2019年12月20日金曜日

ロシアやドイツも敵わなかった“海洋勢力”…中国も同じ轍を踏むか!? 今こそ「日米韓」を「日米台」同盟に―【私の論評】中国が経済的に疲弊しつつある今が、日米台関係を強化する絶好のチャンス(゚д゚)!

ロシアやドイツも敵わなかった“海洋勢力”…中国も同じ轍を踏むか!? 今こそ「日米韓」を「日米台」同盟に

安倍総理

 中国と、米国を中心とする海洋諸国同盟が、アフリカの岸を洗うインド洋から日本まで、「インド太平洋圏の覇権」をめぐって、激しい鍔迫(つばぜ)り合いを演じている。

 どっちが、勝つことになるのだろうか。テクノロジー、軍事力、資力以上に「戦略を構築する力」が軍配をあげることとなろう。

 ここでも、中国の習近平国家主席は重大なハンディキャップを負っている。

 習氏は中華人民共和国の玉座について以来、大海軍の建設に取り組んできた。いまではアフリカ大陸とアラビア半島に挟まれた、紅海の出入り口のジブチにまで海軍基地を持つようになった。

 秦の始皇帝が紀元前2世紀に中国大陸を統一して、中華帝国が地上に現れてから、中国が大海軍を持つのは初めてだ。

 中国は戦略的な発想を行う能力がない。2000年以上にわたって、「地上で自分だけが優れている」という中華思想によって蝕(むしば)まれてきたために、他国と対等な関係を結ぶ能力を欠いており、同盟国を持つことができない。

 手前勝手な華夷思想によって、中国と野蛮な夷(えびす)に、世界を二つに分けてきた。中国は海に背を向けた文明だ。

 習氏のもとで、中国は海洋勢力となろうとして、大海軍の建設を急いでいるが、海軍力によって、海洋勢力となることはできない。

 それに対して、米国は海洋諸国と結んで、中国を孤立させている。

 かつて大陸勢力であったロシアやドイツ帝国が大海軍を誇ったが、海洋勢力に敵(かな)わなかった。中国はその轍(てつ)を踏みつつある。

 中国は中華思想という歴史の檻(おり)から、抜け出せない。

 中国は来年11月の米大統領選で、ドナルド・トランプ大統領が再選に失敗するのを願っている。

 米国は経済が快調だ。民主党は議会でトランプ氏を弾劾しているが、共和党が多数を占める上院で否決されるから、嫌がらせにすぎない。

 だが、米国は民主国家だ。民主党のリベラルな牙城であるニューヨーク州、カリフォルニア州と、フロリダ州が最大の選挙人数を持っているから、万が一、一過性の人気によって“小池百合子現象”が起こって、オバマ政権のような民主党政権が誕生するかもしれない。

 海洋同盟諸国の弱い鎖が、日本、韓国、台湾だ。韓国は信頼できない。「日米韓同盟」を、「日米台同盟」にかえるべきだ。

 ■加瀬英明(かせ・ひであき) 外交評論家。1936年、東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、エール大学、コロンビア大学に留学。「ブリタニカ百科事典」初代編集長。福田赳夫内閣、中曽根康弘内閣の首相特別顧問を務める。松下政経塾相談役など歴任。著書・共著に『フーバー大統領が明かす 日米戦争の真実-米国民をも騙した謀略』(勉誠出版)、『グローバリズムを越えて自立する日本』(同)など多数。

【私の論評】中国が経済的に疲弊しつつある今が、日米台関係を強化する絶好のチャンス(゚д゚)!

冒頭の記事のようなことは、何度かこのブログにも掲載してきたことがあります。いかに、それらの記事のリンクを掲載します。
台湾問題だけでない中国の南太平洋進出―【私の論評】海洋国家を目指す大陸国家中国は、最初から滅びの道を歩んでいる(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとし、この記事より結論部分を引用します。
「ローマは3度世界を征服した。1度は武力で、1度はキリスト教で、1度は法で」(ドイツの法学者イェーリングの言葉)。では、現中国はどうでしょうか。上の言葉で言えば、武力しか持っていません。キリスト教(宗教・思想)や法(普遍的法体系)に当たるものがまるでないのです。これは、他国を真に魅了するものがまったくなく、経済と軍事のみで自己アピールしなければならないことを意味しています。 
ここが、過去の中華帝国とまったく違います。かつての中華帝国も周辺国への恫喝と侵攻を繰り返したのですが、その高度な文明の故をもって尊敬も勝ち得ていました。それが現中国にはないのです。これは、世界帝国として台頭するには致命的な欠陥となるでしょう。 
現在の中国は鄧小平が劉華清(中国海軍の父)を登用し、海洋進出を目指した時から両生国家の道を歩み始めました。そして今、それは習近平に引き継がれ、陸海併せ持つ一帯一路戦略として提示されるに至っています。しかしこれは、マハンの「両生国家は成り立たない」とするテーゼに抵触し、失敗に終わるでしょう。
劉華清(中国海軍の父)

