2021年3月27日土曜日

中国爆撃機など20機、台湾の防空識別圏進入 米が英に「一帯一路」対抗策を提案 識者「中国軍が強行上陸の可能性も」―【私の論評】中国が台湾に侵攻すれば、台湾は三峡ダムをミサイルで破壊し報復する(゚д゚)!

中国爆撃機など20機、台湾の防空識別圏進入 米が英に「一帯一路」対抗策を提案 識者「中国軍が強行上陸の可能性も」

台湾の防空識別圏に飛来したH6K爆撃機の同型機(上)。下は台湾のF-16戦闘機

 中国が台湾への圧力を強めている。台湾の国防部(国防省に相当)は26日、戦闘機12機、爆撃機4機を含む中国軍機計20機が同日、台湾南西部の防空識別圏(ADIZ)に進入したと発表した。米国と台湾が沿岸警備当局の協力強化に合意する覚書に署名したことに反発、威嚇したとみられる。ジョー・バイデン米大統領は同日、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗する、民主主義国家による連携構想をボリス・ジョンソン英首相に提案した。

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 台湾のADIZに進入したのは、「J16戦闘機」10機と「J10戦闘機」2機、「H6K爆撃機」4機、「Y8対潜哨戒機」2機、「KJ500早期警戒管制機」1機、「Y8偵察機」1機の計延べ20機。

 中国は昨年9月19日、台湾の李登輝元総統の告別式に米政府高官が参列したのに合わせて計19機をADIZに進入させており、それを上回る最大規模となった。

 中国は2月、海警局に外国船舶への武器使用を認める海警法を施行した。台湾や沖縄県・尖閣諸島など、地域の緊張が高まるなか、米国と台湾は25日、沿岸警備当局の協力強化に合意する覚書に署名した。バイデン政権発足後、米台が文書に合意するのは初めて。

 こうしたなか、バイデン氏は26日、ジョンソン氏と米英電話首脳会談を行い、対中政策を協議した。この中で、中国の「一帯一路」に対抗するため、民主主義国家が連携して途上国の開発を支援する構想を提案した。

 「一帯一路」をめぐっては、中国が多額の借款を発展途上国に押しつけ、借金のカタに重要インフラなどを奪う「債務の罠」が国際問題になっている。民主主義陣営として、これに対峙(たいじ)するようだ。

 今回の中国軍機による台湾のADIZ進入をどうみるか。

 軍事ジャーナリストの世良光弘氏は、「これまでは、爆撃機や戦闘機などの単独飛行が多かったが、今回は爆撃機を戦闘機が護衛するかたちになっており、『台湾有事』を想定した演習かつ恫喝(どうかつ)とみていい。『H6K爆撃機』は、ADIZ外からも台湾本島をミサイルの射程範囲に入れる能力を持つ。今後、台湾の澎湖(ほうこ)諸島や蘭嶼(らんしょ)などに、中国軍が強行上陸してくる可能性もある。尖閣諸島を含む日本の八重山諸島も危険にさらされるため、十分警戒が必要だ」と語った。

【私の論評】中国が台湾に侵攻すれば、台湾は三峡ダムをミサイルで破壊し報復する(゚д゚)!

今年は、米国のバイデン政権の成立を好機として中国の習近平は、懸案になっている台湾占領を目標とする軍事行動を始めるものと予想されています。

米海軍や米太平洋軍の情報担当者の分析によるもので、習近平はバイデン政権がこれまでのトランプ政権とは違って、台湾を守るために断固とした姿勢をとることはないと考えているようです。

オバマとバイデン親子

ただし、習近平の目論見が予期されたようにうまくいくとは限らないという見方も、米国の専門家のなかで有力になっているようです。

習近平が台湾に対する軍事行動に踏み切る最大の理由がジョー・バイデンにあることは、間違いがないでしょう。ジョー・バイデンが中国と深い関係を持ち、息子のハンター・バイデンが中国に買収されてしまっているのは紛れもない事実です。

そういった情勢のなか、習近平が台湾海峡を越えての大がかりな上陸作戦を練っていることはよく知られています。習近平が懸案になっている台湾占領に動き出す可能性が高まってきました。早ければ2021年中と推定されます。

米国防総省の中国軍事体制分析レポートは、次の点を指摘しています。
これまで中国が台湾占領に踏み切れなかったのは、三つの問題があったからである。まず、強力な陸軍部隊を搭載する輸送船団が不足していた。二番目に、台湾海峡を越えて上陸作戦を行うための準備ないし訓練を十分に行ってこなかった。三番目に、アジア極東に展開する強力な米海軍に対抗する海軍能力を持ちえなかった。
米国防総省の専門家によれば、この三つの問題を解決するために習近平がとくに力を入れているのは、台湾海峡を押し渡って攻撃部隊を上陸させるという作戦です。

