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2015年6月10日水曜日

【戦後アジアにみる 日本軍の遺産】戦死者への敬意で高く評価された安倍首相の米議会演説 ―【私の論評】安部総理は、キャロル・キングの歌の歌詞でアメリカ人の心を射抜いた(゚д゚)!


2015.06.09

安倍首相は、米上下院合同会議で演説した

「希望の同盟」

安倍晋三首相は4月29日(日本時間同30日)、日本の首相として初めて米上下両院合同会議で演説し、この言葉を繰り返した。優れた演説で米国人の評価も高かったが、ここには彼らの心を動かす「仕掛け」が織り込まれていた。第16代エイブラハム・リンカーン大統領の有名なゲティズバーグ演説のオマージュ(過去の作品に敬意を持った類似作品)だったのだ。

「歴史の奇跡です」

安倍首相は1945(昭和20)年の硫黄島の戦いで、当時23歳で参戦したエドワード・スノーデン海兵隊中将と、日本側の指揮官、栗林忠道陸軍大将の孫である新藤義孝衆院議員が並んで演説を聴いている事実を、こう称えた。そして、ワシントンにある慰霊施設である第2次世界大戦記念碑を訪ね、米国の戦死者に哀悼を表したことを述べた。

この論理構成は、リンカーン大統領が南北戦争(1861~65年)の激戦地にある国立戦没者墓地の奉献式で行った「ゲティズバーグ演説」(63年)と同じだ。敵への悪意を強調せず、戦った人の自己犠牲を称え、その死は意義深いものと定義して未来を語った。「人民の人民による人民のための政治を、この世界からなくさないため」という有名な言葉は、戦死者の死を意味付けるために使われた。

 安倍首相は今回の演説で「私の名前はエイブ(Abe=リンカーン大統領の愛称)ではありません」と、かつての演説を思い起こさせた。今年は米国の歴史に大きな影響を与えた南北戦争の終結、そして、リンカーン大統領の暗殺から150年の節目の年だ。深い教養に基づき、歴史を踏まえ、米国に敬意を示したうえで、両国の戦死者を称えたからこそ、安倍演説は評価された。言葉の力を使った見事な外交といえるだろう。

 残念ながら、米国軍事史の知識に乏しいためか、日本のメディアや有識者は、米国人にはすぐに気づく「仕掛け」が分からなかったようだ。そして、中国と韓国の政府、日本の一部メディアは「侵略戦争の反省がない」と、安倍首相の演説に見当違いの批判をした。なぜ、日本の首相が米国の議会まで行って、中韓に謝罪をしなければいけないのか。

 日米両国の人々の大半は過去だけにとらわれるのではなく、未来のアジア・太平洋地域での両国と友好国間の友情と、繁栄を望んでいる。それは過去の戦争で亡くなった人々への慰霊にもつながるだろう。そう願う人々は安倍演説を高く評価している。

 ◇

 今年は日本の敗戦から70年目に当たる。敗北し、消滅した日本軍は「アジア諸国民に苦しみを与えた」(安倍演説)負の歴史を持つ。しかし、すべてを否定すべきなのか。米国人のように国のために戦った人をフェアに評価すべきではないのか。今回の連載では日本軍の足跡を戦史文献からたどり、日本の今を考えたい。

 ■(いしい・たかあき)

【私の論評】安部総理は、キャロル・キングの歌の歌詞でアメリカ人の心を射抜いた(゚д゚)!

安部総理の演説の素晴らしさについては、このブログでも演説のあった直後に掲載しました。この記事で、安部総理の演説について解説しましたが、上の記事はこの記事で言い足りなかった部分を表現されていましたので、「我が意を得たり」という心持ちがしたので、掲載させていだきました。まさに、安部総理の「戦死者の敬意」をあますところなく表明し、それだけではなく、聴衆にアメリカ南北戦争時の犠牲者のことを想起させつつ、日米双方の戦死者を讃えました。

しかし、安部総理のこの演説の素晴らしさは、それだけにとどまるものではありません。

安部総理演説直後に演説に関して論評したこのブログの記事のリンクを以下に掲載します。
安倍首相米議会演説 全文―【私の論評】「希望の同盟」を主題とする演説は、米国の保守派はもとより良識のあるリベラル派も味方につける用意周到なものだった(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では安部総理の演説の内容の全文の日本語訳を掲載しました。そかから、以下に最後の締めくくりの部分をコピペさせていただきます。
まだ高校生だったとき、ラジオから流れてきたキャロル・キングの曲に、私は心を揺さぶられました。「落ち込んだ時、困った時、目を閉じて、私を思って。私は行く。あなたのもとに。たとえそれが、あなたにとっていちばん暗い、そんな夜でも、明るくするために」。2011年3月11日、日本に、いちばん暗い夜がきました。日本の東北地方を、地震と津波、原発の事故が襲ったのです。そして、そのときでした。米軍は、未曾有の規模で救難作戦を展開してくれました。本当にたくさんの米国人の皆さんが、東北の子どもたちに、支援の手を差し伸べてくれました。私たちには、トモダチがいました。被災した人々と、一緒に涙を流してくれた。そしてなにものにもかえられない、大切なものを与えてくれました。――希望、です。米国が世界に与える最良の資産、それは、昔も、今も、将来も、希望であった、希望である、希望でなくてはなりません。米国国民を代表する皆様。私たちの同盟を、「希望の同盟」と呼びましょう。アメリカと日本、力を合わせ、世界をもっとはるかによい場所にしていこうではありませんか。希望の同盟――。一緒でなら、きっとできます。ありがとうございました。
この締めくくりは、本当に素晴らしいものであり、私自身が心を打たれました。歴代の日本の総理大臣の演説を聴いてもここまで感動したことはありません。

なぜ、そこまで、私が心打たれたかといえば、シンガーソングライターの元祖ともいわれている、キャロル・キングの"You've got a friend"という曲の歌詞を安部総理が語ったからです。

この歌、本当に素晴らしいものです。以下にキャロル・キングがこの歌を歌っている動画を掲載させていただきます。


このキャロル・キングの"You've got a friend"(邦題:君の友達)は、歌も素晴らしいですが、歌詞も素晴らしいです。この曲を聴いて、心を揺さぶられない人は、滅多にいないでしょう。上の動画には、歌詞も日本語に翻訳されて、掲載されていますので、是非ご覧になってください。

日米の「希望の同盟」の文脈の中において、このギヤロル・キングの歌詞を語るということは、まさにこれをベスト・チョイスといわずして、何をベスト・チョイスと呼べば良いのかと言いたくなるほどの、ベスト・チョイスです。

私は、高校時代に英語を覚えるために、いくつかの英語の歌を覚えたのですが、その中でもこれは素晴らしい歌だったので、今でも一言一句違わず、覚えています。大学時代には、この歌だけはピアノで弾き語りできるまで練習しました。今では、覚えているのこの歌だけです。

こういうと、アメリカ人あたりはすぐに理解してくれるとは思うのですが、日本人の場合は、キャロル・キングのことをよく知っているファンであり、さらにこの歌ができた時代背景などを知っている人なら、理解できると思うのですが、そうではない人には若干の説明を要すると思うので、以下に説明します。

まずは、キャロル・キングはアメリカ人なら、たいていの人は知っています。日本でいえば、五輪真弓のような存在以上だと思います。

実際、「恋人よ」の五輪真弓は、日本のキャロル・キングとして鳴り物入りで、デビューしていました。

当時としては、異例のアルバム・デビューを成し遂げ、キャロル・キング本人のピアノ、チャールズ・ラーキーがギターを弾きカリフォルニアでレコーディングされました。

以下に五輪真弓の「恋人よ」の動画を掲載させていただきます。


五輪真弓は、1972年の秋にアルバムデビューしました。日本でのシンガー・ソング・ライターの草分け的存在です。ちなみに、同じ年の7月に荒井由実はシングル・デビューしています。

キャロル・キングは、日本でいえば五輪真弓、荒井由実のような存在と同等か、もっとアメリカでは知られており後でものべますが、さらに親近感のある存在ということができると思います。

そうして、キャロル・キングの歌は、多くの有能・有力アーティストにカバーされ、今でもカバーされ続けています。「君の友達」も持ちろん、カバーされています。以下に代表的なジェームス・テイラーによるカバーを掲載しておきます。



キャロル・キングとくれば、もちろんあの一世を風靡した超ロングセラー・アルバム「つづれ織り」ということになるでしょう。もちろん、「君の友達」も収録されています。全米アルバム・チャートで15週連続ナンバー1、さらに302週に渡ってチャートにとどまり続けた驚異の作品です。(302週は、ほぼ6年近い期間にあたります!)

