2019年12月14日土曜日

【日本の解き方】野党合流で何ができるのか? 政策で変節した人の野合に透けて見える「カネ」と「衆院選」―【私の論評】もりかけ桜に浮き身をやつした野党に明日はない(゚д゚)!


野党党首会談に臨む(左から)立憲民主党の枝野幸男代表、国民民主党の玉木雄一郎代表ら

 立憲民主党の枝野幸男代表が国民民主党の玉木雄一郎代表、社民党の又市征治党首、無所属の野田佳彦前首相らに、野党勢力を結集し政権交代可能な政党を作りたいとして、合流を呼びかけたという。

 本コラムで再三言及してきたが、国会は国会でしかできないことをやってほしい。国でしかできないことは、憲法議論、マクロ経済政策、外交・安全保障だ。臨時国会で、憲法や景気対策、ホルムズ海峡への自衛隊派遣などの問題はほとんど議論されず、「桜を見る会」ばかりに時間を費やした。まったく国会の機能不全である。

 先日、街頭でまた野党が集まって桜問題を追及していたが、そこまでしたいなら内閣不信任案を出すべきだった。衆院解散を恐れて提出できなかったのなら情けない。

 次の衆院選をにらんで、枝野氏は国民民主、社民らに合流を呼びかけている。しかし、枝野氏は対等交渉に否定的なようで、「上から目線」がうかがえるのが面白い。立憲民主は資金面で、このままでは衆院選を戦うのは難しい。かといって国民民主のカネ目当てとも言えないだろう。

 政党助成金の交付要件との関係で、合流のリミットは年内であり、例年この時期に合流話が出てくるのが、政治的な年中行事になっている。

 合流したとして、大きな勢力になるかといえば、数でみれば、自民党の半分くらいの規模になる。しょせん政策ではなく選挙やカネ目当ての選挙互助会とみる有権者も少なくないだろう。

 ほんの2年前、希望の党の誕生によって、民主党は主として憲法改正や安全保障面での政策の違いで分裂したはずだが、2年たったらその経緯もすっかり忘れて野合しようとしている。

希望の党の総決起大会で「ガンバロー」と拳をあげる小池百合子代表(中央)ら2017年10月9日午前

 次の選挙まで期間がある参院で合流話があまり聞かれないのは、衆院議員にとっては合流が選挙のために死活問題であることを示している。

 今のところ、野党を結びつけているのは、衆院選への対応、桜を見る会の追及、合流のタイムリミットが年内ということなので、これから具体的な協議や調整が進められるだろう。

 早ければ、来年の通常国会で補正予算を通した時点での解散もありえる。東京五輪・パラリンピック後になると、自民党の安倍晋三総裁の任期である2021年9月まで1年を切り、追い込まれ解散の印象が出てくるので、避けたいところだ。

 となると、来年冒頭や来年度予算が成立した4月あたりの解散もありえる。これが野党合流の勢いを加速させている。

 ただし、問題は政策である。もし憲法改正や安全保障などで政策が一致するなら、この2年間で変節した人が新しい野党に数多く存在することになる。

 逆に政策が一致しないまま合流したら、単に選挙やカネのための野合ということになる。どちらにしても批判は避けられないだろう。


 この意味で、仮に合流しても分裂含みで、とても求心力を得るのは難しいだろう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】もりかけ桜に浮き身をやつした野党に明日はない(゚д゚)!
立民は結党から2年が過ぎ、野党第一党として国会運営を仕切るまでに成長しましたが、資金力では同じ旧民進党を系統に持つ野党第二党の国民民主党に水をあけられたままです。

総務省が公表した平成30年分の政治資金収支報告書によると、立民の収入は約36億円で、国民の約65億円の半分程度にとどまりました。主要政党の党首クラスの収入でも枝野氏は4562万円で29年から半減しましたた。個人献金は3002万円と他党党首に差をつけたのですが、やはり29年の6915万円から半減しました。

政党交付金は1月1日現在の所属国会議員数と直近の衆院選、過去2回の参院選の得票率に応じて配分額が決まります。立民のメンバーは旧民進党を離党して新党を立ち上げた形式を取ったため、旧民進党の枠組みを事実上引き継いだ国民と交付金の額で差をつけられたのです。国民には、旧民進党が貯めた預金も残っているとされます。
立民が国民などに年内の合流を呼びかける理由は、国民との合流を一気に進め、資金面で一息つきたいというのが幹部の本音でしょう。
立民は政党支持率も伸び悩んでいます。産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が11月に行った合同世論調査によると、同党の支持率は7.8%。結党翌月となる29年11月の結党翌月の支持率が15.3%だったことを考えると、立民への期待値がしぼんでいることがうかがえます
7月の参院選では、支持層が一部かぶるれいわ新撰組に比例代表票を多く奪われ、党内には危機感が走りました。立民幹部は「支持率に一喜一憂しない」とうそぶいていますが、安倍政権は『桜を見る会』の疑惑で支持率が落ちたのですが、それ以上の割合で主要野党の支持率が下落しました。野党がスキャンダル追及を進めても、国民は閉口しているだけなのです。

同じ野党でも、れいわは、主要野党がこぞって進める桜を見る会の追及とは一線を画し、「消費税廃止」など大胆な政策を掲げたり、ターゲットを就職氷河期世代に絞った主張を展開するなど、分かりやすい言動で支持を広げています。

