2014年5月31日土曜日

「交わすべきは言葉」 安倍首相、南シナ海での中国を批判 アジア安保会議―【私の論評】今や中国に対して直截にものを語るのは、世界で安部首相のみ!国内の反安倍勢力を駆逐することがアジアの平和と安定を確かなものにする(゚д゚)!

「交わすべきは言葉」 安倍首相、南シナ海での中国を批判 アジア安保会議

アジア安全保障会議」に日本の首相として初めて
出席し、講演する安倍首相=30日、シンガポール

安倍晋三首相は30日夜、シンガポールで同日開幕したアジア安全保障会議(シャングリラ対話)に出席、基調講演した。首相は「法の支配」の順守を強調し、南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)、パラセル(同・西沙)両諸島での領有権争いをめぐりフィリピンやベトナムの行動を支持、「既成事実を積み重ね現状の変化を固定しようとする動きだ。強い非難の対象とならざるを得ない」と中国を批判した。

首相は、「海における法の支配」について「国家は法に基づいて主張する」「力や威圧を用いない」「紛争解決には平和的収拾を徹底すべし」との3原則を示し、「当たり前のことであり、人間社会の基本だ」と訴えた。

その上で「最も望まないことは、威圧と威嚇が、ルールと法に取って代わり、不測の事態が起きないかと恐れなければならないことだ」と指摘した。

南シナ海で中国がベトナムやフィリピンと領有権をめぐり対立していることや、日中間の連絡メカニズムが運用に結びついていないことを挙げて、中国に対し「交わすべきは言葉だ」と交渉のテーブルにつくよう促した。

また、「米国との同盟を基盤に、東南アジア諸国連合(ASEAN)との連携を重んじながら、地域の安定、平和、繁栄を確固たるものとしていく」と述べ、日米同盟を基軸としたASEAN地域の安全保障に貢献する姿勢を表明。空や海などの国際公共財を重視する姿勢を打ち出し、ASEAN各国に「航行、飛行の自由を保全しようとする努力に支援を惜しまない」と約束した。

日本が戦後70年近くにわたり平和国家として歩み続けてきた実績を踏まえ、世界平和に貢献する「積極的平和主義」に基づく取り組みを強化する姿勢を打ち出した。さらに「もっと世界の平和に貢献したい」と訴え、首相が目指す集団的自衛権の行使容認や国連平和維持活動(PKO)について政府・与党内で検討を進めていることを説明し、各国の理解を求めた。

【私の論評】今や中国に対して直截にものを語るのは、世界で安部首相のみ!国内の反安部勢力を駆逐することがアジアの平和と安定を確かなものにする(゚д゚)!



「アジア安全保障会議」において、安倍首相は(1)国際法に基づき主張(2)武力や恫喝を使わない(3)紛争は平和的に解決する――という「法の支配3原則」を打ち出し、「既成事実を積み重ね、現状の変化を固定しようとする動きは断じて非難されなければならない」と宣言しわけですが、これは本当に成就するのでしょうか。

私は、成就する可能性は十分にあると思います。かつての首相など、いろいろ提言などしましたが、そもそも総理在任期間があまりに短すぎるため、単なるリップサービスになることがほとんどでした。

在任期間があまりに短いということから、日本の首相の発言など、現在の米国のオバマ大統領の言葉のように、実効性のない言葉と受け取られ勝ちでした。

しかし、最近は動きが変わっています。まずは、先日北朝鮮が、拉致被害者の調査を実施すると約束したことがあげられます。北朝鮮そのもが信用できるとかできないとか、北朝鮮のこの約束が本当に守られる、守られないとかは全く別次元の問題として、北朝鮮がこのような対応を示したということは、安倍政権が安定した長期政権になると見込んでいるに他ならないです。


日本国内でも、安部総理以外に総理大臣として適任はいないという世論が盛り上がっています。マスコミなどが安部総理に対する様々な批判キャンペーンを繰り返してきましたが、さりとてその次の総理大臣は誰かと具体的に考えた場合、残念ながら相応しい人はいません。無論、自民党の麻生、石破また石原氏も無理です。自民党以外も、対象外です。それは、安全保障会議参加メンバーも安部総理の積極的な全方位外交が過去とはかなり異質であり、この異質さはかなり理解されているのではないかと思います。

こうしたことからも、安部首相の三原則は本当にアジア地域における実効性のあるドクトリンとなり得る可能性が高くなってきました。日本のリーダーシップのもとこれが実現する可能性が高まっています。

それに、ここでは詳細は、示しませんが中国のあからさまな海洋進出によって、特にロシアなど国境を接する国々は脅威を感じ、対中国対策を本気で考えるようになってきました。この対策には、日本の援助などは欠かせないものになると思います。これは、日本の対中国対策にとって追い風となります。これに関しては、最近のブログでも掲載しましたので、詳細は、そちらをご覧になって下さい。

そうして、安部総理が総理になる直前に発表した安全保障のダイヤモンド構想や、この構想にそって繰り広げてきた実行性のある全方位外交などが、アジア安全保障会議において、花を開いたということだと思います。

この会議で、安部総理は、自身の靖国神社参拝について「国のために戦った方に手を合わせる、冥福を祈るのは世界共通のリーダーの姿勢だ」などと語り、会場が拍手に包まれる一幕がありました。

講演後の質疑で、出席者の中国人男性が昨年の首相の靖国神社参拝について「先の大戦で日本軍に中国人は殺された。その魂にどう説明するのか」と質問したのに答えました。

首相は「法を順守する日本をつくっていくことに誇りを感じている。ひたすら平和国家としての歩みを進めてきたし、これからも歩みを進めていく。これは、はっきり宣言したい」とも述べました。

まさに、現在の日本は、戦後長きにわたって、戦争などしてきませんでした。この事実を安部総理は高らかに誇らしく語ったわけです。この中国人男性もこの言葉には、ぐうの根もでなかったでしょう。もう、アジアは数年前のアジアとは異なるのです。

一方、小野寺五典(いつのり)防衛相は同会議の夕食会で、中国の王冠中・人民解放軍副総参謀長と約5分間、会話しました。

小野寺氏は、東シナ海上空で中国軍機が自衛隊機に異常接近した問題を踏まえ、海上での偶発的衝突の防止に向けた連絡体制の早期運用に応じるよう求めた。王氏は「日中間のさまざまな問題が解決しないと難しい」と答えました。

アジア安全保障会議においては、中国は一方的に劣勢に立たされ、敗北しました。

中国側は、まさに安部総理に翻弄されています。アメリカのオバマは、優柔不断で、それが間接的に中国の海洋進出を誘引してしまいました。ロシアのプーチンは強面ですが、このブロクででも指摘したように、ルトワック氏に氷の微笑と指摘されながらも、表面上は中国に接近の姿勢をみせています。イギリス、ドイツは中国に擦り寄りの姿勢を見せています。

そうした最中、ここまではっきりと中国に直截にものを語れるのは、今や世界でも安部総理のみです。このような日本の首相は過去には存在しておらず、中国側は今後どうしたものよら考えあぐねパニックに至っていると思います。

その兆候は随分前から見られていました。それについては、このブログに過去に掲載しましたので、そのURLを以下に掲載します。
中国、反日カード出尽くし? 連日批判もデモなし 国内安定優先―【私の論評】安倍総理にキリキリ舞させられて、進むも地獄、退くも地獄の政権運営を強いられている習近平が反日できない、いくつもの理由(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事は昨年12月のものですが、中国側の焦りを掲載しました。現状では、中国国内では大規模な、中国政府による官製反日デモはできない状況になっています。それに、経済が不振で、とんでもない状況になりつつあります。

これに対して中国ができるのは、海外からの投資の呼び込みですが、これもままならない状況になりつつあり、中国核心的利益を得るための海洋進出の安部総理により阻まれようとしています。

当時の彼らの焦りを示す部分だけ以下にコピペさせていただきます。
安倍政権は東中国海の向こうでステップを踏み、中国をそのステップに合わせて踊らせようとしている。そうなれば中国は疲労困憊し、馬鹿げて見えることだろう。中国の正確な手法は「傍観者」になることだ。せいぜい安倍政権には踊らせておこうじゃないか。我々はひまわりの種をつまみながらお茶を飲み、彼らが踊りに疲れて全身汗だらけになる様子を楽しめば良いのだ。  
中日の外交対立は、徐々にこのような情勢に向かいつつある。安倍首相は就任以来、中国に対して数えきれないほどさまざまな、硬軟織り交ぜた呼びかけをした。中国の指導者は一言もこれに応じず、中国側の回答はすべて外交部の報道官が代わりに行った。表面的には日本側が絶えず積極的に攻めに出ているように見えるが、実際には中国側はこれを静観し日本に対する心理的な強みを蓄積している。これは中日の外交対立にとって有利であり、中国社会の対日心理の調整にとっても極めて重要である。
この状況は、安倍政権ではなく、まさに中国当時の状況を指し示しています。そうして、現状はもっと厳しく、まさしく、安部総理はステッフを踏み、中国はそのステッフに合わせ踊っています。それに対して、安部総理は対話を呼びかけてはいるものの、まともな対話にのってこない中国に対して、まさに現在「傍観者」決め込んでいます。

中国は安部総理のステップに合わせて疲労困憊するまで踊り続けている

今回の「アジア安全保障会議」における、安部総理のパフォーマンスは素晴らしいものでした。それも、単なるバフォーマンスではなく、全方位外交などによる、行動の裏付けのある実効的なパフォーマンスでした。これで、アジアでの日本のプレゼンスはかなり高まりました。中国は、この会議でも安部総理のステップにあわせて、良く踊ってくれたようです。

しかし、油断は禁物です。日本には、中国を後ろ盾とした、反安倍のマスコミや、政治家などがたくさんいます。いつ寝首をかかれるかわかりません。今や、安部総理にとって危険なのは、中国や北朝鮮より日本国内の中国の傭兵どもです。

