2021年10月25日月曜日

習近平の反資本主義が引き起こす大きな矛盾―【私の論評】習近平の行動は、さらに独裁体制を強め、制度疲労を起こした中共を生きながらえさせる弥縫策(゚д゚)!

習近平の反資本主義が引き起こす大きな矛盾

岡崎研究所

 習近平が展開している反資本主義キャンペーンは習政権の将来を左右するものだが、危険に満ちている、と10月2日付の英Economist誌の社説が論じている。

 習近平が資本主義行き過ぎ一掃のキャンペーンを行っているが、その範囲と野心は壮大だ。2020年、当局がアリババ傘下のアント・グループの新規株式公開を阻んだのが最初で、以来、タクシー配車サービスDiDiは米国で株式を上場して罰せられ、巨額の負債を抱える恒大集団は債務不履行に追いやられつつある。暗号通貨による為替取引も、学習塾も、事実上禁じられた。


 習のキャンペーンは中国経済を脅かし、恒大等、企業の債務問題の追及が引き起こす痛みは予測不能な広がりを見せつつある。締め付けは企業活動を難しくし、利益を上げにくくしている。これらはみな中国経済を破裂させる可能性さえある。そうでなくても、既に中国経済はインフラ投資の利益縮小、労働人口の減少、高齢者の増加等で圧迫されている。

 政治面では習のキャンペーンは個人崇拝に陥る危険性がある。習は変革を実現すべく毛沢東以降、最大の権力を掌握し、来年の第20回党大会では三期目の続投を目指す。習はイデオロギー的締め付けの基盤と主席続投の根拠を作ろうとしているが、これらは中国の将来にとって危険を孕んでいる。

 中国共産党の抱える根本的矛盾は、政治と経済の矛盾である。毛沢東は経済を無視して失敗した。鄧小平は、経済を基本に据え、政治の干渉を減らすことによって驚異の経済成長を実現した。習近平は、政治の復権を図っているが、経済を無視することもできない。その矛盾のまっただ中にいる。

平等の理念は経済の腰折れも起こしかねない

 これまでは経済発展を確保するために成長産業は甘やかされてきた。IT(情報技術)産業や恒大集団などの不動産産業が、それに当たる。その結果、規制の緩い乱雑な産業となった。一連の動きは、その整理整頓という側面がある。

 同時に「習近平思想」により、党の関与の正当性と、社会主義、つまり平等を重視する理念を注入しようとしている。この動きが行き過ぎると、エコノミスト誌の社説が主張するように経済パフォーマンスを大きく削いでしまう。

 習近平は、多くの委員会を立ち上げ、そのトップにつき、国務院に属する事項も直接、自分の管理下に置いた。党の指導、総書記の指導を担保するメカニズムを作ったのだ。党中央、即ち習近平への忠誠要求を強めれば強めるほど、下部機構の自発性は消えていく。何かを言い出して責任をとらされたり、習近平のご機嫌を損ねたりすれば、良いことは何もないからである。

 現在、恒大集団問題への対処の仕方を見ていると、国務院(李克強)の姿が見えない。上手くいかなければ、すべて習近平の責任となる。誰かの首を取って失敗を糊塗するであろうが、習近平の党内の権威はその分傷つく。来年の党大会まで、このような綱渡りが続くであろう。

【私の論評】習近平の行動は、さらに独裁体制を強め、制度疲労を起こした中共を生きながらえさせる弥縫策(゚д゚)!

中国の習近平国家主席は2012年11月に開かれた共産党中央委員会で総書記・軍事委員会主席に選出された際に「社会主義のみが中国を救うことができる」と宣言しました。しかし、市場経済化した今日の中国で文字通りには受け取られず、手あかの付いたスローガンを形ばかり口にしただけだと、ほとんど気にとめられることはありませんでした。

ところが、習氏はインターネット企業や営利目的の教育産業、オンラインゲーム、不動産市場のバブルなど広範な分野で締め付けを行ったり、格差解消戦略「共同富裕」を提唱したりするなど、新しい政策を次々と打ち出し、本気で中国を社会主義の原点に回帰させるつもりだということが明らかになってきました。

ただ、社会主義の原点への回帰は、大きな矛盾をはらんでいます。特に習近平の主張する「共同富裕」は大きな矛盾をはむものです。

確かに毛沢東時代は「みんなが均等に貧乏」でした。その時代を理想とするわけでもないでしょうが、習近平国家主席が言い出した「共同富裕」の実態は「共同貧困」です。つまり、「文化大革命」を強行した毛沢東時代に戻ることです。 


「共同富裕」の考えは、1953年、中華人民共和国を建国した際に毛沢東氏が初めて提唱したものです。その内容は、「貧富の格差を縮小して社会全体が豊かになる」という共産党らしい思想です。 

その後、1978年に、改革開放に着手した鄧小平氏が唱えた「先富論(一部の集団がまず豊かになる中国経済発展の必要性)」がメインの思想となっていたのですが、「社会主義市場経済」と「自由主義市場経済」が混在する現代中国において、習近平氏が再び「共同富裕」を歴史の表舞台に引っ張り上げたわけです。 

習近平氏は、2021年8月17日の中央財経委員会第10回会議にて、中国の深刻な経済格差の是正を目指すという目的で「共同富裕」を提唱しました。習近平氏は、演説のなかで、「不合理な所得の清算と所得分配の是正」を述べています。 

暗号資産の取引による所得が「不合理」に該当するのか判断は難しいところですが、今回の暗号資産規制で「情報の提供」も対象となっていることを考えると、一部の投資家のみにその情報が伝わる(インサイダーに近い情報)ことで、一部の投資家が「不合理」な所得を得た場合という整理が成されているのでしょう。 

つまり、「共同富裕」のスローガンのもと、暗号資産業界の規制強化が行われているとの見方もできます。

中国では、貧困階層が6億人以上と推定され、地方の生活は苦しくなるばかりです。都会へ出稼ぎに出たのはいいが、あちこちの建築現場は工事中断となっています。 

せっかく大学を卒業しても、月給3000元(約5万円)では、アパートの家賃も払えません。若者は未来への希望を失い、最低限の生活を送るだけの「寝そべり族」が急増しました。結婚も子供づくりも諦めたようです。 

日本の報道番組で報道された中国の「寝そべり族」の実態

一方で、不動産価格が高騰し続け、北京の都心ではマンションが2億円と東京より高いのです。大もうけをしたのは共産党幹部たちでしたた。 

そのため、習氏の「共同富裕」に、富裕層が戦々恐々となる。まさに内部矛盾です。 

金持ちからカネを吐き出させる格好の標的は、企業経営者や映画俳優、歌手、学習塾、ゲーム産業となりました。もうかっている企業は寄付キャンペーン競争を開始し、映画スターは脱税を問われる前に外国籍取得に走っています。学習塾が経営難に陥り、家庭教師の失業は200万人とも300万人ともいいます。

「デジタル人民元」の普及は全国民の監視を意味します。「治安が良くなるから社会が安定し、社会主義に戻ることは賛成だ」と共産党の宣伝に乗せられた庶民が多いのには驚かされます。 

マネーロンダリング、不正送金を防ぐために「ビットコイン全面禁止」、ついでマカオの「カジノ規制」を強行しました。香港の民主化を弾圧したため、従来の国際金融都市の機能は顕著に低下しました。香港の優位を失う危機も顧みないのです。

 このような、浅知恵による「すり替えの世論操作」は世界に見透かされています。持続的安定が不可能な、中国の体制矛盾がもたらすものとは何なのでしょうか。 

約6億人の国民は月に1万7000円以下で暮らしていますが、金持ちは豪邸に住み、自家用飛行機を持ち、愛人を囲っています。富裕層への憎悪を他に振り向けるため、台湾への軍事侵攻を煽っているようです。 

「不都合な真実」を隠蔽することは得意な全体主義にも脆弱(ぜいじゃく)性があります。党内の不満による「見えない脅威(=クーデターの脅威)」を人事で抑え、敵対矛盾にすり替えて体制維持しようとするのが当面の作戦でしょう。 

この動きを「毛沢東主義への回帰」とする人もいますが、それは大きな間違いです。複数の報道によると、中国共産党建党100周年に先立ち、中国では統一と忠誠を強調する宣伝活動の障害と見なされる主義者や活動家等の一勢検挙が実施されました。

中華人民共和国を建国した初代最高指導者である毛沢東(Mao Zedong)の思想を支持する毛沢東主義者さえもこの罠に嵌ることになりました。

毛沢東

2021年7月に建党100周年を迎える前、香港、チベット自治区、新疆ウイグル自治区だけでなく、全国規模で反対意見の弾圧に取り組んだ中国共産党の政策の一環として多数の毛沢東主義者が拘束されました。

市場重視派の劉鶴副総理ディディ問題で自己批判書を提出したこと等は、文化革命中のことを想起させました。しかし、現在の中国の問題は毛沢東に回帰してうまく処理できるものではなく、中国国民も開放改革を経験し、変わってきています。

中国の路線変更は大きな問題であり、「毛沢東主義への回帰」とか「鄧小平路線の変更」というよりも、もっと細かく見ていく必要があります。ただ、習近平の今のやり方は中国経済にとってはよい結果をもたらさないということと、中国はますます独裁的な国になることは確かです。共産党と独裁には元々強い親和性があります。

しかし、国民の不満は爆発寸前です。私自身は、習近平の一連の行動は、結局のところさらに独裁体制を強め、国民の不満を弾圧して、制度疲労を起こした中国共産党を生きながらえさせるための弥縫策と見るのが正しい見方だと思います。実際は本当は、単純なことなのでしょうが、それを見透かされないように、習近平があがいているだけだと思います。

習近平に戦略や、主義主張、思想などがあり、それに基づいて動いていると思うから、矛盾に満ちていると思えるのですが、習近平が弥縫策を繰り返していると捉えれば単純です。2〜3年前までくらいは、戦略などもあったのでしょうが、現在は弥縫策とみるべきと思います。

今や習近平の戦略や、主義主張、思想などは、弥縫策であることを見破られないようにするためのツールに過ぎないのです。

一つだけ確かなのは、習近平は様々な弥縫策を打ち出し、さらに独裁体制を強め、制度疲労を起こした中共を生きながらえさせようとしているということです。

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2021年10月24日日曜日

【日本復喝】中国進出企業に軍組織“侵食” 「軍民融合」で日本企業を虎視眈々…技術流出など経済安全保障の危機 ドイツ大手製造業内にも―【私の論評】衆院選後に、対中外交安全保障政策が激変しつつあることが明らかに(゚д゚)!

