2019年12月12日木曜日

習近平の言論・思想統制に「中国史上最悪」の声―【私の論評】今のままでは、まともな意思決定ができず、習近平が失脚するか、中国共産党が崩壊する(゚д゚)!

習近平の言論・思想統制に「中国史上最悪」の声

ついに“焚書”も、知識の迫害はどこまでエスカレートするのか

山西省長治市の本屋

(福島 香織:ジャーナリスト)

 言論・思想統制の方法の中で最も野蛮なものの1つ説明を追加である「焚書」。秦の始皇帝の「焚書坑儒」(書を燃やし、儒者を生き埋めにする)は学校の世界史の時間でも習っただろう。秦の始皇帝の歴史的評価は諸説あるとしても、イデオロギーや政治的理由で書籍を破壊する行為というのは文明社会にとって、やはり悪だ。

 だが中国では近年になっても、それに近いことが行われ続けてきている。今年(2019年)10月に中国教育部が各地の小中学校図書館に図書の審査整理を通達したことは、その最たる例といえる。


カザフ語の書籍を回収して処分

 この“焚書”通達は、まず新疆ウイグル自治区地域の小中学校で行われていたことが海外メディアで話題となった。12月3日、新疆北部のイリ・カザフ族自治州の小中学校では図書館の蔵書の中でカザフ語で書かれた書籍やカザフ文化関連の書籍を生徒たちに集めさせ、処分した。米国の政府系メディア「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」は、とある学校で生徒たちが寮内の中にあったカザフ語書籍を探し集め、赤い布袋に入れ、校庭に運んでいる様子の動画をアップ。別の動画では数十人の生徒たちがいくつもの赤い布袋を運び出して、政府役人が取りに来るのを待っていた。

 RFAは、これは2017年以来、新疆地域で行われた3度目の「書籍審査」だと伝えた。処分対象の書籍は、カザフ語書籍、新疆人民出版社、イリ・カザフ自治州出版社が出版したカザフ文化関連の出版物である。その中には『遊牧民族文化と中原民族文化』『カザフ文化』といった学術書も含まれていたとか。また、学生たちは個別の家庭にも派遣され、問題書籍を探し出す作業を行った。そうして集められた書籍は学校ごとに地元政府に渡されたという。

 2017年と2018年には、新疆ウイグル区自治区ボルタラ・モンゴル自治州で地域学校のカザフ語書籍を回収して生徒たちの前で燃やすという、文字通りの「焚書」を行ったことが確認されている。この目的は、学校で生徒たちがカザフ語を学習することを禁止し、政府の教育方針に沿わない歴史や伝統文化の知識を得てはならないということを皆に肝に銘じさせることだったといわれている。

 匿名の関係者がRFAに証言したところによれば、焚書対象の図書にはやはり学術書が多く、カザフスタン元大統領のナザルバエフの著作『光明の路』の中国語版や、カザフスタンの著名詩人のムフタールの詩集(中国語版)も含まれていたという。

 新疆地域のカザフ語書籍への迫害は、中国国内で報道されることはなかった。だが、甘粛省鎮遠県の図書館で行われた「書籍審査整理」は中国国内でも報じられ、中国人知識人を震撼させた。


中国の知識人、文化人が一斉に非難

 10月23日、県政府はホームページで「図書館が社会主流イデオロギーの伝播の中心地としての作用を十分に発揮するため、近日、図書館組織は蔵書の中で、社会から寄贈された違法出版物、宗教出版物、偏向性のある文書書籍、写真資料集、図版、雑誌刊行物を全面的に書棚から排除し迅速に廃棄する」と発表。さらに2人の女性が図書館入り口付近で書籍を燃やしている写真を掲載した。

 これはネット上でちょっとした議論を呼び、まもなくその記事や論評はほとんど削除された。だが12月8日になって、新京報が「図書館が書籍を燃やすことは、文明と法律の観点で審査される必要がある」との論評を発表。すでにこの論評はネット上でみることができなくなったが、「(甘粛の図書館のような焚書は)おそらく社会が受け入れ可能な範疇を超えている。(県政府の)発信は粗暴な印象で、文明の保護でははない」「宗教類出版物が、いつ『全面的審査整理によって排除され迅速に廃棄されなければならない図書』となったのか?」と訴え、中国の宗教管理条例や出版管理条例など既存の法律に違反する、と非難している。ネットではこれに関連して「焚書が起きたなら、坑儒もおきるだろう」といったコメントも出たほか、中国の名だたる文化人からも非難の声が相次いだ。