しかし、彼女のベスト・セラーはそれだけではありません。それ以前にも、彼女は名うてのソングライターとして、数々の大ヒット曲を生み出しており、そのカバー・ソングは、今後もまたヒット・チャートをにぎわす可能性をもっています。彼女はローラ・ニーロとともに女性シンガー・ソングライターの草分けであるとともに、永遠不滅のソングライターでもあるのです。

つづれおり
キャロル・キングの「つづれ織り」
1971年、シンガー・ソングライター・ブームの頂点を究めただけでなく、1970年代を代表することになるモンスター・アルバム、「つづれ織り」が発売されました。全世界で2200万枚を売り上げたこのアルバムの凄さの秘密は、いったいどこにあるのでしょうか?そこにはいくつかのポイントがあります。

先ず、このアルバムが見事に時代の空気をとらえていたこと。そして、この時代の流れは、その後5年以上変わらなかったということがあげられそうです。だからこそ、6年近くにわたってこのアルバムはヒット・チャートに居座り続けたのです。

それは熱く燃えた1960年代の反動とも言える個人の時代であり、人々が「癒し」を求めてさまよい続けた時代でもありました。ちなみに、ベトナム戦争は、1960年12月 にはじまり、1975年4月30日に終了しました。まさに、「つづれ織り」がヒットした時代はこの期間に重なります。

当時アメリカは、長いベトナム戦争が人々に影を落とし、その後の敗北により多くの人々が自信を喪失をしていた時代であり、そういった背景から多くの人々が癒やしを求めており、まさにキャロル・キングの曲はその時代にフィットしたのです。その中でも、「君のともだち」は、アメリカ人の琴線に最も触れるものの一つだと思います。

もちろん、彼女が10代から鍛えてきたヒットを生み出す作曲の能力がなければ、12曲すべてがヒットしてもおかしくない驚異のアルバムを作り上げることは不可能だったでしょう。後年発売された彼女のボックス・セットには、このアルバムの12曲すべてが収められているほどです。

彼女のけっして美人とは言えない普通っぽい容姿とけっして超一流ではない歌唱力もまた、ひとつのポイントだったに違いないでしょう。それは、世界中の多くのファンが彼女と自分を同一化し、感情移入することを可能にさせたのです。そういう意味では、日本のAKB48等と共通したところがあると思います。カリスマ的というより、本当に身近な存在なのです。

キャロル・キング
安部総理の演説の中に、アメリカの多くの人がこのように感情移入した、キャロル・キングの歌、それも特に「君の友達」の歌詞を選んだというのは、以上のような背景から本当にベストチョイスであったと思います。

今のアメリカは、ようやっとリーマン・ショックから立ち直り、次の時代へと移行しようとしているのですが、残念ながら世界情勢がなかなかそれを許してくれません。ベトナム戦争前後のアメリカよりはましですが、それでも、多くのアメリカ人が自信喪失から立ち直ってはいない状況にあるのは確かです。

そんな中で、安部総理が米議会であのような演説をして、キャロル・キングの「君の友達」の歌詞でアメリカを応援してくれたわけです。それも、震災のときの「トモダチ作戦」を引き合いにだし、感謝の意を評しながらの、応援です。

アメリカ人なら、多くの人が、リベラル・保守などの立場を超えて、安部総理の演説に感激し、感動し共感したことでしょう。


この締めくくりは、聴衆にオバマ大統領が最初に就任したときのあの"Yes we can"よりもはるかに感動的で、インパクトがあり、まさに安部総理はキャロル・キングの歌の歌詞でアメリカ人の心を射抜いたと思います。

日本では、なぜかあまり評価されていないのが、残念です。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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米国議会で、アメリカ人の安部総理が引用してアメリカ人の心を射抜いた、キャロルキングの歌が収録されているアルバムを以下にチョイスさせていただきました。

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2015年5月25日月曜日

安倍首相はポツダム宣言を読んでいた!? 理解不能だったのは党首討論での集団的自衛権めぐる共産党の主張だ―【私の論評】野党は奇妙奇天烈な言論でドヤ顔をするのではなく、まともな議論をせよ(゚д゚)!

安倍首相はポツダム宣言を読んでいた!? 理解不能だったのは党首討論での集団的自衛権めぐる共産党の主張だ

党首討論で安部総理に質問をなげかける志位委員長

久々に国会で党首討論があった。ガチンコの国会討論なので、筆者は楽しみなのだが、最近、党首討論が少なく、寂しい。20日に行われた党首討論は昨年6月以来だった。

その中で、志位和夫共産党委員長との討論はちょっと見応えがあった。といっても、他のものがさえなかったので、相対的に面白かったという意味だ。

安倍首相は「ポツダム宣言」を読んでいた!?

志位委員長は、「戦後の日本は1945年8月にポツダム宣言を受諾して始まった。ポツダム宣言は日本の戦争について間違った戦争だという認識を示している。この認識を認めないのか」と質した。

これに対して、安倍首相は「ポツダム宣言を受諾し、敗戦となった。その部分をつまびらかに読んでいないので直ちに論評することは差し控えたい。いずれにせよ、まさに先の大戦の痛切な反省によって、今日の歩みがある」と答えた。

このやりとりについて、一部では、安倍首相はポツダム宣言を知らなかったと揶揄する向きもあるが、それは誤りだろう。調べてみればわかるが、国会外ではよく発言している。

しかも、つまびらかでないというのは「その部分」といっており、これを報じた新聞では「その部分」を省いており、適切な報道ではない。

このやりとりは、事前にこまかな質問通告をしないで党首討論が行われることを理解していないと、真相にはたどり着けない。

志位委員長の通告では、ポツダム宣言と書かれていなかったのではないか。その上で、志位委員長は、知らないと知らないことだけで総理として失格、かといって志位委員長の答えに乗ると、政治的に失格という、絶妙なポツダム宣言を持ち出したのだろう。

おそらく、志位委員長は、党首討論のやり方をしっていたので、細かな事前通告をせずに、「引っかけ質問」を作ったのだろう。これはなかなか策士である。

「引っかけ質問」にかからなかった安倍首相

もしポツダム宣言第6条「日本国民を欺いて世界征服に乗り出す過ちを犯させた勢力を永久に除去する」を認めるかどうかの質問であることが事前にわかっていれば、「その部分」について、安倍首相は「つまびらかに読んでいない」という必要もなかったはずだ。

筆者であれば、天皇の終戦の詔勅中の「他國ノ主權ヲ排シ領土ヲ侵スカ如キハ固ヨリ朕カ志ニアラス」を引用して、「ポツダム宣言を全体としては受諾したが、日本の意図は侵略ではなかったと、連合国の理解とは必ずしも同じでなかった」、という答弁を書いたかも知れない。

実際、安倍首相も「私もつまびらかに承知をしているわけではございませんが、ポツダム宣言の中にあった連合国側の理解、たとえば日本が世界征服をたくらんでいたということ、と(志位委員長は)ご紹介になられました」と答弁している。安倍首相は、質問通告になかったと思われるポツダム宣言について、かなり正確に理解していると思う。

その結果、安倍首相は、志位委員長の「引っかけ質問」にもかからなかったといえる。

ここまでの志位委員長の「引っかけ質問」は、筆者としても楽しめたが、その次にでてくる「日本を海外で戦争する国に作り変える」という主張はまったく理解不可能だ。
事実上集団的自衛権を行使していると日本は見られている

今国家で争点になっている安保法制は、集団的自衛権の限定行使を可能にすることを主な内容としている。集団的自衛権の限定行使以外にも、グレーゾーン事態への対応、周辺事態法等の改正、国際平和支援法の新規立法などもある。

本コラムでは、これまで安全保障について書いてきた(2014年5月19日「「飼い主を守る猫」でも行使する「集団的自衛権」に反対するマスコミの国際感覚の欠如」 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39296 2014年4月28日「韓国やフィリピンの憲法にも戦争放棄の規定がある!各国憲法との比較から「集団的自衛権」を考える」 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39129 )。

それらをおさらいすると、自衛権を「個別的」、「集団的」と分け「個別的」はいいが、「集団的」はダメというロジックは国際社会ではないこと、海外において自衛権が、どこの国でも刑法にある「正当防衛」とのアナロジーで語られていて、言葉としてはともに同じ言葉(self-defense)ということ。さらに、日本の第9条のような規定を持っている憲法は、世界では珍しくなく、そうした国では集団的自衛権の行使は当然の前提であることだ。

海外から見れば、日本が集団的自衛権の行使は事実上すでに行っているとみられても仕方ない。実際、米軍に日本国内の基地を提供していること自体が、同盟関係で、集団的自衛権の行使はしないというこれまでの議論は日本の国内向けであり、国際的にはまったく無意味だ。

日米安保条約を知っている外国人だったら、それが日本だけでなく、極東の安全に既に寄与していることを指摘して、日本も同盟国として一定の軍事貢献もしているといってくる。極東のところは、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。」(安保条約6条)にある。
共産党の言い方は間違い

日本に米軍が存在しているのは、国民はみんな知っているが、実は国連軍もいる。米軍の横田基地に、国連軍後方司令部(United Nations Command-Rear)があり、日本は、オーストラリア、カナダ、フランス、ニュージーランド、フィリピン、タイ、トルコ、アメリカ、イギリスの8ヵ国と国連軍地位協定(日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定)を締結している。米軍の横田基地には、日本とアメリカの国旗とともに、国連旗がたっている。

在日米軍基地のうちキャンプ座間、横田空軍基地、横須賀海軍基地、佐世保海軍基地、嘉手納空軍基地、ホワイト・ビーチ地区、普天間海兵隊基地が国連軍施設に指定されている。

国連軍司令部のほうは韓国にある。こうした国連軍の体制は、1953年7月に朝鮮戦争が休戦となり、休戦協定が発効した翌54年2月以来である。朝鮮戦争は今でも休戦状態であり、終戦ではない。

これだけ、国連にビルトインされている日本が、国連憲章で認め、日米安全保障条約でも明記されている集団的自衛権の権利だけで、行使しないという論法が、国際社会で通用するはずない。

今国会で提出されている安保法制は、そうした国際社会の理解への国内法制のキャッチアップの過程でしかない。これをもって、戦争のための法案というのは、あまりに現状を知らなすぎる議論だ。今の自衛隊の戦力では、海外に部隊を派遣し作戦を行う戦力投射(power projection)能力はなく、侵略戦争を絶対にできない。

