2019年12月10日火曜日

中国大崩壊へ。安易な「仮想通貨支配」が失敗に終わる当然の理由―【私の論評】無繆という宿痾(しゅくあ)に取り憑かれた中国共産党は、これからも失敗を繰り返し続け、いずれ崩壊する(゚д゚)!

中国大崩壊へ。安易な「仮想通貨支配」が失敗に終わる当然の理由


今年10月末、仮想通貨技術を中国がリードすると発言し、「仮想通貨の父」とまで呼ばれ始めた習近平国家主席でしたが、1ヶ月も経たないうちに取り締まりに転じ、中国国内で混乱が生じています。突然の方向転換の裏にはどんな事情があるのでしょうか。台湾出身の評論家・黄文雄さんがメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で、その背景を探っています。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【中国】中国の仮想通貨支配は自己過信して自滅するパターン

中国の仮想通貨交換業者に早くも影響、最近の業界取り締まりで

中国政府は、仮想通貨の取締りを強化しており、最近、国内の仮想通貨交換業者の少なくとも5つが、営業を停止したか、国内利用者へのサービス提供をやめると発表したそうです。

中国の取締り強化によって、処分対象となる可能性が噂されていた仮想通貨取引所のIDAX Globalは、11月24日に中国国内でのサービス停止を発表しましたが、それ以来、同社のCEOが失踪して連絡がとれなくなっているという報道もあります。

中国撤退発表から5日、仮想通貨取引所CEOが失踪 顧客資産引き出せず

中国は2年前の2017年9月にも、国内での仮想通貨への投機熱が高まり、またマネーロンダリングや海外への資金移動の手段にもなりうることに危機感を抱いた中国当局は、仮想通貨の発行による資金調達を禁止し、取引所を次々と閉鎖に追い込みました。

中国「仮想通貨資金調達禁止」のインパクト

中国では、汚職役人が多額の資金を海外へ持ち出すとともに、習近平政権の独裁政治を嫌った富裕層が中国から海外へ逃げる動きや、転売目的の爆買いなどが横行し、中国の外貨準備高が急減したと言われ、ここ数年、中国政府は中国人1人あたりが海外に持ち出せる外貨を年間5万ドルに制限していました。

しかし、仮想通貨では簡単に国境を超えて海外での取引が可能になってしまうため、中国政府はこれを禁止したわけです。

しかし、今年10月末、習近平が仮想通貨の中心的な技術である「ブロックチェーン」の開発を、中国がリードするといった発言を行ったことで、仮想通貨市場が急騰しました。

最近、フェイスブックの仮想通貨「リブラ」が話題になりましたが、習近平は、デジタル通貨をつくり、それを世界に広げようという魂胆があるのかもしれません。なにしろ、中国は2017年にIMFのSDR(特別引出権)構成通貨になったことで、国際通貨の仲間入りしましたが、現在でも世界での人民元の決済は2%にも満たない状況です。

デジタル通貨を発行し、仮想通貨での覇権を握ろうとしているとも噂されています。

「デジタル人民元」中国の野望 ブロックチェーンで監視

習近平の発言で、中国の投資家たちは仮想通貨が解禁されたと大喜びし、ビットコインが急騰、習近平は中国で「仮想通貨の父」とまで呼ばれ、検索サイトでは「ブロックチェーン」を意味する中国語区「区块鍵」が検索キーワード1位になるなど、にわかに仮想通貨市場が活気づきました。

ビットコイン急騰の背景に中国あり 習近平主席、いまや「仮想通貨の父」と呼ばれる存在に(ひろぴー)

ところがその大騒ぎもつかの間、中国政府はわずか1カ月足らずで仮想通貨を取り締まる動きに転じたわけです。

もともと中国では、共産党がすべてを指導・支配し、絶対無謬であるため、なんでも自分たちの思い通りに操作できると過信しています。ところが、いざ蓋を開けてみると、思い通りにいかず、慌てて禁止したり隠蔽したりするといったことが多いのです。

最近も、中国IT企業のテンセントが開発中のAIサービスを公開したところ、学習したAIは「中国共産党は腐敗ばかりで無能」「中国の夢は米国への移住」と共産党批判を展開しはじめたため、IT企業が急遽サービスを停止するということがありました。