事実、両生国家が成功裏に終わった例はありません。海洋国家たる大日本帝国は、大陸に侵攻し両生国家になったため滅亡しました。大陸国家たるドイツも海洋進出を目指したため2度にわたる世界大戦で滅亡しました(ドイツ第2、第3帝国の崩壊)。ソビエト帝国の場合も同じです。よもや、中国のみがそれを免れることはないでしょう。一帯一路を進めれば進めるほど、地政学的ジレンマに陥り、崩壊への道を早めてゆくことになります。
そもそも、海洋国家を目指した中国は、その時点から滅びの道を歩んでいると見て良いです。中国が、海軍力を増強し続ければ、何が起こるかというと、海洋戦略・戦術に劣っているため、いくらこれに資金を投下しても、現実には無駄ということになります

実際、純粋な戦力としては、海上自衛隊が中国海軍を上回っているという見方が主流のようです。ナショナル・インタレスト誌(2016年)は、海上自衛隊の艦艇と人員の数、装備の性能、組織力のどれをとっても「アジア最強」だと指摘する。主要装備の性能や役割を詳しく説明したうえで、東日本大震災発生時の災害救助活動の実績を紹介し、海上自衛隊の展開力の高さも折り紙つきだとしています。

ビジネス・スタンダード紙(インド日刊紙)は、「そうりゅう」型8隻と「おやしお」型11隻(2017年当時)を擁し、2021年までに23隻に拡大する予定の潜水艦戦力も、中国に脅威を与えるとしています
 
また、南シナ海を経てシンガポール入りし、その後さらに南シナ海で「デューイ」との共同訓練を行った「いずも」の動きを、ニール氏は尖閣諸島など日本周辺海域での「中国の執拗な動き」への対抗策だと断言しました。

そして、「『いずも』は安倍政権下で進む日本の軍拡の象徴だ。それは、第二次大戦中の日本の強力な空母艦隊によってもたらされた痛みを強烈に思い出させるものだ」と、中国側の見方を代弁しています。

ビジネス・スタンダード紙は豊富な防衛予算も海上自衛隊の強みだと見ています。「防衛費の上限が全体の1%という制約がありながらも、日本の2017年の防衛予算は436億ドルで、インドの535億ドルよりも少し少ないだけです。

そうして、インドや中国と違い、日本は陸軍よりも海軍と空軍に多くの予算を回している」と、予算面でも決して自国や中国に負けていないと指摘しています。

我々日本人の多くは、自衛隊の装備はかつての「武器輸出三原則」の制約などにより割高だという認識を持っています。しかし、ビジネス・スタンダード紙は、自国との比較において逆の見方をしています。

「川崎重工、三菱重工といった巨大企業を擁する日本の洗練された造船産業は、軍艦を迅速に安く作ることができる。そうりゅう型潜水艦は6億8500万ドルだが、これは半分以下のサイズのインドのスコルペヌ型潜水艦とほぼ同コストだ。排水量690トンのあわじ型掃海艦もたった1億6000万ドルで作っている」などと書く。

日米の連携強化も、中国にじわりとプレッシャーを与えていると各メディアは分析しています。「いずも」と「デューイ」(米ミサイル駆逐艦)の共同訓練は、デューイが中国の南シナ海での動きを牽制する「航行の自由作戦」に従事している艦なだけに、中国のみなら米国や周辺諸国の注目も集めました。

空母化が予定されている「いずも」

日本側は「いずも」は航行の自由作戦には参加しておらず、あくまで一般的な編隊・通信の確認だったと説明しましたが、ニール氏は、こうした日米の動きを中国は「アメリカによる地域支配の準備をカモフラージュするものだと見ている」と指摘しています。

また、ニール氏らアナリストは、武器輸出三原則の緩和により、インド、オーストラリアといったアジア太平洋地域の同盟国に高性能な日本製装備が行き渡ることも、広く日本の防衛力強化に貢献すると見ています。

こうした論調を俯瞰すると、アジア太平洋地域の覇権を米国から奪おうと目論む中国にとって、日本の“海軍力”が目の上のたんこぶになっていることが理解できます。これがアジア地域の安定に良い影響を及ぼすのは確かです。

