2025年6月17日火曜日

羊蹄山の危機:倶知安町違法開発が暴く環境破壊と行政の怠慢

 まとめ

  • 倶知安町巽地区の違法開発は、デタッチドハウス(住宅の様式)の建設を目的に、森林法や水資源保全条例を無視し、3.9ヘクタールの森林を伐採した。
  • 鈴木直道知事の中国への友好的姿勢や夕張での疑惑が、投資家に規制の緩さを印象づけ、違法開発を間接的に助長した可能性がある。
  • 北海道と倶知安町の事前監視不足が、開発の進行を許し、2025年6月になってようやく工事停止命令が出された。
  • 中国系とみられる「L.I.」が建築主として関与し、中国資本の投機的動機が環境破壊を加速させた疑いがある。
  • この開発は中国の「鬼城」造成に似ており、水源汚染や生態系破壊の危機を招き、厳格な規制と透明性が求められる。

羊蹄山のふもと、倶知安町巽地区で発覚した違法開発は、北海道の自然と地域社会を脅かす重大な問題だ。約3.9ヘクタールの森林が許可なく伐採され、水源地が汚染の危機に瀕している。この事件は、中国の「鬼城」造成のような無責任な開発の危険性を示す。鈴木直道知事の中国への友好的姿勢や自治体の監視不足が、事態を悪化させた可能性がある。以下、事件の全貌を明らかにし、その危機を訴える。

違法開発の全貌と環境への脅威

倶知安町巽地区で進められた違法開発は、観光客向けの別荘として人気の高い独立型住宅、いわゆるデタッチドハウスの建設を目的としたものだった。デタッチドハウスは、隣接する建物と完全に分離された一戸建てで、ニセコのような観光地では、プライバシーを重視する富裕層や外国人向けに短期賃貸や別荘として近年注目されている。札幌の企業が主導したが、森林法、建築基準法、景観計画条例、都市計画法、北海道の水資源保全条例をことごとく無視した。

法令
違反内容
森林法
約3.9ヘクタールの森林を許可なく伐採、1ヘクタールを超える開発に許可を取得せず([Kutchan Development Illegally Cleared 3.9 Hectares Of Trees)
建築基準法
建物を建てる際の必要な申請を提出せず
景観計画条例
景観計画に違反する開発が行われた
都市計画法
開発規模が規定を超える可能性があり、調査中
水資源の保全に関する条例
土地取引時の届け出を提出せず

約3.9ヘクタールの森林を許可なく伐採し、建築申請も提出せず、水源保護区域での土地取引の届け出も怠った。地元住民は「水が汚れたら困る」と訴える。羊蹄山周辺は、1日8万トンの湧水で知られる福出公園など、地域の生活と観光を支える水源地である。開発はかなり進行した後、2025年6月4日に北海道が現場を検査し、6月6日に工事停止命令を発令した。6月9日に事業者から森林復旧計画が提出されたが、環境へのダメージは深刻だ。この違法行為は、生態系を脅かし、水源汚染のリスクを高める。福出公園の湧水が汚染されれば、地域経済は壊滅する。

親中派鈴木知事と自治体の怠慢
鈴木直道知事は、中国との友好関係を重視する姿勢で知られる。2020年、新型コロナ対策で「結果責任は私が負う」と発言し、中国古典「史記」の「隗より始めよ」を引用。中国のネットで「日本の若きリーダー」と称賛され、アクセスランキング1位を記録した。2019年には中国の王岐山副主席と会食し、交流強化を議論した。一方、2023年には中国の日本産水産物輸入禁止を「科学的根拠がない」と批判し、バランスを取る姿勢も見せた。


しかし問題は、鈴木知事の夕張市長時代だ。中国系企業「元大グループ」に観光施設を売却し、後に香港系ファンドに高値で転売されたことで、利益供与の疑惑が浮上。夕張市は損失を被り、破産に至った。この過去が、倶知安町の違法開発に間接的に影響した可能性は否定できない。建築主として中国系とみられる「L.I.」が関与し、中国系の投資会社がSNSで「販売価格5200万円、賃貸利回り7%」と投資を呼びかけていた事実も、それを裏付ける。

北海道と倶知安町は、違法開発がかなり進行した後で対応した。2025年6月4日の検査で違法性を確認し、6月6日に工事停止命令を発令。6月9日に復旧計画を受理したが、事前の監視体制は不十分だった。事業者は伐採面積を0.99ヘクタールと偽り、実際は3.9ヘクタール。行政が事前に気づいていれば、防げたはずだ。倶知安町議会では、波方真如町議が「なぜ事前に防げなかったのか」と追及。文字一志町長は「法令無視は遺憾」と述べ、指導強化を約束したが、遅すぎる対応だ。倶知安町は、高級コンドミニアムやホテルの開発を推進する姿勢を明確にしている。ニセコの建設ブーム再開も、経済成長優先の姿勢を反映する。この姿勢が、監視の甘さを生み、違法開発を許した可能性は高い。

結論:北海道の自然と未来を救うための緊急対策
この違法開発は、北海道の自然と地域社会を破壊する危機だ。約3.9ヘクタールの森林破壊は生態系を脅かし、水源汚染は観光と生活を直撃する。鈴木知事の中国への友好的姿勢や夕張での疑惑が、投資家に誤った安心感を与えた可能性は否めない。自治体の監視不足も、違法行為を許した大きな要因だ。

この開発は、中国の「鬼城」造成に酷似する。中国では、投機的な不動産投資が未入居の住宅地を生み、環境破壊と経済的損失を引き起こした。内モンゴル自治区オルドス市の康巴什新区は、100万人都市を目指したが、居住者は3万人にとどまる。倶知安町の事例は規模こそ小さいが、法規制無視と水源地への影響は同じ道を辿る危険性を示す。

「ふきだし公園」北海道虻田郡京極町字川西(羊蹄山の麓)にある公園

ふきだし公園の湧水が汚染されれば、地域経済は壊滅する。今後、北海道は直ちに以下の対策を実行すべきだ。森林法や水資源保全条例を厳格に運用し、違法行為を未然に防ぐ。水源地での開発には、厳格な環境影響評価を義務づける。行政と事業者の関係を透明化し、外国資本の投機的投資を管理する。住民の声を反映した開発計画を策定し、信頼を回復する。これを怠れば、北海道は中国の「鬼城」のような荒廃を迎えることになりかねない。自然と経済を守るため、道民そうして行政は目を覚まさなければならない。

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