彼らは、現代中国がこれからも勢いを増し、大きくなっていくという幻想を頑なに信じています。そうして、親中的な生き方をするのが日本の進む正しい道であると信じています。一方では、超大帝国米国の勢いがいつまでも続くと頑なに信奉している人たちがいます。

実は、日本国内では、こうした中国と米国の代理戦争が繰り広げられているというのが真実です。ソ連が存在したときには、ソ連と米国の代理戦争だったのですが、池田総理の国民所得倍増計画などで、経済的に日本が潤った結果、ソ連の影響力はどんどん薄くなり、ソ連崩壊とともに完全に消えてなくなりました。

ソ連崩壊は、日本とってはある意味大きなチャンスだったのですが、そのチャンスを生かし切れなかった日本は、中国の台頭により、ソ連なき現在、日本国内では中国と米国の代理戦争を繰り広げるという最悪の道を歩むことになりました。

この流れを変えようとしているのが、安部総理です。もう分裂崩壊間近の中国や、米国の代理戦争をするなどという愚かな生き方はやめて、一日でもはやく日本独自の歩みができるようにしようとしています。

安部総理は、日本独自安全保障のため、これからも尽力するでしょう。最早、安部総理にとっては経済が崩壊し、分裂しつつある中国は大きな敵ではなくなりつつあります。しかし、国内の敵はなかなか一掃されません。

私たちが、これからも特に留意すべきは、こうした内なる敵への対処です。


内なる敵は、選挙で葬ったり、世論形成で対応するしかありません。あるいは、ザル法に過ぎない、特定秘密保護法を中国や中国のスパイたちが困るもっと実効性のあるものにしたり、スパイ防止法を制定する必要があります。

最近の、日本の優位性も、安倍政権が短命に終わってしまえば、それこそ、中国の思う壺で水泡に帰してしまうと思います。来年10%増税ともなれば、日本のデフレからの回復は遠退き、中国にとって有利状況になります。もう、先のない中国共産党中央政府はなりふりかまわず、安倍退陣を画策して、実行に移すことでしょう。彼らの術中にはまることがないよう、国内メディアや媚中政治家などをしっかり監視して、批判すべきは徹底して糾弾すべきと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】


中国、反日カード出尽くし? 連日批判もデモなし 国内安定優先―【私の論評】安倍総理にキリキリ舞させられて、進むも地獄、退くも地獄の政権運営を強いられている習近平が反日できない、いくつもの理由(゚д゚)!




【関連図書】


野望の中国近現代史
野望の中国近現代史
posted with amazlet at 14.05.31
オーヴィル・シェル ジョン・デルリー
ビジネス社
売り上げランキング: 7,578



2014年5月30日金曜日

「中国を仮想敵国にしている」河野氏が安倍外交を批判 談話検証には「冷静に結論を」―【私の論評】白痴"江の傭兵"がまた寝言語っています! もう公の発言をしても老害を晒すだけ! こんなのが一時でも自民党総裁だったことが恥ずかしい(゚д゚)!

「中国を仮想敵国にしている」河野氏が安倍外交を批判 談話検証には「冷静に結論を」

河野洋平氏
河野洋平元衆院議長は29日、東京都内で講演し、安倍晋三首相が集団的自衛権の行使容認を目指していることについて「(議論は)あからさまに中国が仮想敵国になっている。『わが国の平和と安全を守る』というより、外交的に隣国と話をすることが先で、その方が効果的だ」と批判した。

さらに、首相が掲げる「地球儀外交」を引き合いに、「世界中を飛んで歩いているのは尊敬するが、深刻な問題を抱える隣の国だけ行かないのは、いかがなものか」と指摘し、「島(尖閣諸島)の問題と歴史認識の問題をなんとかしないといけない」と主張した。

一方、慰安婦募集の強制性を認めた平成5年の「河野洋平官房長官談話」に関しては、政府が進める談話作成時の検証作業を念頭に「できるだけ静謐(せいひつ)な状況の中で冷静に話をし、結論を導き出してほしい」とだけ語った。

【私の論評】白痴"江の傭兵"がまた寝言語っています! もう公の発言をしても老害を晒すだけ! こんなのが一時でも自民党総裁だったことが恥ずかしい(゚д゚)!

石平さんが、河野洋平氏に対して以下のようなツイートをしています。
それにしても、この渾名をつけた人のセンス、抜群ですね。よって私もつかわせていただくものとしました。

中国を仮想敵国とするのはあたり前のことです。最近の積極的海洋進出の背景などつい最近も掲載したばかりです。中国の海洋進出は、何かを変えなければ、これからも続きます。しかも、奴らは「核心的利益」を乱発して、自分たの利益になることはどんなことをしても成就してみせると語っています。

こんな中国を日本やその他の国々が仮想敵国とするのは当然のことであり、そうでなけば一帯どこの国を仮想敵国とするというのでしょうか。

あまつさえ、現在では尖閣問題もあるし、あの南シナ海の事件もあったし、識別航空圏の問題もあっし、少し古くはなってしまいましたが、あのレーダー照射があったり、反日暴動テロがありました。こんな傍若無人な真似をした国を仮想敵国にしない国などあり得ません。

それに、安倍の総理の地球儀外交は着実に成果をあげつつあります。韓国などどうせ中国の属国になる道を選んだのですから、安部総理がわざわざ行く必要もありません。韓国とは、今後冠婚葬祭程度のお付き合いとして、なるべくお付き合いしないほうが良いです。

ただし、慰安婦問題などに関しては、間違いをいえば確実に論破するようにしていくべきです。国際常識では、どんな問題でも水掛け論になってしまえば、最初に言い出したほうが負けということになります。今後は、韓国側が負け続けることは必定です。

根も葉もない、性奴隷妄想などをぶちあげて、アメリカにまで慰安婦像を建立してみたり、江の傭兵が語っているように、静謐な状況のなかで、冷静に話をできなくしたのは、日本ではなく韓国ではありませんか。この負け犬根性いったいどこからくるのか、不思議です。

江の傭兵は、政治家を引退してからまで、江の傭兵であり続けるようです。

もう公の発言をしても老害を晒すだけ! こんなのが一時でも自民党総裁だったことが恥ずかしいです。



工の傭兵は、衆議院議員(14期)、衆議院議長(第71・72代)、副総理(村山内閣・村山改造内閣)、外務大臣(第122・127・128・129・130代)、内閣官房長官(第55代)、科学技術庁長官(第39代)、自由民主党総裁(第16代)、新自由クラブ代表(第1・3代)を歴任いています。

2003年(平成15年)から2009年(平成21年)まで日本憲政史上最長の期間にわたって衆議院議長を務めました。

副総理格国務大臣、農林水産大臣等を務めた党人派の実力者だった元衆議院議員の河野一郎は父でする。元参議院議長の河野謙三は叔父。衆議院議員の河野太郎は長男。

血筋的には悪くないのに、きっとお父上も草葉の陰を泣いておられるでしょう。

それにしても、江の傭兵が自民党総裁になれたということは、中国の傭兵が自民党内にまだいるということです。実際にいます。こんな中国の傭兵どもは、自民党からはやく出て行って欲しいと思います。あの、維新の党の分裂劇があったことを考えれば、これも決してあり得ないことではありません。有権者の皆々様方、よーく考えましょう、傭兵を議員にしてはいけません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】






【関連図書】


反日プロパガンダの近現代史:なぜ日本人は騙されるのか
倉山満
アスペクト
売り上げランキング: 5,971

歴史問題は解決しない
歴史問題は解決しない
posted with amazlet at 14.05.30
倉山 満
PHP研究所
売り上げランキング: 6,785

嘘だらけの日韓近現代史 (扶桑社新書)
倉山 満
扶桑社
売り上げランキング: 4,044

2014年5月29日木曜日

米国議会で日増しに強くなる対中強硬論―【私の論評】世界は複雑だ!米中一体化、G2など中国の妄想にすぎない!しかし、日本にとってはこの妄想につけこむ絶好のタイミングかもしれない(゚д゚)!

米国議会で日増しに強くなる対中強硬論

米国国会議事堂

 米国連邦議会下院外交委員会のアジア太平洋小委員会が5月20日に開いた公聴会は、米国全体の中国への姿勢が著しく険悪化している様子をあらわにした。米国の中国への敵対傾向が明らかに強まり、米中間の「新冷戦」という言葉をも連想させるようになったのだ。 

 「中国はいまや全世界の平和と安定と繁栄への主要な脅威となったのです!」

 この公聴会ではこんな強硬な発言が出た。

 公聴会の主題は米国の「アジアへの旋回」である。このスローガンはオバマ政権が新政策として鳴り物入りで宣伝してきたが、どうも実態がはっきりしない。もしも安全保障面でアジアでの備えを重視するならば、当然、米軍の新たなアジア配備や、そのための国防予算の増額が見られるはずなのだが、見当たらない。オバマ政権の唱える「アジア最重視」も、レトリック(修辞)だけで実効措置が伴わない意図表明にすぎないという懸念がワシントンでも広がって久しい。

 中国の威嚇的な行動はますます激しさを増している。異常とも言えるほどの急ペースで軍拡をもう20年も続けているうえに、東シナ海での防空識別圏(ADIZ)の一方的な宣言、尖閣諸島での恒常的な日本側の領空領海への侵犯、南シナ海での無法な領有権拡張、対米サイバー攻撃、そして他国領土を強引に奪うロシアへの接近など、国際規範無視の中国の荒っぽい行動は、ついに米国側の忍耐の限界を超えたかのようにも見える。

 さらに、この5月には、中国人民解放軍の房峰輝総参謀長が訪米し「アジアでの紛争は米国のアジア政策のせいだ」と非難した。習近平国家主席は、ロシアやイランの首脳を交えた上海での「アジア信頼醸成措置会議」で「アジアの安全はアジアの人間が守る」と述べ、事実上、米国のアジア撤退をも求めた。オバマ政権の宥和政策にもかかわらず、中国は明らかに米国を敵視しているとしか思えないのである。