枝野氏もこれまで「単なる数合わせはしない」と“立民カラー”にこだわってきたはずです、これを事実上捨てて大同団結を目指す先には何があるのでしょうか。まずは、党の支持率が上向かない理由を分析することから始めるべきでないでしょうか。
選挙に関しては、このブログでは1月解散、2月総選挙と予想しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
【日本の解き方】IMFの「消費税引き上げ論」と真水「10兆円」の補正予算浮上…財務省の“絶妙”な対応―【私の論評】いまのところ、1月解散,2月選挙という可能性が最も高い(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下のこの記事の結論部分のみ引用します。
増税の影響が表れる10~12月期の国内総生産(GDP)の速報値が発表されるのは来年の2月17日です。このため「数字が出る前に解散を打った方がいいのではないか」(自民党関係者)との声もあります。野党側は立憲民主、国民民主両党が会派合流を決めたものの、離党の動きが出るなど臨戦態勢が整わず、与党にとっては好条件です。 
1月解散となると、まさに選挙戦の最中にGDPの速報値が発表されることになるわけですが、その時に何の経済対策も打っていなければ、与党が大敗北となることが予想されます。
総選挙の開票開始後間もなく、自民党大敗の趨勢が判明、当選者もまばらな
ボードをバックに質問を受ける同党の麻生太郎総裁=2009年8月31日
しかし、そのときに真水の10兆円の対策を打つことを公約とすれば、話は随分と変わってきます。特に、先日もこのブログでも説明したように、現状では国債の金利はマイナスであり、国債を大量に刷ったとしても何の問題もありません。これは、多くの人に理解しやすいです。10兆円どころか、もっと多くを刷れる可能性もあります。

この対策とともに、日銀がイールドカーブ・コントロールによる現状の引き締め気味の金融政策をやめ、従来の姿勢に戻ることになれば、このブログにも以前掲載したように、マクロ経済的には増税の悪影響を取り除くこともできます。

安倍政権がこれを公約として、丁寧に政策を説明すれば、十分勝てる可能性はあります。来年秋以降ということになると、経済がかなり悪くなっていることが予想され、自民党の勝ち目は半減する可能性が大です。秋以降でなくても、選挙が後になれば、なるほど増税の悪影響がでてきます。

そうなると、いまのところ、1月解散,2月選挙という可能性が最も高いのではないでしょうか。
この記事にも掲載したように、真水の10兆円の対策を打つことができ、さら日銀がイールドコントロールカーブをやめれば、たしかにマクロ経済的は、10%増税の悪影響を取り除ける可能性がかなり高くなります。

ただし、財政政策は長続きはしないので、これだけでは十分な対策とはなりません。おそらく、経済成長がマイナスにはならない程度と考えられます。

できれば、このブログにも掲載したように、国債がマイナス金利であるという最大限活用して、金利がゼロになるまで国債を刷り、様々な経済対策に用いる基金を設立すべきだと思います。

金利がゼロになるまで、国債を刷り続けると一体どのくらいになるかというのは、私には計算できませんが、高橋洋一氏は、103兆円と試算しています。これだけ刷っても、政府の借金が増えることもないどころか、さらに政府がマイナス金利で儲けることができるというのですからこれを活用しない手はありません。

しかし、現状のように野党があまりにも不甲斐なく、脆弱なので、安倍政権がこのようなことはしない可能性のほうが高いです。さらには、ぼんくら財務省は、消費税を増税することだけが、省益を追及することとしか考えていないようなので、これを実行することなど、およびもつかないようです。

もし私が財務省のキャリア官僚で、他のことは無視して省益を最優先するのであれば、この国債のマイナス金利を活用して、100兆円基金を設立し、数十兆円は何らかの手段で財務省の管轄にする方法を考え出すと思います。

これに成功すれば、財務省の英雄になれるでしょう。さらには、副産物として多くの国民等からも好意を持って受け止められるでしょう。これは、財務官僚にとっては、どうでも良いことなのでしょうが、国民や政府等との軋轢がなくなるということでは、大きなメリットになると思います。

そうなれば、財務次官も夢ではありません。財務次官になれるかどうかは、その時々の運があるので、必ずしもなれるとは限りませんか、いずれにせよ財務省の大英雄として、退官後には、素晴らしい天下り先に下り、桁外れにリッチで、ゴージャスなハッピーライフが待っているに違いありません。そうして、財務省退役官僚長老の末席に座ることができるようになるでしょう。

財務省の姿勢はある意味、野党と似ているところがあります。財務省は増税しか頭になく、国民生活など二の次、野党は倒閣しか頭になく、国民生活などの二の次ようです。自らの本分を全く忘れているということでは、財務官僚も、野党も似ています。

    2019年12月、安倍首相の地元、山口県下関市で調査を行い、
    取材に応じる「桜を見る会」追及本部の野党議員ら

もし、多く野党が「もりかけ桜」(ブログ管理人注:"もりかけざくら"は私の造語です)などにかまけていないで、真剣に経済対策に取り組み、明確な根拠を持って政府を批判していれば、政府としてもこれに対抗上、100兆円基金もしくは、そこまではいかなくとも、数10兆円規模の基金をつくる可能性もでてきたかもしれません。

しかし、野党があまりにも不甲斐ないため、これは絶望的です。今のままだと、10兆円の真水の対策程度で終わり、せいぜいGDPがマイナスにならない程度で終わってしまうことでしょう。長期にわたっては、新たに対策を打たないと、マイナスに落ち込むどころか、デフレに舞い戻ることになるかもしれません。

もう、野党には全く希望を託すことはできないです。おそらく、来年の選挙でまた、野党は大敗北を喫することなると思います。

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