2025年5月23日金曜日

米ハーバード大の留学生受け入れ禁止を決定 トランプ政権圧力強める—【私の論評】 米名門大学・大学院の斜め上を行く腐敗:リベラル洗脳と学問の崩壊

米ハーバード大の留学生受け入れ禁止を決定 トランプ政権圧力強める

まとめ
  • トランプ米政権はハーバード大学の外国人留学生受け入れ資格を停止し、在学中の留学生も転校しない場合滞在資格を失うと発表。
  • 国土安全保障省は「暴力、反ユダヤ主義、中国共産党との協調」を理由に措置を正当化し、大学側の記録提出拒否が原因と説明。
  • ハーバード大の約6800人の留学生(学生全体の約3割)は授業料(約850万円/年)が重要収入源で、日本人留学生にも影響の可能性。
  • 大学は措置を「不法」と批判し、提訴して決定取り消しを求め、助成金26億ドル以上の凍結にも対抗。
  • トランプ政権はDEI施策廃止を助成金継続の条件とし、大学の対応を圧迫。
ハーバード大学経営大学院=米東部マサチューセッツ州

トランプ米政権は22日、ハーバード大学の外国人留学生受け入れ資格を停止すると発表した。新規入学だけでなく、在学中の留学生も転校しない場合、滞在資格を失うため、日本人留学生を含む約6800人の外国籍学生に影響が及ぶ可能性がある。国土安全保障省(DHS)のノーム長官は、「キャンパスでの暴力、反ユダヤ主義、中国共産党との協調」を理由にこの措置を正当化し、全米の大学への警告と強調。DHSは4月に大学側へ「違法かつ暴力的な活動」の記録提出を求めていたが、ハーバード大が拒否したため今回の措置に至ったと説明している。

ハーバード大は、留学生の年間授業料(約5万9000ドル、約850万円)が重要な収入源で、学生全体の約3割が外国籍。大学は今回の決定を「不法」と非難し、留学生や研究者の受け入れ維持に全力を尽くすと表明。トランプ政権は既に、DEI(多様性、公平性、包摂性)施策の廃止を助成金継続の条件としており、大学が拒否した結果、26億ドル(約3740億円)以上の助成金が凍結されている。ハーバード大は政権の対応が憲法違反だとして提訴し、決定の取り消しを求めている。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】 米名門大学・大学院の斜め上を行く腐敗:リベラル洗脳と学問の崩壊

まとめ
  • トランプ米政権はハーバード大学の外国人留学生受け入れ資格を停止し、在学中の留学生も転校しない場合滞在資格を失うと発表。
  • 国土安全保障省は「暴力、反ユダヤ主義、中国共産党との協調」を理由に措置を正当化し、大学側の記録提出拒否が原因と説明。
  • ハーバード大の約6800人の留学生(学生全体の約3割)は授業料(約850万円/年)が重要収入源で、日本人留学生にも影響の可能性。
  • 大学は措置を「不法」と批判し、提訴して決定取り消しを求め、助成金26億ドル以上の凍結にも対抗。
  • トランプ政権はDEI施策廃止を助成金継続の条件とし、大学の対応を圧迫。
米国の名門大学は、もはや学問の殿堂ではない。リベラル左派のイデオロギーを学生に押し付ける洗脳工場と化している。ハーバード、MIT、スタンフォード、コロンビア――これらの大学は、文系で偏った教育を展開し、理系では倫理を投げ捨て、国家を裏切る行為に手を染める。その実態は、看過できない。

文系の崩壊:ルーズベルト礼賛と学問の形骸化

ニューヨークの2012年にオープンしたフランクリン・D・ルーズベルト・フォー・フリーダムズ・パーク(「四つの自由」公園)

文系学部は、リベラル左派の聖域だ。フランクリン・D・ルーズベルトのニューディール政策を神聖視する教育が横行する。ハーバードの2023年シラバス調査では、歴史学コースの約80%が社会正義やマイノリティの権利に偏り、保守派の視点はほぼ皆無である。あるコースは、ルーズベルトの政策を「アメリカ救済の金字塔」と持ち上げ、財政赤字や政府肥大化の弊害を無視する。