 こうした現況について、米国では以下のようにも総括された。

 「中国に対して、米側には伝統的に『敵扱いすれば、本当に敵になってしまう』として踏みとどまる姿勢が強く、中国を『友好国』『戦略的パートナー』『責任ある利害保有者』『拡散防止の協力国』などと扱ってきました。だが、そうして40年も宥和を目指してきたのにもかかわらず、中国はやはり敵になってしまったのです」(元国防総省中国担当、ジョー・ボスコ氏)

 皮肉な表現ではあるが、明らかにオバマ政権の対中宥和策への批判だと言える。

 中国が少なくともアジアにおいて、米国主導の現在の国際秩序を従順に受け入れる構えがないことはすでに明白となってきた。いや、受け入れないだけではなく、むしろ打破したいと意図していると言う方が正確だろう。

 そうした中国がロシアに本格的な接近をしてきたことは米国にとってさらに気がかりな動きである。万が一、中国とロシアの両国が団結し、連帯して、米国に対抗するとなると、いまの世界の国際秩序や安全保障構造は根本から変わってしまう。1991年にソビエト連邦が完全に瓦解して以来の最大の出来事ともなろう。米中関係の険悪化には、世界大動乱の予兆とも言える、そんな重大な要素も絡んでいるのだ。

 だがその一方でわが日本では、集団的自衛権をめぐる論議でも、肝心の外部の安保情勢ではなく国内の法的手続きを最優先しての内向きな攻防が続く。

 多数の国家が絡み合ういまの世界の安全保障情勢の中で、日本だけが孤立して安全が高まるはずがない。防衛や安保の面での国際的な連帯や協調がいまほど重要な時期はない。それにもかかわらず、日本内部での集団的自衛権容認への反対論は、砂に頭を突っこむことで見たくない現実から目を背ける、ダチョウの平和を思わせるのである。

上の記事は、要約です。詳細をご覧になりたい方は、こちらから(゚д゚)!

【私の論評】世界は複雑だ!米中一体化、G2など中国の妄想にすぎない!しかし、日本にとってはこの妄想につけこむ絶好のタイミングかもしれない(゚д゚)!

上の記事でも明らかなように、オバマ大統領の中国宥和政策は、あまり実を結ばなかったのが現実です。オバマの前の大統領、ブッシュ氏は宥和政策はとりませんでした。少なくとも、年に一回くらいは、中国に対して声明を発表し、民主化をすること、政治と経済を分離すること、法治国家化をすることなど厳しく要求していました。

オバマになってからは、そのようなことはなくなり、宥和政策ばかりとるようになりました。

こうした宥和政策は、過去においても失敗しています。それは、ナチスドイツに対するイギリの宥和政策です。

これについては、以前のこのブログでも掲載したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。
歴史に学ぶ-(1)ミュンヘン会議(1938年9月29日~30日)、チェコスロバキア解体(1939年)
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では当時のイギリスの首相チェンバレンによる対独宥和政策が、結果として第二次世界大戦開戦の誘引ともなったことを掲載しました。

握手を交わすチェンバレン(左)とヒトラー

以下にこの記事から現代でも学ぶべき点に関して私が掲載した文章をコピペさせていただきます。
理不尽な要求には、絶対に屈しないということにつきる。このときに、イギリスをはじめフランス、ソビエト連邦、ポーランドをはじめとする東欧諸国も構えを崩さず、さらにアメリカの応援も要請して徹底抗戦も辞さずという態度をみせれば、戦争が回避できた可能性もあったはずである。無論、歴史にもしも、という言葉に意味はないが、これからのことを考えるためには役にたつだろう。 
現在チベット問題がクローズアップされているが、この問題も絶対に譲歩すべきではないだろう。少なくともチベットの自治は認めさせるべきであるとの意思表示は、はっきりすべきだろう。さらに、中国がこれ以上領土拡張の野心を見せたときは、たとえどのようなことになろうとも、絶対に認めないという姿勢が必要だろう。
さら、福田総理大臣はどうなのだろう。少なくとも日本のチェンバレンと呼ばれるようなことには、なってもらいたくない。
この記事は、 2008年のものです。この当時は、福田首相でした。福田首相にかぎらず、日本の歴代の総理大臣は安部総理は別として、ほとんどが対中宥和策をとってきました。最近の中国の暴虐非道は、他にも様々な理由もありましたが、こうし宥和政策も誘引したことは否めませせん。

ソ連の崩壊により、その後継者たるロシアは、小国化してしまいました。これにより、中国は特に陸上で国境を接する国々からの脅威はほとんどなくなりました。ソビエト帝国が瓦解した現在、今や世界唯一の超大国(中国は、超大国とはいえない発展途上国です)アメリカのオバマ大統領の対中宥和政策です。

これが、中国の海洋進出に拍車をかけています。これに関しては、このブログでも何度か掲載してきました。その代表的なものを以下に掲載します。
上念司「中国包囲網の決定打はモンゴル・トルコのランドパワー強化に在り!」―【私の論評】ソ連崩壊後、小国ロシアになってから国境溶解が顕著になり中国にとって軍事的脅威はなくなった!日本は経済援助を通じて中国と国境を接する国々のランドパワーを強化すべき(゚д゚)!

小国化したロシアは、未だに大国
のように見せかけているが・・・・・
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、ロシアが小国になった(GDPは日本の1/5)事実をもとに、中ロ国境の国境溶解(中国人のシベリアなどへの移動により、国境が不明確になっている現象)により、中国は陸上での差し迫った脅威がなくなり、それが、中国の海洋進出の誘引になっていることを掲載しました。

さらに、ロシアとしては、こうした国境溶解などにかなり脅威を感じていることを掲載しました。

このような状況のもと、日本はもともと対中宥和的で、アメリカのオバマが対中宥和政策をとれば、中国が海洋進出をして、傍若武人な振る舞いをすることは必然といっても良いです。尖閣問題もこうした流れの中で発生したものです。

しかし、日本では安倍政権が成立してからは、少なくとも対中宥和政策はとらなくなりました。

そんな中で、外交オンチのオバマは、対中宥和政策をとりつづけました。

オバマがもう少し早い時点で、尖閣は日本固有の領土であることをはっきり表明すれば、尖閣問題はあそこまで激しくならなかったことが考えられます。南シナ海についても同じことです。

こうしたオバマの煮え切らない態度に、アメリカ議会は黙認していることはできず、このブログ冒頭の記事が掲載しているように、対中強硬論に傾いているのだと思います。

日本の安部首相が中国を意識した安全保障のダイヤモンドを構築し、アメリカはオバマはともかく、議会が対中恐慌論に傾いている現在。これは、日本にとっては大きな外交上のチャンスかもしれません。

ブログの冒頭の記事では、「中国とロシアの両国が団結し、連帯して、米国に対抗する」などということはほとんど考えられません。まずは、過去においてはソ連が現在ではロシアは、中国に対して譲歩したということは一回もありません。

大国ロシアの復活を目論むプーチン

現在の中ロ国境は、比較的安定していますが、これは中国がロシアに一方的に屈辱的譲歩して定まったものです。今後暫くは、中国が軍事的にロシアの脅威になるような行動をしても、ロシアは何一つ譲歩することなく、中国を軍事的に屈服させることでしょう。

しかし、これも長くは続きません。今やロシアは日本のGDPの1/5、人口も日本より多少多い1億4千万人程度に過ぎません。その中でも支配者階層のロシア人の数は、日本人と同程度です。現状では、旧ソ連邦時代に築いた軍事技術などが中国を圧倒していますが、これから先はどうなるかはわかりません。

現在、ロシアと中国が強く結びつくということにでもなれば、ロシアは中国の属国になりかねません。ロシアは絶対にそのような道は選ばないでしょう。まずは、ロシアと中国の結びつきとは、表面上のことであり、現実的ではありません。これに関しては、昨日一昨日も掲載した中ロの接近は、「氷の微笑」に過ぎないとする、ルトワック氏の分析が的を射ているようです。詳細を知りたい方は、是非ご覧になって下さい。

ルトワック氏

さて、現状は、オバマが外交オンチではあっても、米国議会が対中強硬論に傾いている状況にあるわけです。それに、ロシアは中ロ国境の国境溶解に苦しみ、何とか打開策を探していますロシア以外の中国と陸並びに海で、国境を接する国々も中国の脅威が日増しに増大しています。

この状況は、良く考えてみれば、日本にとってはかなり有利な状況でもあります。日本は、安部総理の実行するアメリカなどに偏る外交ではなく、他の国々も含めた全方位外交が今後さらに効果を増すことになると思います。

今の日本は、対中強硬論のアメリカ議会を後ろ盾とすることができます。国境溶解に悩むロシアは、北方領土の交渉を続けるとしています。ロシアは、日本の経済援助を望んいます。そうして、経済が発展すれば、国境溶解に備えることができます。アジアにおいては、中国・韓国・北朝鮮以外の国々は日本の再軍備を望んですらいます。

この状況はかなり日本にとって良い状況であり、中国の脅威をはねのけ、アジアのリーダーになる可能性が高めるものでもあります。

しかし、残念ながら、ブログ冒頭の記事でも指摘しているように、以下のような状況にあります。
集団的自衛権をめぐる論議でも、肝心の外部の安保情勢ではなく国内の法的手続きを最優先しての内向きな攻防が続く。 
 多数の国家が絡み合ういまの世界の安全保障情勢の中で、日本だけが孤立して安全が高まるはずがない。防衛や安保の面での国際的な連帯や協調がいまほど重要な時期はない。それにもかかわらず、日本内部での集団的自衛権容認への反対論は、砂に頭を突っこむことで見たくない現実から目を背ける、ダチョウの平和を思わせるのである。
安全保障は、上の文章が示しているように国際的な連帯や協調が重要です。そうして、それだけではありません。

安全保障は、軍事力や国際的な連帯や協調だけではなく、金融・経済・外交が密接にからみあった、統合的なものてあり、これに対応するには統合的思考によらなければ、なかなか解決できるものでありません。海にだけ気を取られていたり、集団的自衛権や国内のことだけを考えていては何も成就しません。

世界は、複雑です。米中二極体制、G2などという考えはとうてい成り立たないものであり、これは中国の妄想に過ぎません。ただし、中国がこの妄想にふけり続ければ、過去のソ連と同じよう崩壊することになります。そこに日本がつけいる隙があります。そうして、今は日本がこれを最大限に活用できる絶好のタイミングにあります。安部総理はこれを狙っています。

能天気な平和主義は支那に一方的に利用されるだけです。実際、外交オンチのオバマは、宥和政策を中国に利用されてきました。日本の宥和政策も、過去には支那に貪り尽くされ、今もそうです。将来がそうであっては絶対になりません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】

歴史に学ぶ-(1)ミュンヘン会議(1938年9月29日~30日)、チェコスロバキア解体(1939年)

上念司「中国包囲網の決定打はモンゴル・トルコのランドパワー強化に在り!」―【私の論評】ソ連崩壊後、小国ロシアになってから国境溶解が顕著になり中国にとって軍事的脅威はなくなった!日本は経済援助を通じて中国と国境を接する国々のランドパワーを強化すべき(゚д゚)!




