に大きく影響されやすいということがいえます。米国や日本のように、輸出依存度の低い国は、GDPが他国の状況にはあまり影響を受けないといえます。

ちなみに、日本は20年以上前は、さらに輸出依存度が低く、米国のように8%〜9%でした。現在のように、輸出依存度が18%になったのは、デフレがあまりに長い間続いたため、国内で売れない分を海外輸出で補填したものと考えられます。

ちなみに、バブルの頃よりも、現在のほうが、対外純金融資産(海外に日本から貸し付けているお金)が多く、ほぼ毎年日本が世界一ですが、これもデフレかあまり長い間続いたため、国内にめぼしい投資案件がなかったので、海外に投資した結果ともいえます。

国際競争力が極端に弱いなどの、何か特殊な事情がない限り、内需を十分に高めておくほうが、経済的に安定します。内需が高ければ、他国が経済的に落ち込んでも、あまり大きな悪影響はありません。

韓国のように内需が明らかににまだ伸びる余地があるのに、輸出にばかり力を入れた結果、現状のように輸出依存度が非常に高くなってしまいましたが、世界経済が落ち込めば大きな影響を受けることになってしまいます。

もちろん原油高などの影響ももろに受けてしまいます。産油国でもない限り、製品の製造は、輸入した原油により電気を発電し、工場を稼働させて行うからです。輸出依存度の低い日本は、他国に比較すれば、原油高の影響は受けにくいともいえるでしょう。

上の高橋洋一氏の記事では、結論として「むしろ、個別価格が上がっても、ここ1年ほど消費者物価総合が前年比マイナスとなるなど一般物価上昇率がデフレ基調であることの方が問題ではないか。スタグフレーションは全体の供給不足で起こる現象だが、日本の足下では需要不足のほうが心配だ」としています。

確かに日本経済の需要不足の解消は進んでいません。日銀が5日発表した2021年4~6月期の需給ギャップは、マイナス幅が1~3月期に比べ小幅に広がっています。新型コロナウイルスの影響で個人消費の回復が鈍いです。年末にかけて需要不足は解消に向かうとの見方が多いものの、景気回復に不透明感が残ります。

需給ギャップは労働や設備などの供給力と需要の差を比べたものです。マイナスなら需要が供給を下回る状況を指します。


日銀の試算ではコロナが直撃した20年4~6月にマイナス4.95%と、11年ぶりのマイナス幅となりました。21年1~3月期にマイナス1.17%まで上昇したが、4~6月期はマイナス1.29%へ低下しました。

4~6月はコロナワクチンの接種が欧米より遅れ、個人消費の持ち直しの鈍さが懸念された時期です。7~9月もデルタ型の感染拡大により東京などで緊急事態宣言が発令されました。

10月には緊急事態宣言が解除され、外食などの営業上の制約は徐々に緩和され始めました。新型コロナの感染状況の改善が続けば、10~12月期にも需要不足は解消するとの見方もあります。

しかし、総務省が22日発表した9月の全国消費者物価指数(2020年=100、生鮮食品を除く)は、前年同月比0・1%上昇の99・8となりました。20年3月以来、1年半ぶりに上昇に転じました。携帯電話の通信料が下がる一方、原油高に伴い電気代やガソリンが値上がりしました。前年同月に宿泊料を押し下げていた政府の観光支援事業「Go To トラベル」の影響がなくなった反動もあったようです。


そうして物価目標は2%なのですから、0.1%ではまだほど遠いといえます。これが、1%とか2%を超えたというのなら、スタグフレーションも懸念すべきですが、現時点では、供給不足よりは、需要不足を懸念すべきです。

さらに、総務省が2021年10月1日に発表した「労働力調査」によると、2021年8月の失業率は、2.8%で前月と変わらず、前年よりも0.2ポイント改善となりました。ちなみに男性が3.1%、女性は2.5%です。