これだけで、「日本を海外で戦争する国に作り変える」という共産党の言い方は間違いである。
侵略された例は南ベトナムしかない

集団的自衛権について、日本のマスコミは、戦争に巻き込まれるという考え方がある。筆者が留学で学んだ国際関係論では、集団的自衛権のほうが、防衛コストが安上がりになり、戦争にまきこまれないということだ。

コストの点から言えば、現在米軍の日本への防衛をすべて日本だけでの自主防衛で受ければ膨大なコストになることは明らかだ。いろいろな試算があるが、20兆円以上も必要という。
マスコミの論調は、第二次世界大戦後に起きた紛争や軍事介入の多くは、集団的自衛権行使を口実に使われることが多いというものだ。
そうした介入のケースではなく、侵略されたケースでみれば、アメリカとすでに同盟条約を結んでいた国が第三国から侵略された例は、南ベトナムしかない。しかも、侵略は北ベトナムであり、これが第三国とはいいがたい。集団的自衛権は抑止力があるので、自ら仕掛けていかないのであれば、戦争に巻き込まれる可能性が低いのが、国際常識だ。

むしろ歴史を振り返ると、集団的自衛権は多数国の判断で行使することが多いが、個別的自衛権は一国のみで判断して行使するので、より危険であるとされている。このため、戦後、西ドイツは個別的自衛権が認められずに、NATOの下での集団的自衛権しか認められなかった歴史がある。

先のベトナムの例は、いろいろと示唆に富む。

なぜ中国は南沙諸島を埋め立てられたのか

中国が南シナ海で進める埋め立て問題で米中が対立している。南沙諸島は、南シナ海南部に位置する島、岩礁・砂州からなる地域だ。島といっても、きわめて小さく、一般に人が居住できる環境ではない。しかし、この場所は海洋資源のほか、軍事的な要衝にもなっているので、中国、台湾、ベトナム、フィリッピン、マレーシア、ブルネイが領有権を主張している。

中国は、この地域に後発で入ってきた。今、問題になっているのは、南沙諸島のファイアリー・クロス礁である。ここは、1988年に中国がベトナムから武力奪取した。今や3000メートル級の滑走路や水深の深い港を建設中であり、既に南沙諸島で最大級の面積となっている。

また、南沙諸島のミスチーフ礁は1995年から中国が占拠しているが、これは、1992年からアメリカ軍がフィリッピンから撤退していたのを見計らって奪取し、建築物を構築して実効支配に及んだものだ。中国は、自国の漁師の保護を建前としている。

いずれも、アメリカとの安全保障がない、または事実上機能していない状況から、中国の進出を許している。国際社会はパワーのぶつかり合いであり、どこかが引くとかならず争いが生じるが、その典型である。

ファイアリー・クロス礁における中国の埋立スピードは急ピッチで凄い。昨年8月には、ほとんど何もなかった岩礁であるが、今年3月には長さ3000メートル、幅200~300メートルの人口島がほぼ完成している。
なぜ、ファイアリー・クロス礁なのかといえば、ベトナムから奪ったところで、今は、アメリカとベトナムの間には安全保障条約はない。だから、アメリカは手を出せないと踏んだのだろう。
集団的自衛権は、防衛コストが低い

この建設費は1兆4000億円といわれている。単純な比較はできないが、ほぼ同じ規模の関空第一期工事の建設費は1兆5000億円だった。関空の場合、沖合5キロで水深が深くきわめて高コストで海外からはクレージーと言われたが、岩礁の埋立という比較的コストがかからないにもかかわらず、異常に高いコストをかけて、中国はファイアリー・クロス礁の埋立をすすめている。

そこで、中国がここに軍事拠点を作るのではないかという懸念を国際社会でもたれている。

ただし、アメリカも黙っていない。「岩礁に砂をいくら積み上げても、領有権は築けない」というのが、アメリカ政府の見解である。

20日、海軍の哨戒機P8AにCNN記者を同乗させ、ファイアリー・クロス礁の映像を放映させた。その中で、中国当局との交信模様。例えば中国側からの「You go(出て行け)」という発信も伝えた。

今のところ、アメリカは、中国に対して領有権を認めず、公海上の航行は自由というスタンスを強調している。今は中国が領有権を主張するところには入らないが、そのうち進入するだろう。もしアメリカとベトナムとの間で安全保障条約があれば、もっと早くに強い態度であっただろう。

アメリカはフィリッピンとの間で、日米安保条約と類似した米比相互防衛条約を締結している。同条約は、フィリピンのみならず太平洋地域をもカバーしている。太平洋地域には南シナ海も含まれるので、アメリカの今後の活動は、米比相互防衛条約での集団的自衛権行使を背景とするものとなろう。

こうして、歴史や近隣の事例をみれば、集団的自衛権は、防衛コストが低く、戦争に巻き込まれる可能性が低く、さらに戦争を仕掛けにくい体制であることがわかる。

(高橋洋一)
【私の論評】野党は奇妙奇天烈な言論でドヤ顔をするのではなく、まともな議論をせよ(゚д゚)!

上の記事、かなり重要だと思いますので、そのまま全部引用させていただきました。

以下に、上の記事にも掲載されている、国会の党首討論における志位委員の質問と、安部総理の答弁の動画を掲載します。



上の高橋洋一氏の記事、今回の共産党志位委員長の国会での質問に関する、安部総理の対応を余すところ無く伝えています。まさに、安部総理は「ポツダム宣言」の内容を熟知しており、熟知した上で、あのような答弁をしたことが良く理解できます。

しかし、志位委員長は、党首討論について以下のようなTweetをしています。
このTweetを見ている限り、志位委員長は、安部総理が「ポツダム宣言をつまびらかに読んでいない」ので質問に答えられないと理解しているようです。あるいは、そのように印象操作をしています。これは、全くの勘違いか間違いです。そうではなくて、「間違った戦争」という部分に関して、「つまびらかに読んでいない」と答えているのです。

ちなみに、「間違った戦争」だったのかという問いに関する模範解答は「すべての戦争は間違っている」となると思います。それに、ポツダム前言には、「間違った戦争」とか「正しい戦争」などという文言は一切ありません。

それに当時はまだまだ情報があまりなかったのですが、戦後70年を経て様々な情報が手に入るようになった現在、あの戦争を「正しい戦争」か「間違った戦争」かと問われれば、賛否両論があるものと思います。

私としては、あの戦争は、正しいとまではいいませんが、西欧列強のアジアにおける植民地支配からの開放という意味で、「止む終えない戦争」であったと思いますし、本当は日米は全く戦う必然性などなかったと思っています。

ブログ冒頭の高橋洋一氏の記事でもお分かりになるように、今回の党首討論で矛盾点をさらけ出したのは安倍首相ではなく、共産党の志位委員長のほうであったと言わざるを得ません。

志位委員長は過去には、明らかにポツダム宣言に矛盾する主張を述べていました。

日本共産党は北方領土の問題に関して、以下のようなスタンスであることを党の機関紙やホームページ上で明らかにしています。
ロシア側は、日本が連合国への降伏文書に署名した9月2日を「第2次大戦終結の日」(事実上の対日戦勝記念日)に制定し、千島は「第2次世界大戦の結果、ロシア連邦の領土になった」とし、その変更は許さないとの姿勢を示してきた。これらの一連の行動は、日本の歴史的領土である千島列島と歯舞、色丹の不当な領有を将来にわたって固定化しようとするものであって、絶対に容認できない。
これは、志位委員長の署名があるため、党の公式見解といって良いものと思います。しかし、この意見は『ポツダム宣言』の内容と大きく乖離する点があります。

共産党の主張は「日本の歴史的領土である北方領土はすべて日本のものである」というものだ。ところが、ポツダム宣言内で領土に触れられている項目は共産党の主張と明らかに矛盾する内容となっています。
八 、 カイロ宣言ノ條項ハ履行セラルベク又日本國ノ主權ハ本州、北海道、九州及四國竝ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルベシ
日本の主権が及ぶエリアは本州/北海道/九州および四国と我々(=連合国)が決める島々に限定されるべきと記載されています。

つまり、北方領土が歴史的に日本の領土であろうがなかろうが、連合国が日本の国境沿いに位置する島々の帰属権を決定すると宣言しています。「ポツダム宣言という歴史的文書を読んでいなくて首相が務まるのか」と志位委員長は気勢をあげていますが、ポツダム宣言を「正義」として扱うのであれば、共産党は明らかに「悪」となることを理解した上で議論していたのか非常に疑問です。

現実には戦後70年を経た今日、当時の戦勝国の定めたポツダム宣言などはもはや重要な意味を持つものではありません。

1945年8月14日、日本のポツダム宣言受諾を発表するトルーマン
ポツダム宣言には、「日本国国民を欺瞞して世界征服の暴挙に出る過ちを犯させた者の権力と勢力は永久に除去する」という文言があるが、これそのもががもはや有名無実となっています。

そもそも、当時の戦勝国などとはいっても、ソ連は崩壊していますし、フランスははっきりいえば、戦勝国ではなく、ドイツに負けた敗戦国です。現代の中華人民共和国は日本と戦争すらしていません。日本と戦争をしたことのないアジアの国が戦勝国などというのは、笑止千万です。アメリカは、オバマ大統領がレイムダック化していて、とてもじゃないですが、「戦後体制」の守護者と呼べるような状況ではありません。他の、戦勝国も、当時から比較すれば、軍事力も経済力もかなり落ちています。