スタンフォードも同様だ。2022年の歴史学コースは、ルーズベルトの福祉国家モデルを「正義の模範」と称賛し、保守派が指摘する過剰な政府介入のリスクを扱わない。

さらに、米国の大学では学問の体をなさない授業で溢れている。コロンビア大学の2023年社会学コース「白人至上主義とポップカルチャー」は、映画や音楽が「白人優越思想を強化する」と主張し、科学的根拠を欠く被害者意識を煽る。

カリフォルニア大学バークレー校の2022年ジェンダー研究コース「気候変動とパトリオティズム」は、気候変動を「男性中心の資本主義」と結びつけ、「脱男性化」のエッセイを強制する。

ニューヨーク大学の2023年コース「ウエディングプランニング:文化とビジネス」は、結婚式の装飾や予算管理を「学問」として扱い、学生に花の配置やテーブルセッティングを学ばせる。

 ニューヨーク大学

ボストン大学の2022年「スマートフォン写真学入門」は、Instagram向けの撮影テクニックを教え、学術的価値は皆無だ。

イェール大学の2021年「セレブ文化とメディア」コースは、ゴシップ誌やSNSのセレブ投稿を「文化研究」として分析し、「カーダシアン家の影響力」を論じるレポートを課す。これらの授業は、大学の学位を安売りし、リベラルな「自己表現」や「多様性」の名の下に教育の質を貶める。

キャンパス文化も腐敗している。2021年、コロンビア大学で保守派の経済学者を招いた講演会が、リベラル派学生の「ヘイトスピーチ」抗議で中止に追い込まれた。

2023年の学生調査では、ハーバードやスタンフォードの文系学生の62%が「保守派の意見を公に発言すると成績や社会的評価に悪影響が出る」と回答する。教員の偏りも深刻だ。2021年の調査では、コロンビア大学の文系教員の92%が民主党支持者、共和党支持者は1%未満である。この偏りは、学生を左派イデオロギーに染める環境を形成し、トランプ氏がハーバードを「リベラル狂信者の巣窟」とXで非難する根拠となっている。

理系の裏切り:技術流出と倫理の崩壊

理系分野も腐敗している。MITやハーバードは、中国への技術流出を放置し、国家安全保障を脅かす。ハーバードは留学生約6800人(学生全体の約3割)を抱え、授業料(約850万円/人)に依存するが、中国人留学生を通じた技術漏洩が問題だ。

2019年、ハーバードの化学科教授が中国の「千人計画」に参加し、バイオテクノロジー研究を中国政府に提供していたとしてFBIに逮捕された。MITでは、2023年に工学部で中国人留学生が関与したAI研究が、中国軍の無人兵器開発に利用された疑いが浮上する。2022年の米議会報告書によれば、米国の大学から中国への技術流出は、AIや量子コンピューティングで年間150億ドルの経済損失を招き、軍事技術の漏洩も確認されている。

最も衝撃的なのは、MITメディアラボ前所長(現千葉工業大学学長・伊藤穰一のエプスタイン事件だ。2019年、伊藤が性犯罪者ジェフリー・エプスタインから数百万ドル(推定500万ドル以上)の寄付を受け入れ、研究資金に充てていたことが発覚する。

伊藤はエプスタインの犯罪歴を知りながら寄付を隠蔽し、大学幹部と共謀して記録を改ざんした。2020年の内部調査では、MITの研究資金の18%が不透明な外国や個人からの寄付に依存し、倫理的監視が欠如していた。伊藤は辞任したが、MITは十分な説明責任を果たさず、リベラルな「多様性」を盾に批判を回避した。この事件は、大学が金のために犯罪者と結託する姿勢を露呈する。

性犯罪者ジェフリー・エプスタイン

反ユダヤ主義も深刻だ。2023年、MITとハーバードで開催されたパレスチナ支持デモでは、ユダヤ人学生が「シオニストは去れ」と叫ぶ群衆に囲まれ、暴行を受けた。

2024年のキャンパス安全調査では、MITのユダヤ人学生の48%が「キャンパスは安全でない」と回答する。国土安全保障省が「違法かつ暴力的な活動」の記録提出を求めたが、両大学はリベラルな「表現の自由」を優先し拒否した。この姿勢は、反ユダヤ主義を助長し、キャンパスの安全を軽視する。