「共産党は無能」「中国の夢は米国への移住」正直なAIが反乱? 対話プログラムで批判展開、中国IT企業が急遽サービス停止

香港にしても、共産党の力で香港人を牛耳れると思ったのでしょうが、まったく思惑とは逆の結果になってしまいました。先に行われた香港の区議会選挙にしても、中国共産党は親中派が勝つと確信していたといいますが、結果は正反対のものとなりました。

そもそも、習近平政権が誕生してからは、日本には安倍政権、台湾には蔡英文政権、そしてアメリカにはトランプ政権という、対中国姿勢の厳しい政権ばかりが成立しています。

結局、仮想通貨にしても思い通りに操れると思っていたのでしょうが、国内市場が過熱して、自分たちが仮想通貨をつくるまえに市場崩壊が起こることを懸念したのかもしれません。

株式市場にしても、中国政府は自分たちでうまく操れると思っていたところ、2015年に大暴落が起こり、先物取引や株を売ること自体を禁止するといった、およそ株式市場にはふさわしくない命令を出したことで、すっかり廃れてしまいました。共産党が恣意的に相場を操作するとなれば、投資家にとってあまりにもリスクが大きすぎます。

現在の米中貿易戦争にしても、中国は自分勝手なルールで、自由市場を乱してきたことが一因となっています。鉄鋼がいい例ですが、中国政府の補助金で成り立っている国有企業に過剰生産させて国際市場の価格を下落させてシェアを奪う、国有企業によって海外企業を買収し他国の技術を奪うといったことを続けてきました。

しかし前述したように、なんでも思い通りに操れると慢心した中国が、いずれ失敗して、思惑とは逆の結果になるというのが歴史法則です。そもそも中国共産党は絶対無謬の存在である必要があるわけですから、過ちを認めて、失敗から学ぶことができないのです。

そんな中国が、最新技術を自分たちの思い通りに使って市場を操ろうとしても、絶対に悲劇的な失敗になることは目に見えています。


【私の論評】無繆という宿痾(しゅくあ)に取り憑かれた中国共産党は、これからも失敗を繰り返し続け、いずれ崩壊する(゚д゚)!

このブログでも、過去に中国の仮想通貨は失敗するであろうことを掲載しました。黄文雄氏も失敗するとみているということで、まさに我が意を得たりという心持ちがしました。

その記事のリンクを以下に掲載します。
【日本の解き方】「デジタル人民元」の発行はドルの基軸通貨体制に脅威 FBと米政府は手を組むか―【私の論評】基軸通貨にはなり得ないデジタル人民元の末路(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくもとして、以下にこの記事の結論部分のみを引用します。
以上のことを考えると、現状では中国の仮想通貨はそれほど危険な存在とはとても思えません。ただし、将来の危険な芽を潰すという意味では、高橋洋一氏の主張するように、やはり国際基軸通貨としてのドルの立場を守るためにも、フェイスブックと米政府が最終的には協力し、デジタル人民元の台頭を防ぐことになると思います。
フェイスブックCEOのザッカーバーグ氏
さらに、リブラはドルとの交換ができるということで、発行には自ずと限界があるので、FRBの権力を脅かすまでにはならないでしょうし、フェイスブックは米国による規制等を受け入れるでしょうから、リブラがドルにとって変わるような事態にはなることはないでしょう。 
さらに、ザッカーバーグ氏も、ドルに変わる通貨などという大それたことは考えていないでしょう。そんなことより、リブラを用いて、フェイスブックのユーザーにさらなるベネフィトをどのように提供していくかということに関心があることでしょう。
中国による仮想通貨は結局はうまくはいかないでしょうが、それでも米国には警戒され、リブラが先に普及することになるかもしれません。ただし、リブラがドル等との交換ができるということで、信用保証をしているように、仮想通貨が本格的に流通するようになる前には、やはりドル等との交換ができるという条件は必須でしょう。

現在の普通に使われている、世界各国の紙幣も普及する前までは、金や銀と交換できるのが普通でした。ただし、紙幣や貨幣が一定の信頼を得て、現在では金・銀本位制をとる国はなくなりました。

中国が仮想通貨を発行しても、中国における外貨不足の昨今では、ドルに交換することはできないでしょう。そうなると元に交換でるきようにするでしょうが、そうなると信用力はガタ落ちです。