70年という時間は、あまりに長いです。過去に戦争に勝った国が、いつまでも勝ったということをたてに利権を貪ることなど許されるものではありません。負けた国がいつまでも、敵国として遇されることも全くの間違いです。

重要なことはポツダム宣言後のサンフランシスコ講和条約であり、そちらをベースに建設的な議論を行うことだと思います。70年以上も昔のことを引っ張りだすことが現在何の役に立つというのでしょうか。

『戦争法案』などという下らないレッテルを貼り、国会でくだらないクイズのような質問をしている暇があるのであれば日本よりも多額の軍事予算を費やす、それも毎年増やし続ける中国からの脅威に対してどのように具体的に対応するかを議論すべきです。

しかし、日本の野党などこのことに全く無頓着です。特に、安全保障法制をめぐる野党の質問は酷いものばかりです。これは、危機管理に関わることであるにもかかわらず、延々と平時の手続き論ばかりしているという有り様です。

東日本大震災における民主党の危機管理は最悪でした。しかし、彼らは未だ何も反省してないようです。そうして、共産党の志位委員長は、ポツダム宣言などというカビの生えたような、古い話を持ち出し、国会で全く実りのない主張をして、ドヤ顔で悦に入っている始末です。

こんなことでは、これから野党はますます存在感が薄くなっていくのではないかと思います。私は、議会制民死主義においては、健全な野党は絶対に必要だと思います。野党の皆様がたには、本当に実りのあるまともな議論をしていただけるようにしてほしいものだと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年5月4日月曜日

帰国後の安倍首相を待ち受ける“抵抗勢力” 正念場となる安保・辺野古・70年談話 ―【私の論評】単なる安倍嫌いは、かつて日本からコミンテルンが姿を消したように、国民から見捨てられることになる(゚д゚)!


政府専用機で羽田空港に到着した安倍晋三首相と昭恵夫人
安倍晋三首相は3日午後、4月26日からの米国訪問を終え、政府専用機で羽田空港に帰国した。訪米中はオバマ大統領との首脳会談や上下両院合同会議での演説で「新時代の同盟関係」を打ち出し、大きな外交的成果を収めた。だが、これを担保するのが集団的自衛権の行使容認を含む新たな安全保障法制だ。首相は今夏の関連法案成立を対米公約として掲げ、自ら退路を断った。

「『この国会で(成立)』というのは当然のことだ。そのためにこれから努力していく」

首相は1日、米ロサンゼルスで同行記者団と懇談した際、安保関連法案の成立にかける決意をこう示した。これまでも今国会の成立を表明してきたが、今月中旬の法案提出を前に、その考えに揺るぎがないことを強調した。

だが、首相の前には数々の“抵抗勢力”が立ちはだかる。

安保関連法案の成立方針には、野党が「国会無視」(岡田克也民主党代表)などと一斉に反発。平成25年の臨時国会で成立にこぎ着けた特定秘密保護法の審議では、一時的に内閣支持率が下落したが、今回も一部野党が仕掛ける“レッテル貼り”に、来夏に参院選を控える自民、公明両党内が浮足立ちかねない。9月の自民党総裁選で再選を狙う首相にとって、最大の山場になるのは間違いない。

この記事の続きはこちらから(゚д゚)!

【私の論評】単なる安倍嫌いは、かつて日本からコミンテルンが姿を消したように、国民から見捨てられることになる(゚д゚)!

日本には、安倍嫌いの方々が多数おられるようです。上の記事では、抵抗勢力などという言葉で表現しておられるようですが、彼らの言論をみていると安倍嫌いと判断せざるを得ない内容が満載です。

本日は、上の記事以外にも安倍嫌いの記事が報道されていました。その記事のURLを以下に掲載します。

【憲法記念日】「すべて安倍のせい」と護憲派が横浜でスパーク  大江健三郎氏「米演説は露骨なウソ」 香山リカ氏「憲法使い切ってない…」
憲法記念日に開かれた憲法集会で発言する作家の大江健三郎さん
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、一部のみ以下にコピペさせていただきます。
 憲法記念日の3日、各地で改憲、護憲両派の集会が開かれた中、横浜市西区の臨港パークでは「平和といのちと人権を! 5・3憲法集会~戦争・原発・貧困・差別を許さない~」(実行委員会主催)が行われた。会場には作家の大江健三郎さんら護憲派の人々が3万人以上集まった(主催者発表)。それぞれが安倍晋三首相を「安倍」と呼び捨てで批判し、集団的自衛権反対を訴えた。
大江健三郎氏は、七回も「安倍」と総理のことを呼び捨てにしたそうです。作家の雨宮処凛さんは「この暑い中、熱中症で誰か倒れたら全部安倍のせい」と最初から“戦闘モード”だったそうです。この集会では、いろいろなことが語られているようですが、結局のところその本質は"安倍大嫌い"ということにみえてきます。何やら、滑稽さすら感じます。

さて、これだけこの記事や、ブログ冒頭の記事でもおわかりになるように、安部総理は多くの抵抗勢力からかなり嫌われているようです。では、安倍政権はどのような実績をあげたのか、以下に直近のものをまとめたものを田中秀臣氏のブログから引用させていただきます。

[経済]“安倍嫌い主義”の人たちが見ようとしない不都合な事実
倒産件数減少 http://twitter.com/shinchanchi/status/564788152502853632 
非正規から正規へ増加 https://twitter.com/shinchanchi/status/561820637514051585 
総雇用者所得も増税分除くと増加、有効求人倍率上昇&失業率低下https://twitter.com/shinchanchi/status/561818954692165632 
さらに付記 
高校生就職内定率 バブル期並みの水準に
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150216/t10015497811000.html 
特別企画 : 2015年度の賃金動向に関する企業の意識調査
賃金改善を見込む企業は48.3%で過去最高
~ 給与・賞与は総額3.2兆円増加すると試算 ~
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p150203.html 
さらにさらに付記
長期失業者、前年から15万人減少し、2008年以来の100万人を割り込む。
http://www.nikkei.com/article/DGKKASFS17H3Y_X10C15A2PP8000/
これは、主に金融緩和による成果が大きく寄与したものです。増税ははっきりいって、マイナスばかりで一つも良いことはありませんでした。それにしても、安倍政権以外では、このようなことは全くなかったし、これは「○○を死体」とか「■■をします」などではなく、現実に実現されたことばかりです。

このような実績を持つ、総理大臣を"安倍嫌い"で批判する人たちにとっては、本当に不都合な真実だと思います。

さて、抵抗勢力の人々は別にして、多くの国民は、安倍政権をどのようにみていているのでしょうか。朝日新聞による面白いアンケートの内容の記事がありましたので、以下に掲載します。
安倍内閣支持の理由 「ましだから」53%
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部のみコピペさせていだきます。
 安倍内閣を「支持する」は55%、「支持しない」は38%で、内閣支持率は高い水準を維持している。内閣支持層に「内閣に期待しているから」か、「これまでの内閣よりましだから」かを質問すると、「期待している」は42%で、「ましだから」の53%が多かった。自民支持層でも「期待派」と、「まし派」がほぼ並んだ。
この結果をみると、"安倍大嫌い"の朝日新聞の悔しさがにじみでているようです。安倍政権を支持する層が多数派であることは、どうあがいても否定のしようがないです。

そうして、朝日新聞としては、自民支持層でも「まし派」がほぼ並んだなどとしていますが、そもそも、民主主義体制内では、およそどんな政党でも、国民にとって全面的に「満足」などということはありえず、すべてに満足がいかなくとも、方向性などが自分とあっていれば、支持するというのが普通です。

チャーチルは、民主主義について以下のように述べています。

「民主主義は最悪の政治といえる。これまで試みられてきた、民主主義以外の全ての政治体制を除けばだが」

すべてに満足のいく、政治など民主主義体制内ではもともとありえないのです。

ということは、やはり、国民は安倍政権を支持しているということであり、"安倍嫌い"の反対勢力は支持はしていないということです。

かつて、日本は戦前、戦中、戦後にわたって、コミンテルンといわれるソ連のスパイが国内で暗躍し、かなり日本の政治に悪影響を与えてきました。

ところが、池田総理による、「所得倍増政策」などにより、労働者の賃金も上昇した後は、コミンテルンの影響力はなくなりました。やはり、経済がまともになり、賃金が上昇すれば、コミンテルンなどに幻惑される人間もいなくなるということです。

さて、安倍政権はいわゆるアベノミクスという経済対策で、経済を良くしようとしています。この動きは、最初はかなりうまくいきそうでしたが、昨年4月の8%増税で、後退を余儀なくされました。

しかし、金融緩和の効果自体は、増税によって後退させられはしたものの、それでも着実に効果がでており、上記で示したような安倍嫌いの人たちにとっては、不都合な真実である、経済指標の上向き傾向という事実かあります。

国民の多くは、これをかなりまともに評価しているのだと思います。このまま、景気が良くなれば、日本からコミンテルンが消えたように、"安倍嫌い"の対抗勢力姿を消すことになると思います。

だからこそ、彼らはそんなことはさせじと、断末魔の雄叫びをあげ、安倍政権を糾弾し、アベノミクスの頓挫を狙っているのです。

しかし、そのようなことにはなりそうもありません。私自身は、"安倍嫌い"という姿勢も、許容される場合もあると思います。しかしそれは、安倍政権に変わる効果のある対策を示す場合にのみ許容されるものだと思います。ただ反対するだけでは、大多数国民は馬鹿ではないので、単なる"安倍嫌い"に幻惑されることはありません。

代案もなくただただ「安倍が嫌い」と叫ぶだけでは、かつてコミンテルンが見捨てられたように、見捨てられることになると思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年1月5日月曜日

今年も経済最優先、通常国会は「改革断行国会」=安倍首相―【私の論評】一昨年は、はじめから大失敗することがわかっている8%増税導入の決断がなされた年であり、昨年は増税が実施された年。過去二年間は決して経済最優先ではなかった、今年こそ、何が何でも経済最優先の年にすべきであると心得よ(゚д゚)!