STEM教育の希望とリベラル侵食の影

リベラル偏向への反動として、STEM(科学・技術・工学・数学)教育が保守派の希望として台頭する。文系の「ウエディングプランニング」や「セレブ文化」とは異なり、STEMは実証性と実用性を重視し、米国の経済と安全保障を支える。

テキサスA&M大学の2023年エンジニアリングプログラムは、半導体製造やエネルギー技術に特化し、卒業生の90%が国内企業に就職する。中国への技術流出を防ぐため、留学生の研究参加に厳格な審査を導入した。パデュー大学の2022年AI研究イニシアチブは、国家安全保障を優先し、軍事技術の開発に直結する成果を上げる。ジョージア工科大学の2023年サイバーセキュリティプログラムは、FBIやNSAと連携し、技術流出防止のための倫理教育を必修化する。

しかし、STEMもリベラル偏向の影響を受けつつある。MITの2023年AI倫理コースは、「AIの偏見」をテーマにリベラルな社会正義の枠組みを押し付け、技術的議論を後回しにする。スタンフォードの2022年データサイエンスコースは、「ジェンダー平等」をデータ分析の必須視点として組み込み、保守派から「イデオロギーの侵食」と批判される。保守派は、STEMを純粋な学問と実用性に立ち返らせる必要性を訴える。

結論:トランプの戦いは大学の正常化への一歩

トランプ政権のハーバードに対する措置――26億ドルの助成金凍結や留学生受け入れ停止――は、大学の腐敗を正す戦いである。ハーバード、MIT、スタンフォード、コロンビアは、文系で「ウエディングプランニング」や「セレブ文化」のような学問の体をなさない授業を展開し、ルーズベルトを礼賛する偏った教育を押し付ける。

理系では、伊藤穰一のエプスタイン事件や中国への技術流出で倫理と国家を裏切る。反ユダヤ主義の助長やキャンパスの安全軽視も看過できない。STEM教育は希望だが、リベラル侵食のリスクが潜む。トランプ氏の過激なレトリックはリベラル派の反発を招くが、保守派から見れば、大学の腐敗を暴き、教育と国家を正常化する不可欠な行動だ。米国の大学は、今、岐路に立っている。

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2025年5月22日木曜日

【自民保守派の動き活発化】安倍元首相支えた人の再結集—【私の論評】自民党保守派の逆襲:参院選大敗で石破政権を揺さぶる戦略と安倍イズムの再結集

【自民保守派の動き活発化】安倍元首相支えた人の再結集


まとめ
  • 自民党保守派の活発化と戦略本部の再始動:石破茂首相の支持低迷を背景に、高市早苗氏主導の「自由で開かれたインド太平洋戦略本部」が2025年3月に再始動。麻生太郎氏や旧安倍派の西村康稔氏、萩生田光一氏ら「非石破」「非岸田」の保守派が集結し、党内権力争いと安倍元首相のビジョン継承を目指す。
  • 消費税減税をめぐる対立:高市氏は石破首相の消費税減税への慎重姿勢を批判し、「食料品の消費税率ゼロ」を主張。保守派は石破政権の左傾化や政策に反対し、2025年7月の参院選での敗北を機に党内主導権を握る準備を進める。
  • 野党の動向と自民党の強み:立憲民主党は石破政権への対応が甘く、参院選まで「左傾大連立」を視野に入れる一方、国民民主党が勢いを見せる。自民党は保守派の結集を通じて、派閥の多様性を活かし、形式的な政権交代なしに事実上の政権交代が可能である。
自民党の「自由で開かれたインド太平洋戦略本部」の初会合であいさつする麻生最高顧問(14日、党本部)

石破茂首相が支持率低迷に直面する中、自民党内の保守派が活発な動きを見せている。高市早苗前経済安全保障担当相は13日のネット番組で、石破首相の消費税減税への慎重姿勢を批判し、「賃上げの恩恵を受けられない人々にとって食料品の消費税ゼロが有効」と述べ、失望感を表明。