  『最後の貴族』などのノンフィクション作品がかつて国内で禁書扱いになったこともある作家の章怡和は、微信(中国のSNS)で「学校から始める全国範囲の“焚書”は、中国文化の運命に関わることであり、全国人民代表大会による可決が必須だ。こんなことを誰が批准したのか? 誰か署名したのか?」と怒りをあらわにしていた。

  『民主論』などの著書もある公共知識分子(知識人)、北京錦都芸術センター董事長の栄剣は、「焚書が始まれば坑儒もそう遠くないかな? こんなに多くの良心的教授が教室から排斥されているのが目に入らないか? 賀衛方はなぜ姿を消したのか?」と非難めいたつぶやきをしている(注:賀衛方は北京大学法学院教授。開明的知識人の代表格だが、弟が冤罪と思われるテロ宣伝物所持容疑で逮捕されるなど圧力を受けており、表舞台から姿を消している)。

秦の始皇帝も毛沢東も超えた?

 今回の焚書事件にあたり、2017年12月11日にRFAのサイトに「習近平の焚書坑儒」というタイトルで著名歴史家、余英時のインタビューが掲載されていたことを多くの人が思い出していた。

  「この新たな坑儒、新たな焚書は、すでに毛沢東を超えている。秦の始皇帝がやったのは、わずか400人余りの儒家を埋めたにすぎず、焚書といってもすべてを焼き払うことはできなかった。毛沢東は秦の始皇帝よりもずっとひどかった。だが、毛沢東が死んで数十年後に、まさか新たな焚書坑儒をやる秦の始皇帝のような人間が登場するとは思わなかった。現代の始皇帝、習近平だ。

 習近平が目下行っている焚書坑儒は毛沢東よりもひどい。彼の言論統制によって胡錦濤、江沢民時代には多少あった言論の自由はまったくなくなった。あえて異見を言う人もいなくなった。江沢民、胡錦濤時代は異見を言うことはできた。異見を聞くと党は機嫌を害したが、すぐに捕まえるということもなかった。

 今は様々な方法で異見者を引っとらえ投獄してしまう。人権弁護士の件(2015年7月に始まった人権弁護士300人以上の一斉逮捕、通称「709事件」)は衝撃だったが、対象はその後、人権弁護士にとどまらず、政府に批判や異見を唱えるありとあらゆる人間に広がった。ひどい場合は、室内で仲間うちで話したことが原因で有罪判決を言い渡された」・・・。

 習近平政権が始動した2013年、「目下のイデオロギー領域の状況に関する通達」で、「七不講」と呼ばれる、大学での討論におけるタブーが通達され、西側のイデオロギーおよび歴史を自由に研究することが全面的に禁止された。その後、新聞記者たちの管理強化とイデオロギー教育が厳しくなり、2015年に「709事件」に象徴される人権弁護士らへの大弾圧が始まり、2016年頃から知識人や学者たちのへの迫害、弾圧が目立ち始め、2018年頃から新疆ウイグル族の強制収容問題が表面化し、2019年は香港での抵抗運動と弾圧が世界の耳目を集めている。

 秦の始皇帝は儒家を迫害したが、習近平の迫害対象は、学者、法律家、宗教家ら、良心と知識を持ち合わせるすべての人間に及ぶ。それは時に国内だけでなく、香港のような「一国二制度」で本来は異なる政治システムが運用されるべき土地に対しても、あるいは主権国家に対しても及ぶ。

 英語教材などで中国書籍市場での利益が少なくない英国ケンブリッジ大学出版局は中国共産党の求めに応じて、そのアーカイブからチベットや台湾、天安門事件という3つの「T」に関する論文・資料へのアクセス遮断処置をとった。その後、その事実が報道されて国際社会から非難の集中砲火を受けたことで、この措置は解除されたが、中国共産党が海外の組織や知識人に対しても干渉してくる例として、国際社会の肝胆を寒からしめた。