【日本復喝】中国進出企業に軍組織“侵食” 「軍民融合」で日本企業を虎視眈々…技術流出など経済安全保障の危機 ドイツ大手製造業内にも

岸田首相


 衆院選(31日投開票)では、新型コロナ対策や経済政策、外交・安全保障政策などが焦点で、自民党と公明党の連立与党と、立憲民主党と共産党を中心とする左派野党、第3極の日本維新の会などが競り合っている。岸田文雄首相は、経済活動と安全保障を重ね合わせて、日本の独立や生存、発展を確保する「経済安全保障」を打ち出しているが、軍事的覇権拡大を進める中国を意識しているのは間違いない。こうしたなか、中国に進出した日本の製造メーカーの合弁企業内で、民兵・予備役の軍事訓練や政治教育を行う「人民武装部」が活動していたことが分かった。日本企業は大丈夫なのか。産経新聞論説副委員長の佐々木類氏が迫った。


 「わが国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増すなか、領土、領海、領空、国民の生命と財産を断固として守り抜く」「防衛力の強化、経済安全保障など、新しい時代の課題に、果敢に取り組んでいく」

 岸田首相は8日の所信表明でこう語った。

 やや説明不足の感はあるが、「経済安全保障」を重視する認識は正しい。自民党は選挙公約「衆院選2021公約」にも、「経済安全保障推進法」策定を書き込んだ。

 ただ、中国は、軍事技術と経済発展を結び付ける「軍民融合」を国家戦略と位置付け、日本企業を虎視眈々と狙っている。

 都内に本社がある大手製造メーカーが中国に設立した合弁企業内で「人民武装部」が活動していたことが、日中関係者への取材で分かった。この合弁企業は、日本側と中国側が50%ずつ出資して約20年前に設立された。

 注目の人民武装部は、中国共産党への絶対服従を求められているほか、人民解放軍の指揮下にもある。主に、民兵や予備役の「軍事訓練」や「政治教育」など、軍事関連業務を担う。企業が所有する「資源の徴用」に応じることも義務付けられている。

 「民兵」とは、中国国防法で規程された組織で、人民解放軍、武装警察と並ぶ実力組織。「予備役」も日ごろから軍事訓練を行い、民兵同様、平時も暴動の取り締まりや災害救助などの任務を負う。

 問題の合弁企業内の人民武装部は昨年11月中旬、「人民武装愛国主義教育活動」を実施し、同社の民兵ら30人余りが参加していた。彼らの写真も存在する。

 日本側企業による管理が及ばない内部組織の存在は、企業統治のあり方が問われるだけでなく、技術流出など安全保障上の懸念もある。そもそも、中国では合弁企業内に共産党員が3人以上いる場合、党組織をつくることが義務付けられている。

 ■ドイツ大手製造業内にも 広報担当者、存在を否定

 この大手製造メーカーの広報担当者は、取材に対し、「(合弁企業内において)“人民武装部”という組織は存在しておりません。従いまして、いただいたご質問事項に関してお答えできるものはございません」と回答した。

 写真の存在も指摘したが、担当者は「回答は変わりません」と語った。

 中国国防法には外資企業を除外する規定はなく、人民武装部が存在するのは日本企業だけではない。

 ドイツ大手製造業内にも、人民武装部の存在が日中関係者への取材で確認されている。在中国のドイツメーカー広報担当者も「人民武装部はない」と存在を否定した。

 外資企業における人民武装部の存在は、まだ表立って公表されるケースは少ない。他社にも存在する可能性は十分ある。中国側も、外資企業や外国政府から反発を受けないよう慎重に活動を展開しているとみられる。

 米国は現在、安全保障の観点から中国への輸出管理を強めている。日本企業内の人民武装部の活動次第によっては、米国が今後、日本企業を米国のサプライチェーン(供給網)から外すなどの制裁措置を検討する可能性もある。

 岸田政権は、人民武装部の実態を調査し、「経済安全保障上のリスク」について、目配せしていく必要がありそうだ。

 ■佐々木類(ささき・るい) 1964年、東京都生まれ。89年、産経新聞入社。警視庁で汚職事件などを担当後、政治部で首相官邸、自民党など各キャップを歴任。この間、米バンダービルト大学公共政策研究所で客員研究員。2010年にワシントン支局長、九州総局長を経て、現在、論説副委員長。沖縄・尖閣諸島への上陸や、2度の訪朝など現場主義を貫く。主な著書に『静かなる日本侵略』(ハート出版)、『日本が消える日』(同)、『日本復喝!』(同)など。

【私の論評】衆院選後に、日本の対中外交安全保障政策が激変しつつあることが明らかに(゚д゚)!

まずは、人民武装部とは何なのかを説明します。中華人民共和国国防法22条に人民解放軍現役部隊および予備役部隊、人民武装警察部隊と並んで中華人民共和国武装力量として民兵組成が記載されています。


また、同22条の後半部分には「民兵は軍事機関の指揮下で戦備勤務、防衛作戦任務、社会秩序の維持と補佐を担う」と規定されています。

同様に中華人民共和国兵役法第六章(36条〜38条)では民兵の位置づけや役割、任務が規定され、 さらに細則については民兵工作条例[1]および当条例に従って公布、施行された各地方政府発布の条例等で規定されています。

各地の民兵は中華人民共和国の各地方政府の人民武装部と人民解放軍の二重リーダー制により管理されています。各地方政府の人民武装部は地方政府の幹部がリーダーとなっています。

民兵といっても様々なタイプがある。上は「中国女民兵方隊」

全国統一的な「民兵」部隊というまとまった1つの大きな組織ではなく、広大な国土の地域ごとの特性に応じた民兵組織の集合体であり、その組織も規模が大きなものは1つの社会を形成しています。

平時は民間人と同様にあらゆる産業(工業、農業、漁業、他)、業務(生産、輸送、警備、護衛、監督、他)に従事しているが、法律の規定により状況に応じた一定の軍事訓練が課されています。

大学にも民兵組織があり、サイバー戦部隊も存在しています。

新型肺炎COVID-19の流行においても民兵が動員され、防疫等の活動に従事しています。

民兵は、正規兵の兵役を終えたもの、正規兵から削減されたものなどの受け皿としても機能しています。中華人民共和国駐日本大使館によれば「民兵は国の武装力の構成部分である。民兵は軍事機関の指揮のもとで戦争に備える勤務、防衛作戦任務を担い、社会秩序の維持に協力する。総参謀部は全国の民兵活動を主管し、各軍区は当該区域の民兵活動に責任を負い、省軍区は当該地区の民兵指導と指揮機関である。」とされ、中国人民解放軍の軍区の指揮下にあるとされています。

キャベツを収穫する中国民兵

2004年国防白書で初めて1000万人と発表しました。2011年の中国共産党の発表によれば800万人にまで削減されています。

さて、日本と中国との合弁企業においては、当然のことながら中国共産党が何らかの形で関与しているのは間違いないでしょう。ただ、共産党や、人民解放軍、警察などが直接関与するということであれば、日本企業は警戒心を抱くので、直接は関与せず、人民武装部の民兵が合弁企業に浸透したり、中国人労働者に人民武装部が接近し、それらを人民武装部に取り込むなどの形で間接的に関与しているものと考えらます。

米金融大手ゴールドマン・サックスは17日、中国で投資銀行業務を手がける現地合弁の完全子会社化を巡って、中国当局の承認を受けたと発表しました。これにより、経営の自由度が高まり、成長戦略を進めやすくなります。米系による全額出資が認められたのはJPモルガン・チェースに続き2例目。米中対立が続くなか、中国政府は金融市場の開放を国際社会にアピールする狙いもあるようです。

ただ、いまのところ完全子会社化されたのは、この二社だけです。ただし、完全子会社しても、人民武装部が会社内部に深く浸透している可能性は否定できません。

こうしたことは、中国にある海外企業の全部にあてはまります。日本も例外ではないでしょう。そうして、いずれ米国は、中国の米国企業における人民武装部の排除を試みるでしょう。排除できない場合は、中国の米国企業を中国から撤退させるようにする可能性もあります。

そうなれば、米国が日本企業を米国のサプライチェーン(供給網)から外すなどの制裁措置を検討する可能性も当然のことながらでてきます。

そうして、それに対して政府もそれなりの対応する構えを見せています。

岸田首相の政策の一つの目玉となるのが、「経済安全保障政策」という新しい分野の構築と推進です。首相は先般の自民党総裁選で、「経済安全保障推進法」の策定を公約に掲げましたた。そうして10月4日の組閣では、経済安保相のポストを新設し、若手の小林鷹之氏をあてました。

 同政策の源流は、岸田首相が自民党政調会長時代に創設した「新国際秩序創造戦略本部」にあります。その座長を務めたのが自民党幹事長に就いた甘利明氏であり、小林氏は事務局長として実務面から甘利氏を支えてきました。

地元で遊説した甘利幹事長



経済安全保障政策は、甘利氏の強い影響力のもとで今後進められていくでしょう。 この新国際秩序創造戦略本部での議論をベースに、来年の通常国会で「経済安全保障一括推進法(仮称)」が制定され、経済安全保障政策が本格的に稼働することが見込まれます。 

今年5月に示された「中間とりまとめ」で同本部は、経済安全保障政策を「わが国の独立と生存及び繁栄を経済面から確保すること」と定義しました。その上で、具体的な政策を「戦略的自律性の確保」と「戦略的不可欠性の維持・強化・獲得」に分けています。

前者は、主に他国に過度に依存する状況を変えること、後者は、世界で日本のプレゼンス、優位性を高めていくことです。前者が守りの戦略、後者が攻めの戦略と言えるでしょう。当面は、前者に力点が置かれるとみられます。

自民党は12日、経済安全保障政策を担った「新国際秩序創造戦略本部」を「経済安全保障対策本部」に名称変更し、高市早苗政調会長が本部長に就任したと発表した。発令は11日付。政府が経済安全保障担当相を新設したのに合わせました。その他の人事は次の通りです。(敬称略)

経済成長戦略本部長 小里泰弘▽人生100年時代戦略本部長 上川陽子▽新型コロナウイルス感染症対策本部長 西村康稔▽デジタル社会推進本部長 平井卓也
この動きをみると、日本の対中国政策は、自民党を中心して法律の立案が作成され、国会で審議され法律を制定し、その法律にもとずき「経済安全保障担当相」が実行するという形で実施されていくものとみられます。

24日最初で最後の地元街宣を行った高市早苗氏

先日もこのブログに掲載したように、我々は頭のスイッチを切り替えて、日本の外交安全保障政策の政策形成過程の枠組みを捉え直す必要があります。甘利氏が幹事長であることが意味する外交安全保障上の変化のシグナルを敏感に感じ取ることは、日本の未来を考える上で極めて重要なことです。中国はこれに相当危機感を感じているはずです。

現状では、衆院選があるので、この流れはあまり目立ちませんが、今回の選挙で自民党が勝利性が、負けるにしても政権交代でも起こらない限り、はっきりすることになるでしょう。

過去においては、遅々として進まなかった対中国政策が一気加速されることになりそうです。自民党はこの流れについても、わかりやすく有権者に伝えていくべきです。

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2021年10月23日土曜日

【日本の解き方】「悪い円安論」は本当なのか? 経済全体ではプラスの影響の方が大きく、原油高よりデフレが問題だ―【私の論評】現在の日本においては、スタグフレーション懸念より需要不足のほうが深刻(゚д゚)!