今年も経済最優先、通常国会は「改革断行国会」=安倍首相

伊勢神宮で年頭の記者会見をする安倍総理

安倍晋三首相は5日午後、三重県伊勢市の伊勢神宮で年頭の記者会見を行い、今年も経済最優先で取り組むとし、今月末に召集する通常国会を「改革断行国会」と位置づけて改革を進めていく考えを示した。

安倍首相は「日本経済を必ず再生する。そのためにはこれまでにない大胆な改革を進めていかなければならない。東日本大震災からの復興、教育再生、社会保障改革、外交安全保障の建て直し、地方創生、女性の輝く社会実現など、いずれも戦後以来の大改革だ。今年はあらゆる改革を大きく前進させる1年にしたい」と語った。

さらに「私たちがまいたアベノミクスという種はこの2年で大きな木へと成長し、実りの季節を迎えようとしているが、まだ成長途上だ」と指摘。「昨年末に取りまとめた経済対策を早期に実行に移し、(国民の)多様な声にきめ細かく対応することで、アベノミクスをさらに実りあふれる大木へと成長させていかなければならない」と述べた。特に、地方創生に関しては「国家戦略特区に地方創生特区を指定する。今春にも数カ所指定していきたい」と語った。

一方、「国民の命と幸せな暮らしは断固として守り抜いていく。そのための新たな安全保障法制を整備していく」と述べ、通常国会で安保法制の整備を進めていく考えも示した。

内閣の歴史認識については「安倍内閣として村山談話を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいく」としたうえで、戦後70年の首相談話について「次の80年、90年、100年に向け、積極的平和主義の旗の下で世界の平和と安定に一層貢献する明確な意思を世界に発信したい」と強調。「安倍政権として先の大戦への反省、戦後の平和国家としての歩み、アジア太平洋地域や世界にどのような貢献を果たすか、世界に発信できるものを英知を結集して考え、新たな談話に書き込んでいく」と語った。

安倍総理の年頭記者会見の発言のすべてと記者団の質問内容とそれに対する安倍総理の返答はこちらからご覧いただけます。

【私の論評】一昨年は、はじめから大失敗することがわかっている8%増税導入の決断がなされた年であり、昨年は増税が実施された年。過去二年間は決して経済最優先ではなかった、今年こそ、何が何でも経済最優先の年にすべきであると心得よ(゚д゚)!

アベノミクス(安倍総理の経済対策)の是非を問うために、解散総選挙に踏み切ったわけですから、経済最優先というのはあたり前のど真ん中です。もし、そうしなかったら、有権者を裏切ったことになると思います。

ただし、財政政策として、3.5兆円だけというのなら、道は険しいといわざるをえません。その根拠は、需要ギャップが十数兆あるということです。少なくとも、10兆円以上の対策を実施しなければ、かなり厳しいです。

追加金融緩和は、昨年の10月末に発表したので、遅きに失しています。これは、できればもっと早く8%増税の前か、直後に実施すべきでした。なぜなら、金融政策が実体経済に本格的に効いてくるのは、少なくとも1年以上はかかるからです。

そうなると、今年は効き目のある経済対策は、財政政策だけです。となると、3.5兆円だけでは、焼け石に水です。

これについては、昨年の暮れにこのブログに掲載しました。その記事のURLを以下に掲載します。
第3次安倍内閣は経済再生優先、アベノミクス進化―【私の論評】今年は金融緩和が効き目はまだない、財政政策がものを言う! 安倍総理は、積極財政に踏み切らざるをえない(゚д゚)!
現在日本はデフレではないが、過去のデフレの悪影響としてデフレギャップが存在している
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、経済対策としてめぼしいもので、昨年時点で決定されていたのは、地方支援のに規模拡大のための経済対策3.5兆円のみであることを掲載し、これでは全く焼け石に水であることの理由など掲載しました。

このままだと、来年は株価などは別として、8%増税の甚大な悪影響もあることから、なかなか実体経済が良くならないことが予想できます。

しかし今年、財政政策が不十分で、景気が良くならなかったにしても、金融緩和は、引き続き続けるべきです。途中でやめてしまったら、元の木阿弥です。

効き目が出るまで、2%の物価上昇を成就するまで、必ずやり遂げるべきです。これが、達成できいというのなら、再度追加金融緩和をして、確実にやり遂げるべきです。

これをやめて、金融政策も、財政政策も不十分というのでは、過去の失われた20年を繰り返すだけです。

それにしても、安倍総理は、こうしたことも十分ご存知のことと思います。今回は、昨年末には、選挙で勝利した安倍総理です、この事実があるからには、安倍総理は党内の雑音や、財務省の干渉なしにフリーハンドで財政政策を実行できます。


2013年、街かど景気☆Japanというユニットがデビュー
したが昨年、一昨年は決結局経済は最優先されなかった


私は、財政政策についても、安倍総理は、いずれ昨年暮れの解散・総選挙のときのように、私や多くのまともな識者らにとっては、全く予定の範囲であったにもかかわらず、マスコミや識者にとって青天の霹靂であったサプライズをともなった、新施策を打ち出すものと期待しています。

とは、いっても、公共工事の供給制約のある現場では、国土強靭化などはある程度は実施するかもしれませんが、経済対策としては限りがあるので、減税・給付金政策を実施することになるのではないかと思います。そうして、できうれば、再販分的な要素も含んだものを実施すれば、かなり効き目があるものと思います。

そうして、安倍総理が記者会見で語ったように、今年こそ本当の意味で、経済最優先にしていただきたいと思います。昨年は、8%増税が実施されてしまいましたし、一昨年は、失敗することが最初からわかっている8%増税が決断された年でもあります。これらを考えると、過去の2年間は、決して経済最優先ではなかったといえます。

これか、今年もできないとすると8%増税の決断のときと同じように、その原因としては、党内政治や財務省の横槍であるものと思います。

そのようなことが、あれば、今年も、財政政策に横槍を入れるような勢力があれば、晒し者にして、徹底的に粉砕です。このことにより、経済最優先の追加政策をすべきという大きな世論を盛り上げれば、安倍自民党が選挙で大勝したという事実もあいまって、より強固なものとなると思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】

第3次安倍内閣は経済再生優先、アベノミクス進化―【私の論評】今年は金融緩和が効き目はまだない、財政政策がものを言う! 安倍総理は、積極財政に踏み切らざるをえない(゚д゚)!




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2014年12月12日金曜日

増税「先送り」解散でメンツ失った財務省 安倍首相に「グレートリベンジ」仕掛ける?―【私の論評】故中川昭一氏の遺志は実現されるか?増税を遮二無二に進める、財務省の背景にあるのは日本を便利なキャッシュ・ディスペンサーにしたい欧米の意図(゚д゚)!

増税「先送り」解散でメンツ失った財務省 安倍首相に「グレートリベンジ」仕掛ける?

衆院解散の威力はすさまじかった

マスコミが一斉にネガティブな情報を垂れ流しにすると、耳タコになって、一般の人のイメージ形成をすることがある。その一例に、「選挙に大義がない」があった。

総選挙は最終局面だが、いまでもそう言う人がいる。知識人ぶって、消費増税附則18条にある景気条項で安倍総理が決断すれば、消費増税はストップ(先送り)できるのだから、解散は不要であるというテレビ・コメンテーターもいる。総選挙は、国民が衆院議員を選ぶとともに、こうしたエセ知識人のウソを暴き出すこともできる場だ。

「ご説明」は、国会議員のみならず、マスコミ、学者・・・

消費増税附則18条では「・・・その施行の停止を含め所要の措置を講ずる」と書かれている。一般の人であれば、これで総理が決断すれば「施行の停止」が出来ると思うだろう。しかし、それは間違いだ。安倍総理が「講ずる」ことができるのは、増税ストップ法案の国会への提出までだ。その法案の成立は国会議員の仕事だ。

それでも、安倍総理は自民党のトップであり、その自民が国会で多数を占めているから、出来るだろうという反論があり得る。これは、今回の消費増税での答えはノーである。財務省が、自民党の多数、民主党まで「ご説明」して、増税ストップ法案は否決されるように根回ししていたからだ。そのとき、財務省は、増税に賛成してくれれば、予算をつけるという懐柔策も示して、増税賛成議員を増やしていた。財務省の「ご説明」は、国会議員のみならず、マスコミ、学者、エコノミスト、知識人まで広範に渡っていた。

そこで、安倍総理は、衆議院を解散して総選挙で、国民から意見を聞いてこい、と言ったわけだ。これは、安倍総理自らが、財務省の動きを示唆する発言をしている。

この解散の威力は、凄まじかった。あれほど増税を叫んでいた国会議員らも、ぴたっと黙ってしまった。

新聞が「今回の解散に大義がない」という理由

新聞各社は、軽減税率に賛成なので、消費増税に賛成というスタンスだった。だから、消費増税をストップさせる今回の解散に大義がないと、おかしなことを言ってしまう。

消費増税は、財務省の悲願なので、政権を潰してもかまわないとさえ思っているかのようだ。そして、財務省の言うとおりにして法案を成立させた竹下内閣(創設)、村山内閣(3→5%)、野田内閣(5→8→10%)は潰れた。安倍政権は、初めて財務省のいうことを聞かなかった政権だ。

今回の解散で、財務省のメンツは大きく失われた。おそらく、グレートリベンジを考えているだろう。実際、そうした声は筆者のところまで聞こえてくる。

実は、財務省のいうことを無視した政治家は、これまで一人いた。故金丸信氏だ。筆者が財務省入省した1980年、当時のグリーンカード法が金丸氏によって執行停止、その後廃案にされた。成立した税法を金丸氏が葬り去ったのは事実だ。金丸氏はその後、税法違反で政治家生命を絶たれた。その両者に関係があるのかどうかは定かでないものの、政治家は財務省権力の強大さを思い知ったはずだ。

財務省のグレートリベンジがどうなるかも、今回の選挙結果に依存する。

高橋洋一
この記事は要約です。詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】故中川昭一氏の遺志は実現されるか?増税を遮二無二に進める、財務省の背景にあるのは日本を便利なキャッシュ・ディスペンサーにしたい欧米の意図(゚д゚)!

