2019年12月21日土曜日

「弾劾」可決で“逆風”トランプ政権、朝鮮半島で「軍事作戦」決断も 図に乗る正恩氏にキレた!? 韓国・文政権は「レッドチーム入り」示唆 ―【私の論評】来年は米軍による北への軍事介入もあり得るシナリオ!我々日本人も覚悟を決めよ(゚д゚)!

「弾劾」可決で“逆風”トランプ政権、朝鮮半島で「軍事作戦」決断も 図に乗る正恩氏にキレた!? 韓国・文政権は「レッドチーム入り」示唆 

トランプ大統領

 ドナルド・トランプ米大統領が憤慨している。米下院本会議が18日、ウクライナ疑惑をめぐる弾劾訴追決議案を、野党民主党の賛成多数で可決したからだ。一方、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長率いる北朝鮮は、クリスマスに合わせた大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射や核実験再開をチラつかせている。朝鮮半島の緊張が高まるなか、米軍幹部は「すべての選択肢がテーブルの上にある」と牽制(けんせい)した。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の側近は「レッドチーム入り」を示唆しているが、逆風のトランプ政権が「軍事作戦」を決断する可能性があるのか。


 《これは米国に対する攻撃であり、共和党に対する攻撃だ》

 トランプ氏は18日、民主党多数の下院で弾劾訴追決議案の審議が続くなか、ツイッターでこう批判を繰り広げた。

 弾劾訴追決議案には、トランプ氏が軍事支援などを使って、民主党の政敵、ジョー・バイデン前副大統領周辺の捜査を発表するようウクライナに圧力をかけた「権力乱用」と、議会の弾劾調査に協力しないよう政府高官らに指示した「議会妨害」の2つの弾劾条項が盛り込まれた。

 米大統領の弾劾訴追は、1868年のアンドルー・ジョンソン氏(17代)と、1998年のビル・クリントン氏(42代)以来。トランプ氏は米史上3人目の弾劾訴追される「不名誉な大統領」となった。

 来月には上院の弾劾裁判が開始され、出席議員の3分の2が賛成すれば有罪・罷免となるが、上院は与党共和党が過半数を占めているため、「無罪」が濃厚な情勢だ。

 ただ、左派系メディアによる“トランプバッシング”は続きそうだ。

 トランプ氏の頭痛の種は朝鮮半島にもある。

 北朝鮮は今年5月から弾道ミサイル発射を再開し、13回を数える。さらに、7日と13日、北西部・東倉里(トンチャンリ)の「西海(ソヘ)衛星発射場」で「重大な実験」を実施した。ICBM用エンジンの燃焼実験とみられ、北朝鮮の非核化をめぐる米朝協議の停滞にイラ立ち、ICBM発射や核実験再開が懸念されている。

 「(北朝鮮が)何かを進行中なのであれば失望する」「その場合は対処する」「事態を非常に注意深く見守っている」

 トランプ氏は16日、ホワイトハウスで記者団にこう語ったが、米軍幹部が「対処」の概略について明かした。

 チャールズ・ブラウン米太平洋空軍司令官が17日、「(北朝鮮が挑発する場合)2017年に用意していたものが沢山あるので、われわれは早くホコリを払って準備することができる」「すべての選択肢がテーブルの上にある」と、ワシントンで記者団に語ったのだ。韓国・東亜日報(日本語版)が19日報じた。

 17年といえば、北朝鮮がミサイル発射や核実験を繰り返し、米朝関係が極度に緊張した年である。

 米軍は、朝鮮半島に最新ステルス戦略爆撃機B-2「スピリット」や、超音速爆撃機B-1B「ランサー」を何度も飛来させた。さらに、世界最強の原子力空母「ロナルド・レーガン」と「セオドア・ルーズベルト」「ニミッツ」を中心とする打撃群3つを展開するなど、「第2次朝鮮戦争」が真剣に取り沙汰されていた。


最新ステルス戦略爆撃機B-2「スピリット」

 あれから2年、クリントン政権の国防次官補を務めたグレアム・アリソン米ハーバード大教授は12日、東京での会議で、北朝鮮情勢について「非常に危険な展開」「第2次朝鮮戦争が起きる可能性が高まっている」と警告している。


 ■図に乗る正恩にキレる?

 朝鮮半島で軍事衝突が起きれば、韓国の被害は甚大だが、文氏のブレーンである、文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一外交安保特別補佐官は国際会議で「中国の核の傘入り」を示唆するなど、「レッドチーム入り」の本音をあらわにした。トランプ政権の決断のハードルは下がっているともいえる。

 トランプ氏は、弾劾訴追という不名誉を受けたうえ、正恩氏から無礼な挑発を受けている。来年11月の大統領選を見据えて我慢してきたが、爆発する可能性はあるのか。「戦時の大統領」として選挙戦で勝ち抜く戦略は考えられるのか。

 拓殖大学海外事情研究所所長の川上高司氏は「トランプ政権の安全保障政策を支えていた、ジェームズ・マティス元国防長官や、ジョン・ボルトン元大統領補佐官(国家安全保障問題担当)はもういない。マイク・ポンペオ国務長官にも上院選出馬の話がある。トランプ氏のタガが外れて、『先制攻撃』を決断する可能性はある。正恩氏は図に乗っているが、危険だ」と指摘している。


【私の論評】来年は米軍による北への軍事介入もあり得るシナリオ!我々日本人も覚悟を決めよ(゚д゚)!