【日本の解き方】「悪い円安論」は本当なのか? 経済全体ではプラスの影響の方が大きく、原油高よりデフレが問題だ

4月1日以降値上げをする会社も増えたが・・・・・・

 このところ為替相場で円安が進み、原油価格が上昇基調となったことを受けて、メディアでは「悪い円安」「悪い物価上昇」「スタグフレーション(不況下のインフレ)」などの言葉が増えているようだ。こうした見方は妥当なのか。

 まず円安と原油高を分けて考えよう。円安にはメリット、デメリットの両面があるとしても、短期的には景気に対してメリットが大きいと考えるのが一般的だ。購買力を低め内需を低迷させる効果と比べ、外需を増加させる効果の方が大きいとみられるためである。

 こうしたメカニズムを確認するには、マクロ計量モデルの推計結果が有用だ。日本では、少なくとも数年の期間では自国通貨安(円安)は国内総生産(GDP)にプラスの影響を及ぼす。これは内閣府の短期マクロモデルでも確認できる。10%の円安によって、GDPは0・2~0・5%程度増加する。

 このように自国通貨安が経済全体にプラスの影響を与えることはほとんどの先進国でみられる現象だ。どの国も総じて輸出産業は世界市場で競争しているエクセレント企業群で、輸入産業は平均的な企業群だ。エクセレント企業に恩恵を与える自国通貨安は、デメリットを上回って経済全体を引き上げる力が強いと筆者はみている。

 例えば、経済協力開発機構(OECD)のインターリンクモデルでみても、輸出超過、輸入超過の貿易構造にかかわらず自国通貨安は短期的には景気にプラスである。その影響は貿易依存度によって異なり、依存度が高い国ほどプラス効果が大きい。日本は、先進国の中では内需依存で貿易依存度が低いことから、円安の効果は他の国と比べると実はそれほど大きくない。市場関係者らが唱える円安弊害論は、一部の産業に限られており、日本経済全体の話ではないのが実態だ。

 一方、原油価格の上昇はどうか。これは交易条件の悪化を通じて、日本経済からの海外への所得移転になり、日本のGDPを低下させる。この意味で、原油高は日本経済にマイナスだ。

 2011年初から13年末頃まで、原油価格は1バレル80~100ドル程度の高値で推移した。今後も、新型コロナからの回復に合わせてエネルギー価格が上昇する可能性はある。産油国も一定の生産調整をしているので、需給関係は崩れそうにない。しかし、14年から20年まで30~70ドル程度で安定していたので、現在の原油市場は回復期待で行き過ぎのようにもみえる。

 原油価格が高かった11~13年でも一般物価上昇率はマイナスで、デフレのままだった。こうしたことから、原油価格の上昇が限定的ならば、一般物価上昇率はそれほど上がらないだろう。つまり悪い物価上昇でもなく、スタグフレーションまでいかないだろう。

 むしろ、個別価格が上がっても、ここ1年ほど消費者物価総合が前年比マイナスとなるなど一般物価上昇率がデフレ基調であることの方が問題ではないか。スタグフレーションは全体の供給不足で起こる現象だが、日本の足下では需要不足のほうが心配だ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】現在の日本においては、スタグフレーション懸念より需要不足のほうが深刻(゚д゚)!

上の記事では、「日本は、先進国の中では内需依存で貿易依存度が低い」としていますが、日本ではなぜか昔から「輸出立国」などとして、日本は輸出で成り立っていると頑なに信じている人がいます。

輸出依存度は、GDPに輸出が占める割合で示されますが、日本の輸出依存度は他国に比較するとかなり低いです。これについては、以前からこのブログに何度か述べていますが、最近はのべていなかったので、また述べようと思います。

名目GDPに対する輸出額の割合も見てみましょう。2003年と2018年の対比でみてみます。

日本12→18%に対して、米国9→12%、ドイツ41→42%、韓国38→39%、イギリス23→30%です。

米国は極端に割合が低いですが、その他の主要国は日本よりも明らかに大きな数値です。ドイツ、韓国はまさに輸出に大きく依存していると言っても良いです。

その他OECD加盟国で輸出割合の大きな国はたくさんありまして、ルクセンブルク227%、アイルランド120%、東欧諸国は軒並み80~100%程度の数値です。

その他の国も概ね20%台後半以上の割合です。日本とアメリカだけ突出して低い数値です。この数値から見る限り、日本は輸出依存国ではなく、むしろ逆で日本は現在の状況では明らかに内需依存の国です。


そうして、輸出依存のほうが競争力が高いなどと考えられ、良いと思われる風潮がありますが、それが良いとは限りません。

ドイツや韓国のように、輸出依存度が高いと、GDPが他国の状況に大きく影響されやすいということがいえます。米国や日本のように、輸出依存度の低い国は、GDPが他国の状況にはあまり影響を受けないといえます。

ちなみに、日本は20年以上前は、さらに輸出依存度が低く、米国のように8%〜9%でした。現在のように、輸出依存度が18%になったのは、デフレがあまりに長い間続いたため、国内で売れない分を海外輸出で補填したものと考えられます。

ちなみに、バブルの頃よりも、現在のほうが、対外純金融資産(海外に日本から貸し付けているお金)が多く、ほぼ毎年日本が世界一ですが、これもデフレかあまり長い間続いたため、国内にめぼしい投資案件がなかったので、海外に投資した結果ともいえます。

国際競争力が極端に弱いなどの、何か特殊な事情がない限り、内需を十分に高めておくほうが、経済的に安定します。内需が高ければ、他国が経済的に落ち込んでも、あまり大きな悪影響はありません。

韓国のように内需が明らかににまだ伸びる余地があるのに、輸出にばかり力を入れた結果、現状のように輸出依存度が非常に高くなってしまいましたが、世界経済が落ち込めば大きな影響を受けることになってしまいます。

もちろん原油高などの影響ももろに受けてしまいます。産油国でもない限り、製品の製造は、輸入した原油により電気を発電し、工場を稼働させて行うからです。輸出依存度の低い日本は、他国に比較すれば、原油高の影響は受けにくいともいえるでしょう。

上の高橋洋一氏の記事では、結論として「むしろ、個別価格が上がっても、ここ1年ほど消費者物価総合が前年比マイナスとなるなど一般物価上昇率がデフレ基調であることの方が問題ではないか。スタグフレーションは全体の供給不足で起こる現象だが、日本の足下では需要不足のほうが心配だ」としています。

確かに日本経済の需要不足の解消は進んでいません。日銀が5日発表した2021年4~6月期の需給ギャップは、マイナス幅が1~3月期に比べ小幅に広がっています。新型コロナウイルスの影響で個人消費の回復が鈍いです。年末にかけて需要不足は解消に向かうとの見方が多いものの、景気回復に不透明感が残ります。

需給ギャップは労働や設備などの供給力と需要の差を比べたものです。マイナスなら需要が供給を下回る状況を指します。


日銀の試算ではコロナが直撃した20年4~6月にマイナス4.95%と、11年ぶりのマイナス幅となりました。21年1~3月期にマイナス1.17%まで上昇したが、4~6月期はマイナス1.29%へ低下しました。

4~6月はコロナワクチンの接種が欧米より遅れ、個人消費の持ち直しの鈍さが懸念された時期です。7~9月もデルタ型の感染拡大により東京などで緊急事態宣言が発令されました。

10月には緊急事態宣言が解除され、外食などの営業上の制約は徐々に緩和され始めました。新型コロナの感染状況の改善が続けば、10~12月期にも需要不足は解消するとの見方もあります。

しかし、総務省が22日発表した9月の全国消費者物価指数(2020年=100、生鮮食品を除く)は、前年同月比0・1%上昇の99・8となりました。20年3月以来、1年半ぶりに上昇に転じました。携帯電話の通信料が下がる一方、原油高に伴い電気代やガソリンが値上がりしました。前年同月に宿泊料を押し下げていた政府の観光支援事業「Go To トラベル」の影響がなくなった反動もあったようです。


そうして物価目標は2%なのですから、0.1%ではまだほど遠いといえます。これが、1%とか2%を超えたというのなら、スタグフレーションも懸念すべきですが、現時点では、供給不足よりは、需要不足を懸念すべきです。

さらに、総務省が2021年10月1日に発表した「労働力調査」によると、2021年8月の失業率は、2.8%で前月と変わらず、前年よりも0.2ポイント改善となりました。ちなみに男性が3.1%、女性は2.5%です。

失業者数は前月よりも2万人増加、前年同月からは13万人減少の193万人です。


8月時点で失業率が3%以上になっていれば、これも供給不足を心配する必要もでてきますが、その懸念もありません。原油およびその関連品などの個別物価が上がっても、雇用にさして悪影響を与えているわけではありません。

政策面でいうと、供給不足 の場合、財政出動や金融緩和を使うと、インフレが高まり、スタグフレーション(不況下のインフレ)になってしまいます。この場合、基本的には供給曲線を元に戻すような施策が必要であり、総需要管理政策として増税や金融引き締めも必要になってきます。

これに対し、需要不足の場合には、財政出動や金融緩和によって有効需要を増やす政策が必要です。

現状では、やはり需要不足のほうが懸念されるので、衆院選後政府は速やかに需要不足に対応するため、大規模な補正予算を組むべきですし、日銀はさらなる量的緩和を実施すべきです。

スタグフレーション懸念など、まだするような次元ではありません。そのようなことを心配する人は、あまりに長い間デフレに慣れ親しんでしまったという異常な体験をしてしまったので、それが当たり前になり、正常な判断ができなくなっているとしか思えません。

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2021年10月22日金曜日

トランプ氏が独自SNS立ち上げ、合併相手のSPAC350%超急騰―【私の論評】2024年に、大統領に返り咲くこともあり得るトランプ氏(゚д゚)!

トランプ氏が独自SNS立ち上げ、合併相手のSPAC350%超急騰


トランプ前米大統領が自身の新会社と特別買収目的会社(SPAC)の合併を活用して独自ソーシャルメディアを立ち上げると発表したことを受け、合併対象のSPAC、デジタル・ワールド・アクイジション・コープがナスダック市場で350%超値上がりした。

新会社のトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(TMTG)は来月にソーシャルメディア「TRUTH Social」のベータ版の試験運用を始め、2022年第1・四半期から一般の利用を開始する計画を明らかにした。

デジタル・ワールドは一時、上昇幅を400%超に拡大。終値は356.8%高の45.50ドルで、時価総額は14億7000万ドルと、20日の3億2100万ドルから急増した。ナスダックの売買高トップとなった。

トランプ氏は今年1月6日の支持者らによる議会議事堂占拠事件を受け、交流サイト(SNS)大手のツイッターとフェイスブックのアカウントが停止された。トランプ氏は議会占拠の前に支持者らに、昨年の大統領選で不正があったと改めて訴える扇動的な演説をしていた。

トランプ氏はソーシャルメディア立ち上げに関する発表文で「間もなく私の考えを共有し、巨大テックに対抗できることに興奮している」と表明した。

【私の論評】2024年に、大統領に返り咲くこともあり得るトランプ氏(゚д゚)!

