2019年12月24日火曜日

「低所得国」へ転落する日本…元凶は“平成のマネー不足”だ 2度の消費増税も足引っ張る―【私の論評】日銀の金融政策の間違いを正すことなく、インバウンド消費に期待しても、日本がニセコ化するだけ(゚д゚)!

「低所得国」へ転落する日本…元凶は“平成のマネー不足”だ 2度の消費増税も足引っ張る



話題になつた日経電子版のツイート ブログ管理人挿入


日本経済新聞の「年収1400万円は低所得」という特集記事が話題になっている。記事では、システムエンジニアという特定業種に関して、米住宅都市開発省の調査によるサンフランシスコでの分類から、1400万円を「低所得」としたものだ。

 平成の30年間について、筆者は所得が「平に成った」時代だと言っている。他の国では大きく増加しているのに、日本だけが「平に成った」ので、日本の所得は相対的に他国に見劣りするようになった。

 世界銀行が公表している統計で確認してみよう。日本、米国、中国について、ドル建て国内総生産(GDP)を1990年と2018年で比べると、日本は3・13兆ドルから4・97兆ドル、米国は5・96兆ドルから20・5兆ドル、中国は0・36兆ドルから13・6兆ドルと、日本は大きく見劣りしている。


グラフはブログ管理人挿入 世界の中で日本だけが実質賃金が低下し続けた

 世界銀行のデータで統計がある範囲でみる限り、1990年から2018年の伸び率において、湾岸戦争でダメージを負ったイラクが世界最悪だが、日本はイラクに次いで2番目に悪い数字だ。つまり、平成の間の低成長は、戦争が起こっていたときと同じ程度にひどい経済状況だったのだ。

 この間の世界におけるGDPシェアについても、米国は2・5ポイント減、中国は14・3ポイント増だったのに対し、日本は8・1ポイント減と大幅に下がった。

 国民の平均的な所得という意味では、「1人当たりGDP」のほうが適切だ。同時期の世界銀行のデータでみると、日本は2万5400ドルから3万9300ドル、米国は2万3900ドルから6万2600ドル、中国は300ドルから9800ドルだった。日本は伸びがなく、相対的に魅力がなくなっている。

 平成における日本の低成長期は、いわゆる「失われた10年(もはや20年、30年)」だ。原因には諸説あり、構造問題としての企業投資の不振、不良債権処理の先送りなどが多くの経済学者によって主張されてきた。筆者は、日本だけがマネー不足だったためだとみている。

 企業投資の不振は、マネー不足によるデフレ経済の結果であるし、不良債権問題も世界中にあり、処理の先送りは他国でもみられる現象だ。

 しかし、世界銀行の統計で、日本のみならず他国を含めたGDPの動きを最もよく説明できるのが、GDPの伸びと相関の高いマネーの動きだ。1980年代に日本のマネーの伸び率は10%程度あり、先進国の中では標準的だった。しかし、バブルへの反省と懸念から90年代にマネーの伸び率は急落した。これがデフレの原因でもある。マネーの動きは基本的に金融政策の分野であるが、緊縮財政もその動きに輪をかけた。要するに、マクロ経済政策の失敗が原因だ。

 アベノミクスでは、金融緩和政策によって雇用が確保できた。しかし、2度も消費増税を行い緊縮財政を維持したので、所得が上がるまでには至らず、大きな課題を残したといえるだろう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】日銀の金融政策の間違いを正すことなく、インバウンド消費に期待しても、日本がニセコ化するだけ(゚д゚)!