【関連図書】

国土と安全は経済(カネ)で買える~膨張中国包囲論~ (扶桑社新書)
上念 司
扶桑社
売り上げランキング: 505


中国を捨てよ (イースト新書)
石平 西村 幸祐
イースト・プレス
売り上げランキング: 7,046

国境 奪い合いの世界地図 (KAWADE夢文庫)

河出書房新社
売り上げランキング: 355,421


2014年5月28日水曜日

【上念司氏ツイート】北方領土で妥協可能 プーチン大統領、交渉継続表明―【私の論評】日本はロシアも外交カードの一つとして利用できる体制を整えよ、敵の敵は味方という部分もあることを心得よ(゚д゚)!


24日、ロシア・サンクトペテルブルクで、主要国の通信社代表らと会見するプーチン大統領
経済評論家の上念氏のツイートした元の記事を以下に掲載します。
 ロシアのプーチン大統領は24日、共同通信など主要国の通信社代表と北西部サンクトペテルブルクで会見し、日本との北方領土問題について、柔道の「引き分け」の精神を貫けば、双方の妥協による解決は可能との見解を示した。 
 プーチン氏は、ウクライナ情勢をめぐって日本が対ロ制裁を発動したことについて「驚いた」と不快感を表明。日本が「交渉のプロセスを止めた」と指摘する一方、ロシアには交渉の用意があるとも述べた。 
 米国主導の制裁に日本が同調した結果、日ロの領土交渉にも支障が生じたとの認識を明らかにしたとみられる。 
 プーチン氏はまた、平和条約締結後の歯舞、色丹2島の引き渡しを明記した1956年の日ソ共同宣言には両島の主権がどの国に属するか明記されていないと指摘、「それは交渉の対象だ」と述べた。 
 【私の論評】日本はロシアも外交カードの一つとして利用できる体制を整えよ、敵の敵は味方という部分もあることを心得よ(゚д゚)!

上の上念氏のツイート、これだけ読んでいると何のことかわからないという人もいると思います。そのため、ツイートの背景にある事柄などを解説します。

要するに、中国の最近の海洋進出は、ソ連が崩壊し、その後継者たるロシアが小国に成り果て、中ロの国境において、国境溶解とも呼べる状況に陥っていることを背景としているということです。国境溶解とは、シベリアなどで国境を超えて中国人が多く入り込み、そこで様々な産業に従事して、国境があるにもかかわらず、国境自体が不明瞭になっている状況をさします。

この国境溶解は、中国とベトナムなどのように中国と国境を接する東南アジアの国々でも起こっており、これらの国々では、元を商取引につかうなど、アジア人民元経済圏への移行途上にあり、軍事的にも金融的にも中国は優位にたっており、この優位性に立脚し、中国は海洋進出が容易にできる状況になっているということです。

これに関しては、昨日の私のブログ記事をご覧いただければ、ご理解いただけると思いますので、昨日のブログのURLを以下に掲載しておきます。
【西村幸祐氏FB】ルトワックはウクライナ危機でシナとロシアの接近は氷の微笑だと分析する。―【私の論評】東・南シナ海が騒がしくなったのは、ソ連が崩壊したから! 安全保障は統合的な問題であり、能天気な平和主義は支那に一方的に利用されるだけ(゚д゚)!
ルトワック氏

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では経済評論家の上念塚氏も主張しておられるように、中国の海洋進出を阻むには、中国と国境を接してる国々のランドパワーを増すことが緊急の課題であるということです。

ロシアもかつてのソ連の最盛期まではいかなくとも、経済発展などして経済的に余裕がでてくれば、中国の海洋進出を阻む勢力になるということです。

ロシアにかぎらず、中国と陸続きで接している国々のランドパワーが増すことが、中国の海洋進出を阻むことになるということです。

そうして、本日の産経の記事の、プーチン氏の北方領土で妥協可能 プーチン大統領、交渉継続表明は、まさにプーチンが、日本との関わりを強めようとしているのであり、シナとロシアの接近は氷の微笑に過ぎず、こういう背景から考えると、ロシアと中国が一体化するなど、あり得ないというルトウィク氏の読みは的中しているということです。

この記事は、日経新聞によるものです。この記事の結論には、ルトウィック氏の指摘ではなく、日経新聞の記者が意見を述べています。それは、以下のようなものです。
 では、日本はどうすればよいのか。中ロの結束が弱まれば、日本の選択肢は広がる。それでもロシアが対中外交で協力したり、領土交渉で譲ったりすると期待するのは禁物だ。  
 米政府当局者は「ロシアに過剰な期待を抱かないほうがいい。日本には戦中の経験もある」と語る。第2次大戦末期、日本の降伏が確実とみるや、ソ連は日ソ中立条約を一方的に破棄し、攻め込んできた。 
 ユーラシアの両雄はどこに向かうのか。日本は歴史の教訓をひもときながら、冷徹に次の一手を練るときである。
しかし、これははっきり言えば、中国の立場の代弁であり、ロシアが旧ソ連のように力をつけて特に、国境線で中国を脅かす存在にはなってもらいたくないという意思の表明でもあります。結局、日経新聞はなんだかんだといいながら、中国様の大の味方のようです。そもそも、ユーラシアの両雄などとロシアを語っています。もはや、小国に成り果てたロシアをさもさも、大国のように扱っており、これは何らかの意図を感じさせます。

今は小国になったロシアということを認識してない日経新聞(゚д゚)!写真はロシア国旗をデサインしたビキニ

この記事では、最後にこのように締めくくりました。
 日本としては、ロシアの出方、たとえば北方領土の問題を日本にとって良い方向に導くつもりがあるのかどうかを見極めながら、ロシアに対する援助などを見極めるべきです。 
もし、ロシアにはその気がないというのなら、ロシアを支援する分をモンゴル、トルコ、ベトナム、インドなどにまわし、これらの国々の国境固め、中ロ国境溶解をさらに進行するようにし中ロ両国を弱体化する方向に進めばそれで良いだけです。 
いずれにしても、日本としては、なるべく早くデフレから脱却して、経済的に余裕を持ち、日本の意図を成就できる体制に持っていくべきです。 
だから、デフレ下の増税などとんでもないことです。支那を利するだけです。 
上記のように安全保障は、軍事力だけではなく、金融・経済・外交・地政学が密接にからみあった、統合的なものてあり、これに対応するには統合的思考によらなければ、なかなか解決できるものでありません。目の前の海にだけ気を取られていたり、軍事力だけを考えていては何も成就しません。
プーチン氏としては、最近では国境溶解で国境付近では、中国に押される一方となったので、この状況を打開したいのですが、ウクライナ問題などで、最近ではEU諸国や、アメリカには大きな貸しをつくってしまったので、これらにはしばらく、交渉の余地はないわけです。

そうなると、北方領土という外交カードのある日本が唯一の頼みの綱です。だからこそ、プーチン大統領は、わざわざ今の時期に、 北方領土で妥協可能であり交渉継続表明を行ったということです。

さて、この状況日本にとってどうなのかといえば、私は、非常に良い状況に向かいつつあると思います。

ここしばらく、アメポチから完璧に脱することはできなくても、ロシアやその他の中国と国境を接する国々と交渉し中国の海洋進出の野望を砕く機会をうかがうことができます。外交オンチのオバマがこのことを理解できるできないかは別として、これは長い目でみれば、日米双方にとっても良いことでもあります。

うまくいけば、中国と国境を接する国々にとっても良いことですし、日本にとっても良いことです。

デフレを収束させなければ、安倍外交も水疱と帰する危険性がある(゚д゚)!

こんなところから、意外と日本は、戦後体制から脱却を目指すことができるかもしれません。私は、おそらくは安部総理はその道を目指していると思います。

ただし、結果として増税すら阻止できなかったことを考えると、まずは上記のことを実施するためにも、デフレを克服することを最優先すべきと思います。外交にだけ力を入れ過ぎると、足元が崩れ、第一次安倍内閣のようになりかねません。そうさせては、絶対にならないと思います。そうなると、日本は再度立ち上がることがかなり困難になると思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】


上念司「中国包囲網の決定打はモンゴル・トルコのランドパワー強化に在り!」―【私の論評】ソ連崩壊後、小国ロシアになってから国境溶解が顕著になり中国にとって軍事的脅威はなくなった!日本は経済援助を通じて中国と国境を接する国々のランドパワーを強化すべき(゚д゚)!