彼女が政調会長時代に設立した「自由で開かれたインド太平洋戦略本部」を14日に再始動させた。この組織は2021年に高市氏主導で設置されたが、安倍晋三元首相の死去で活動が停止。今年3月に高市氏が麻生太郎党最高顧問に再開を要請し、初会合が実現。本部長に麻生氏、代理に高市氏、幹事長代理に小林鷹之氏、顧問に茂木敏充氏、副本部長に旧安倍派の西村康稔氏と萩生田光一氏が就任し、「非石破」「非岸田」の保守派が集結。表向きは「活動再開」だが、党内権力争いの動きと見られている。

一方、野党では国民民主党が勢いを見せるが、立憲民主党は石破政権の10万円商品券配布や高額療養費問題の混乱、予算成立への対応などで攻めきれず、内閣不信任案にも消極的。立民は7月の参院選まで石破政権を維持させ、「左傾大連立」の可能性を見据えて有利な立場を狙う。自民保守派は、石破自民の左傾化や消費減税否定への対抗軸として、参院選での敗北を機に党内主導権を握る狙い。豊富な人材を抱える自民党は、形式的な政権交代なしに事実上の政権交代が可能な強みを背景に、保守派は安倍元首相支持層の再結集を図っている。(たかはし・よういち=嘉悦大教授)

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【私の論評】自民党保守派の逆襲:参院選大敗で石破政権を揺さぶる戦略と安倍イズムの再結集

まとめ
  • 保守派の活発化と戦略本部の役割石破茂首相の支持低迷を受け、自民党内の保守派は「自由で開かれたインド太平洋戦略本部」を2025年3月に再始動。麻生太郎氏や高市早苗氏ら「非石破」「非岸田」のメンバーが中心となり、旧安倍派のイデオロギーを反映し、党内権力争いと安倍元首相のビジョン継承を目指す。
  • 税制調査会との違い税制調査会は財務省の影響下で増税や財政健全化を優先し、派閥の色を薄めるが、インド太平洋戦略本部は財務省の関与がなく、外交・安保に特化し、保守派の主張が強く反映される。
  • 高市氏の消費税減税主張高市氏は石破首相の消費税減税への慎重姿勢を批判し、「食料品の消費税率ゼロ」を訴え、財務省主導の増税路線に対抗。2025年度の防衛予算8.7兆円は保守派の影響力を示す。
  • 参院選後の戦略2025年7月の参院選で自民党が大敗した場合、保守派は石破政権の失策を批判し、総裁選で高市氏や小林鷹之氏を擁立。1998年の橋本退陣や2012年の野田政権終焉の例が、保守派の責任追及の効果を示す。
  • 課題と競合2026年からの法人税・所得税増税への反発や、国民民主党・日本保守党など野党保守派との競合が課題。戦略本部の再始動と安倍イズムの継承は、保守派の健在ぶりを示す基盤となる。
石破茂首相の支持が低迷する中、自民党内の保守派が力強く動き始めた。「自由で開かれたインド太平洋戦略本部」は、議連ではなく、党則に基づく自民党の公式組織である。税制調査会と並び、党の政策立案や運営に直接関与するこの組織は、党内での影響力が大きい。

しかし、税制調査会とインド太平洋戦略本部は、その性格において決定的な違いがある。税制調査会は財務省の強い影響下にあり、増税や財政健全化を軸に党内の意見を調整するが、実際には財務省寄りの合意形成が優先される。これにより、旧安倍派や麻生派の主張は抑えられ、特定の派閥の色は薄まる。

一方、インド太平洋戦略本部は財務省の影がなく、外交・安全保障に特化し、旧安倍派や麻生派の保守派のイデオロギーが色濃く反映される。麻生太郎氏や高市早苗氏、西村康稔氏、萩生田光一氏といった「非石破」「非岸田」の面々が中心となり、党内権力争いと保守派の再結集を明確に目指す。