 こんな大規模で広範囲なイデオロギー統制は、秦の始皇帝も毛沢東もやらなかったのだ。


「知」そのものを弾圧する習近平

 今、習近平政権が行っていることは、単なるイデオロギー統制というレベルでは説明できないかもしれない。

 ウイグル問題は、イスラム教徒やウイグル民族に対する弾圧と捉えがちだが、とくに新疆の大学教授、教育関係者たちをはじめとする良心的知識人たちが集中的に逮捕され、海外に留学している優秀な学生やその家族への迫害がものすごい。これは、漢民族に対して行われている大学教授弾圧や人権弁護士弾圧ともリンクしているといえる。それは香港における愛国教育強化、銅鑼湾書店事件、イデオロギー統制強化の動きとも連動しているし、また最近、日本の大学教授が学術交流の名目で訪中した際に「スパイ罪」で逮捕された(のちに釈放)事件とも同じ流れの中にあるかもしれない。

 つまり、特定の民族や特定の宗教をターゲットにした、というより、習近平政権の狭いイデオロギーと相容れないすべての思想、考え、異見者に対する弾圧だと考える方がわかりやすい。それは人権の問題とも言えるし、もっと大仰に言えば、「知」そのものへの弾圧ともいえるのではないか。今の習近平政権は、毛沢東の文革以来の、叡智を求める人の良心を抑圧し弾圧する恐ろしい時代だと言っても過言ではない。しかもITやAIといった知的先端技術で台頭している中国が、その技術を用いて人間の良知を弾圧し、自由にものを考え討論する知性を人々から奪いつつあるというならば、なんと皮肉なことだろう。

 私が中国・北京に駐在していた頃は、共産党体制内にいながらも多様な意見、見識を持つ知識人がたくさんおり、公式に発表はできなくても党内では比較的に自由な議論ができたと聞いた。また、私自身、そういう知識人たちにいろいろ教えられることが多かった。

 だが、彼らは1人、また1人と「坑」に埋められていっている。今、声を上げている数少ない知識人たちは本当に勇気ある人たちだが、彼らの口も確実に封じられていくだろう。習近平政権前の状況を知っているだけに、この10年の中国社会の変化は本当に恐ろしい。



イデオロギー統制の現実を直視せよ

 最近、講演会などで、習近平政権のイデオロギー統制や、全体主義と自由主義の対立構造について説明すると、「なるほど、全体主義だと異なる意見の対立がないので、ある意味、スピード感のある発展が可能なのですね。中国の発展の秘密がわかりました」といった反応をいただくことがある。

 民主主義の自由社会は、異なるイデオロギー、異なる政治スタンスの存在を許容するため、意見対立が起き、時には激しい争いとなり、決着をつけて次の発展段階に行くのに時間がかかる。異なる意見を最初から恐怖政治を使ってでも排除できれば、確かに決断が早くでき、その分発展が早い。確かにそういう論は一時期米国学者の間でももてはやされたことがあった。

 だが、今の中国のイデオロギー統制を見て「だから発展が早い」と評価する人は、どうして自分自身が排除される側となる可能性を想像しないのだろうか。自分は為政者のいかなる意見にも黙って従うから、迫害される立場になり得ない、ということなのだろうか。常に為政者の考えを忖度してびくびくして生きていくことの息苦しさを想像できないのだろうか。

 当コラムでも何度か触れているように、国際社会は今、欧米式の開かれた自由主義的な秩序、価値観と、中華思想的な全体主義的秩序、価値観の対立の中で、どちらに属したいかを問われて答えを出さねばならない。もう一度、「毛沢東を超えた」と中国人をして言わしめているイデオロギー統制の現実をよく見てほしい。


【私の論評】今のままでは、まともな意思決定ができず、習近平が失脚するか、中国共産党が崩壊する(゚д゚)!