そうして、中国の致命的な欠点である、中華思想という歴史の檻についても、このブログに掲載したことがあります。
【湯浅博の世界読解】「自滅する中国」という予言と漢民族独特の思い込み―【私の論評】すでに自滅した中国、その運命は変えようがない(゚д゚)!
孫氏の兵法書
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
民族は自らを「偉大なる戦略家である」と思い込んでいる。孫子の兵法を生んだ民族の末裔(まつえい)であるとの自負が誤解の原因かもしれない。米国の戦略国際問題研究所(CSIS)の上級顧問、E・ルトワク氏は、戦略家であるどころか「古いものをやたらとありがたがる懐古的な趣味にすぎない」と酷評する。実際には、中核部分の「兵は詭道(きどう)なり」というだましのテクニックだけが生きている。

その詐術も足元が乱れることがある。米メディアが南シナ海のパラセル諸島への地対空ミサイル配備を報じた直後、王毅外相が「ニュースの捏造(ねつぞう)はやめてもらいたい」といった。すると、中国国防省がただちに「島嶼(とうしょ)の防衛体制は昔からだ」と反対の見解を表明して外相発言を打ち消していた。

国家の外交が、ひそかに動く共産党の軍に振り回されている。軍優位の国にあっては、当然ながら国際協調などは二の次になる。
その詐術も足元が乱れることがある。米メディアが南シナ海のパラセル諸島への地対空ミサイル配備を報じた直後、王毅外相が「ニュースの捏造(ねつぞう)はやめてもらいたい」といった。すると、中国国防省がただちに「島嶼(とうしょ)の防衛体制は昔からだ」と反対の見解を表明して外相発言を打ち消していた。 
国家の外交が、ひそかに動く共産党の軍に振り回されている。軍優位の国にあっては、当然ながら国際協調などは二の次になる。
中華思想に染まり、孫氏の兵法等に溺れる中国には、将来性は感じられません。一方、サイバー戦や、AI、宇宙開発に力を入れていますが、私はこれらもかつてのソ連のように中国の経済力を弱らせることにつながると思います。

さて、日米台同盟に関しては、その構築の方法などこのブログでも掲載しています。 
日米が台湾の港湾に寄港する重要性―【私の論評】日台関係は、「積み木方式」で実質的な同盟関係にまで高めていくべき(゚д゚)!
トランプ米大統領の蔡英文台湾総統
 この記事の結論部分の一部を以下に引用します。
台湾を取り巻く日本をはじめとする国際社会はどのように台湾と接していくべきでしょうか。それに有効な解決方法がすでに日台の政府間で進められている「積み木方式」による各種協定の締結です。 
これは、米台もすすめている方法です。今後米国は、「積み木方式」によって、実質上の同盟関係になることが予測されます。 
日本も台湾とは国交がなく、他の国家のように条約を締結することが出来ないです。例えばFTAを結ぶにしても、中国による妨害も考えられ現実的ではないです。
そこで、包括的な条約を結ぶのではなく、投資や租税、電子取引や漁業など、個別の協定を結ぶことを、あたかも積み木を積み上げていくことで、実質的にはほぼFTAを締結したのと等しいレベルにまで持っていくことを目指すのです。
日米台は、正式には国交が結べていません。ただし、この「積み木」方式により、日米台関係を同盟国と同等の次元まて、高めていくことはできるでしょう。実際米国は「台湾旅行法」等を施行させています。米国は、その方向でこれからも様々な法律を作成しているでしょう。

現在韓国は、ほとんど北朝鮮の衛星国のような有様になっており、韓国と日米との関係は最悪です。韓国の場合、朝鮮半島に位置し、大陸国家としても、海洋国家としても中途半端です。

無理やり韓国を日米韓同盟から引き剥がす必要もないですが、今後に日米とも中途半端な韓国には見切りをつけ、台湾との関係を強化していくべきでしょう。

日本としても、韓国がいつまでも貿易管理をまともにしなければ、台湾が条件を満たせば、ホワイト国に指定するということも視野に入れるべきです。韓国に資金や時間を割く分を台湾に割いたほうが、コストパフォーマンスも高いですし、はるかに信頼性が高いです。

台湾には、大陸中国に親和敵な人も多いですが、それにしても、国民党が政権与党の時の馬英九総統時代に、日本で東日本大震災が発生した際には、台湾は援助隊を日本送り多額の義援金を募るなど、積極的に日本を支援したことを忘れるべきではありません。

日米台の関係が強化されれば、大陸中国に親和敵な人たちも、日米台同盟に期待を持つようになるでしょう。何しろ、もう中国経済は深刻な状況であり、従来のように豊富な資金力で、台湾を懐柔することには限界がきています。まさに、今後は日米台関係を強化していくチャンスが到来したといえます。

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