ブログ冒頭の話を如実にあらわしているのが、以下のグラフです。


いわゆる、リーマン・ショックのときに、米国、英国、EUの中央銀行は、マネタリーベースを増やす政策をとったのですが、日銀だけがこれをしませんでした。そのため、日本は酷いデフレと、円高に見舞われ、リーマン・ショックの震源地である、米国等よりも、経済の回復が遅く、世界の中で1人負けの状態になってしまいました。

この時、日銀がとるべき政策は、無論大規模な金融緩和をすることでした。もし、日銀がこのときに、大規模な金融緩和に転じていれば、あれほどのデフレ・円高に見舞われることはなかったでしょう。

このグラフは、このブログにも度々掲載したので、記憶にとどめていらっしゃる方も多いです。

ちなみに、マネタリーベースとは、日本銀行が供給している通貨のことをいい、マネーストックの基となることから、ベースマネーとも呼ばれます。

そしてマネタリーベースは、現金通貨(日本銀行券や補助貨幣)と民間金融機関の補遺亭準備預金(日銀の当座預金に預けられているもの)を合算したものです。

マネーストックとは、通貨残高と呼ばれるもので、世の中に出回っているお金の総額のことです。

これは、金融機関全体が持っているお金が、経済全体にどの程度供給されているのかを見るために、利用されている指標です。

具体的には、金融機関や中央政府を除いた、一般法人や個人、地方公共団体が持っている通貨量の残高を集計したものを指します。

計算方法は、マネタリーベース×貨幣乗数あるいは現金通貨+預金通貨となります。

ちなみに、マネタリーベースはコントロールできて、マネーストックはできないというのは、もともとトンデモ理論であり、現実世界でもすでに2013年に、証明されていることなので、もう存在しないと言っても良いです。どっちもコントロールできますから、どっちで議論をしても良いです。

日銀は、平成年間のほとんどを金融引き締めを継続しました。そのために、日本では賃金も上がらず、経済も成長せず、今日に至っているのです。

その日銀も2013年には、異次元の金融緩和を実行したのですが、2016年にイールドカーブコントロールを実施して、緩和を継続はしてはいるものの、引き締め気味の政策を実行しています。

本来ならば、今年10月に消費税を導入したのですから、日銀はイールドカーブコントロールなどやめて、2013年の異次元の金融緩和政策に戻るべきです。

増税したまま、大規模な金融緩和もせず、政府が大規模な経済対策もしなければ、どうなるかは、わかっています。それは、高橋洋一氏が冒頭の記事で、主張しているように「低所得国」へ転落することになります。

「低所得国」になっても、物価が安いし、それにアウトバンウンド消費をあげれば、それで良いなどと考えるのは全くの間違いです。これについては、以前このブログにも掲載しました。
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まるで外国のようなニセコの現在の町並み
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
ニセコでの海外富裕層向けを中心としたコンドミニアムや別荘への不動産投資ニーズに、国内の不動産業者・銀行は、ほとんど応えられていないのです。海外不動産業者やプライベートバンクと海外富裕層との間には、独自のネットワークが形成され、日系企業が入り込む余地がほとんどない状態であるというのです。

それどころか、観光客のほとんどが外国人なので、現地で雇用も最近ではほとんどが外国人になりつつあるそうです。 
ニセコは、まさに「外国人の、外国人による、外国人のためのリゾート」と化していると言って良いです。地元ニセコ町の分析でも、民間消費や観光業の生産額のほとんどが、町外に流出超過だとされています。観光客や投資の増加は、もはや地域の収入には十分つながっていないというわけです。
日本が、日銀の金融政策の間違いを正すことなく、それによって低所得国であることを許容し続ければ、日本の賃金はさらに下がり、さらにインバウンド消費をあてにして、海外から多数の観光客を招くようになれば、まさに日本がニセコのような状況になってしまうのです。

日本国内にニセコのようなところが多くできあがり、多くの日本人は平均5000円のランチを出すような、外国人向けの施設には行くことができず、挙げ句のはてにそのような施設に就職することもできず、完全に締め出されてしまうことになるかもしれません。

しかも、外国人相手となると、国際情勢が大きく左右します。日本が平和であっても、海外で戦争が勃発することにでもなれば、日本を訪れる外国人がいなくなり、とんでもないことになるかもしれません。そうなれば、ますます賃金が下がり、前途有望な若者は海外を目指すようになるかもしれません。

今のままでは、この悪夢が本当になってしまうかもしれません。しかし、それを防ぐことはできます。それは、日銀にまともな金融政策を実行させることです。

それなしに、インバウンド消費を刺激しても、日本全体がニセコ化するだけです。

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