編集委員・田村秀男 能天気過ぎる対中「金融協調」―【私の論評】アジア人民元経済圏により日本は草刈場になる!!

旧ソ連と同じ罠にはまった中国、米国の仕掛けた軍拡競争で体力消耗―露メディア―【私の論評】ロシアの弱体化を吐露する記事、中国を封じ込めることと引き換えにロシアとの領土交渉を!!

【中国・ベトナム衝突】緊張高まる南シナ海 オバマ米政権、再均衡戦略の「決意」試される事態も―【私の論評】安部首相は、優柔不断オバマの尻を叩き、東シナ海で近隣諸国をも含む大合同演習を行い日本のアジアにおけるプレゼンスを増すべきだ(゚д゚)!

【関連図書】

国土と安全は経済(カネ)で買える~膨張中国包囲論~ (扶桑社新書)
上念 司
扶桑社
売り上げランキング: 505


中国を捨てよ (イースト新書)
石平 西村 幸祐
イースト・プレス
売り上げランキング: 7,046

国境 奪い合いの世界地図 (KAWADE夢文庫)

河出書房新社
売り上げランキング: 355,421

2014年5月27日火曜日

【西村幸祐氏FB】ルトワックはウクライナ危機でシナとロシアの接近は氷の微笑だと分析する。―【私の論評】東・南シナ海が騒がしくなったのは、ソ連が崩壊したから! 安全保障は統合的な問題であり、能天気な平和主義は支那に一方的に利用されるだけ(゚д゚)!

【西村幸祐氏FB】ルトワックはウクライナ危機でシナとロシアの接近は氷の微笑だと分析する。


【私の論評】東・南シナ海が騒がしくなったのは、ソ連が崩壊したから! 安全保障は統合的な問題であり、能天気な平和主義は支那に一方的に利用されるだけ(゚д゚)!

ジャーナリストの西村氏がFBでシェアした、日経新聞のこの記事、現在の中国に対する対抗策を考える上でかなり参考になります。

ルトワック氏の分析は秀逸です。ルトワック氏の他の分析(中国崩壊の必然)についてもこのブログに掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。ここでは、その詳細については触れません、詳細を知りたいかたは是非ご覧なって下さい。
米海軍幹部、自衛隊にNATO加盟国並みの役割期待― 【私の論評】自滅する現中国の現実を見つめよ!現中国は、モンゴル帝国の末裔であり漢民族の中国は唐の時代に滅んでいることを(゚д゚)!
ルトワック氏

西村氏が語っておられるように、この日経の記事珍しくまともな記事です。ただし、この記事は、大部分が取材記事のようであります。間違って、掲載してしまったため、今頃この記事を書いた記者や、人民日報、いや間違えた日経新聞は中国様から大叱責を受けているかもしれません。

ただし、裏の裏を読めば、これは憶測にすぎませんが、中国としてはロシアが再び経済成長して中国を脅かすような存在になっては困るため、このような記事を日経に掲載させ、日本がロシアに肩入れして、経済援助して再びロシアがソ連時代のように中国を脅かす存在になることを牽制するという意味あいがあるのかもしません。

現在のロシアは小国(人口は、日本と同程度、GDPは日本の1/5)に成り果てたことは、このブロクで何回も掲載しました。その典型的な記事のURLを以下に掲載します。
上念司「中国包囲網の決定打はモンゴル・トルコのランドパワー強化に在り!」―【私の論評】ソ連崩壊後、小国ロシアになってから国境溶解が顕著になり中国にとって軍事的脅威はなくなった!日本は経済援助を通じて中国と国境を接する国々のランドパワーを強化すべき(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、大帝国ソ連崩壊後を継承した小国ロシアは、中ロ国境の国境溶解(シベリアへの中国人の進出による国境が不明確になる現象)にかなりの脅威を感じていることを掲載しました。

だから、上のルトワック氏は、中ロの接近は氷の微小であるとしているのです。私もそう思います。

そうして、ロシアの弱体化により、中国はかつてのようにソ連との国境線上に軍隊を配置するなど、ソ連の脅威に備える必要はなくなったため、今日の中国は海洋新進出ができるということです。

かつての中ソ国境紛争の係争地だった黒瞎子島は今では観光地になっている

これに対処する策として、経済評論家上念氏は、中国と国境を接する国々が経済成長をして、ランドパワーを強化することが有効であることを主張していました。

強面ロシアは、ウクライナではかなり強気にでているようにもみえますが、ロシア側の立場たてば、ウクライナが完璧に西側に落ちてしまえば、西側でも国境溶解がはじまりとんでもないことになるとの脅威からあのような行動にでたものと思います。

国境溶解は、中ロ国境だけではなく、いろいろなところで生じています。

特にベトナムとの国境など、東南アジア諸国と中国の国境付近では中国元が流通しており、それが商売の決済につかわれていたりします。アジア人民元経済圏が築かれてしまえば、とんでもないことになります。

これについても、以前このブログに掲載したことがあります。そのURLを以下に掲載します。
編集委員・田村秀男 能天気過ぎる対中「金融協調」―【私の論評】アジア人民元経済圏により日本は草刈場になる!!
これも、詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、野田政権のときに、対中「金融協調路線」をとったことに対する産経新聞の田村氏による批判について掲載したものです。

以下に田村氏の批判に関する部分を以下に掲載します。
日本の「お人よし」ぶりには目を覆う。野田佳彦政権はこの6月、人民元にとって初めての海外通貨との直接取引に応じ、人民元のアジア標準通貨化に手を差し伸べた。沖縄県尖閣諸島の国有化に対して、執拗(しつよう)で理不尽、国際法を無視した共産党主導の反日暴力デモによる日本企業破壊にもかかわらず、野田政権は中国との通貨スワップや円・人民元の直接取引拡大、中国国債の購入、人民元建て債券市場の育成などに協力する。目先の利益にばかり目を向け、中国のアジア通貨覇権を後押しする能天気ぶりである。 
もともと、円はドル、ユーロに次ぐ国際通貨として認知され、企業も旅行者も世界の主要国のどこでも円で支払い、モノやサービスを購入できる。国債、社債、株式など円建ての金融資産は国際的に出回っている。 
ところが、円建て貿易決済は主に本国と海外現地法人の間など日本企業同士に限られ、多くは依然としてドル建て決済である。他通貨に比べて大きく変動する円は日本企業ばかりでなく海外の企業や政府にとってもリスクが大きく、地域の標準通貨としては人為的に相場変動を管理、抑制する人民元に比べて巨大なハンディを背負っている。
このまま東アジアが人民元にのみ込まれてしまうと、日本の企業、金融機関とも人民元を手にしていないとアジア全域でビジネスができなくなる。中国共産党が指揮する人民元政策に翻弄(ほんろう)され、服従を余儀なくされる。経済の弱体化に伴い、日本は外交、安全保障面で不利になる。 
野田政権が今すぐとれる対抗策はある。人民元の自由変動相場制への移行を対中金融協調の条件とせよ。人民元相場の操縦に批判を強める米国などと水面下でスクラムを組んで、北京と対峙(たいじ)する。IMF・世銀総会はその絶好の場なのだ。
各国との国境溶解やアジア人民元経済圏への移行途上であるという事実に後押しされているのが、中国の海洋進出というわけです。であれば、これらの国境溶解をなくしてしまえば良いわけです。そのためには、中国と国境を接する国々が経済発展をして、軍備などを増強して、国境溶解を食い止め、アジア人民経済圏を粉砕すれば良いわけです。

しかし、上の日経新聞の記事の末尾は以下のように締めくくられています。
 では、日本はどうすればよいのか。中ロの結束が弱まれば、日本の選択肢は広がる。それでもロシアが対中外交で協力したり、領土交渉で譲ったりすると期待するのは禁物だ。 
 米政府当局者は「ロシアに過剰な期待を抱かないほうがいい。日本には戦中の経験もある」と語る。第2次大戦末期、日本の降伏が確実とみるや、ソ連は日ソ中立条約を一方的に破棄し、攻め込んできた。
 ユーラシアの両雄はどこに向かうのか。日本は歴史の教訓をひもときながら、冷徹に次の一手を練るときである。(編集委員 秋田浩之)
この部分はルトワック氏の主張ではありません。秋田浩之なる人物の意見です。米政府当局者などとして、名前も伏せています。要するに、ロシアは信用出来ないということを言いたいようです。

しかし、これはうがった見方をすれば、日本がロシアに経済援助をして、再びロシアのランドパワーを増すことを牽制しているという見方もできます。要するに、日経新聞はいずれに転んでも、中国様の味方なのかもしれません。

日本としては、ロシアの出方、たとえば北方領土の問題を日本にとって良い方向に導くつもりがあるのかどうかを見極めながら、ロシアに対する援助などを見極めるべきです。

もし、ロシアにはその気がないというのなら、ロシアを支援する分をモンゴル、トルコ、ベトナム、インドなどにまわし、これらの国々の国境固め、中ロ国境溶解をさらに進行するようにし中ロ両国を弱体化する方向に進めばそれで良いだけです。

いずれにしても、日本としては、なるべく早くデフレから脱却して、経済的に余裕を持ち、日本の意図を成就できる体制に持っていくべきです。

だから、デフレ下の増税などとんでもないことです。支那を利するだけです。

上記のように安全保障は、軍事力だけではなく、金融・経済・外交が密接にからみあった、統合的なものてあり、これに対応するには統合的思考によらなければ、なかなか解決できるものでありません。海にだけ気を取られていたり、軍事力だけを考えていては何も成就しません。

昨日も、ベトナムの漁船が中国によって沈没されたばかりです。日本は、軍事力、金融、経済、外交を縦横無尽に駆使して、支那の傍若無人な海洋進出を阻止しなければなりません。残念ながら、政治家がほとんど白痴化してしまった今、それができるのは安倍総理だけです。

能天気な平和主義は支那に一方的に利用されるだけです。過去にはこれは、支那に貪り尽くされ、今もそうです。将来がそうであっては絶対になりません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】

上念司「中国包囲網の決定打はモンゴル・トルコのランドパワー強化に在り!」―【私の論評】ソ連崩壊後、小国ロシアになってから国境溶解が顕著になり中国にとって軍事的脅威はなくなった!日本は経済援助を通じて中国と国境を接する国々のランドパワーを強化すべき(゚д゚)!