確かに1950年代、金門馬祖の戦いといわれる中国の台湾攻撃計画は、大量の陸軍部隊を送り込むという計画がなかったために失敗に終わってしまいました。

現在の中国は、10隻以上の揚陸用舟艇や、さらに20隻近い強襲攻撃艦の建造を急ピッチで進めており、あと一年もすれば台湾海峡を越えての上陸作戦が可能になります。

中国はこういった上陸作戦を支援するため、すでに航空戦力の強化にも力を入れており、米軍のF35に対抗するステルス攻撃機J10などの大量生産を始めています。

こうした動きは、懸案になってきた台湾への軍事行動を早急に実施しようという中国側の意図を明確に示しているようです。

軍事面だけを考えれば、中国は台湾海峡を越えての上陸作戦を行う戦力を保有するに至っています。そのための軍事訓練も行われています。軍事的に見てようやく、中国の台湾上陸作戦が可能な状況になっているといえます。

ただ、米太平洋軍などの第一線の専門家たちの考えは、やや異なっています。その理由は、台湾側がすでに最新鋭通常型潜水艦などの大量生産に成功するとみられていること、優秀な中短距離攻撃ミサイルを開発し実戦配備したからです。

こうした現場の分析を詳しく見てみると、現在ジョー・バイデンの登場によって政治的には有利な立場に立った習近平や中国海軍がこのまま台湾占領戦争を始めたとしても、成功させるにはいま一つ不安な要因があるのは確かです。

先にも述べたように、台湾はすでに通常型潜水艦の建造に着手しています。そうして、台湾は日本やドイツ並みの最新鋭潜水艦を建造する可能性が高まっています。特に静寂性(ステルス性)に優れた潜水艦を建造する可能性が高いです。

これが、成功すれば、このブログにも以前掲載したように、今後数十年にわたって台湾は中国の侵攻を阻止できます。

ただ、現像には数年を要すると考えられるため、現状では残念ながら、まだ戦力にはなりません。

一方、中短距離ミサイルは実際に配備されつつあります。台湾は、長年かけて自主開発した中距離巡航ミサイル「雲峰」の量産を2019年から開始しています。アナリストによると、雲峰の飛行距離は2000キロで、台湾南部の高雄から北京を納める距離です。


さらに、台湾は中長距離ミサイルの開発配備も視野に入れています。台湾の国防部(国防省)は25日、4年に1度となる国防計画の見直しを行い、立法院(国会)に報告しました。中国軍機が繰り返し台湾の防空識別圏に侵入するなど、軍事的圧力が強まっていることを踏まえ、長距離ミサイルを配備し、抑止力を強化する内容を盛り込みました。予備役など有事の際の動員強化も掲げました。

台湾当局は25日、1種類の長距離ミサイルの大量生産を開始したことを明らかにしました。これとは別に3種類の長距離ミサイルを開発していることも認めました。

台湾が兵器の開発を公表するのは異例のことです。中国は台湾周辺で軍事活動を強化している。

台湾は、戦争時に中国内陸部の基地を攻撃する能力も含め、抑止力を高めるため、軍の近代化を進めています。

台湾の邱国正・国防部長(国防相)は、立法院(国会に相当)で長距離攻撃の能力向上が優先課題だと発言。

「長距離で、正確な、移動式(の兵器)が望ましい」とし、公的研究機関である国家中山科学研究院がそうした兵器の研究を「中止したことは一度もない」と述べました。

同研究院の幹部も立法院で、1種類の陸上発射型長距離ミサイルがすでに生産段階に入ったと発言。これとは別に3種類の長距離ミサイルを開発中だと述べました。ミサイルの飛行距離は明らかにしませんでした。

同研究所は台湾の兵器開発で中心的な役割を担っており、ここ数カ月、南東部の海岸で一連のミサイル実験を実施しています。

台湾はミサイルによる防衛体制や、中近距離ミサイルによる抑止戦略について、あまり多くを語ってこなかったのですが、今回は異例の公表だといえます。しかしながら消息筋によると、現状でも、台湾側は中近距離ミサイルによって、中国本土の三峡ダムを破壊することを含め、抑止体制を十分に整え終わってるとされています。

三峡ダム

これについては、中国の軍事情報サイト「捷訊網」は21日、米国や台湾と戦争の事態になった場合、三峡ダムがミサイル攻撃を受け破壊された場合には、戦争に必要な軍部隊も水に飲まれ、民間人の被害は数億人にのぼると紹介しています。