焚書というと、古代中国の「焚書抗儒」、ナチスドイツの焚書などが有名ですが、これらについては、他のメデイアでも十分に取り上げられていることなので、ここでは解説しません。詳細を知りたい方は他のメディアをあたってください。

ナチスによる焚書のための図書の搬出

中国では最近でも焚書の事実があります。もっとも顕著なのは、尖閣諸島の地図でしょう。これに関しては、ウイグルのように直接人民の迫害につながってるわけではないので、日本国内ではあまり大きく報道はされていませんが、焚書であることには違いありません。


中国に進出し、世界的人気を誇る生活雑貨「無印良品」。このブランドを展開する日本企業「良品計画」が中国政府から執拗な圧力を受けていることが1月に明らかになりました。現地で配布していた家具カタログ内の地図に、中国が主張する「わが国の固有の領土、釣魚島」が記されていないなどと、因縁をつけられたのです。同社は仕方なくカタログを廃棄したのです。

中国に進出した「無印良品」

日本政府にの菅義偉官房長官は記者会見で、「尖閣諸島が日本の固有の領土であることは歴史的にも国際法上も明らかだ」と強調。「中国側の独自の主張に基づく措置は全く受け入れられない」と、中国に事実関係の確認と説明を申し入れたといいます。

さて、この「無印良品」のブランドで知られる日本の大手小売・良品計画ですが、中国本土の同社商標を模倣する企業により「商標権侵害」の訴えを受けた裁判で、このほど、北京高裁でも良品計画が敗訴しました。

このほど、北京市の高級人民法院は、日本企業の良品計画に対して、「良品計画」の商標を保有する北京棉田公司に賠償金など約1000万円を支払うよう命じる判決を下しました。

良品計画は「本家」であるにもかかわらず、商標権がはく奪されました。

さて、話を元に戻しますが、外国作成の地図に、ある地域や島が「中国の固有の領土」として描かれているか否かで、嫌がらせが行われたのは今回が初めてではありません。中国にある日本人学校で使う日本の教科書の地図にも、当局は数年前から目を光らせていました。最初は台湾、次は南シナ海、さらに沖縄県尖閣諸島にも触手を伸ばしてきました。

中国は「外国が紙上で中国の領土を分裂させている」と非難しています。しかし、中国自身が他国の教科書や企業のカタログ、ひいては内政にも干渉するのは「正義だから構わない」のでしょうか。

大陸国家である中国は海の世界に関しては、近年まで無関心でした。私の手元に、58年11月に中国国家地図出版社から出された『世界地図集』があります。現在の中国が頑として「釣魚島」と呼び「尖閣」という表現を禁止しているのに対し、58年の権威ある地図はご丁寧にも日本式に「魚釣島と尖閣諸島」と表記。さらに島々の南西沖に国境線を引き、「琉球群島に属する」と明白に記しています(下地図写真参照)。



しかも、この地図の前書きでは「社会主義の兄、ソ連の先進的な製図と知識を吸収して作成した」と明記。中国だけでなく、社会主義の親分ソ連も同島を日本領と認めていたわけです。

出版と結社の自由が実質的にない中国では、万事が指導者の意思で決定。まさに指導者の発言そのものが法律といます。

その意味で、64年1月28日付の共産党機関紙・人民日報の記事は興味深いです
。「中国人民の偉大な領袖」「世界革命の指導者」毛沢東が日本の日中友好協会副会長、日本アジア・アフリカ連携委員会の常務理事、それに日本共産党機関紙・アカハタ(現・赤旗)の北京特派員らに接見した席上でのことです。

毛は「最近、日本全国で大規模な大衆運動が起こり、米帝国主義の核搭載戦闘機と潜水艦の配備に反対している」と、日本の反米運動を評価。その上で、「駐留米軍を追い出し、米軍基地を撤廃して、日本の領土沖縄を返還するよう求めている。こうした日本人民の正義の闘争を中国人民は断固として支持する」と述べたのです。

毛ははっきりと、「日本の領土沖縄」と話しています。その発言は58年の『世界地図集』での「魚釣島と尖閣諸島は琉球群島に属する」との描き方と一致しています。中国の公式見解は一貫して、「魚釣島と尖閣諸島は琉球群島の一部」でした。当時は毛以下、誰も琉球群島こと沖縄と尖閣諸島の帰属を区別しませんでした。

このような地図は決して1冊や2冊ではありません。尖閣諸島の所有権を唱えだすまでは、ほとんどが以前の地図を踏襲していました。だが21世紀に入って覇権主義的な海洋進出を始めると、北京の古書店街から以前の地図類は姿を消しました。政府の役人が訪れては没収して回ったからです。中国外務省をはじめ、政府の公文書館内に保管していた地図も「極秘」扱いとなり、閲覧できなくなりました。