冒頭の記事で、"「弾劾」可決で“逆風”トランプ政権、朝鮮半島で「軍事作戦」決断"という見方は、おそらくは正しくはないでしょう。なぜなら、このブログでも以前示したとおり、トランプの弾劾は100%不可能であり、むしろ選挙戦に有利に働く可能性が高いからです。

さらに、トランプ氏が正恩氏にキレるというのもいただけないです。そもそも、キレた状態で意思決定する政治家は落第です。ビジネスマンとしても落第です。優秀なビジネス万でもあるトランプ氏は、キレた状態で意思決定することはないでしょう。

トランプ氏が北朝鮮攻撃を決断するとすれば、様々な事柄を冷静に計算しつくした後に意思決定し、実行することでしょう。

それにしても、弾劾など無関係としても、確かにトランプ政権は条件が整えば、朝鮮半島で「軍事作戦」を実行する可能性もでてきました。

米中貿易戦争が12日、双方合意により一段落した。約2年間続いた米中貿易戦争は一時的に小康状態に入ったようにみえます。

ところが、なぜ、今のタイミングで米中合意が出来たのでしょうか。疑問を捨てきれないところがあります。しかも、この合意は、先日もこのブログに示したように、米国の一方的勝利であり、中国にとっては、不平等条約そのものです。

おそらく、中国としては、経済が破綻目前であり、もはや防戦一方であり、なりふりかまわず、少しでも国内経済を良くしたいがために、米国の圧力に屈したのでしょう。あるいは屈したふりをしたのかもしれませんが、そこまでしても、米国の圧力から一時的にも逃れたのかもしれません。

そうして、このときに、中国は、米国の対北軍事行動に同意した可能性があります。すなわち、「中国が米国の意志に暗黙の了解を示した可能性が高い」です。

米国は3年前、中国に北朝鮮の非核化解決に1年間の猶予時間を与えたことがあります。当時、中国は全国重要都市の北朝鮮レストランを撤去するや北朝鮮は就業員を全て帰国させました。さらに、中朝合弁会社を取り消しするなど、中国は国連安保理理事国として対北制裁に前向きな役割を果たしていました。

ところが、中国は北朝鮮に繋がる石油パイプを閉めませんでした。さらに、海上で北朝鮮船が石油を船積みする国連の安保理合意違反に目を閉じていました。それで北朝鮮の非核化は前に進まず、これも一つの大きな要因で米中貿易戦争が始まった経緯があります。

今回、米朝貿易合意の前にトランプ大統領はツイッターに「中国とビッグディール(big deal)がほぼ目の前に来ている」とし「中国がそれを望んでいて、米国もほしい」とメッセージを飛ばしました。


米中交渉が一段落され、15日から1,560億ドル規模の中国産商品の関税は撤回されました。これにより、21ヶ月間続いた貿易戦争が一旦、峠を越して休戦に入ったわけです。米国が15日から対中国追加関税を撤回する代わりに、中国は米国産豚肉と農産物の購入を増やすことにしました。米国政府は中国産輸入品に対する関税を半分まで下げる案も協議しました。

中国は現在、巨額の借金を抱えており、国内経済の沈滞と経済破綻を止める為に精一杯です。今回、貿易戦争の最中で米中合意が出来たのは、中国が北朝鮮の面倒を見るより国内経済を優先させる政策変更だったとも考えられます。

加えて、北朝鮮の核が中国にとっても脅威であることもさらに、明確に意識したかもしれないです。北朝鮮の核と弾道ミサイルは中国全都市を射程に収めているからです。これについては、以前からこのブログで指摘してきました。

金正恩は、中国の北朝鮮への干渉を極度に嫌っています。そのため、北朝鮮とその核が、結果として中国の朝鮮半島への浸透を防いでいます。

さらに、中国にとっては北朝鮮の核が日本、韓国、台湾の核武装を招きかねない危険性を再認識したと考えらます。日韓台3国の核武装は中国にとって最悪の脅威です。

12月初め、北朝鮮外交部の米国担当副相は「米国へクリスマスプレゼントが何になるかは全て米国の決心次第である」と威嚇しました。今月7日には、平安北道東倉里の西海発射場で大陸間弾道ミサイルの噴射実験を3分間行いました。また、13日は同じ場所で7分間、噴射実験を行いました。これは第2段階のロケット噴射テストと見られています。