トランプ氏は、ネットワーク発表の声明で以下のように述べました。

「私はビッグテックの独裁に抵抗するためにTRUTH SocialとTMTGを設立しました。我々が暮らす世界では、タリバンがツイッターで大きな存在感を持つ一方で、みなさんの好きな米国大統領が沈黙させられています。これは容認できません。私は間もなくTRUTH Socialで自分の最初のTRUTHを発信できることに興奮しています」

新メディアグループは、「Deal or No Deal」「America’s Got Talent」といった人気番組のエグゼクティブ・プロデューサーで、1,000時間以上のネットワークとケーブルテレビをプロデュースしてきたスコット・St・ジョンをトップに選びました。

スコット・St・ジョン氏

ソーシャルメディアGETTRのCEOでありトランプ氏の最側近とみられているジェイソン・ミラーは、トランプ氏が新たな取り組みに着手したことを支持しました。

「トランプ大統領、ソーシャルメディアの口論への復帰おめでとうございます!これでフェイスブックとツイッターはさらに市場占有率を失うでしょう。トランプ大統領は常に偉大な取引交渉者でしたが、我々は取引に折り合いをつけることができませんでした」とミラーは声明で述べました。

ジェイソン・ミラー氏

ネットワークは「全ての人に発言権を与える」という目的で作られている、とトランプは述べました。

第45代大統領は、サブスクリプション形式のニュース・エンターテインメント・プラットフォームも立ち上げると述べました。

バイデン米大統領の支持率が低迷する中、2024年の大統領選への再出馬を示唆するトランプ前大統領が勢いを示しています。

「バイデン政権下のたった9カ月で、不法移民や麻薬密売業者が国境を支配し、インフレが経済を襲い、中国には雇用を奪われ、アフガニスタンはタリバンが支配した」。トランプ氏は9日のアイオワ州での集会で、バイデン氏の一連の政策を批判しました。

24年に共和党の候補指名争いの初戦が行われる同州での演説は、トランプ氏が次期大統領選に出馬するとの観測により一層現実味を与えました。

トランプ氏は出馬について明言はしていないですが、保守系メディアとのインタビューで、「医師による悪い診断か何か」だけが、トランプ氏の出馬を妨げるものだとし、その意思を強く示唆。また、同氏と頻繁に会話を交わしているという元補佐官ジェイソン・ミラー氏は米メディアとのインタビューで、出馬の可能性は「99~100%の間」だと述べ、ほぼ間違いないとの見方を示しました。

トランプ氏が勢いづく背景には、バイデン氏の支持率低迷があります。政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」の最新世論調査の平均値(18日時点)によると、支持率が43・7%に対し、不支持率が52・1%。就任当初は、支持が不支持を20ポイント近く上回っていたが、大きく逆転した。アフガンからの米軍撤退の不手際やインフレ懸念、メキシコ国境における不法移民の急増が打撃となっている。

これに対して、トランプ氏は各種世論調査で支持を高めている。デモイン・レジスター紙などが先月中旬にアイオワ州で実施した世論調査によると、過去最高となる53%がトランプ氏に対して「好意的」だとし、45%が「好意的でない」と回答しました。

また、ラスムセン社が先月下旬に実施した世論調査によると、仮に今、大統領選が行われた場合、トランプ氏に投票するとした人が51%だったのに対し、バイデン氏は41%。民主党支持者の約5人に1人がトランプ氏に投票するとしました。


世論調査専門家のジョン・ゾグビー氏は、10ポイント差という結果は実態よりも「少し大きい」との見解を示しつつも、「就任からわずか9カ月で、(バイデン氏への)投票に後悔している人が多くいる」と指摘しています。

日本のマスコミは、トランプ氏を、まるで狂ったピエロのように報道しますが、それは米国のメディアの受け売りにすぎないです。このブログでは何度か掲載ましたが、米国メディアは大手新聞は全部リベラル派で湿られています。テレビはFOXTVのみが保守系で、あとはすべてリベラル派です。リベラル派メディアはトランプ氏のことを悪く言うのは当然です。

米国のメディアを鵜呑みにしたり、米国メディアの垂れ流しをする日本のメディアの報道をみて、トランプ氏を狂ったピエロのように考えるのは間違いです。

トランプ氏のことを、批判は聞かず、自分の主張だけをまくし立てると考える人も多いです。しかし大手メディアは、トランプの主張をとりあげないどころかネガティブな報道ばかりします。そのためトランプがSNSで主張すると、今度はSNSがトランプ氏のアカウント停止するという有様です。

これだけ、自分の主張を述べることを制限されれば、主張できる機会があれば、自分の主張をまくしたてるというのもうなずけます。誰もが、自分の主張する機会を制限されれば、そうなるのではないでしょうか。

「TRUTH Social」が稼働して、トランプ氏が自分の主張を存分に語ることができるようになれは、トランプ氏が自分の主張をまくしたてるということはなくなるのではないかと思います。トランプ氏のいままで一般にはあまり知られていなかった一面が明らかになるかもしれません。

2024年に、トランプ氏が大統領に返り咲くことも十分あり得るとみておくべきです。

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2021年10月21日木曜日

中露初の「海上戦略巡航」か 艦艇の津軽海峡通過―【私の論評】日本は現状でも日本の海域を守れるが、「SMRハイブリッド型潜水艦」を開発すればインド太平洋地域とシーレーンを守ることができる(゚д゚)!

中露初の「海上戦略巡航」か 艦艇の津軽海峡通過


中国海軍とロシア海軍の艦艇計10隻が18日に津軽海峡を通過した。領海への侵入はなく国際法上の問題はないものの、中露艦艇の同時通過は初めて。両海軍は直前まで日本海で合同演習を行っており、津軽海峡の航行により両国の軍事的連携を国際的にアピールし、対立する米国と同盟国の日本を牽制する狙いがあるとみられる。


津軽海峡を東進し、太平洋へ向けて航行したロシア海軍ウダロイⅠ級駆逐艦(統合幕僚監部提供)

通過に先立つ14~17日、露太平洋艦隊と中国海軍は、日本海で合同軍事演習「海上連携2021」を実施した。同演習は12年からほぼ毎年行われてきたが、昨年は延期。中国側は今回、昨年就役した新型のレンハイ級駆逐艦「南昌」を参加させた。露国防省は演習中の15日、「日本海で米駆逐艦による領海侵入の試みを阻止した」と発表し、米艦が演習を妨害したと主張。米国がこれを否定する事態が起きていた。

中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(電子版)は19日、津軽海峡通過は、中露が初めて合同で行った「海上戦略巡航」だとした上で、「域外国と周辺国への厳正な警告だ」(軍事専門家)と報道。中国のシンクタンク研究員は産経新聞の取材に「米国が台湾海峡通過を繰り返していることや、日本などと対中圧力を強めていることへの対応だ」と解説した。

中国は台湾海峡を米国などの艦艇が通過することを批判してきた。だが、中国外務省の汪文斌(おう・ぶんひん)報道官は19日の記者会見で今回との整合性を問われると、「『航行の自由』を表看板に軍事的に脅し、地域の平和と安定を破壊しているのは誰なのか、国際社会は分かっている」とうそぶいた。

ロシアのプーチン大統領も14日放映の米テレビ局のインタビューで、米国と英国、オーストラリアの新たな安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」の創設は「地域の安定を損なう」と批判。AUKUSに反発する中国に同調し、対米牽制で足並みを揃えた。

中露両国の軍事演習は、05年から主に陸軍を中心に1、2年ごとに行われ、12年から海軍の合同演習が始まった。18年から20年には、ロシアの4軍管区が持ち回りで主催する年次演習に中国の部隊が参加。今年8月には、アフガニスタン情勢を念頭に中国陸軍が寧夏回族自治区で行った「西部・連合2021」演習に、ロシアが部隊を派遣した。19、20年には中露の爆撃機が日本海などを合同飛行し、19年には露軍機が竹島(島根県隠岐の島町)周辺の日本領空を侵犯した。

中露の軍事関係の強化について、防衛研究所の山添博史主任研究官は「軍事的な能力強化よりも政治的メッセージの方が強い」と指摘。米国を念頭に「今後も関係を強化していると見える演出を続けるだろう」としながらも、「軍事的にも一定の効果はあり軽視すべきでもない」と話している。

【私の論評】日本は現状でも日本の海域を守れるが、「SMRハイブリッド型潜水艦」を開発すればインド太平洋地域とシーレーンを守ることも(゚д゚)!

このブログの購読者の方であれば、上の記事をご覧いただくと、非常に奇異に感じられるのではないかと思います。

そうです。潜水艦の記述が全くないことです。このブログに以前掲載したように、現代海戦においては潜水艦が本当の戦力であって、海上に浮かぶ艦艇は空母であろうが、イージス艦であろうが、大きな標的に過ぎません。

津軽海峡の中露艦艇の通過には、中露潜水艦が随伴していたのかどうかが疑問です。それによって、この出来事に対する見方は随分変わります。

水上艦艇が通過しただけなら、完全に「政治的メッセージ」ということもできますが、そうでなく、潜水艦も随伴したというなら、「政治的メッセージ」とは言い切れないということになります。

ロシア軍機関紙「赤星」や中国共産党系の国際紙「環球時報」などによると、10月14日から17日までの間、日本海北部ウラジオストック沖のピョートル大帝湾付近の海域で、中露が合同軍事演習「海上共同 2021」を実施した模様です。

これらによると、この演習にはロシア側から、対潜駆逐艦「アドミラル・パンテレ―エフ:8,500トン級」、フリゲート「アルダル・ツィデンザポフ:2,200トン級」等2隻、キロ級潜水艦「ウスチィ・ボリシェレツェク:3,000トン級」、及び掃海艇、ミサイル艇、救難艇など8隻以上のほか、空軍の戦闘機や海軍航空部隊の航空機が参加しました。

ウラジオストックに停泊中のロシア海軍キロ型潜水艦(2019年)

一方、中国側からは、中国海軍レンハイ級ミサイル駆逐(NATOでは巡洋)艦「南昌(なんしょう)」(13,000トン級)、ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦(7,500トン級)、ジャンカイⅡ級フリゲート(4,000トン級)2隻、フチ級補給艦(23,000トン級)及び潜水艦救難艦とディーゼル潜水艦(艦種不明:キロ級又は元級などの攻撃型潜水艦と推測)の7隻が参加した模様です。

中露双方とも本演習を参加艦艇の写真などを掲載して大々的に外部に向けてアピールしているのですが、今回興味深いのは、1か所中露で大きく異なるところがあったことです。それは、ロシアの報道が双方のディーゼル潜水艦の参加を伝えているのに対し、中国の報道は「自らの参加艦艇の中で一切潜水艦には触れていない」という部分です。

中国の潜水艦が日本海のエリアで活動しているのが公に確認され、ロシアのメディアで報道されたのはこれが初めてだと思われます。しかもこれがロシアとの合同演習であったことは、極めて注目すべき事象です。

中国がこれを報道しないのは、自国の潜水艦の活動をなるべく隠蔽したいという思いと、何よりも対馬海峡を密かに通峡して日本海で活動していることを知られたくなかったからだと考えられます。それならば、なおさらわが国の報道機関は声を大にしてこれを内外に伝えるべきだったかもしれません。

この演習に先立つ10月11日、海上自衛隊の艦艇及び哨戒機が、対馬海上を北上して日本海に入る「中国海軍レンハイ級ミサイル駆逐艦1隻、ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦1隻、ジャンカイⅡ級フリゲート2隻、フチ級補給艦1隻及びダラオ級潜水艦救難艦1隻」の、計6隻を確認し、防衛省はこれを公表しています。先に述べたように、これらはすべて今回の参加艦艇です。

しかしここに潜水艦の姿はありません。この事前にも対馬海峡を通行した中国の潜水艦は公表されていません。


潜水艦は水上艦艇とは速力も航行形態も役割も異なるため、艦艇群とは行動を共にしないの風です。恐らく、先行して艦艇群の航行ルートを偵察しながら移動したものと推測できます。

ここで注目すべきは、「対馬海峡をいつどのように通峡したのか」、「自衛隊はこれを把握していたのか」、「把握していたならばなぜ公表しなかったのか」「いつごろから中国の潜水艦は対馬海峡を通峡して日本海に入るようになったのか」、などということです。

わが国の領海内にある5つの国際海峡は、特定海峡に指定されて、領海は3海里に縮められているため、中央部分は公海となっています。したがって、外国の軍艦も自由に通峡ができるのはもちろん、潜水艦の潜水航行も問題とはならないです。