財務省が、国民生活など無視して、どこまでも増税推進に走るのか、単に省益とする人もいますが、それだけでは説明のつかないところがあります。特に、今年4月からの8%増税がやすやすと決まったことの背景に、何があるのか・・・・・。この疑問に上の記事は応えてはいないと思います。

増税一色だったマスコミや、政治家、識者などはこのことには応えていません。しかし、ヒントとなることはあります。

さて、昨年の9月には、安倍首相は10月1日を待たずして、早くも増税を決断したかのように執拗に報道されていました。マスコミも、識者も、そうして自民党の政治家たちの発言からも、外堀を埋められて増税に踏み切る事はもはや疑う余地はないという状況でした。

そんななか、アベノミクスの最大の支援者の一人であり、消費税増税に反対する産経新聞の田村秀男編集委員が今朝の「日曜経済講座」で、日本にとって9月は魔の季節だと説いていました。

田村秀男氏

本日はそれについて掲載させていただきます。この記事は、もう産経新聞のサイトからも消えています。そのため、全文引用させていただきます。
産経新聞(2013/9/22)
日曜経済講座(田丸秀男編集委員)「現金支払機」の増税デフレ中川元財務相の「遺言」に思う
 18日展、安倍晋三首相が苦悩の末、消費税増税を決断したと聞いたとき、ふと、「9月は日本にとって因縁の月か」と思った。「平成バブル」へと日本を導いたプラザ合意(昭和60年)、米中が裏で示し合わせてアジア通貨危機対策での日本の主導権を葬り去った国際通貨基金(IMF)・世界銀行香港総会(平成9年)、そして日本のデフレ不況を加速させたリーマン・ショック(20年)も9月の出来事である。日本はそのつど、国運を狂わせた。 
 リーマン・ショック直後に財務相に就任したのは故中川昭一氏で、20年10月10、11の両日にはワシントンで先進7力国(G7)財務相・中央銀行総裁会議などを精力的にこなした。 
 以下は氏から直接聞いた秘話のメモである。 
 10日、ポールソン米財務相、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長らに対して公的資金投入による金融危機対策を厳しく迫った。11日にはブッシュ大統領主催のホワイトハウスでの歓迎パーティーに出席。そこに飛び込んできたのは、北朝鮮に対する米国の「テロ国家指定解除」という重大ニュースだった。中川さんはそれを耳にするや、前日にも会って面識のあるブッシュ大統領に走り寄った。「大統領、どうしてですか。日本人などの拉致問題をどうするのか」と詰め寄る。大統領は「あそこにいるコンディ(コンドリーザ・ライス国務長官)に聞いてくれ」と逃げ出した。 
 中川さんは帰国後、訪ねてきた米共和党の要人に向かって、口頭でホワイトハウスヘの伝言を託した(筆者はこの場に居合わせた)。 
内容は、 
「いくら世界のためだ、黙ってカネを出せと言われても、日本はキャッシュ・ディスペンサー(CD、現金自動支払機)になるつもりはない」。 
 遺言だな、と今思う。 
 筆者が知る限り、国際金融の舞台での致命的とも言える日本の弱さにいらだちを強く感じ、激しく行動した政治家は、中川さんしかいない。 
 消費税増税問題を国際金融の次元でとらえ直すと、日本は増税によって米欧のための「キャッシュ・ディスペンサー」の役割を確約したといえるかもしれない。 
 日本は世界最大の外国向け資金の提供国であり、その基本的な担い手は家計である。 
 家計金融資産の多くは銀行など金融機関に預け入れられる。金融機関は資金の多くを日本国債や外国証券に投資して運用する。財務省は外国為替資金特別会計を通じて金融機関から円資金を調達して米国債を購入、運用する。 
  家計は10年以来の「15年デフレ」の聞、消費を抑えてひたすら金融資産を増やし続けてきた。今年6月末、名目国内総生産(GDP)は9年末比で44兆円減だが、家計金融資産は305兆円、対外金融資産は398兆円増えた。

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 リーマン後の増減が本グラフである。名目GDPはマイナスが続くのに、金融資産増に加速がかかっている。しかもその増分相当がそっくり海外での金融資産に充当されている。ドル換算すると、対外金融資産総額は今年6月末時点で約1兆7千億を増えた。 
このカネは米連邦準備制度理事会(FRB)が増刷したドル資金約1兆5千億をしのぐ。FRBマネーは紙切れでいくらでも刷れるが、しょせんはあぶく銭だ。日本が出すのは本物のカネであり、国民の勤勉な労働の産物である。 
 FRBが量的緩和政策の縮小に動く中で、勤揺する米欧の株式や債券市場にとって、これほど頼りになるカネはない。日本はデフレで国内資金需要がないから、余剰資金は海外に流れ出る。デフレ圧力を一層高める大型消費税増税に日本が踏み切ることは米欧の投資ファンドにとって死活的な利害といえよう。米欧の国際金融マフィアが牛耳る国際通貨基金(IMF)は2年以上前から日本の消費税増税をせき立ててきた。G7、G20(新興国を含む20力国)もそうだ。 
 英フィナンシャル・タイムズ紙(FT、アジア版)は13日付の社説で、消費税増税を「挑戦するに値するギャンブル」、「さいは投げられた」として安倍首相の増税決断を先回りして褒めたたえた。ウォール街など国際金融市場の利害を反映する他の金融中心の米欧メディアも同様だ。 
 今の日本には中川さんのような「国士」が見当たらない。それどころか、得体のしれない「国際世論」を重視し、国内世論を無視し、増税を「国際公約」同然とうそぶいて恥じない風潮が言論界や政界に蔓延している。中川さんがもし健在なら、首相にどう助言するだろうか。
中川夫妻
中川氏が存命であれは、なんとかして昨年の8%増税を見送りさせた可能性も大きかったと思います。中川氏とそれに近いグルーブ、これにブラスして、安倍総理とこれに近いグルーブが合わされば、自民党の中でも大きな勢力になっていたに違いありません。

しかし、現実には増税反対勢力は安倍総理とこれに近いグルーブのみであり、欧米・日本国内の反対派に対峙しても勝ち目はなく、多勢に無勢という状況であり、結局安倍総理は、安定政権を樹立するためにも、昨年は増税に踏み切らざるを得なかったのです。

この8%増税によって、日本は欧米にとって、最も良いキャッシュ・ディスペンサーになりました。デフレが継続して消費は滞り、家計は今までどおり、消費ではなく貯蓄に励むようになり、結局それらの金が、海外投資に回るということです。

実際に、日本の対外金融純資産(外国に貸し付けているお金)は、過去20年以上にわたって、世界一です。本来これらの金は、デフレでなけば、日本国内の消費や投資に回っていたものです。これについては、このブログでも掲載したことがあるので、そのURLを以下に掲載します。
対外純資産、過去最大の296兆円 2位中国の2倍、22年連続「世界一の債権国」―【私の論評】対外金融資産が世界一の国日本が、財政破綻すると思い込むのは狂気の沙汰、そんなことをいい触れ回る輩は大馬鹿かスパイに決まり(゚д゚)!