それでも、中国が仮想通貨を発行すれば、使う人もいるでしょうが、どういう人が使うかといえば、中国国内や他の発展途上国で銀行口座がない人等、銀行にアクセスするのが困難な人などに限られると思います。そういう人が仮想通貨を使ったとしても、どれほどの経済活動をするかという問題があります。

無論、そういう人たちが今後経済的に裕福になり、将来大きな経済活動を行うようになれば、中国が仮想通貨を発行する意味もでてくるでしょうが、それははやくても20年後、30年後ということになります。それまでは、仮想通貨が中国にとって重荷になるだけで、ほとんど益をもたらすことはないでしょう。

それでは、中国政府が仮想通貨を発行する意味はないわけです。黄氏は、「仮想通貨では簡単に国境を超えて海外での取引が可能になってしまうため、中国政府はこれを禁止したわけです」としていますが、確かにそのような面もありますが、仮想通貨では国境を超えた取引に関しては、それを簡単に追跡することが可能です。であれば、こうした面よりも、やはり実利的な面を考えた場合、中国政府にとってほとんど益がないどころか、当初は負担が大きいということに、気づいたのだと思います。

いずれにせよ、中国政府は仮想通貨も自らコントロールできると過信していたのでしょうが、そうではないことに気づき、仮想通貨の取締りを強化したのでしょう。

このような過信はどこからくるかといえば、黄氏がいうように、中国共産党は絶対無謬であるとの驕り高ぶりにあるのでしょう。

驕り高ぶりといえば、日本でも最近官僚の無繆性が暴露された、統計問題がありました。政府の56ある基幹統計の半数近い22統計で不適切な手続きが見つかった問題は「統計には間違いはないはず」と思い込む無謬(むびゅう)性に官僚組織が対応できない実態をさらけ出したようです。

統計問題で揺れた厚生労働省

そうして、この誤りは誰もが気づくものであり、この統計問題はいずれ是正されるでしょう。しかし、もっと大きな官僚の誤謬が日本では、まるで宿痾のようにいつまでたっても治癒されることはありませんでした。

それば、長年の財務官僚による財政政策の誤謬と、日銀官僚による金融政策の誤謬です。特に平成年間は、財務・金融官僚がほとんど全部の期間にわたって、デフレを推進するという誤った政策をとってきたため、他国が経済が伸び続けたにもかかわらず、にほんだけが横ばいもしくは低下という状況が続きました。

こうした財務省の誤謬は、消費税への10%への増税という形で今になっても継承されています。日銀も、イールドコントロールカーブを採用してから、引き締め気味であり、誤謬が継承されているようです。ただし、はっきりと金融引き締めに転じてはいなため、財務省よりはましかもしれません。

官僚や、官僚組織はどうも、こうした無謬性に冒されやすい体質があるようです。

そうして、今一度中国を振り返ってみると、中国には政治家は1人も存在しません。存在するのは官僚だけです。何しろ、建国以来一度も選挙をしたことをない国です。

中国共産党の幹部は習近平を含め、誰一人政治家ではありません。選定方法は指名制です。中国人民によって選ばれた政治家など1人も存在しないのです。

社会学者マックス・ヴェーバーは、「政治家の本領は『党派性』と『闘争』である」と指摘していますが、中国には中国共産党1党しか存在せず、最初から全体主義なのです。

習近平は政治家ではない

日本でも、無謬性という宿痾におかされやすい、官僚が日本を統治していたらどいうことになるでしょうか。金儲けには成功しても、日本国の統治に成功するととても思えません。

官僚によってのみ統治される官僚天国の中国には、最初から見込みがないことが理解できるのではないかと思います。やはり毛沢東をはじめとする建国に参加した先達たちが大間違いをしたということです。本来なら、同じ共産党でも少なくとも2党制にして、選挙で代表が選ばれる仕組みを導入すべきでした。

そうではなくても、建国から今日にいたるいずれかの時期にそうした体制を築くべきでした。それをせずに、現在でも1党独裁制を保ってきた中国にはもう見込みがありません。

これからも、中国共産党は仮想通貨導入の失敗のような数々の失敗を繰り返し、それでも何の反省もすることなく、さらに失敗に失敗を重ね、いずれ崩壊することになるでしょう。米国による対中国冷戦はそれを幾分はやめるだけです。

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