2025年10月20日月曜日

日本初の女性総理、高市早苗──失われた保守を取り戻す“新しい夜明け”

まとめ

  • 長年の公明連立体制が終焉し、自民党と維新の連立合意により、高市早苗氏の女性首相誕生が現実味を帯び、日本政治は大きな転換点を迎えた。
  • 最近の産経新聞を含むマスコミの次の選挙での「自民大敗」予測は石破政権と公明連立を前提とした古い分析であり、現実とは異なる。今見るべきは、高市体制が安倍政権期の保守票をどれだけ奪還できるかである。
  • 自民党は2021年から2024年にかけて、選挙区で約675万票、比例で約533万票を失ったが、高市総理誕生によって票の回復が期待される。
  • 市場は高市総裁誕生を受けて株高・円安で反応し、「高市トレード」と呼ばれる現象が起き、政策の方向性明確化への期待が強まっている。
  • 日本初の女性首相誕生は、単なる象徴ではなく政治と社会の意識を引き上げる歴史的契機であり、政局ではなく政策の中身で評価すべき時が来ている。

自由民主党と日本維新の会が連立に大筋合意し、国会の首相指名で高市早苗総裁が日本初の女性首相に就く可能性がかなり高まった。公明党との長期連立が解消された直後の再編であり、従来の政局方程式を塗り替える出来事である。報道ベースでも「LDP×維新」の枠組みは具体化しており、女性首相誕生に現実味が出た。(Reuters)
 
1️⃣「同時選+自民大敗」予測は前提が古い。見るべきは“票の奪還力”だ


一部マスコミで語られる高市政権成立直後に「衆参同時選なら自民大敗」という予測は、石破政権+公明連立という前提に立つ話であり、現下の「自民×維新」前提とは土台が違う。前提が変われば票の流れも変わる。問題は「どこと組むか」だけではない。安倍政権期に積み上げた厚い保守票がどれだけ戻るか、すなわち“奪還力”である。

数字で比較する。まず小選挙区(選挙区)票。2017年総選挙(安倍政権)での比較は割愛し、より直近で母集団が近い2021年総選挙(安倍退陣後・岸田下)と2024年総選挙(石破下)を並べる。自民の選挙区票は2021年が27,626,235票、2024年が20,867,762票。約675万票減だ。大票田の選挙区で票が大きく薄くなった現実は重い。(ウィキペディア)

次に比例代表(全国集計で傾向が読みやすい)票。2021年が19,914,883票(得票率34.66%)、2024年が14,582,690票(同26.73%)。約533万票減、得票率で約8ポイント低下だ。ここでしばしば混同される「2086万票」という数字は**2024年の“選挙区票”**であり、比例票と比較するとミスリードになる。比例で見れば、石破期は2021年比で明確に票を落とした。(ウィキペディア)

この減点幅は、公明の組織票の出し入れだけで吸収できる規模ではない。安倍期には、公明が仮に離れても自民単体の保守基礎票で相当部分をカバーできる強さがあった。石破期はそこが剥がれた。ゆえに、維新との再編で“自民の芯の票”を呼び戻せるかが焦点だ。今回の枠組みは、そのための現実的な回路になり得る。
 
2️⃣市場は素直だ。高市観測で株は上がり、円は緩む

市場は政治の善悪ではなく、政策の見通しに反応する。高市総裁誕生が確実視された10月6日、日経平均は48,000円超えの史上高値圏に急伸した。財政拡大と金融緩和の継続が意識された格好だ。為替は円安方向に振れ、「高市トレード(株高・円安)」の呼称まで出た。(Reuters)


もっと足元を見る。10月20日(月)午前、アジア株は日本主導で上昇し、日経平均は約1.5%高で推移した。背景には「LDP×維新」の大筋合意報道と、米利下げ観測が重なったことがある。円はやや弱含み。市場は新体制を“成長期待”で先取りしている。(Reuters)

参考までに、石破辞任周辺(9月上旬)の相場感だ。9月9日、日経平均は取引時間中に44,000台を一時突破した後、円高と利食いで反落して引けた。政治不確実性と政策期待が綱引きする局面でも、相場は水準を切り上げる力を見せていた。(Reuters)

要するに、市場は「混乱」ではなく「設計図の明確化」を好む。女性首相の誕生と与党再編は、政策の方向を読みやすくする。株はそれに反応しているだけだ。
 
3️⃣結論──初の女性首相は祝福して迎えるべきだ


政治は結果だ。票は数字で語る。2021→2024で自民は選挙区で約675万票減、比例で約533万票減。この現実を直視したうえで、高市新体制がどれだけ“芯の票”を呼び戻すかが勝負である。市場は既に“期待”で動き始めた。ならば我々も素直に喜べばよい。日本初の女性首相は、社会の意識を一段押し上げる。政局の勝ち負けに矮小化せず、国の設計図をどう描くかで評価すべきだ。私は、誕生を歓迎する。
 
主要出典
  • 連立合意報道・女性首相誕生観測、為替反応など:Reuters(2025年10月19–20日配信)。(Reuters)
  • 10月20日午前のアジア株・日経の上昇(約1.5%):Reuters(2025年10月20日)。(Reuters)
  • 10月6日の「48,000超」・“高市トレード”:Reuters(2025年10月6日)。(Reuters)
  • 9月9日の「44,000台一時突破」後の反落:Reuters(2025年9月9日)。(Reuters)
  • 2021・2024総選挙の得票(選挙区・比例)公式結果:Wikipedia「2021 Japanese general election」「2024 Japanese general election」該当セクション(出典は総務省開示の集計に依拠)。(ウィキペディア)
※本文中の数値はいずれも上記ソースの該当箇所をもとに統一した。選挙区票と比例票は性格が異なるため、比較は同一区分どうしで行った。

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