2025年10月3日金曜日

国民の祈りを裏切るな──アンパンマン型リーダーを欠けば自民党に未来はない


まとめ

  • 日本の物語観は西洋の善悪二元論と異なり、神道の「祓え」に基づく善と悪の循環を特徴とし、天皇の祈りがその核心を担っている。
  • アンパンマンは自己犠牲を象徴する存在であり、日本の霊性文化を体現する比喩として政治を語る上でも有用である。
  • バイキンマンは悪役でありながら、循環を生み出す不可欠な存在であり、政治では混乱を通じて真のリーダーを浮かび上がらせる役割を担う。
  • 小泉進次郎はバイキンマンの典型だが、石破茂や岸田文雄ら多くの候補者はアンパンマンにもバイキンマンにもなれず、物語を背負う器量を欠いている。
  • アンパンマン型のリーダーは高市早苗しかおらず、彼女が総裁にならなければ自民党に未来はなく、日本は混乱に陥る。「国民の祈りを裏切るな」が結論である。

1️⃣日本の物語観と天皇の祈り
 
明日の自民党総裁選以降の政局を読み解くうえで、私は「アンパンマン」という物語を比喩に用いる。子供向けに見える寓話こそ、日本文化の深層を映し出す鏡だからだ。ただし、誰が総裁になるかを占うものではない。それに関しては、他のメディアを参照していただきたい。

西洋であれば、バットマンやスーパーマンを比喩に選ぶだろう。彼らは絶対悪を打ち倒し、完全なる勝利を収める。背後にはキリスト教的な善悪二元論がある。悪は消し去られるべきものであり、勝利は断絶を前提とする。

「悠紀殿供饌の儀」のため、祭服で大嘗宮の悠紀殿に向かわれる天皇陛下 2019年

日本は違う。神道の根幹は「祓(はら)え」である。悪や穢れは消滅させるものではなく、祓い清め、循環させることで共同体を保つ。アンパンマンとバイキンマンの関係は、この世界観そのものだ。バイキンマンは倒されても滅びず、繰り返し現れる。善と悪は循環し、影があるからこそ光が輝くのである。

そして、その思想の中心に天皇の祈りがある。天皇は古来、国民の安寧と五穀豊穣を祈り、災厄や不和を祓い清めてきた。断絶ではなく、共同体を調和へ導く「祓え」の実践者である。だからこそ、日本人がアンパンマンの物語を自然に受け入れるのは必然であり、そこに霊性文化の共鳴がある。
 
2️⃣総裁選を映すアンパンマンとバイキンマン
 


やなせたかしが描いたアンパンマンは、自己犠牲をいとわぬ存在だ。空腹の子に自らの顔を分け与える姿は、祈りと奉仕を重んじる日本の霊性文化を象徴している。したがって、政治を論じる比喩としてアンパンマンを持ち出すのは唐突ではない。

政治とは物語である。明日の総裁選もまた、権力闘争ではなく寓話の構造を持つ。そこには「祈り」「悪役」「共同体守護」という要素が潜んでいる。

アンパンマンは共同体を守る祈りの存在だ。一方のバイキンマンは、いたずらや破壊を繰り返すが、決して滅ぼされない。彼は「悪」の象徴でありながら、祓いと循環を生み出す不可欠な存在でもある。
 
3️⃣候補者たちの役割と結論
 
この寓話を政治に重ねれば、バイキンマンは国民に混乱をもたらしつつ「真に必要な政治家」を炙り出す役割を果たす。小泉進次郎はその典型だ。華やかな言葉の裏に中身は乏しく、政策は迷走を繰り返す。しかし、その混乱の果てに国民は「誰が本物か」を見極めざるを得なくなる。

一方、石破茂、岸田文雄、菅義偉、そして今回の総裁選候補者たち(小林氏を除く)は、バイキンマンにすらなれない。光と影の物語を背負う器量がなく、国民に強烈な物語を提供できない。石破はその典型であり、アンパンマンにもバイキンマンにもなれなかったからこそ支持を失ったのだ。


忘れてはならないのは官僚である。財務省や日銀は緊縮と引き締めを当然のように押しつけ、政治を背後から操ろうとする。彼らが利用価値を見出すのは、世論をかき乱すバイキンマン型の政治家だ。凡庸でどちらにもなれない人物は、党を浮上させる力もなければ、官僚にとっても価値がない。だから政治は漂流し、自民党は衰退を深める。かつての民主党政権と同じだ。

この総裁選で問われているのは明白だ。アンパンマンとして共同体を守る祈りを体現できるのは安倍晋三氏の遺志を継ぐ高市早苗しかいない。国防に重きを置き、経済でも現実的な視座を持ち、使命感を胸に共同体を守ろうとする。自己犠牲をいとわぬアンパンマン型の資質を備えた唯一の存在である。

結論は三つに整理できる。

第一に、バイキンマンにもなれない凡庸な人物が総裁になれば、自民党は存在感を失い、保守岩盤層はさらに離反する。多くの議員が議席を失う。

第二に、バイキンマンが総裁になれば、国民に混乱と分断をもたらす。特に小泉進次郎がその立場に立てば、自民党は次の選挙で大敗し、多くの議員が議席を失い、本人も政治生命を絶つことになるだろう。彼が生き残る道は、総裁ではなく攪乱者として徹底的にバイキンマンを演じることにしかない。

第三に、アンパンマンが総裁になれば、自民党は国民の信頼を取り戻し、政治は再び祈りと使命感を宿す。保守岩盤層がかなり戻ることになる。次の選挙で、大敗を免れる可能性が高くなる。

だからこそ、今回の総裁選でアンパンマンが選ばれなければ、自民党に未来はない。政治とはリーダーがアンパンマンあってこその物語であり、そこにバイキンマンも生きる道が生まれてくる。それ以外が総裁になれば、日本は混乱の巷へ墜ちるだけである。ただしそのようなことが続くことは多くの有権者が許容せず、自民党に国民の最後の審判が下るだろう。

最後に言う。国民の祈りを裏切るな。

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