そうして、家計は、意的預金などのまわり、その金を預かっている銀行は、日本国内にめぼしい投資先がないため、欧米への投資へとまわり、さらに、これらの金を返す頃には、特に米国がお金を刷り増してインフレにして、ドル安円高にすれば、帳消しにするか、そこまでいかなくても、かなり軽減することができます。

こういう背景がなければ、財務省が増税推進を強力に推し進め、政治家や、マスコミから識者まで、あの非常識な増税に両手をあげて大賛成という状況にはならないはずです。

このようなことを掲載すると、アメリカが10%増税には反対したいたことと、矛盾するではないかと指摘する人もいるかもしれません。

しかし、それは十分に説明がつきます。8%増税くらいなら、日本はアメリカにとって、良いキャッシュ・ディスペンサーになるのでしょうが、さすがに10%増税を実行してしまえば、日本経済に及ぼす破壊的な悪影響ははかりしれず、そうなれば、日本の家計にかなり悪影響を及ぼすことになるは、必至です。

だからこそ、アメリカも8%増税で暫く様子を見ることにしたということでしょう。アメリカ内部では、8%増税でも、かなり悪影響があり、家計に悪影響を与える可能性もあるとの指摘もあったものと思います。

日本の家計に悪影響を及ぼし、目減りなどしてしまえば、あるいはもしも日本が本当に財政破綻でもしてしまえば、アメリカにとっては便利なキャッシュ・ディスペンサーが使えなくなるという危惧があるため、さすがにアメリカもこの時期の10%増税には、懸念を示したのです。

この懸念については、このブログでも掲載したことがありますので、以下にそのURLを掲載します。
消費増税 米もダメ出し 財務長官が「失望」表明―【私の論評】日本のマスコミが伝えない真実!ルー米財務長官吠える!日本の増税DQNどもをそのまま放置するな(゚д゚)!
リー米国財務長官

詳細はこの記事をご覧いただくものとして、10%増税を実行してしまえば、家計も直撃し、家計が目減りすれば、元も子もなくなるわけで、今のタイミングでの10%増税には反対しているわけです。

しかし、日本の経済状況か良くなれば、日本政府が再度増税して米国のキャッシュディスペンサーとしての地位を揺るがないものにしたいという考えがあることは間違いないと思います。

だからこそ、安倍総理は、増税推進派に対して「1年半後」に間違いなく増税するというリップ・サービスをしたのです。
財務省の屈辱と安倍総理のリップ・サービス―【私の論評】今回の解散は、どんなに反対があっても総理大臣は、解散・総選挙という伝家の宝刀を抜くことができるということを示したことで大義は、はっきりしているのに「大義なし」といった輩はただの無能蒙昧の大馬鹿野郎(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして。安倍総理のリップサービスに関連する部分のみ以下に掲載させていただきます。
安倍総理が増税延期を決断したのは歓迎すべきことだが、どうして「1年半後」に増税することを、合わせて断言したのか、その狙いがよくわからないという人もいる。これは、端的に言えば、財務省およびそのカネに群がる人たちへのリップ・サービス。政治的にどうしても我慢できない人たちに向けて、「1年半後」と言って納得してもらったのである。あくまでリップ・サービスという点が重要だ。 
「1年半後」というのは、消費増税の引き上げ時期を'15年10月から1年半後の'17年4月にするということだが、これは今から2年4ヵ月先である。政治では予測不可能である。ただし、それまでの間、'16年7月頃には参院選挙が確実にある。となると、そのときに、衆院選とのダブル選挙があっても不思議ではない。要するに、「1年半後」というのは、財務省らの増税勢力に対する懐柔策であると同時に、安倍政権側が増税勢力に対して総選挙という伝家の宝刀を抜くかも知れないというオプションを持つことなのだ。
このように、今回の解散が、「安倍政権vs.増税勢力(財務省とその「ポチ」たち)」の構図になっていることがわからないと、本当の意味が見えてこない。 
今回の解散は、戦後おそらく初めて、時の総理が財務省の言うことを聞かなかったものだろう。その意味で、政治史として特筆すべき出来事なのだ。プライド高く、政治家を見下してきた財務省にとって屈辱のはずだ。国民は、安倍政権か財務省のどちらを選ぶだろうか。
そうして、このリップサービスは、財務省に対するだけのものではなくて、欧米に対しても、日本はよりよき、キャッシュ・ディスペンサーであり続けますというものでもあります。

いずれにせよ、安倍総理は日本銀行を何とか、日本政府の金融政策にもとづき金融政策を実行できるようにしました。こうなると、欧米諸国にとっては、いくら自分たちがお札を刷り増しても、日本が金融緩和策を実行すれば、国内がインフレになるだけになってしまいます。

そうなると、財務省などが増税などで、緊縮財政を実行すれば、日本はデフレであり、これにより、欧米諸国がインフレになる状況を防ぐことができるわけです。実際、欧米諸国は、リーマン・ショックのときに、自分たちがお金を大量に刷りましすることでも、日本が大幅な金融緩和をしなかったことにより、国内のインフレを抑えることができました。

結局リーマン・ショックの震源地でもないし、サブプイラム・ローンなども関係なかった日本が、一人負けの状態となりました。そうして、日本は、欧米諸国の便利なキャッシュディスペンサーであり続けたわけです。

安倍総理は、リップサービスなどで、アメリカの様子をうかがい、次の増税に関しては、自らのイニシアチブで導入か見送りをできるように、今回の選挙には全力あげて取り組むことでしょう。

私たち、日本国民も、故中川氏の意志を引き継ぎ、日本国を欧米諸国の便利なキャッシュディスペンサーにすることなく、とはいいつつ、適度に投資もして、日本も欧米も互いに良くなる道を選ぶべきものと思います。

それが、まともな国際環境であり、秩序だと思います。日本は、日本の意志でこうした新しい国際秩序を樹立し、世界に貢献する道を選ぶべきであって、「戦後体制」のまま、かつての戦勝国の思惑に流されることなく、それを実行することが「戦後体制」からの脱却につながります。

私は、そう思います。皆さんはどう思われますか?

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2014年11月21日金曜日

クルーグマン氏が決定的役割-安倍首相の増税延期の決断で―【私の論評】ブルームバーグ日本語版記事から抜け落ちた部分の意味を理解せよ!今回の安倍総理の増税見送り、解散・総選挙は、財務省に挑戦状を叩きつけたのだ(゚д゚)!

クルーグマン氏が決定的役割-安倍首相の増税延期の決断で

ボールクルーグマン博士
11月21日(ブルームバーグ):ノーベル経済学賞受賞者、ポール・クルーグマン氏の訪日予定を耳にした際、本田悦朗内閣官房参与は、再増税をめぐる議論を慎重派に有利な方向に導く好機が到来したと思った。

安倍晋三首相にとって、消費税率を2015年10月に10%に引き上げることの是非を決断する期限が近づきつつあった。今年4月の8%への引き上げの影響で、日本の景気は四半期ベースとして世界的な金融危機以降で最も深刻 な落ち込みに見舞われ、その後の回復の足取りもおぼつかない状況だった。

安倍首相と30年来の知己である本田氏(59)は、4月の増税反対に続き、15年の増税延期を首相に助言。そこに登場することになったのが、自身のコラムで日本の増税延期が必要な理由を説いていたクルーグマン氏だった。

本田氏は20日、オフィスを構える首相官邸でインタビューに応じ、「あれが安倍総理の決断を決定づけたと思う。クルーグマンはクルーグマンでした。すごくパワフルだった。歴史的なミーティングと呼べるものだった」と、首相とクルーグマン氏の会談を振り返った。

助っ人

帝国ホテルから官邸への高級車の車内で本田氏は、安倍首相との会談がいかに重要かをクルーグマン氏(61)に説明した。増税延期で首相を説得する手助けをクルーグマン氏にしてもらえる可能性があった。  クルーグマン氏は今月6日の首相との会談について、自身が首相の決断に及ぼした役割の大きさには控えめな態度を示す。同氏は20日の電話インタビューで「首相の質問には明確に答えられたと願う。私がこれまで書いてきたようなことうまく説明できたと思うが、首相の考えにどこまで影響があったかは分からない」と話した。その上で、増税延期の決定を「歓迎する」と語った。

海外の著名経済学者の助けを借りたいと考えていた本田氏は、クルーグマン氏が東京での講演のため訪日することを偶然知った。「クルーグマンならと思っていたが、ミーティングのためにわざわざ日本に来てれくれないと思っていたら、たまたま日本に来ることを聞いてこれを使わない手はないと思った」と明かす本田氏は、首相とクルーグマン氏の20分間の会談のお膳立てに成功。会談は予定時間の倍近くに及んだ。

会談に同席した本田氏によると、クルーグマン氏は冒頭、アベノミクスを高く評価。唯一の問題は消費増税だと訴えた。会談が終わるまでには、首相は延期を決めるだろうと本田氏は確信を持ったという。

官邸での会談

やはり会談に臨んだ浜田宏一内閣官房参与は18日のインタビューで、「安倍首相はクルーグマン氏の説明をとても注意深く聞いていた」と振り返り、「恐らく首相の決断を手助けしたのではないか」との認識を示した。

安倍首相はNHKで「先般、ノーベル経済学賞受賞者のクルーグマン教授と話した」と言明。「彼の意見は、アベノミクスを支持する。しかし今度の消費税引き上げは慎重にいくべきだ。そうしなければ景気が腰折れしてしまう。となればデフレから脱却できず、経済再生、財政再建もおぼつかないという話だった。私もその通りだと思う」と述べた。

クルーグマン氏は17年4月の10%への引き上げをめぐっては、「ある時点で歳入の拡大を図る必要がある点は理解する」とした上で、「私としては『インフレ率が2%程度に達してから引き上げる』といった条件付きの延期の方が望ましいと考えるが、そうした可能性がないことも理解している」と語った。

原題:Abe Listening to Krugman After Tokyo Limo Ride on Abenomics Fate(抜粋)

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 藤岡 徹tfujioka1@bloomberg.net;ロンドン Simon Kennedyskennedy4@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先: Christopher Ansteycanstey@bloomberg.net Brett Miller更新日時: 2014/11/21 13:21 JST

【私の論評】ブルームバーグ日本語版記事から抜け落ちた部分の意味を理解せよ!今回の安倍総理の増税見送り、解散・総選挙は、財務省に挑戦状を叩きつけたのだ(゚д゚)!