2月1日、中国外務省の会見(下写真参照)で日本の記者が「日本企業のカタログどころか、中国外務省の会見場の地図にも魚釣島が印刷されていない」と問いただしました。そう指摘されても、同省が会見場に58年の地図を設置することはありません。それどころか、世界各国の出版物への口出しばかりが続くでしょう。




しかし、このようなことをして意味があるのでしょうか。中国国内から、尖閣諸島の地図を抹消したとしても、日本をはじめとする諸外国には「尖閣」を記した地図が残っています。中国も諸外国の地図まで抹消することはできません。

実際、ごく最近まで、世界各国で中国はもとより、各国が作成した地図の中に「尖閣」という表記がみられるものが、何度となく発見されています。それは、あまりに頻発することなので、最近では日本国内ですら、ニュースとしてとりあげられることもなくなりました。

これは、中国共産党にとっては、意味がないどころか、世界中の国々から中国は平気で歴史修正をする国だとみられるようになり著しい信用の失墜につながるだけの結果になりました。

「人の口には戸はたてらぬ」という日本の諺がありますが、中国共産党がいくら歴修正をしようとしても、真実は何らかの形で世界中に伝えられていくのです。それを何とかコントロールできると思い込むのは、中国共産党の驕り高ぶり以外の何ものでもありません。

ブログ冒頭の記事で、福島香織氏は、「民主主義の自由社会は、異なるイデオロギー、異なる政治スタンスの存在を許容するため、意見対立が起き、時には激しい争いとなり、決着をつけて次の発展段階に行くのに時間がかかる」としていますが、これは本当にそうでしょうか。

私は、こうしたことが当てはまることもあるとは思いますが、当てはまったように見える事柄でも良く探ってみれば、本当はコミュニケーション不足などが真の原因なのではないかと思います。

経営学の大家ドラッカー氏は、意思決定の過程における意見の不一致に関して以下のように述べています。

成果をあげる者は、意図的に意見の不一致をつくりあげる。そのようにして、もっともらしいが間違っている意見や、不完全な意見によってだまされることを防ぐ。(ドラッカー名著集(1)『経営者の条件』)
ドラッカー氏は、意思決定の過程では意見の不一致が必要だといいます。理由は三つあります。
第一に、組織の囚人になることを防ぐためである。組織では、あらゆる者が、あらゆる決定から何かを得ようとする。特別のものを欲し、善意の下に、都合のよい決定を得ようとする。
そのようなことでは、小さな利害だけで決定が行なわれます。問題の理解抜きでのそのような決定の仕方は、きわめて危険です。
第二に、選択肢、つまり代案を得るためである。決定には、常に間違う危険が伴う。
最初から間違っていることもあれば、状況の変化によって間違うこともあります。決定のプロセスにおいて他の選択肢を考えてあれば、次に頼るべきものとして、十分に考えたもの、検討ずみのもの、理解ずみのものを持つことができます。

逆に、全員一致で決めていたのでは、その決められたものしか案がないことになる。
第三に、想像力を刺激するためである。理論づけられ、検討し尽くされ、かつ裏づけられている反対意見こそ、想像力にとって最も効果的な刺激剤となる。すばらしい案も生まれる。
明らかに間違った結論に達している者は、自分とは違う現実を見て、違う問題に気づいているに違いないと考えなければならないのです。

もし、彼の意見が知的かつ合理的であるとするならば、彼はどのような現実を見ているのかを考えなければならなりません。意見の不一致こそが宝の山なのです。意見の不一致が問題への理解をもたらしてくれるのです。

いかなる問題であれ、意見の不一致が皆無などということは、奇跡です。まして、四六時中奇跡を起こしているなどありえないと心得るべきです。それでは、社長が一人いればよいことになります。

多くの組織で、後で不祥事となった行動の多くが、ろくに議論もされずに決められていることは偶然ではないのです。

成果をあげる者は、何よりも問題の理解に関心をもつ。 (『経営者の条件』)
私は、以前このブログで、中国共産党は間違い繰り返し、それでも反省することなく、さらに間違いを繰り返し、いずれ崩壊するであろうと、主張しました。

習近平は自らの意見に一致しない議論は、焚書までして排除するわけですから、これでは、まともな意思決定はできず、いずれ失脚するか、失脚せずに自らの地位にとどまり続ければ、正しい意思決定ができず、誤謬に誤謬を積み重ね、中国共産党は崩壊することになるでしょう。

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