編集委員・田村秀男 能天気過ぎる対中「金融協調」―【私の論評】アジア人民元経済圏により日本は草刈場になる!!

旧ソ連と同じ罠にはまった中国、米国の仕掛けた軍拡競争で体力消耗―露メディア―【私の論評】ロシアの弱体化を吐露する記事、中国を封じ込めることと引き換えにロシアとの領土交渉を!!


「沖縄は日本が武力併合」中国共産党機関紙が論文―【私の論評】歴史地図と長期国家戦略地図が示す、侵略国家中国!!弱れば、攻めこまれ領土を奪われるだけ!!



【関連図書】

国土と安全は経済(カネ)で買える~膨張中国包囲論~ (扶桑社新書)
上念 司
扶桑社
売り上げランキング: 505


中国を捨てよ (イースト新書)
石平 西村 幸祐
イースト・プレス
売り上げランキング: 7,046

国境 奪い合いの世界地図 (KAWADE夢文庫)

河出書房新社
売り上げランキング: 355,421


2014年5月26日月曜日

ピケティ氏の陰鬱な「資本論」 ウォール街に警戒―【私の論評】日本はピケティ氏からみれば、理想の国! 余計なことをせず、デフレから脱却しさえすれば日本が世界で一番繁栄する国となるだろう(゚д゚)!

ピケティ氏の陰鬱な「資本論」 ウォール街に警戒

日経新聞米州総局編集委員 西村博之

21世紀の資本論

 「エコノミスト界のスター」「新たな経済学の伝道者」「現代のマルクス」「いま最も熱い思想家」。呼び名は、さまざまだ。富の集中は資本主義の必然――。そう訴える大著が、米国で一大旋風を巻き起こしているフランス人経済学者がいる。米経営者の巨額報酬もやり玉にあげているだけに、ウォール街は神経をとがらせている。

ベストセラーになったピケティ氏の「21世紀の資本論」。米国では、売れ切れも相次ぐ(ニューヨーク市マンハッタンの書店)

■クルーグマンも絶賛

 そんな“時の人”が講演のため先月ニューヨークにやってきた。場所はウォール街にも近いニューヨーク市立大の施設。報道関係者も含め400人近い聴衆が集まった講堂は、熱気に包まれていた。

 壇上には、クルーグマン・プリンストン大教授とスティグリッツ・コロンビア大教授の2人のノーベル経済学者も並ぶ。だが聴衆の耳目が注がれたのは傍らに座る若干43歳、端正な顔立ちのピケティ氏だ。

 「いま街一番の人気チケット」。大学幹部が講演への関心の高さをそう紹介したあと、ピケティ氏はフランス語なまりの流ちょうな英語で、自著の中身を熱っぽく語り始めた。

 ピケティ氏の著書は、大きく3つの部分からなる。まず、ここ数世紀にわたる、主に米欧での経済格差の歴史。第2に、今後の見通し。そして、格差是正への処方箋だ。

 ピケティ氏の主張の中核をなすのは、「R>G」という数式だ。資本からの収益率(R)は、経済成長率(G)よりも大きいとの指摘。株式などへの投資で得られる利益は、労働から得られる賃金を上回る、と言い換えてもいい。だから、資本をもつ人々の富は雪だるま式に膨らむ一方、それ以外の人々は取り残され、経済の格差はひたすら広がる。これが資本主義の宿命である、との悲観的な見方を示す。

ピケティ氏の書籍が山積みにされた書店
  スティグリッツ教授や、ライシュ・カリフォルニア大教授など、多くのリベラル派経済学者は、研究を熱烈に支持した。

 一方、保守派の経済学者からは、批判が相次いでいる。ハーバード大のロゴフ教授は、「グローバルな富裕層課税などは施行に多くの問題があるし、政治的にも現実味がない」と批判。同大のフェルドシュタイン教授は、研究で使われた課税所得のデータは税制改正などの影響を加味しておらず、格差への解釈をゆがめていると指摘。「格差が永遠に広がり続けるとの結論は飛躍であり、誤りだ」と反論した。

■サマーズの疑念

 同書には一長一短がある、とみる経済学者も、保守・リベラルの両陣営で目立つ。ハーバード大のマンキュー教授はピケティ氏が示す予想や処方箋には疑念を呈しつつ、格差の歴史分析は「大きな貢献」と評価。エール大のシラー教授も「課税強化をめぐる議論は弱い」としながら、格差の力学の解明には賛辞を贈った。

 専門家の間で、特に目を引いたのはサマーズ元財務長官による批評だ。資本が生む利益が、労働の報酬を上回り続けるとの理屈に、本質的な疑問を呈している。主な指摘は、こうだ。

 ・資本がどんどん蓄積するにつれ、追加の資本投入によって生まれる利益は減るはず

 ・特に設備などの価値が時間とともに低下する減価償却を含めた「正味」でみて、資本が蓄積し続けると言えるだろうか

 ・むしろ、格差の根っこの原因は、グローバル化や、技術の発展。機械化が進めば、賃金(労働)よりも資本(設備)に利益が向かうのは当然

 ・資本が生んだ利益が、すべて再投資されるわけでない。富裕層はお金を使うので、ピケティ氏の言うほどに富は蓄積しない

 それにしても、同氏の著書がここまで米国で注目を浴びるのはなぜか。金融危機後の“時代精神”のせいだ、との声が多く聞かれる。

 2008年の金融危機の発生で、伝統的な経済学への懐疑が広がった。しかも、その後も、経済は振るわない。ピケティ氏自身が著書で述べているように、格差問題は高成長時には見逃されても、経済の停滞時には深刻な問題として認識される。

 過度な富の集中で、民主主義が揺らぐのではないかとの懸念も米国では広まっている。最近は「米国は寡頭政治に陥った」とするプリンストン大教授らの論文が大きな議論を呼んだ。経済エリートや、利益団体が独占的に政策を左右しているとの指摘だ。「資本主義は民主主義の奴隷であるべきだ」と主張するピケティ氏の主張が、多くの米国人の琴線に触れた面もあるかもしれない。

■スーパー経営者やり玉

 ピケティ氏は著書で、こうした「スーパー経営者」の「スーパーサラリー」が米国での格差拡大の主因だと主張している。経営者が巨額の給与のほか、ストックオプションなどを通じて受け取った株式や、その値上がり益、配当などによって資産を加速度的に膨らませているとの分析。その上で、経営者のこうした巨額報酬を正当化するための生産性の計測はできず、報酬額は「きわめて気まぐれに」決められていると喝破する。

 ウォール街は、反撃を始めている。

 多くの大手ファンド幹部らが理事に名を連ねる保守系シンクタンクのアメリカン・エンタープライズ研究所のペソコウキス氏も、「ピケティ氏のソフトなマルクス主義が知識層に広がり、政治経済の政策論争の光景を一変させかねない」と危機感をあらわにした。

 ウォール街のエコノミストらは、どう考えるのだろう。探すとゴールドマン・サックスが、今年2月のリポートで格差問題の影響を分析し、過去のピケティ氏の論文に触れていた。格差が、中間層の購買力を弱め成長の足を引っ張るとの議論に対し、そうした証拠は見あたらないと指摘。格差そのものについても、今後は改善傾向をたどるとの見方を示している。JPモルガンも、格差問題を論じた最近のリポートで、同様の予想を示している。

 ピケティ氏が見通す陰鬱な未来。心配無用というウォール街。どちらが正しいか判明するのは、ずっと先。だが前者が正しかったとき、もはや打つ手が限られるのは間違いない。米国は、フランスからの警句をどう生かすのだろうか。

上の記事は要約記事です。この記事の詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】日本はピケティ氏からみれば、理想の国! 余計なことをせず、デフレから脱却しさえすれば日本が世界で一番繁栄する国となるだろう(゚д゚)!

上記の西村博之氏の記事、非常にまともです。日経新聞にも、このような記者もいるということは驚きでした。ただし、この方の記事あまり読んだことがないので、何ともいえません。アメリカのことを書くときには、まともなのかもしれませんが、日本国内のことを書くときには途端におかしくなるのかもしれません。

とにかく、私は日経新聞の特にマクロ記事に関してはほとんど信じていません。99%間違いであると今でも思っています。日経新聞を読むと、特に日本のマクロ経済が良くわからなくなります。

西村博之というと、私はあの「2ちゃんねる」の創立者西村博之氏を思い出してしまうのですが、そうではないようです。

ちなみにピケティのこの著書については以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
ポール・クルーグマン「ピケティ・パニック」---格差問題の言及者に「マルクス主義」のレッテルを貼る保守派はこれにまっとうに対抗できるのか?―【私の論評】中国のように格差を容認する国がどうなったか、これからどうなるのか?先進国は過去どのようにして豊になったのかもう一度真摯にみなおすべき(゚д゚)!
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、このまま、格差を放置しておくと、いずれとんでもないことになるというピケティ氏の主張に、クルーグマン氏は、大絶賛しています。

ポール・クルーグマン氏といえば、過去には格差問題でブッシュ政権を辛辣に批判してきました。

アメリカでは、ブッシュ政権末期の10年本当に経済一辺倒で社会がないがしろにされてきました。金融馬鹿や、賭博師だけが優遇され、何と国民の9割が自分は負け犬か、敗残者であると評価するまでになっていました。こうした風潮に対して、ノーベル経済学賞を昨年受賞したポール・クルーグマン氏は経済誌などに辛らつな論文を掲載するなどして、徹底的にブッシュ政権を批判してきました。