トランプ大統領は「必要なら武力行使もやむを得ない」「金正恩は全てを失う事もあり得る」と強硬なメッセージを飛ばしました。すると、北朝鮮外交部の崔善姫副相はトランプ大統領を“老いた者の忘霊”と非難しました。

12日、米国はカリフォニア州バンデンバーグ空軍基地で核搭載用中距離弾道ミサイルIRBM(射程5,400km)発射実験を行い、中国と北朝鮮を牽制しました。この中距離弾道ミサイル(INF)は近いうち、グアムに配備される予定です。グアムから北朝鮮までは3,400kmの射程距離です。

米朝間の緊張がエスカレートする最中、米国務省の北核担当特別代表、ビーガン氏が16、17日の両日間、急遽、韓国を訪れ、板門店での米朝実務者協議を打診しています。ところが、北側からは何も反応が出ておらず、年末中に米朝実務者協議が開催されても会談は決裂される可能性が高いです。

トランプ大統領はイランがサウジ精油施設を攻撃したり米軍偵察機を撃墜してもイラン空爆寸前に取りやめたことがあります。米軍戦力の分散を止めるための戦略的な判断です。核を持っていないイランより、北朝鮮の非核化が米国外交の優先順位であることが理解できます。


とりわけ、北核問題の解決可否はトランプ大統領の再選を左右する懸案です。結局、トランプ政権の措置が、ソフトランディング(海上遮断・制裁強化)であれ、ハードランディング(海上封鎖・軍事行動)であれ、北朝鮮の長期独裁体制は存亡の危機をかけた山場を迎えざるを得ないのです。

おそらく、今後北朝鮮が、弾道ミサイルを発射したり、核実験を再開した場合、米国はすみやかに何らかの軍事行動を起こす可能性があります。

ただし、ジョン・ボルトン前米国大統領補佐官は19日(現地時間)、北朝鮮の“クリスマスプレゼント”の脅威について「脅しの可能性がある」として心配する必要はないと語りました。

ジョン・ボルトン氏

ボルトン前補佐官はこの日に米国のマスコミのインタビューで「私は北朝鮮が語る全ての話の大部分を“話半分”に聞いている」と明かしました。

北朝鮮はこれまで「米国が今年の年末まで(北朝鮮に対する)敵対視政策を撤回するなど、朝鮮半島情勢に関して“新たな計算法”を提示しない場合、(北朝鮮は)“新たな道”を行く可能性がある」と警告し、特に北朝鮮外務省の対米担当者が先日の談話で「“クリスマスプレゼント”に何を選ぶかは全面的に米国の決心にかかっている」と明かし、挑発の可能性を示唆しました。

しかしボルトン前補佐官は「このすべてのことは北朝鮮のシナリオだ」とし「彼らは米国の今までの3政権をだますのに成功したので、この政権でも同じようにする計画である」と主張しました。

続けて「彼ら(北朝鮮)は(ドナルド・トランプ米国)大統領が(自分たちとの)合意に必死になっていると考えている。もし意図的に時間の制約を加えれば、よりよい合意が引き出せると考えている可能性がある」とし「我々はただ静観しているだけでいい」と語りました。

ただ「北朝鮮は核開発を自発的に放棄しないだろう」としながら「我々が30年間見続けてきたパターンがある。彼ら(北朝鮮)は経済的恵沢の代価として“核放棄”を宣言するが、実際にはそうはしない」と語りました。

また「北朝鮮やイランといった国は、不良国家の典型であるだけでなく、テロ支援国だ」としながら「彼らは自国民を抑圧している。このような特徴が彼らの行動方式を表している」と付け加えました。


私も、ボルトン氏の見方は正しいと思います。そのため、このクリスマスに北朝鮮が、弾道ミサイルを発射するようなことはないと思います。

ただし、北朝鮮は核を手放すことはないでしょうし、トランプ大統領もそのことを理解し、さらに中国が米国北攻撃を黙認するなら、来年の大統領選挙に邪魔にならず、有利になるとみられる時期に北に軍事攻撃をする可能性は高まったとみるべきと思います。

もし、米国が北朝鮮を軍事攻撃を加えた場合、核兵器開発ばかりしてきた北朝鮮の人民解放軍の通常兵力は、米国の敵ではありません。さらに、半島有事が囁かれてから、随分時がたっているので、米軍はかなり北の情報収集をしているものと考えられ、正確にピンポイントで北の核基地攻撃に成功するでしょう。

さらに、金正恩の斬首にも成功するかもしれません。そうなった場合、中国への脅威は計り知れないものになるでしょう。外交音痴の韓国も、中国の圧倒的な劣勢にさすがに気づき、レッドチーム入りを断念するかもしれません。もしそうなれば、トランプ氏の大統領選は圧倒的に有利なります。

来年は、何らかの形で米軍の北への軍事介入はあり得ることだと、私達日本人も覚悟を決めるべきです。

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