しかし、わが国に隣接する安全保障上重要な海域を友好国ではない他国の潜水艦が潜水航行して出入りしているとすれば、これを見逃してはならないことは言うまでもないです。

海上自衛隊の対潜哨戒能力からすれば、今回もこれを探知していたでしょう。対潜哨戒機は無論、艦艇や潜水艦によっても、中露の艦艇は逐一監視されいたことでしょう。無論、米軍も探知していたでしょう。

しかし、南西諸島における企図不明の接続水域の潜水航行とは異なり、特定海峡の通行という観点と、わが国の情報収集能力に関わる保全上の観点から、公表は差し控えたのでしょう。

今回の「海上共同-2021」が対潜戦や掃海訓練の訓練も含まれていたことを加味すると、この中露両海軍の津軽海峡の合同通峡というのは、いかに中露がわが国の特定海峡を意識しているかということを示しています。

中露の軍事協力は今後も深化を続けるでしょう。これは、中国軍の外洋における戦闘能力を向上させるというだけではなく、東アジアにおけるロシアの存在感を強め、相対的にわが国の立場を弱くすることにもつながる問題でもあります。特に、日本海において、わが国に与える脅威は重大です。

中国軍などによる尖閣諸島への上陸や台湾海峡有事の際などに、中国艦艇群などが対馬海峡を北上して日本海に入り、ロシア軍と合流するような形でわが国に対峙すれば、自衛隊はかなりの兵力を日本海正面に拘束されるおそれもあります。つまり、二正面作戦を余儀なくされる可能性もあります。

ただ、海自はすでに潜水艦22隻体制を構築しており、日本列島全域を常時カバーする体制は整えてあります。これらは中露の対潜哨戒能力では発見することは難しいです。日本の潜水艦が、魚雷やミサイルを発射すると、発見できますが、発射とほぼ同時に全速力で位置を変えると中露には発見するのは難しいです。それに、海自は対潜哨戒力に優れているため、中露の潜水艦を探知できます。

二正面作戦になった場合でも、潜水艦隊を二正面に差し向けることができます。また、中露ともに、艦艇数が多く、すぐに二正面に対応できなくても、片方の艦艇を片付けてから、また他方の艦艇に対処するということもできます。ある程度の時間をさけば、これらは排除できます。

潜水艦22隻体制は、2021年3月24日、海上自衛隊の新鋭潜水艦「とうりゅう」が就役したことをもって達成されました。造船所の川崎重工業株式会社 神戸工場で海自に引き渡された。「とうりゅう」は海自の主力潜水艦「そうりゅう」型の12番艦で、同型の最終番艦です。

生成26年度版「防衛白書」には以下のような記載があります。
新防衛大綱においては、常続監視や対潜戦などの各種作戦を効果的に遂行し、周辺海域の防衛や、海上交通の安全を確保し得るように海上優勢を確実に維持することとしている。

このため、海自の艦艇部隊について、護衛艦部隊を54隻体制に増勢するとともに、潜水艦部隊を現状の16隻体制から、22大綱に引き続き22隻体制に増勢することとしている。

小さな国土の日本ですが、その海域はかなり広いです。その全海域を守るためには、このくらいの隻数は必要なのでしょう。台湾は現在自前の潜水艦を開発中ですが、最終的には5隻の潜水艦隊を目指しているといいます。

米国の軍事専門家は、これにより、台湾は今後少なくと数十年間は中国の侵攻を防ぐことができると評しています。日本は守備する海域が台湾に比較して、広いので、22隻は必要なのでしょう。

 この22隻体制とは、当然のことながら、上記に述べた二正面作戦も考慮にいれた隻数なのでしょう。無論、他の作戦も考慮にいれているでしょう。

ご存知のように、海上自衛隊の潜水艦「そうりゅう」が高知県足摺岬沖で民間商船と衝突しました。衝突は2月8日午前10時55分ごろ、海中から浮上しようと、潜望鏡を上げた際に発生。潜水艦の乗員3人が軽傷を負いました。

司令部への第1報は携帯電話を使って午後2時20分ごろになりました。5管には海自の呉地方総監部から「そうりゅうが一般船舶と接触したとみられる」と連絡がありました。そうりゅうは自力航行が可能で8日深夜、高知港に入りました。

この事故のため22隻体制は崩れ現状では、21隻体制となっています。ただ、「そうりゅう」はいずれ改修されるでしょう。改修終了までどのくらいの期間を要するのかは公表されていません。

また、海上自衛隊の最新潜水艦の命名・進水式が今月14日、川崎重工業神戸工場(神戸市)で開かれ、「はくげい」と艦名が決まった。新型のたいげい型潜水艦の2番艦で、2023年3月に就役予定です。


22隻体制はまた近いうちに復活します。それまで、中露海軍が不穏な動きをしても対応はできるでしょう。

マスコミとしては、このような事実を把握して、中露の軍事的脅威を煽るだけではなく、日本の潜水艦隊がどのような役割を担っているかも十分に報道すべきです。

さらに、このブログでも述べたように、日本の海戦能力は日本の海域を守るだけなら完成の域に達しつつあることも報道すべきです。だからこそ、日本の軍事力は海外からも高く評価されているのです。

マスコミは、中露の海軍の行動を報道しますが、それに対応する日本の体制は報道しません。これでは、結果として中露の脅威を煽るだけになってしまいます。

中露は、日本には海戦では太刀打ちできないでしょう。ロシアは英米とは異なり、原潜の他通常型潜水艦も開発していて、中国の通常型潜水艦よりは、静寂性に優れた潜水艦を製造できます。

ただ、日本の潜水艦の静寂性には到底及びません。また、日米の対潜戦闘能力(ASW)は中露に比較してかなり高いので、海戦能力においては中露は到底及びません。

そのため、海戦では日米は、中露に現状でも十分に対応できます。しかし、日本が南シナ海やシーレンまで守備範囲とした場合は、とても十分とはいえません。

潜水艦22隻体制とは、日本の海域を守ることを前提としているのです。

そうして、日本の海域を守るだけであれば、通常型潜水艦でも十分なのですが、南シナ海、シーレーンまで視野に入れることになれば、先日もこのブログでも述べたように、原潜も必要です。

日本は現在民生用小型モジュール原子炉(SMR)も開発中です。これは、現在米英の原潜などに搭載されている原発と基本的には同じです。これを潜水艦用に転用することは可能であるとみられています。

そうして、技術大国である日本が、原潜を開発するなら、並の原潜ではなく、日本ならではの原潜を開発すべきです。

たとえば、現在の最新型の潜水艦は、リチウムイオンバッテリーで駆動し、静寂性に優れているといわれますが、この潜水艦にSMRを搭載して、リチュウムイオンバッテリーを充電する仕組みにすると良いと思います。

そうしてSMRでも、リチュウムイオンバッテリーでも潜水艦を駆動できようにするのです。そうすれば、浮上して航行するときや、敵に探知されるおそれがないときなどは、SMRで駆動して、敵に知られたくないときにはリチウムイオンバッテリーで駆動するのです。

これにより、日本はいずれの国よりも、駆動力に優れ、静寂性に優れた潜水艦を開発できることになります。これを仮に「SMRハイブリット型潜水艦」と名付けたいと思います。

そうして、これの意味するところは、先にも述べたように、「現代海戦においては潜水艦が本当の戦力」なのですから、この「SMRハイブリッド型潜水艦」をある程度の隻数を持てば、日本は海戦能力では世界一となり、インド太平洋地域の平和に貢献し、シーレーンを守ることもできます。

日本は、このような戦略も考えるべきと思います。

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2021年10月20日水曜日

混乱を招いたバイデンのちぐはぐな移民政策―【私の論評】バイデン政権の政権運営上のアキレス腱は移民政策(゚д゚)!

混乱を招いたバイデンのちぐはぐな移民政策

岡崎研究所

 7月に起きたハイチの大統領暗殺事件を契機にハイチ人の庇護希望者が急増する可能性については既に指摘されていたが、9月半ばに至り大量のハイチ人がテキサス州のメキシコ国境の都市デル・リオに集結し現実となった。その背景には、バイデン政権の一貫性のない対応がある。


 バイデンは、当初から移民に対して寛容な姿勢を見せ、強制送還される移民申請者の割合も前政権に比べて大幅に減少し、5月にはハイチ人に一時的保護(TPS)を与える政策を発表した。しかし、8月初めの最終決定ではその対象を、7月29日までに入国したものに限定した。

 この間にハイチ人の間に、米国領内に入りさえすれば何とかなるとの期待感や誤解が拡大したことは想像に難くない。

 ハイチ本国からの流れだけではない。2010年のハイチ大地震の際にブラジルとチリが合計約30万人規模のハイチ人を受け入れたが、現地社会に統合されず貧困状態に置かれたままのハイチ人も多く、その中にはこの機会に米国に再移住することに踏み切った者も大勢いたようである。

 その後、デル・リオに終結した1万5000人(一説には3万人)の移民希望者は、5500人以上がハイチに強制送還され、8000人が自主的にメキシコに戻り、国際橋の下のキャンプは撤去された由である。しかし、他の国境地域での問題もあり、また、同様の事態が再発する可能性もあろう。

 バイデン政権は、強制送還については、新型コロナウイルス感染防止のための公衆衛生法に基づくトランプが定めた「タイトル42」と呼ばれる大統領令を根拠とした。また、馬に乗った国境警備隊員が移民を追い立てるニュース動画が拡散し、非人道的な扱いに民主党幹部からも強い批判の声が上がると共に、「タイトル42」は違法であるとの訴訟も起こされ、ハイチ問題担当の大統領特使が抗議の辞任をするまでに至った。

 バイデン政権は、公衆衛生上の措置としての強制送還を正当化するとともに、正規の手続きに従う移民申請には前向きに対応する方針だと説明するが、従来の共和党からの移民政策緩和批判に加えて、逆に民主党内リベラル派からは不十分だとの批判が高まり、コロナ対策やアフガン問題と並んで、支持率低下の大きな要因となっている。特にハイチ移民の多くは黒人であり、この問題はバイデンの支持基盤でもある黒人層の支持率にも影響するとの懸念も指摘されている。

 民主党の目指す人道的な移民政策とそれにより生ずる移民の急増という現実に対する対応策が機能しないジレンマは当初から指摘されていたが、コロナ対策で時間を稼ぐ間に体制を整えることもあり得るかもしれないと期待されていた。しかし、ハイチ危機が生じたこともあり、バイデン政権は全く対応できていない。もともと、殺到する庇護希望者を処理する体制が十分整わない内に、移民に対して寛容な姿勢を示したことに無理があったと言えよう。

選挙への影響も不可避

 公衆衛生の保護を根拠とする強制退去も、緊急避難的措置としてやむを得ない面もあるが、法的には疑義もありこれに過度に頼ることは望ましくない。他方、米国内に入った者に一律に一時保護資格を与えれば、移民の流れは制御できないレベルになる恐れがあり、当然選挙にも影響が出てくるであろう。移民の流れはいつまでも続かないとの楽観論もあるが、説得力に乏しいように思われる。

 移民の流れの中継地や待機地となるメキシコなどに移民の人道的待遇を確保するための資金協力をしてでも協力を得ることが極めて重要であり効果的であろう。また、問題の根源であるハイチの抱える問題は根深いが、米国政府が、同国の混乱収拾に積極的に関与することも必要であろう。

【私の論評】バイデン政権の政権運営上のアキレス腱は移民政策(゚д゚)!