失業者数は前月よりも2万人増加、前年同月からは13万人減少の193万人です。


8月時点で失業率が3%以上になっていれば、これも供給不足を心配する必要もでてきますが、その懸念もありません。原油およびその関連品などの個別物価が上がっても、雇用にさして悪影響を与えているわけではありません。

政策面でいうと、供給不足 の場合、財政出動や金融緩和を使うと、インフレが高まり、スタグフレーション(不況下のインフレ)になってしまいます。この場合、基本的には供給曲線を元に戻すような施策が必要であり、総需要管理政策として増税や金融引き締めも必要になってきます。

これに対し、需要不足の場合には、財政出動や金融緩和によって有効需要を増やす政策が必要です。

現状では、やはり需要不足のほうが懸念されるので、衆院選後政府は速やかに需要不足に対応するため、大規模な補正予算を組むべきですし、日銀はさらなる量的緩和を実施すべきです。

スタグフレーション懸念など、まだするような次元ではありません。そのようなことを心配する人は、あまりに長い間デフレに慣れ親しんでしまったという異常な体験をしてしまったので、それが当たり前になり、正常な判断ができなくなっているとしか思えません。

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2021年10月22日金曜日

トランプ氏が独自SNS立ち上げ、合併相手のSPAC350%超急騰―【私の論評】2024年に、大統領に返り咲くこともあり得るトランプ氏(゚д゚)!

トランプ氏が独自SNS立ち上げ、合併相手のSPAC350%超急騰


トランプ前米大統領が自身の新会社と特別買収目的会社(SPAC)の合併を活用して独自ソーシャルメディアを立ち上げると発表したことを受け、合併対象のSPAC、デジタル・ワールド・アクイジション・コープがナスダック市場で350%超値上がりした。

新会社のトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(TMTG)は来月にソーシャルメディア「TRUTH Social」のベータ版の試験運用を始め、2022年第1・四半期から一般の利用を開始する計画を明らかにした。

デジタル・ワールドは一時、上昇幅を400%超に拡大。終値は356.8%高の45.50ドルで、時価総額は14億7000万ドルと、20日の3億2100万ドルから急増した。ナスダックの売買高トップとなった。

トランプ氏は今年1月6日の支持者らによる議会議事堂占拠事件を受け、交流サイト(SNS)大手のツイッターとフェイスブックのアカウントが停止された。トランプ氏は議会占拠の前に支持者らに、昨年の大統領選で不正があったと改めて訴える扇動的な演説をしていた。

トランプ氏はソーシャルメディア立ち上げに関する発表文で「間もなく私の考えを共有し、巨大テックに対抗できることに興奮している」と表明した。

【私の論評】2024年に、大統領に返り咲くこともあり得るトランプ氏(゚д゚)!

トランプ氏は、ネットワーク発表の声明で以下のように述べました。

「私はビッグテックの独裁に抵抗するためにTRUTH SocialとTMTGを設立しました。我々が暮らす世界では、タリバンがツイッターで大きな存在感を持つ一方で、みなさんの好きな米国大統領が沈黙させられています。これは容認できません。私は間もなくTRUTH Socialで自分の最初のTRUTHを発信できることに興奮しています」

新メディアグループは、「Deal or No Deal」「America’s Got Talent」といった人気番組のエグゼクティブ・プロデューサーで、1,000時間以上のネットワークとケーブルテレビをプロデュースしてきたスコット・St・ジョンをトップに選びました。

スコット・St・ジョン氏

ソーシャルメディアGETTRのCEOでありトランプ氏の最側近とみられているジェイソン・ミラーは、トランプ氏が新たな取り組みに着手したことを支持しました。

「トランプ大統領、ソーシャルメディアの口論への復帰おめでとうございます!これでフェイスブックとツイッターはさらに市場占有率を失うでしょう。トランプ大統領は常に偉大な取引交渉者でしたが、我々は取引に折り合いをつけることができませんでした」とミラーは声明で述べました。