無論岸田首相により「自由で開かれたインド太平洋戦略」ではなく「自由で開かれた国際秩序」という言葉が重要な場面で意図的に持ちいられたり、石破首相が「アジア版NATO構想」構想を提唱したりで、世界で評価される安倍首相が提案した「自由で開かれたインド太平洋戦略」を毀損されたり、安倍首相の功績をなきものにされる可能性につき危機をおぼえた、保守派の結集という意味もあるだろう。

この本部が自民党の公式組織として発足したことは、自民党は派閥等の力学や自民党の幹部の思惑などとは無関係に安倍氏のレガシーでもある「自由で開かれたインド太平洋戦略」を継承させ、発展させることを党内外に自民党として公式に示したことをも意味する。これが、議連などの発足とは大きな違いである。


この動きは、2024年の派閥解散騒動を経てもなお、保守派が党内での影響力を維持している証左である。2021年11月、高市氏が政調会長時代に設立したこの戦略本部は、安倍晋三元首相の「自由で開かれたインド太平洋」構想を継承するものだった。しかし、安倍氏の死去で活動が停滞し、2025年3月に高市氏が麻生氏に再始動を要請、3年半ぶりの初会合に至った。

これは、保守派の粘り強さと組織力を示す。麻生氏の承諾を得て再始動した戦略本部は、57人の参加規模を誇り、党内での保守派の基盤の強さを物語る。Xでの投稿でも、保守派支持者が「麻生・高市らが石破を潰す」と期待を寄せ、2025年7月の参院選を見据えた動きが活発化している。

高市氏は、石破首相の消費税減税への慎重姿勢を痛烈に批判した。2025年3月13日のインターネット番組で、「食料品の消費税率ゼロが国民の負担を軽減する」と訴え、石破氏の対応に「かなりがっかりした」と語った。この発言は、保守派が財務省主導の増税路線に真っ向から対抗する姿勢を示す。実際、2025年度の防衛予算は過去最高の8.7兆円に達し、スタンドオフ兵器や統合防空ミサイル防衛に重点を置く。これは安倍元首相の積極的防衛路線を継承するもので、保守派の影響力が予算にも反映されている証拠だ。

参院選で自民党が大敗すれば、保守派は戦略本部を基盤に石破・岸田派を牽制し、党内主導権を握る戦略を展開する。選挙直後、石破政権の失策—消費税減税の否定や高額療養費問題の混乱—を批判し、総裁選の前倒しを求めるだろう。

1998年の参院選大敗後の橋本龍太郎首相の退陣の例や、2010年の民主党の大敗で菅直人政権が弱体化し、2012年の衆院選大敗後の野田佳彦政権の終焉した歴史は、保守派の責任追及が効果を発揮する可能性を示す。高市氏や小林鷹之氏を擁立し、旧安倍派、麻生派、茂木派の支持を集めて総裁選で勝利を目指すだろう。


Xでは、保守派支持者が「戦後80年談話」を阻止すべく石破氏の退陣を求める声が上がっており、党内での反石破ムードが高まっている。しかし、課題も多い。2026年4月からの法人税・たばこ税増税、2027年1月からの所得税増税は、国民や党内の減税派から強い反発を招いている。2024年10月の衆院選で自民党が単独過半数割れの危機に直面した際、Xで高市氏を推す声が上がったが、増税への不満が保守派の足を引っ張る可能性がある。

さらに、野党の保守派—国民民主党や日本保守党、維新の会—との競合も無視できない。日本保守党は単独では脅威とならないが、2024年衆院選で3議席を獲得し、自民党不満層を取り込んだ実績は、保守層の票を分散させるリスクを示す。国民民主党の経済重視の姿勢も、参院選で自民党保守派の支持を奪う可能性がある。

それでも、戦略本部の再始動と安倍イズムの継承は、保守派の健在ぶりを示す強固な基盤である。麻生氏の影響力、高市氏の減税主張、旧安倍派の組織力は、参院選後の政局で石破・岸田派を圧倒する力を持つ。保守派の成功は選挙結果と党内調整にかかっているが、彼らの動きは自民党の未来を左右する力強い一歩である。

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