ドナルド・トランプ前大統領は6日「ハニティ」出演中に、強固な南部国境を維持するためにバイデン政権がしなければならなかったのは、「そのままにしておく」ことだったと述べました。

ケーブルテレビFOXニュースのニュース番組「ハニティー」の司会を現在務めているショーン・ハニティー氏

「我々の時の国境がおそらくこれまでで最も強固だったと言えるだろう。彼らがやるべきことはそのままにしておくことだ。彼らは我々を訴えた。議会民主党が2年半の間やったことだ。全ての訴訟で勝ったが、開始できたのは2年半後だった」とトランプは、FOXニュース司会のショーン・ハニティに述べ、「50カ国」が米国に犯罪者を入国させていると主張しました。

トランプは、開かれた国境によって違法な麻薬密輸の数が増加したことを強調しました。「麻薬は最低レベルだった―密輸される麻薬、特にフェンタニルは凶悪な麻薬だ。それは食い止められ、長い間見たことのないレベルになっていた」とトランプは主張し、今その命取りになる麻薬が前代未聞のレベルで米国に入ってきていると続けました。

「これまでの3、4、5倍だ。米国に流入している。何かがおかしい。こんなことが言えるとは信じられないだろうが、国を愛していない人がいるということだ」とトランプは述べました。

トランプは、バイデン政権が「何万人もの」不法移民の入国を、我々の知らないような国から・・・2週間に1度許していると主張しました。

民主党でテキサス州ラレードのピート・サエンズ市長は9月に、トランプの下で国境安全策は効力を発揮していたと述べました。

国境警備協議会のブランドン・ジャッド会長は4月に、「バイデン大統領ほど組織犯罪の強化に貢献した人物はいない」と述べました。しかしホワイトハウスのジェン・サキ報道官は、南部国境が開放されているという事実について反発し続けています。

ニュヨーク・ポスト紙は、18日「バイデン、真夜中に未成年の移民をNYに密かに飛ばす」という記事を掲載しています。

バイデン政権は、未成年の移民を静かに再定住させようと、ニューヨーク郊外に密かに飛行機で送り込んでいることがわかりました。

このチャーター便は、国境問題で移民局が疲弊しているテキサス州から出発し、少なくとも8月から実施されているとのことです。

先週、ニューヨーク・ポストは2機の飛行機がウェストチェスター・カウンティ空港に着陸するのを目撃しましたが、降りた乗客のほとんどは子供や10代の若者のようで、ごく一部は20代の男性のように見えたとしています。

ニューヨーク・ポスト紙に掲載されたウェストチェスター・カウンティ空港に着陸した移民を輸送した航空機

水曜日の午後10時49分と金曜日の午後9時52分に到着した飛行機の乗客が降りてバスに積み込まれるのを、ウェストチェスター郡の警官が見守っていました。

何人かはその後、ニュージャージーの親戚やスポンサーと合流したり、ロングアイランドの居住施設に降ろされたりしています。

Post紙がオンラインのフライト追跡データを分析したところ、8月8日以降、21便で約2,000人の未成年の移民がホワイトプレーンズ郊外の空港に到着したことがわかった。

記録によると、いくつかの飛行機は、自主的な外出禁止令が発令されている午前0時から午前6時30分の間に着陸しており、ヒューストンからの2便は8月20日の午前2時13分と午前4時29分に到着しています。

この措置の隠蔽に関して、ホワイトハウスが最近急増している同伴者のいない未成年者にどのように対処しているかという疑問を提起しています。

米国税関・国境警備局が発表した最新の数字によると、7月と8月の間に、37,805人の同伴者のいない未成年者がメキシコから米国に入国するところを捕らえられており、時には「コヨーテ」と呼ばれるプロの密輸業者に見捨てられた後に入国しています。

米キニピアック大が6日公表した世論調査で、バイデン大統領の支持率が38%となり、不支持の53%を大きく下回りました。主要な米メディアや調査機関、大学による世論調査では、政権発足以来最低の水準。南部国境での移民希望者の流入や、アフガニスタンからの駐留米軍撤収に伴う混乱が響いたとみられます。

移民政策では支持が25%だったのに対し、不支持は67%に上りました。米政府は9月にカリブ海の島国ハイチから大挙した移民希望者を強制送還し、批判されていました。

アフガンをめぐっては、駐留米軍を「一部のみ撤収すべきだった」が50%、「一部でも撤収すべきでなかった」が15%。「すべて撤収すべきだった」は28%にとどまりました。新型コロナウイルス対応に関しては支持が48%、不支持が50%と拮抗(きっこう)しました。

調査は今月1~4日、全国の成人1326人を対象に電話で実施。3週間前の前回調査でバイデン氏への支持は42%、不支持は50%でした。

アフガン撤退は、明らかに失敗でしたが、元々はトランプ前大統領が決めたことです。対中国政策に関しては、オバマのリバランス政策を継承するものとみられますが、実施していることはトランプ政権とあまり変わりありません。

ただ、オバマがはじめたTPPのへの加入をためらっているのは、合点がいきません。

移民政策に関しては、トランプ氏の真逆の政策を実行すると思われましたが、ハイチから大挙した移民希望者を強制送還するなどして、批判を受けています。

バイデン大統領は、移民2世のハリス副大統領を対策の責任者に任命。ハリス副大統領は6月7日メキシコとグアテマラを訪問し移民増加の背景にある貧困問題などへの支援を表明しました。

ハリス副大統領

ところが、グアテマラの記者会見でのこの発言が波紋を呼びました。
ハリス副大統領
「国境を越えようと考えている人たちにはっきりと言っておきたい。来ないでほしい。来ないでほしい」
ハリス副大統領の発言は、与党・民主党を支持する人、特にリベラル色が強い人の反発を招き、米のメディアは政治的なスタンスにかかわらず、各社が大きく取り上げた。

左のリベラル、右の保守、両方からの批判に板挟みなのがバイデン政権の移民政策です。バイデン政権は、中米諸国への支援強化で移民の流入を減らす方針ですが、各国の経済状況や治安情勢の改善は一朝一夕にできるはずもありません。

移民をめぐる問題は政権運営上のアキレス腱にもなりかねないです。 

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2021年10月19日火曜日

「分配公約」だらけの衆院選、より切実なのは成長戦略だ 規制改革や公務員改革が不十分…第三極に活躍の余地も― 【私の論評】本気で分配や所得倍増をしたいなら、その前に大規模な金融緩和をすべき(゚д゚)!

「分配公約」だらけの衆院選、より切実なのは成長戦略だ 規制改革や公務員改革が不十分…第三極に活躍の余地も 
高橋洋一 日本の解き方

 19日公示の衆院選で、主な争点や勝敗ライン、野党共闘について考えてみたい。

 自民党と立憲民主党の選挙公約をみると、ともに「分配」を打ち出している。自民党は「成長と分配の好循環」、立憲民主党は「分配なくして成長なし」と似通った表現だ。


 分配政策をどのようにやるかといえば、自民は非正規雇用の人や学生などへの経済的支援や、賃上げに積極的な企業への税制支援を挙げている。立民は年収1000万円程度以下の所得税を一時的に実質免除、消費税を5%に時限減税、低所得者への12万円給付としている。

 財源について自民では特に言及せず、立民では所得税の最高税率引き上げ、金融所得課税強化、法人税に累進税率導入としている。

 岸田文雄首相は「成長なくして分配はない」と指摘し、金融所得課税を当面見直さないことも発言した。こうしてみると、同じ分配政策でも、その程度は自民の方が少なそうだ。

 そもそもなぜ分配政策なのか、筆者には疑問だ。というのは、3年ごとに調査されている再分配後のジニ係数(所得格差を示す指標)でみると、ここ30年間では2005年が最も高く、それ以降低下している。つまり、近年分配は、なされているのだ。日本の再分配後のジニ係数は経済協力開発機構(OECD)諸国の中でも標準的だ。

 世界でみると、富の偏在は1990年代以降拡大傾向であったが、2010年代にはおおむね横ばいになっている。

 こうした状況を考えると、今の日本で分配政策の優先順位はそれほど高くない。むしろ、岸田首相が「成長なくして分配はない」と言うように、成長の方がより切実だ。

 成長戦略をみてみよう。自民は、大胆な危機管理投資と成長投資、金融緩和、積極財政、成長戦略を総動員といい、立民は中長期的な研究・開発力の強化、グリーンや医療などで新たな地場産業創出を盛り込んだ。ともに投資を強調しているが、自民はマクロ経済政策も動員するとしているのに対し、立民はマクロ経済政策の発想がうかがえない。

 自民も立民も規制改革の視点が欠けており、成長戦略からはやや遠くなっている。

 「分配」を自民まで言い出したので、立民は、左派としての立ち位置の確保に苦慮しているようだ。規制改革や公務員改革が言えないので、生産性向上の施策が欠けて、政策論争としては苦しいだろう。一方、自民も左に寄ったので、規制改革や公務員改革が不十分になっている。そのあたりに、第三極の活躍の余地が出ている。

 岸田政権の勝敗ラインは、自民と公明党合わせて過半数の233議席だ。

 野党共闘は、9月30日に立民の枝野幸男代表と共産党の志位和夫委員長が限定的な閣外協力で一致した。立民の支持団体である連合は閣外協力に反対しているが、両党は衆院220選挙区で一本化や候補者調整を行った。これは自公にかなりの脅威だろう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】本気で分配や所得倍増をしたいなら、その前に大規模な金融緩和をすべき(゚д゚)!

岸田総理、分配を重視するとか、所得倍増計画を実施する、さらには新しい資本主義ということも語っていますが、一体何をしたいのかわかりません。

分配に関しては、総裁選の最中には「分配なくして成長なし」ということも言っていました。これは、ありえないないことです。「成長なくして分配なし」というのではあれば、筋は通ります。

しかしそもそも、「分配から成長へ」というのは無理です。これは、民主党政権のときに非難を受けて、わかりきった話です。岸田総理は民主党政権のときの政策に戻ると言っているようなものです。

そのせいでしょうか最近では、「成長なくして分配なし」と語っています。

また、「新しい資本主義」ということも語っていますが、これに関しては何をしたいのか皆目検討もつきません。

個別具体的なところでは、「賃上げに積極的な企業への税制支援」や「看護師・介護士・保育士などの所得向上のため、報酬や賃金の在り方を抜本的に見直す」ということなどを掲げているようですが、これの何が正しいのか理解に苦しみます。

岸田総理の所信表明演説では、「規制改革」という言葉が一つもありませんでした。「規制改革」という言葉、最初に所信表明演説にでたのは、1979年の大平政権で出た言葉でした。その後の政権においても、この言葉は必ずありました。もちろん菅政権までずっとあり続けました。

今回は入っていなかったのでかなりの衝撃でした。いういまのところ「規制改革をやらない」ことを「新しい資本主義」と呼んでいるにしか考えられません。

さすがに、自民党の公約集には少し出ていますが、それでも従来から比較するとウェイトはかなり減っています。官僚は大喜びでしょうが、今後特に伸びることが期待できる産業が「規制改革」よっては起こりそうもないといことで、市場関係者はがっかりしたことでしょう。

これでは、令和版の所得倍増計画も実行できないでしょう。実質経済成長率を高めるような、規制改革がないと賃金を上げるのは難しいです。それとともに、需要の話では、マクロ経済政策でインフレ目標を高めたりしないと無理です。しかし、それはせずに「インフレ目標2%を厳守」などと言い出し、2%近傍になったとたんに、緊縮財政・増税、金融引締すべきなどと言い出しかねません。

過去においては、実質賃金ベースでは30年間ほどで1%くらいしか伸びなかったのですが、これを繰り返すことになりかねません。1%くらいしか伸びないと、倍増するのに75年程度かかります。

