2025年6月26日木曜日

イランの屈辱と米国の戦略勝利:2025年中東停戦の裏側と中国の野心

 まとめ

  • イランの敗北と停戦:2025年6月23日、トランプがイスラエルとイランの停戦を宣言。ホルムズ海峡封鎖は回避され、イランは核施設破壊と「抵抗の枢軸」の崩壊で孤立。象徴的攻撃で面目を保つも「一人負け」。
  • 米国の「おとり作戦」:B2爆撃機のおとり作戦でイラン核施設を破壊。トランプはMAGA派と親イスラエル派の板挟みを回避し、ネタニヤフは支持率を急上昇させた。
  • 中国の動向:イラン支援と中東均衡を維持。アジアでは一帯一路を推進するが、南シナ海や台湾で日本・フィリピンなどと緊張が高まる。
  • 抵抗の枢軸の崩壊:シリアのアサド政権崩壊、ヒズボラ・フーシ派・ハマスの弱体化でイランの影響力は激減したもの核武装意欲は増す。
  • 米国の戦略的成功:イランの弱体化で中東の局地的安定と中国対峙との対峙に専念できる状況を確率。米国は中東を数年コントロール可能に。ロシアの利益も抑えたが、核リスクと中国の野心が残る。
イランの屈辱と停戦の舞台裏


2025年6月23日、トランプ大統領はイスラエルとイランの停戦合意を高らかに宣言した。ホルムズ海峡封鎖という世界経済を揺さぶる危機が囁かれた戦争は、イランの「一人負け」で幕を閉じた。6月24日、停戦が発効。イスラエルはイランの核施設――ナタンズ、イスファハン、フォルドウ――を徹底的に叩き、軍指導者のモハマド・バケリ参謀総長らを標的に暗殺作戦を展開。制空権を完全に掌握した。

イランの誇る3000発の弾道ミサイルは、イスラエルの鉄壁の防空網「アイアンドーム」にことごとく撃ち落とされた。ヒズボラやハマスといった「抵抗の枢軸」は壊滅的打撃を受けた。イランは面目を保つため、カタールのアルウデイド空軍基地とイラクの米軍基地に事前通告付きの象徴的攻撃を仕掛けた。トランプはこれを「感謝」と評し、戦争は「茶番劇」と化した。

ホルムズ海峡封鎖は危機に終始し、実行には至らなかった。原油価格の急騰が回避され、ロシアがエネルギー輸出で得るはずだった利益も抑えられた可能性がある。イランの弱体化は、ロシアの中東での影響力を間接的に削ぐ効果も生んだかもしれない。

米国の「おとり作戦」とトランプの賭け


米国はB2爆撃機による「おとり作戦」を展開。ミズーリ州ホワイトマン空軍基地から飛び立ったB2がイランを攻撃する一方、別のB2機をグアム方面へ向かわせ、送受信機を停止。イランやメディアの目を欺き、攻撃の秘匿性を確保した。この大胆な作戦で、フォルドウなど核施設は地中貫通弾で破壊された。イランは1979年のシーア派革命以来、最大の危機に直面。体制転換の恐怖がハメネイ師を襲った。

トランプは国内で板挟みに立っていた。MAGA派は中東の泥沼を拒み、親イスラエル派はイラン壊滅を求めた。トランプは限定作戦を選び、戦争の拡大を回避。支持基盤を守り抜いた。一方、イスラエルのネタニヤフ首相は核施設破壊の成功で「国の守護者」としての地位を固め、支持率を急上昇させた。来る選挙での勝利はもはや確実だ。

イランの弱体化は中東に一時的な安定をもたらした。米国は中東での軍事関与を軽減し、中国との対峙に注力する余地を得た。しかし、イランの核武装への執念と地域の根深い対立が、完全な和平を阻む。米国が中国に集中するにも限界がある。

中国の野心とアジアの緊張


中国はイランとの絆を保ちつつ、中東での影響力を拡大。2021年の戦略的パートナーシップ協定で、イランに25年間で4000億ドルの投資を約束。2023年には日量100万バレルのイラン産原油を確保した。2025年6月、イスラエルの核施設攻撃後、中国は国連安保理でロシアやパキスタンと組み、停戦決議案を支持。習近平は中東の緊張緩和を掲げ、イランの主権を擁護しつつ、イスラエルの攻撃を非難。エネルギー供給の安定と一帯一路構想を守るため、両当事者に自制を求めた。

中国はイランへの支援を続ける一方、サウジアラビアなど他の中東諸国とも関係を深め地域の均衡を保つ。アジアでは、中国の動きが波紋を広げる。2025年4月、習近平はベトナム、マレーシア、カンボジアを歴訪。一帯一路を通じた貿易・インフラ協定を結び、米国の高関税に対抗する地域統合を推し進めた。

だが、南シナ海では中国軍の戦闘機が日本やオーストラリアの軍用機に危険な行動を繰り返し、フィリピン船舶を妨害。日本の反中国感情は高まり、韓国や東南アジアも対立を深める。中国は上海協力機構や中央アジアでの製造業連携を強化。デジタル技術や電子商取引で主導権を握ろうとする。台湾問題では、2025年3月に軍事圧力を強め、頼清徳総統の「独立」発言を非難。対話の可能性も示唆するが、緊張は続く。

中国は米国との競争を意識し、アジアでの経済・軍事的主導権を狙う。だが、近隣諸国との摩擦は増すばかりだ。

「抵抗の枢軸」の崩壊とイランの孤立


イランの「抵抗の枢軸」は崩壊した。シリアのアサド政権は2023年12月に崩壊。シャラア暫定大統領は米国や湾岸諸国に接近し、イスラエルの対イラン作戦やシリア空域使用を黙認した。ヒズボラは指導者ナスララ師の暗殺と戦争疲れで参戦を控え、イランへの不信感を募らせた。

イエメンのフーシ派は国土の3分の1を握るが、米軍の空爆で精密攻撃能力が低下。イランの支援を受けつつも独立性を重視し、積極的な協力は避けた。ハマスはイスラエルとの戦闘継続を掲げるが、2年に及ぶ戦闘で疲弊。イランとの関係は希薄で、脅威は薄れた。

イランは中東での影響力を失い、孤立を深めた。フォルドウ核施設からの濃縮ウラン持ち出し疑惑が浮上。核武装への執念は強まるばかりだ。地域の緊張は消えず、イランの核開発が再び火種となる可能性は高い。中国の支援がイランの次の動きを後押しするかもしれない。

情勢は予断を許さない。だが、ここ数年に限っては、米国は中東の混乱を巧みに抑え、戦略の主導権を握ることになった。イランの弱体化、ロシアの影響力低下、中国の牽制――米国は中東をコントロール可能な舞台に変えた。特に危険な二正面作戦の危機を回避した。だが、イランの核の影と中国の野心が、その支配をいつまで許すかはわからない。

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