ジェイソン・ミラー氏

ネットワークは「全ての人に発言権を与える」という目的で作られている、とトランプは述べました。

第45代大統領は、サブスクリプション形式のニュース・エンターテインメント・プラットフォームも立ち上げると述べました。

バイデン米大統領の支持率が低迷する中、2024年の大統領選への再出馬を示唆するトランプ前大統領が勢いを示しています。

「バイデン政権下のたった9カ月で、不法移民や麻薬密売業者が国境を支配し、インフレが経済を襲い、中国には雇用を奪われ、アフガニスタンはタリバンが支配した」。トランプ氏は9日のアイオワ州での集会で、バイデン氏の一連の政策を批判しました。

24年に共和党の候補指名争いの初戦が行われる同州での演説は、トランプ氏が次期大統領選に出馬するとの観測により一層現実味を与えました。

トランプ氏は出馬について明言はしていないですが、保守系メディアとのインタビューで、「医師による悪い診断か何か」だけが、トランプ氏の出馬を妨げるものだとし、その意思を強く示唆。また、同氏と頻繁に会話を交わしているという元補佐官ジェイソン・ミラー氏は米メディアとのインタビューで、出馬の可能性は「99~100%の間」だと述べ、ほぼ間違いないとの見方を示しました。

トランプ氏が勢いづく背景には、バイデン氏の支持率低迷があります。政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」の最新世論調査の平均値(18日時点)によると、支持率が43・7%に対し、不支持率が52・1%。就任当初は、支持が不支持を20ポイント近く上回っていたが、大きく逆転した。アフガンからの米軍撤退の不手際やインフレ懸念、メキシコ国境における不法移民の急増が打撃となっている。

これに対して、トランプ氏は各種世論調査で支持を高めている。デモイン・レジスター紙などが先月中旬にアイオワ州で実施した世論調査によると、過去最高となる53%がトランプ氏に対して「好意的」だとし、45%が「好意的でない」と回答しました。

また、ラスムセン社が先月下旬に実施した世論調査によると、仮に今、大統領選が行われた場合、トランプ氏に投票するとした人が51%だったのに対し、バイデン氏は41%。民主党支持者の約5人に1人がトランプ氏に投票するとしました。


世論調査専門家のジョン・ゾグビー氏は、10ポイント差という結果は実態よりも「少し大きい」との見解を示しつつも、「就任からわずか9カ月で、(バイデン氏への)投票に後悔している人が多くいる」と指摘しています。

日本のマスコミは、トランプ氏を、まるで狂ったピエロのように報道しますが、それは米国のメディアの受け売りにすぎないです。このブログでは何度か掲載ましたが、米国メディアは大手新聞は全部リベラル派で湿られています。テレビはFOXTVのみが保守系で、あとはすべてリベラル派です。リベラル派メディアはトランプ氏のことを悪く言うのは当然です。

米国のメディアを鵜呑みにしたり、米国メディアの垂れ流しをする日本のメディアの報道をみて、トランプ氏を狂ったピエロのように考えるのは間違いです。

トランプ氏のことを、批判は聞かず、自分の主張だけをまくし立てると考える人も多いです。しかし大手メディアは、トランプの主張をとりあげないどころかネガティブな報道ばかりします。そのためトランプがSNSで主張すると、今度はSNSがトランプ氏のアカウント停止するという有様です。

これだけ、自分の主張を述べることを制限されれば、主張できる機会があれば、自分の主張をまくしたてるというのもうなずけます。誰もが、自分の主張する機会を制限されれば、そうなるのではないでしょうか。

「TRUTH Social」が稼働して、トランプ氏が自分の主張を存分に語ることができるようになれは、トランプ氏が自分の主張をまくしたてるということはなくなるのではないかと思います。トランプ氏のいままで一般にはあまり知られていなかった一面が明らかになるかもしれません。

2024年に、トランプ氏が大統領に返り咲くことも十分あり得るとみておくべきです。

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