インフレ目標2%に固執することなく、いっとき4%くらいに上げて、需要の方でも高圧経済気味にすれば、簡単に名目賃金上昇率を5%くらいにできます。名目賃金上昇率の目標を5%にすると所得倍増が13年~14年間で達成できます。これは、過去賃金がほとんど上がらなかった日本にとっては良い目標になります。

まさに米国はその局面に来ていて、月次ですが物価が4%~5%上昇しています。 

ここで当面4%〜5%であっても良いと割り切ってしまうべきなのです。日本にあてはめれば「インフレ目標2%が達成できないから引き下げろ」と言わずに、逆に4%に上げてしまえば良いのですよ。

もっと言えば、2%くらい簡単にクリアできるから、4%にすれば、達成率が半分でも2%になるでしょうということです。 

「4%まで踏んでいいのだ」ということになると、思いきり踏めますから、そうなると所得倍増計画も達成できる可能性が出てくるのです。

しかし、インフレ目標4%などというと、「ハイパーインフレ」になると目をむく人もいますが、それは最近このブログでも解説したように、現在の世界は過去のようにインフレになりにくい状態になっているので、4%を5年、10年と継続するのではなく、数年であればハイパーインフレになる心配はありません。

それに、これに関しては世界中で様々な実例があります。このブログだと、英国の事例を随分前にあげたことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【五輪閉会式】景気後退、将来への懸念は消えず 政争の予感も―【私の論評】イギリスの今日の姿は、明日の日本の姿である!!
この記事の「五輪」とは今年、「東京五輪」のことではありません。2012年のロンドン五輪のことです。ちなみに、この時は現在の英国首相のボリス・ジョンソン氏は、ロンドン市長であり、直接ロンドン五輪に関わっていました。

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部引用します。 

大失敗した、英国の増税策の概要をみ。2010年5月に発足したキャメロン保守党・自由民主党連立政権はさっそく付加価値税率17・5%を11年1月から20%に引き上げる緊縮財政政策を決定しました。他にも銀行税を導入するほか、株式などの売却利益税の引き上げ、子供手当など社会福祉関連の予算削減にも踏み切りました。

他方で法人税率を引き下げ、経済成長にも一応配慮しましたた。こうして国内総生産(GDP)の10%まで膨らんだ財政赤字を15年度までに1%台まで圧縮する計画でしたが、このまま低成長と高失業が続けば達成は全く困難な情勢です。

窮余の一策が、中央銀行であるイングランド銀行(BOE)による継続的かつ大量の紙幣の増刷(量的緩和)政策に踏み切りました。BOEといえば、世界で初めて金(きん)の裏付けのない紙幣を発行した中央銀行だ。
上のグラフを良く見てほしいです。BOEは11年秋から英国債を大量に買い上げ、ポンド札を金融市場に流し込みました。マネタリーベース(MB)とは中央銀行が発行した資金の残高のことです。BOEは08年9月の「リーマン・ショック」後、米連邦準備制度理事会(FRB)に呼応して量的緩和第1弾に踏み切りましたが、インフレ率が上昇したのでいったんは中断していました。
インフレ率は5%前後まで上昇しましたが、そんなことにかまっておられず、今年5月にはリーマン前の3・7倍までMB(マネタリー・ベース)を増やしました。そうして、この事実は、このブログでも以前紹介したように、反リフレ派がいう、「不況だかといって大量に増刷すれば、ハイパーインフレになる」というおかしげな理論が間違いであることを裏付ける格好のケーススタディーとなっていました。
幸いというか、全く当たり前のことですが、インフレ率は需要減退とともにこの5月には2・8%まで下がりました。国債の大量購入政策により、国債利回りも急速に下がっています。

しかもポンド札を大量に刷って市場に供給するので、ポンドの対米ドル、ユーロ相場も高くならずに推移し、ユーロ危機に伴う輸出産業の競争力低下を防いでいます。それでも、イギリス経済は、未だ不況のままで、先日もこのブログで述べたように、EUの不況もあり、結局ロンドンは地元観光客も、EUの観光客も例年に比較しても少なく、閑古鳥が鳴いていたという状況で、経済波及効果はほとんどありませんでした。 
ただし、この時イギリスが金融緩和に踏み切っていなければ、イギリス経済ははるかにひどい状態になっていたでしょう。そうして、これによって金融緩和政策の実施により一時的にインフレ率が4%〜5%になっても、その後すぐにハイパーインフレになることはないということが実証されました。

ノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマン氏が、以下のようなことを語っています。

ポール・クルーグマン氏
インフレ懸念論は大間違いだときっぱり言い切るぼくらに対して,イギリスが反例に出されることがあった――「イギリスは高失業率な上にあちこちで経済停滞がみられるけれど、インフレ率は上がりっぱなしじゃないか!」なんてね。これはたんに一度っきりの特別な出来事(ポンドの下落、付加価値税の引き上げ、一次産品の値上がり)が続いただけで、インフレはやがて低くなっていくよ、と反論しても、バカにされたっけ。
これは、不況時であっては、増刷するべしというクルーグマンらの主張に対して、そんなことをすれば、ハイパーインフレになるだけで、不況から脱することはできないとする人々から、良くイギリスが引き合いに出されていたことに対するクルーグマンの反証です。

その後、イギリスの事例のようなことが世界中で何度もあっても、ハイパーインフレになることはありませんでした。そのため、インフレ懸念論は世界中から姿を消しました。

ただし、例外もありました。それは日本です。日本では、リーマンショック後もイギリスも含めたほとんどの諸国が大規模な金融緩和を下にも関わらず、日銀はそうしませんでした。そのため、日本はリーマンショックが長引き、震源地の米国や、その影響をもろに被った英国が回復した後も、長い間深刻なデフレと円高に悩まされました。無論賃金もあがりませんでした。

岸田首相をはじめ、日本の政治家は財務省のレクチャーなどは受けずに、以上のようなことを自分で勉強すべきです。他の人からレクチャーを受ければ良いという人もいるかもしれませんが、それだけでは不十分です。やはり、特に雇用や賃金に関しては、自分が納得するまで理解すべきです。これをするには、難しい数学や、経済理論を学ばなくてもできます。

それが、できているのは、安倍元首相、高市早苗政調会長とその他若干の例外的な人たちだけです。残念なことです。

分配や賃上げの前に、金融緩和を考えるべきです。金融緩和なしに、分配、賃上げはできません。

過去30年間、日本人の賃金があがらなかったのは、日銀の金融政策の間違いによるものです。日銀が過去のほとんどの期間を金融引締に走ったがために、日本人の賃金は上がらなかったのです。それは、過去に日本の日銀のように金融引締を継続しなかった中央銀行が存在している他国では、賃金が倍増しているという事実からも明らかです。

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2021年10月18日月曜日

米国内でも湧き上がるバイデンのTPP加盟申請の必要性―【私の論評】CPTPP加盟申請で、実は危険な領域に足を踏み入れた中国(゚д゚)!

米国内でも湧き上がるバイデンのTPP加盟申請の必要性

岡崎研究所

 ピーターソン国際経済研究所のジェフリー・ショットが、9月23日付の同研究所のサイトで、中国の環太平洋経済連携協定(TPP)加盟申請はバイデンに難しい対応を迫る、米国は11月のAPEC首脳会議でTPP復帰を明らかにすべきだと述べている。


 ショットは長い間日本とも関係の深かった国際貿易の専門家である。精緻な議論をしている。ショットは、(1)交渉には時間がかかる、中国は条件緩和ないし移行期間の猶予を求めるだろう、(2)バイデンは11月にニュージーランで開催されるAPEC首脳会議でTPP復帰を明らかにすべきだ、(3)米国はTPPに参加し協定の強化に努めていくべきだ、環境は米国・メキシコ・カナダ(米墨加)協定に倣って協定規定の強化をすればよい、データの規定強化も可能だろう、労働の規定強化は困難だろうがベトナム、マレーシアとの二国間合意は可能かもしれないなどと述べる。

 米国がTPP復帰を11月のAPECで打ち出すべきとの提案は、良い考えだ。それまでに目下難航している米下院でのインフラ法案(9月30日採決を10月末まで延期)と経済・社会福祉等対策法案の基本的問題が解決されていることを強く望みたい。

 米国のTPP復帰の戦略的重要性を強調し過ぎることはない。それに代わる他策は見当たらない。バイデン政権は、公式発言は兎も角、部内ではTPPの重要性を十分理解、検討し、問題はタイミング等政策実施の問題であることが今の状況であることを切に願わずにはおれない。

 9月16日の中国のTPP加盟申請から2週間余り、米国でのTPP復帰論は数少なく、心配になるほど低調だった。ところが、10月4日、USTRのタイが対中貿易政策再検討結果と対中交渉の開始につきCSISで講演し、それが非常に不評で、それへの批判をきっかけに、主要メディア等が大っぴらにTPP復帰論を主張するようになっている。

 悪いことではない。しかし、 10月4日のタイのTPP関連発言は依然として慎重のままだった。どうも彼女は執行型のプロかもしれないが、戦略マインドを持ったプロなのかどうか、やや不安になる。

 10月5日付ワシントン・ポスト紙(WP)、ウォールストリート・ジャーナル紙(WSJ)も社説で、「もっとインパクトのある米国主導の中国対抗策は、TPPへの参加であった、バイデンはTPPへの復帰の兆しを示していないがそれを変えるべきだ」(WP)、「バイデンは中国の TPP加盟申請にどう対応するのか...大統領府は何処の国に対しても貿易戦略がない...何たる失望だ」(WSJ)とTPP復帰を強く求めている。

中国の狙いは台湾加盟の阻止

 中国の環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)加盟申請の意図については、①国内改革の梃に使いたい、②米国、台湾の参加を阻止したい、③TPPを支配したいことが挙げられる。しかし中国の最大の目的は、台湾加盟の阻止だったのではないだろうか。しかし実際には中国の申請が台湾の申請を誘発することになった。

 その後、王毅外相が関係国に頻りに話をしているようだが、何よりも台湾の加盟交渉を早期に進めないように働きかけているのではないか。中国にとって、望ましくない順列は、台湾が早期に単独で加盟、米国と台湾がほぼ同時期に加盟、中国と台湾の同時加盟ということではないだろうか。

 日豪越加墨等が協力して、米国に対してCPTPPへの加盟申請を働きかけるべきだろう。

【私の論評】CPTPP加盟申請で、実は危険な領域に足を踏み入れた中国(゚д゚)!