さて、このブルームバーグの記事の英語の元文には、実は日本語版には掲載されていないことが盛り込まれていた。

それに関しては、前田敦司氏が、ツイートしていますので、そのツイートを以下に掲載します。
確かに、英語版をみると、リフレ派頭脳集団の前に、増税させじと財務省の官僚らが、たちはだかっていたことが掲載されています。

日本語版の最後に(抜粋)とことわってありますし、記者・編集者は英語版も抜粋日本語も同じ人たちによるものです。

さて、これを私達は、どのように解釈すれば良いのでしょうか。これは、昨日のこのブログをご覧いただければ、良くご理解いただけると思うので、その記事のURLを以下に掲載します。
【衆院選】首相はなぜ解散を決断したのか 幻となった4月総選挙 決断を早めたのは…―【私の論評】産経新聞ですらのってしまった昨年の総理増税決断の虚偽報道!今年は破壊的革命集団財務省が、安倍総理の解散時期をはやめた、その意味するところは?

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、昨年の増税政局においては、新聞は安倍総理が、「増税決断」を正式に発表する前から、どの新聞も例外なく各紙一斉に「安倍総理、増税決断」と報道する異様な自体が発生していました。

そうして、政治家のほとんどが増税推進派となり、識者も増税一色という異様な状況のなかで、安倍総理は増税を決断せざるをえなかったことを掲載しました。そうして、日本のほとんどの勢力が「増税一色」で固まった背景には、財務省の増税キャンペーンがあったことを掲載しました。

これを掲載した後で、この記事は、以下のように結びました。
今から、思えば、安倍総理は8%増税も本当はやりたくなかったということが良くわかります。それは、今年の動きを見れば、はっきりしています。そうして、本当は、去年の9月でも増税は阻止できたはずです。法律の条文など、一日もあればかえられます。
しかし、昨年は財務省の木下康司を筆頭にする、増税推進派の恐喝により、特に自民党の幹部をはじめとする、政治家が徹底的に「増税容認」を固めてしまいました。身動きがとれなくなってしまった安倍総理は、長期政権や、まだまだやり残したことを成就するためにも、「増税の決断」をセざるを得なかったのです。
その木下氏は、実は強大な権力を持つ、財務省の権化のような存在であり、これについては、上念司氏が、わかりやすく解説していますので、その動画を以下に掲載します。

木下氏は、財務次官だったときには、繰越予算など、憲法解釈上認められないはずなのに、つるの一声でそれを実現してしまいました。この動画でも、上念氏が述べているように、このようなことは、総理大臣でも出来ないことです。日本には、このような国民の選挙で選ばれた議員による国会や、政府の他に、財務省の一部の人間や、一部のOBなどによる大きな影の強力な権力集団があるということです。
その影の権力集団が、昨年に続き、今年も増税恐喝を続け、他省庁の官僚はもとより、政治家やマスコミを「増税容認」で固めてしまおうとしたのですが、さすがに、そうはいかなかったというのが、今年の流れです。
そもそも、世論が7割がた、増税に反対なのに、無理に増税に踏切るという事自体が、異常です。昨年は、安倍総理としては、解散総選挙というわけにもいかず、増税に踏み切らざるを得ませんでした。ゆくゆくは、20%増税も視野に入れている財務省は最早、政府の一下部機関とはいえません。破壊的革命集団とでも呼ぶのが相応しいと思います。
20%増税などしてしまえば、日本経済も国民も疲弊してどうしようもなくなることははっきりしています。しかし、そんなことはお構いなしに、財務省はいずれそれを実現しようとしています。これでは、破壊的革命集団と呼ぶ以外に適切な名称などありません。
これは、見方を変えてみれば、単なる日本経済や財政、デフレに関することだけではなく、安倍総理の第二の権力への挑戦とみてとるべきです。 
そうして、この挑戦は、すぐに結果がでるものではありません。長きにわたって、展開されることになると思います。 
さて、あなたは、どちらに与しますか。正当な手続きを踏んだ、安倍総理の側ですか、それとも影の権力ですか。 
私としては、無論のこととして、正当な手続きを踏んだ、安倍総理の側にたちます。
それにしても、安倍総理の増税見送り、解散・総選挙宣言!ようやっと、日本でも正当ではない権力に立ち向かう総理大臣がでてきたということで、この部分では財務省に一矢報いたということで、勝利と見て良いのではないでしょうか。 
ただし、これからも戦いは長く続きます。影の権力が日本よりなくならない限りこの戦いは終わりません。 
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?
このように、今回の安倍総理の増税見送り、解散総選挙は、財務省に対する宣戦布告でもあったのです。それを昨日も掲載したのですが、これでは憶測にすぎなかったものです。しかし、本日の上のブルームバーグの記事、それに日本語版などで、掲載されなかった部分があるというこの事実。

なぜ、英語版では掲載して、多くの英語圏の人々に読んでもらっても良いものが、日本国内版ではカットされるのかということの裏を読んでいただければ、ご理解いただけるのではないかと思います。

なぜか日本では、財務省現役とOBの一部の人間が、全部とはいいませんか、選挙で選ばれた国会議員や、内閣よりも、多方面にわたって、強力な権力を持っています。

たとえば、上の動画でも上念氏が説明しているように、財務省は今年の春に、予算の繰越をできるようにしましたが、法解釈上これは本来なら安倍総理でも一存ではできません。しかるべき正当な手続きの後でないとできることではありません。しかし、当時の木下康司財務次官は、鶴の一声でこれをやってのけました。

日本では、まだ、こうした権力の二重構造があるのです。こうした二重構造に挑戦しようとしたのが、故中川氏でした。

中川氏は、財務省の特別予算というおそろしく複雑怪奇な仕組みに切り込み、財務省の埋蔵金ということをいいだしました。中川氏も財務省の権力に挑戦しようとしたのでしょうが、その志は誠に残念ながら中途でついえてしまいしまた。この志を引き継いでいるのが、安倍総理です。

左より、高橋はるみ北海道知事、安倍晋三氏、在りし日の中川一郎氏
安倍総理の今回の増税見送り、解散・総選挙は、こうした二重権力廃止への挑戦を宣言をしたということです。いかに財務省とはいえども、官僚が表だって、10%増税を実行することはできません。それに、選挙によって正式な手続きを経た後に、民主的な手続きよって、誕生している総理に対して、あれこれ指図もできません。

財務省の権力は、あくまでも間接的なものです。日本国の財布の紐を握っているということで、それを利用して、ありとあらゆる手段を使って、他省庁や、政治家に圧力をかけ、自分たちにとって都合のよいように政治を動かしていくというのが彼らのやり方です。

それは、増税政局もそうでした。財務省は、昨年も今年も同じく、ご説明資料を持って、政治家やマスコミを回っていました。とはいいながら、その内容は、まさに恐喝でした。増税しないと、あれはできないぞ、これもできないぞという脅しです。安倍総理が何らかの行動にも出なければ、今年も昨年と同じように、増税が決まっていたことでしょう。

でも、今年は、いろいろな人が、財務省の増税推進の間違いについて、新聞は報道しなくても、徹底的にサイトなどのメディアに掲載するなどのことで、その真相ははっりきとはわからなくても、間違いであること、自分たちにとっても、良くないことであることが、理解され、多くの人達が増税に反対でした。

ここを突いたのが、安倍総理です。解散総選挙して、圧倒的多数を勝ち得ることができば、財務省とて、これを無視するわけにはいきません。そうして、安倍総理は無論、こんなことは見通していましたし、10%増税など実行すれば、経済がかなり落ち込み、安倍政権どころか、自民党政権も危うくなるということに気づいていました。

だから、クルーグマン氏の訪問と、安倍総理に対するアドバイスは、あくまでコーチング的なものであったと思います。コンサルティングなどとは異なり、コーチングでは、コーチングを受ける側に、考えて自ら問題を解決する力をつけさせるのが最終的なゴールです。クルーグマン氏も、すでに安倍総理が持っている答えを後押ししたということです。

それに、こうしたノーベル学者のアドバイス内容を公表することにより、対外的なアピールに使うという目的もあったでしょう。そもそも、クルーグマン氏は学者です。日本の経済について、経済的な観点からアドバイスはできても、日本に政局に対するアドバイスはできません。

アメリカの政局なら、それなりに理解していて、特にブッシュ政権に対する批判は、かなり辛口で辛辣でしたが、日本の政局についてはそんなに詳しくないし、他国の財務省を手ひどく批判するわけにもいきません。それに、ここ最近の増税論議などは、経済理論や、理屈など完璧に脇においた次元であり、政局そのものでした。

ただし、今回の安倍総理の挑戦は、これから長く続くであろう、最初の一回です。しかし、安倍総理には、今回のことを忘れてほしくはありません。それは、民意が自分の側についていれば、財務省も手出しはできないし、出せば大やけどをするということです。

以上のようなことは、全く表には出ないので、多くの人が知らないですし、マスコミも報道しません。水面下での戦いです。ただし、いずれ財務省の敗北が濃厚になった場合は、報道されるようになるかもしれません。しかし、今のところは、財務省がまだまだ優勢なので、しばらくは表には出てこないでしょう。

いずれにせよ、日本のような先進国において、権力の二重構造があってはならないはずです。この二重構造を廃することが、本当の意味での政治主導です。民主党がやろうとした、政治主導など、最初から間違っていました。事業仕分けや、官僚の天下りばかり追求したとしても、元を絶たなけれは、政治主導はいつまでたっても成就しません。

このような観点や背景から、増税政局、マスコミの報道姿勢、政治家の行動をみると、様々なことが浮かび上がってきます。しかし、このような観点がなければ、日本の政治、政局は全くみえてきません。今回の選挙の大義は何かなどと、まだ馬鹿なことを言っている政治家や、マスコミ関係者が大勢いますが、かれらは政局もまともに、見ることができない大馬鹿者だと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どうおもわれますか?

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