三峡ダムの危険性については早い時期から指摘があり、応用数学などを研究した著名学者の銭偉長氏(1912-2010年)は、三峡ダムが通常弾頭付き巡航ミサイルで攻撃されて崩壊すれば、上海市を含む下流の6省市が「泥沼」となり、数億人が被害を受けると試算しました。三峡ダムが崩壊すると、中国の1/4が水没するといわれています。

記事によると、三峡ダム下流の長江沿岸には軍の駐屯地が多く、軍も戦争遂行が不能になるといいます。

記事は、三峡ダム攻撃をまず研究したのは台湾と指摘。中国軍が台湾侵攻を試みた場合、台湾は同ダムを含む大陸部のインフラ施設攻撃を念頭に置いたといいます。

記事は次に、尖閣諸島で対立する日本による攻撃も取り上げました。奇襲すれば「釣魚島(尖閣諸島の中国側通称)はポケットの中の物を取り出すのと同様に簡単に手に入る」と豪語するタカ派軍人もいると紹介する一方で、三峡ダムへの攻撃リスクを考えれば、「釣魚島奇襲は不可能」と指摘。それまでに、時間をかけて三峡ダムの水を抜いておかねばならないと主張しました。

記事はさらに「釣魚島を奪取しても利は小さい。三峡ダムの被害は甚大だ。しかも、(尖閣奇襲で)先に手を出した方(中国)が国際世論の非難を浴びる」と論じました。

記事は、尖閣諸島が原因で戦争になった場合、米国による三峡ダム攻撃もありうると指摘。さらに、国境問題で対立するインドが攻撃する可能性にも触れました。

台湾が、ミサイルだけではなく、今後最新鋭の通常型潜水艦を建造し、さらに最新の対潜哨戒能力をつければ台湾の守りは完璧になります。

習近平が台湾攻撃にこのところ熱心になっているのは、中国国内政治の動向が不安定になっているからだと考えられます。それに、元々中国は自国の内部の都合で動くことが多い国です。習近平は中国国内の政治情勢についてあまり懸念していないといわれてますが、現実的に考えると、中国はアメリカをはじめヨーロッパへの輸出が急速に減っているうえ、「一帯一路」と呼ばれる全世界的な貿易輸出体制計画も行き詰まっています。

さらには、中国のウイグル民族に対する民族絶滅計画やチベット文明破壊などといった非人道的な行動に対してヨーロッパが強く反発しています。これが、国内で反習近平派から批判を受けないわけはありません。

中国は7月1日、中国共産党(中共)の結党100周年記念日に習近平国家主席(68)が「重要演説」を行う計画だと明らかにしました。天安門広場パレードは行わないと発表しました。記念日を100日後に控えた23日の記者会見でのことです。

「7月1日」の中共結成記念日は、1938年に共産国際と呼ばれるソ連のコミンテルンの指示で定められました。中共は1921年7月23日にコミンテルンの指揮により上海と嘉興を行き来し、創党した。その後、「7月1日」に中共は人民大会堂で記念大会を開いて結成を記念し、5周年・10周年には、さらに盛大な規模の記念式を開催しました。

 しかし、文化革命のさなか、1971年結成50周年「7月1日」に毛沢東は記念式の代わりに、中央文革小組の主要宣伝チャンネルだった人民日報・解放軍報・紅旗(両報一刊)に記念社説を掲載するに留まりました。

当時、毛沢東が後継者に指名した林彪を前面に出し、劉少奇国家主席を修正主義者として批判し、大規模な整風運動を展開しました。 以降、中共は結党60・70・80・90周年「7月1日」に人民大会堂で祝賀大会を開き、胡耀邦、江沢民、胡錦濤国家主席が記念演説をしました。

劉少奇氏

さて、今回の中共結成100周年で、習近平は何を行おうとしているのでしょうか。本来であれば、台湾を武力で併合して、100周年で盛大にその成果を誇りたかったのだと思います。

何しろ、毛沢東は建国の父、鄧小平は開放改革の立役者ということで、大きな実績があるのですが、習近平には、そのような実績はありません。にもかかわらず、憲法を修正してまで、みずからを終身主席の座に収まっています。

これでは、反習近平派から統治の正当性を疑われても当然です。こうした国内の反発をかわすためにも、習近平は台湾を併合したかったのでしょうが、それも難しいです。

では、習近平は共産党結成100周年の「重要演説」で、かつての毛沢東のように、政敵を葬るための演説をすることになるのではないでしょうか。

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