このブログの購読者であれば、ご存知のように、私は最近たびたび、台湾や米英のTPP加入をすすめることと、同時にTPPのルールをWTOのルールにすべきこと主張しています。

過去を振り返れば、先進国の「経済的に豊かになれば共産主義中国も『普通の国』として仲間入りができる」という誤った妄想が、中国の肥大化を招き傲慢な「人類の敵」にしてしまいました。 

その代表例が、2001年のWTO加盟です。1978年の改革・解放以来、鄧小平の活躍によって、1997年の香港再譲渡・返還にこぎつけた共産主義中国が、「繁栄への切符」を手に入れたのです。 

この時にも、共産主義中国は「WTOの公正なルール」に合致するような状態ではありませんでした。 ところがが、米国を始めとする先進国は「今は基準を満たしていないが、貿易によって豊かになれば『公正なルール』を守るようになるだろう」と考え、共産主義中国も「将来はルールを守る」という「約束」をしたことで加盟が認められたのです。 

ところが、加盟後20年経っても、共産主義中国は自国の(国営)企業を優遇し、外資系いじめを連発するだけではなく、貿易の基本的ルールさえまともに守る気があるのかどうか不明です。

 香港再譲渡・返還では「50年間現状(民主主義体制)を維持」することを約束していたのですが、何の躊躇もなくその約束を反故にして、香港の人々を弾圧しています。


習近平は「朕は約束など守る必要は無い」と考えているのでしょうが、「約束を守らない国」を国際社会は受け入れるべきではありません。 

つまり、共産主義中国のCPTPP加盟問題以前に、「約束を守らない」彼らをWTOから追放すべきなのです。

しかし、そうはいっても、共産主義中国はすでに世界貿易にがっちりと組み込まれており、「WTO追放」はやり過ぎではないかという意見もあるでしょう。

しかし、それこそが共産主義中国の狙いなのです。我々は間違ってもCPTPPに共産主義中国を加盟させてはならないし、その「撹乱戦略」に惑わされてもならないのです。

中国の不動産開発会社中国恒大集団は、主力債権銀行少なくとも2行に対する9月20日期限の利払いを行いませんでした。そのため世界市場が「次のリーマンショックか?」と身構え、株価が下落しています。
中国恒大集団の本社ビル

現時点では、23日に期限が到来する利払いの一部は実施すると発表していますが、その方法はあいまいで、今後次々と期日が到来する利払いにどのような対応をするのかも不透明です。 

経営に危機が迫っている共産主義中国の不動産会社は中国恒大集団だけではないし、外資系企業だけでは無く、国内の民間企業にも圧迫を加える「習近平の中国」で経済が崩壊するのは間違いが無いでしょう。

上の記事では、「米商務省のタイは執行型のプロかもしれないが、戦略マインドを持ったプロなのかどうか、やや不安になる」としていますが、私もそう感じます。

私自身は、このブログでもかねてから主張してきたように、TPPを巡る中国の行動をうまく利用すれば、中国をWTOから脱退させることも可能になると考えています。

それについては、昨日もこのブログに掲載したばかりです。
世界医師会、台湾支持の修正案可決 中国の反対退ける―【私の論評】台湾のWHOへの加入は、台湾独立だけではなく大陸中国の国際社会から孤立の先駆けとなる可能性も(゚д゚)!
スイス・ジュネーブにある世界貿易機関(WTO)の本部 

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
台湾がTPPに加入していれば、TPPのルールがWTOのルールになったとしても、台湾はWTOにとどまり続けることができます。

しかし、中国はTPPのルールを守れず、TPPには入れないです。そのため、TPPの国際ルールがWTOのルールになったとしたら、その時点で、中国はWTOのルールを守れないのは明らかです。

ルールを守れない国は、WTOにはふさわしくはないですから、WTO加盟国は一致協力して、中国を脱退させるべきです。

ただし、単に中国を脱退させるのではなく、条件をつけるべきです。その条件とは、香港の「一国二制度」を復活させ、香港を以前の状態に戻せば、香港のWTO加入は認めるというものです。 
そうして、香港に限らず中国が「一国二制度」を他の地域でも実施すれば、その地域に限っては、WTOへの加入を認めるようにすべきです。

これを実行すれば、どうなるでしょう。中国は「一国二制度」の復活などはしないでしょうから、中国はWTOから脱退して孤立するしかなくなります。

このようなこと、中国共産党は全く意識していないかもしれませんが、私のような者でもこのような戦略を思いつきます。それに、TPPのルールをWTOのルールにせよとの声は、以前からあります。

中国は、CPTPP加盟申請で実は、危険な領域に足を踏み入れたかもしれません。

孤立した中国は毛沢東時代の中国に戻るしかないでしょう。現状では、盤石に見える中国ですが、中国共産党に対して国際的な批判が強まるなかで、習主席の心中は穏やかではなく、恐怖心すら抱いているのかもしれないです。

攻撃的なナショナリズムの陰に潜む被害妄想が頭をもたげており、毛沢東の時代のような鎖国状態に逆戻りする可能性は排除できません。

昨年8月26日付米ラジオ・フリー・アジアは「海外移住や外国のパスポートを取得した中国高官は数百人どころではない。一般市民も海外移住を急いでいる」と報じました。このようなことは、随分前からいわれてきたことです。多くの中国の人々が「共産党の指導者の狂気につきあうことはできない。今逃げなければ間に合わなくなる」と語っているように、中国社会にはかつてない社会不安が覆っているのでしょう。

中国という超大型客船の底に少しずつ水が入り込み、「タイタニック号」のように沈没するのは時間の問題のようです。

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2021年10月17日日曜日

世界医師会、台湾支持の修正案可決 中国の反対退ける―【私の論評】台湾のWHOへの加入は、台湾独立だけではなく大陸中国の国際社会から孤立の先駆けとなる可能性も(゚д゚)!

世界医師会、台湾支持の修正案可決 中国の反対退ける

台湾医師会の邱泰源理事長=同会提供


 (台北中央社)世界医師会(WMA)は15日に開かれたロンドン総会で、中国の反対を退けて、台湾の世界保健機関(WHO)や関連会議へのオブザーバー参加を支持する決議文修正案を賛成91、反対16の賛成多数で可決した。

WMAは世界115カ国・地域の医師会が加盟する非政府組織(NGO)で、毎年秋に総会を開催する。今年は新型コロナウイルスの影響によりオンライン形式で11日から5日間の日程で行われた。

同決議文修正案は台湾医師会が提出した。今年1月に開かれたコルドバ(スペイン)総会の再開セッションと同4月のソウル理事会で審議された際、中国は反対したが賛成多数で可決されていた。

台湾医師会の邱泰源(きゅうたいげん)理事長は、中央社の取材に応じ、ロンドン総会を経て、修正案は確定したものとなり、今後10年間は変更されず、中国によって否決されることはないと語った。

外交部(外務省)は16日、重要な意義があるとして感謝を表明した。

(蘇龍麒/編集:荘麗玲)

【私の論評】台湾のWHOへの加入は、台湾独立だけではなく大陸中国の国際社会から孤立の先駆けとなる可能性も(゚д゚)!

今回、世界医師会(WMA)は15日に開かれたロンドン総会で、中国の反対を退けて、台湾の世界保健機関(WHO)や関連会議へのオブザーバー参加を支持する決議文修正案を賛成91、反対16の賛成多数で可決したことは、今後の台湾にとって良いことです。

世界の国々は、このようなことを多数積み上げることにより、台湾を実質的な独立国にすることができるでしょう。

これは、台湾と日本、台湾と米国という台湾と他国の間でも可能であり、包括的な条約を結ぶことができないにしても、様々な条約を「積み木」のように積み上げていけは、包括的な条約を結んだのと実質同じにすることができます。そうして、台湾はますます独立国としての地位を固めることができます。

これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
日米が台湾の港湾に寄港する重要性―【私の論評】日台関係は、「積み木方式」で実質的な同盟関係にまで高めていくべき(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
(台湾)外交部によると、「カイロ宣言」は各国の指導者が合意の上で作成した国際文書であり、「条約」の二文字は冠していないものの、その内容と原則は、戦後レジームにおける国際文書などで再三引用されており、世界の大多数の国々及び学者によって重視されてきたものです。

そのため、台湾がその国名「中華民国」を名称変更するのはそう容易なことではありません。選挙のたびに有権者が「台湾」か「中華民国」かで割れるうえ、総統が演説の中で「中華民国」を何回使ったか、がニュースになるほど賛否が分かれる状況では、国名変更は遠い道のりと言わざるを得ないです。

であれば、台湾を取り巻く日本をはじめとする国際社会はどのように台湾と接していくべきでしょうか。それに有効な解決方法がすでに日台の政府間で進められている「積み木方式」による各種協定の締結です。

これは、米台もすすめている方法です。今後米国は、「積み木方式」によって、実質上の同盟関係になることが予測されます。

日本も台湾とは国交がなく、他の国家のように条約を締結することが出来ないです。例えばFTAを結ぶにしても、中国による妨害も考えられ現実的ではないです。 
そこで、包括的な条約を結ぶのではなく、投資や租税、電子取引や漁業など、個別の協定を結ぶことを、あたかも積み木を積み上げていくことで、実質的にはほぼFTAを締結したのと等しいレベルにまで持っていくことを目指すのです。

そうして、このようなことを多くの国々が積み上げていくことにより、台湾にWHOやTPPに加入してもらうことも可能になるでしょう。 その他の多くの国際協定に加入することが可能になるでしょう。そうして、台湾と実質的な同盟関係となることも可能です。

そうして、多くの国際協定に加入すれば、台湾は実質的な独立国になる日もくるでしょう。

ただ、国際社会はそれだけで満足しているのではなく、国際ルールを無視する中国が国際舞台で傍若無人に振る舞うことを阻止すべきです。

そのために、特に日本はまず、台湾にはTPPに加入してもらうようにTPP加盟国に働きかけるべきです。

それと同時に、WTOに対して、TPPの国際ルールをWTOのルールとすることを推進すべきです。これは、このブログでも以前掲載したように、ありえないことではないです。

スイス・ジュネーブにある世界貿易機関(WTO)の本部 

2009年6月8日、台湾は「世界貿易機関(WTO)政府調達協定」加盟書に署名し、7月15日よりWTO政府調達協定(GPA, the Agreement on Government Procurement) の締約国・地域の一つとなっています。

もし、台湾がTPPに加入していれば、TPPのルールがWTOのルールになったとしても、台湾はWTOにとどまり続けることができます。

しかし、中国はTPPのルールを守れず、TPPには入れないです。そのため、TPPの国際ルールがWTOのルールになったとしたら、その時点で、中国はWTOのルールを守れないのは明らかです。

ルールを守れない国は、WTOにはふさわしくはないですから、WTO加盟国は一致協力して、中国を脱退させるべきです。

ただし、単に中国を脱退させるのではなく、条件をつけるべきです。その条件とは、香港の「一国二制度」を復活させ、香港を以前の状態に戻せば、香港のWTO加入は認めるというものです。

そうして、香港に限らず中国が「一国二制度」を他の地域でも実施すれば、その地域に限っては、WTOへの加入を認めるようにすべきです。


そうなると、中国は香港をWTOに加入させるか、世界から孤立するしか選択肢がなくなります。これは、厳しいようでもありますが、中国が国際ルールを守らないのですから、当然の処置です。というか、もともと多くの国々は中国に寛容でありすぎたのです。

その根拠となったのは、多くの国々が想定したように、「中国は経済的に豊かになれば、国際ルールを守るようになるだろう」という甘い期待でした。この期待は何度も裏切られ、中国は現在もそうして、将来も国際ルールを守ることは期待できそうにもありません。特に香港の「一国二制度」を廃止してしまった後ではそうです。

今後、国際社会は、WTOに限らず、ありとあらゆる国際貿易協定などから、この方式で中国を排除していくべきです。ルールを守らない国は、国際協定などに入れないのは当然のことです。これを実施することは、中国を排除するというよりは、国際協定をあるべき姿に戻すということです。今のままでは、国際社会は混乱するばかりです。

台湾のWHOへの加入は、台湾の独立だけではなく、中国の国際協定などから排除する先駆けとなる可能性もでてきました。我が国をはじめ、多くの国々は、台湾と様々な協定を積み木のように積み上げ、台湾とより強固な関係を築いていくべきです。

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