社会がなおざりにされてきて、すっかり疲弊して嫌気のさしたアメリカ国民は、オバマ大統領という選択肢を選びました。だからこそ、オバマ氏は就任直後には政策の大きな柱として、社会改革にのりだしました。その中でも目玉は、医療保険改革を本気で実施するということでした。しかし、これもかなり抵抗勢力が大きく、なかなかうまくいってはいないようです。

それにしても、アメリカの場合はまさにピケティ氏の批判があてはまります。投資銀行の経営者の数字が天文学的であったり、その経営者と称するものも、サブ・プラムローン問題などで、とんでもない連中であることが白日のもとにさらされました。

あの金融工学などという、現代の錬金術を駆使て、大儲けするつもりだったが、大失敗しました。そうして、金融工学や、サブ・プライムローンの内容たるや、とんでもないものであることがわかりました。あの程度の、少し考えればわかるようなことも理解できなかった、金融馬鹿や賭博師どもが、スーパー経営者の正体でした。

こんな馬鹿共が、天文学的な報酬をもらうなど、全くおかしな話です。

アメリカでは、ピケティ氏の主張はしっかりとあてはまると思います。あとの西欧諸国でもあてはまるところも多いです。

ピケティ氏
しかし、私たちはあのマルクスの「資本論」の大失敗を思い起こすべきです。ただし、私は、ウォール街の意見が正しいなどというつもりは全くありません。

マルクスの「資本論」大失敗は、あの書籍が書かれた当時のドイツにあてはまることを、時代も場所も超越した理論ということで一般化してしまったことです。その災厄たるやとてつもないことになりました。それは、共産主義黒書など読めば良くわかります。

私は、ピケティ氏の「資本論」もそうなる可能性があると思います。ただし、マルクスの資本論のようなことにはならないと思います。

しかし、ピケティ氏の資本論をそのままあてはめてもらっては困る国もあります。それは、日本です、日本は、格差社会などといわれていた時期もありますが、格差社会の根本原因はデフレです。日本がデフレでなければ、あのような格差状況は生まれていなかったと思います。

それに、日本では格差などといっていますか、あのようなこはアメリカあたりではあたり前のことで、特に珍しいことではありません。

日本の場合だと、アメリカのようなスーパー経営者はいないです。確かに高給とりの人もいますが、アメリカのような文字通りの天文学的な報酬をもらうような人はまずいないです。

アメリカの税制はもともと狂っていますから、ピケティ氏のようにかなり大きな累進課税をかけるということが望ましいと思います。一方日本の場合は、そもそも累進課税もきつく、貧富の差は日本国以外の国々と比較すると少ないです。そもそも、相続税も高く、さらに来年からは税率もあがります。

こんな国で、あまり格差の縮小をやってしまうととんでもないことになると思います。日本は、だいたい今のままで良いと思います。

ただし、現在はデフレですから、このデフレをはやく解消するためには、まずは実質増税などはやめる手立てとして、所得税減税など行い、さらに給付金政策も実行すべきです。公共工事など財政政策は、現状では公共工事の提供制約があるので、効率が悪いです。そんなことをするくらなら、再販分的な所得税減税、給付金政策を実行すべきです。

そうして、デフレから脱却できれば、そのような政策は、すぐに中止すればよいのです。これで、デフレが解消されれば、日本は格差の少ない、ピケティ氏が理想とするような国になるわけです。

一方、中国は格差問題があまりに大きすぎて、近いうちに崩壊するでしょう。アメリカも近年、格差が容認されているようなところがありますから、これも衰退していくでしょう。

そうなると、日本が今後世界で一番発展する国になるかもしれません。何しろ、日本のように格差のない社会はありません。ということは、ピケティ氏の主張からすると、日本以外を除く世界の国々は、ピケティ氏が見通す陰鬱な未来を迎えることになり、日本だけが繁栄することになるかもしれません。

ただし、一つ懸念があります。日本のでは政治家の白痴化が著しいので、ピケティ氏の書籍がでたりして、アメリカや西欧で格差の是正が広まるますさにその最中に、日本では格差を助長するような政策などやり始めるのではないかということです。

ゆとりの教育などはその典型例ですし、増税にしたって、イギリス、イタリア、スペイン、ポルトガルが増税して大失敗ということが明るみに出ているのに、このような事実など無視して決まりました。

日本の多くの白痴政治家や、マスコミ、その他の識者などが、格差の拡大を促すような政策を導入するようなキャンペーンをはるかもしれません。

そのような場合には、私たちは、こうしたフランス人著書のことや、アメリカの流れなどもきちんと把握しておき、いざというときには格差助長政策などに反論できるようにしておくべきです。そうでないと、10%増税なども導入され、さらに格差助長政策も導入とされ、とんでもないことになるかもしれません。今の日本の多数の白痴政治などみていると、一歩間違うとそうなる危険もあります。

いずれにしても、ピケティの「資本論」に関しても、時代や場所が変われば、柔軟にその時々で変えて適用するのが最上の策と思います。かつてのマルクスの「資本論」のような教条主義的な適用は間違いです。そのようなやり方、考え方をするのが真性保守だと私は思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】



若者雇用戦略のウソ―【私の論評】雇用と中央銀行の金融政策の間には密接な関係があることを知らない日本人?!




【関連図書】


Capital in the Twenty-First Century
Capital in the Twenty-First Century
posted with amazlet at 14.05.19
Harvard University Press (2014-03-10)


若者は本当に右傾化しているのか
古谷経衡
アスペクト
売り上げランキング: 6,598
保守の心得 (扶桑社新書)
posted with amazlet at 14.05.19
倉山 満
扶桑社
売り上げランキング: 6,637

2014年5月25日日曜日

【村上尚己氏ツイート】こういう低品質の戯言を展開するメディアこそ競争力に欠ける―【私の論評】鳥頭の日経新聞はおしまいか?これは、バミューダトライアングルとパンの危険性と同じ程度のヨタ話ですぐにバレる内容ではないか(゚д゚)!

【私の論評】鳥頭の日経新聞はおしまいか?これは、バミューダトライアングルとパンの危険性と同じ程度のヨタ話ですぐにバレる内容ではないか(゚д゚)!

上の村上氏のツイート、日経新聞の記事ことを低品質の虚言と、切り捨てています。

私も全く同感です。

この記事のURLと冒頭の出だしの部分のみ以下に掲載します。
(上)デフレが育てた競争力 強い商品、世界で稼ぐ
 日本の企業収益が未踏の領域に入る。2015年3月期は経常利益が2%増え7年ぶりの最高益をうかがう。前期あった円安効果が消え、消費増税の影響も警戒されるため現時点の予想増益率は控えめだが、経営者の胸には期するものがある。デフレ下で鍛えた「強い製品」が世界で活躍し利益を伸ばす見通しだ。 
 「お客様にお待ちいただく状況が続き申し訳ない」。富士重工業の吉永泰之社長は決算記者会見で「陳謝」した。前期は米国販…
このタイトルと、出だしをみただけで、この記事は全く読むに値しない、低品質の戯事だということがわかります。

まさしく、村上氏がツイートしておられるように、デフレ・円高のせいで、日本企業の無駄な淘汰が起きてしまったのであり、デフレ・円高でなければ、日本企業はもっと素晴らしい業績をあげらたはずです。

デフレまっただ中のときに、日本企業はどのような状況であったのか、このブログでも過去に掲載したことがありますので、その記事のURLと一部をコピペさせていただきます。
増税と円高政策で「製造ニッポン」は壊滅寸前。1万9000社に迫る「為替デリバティブ倒産」の危機―【私の論評】まともな金融政策で、さっさと円高・デフレを終わらせろ!!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事は平成12年のものです。まだ記憶にも新しく、まだ2年はたっておらず、わずか1年と数ヶ月前の記事です。

 絶体絶命のピンチを迎えたシャープは、なりふり構わぬリストラと台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業との資本・業務提携、及びそれを条件とした銀行支援で、なんとか乗り切ろうとしている。 
 危機の原因については、既に多くの指摘がなされている。 
 「液晶のシャープ」にあぐらをかいた過剰な設備投資、町田勝彦相談役(今年4月まで会長)と片山幹雄会長(同社長)との葛藤、市場重視で銀行無視の資本政策、業績の下方修正を繰り返して平気な無責任経営・・・。 
 自力再生が困難となった今、何を指摘され、何を批判されても仕方あるまい。 
 ただ、一方で、シャープ単体を攻撃するだけでは問題は解決しない。 
 苦境に喘いでいるのはシャープだけではない。ソニーやパナソニックといった家電大手も、倒産したエルピーダメモリのような半導体メーカーも、円高の前に戦意を喪失させられた。 
 リーマンショック後、韓国ウォンは対ドルで2割安くなり、円は対ドルで4割高くなった。都合6割の為替要因を跳ね返して韓国サムスンに勝てるわけがない。 

当時のシャープのリストラ策

・・・・・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・・ 

 実は、この構造不況からの脱出には、処方箋がある。 
 米経済学者のポール・クルーグマンは、最近、上梓した『さっさと不況を終わらせろ』のなかで、「不況期には財政政策と金融政策の二つを大胆に発動せよ!」と、繰り返し述べている。話を金融政策に限れば、大胆に金融緩和、円の流通量を増やし、相対的な円安に持って行けばいい。 
 日銀批判の急先鋒の高橋洋一・嘉悦大学教授は、「5年前の1ドル=120円、せめて100円くらいの為替レートにすれば、国際市場で活動する日本企業は復活できる」(『夕刊フジ』8月24日付)と書く。 
 相対的な円安に持っていくことができれば、シャープもソニーもパナソニックも海外メーカーと互角に戦え、しかも為替デリバティブに悩む中堅・中小企業も激減する。 
 処方箋は明らかだが、健全財政の財務省は野田佳彦首相を口説いて「不況下の増税」を達成、日銀は白川方明総裁のもと円高政策を継続する。 
 政局にしか興味のない政治家の体たらくもあって、このままでは日本は、奈落の底に落ちるしかない。
こんな状況であったことをもう、日経新聞は忘れているのでしょうか。そんなはずはないと思います。もし本当に忘れてしまってるとした、頭の悪い鳥頭とよぶしかありません。

デフレと円高で日本企業がどれだけ苦しんだことか(゚д゚)!それにしても、もし13年度4月から黒田日銀による異次元の包括的金融緩和がなければ、この記事のように本当に1万9000社におよぶ「為替デリバティブ倒産」に至った可能性が大です。

以上を前提として、この日経新聞の記事の間違いを掲載します。

デフレと国際競走力とは、全く関係がありません。そんなのは、国際競争力のある国がデフレであるかどうかをみれば判ります。まず、国際競争力のある国で、過去15年間もデフレであった国は、一国たりともありません。

国内が日本のように深刻なデフレであれば、どうしても通貨高になりがちです。そんなのは、あたり前のど真ん中です。なぜなら、デフレというのは純然たる貨幣現象であり、本来あるべき通貨が足りなくて、デフレになっているわけです。

あれだけのデフレ・円高でこの程度に国際競争力を維持できた日本は素晴らしすぎる。デフレが解消すば、
ダントツの世界一になるのはあたり前のど真ん中。おそらく、他をかなり引き離しての第一位になることだろう。

デフレは、日本語でいうと、通貨縮減であり、インフレは通貨膨張です。まさに、この漢字の文字そのままです。それだけです。何も難しいことはありません。デフレは通貨が足りないだけの現象で、人口減少とか、国際競争力とか、その他のこととは何の関係もありません。

デフレで、通貨が少ない、しかし他国はそんなことはなく通貨が普通に流通していれば、通貨の少ない国の貨幣の価値が相対的に高くなるのはあたり前で、通貨高、日本でいえば、円高になるのは当然のことです。そうして、このデフレ・円高と国際競争力とは全く関係ないということは自明の理です。

小学生でもわかる理屈です。こんな馬鹿なことを主張する人たちのことを揶揄(からかう)ため、以前おかしな話を掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
建設業、供給制約解消のために「工事単価値上げ」はまやかし?年収格差拡大で建設投資増?―【私の論評】景気対策は虚心坦懐に事実に基づいたバランスのとれた行動が重要!いずれにせよ、デフレ下で増税するなど全く問題外!馬鹿な政治家どもは、猛省せよ(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、上念氏この記事の元記事で以下の様に語っています。
「バミューダトライアングルでは年間100隻の船が行方不明になっている」という主張は、いまだにバミューダトライアングルが危険だとアピールするのが目的だ。しかし、ここを通過する船が年間約15万隻であり、比率で見ると他の海域と変わらない。後者を伏せて前者だけ言うのはデマである。ちなみに、行方不明になった船のほとんどが、のちに発見されている。
上念氏がなぜこのようなことを掲載したかといえば、結局以下のようなことを言いたいのと、数字を使ったまことしやかなトリックであることを強調するためです。
最近インターネット上で吹聴されている「2009年、建設業に従事する生産労働者(現場で働く人)の年収は全産業平均より70万円安い」という主張は、そのせいで労働者が集まらず供給制約が生じているとアピールするのが目的だ。しかし、その年収の差は実を言うと1987年からずっと続いている。しかも、その金額は正確にいうと100万円以上なのだ。結論から申し上げると、この年収差の主な原因は建設業の生産労働者に占める中卒、大卒の比率は高いため、それが年収に反映される「学歴バイアス」の可能性が高い。この事実を伏せて、「建設現場で働く人の年収は、」と吹聴するのはデマである。
このことの是非はひとまず置くとして、ここでは詳細は説明しません。どうしてもこの内容を詳細に知りたいかたは、是非この記事をご覧なって下さい。

この「バミューダトライアングル」と似たような与太話は他にもあります。昨年あたり、とても面白い、アメリカンブラックジョークを発見しましたので、以下にそれを掲載します。

パンは危険であるというジョークです。
1)犯罪者の98%はパンを食べている   
2)パンを日常的に食べて育った子供の約半数は、テストが平均点以下である  
3)暴力的犯罪の90%は、パンを食べてから24時間以内に起きている 
4)パンは中毒症状を引き起こす。被験者に最初はパンと水を与え、 後に水だけを与える実験をすると、2日もしないうちにパンを 異常にほしがる 
5)新生児にパンを与えると、のどをつまらせて苦しがる   
6)18世紀、どの家も各自でパンを焼いていた頃、平均寿命は50歳だった 
7)パンを食べるアメリカ人のほとんどは、 重大な科学的事実と無意味な統計の区別がつかない  
8) 被験者100人に、1人につきパンをひとつだけ与え て 一か月間生活させると、一人だけしか生き残らなか った。
おそらく、このジョークを最初につくった人は、世の中にはこうした欺瞞が多くあることを多くの人々に認識してもらいたいという理由で作ったのだと思います。

多くの人は、特にアメリカの人は、日々パンを食べていては危険ではないということを知っているから、これは変な話だと思うのでしょう。しかし、これがパンでなくて、あまり多くの人々が詳しくないものや、ことであった場合どうなるかということで、非常に意義深いものと思います。

おそらく、バミューダ・トライアングルの話よりもこちらのほうがわかりやすいと思います。バミューダトライアングルの話だと、上念氏の語るように語っても、中には本当には理解しない人もいるのではないかと思います。

しかし、アメリカ人の場合は、パンが日々の生活に不可分に結びついているので、これは理解しやすいでしょう。日本人でも、このジョークは十分に理解できるとは思いますが、このパンの部分を米と置き換え、アメリカ人を日本人に置き換えるともっと判りやすいと思います。実際、置き換えてみる「米は危険である」というジョークも成り立つことがわかります。

上の日経新聞の、「デフレが育てた競争力 強い商品、世界で稼ぐ」という記事は、まさに上のバミューダトライアングルとパンは危険であるとジョークとほとんど同じです。

ジョークで掲載するというのならわかりますが、真面目に掲載したとしても、一体幾人の人が真に受けるというのでしょうか?少し前には、デフレであれだけ苦しんだ人が多いのに、そんなにすぐに忘れるような人はいないと思います。にもかかわらず、このような記事を掲載する日経は、もうおしまいです。もう、メディアとして競争力はありません。

上の記事は、デフレでも増税という主義の財務省があげた観測気球記事かもしれません。あるいは、背後に支那がついているのかもしれません。それにしても、日経新聞はほんの少し前まで、自殺者3万人台というとんでもない塗炭の苦しみを多くの人びとに追いやったデフレの惨禍をもう忘れてしまっているのでしょうか?

こんな馬鹿話には、多くの人がのらないでしょうが、しかし、現実にはこの程度のことに大勢の人がのってしまった事例が身近にあります。

それは、古くは、日米開戦です。日米双方の多くの人びとが、元をただせば上記のヨタ話程度の話にのってしまい、双方とも戦う必要もなく、戦ってしまいました。両国にとって、本当に戦うべき敵は、ソ連でした。第二次世界大戦で一番得をした国は、ソ連でした。米国は、多くの人が思っているようには、得はしていません。ついでにいうと、一番損をした国はイギリスでした。

しかし、こうした話も、ソ連などの情報操作によって、完全に糊塗されて、今では多くの人が知りません。ある意味、本当に恐ろしいことです。

最近の事例では、いわずと知れた今年4月からのデフレの最中での消費税増税です。この消費税増税、政治家も多くの国民もなせが「やったほうが良い」という空気に流されて、結果として増税されてしまいました。

これは、多くの人が、バミューダトライアングルの危険性を信じてるのと似ています。結局根も歯もない話でも、巧妙に何回も、しかもいくつものストーリーでいわれると、暗示にかかってしまうように信じてしまうというところが、まだまだ多くの人にはあるということの査証だと思います。

この財務省や、多くの政治家などが、語るデフレ下での増税の正当性なども、このまま放置しておけば、それこそ、第二次世界大戦の時のように多くの人びとが真実を見失い、開戦の空気ができあがり、いつのまにやら本意でない戦争に踏み切るということにもなりかねません。

では、私たち特に私のようなブロガーや、言論人はどうすれば良いのでしょうか。

それは、マスコミや政治家あるいは官僚がもっともらしく言う低品質の虚言であるバミューダトライアングルのような話を噛み砕いて、わかりやすくして、「パンは危険」のジョークのようにして説明することだと思います。私は、前からそのように心がけていましたが、今後もそのように、このブログで実行して行きたいと思っています。私はこのようなことが、いわゆるブロガーの大きな役割の一つだと思っています。

皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】


増税と円高政策で「製造ニッポン」は壊滅寸前。1万9000社に迫る「為替デリバティブ倒産」の危機―【私の論評】まともな金融政策で、さっさと円高・デフレを終わらせろ!!



検証 財務省の近現代史 政治との闘い150年を読む (光文社新書)
倉山 満
光文社 (2012-03-16)
売り上げランキング: 6,749


財務省の逆襲: 誰のための消費税増税だったのか
高橋 洋一
東洋経済新報社
売り上げランキング: 327,755

国土と安全は経済(カネ)で買える~膨張中国包囲論~ (扶桑社新書)
上念 司
扶桑社
売り上げランキング: 873

中国経済の悲惨な実態…「デカップリング」を「デリスキング」と言い換えても“世界経済からの切り離し”は止まらない―【私の論評】中国経済減速で外資流入減 急速に発展する東南アジアに投資機会

中国経済の悲惨な実態…「デカップリング」を「デリスキング」と言い換えても“世界経済からの切り離し”は止まらない まとめ 西側諸国と中国との経済的結びつきが急速に弱まっている。中国からの輸出が主要国で大幅減少している。 中国への外国からの投資や人的交流が大きく減少し、新規投資がなく...