2017年8月25日金曜日

北海道が「中国の省の1つに?」 中国資本が北海道を狙う理由=中国報道―【私の論評】父祖が開拓した国土を徒や疎かに扱うべきではない(゚д゚)!

北海道が「中国の省の1つに?」 中国資本が北海道を狙う理由=中国報道

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中国人にとって憧れの地でもある北海道
経済発展が続く中国では、人びとの購買意欲は止まるところを知らない。日本国内でも中国人投資家がマンションを購入するなどの事例は多く聞かれるが、中国メディアの今日頭条はこのほど、中国資本が北海道の不動産を購入していることを伝えつつ、「北海道が中国の省の1つになってしまうほど」の勢いだと伝えている。

 記事は、中国資本が北海道の自然の価値に目を付けていることについて、日本国内では「北海道はいずれ中国の北海省になってしまうのでは」と危惧する声があるとした。中国では「北海道」は映画のロケ地として使用されたことなどから、ブランドとして高い認知度を誇りる。また、年間を通じて観光資源が豊かという現実的な魅力もある。

 日本人だけでなく中国人にとっても北海道は「いつかは訪れたい観光地」であり、中国では北海道という言葉を商品に記載すれば売れるほど、「自然が豊かで、食べ物は安全で美味しい」というイメージが根付いている。

 記事は、中国資本が北海道の不動産や山林を購入していることに、日本では危機感を示す声があるとしながらも、「日本の不動産会社も買い手のいない土地を持て余すより、中国企業によって運用してもらうことを望んでいる」と主張。実際に中国企業が購入した温泉宿泊施設が日本の文化を体験したい富裕層の間で流行している例もあると主張し、中国資本が北海道の価値に目を付けたのは、中国における北海道人気に便乗し、利益を得るためだと論じた。

 農林水産省が2017年4月に発表した「外国資本による森林買収に関する調査の結果」によれば、2016年に外国資本が買収した日本の森林面積は202ヘクタールに及び、前年の約3倍になった。買収された森林の多くが北海道にあり、外国資本のうち8割が中国企業や中国資本だった。中国資本による買収に対し、日本では危惧の声があがっているが、購入の際に日本人の名前や架空の会社の名前を用いる中国企業が存在するために対策は難しいようだ。

【私の論評】父祖が開拓した国土を徒や疎かに扱うべきではない(゚д゚)!

北海道の土地の買い占めについては、このブログでも過去に掲載したことがあります。最近は、またその動きが顕著になっているので、本日はその話題について掲載します。

これについては、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
防衛施設周辺で外国資本の土地取得規制に向け調査可能に 自民が通常国会に法案提出へ―【私の論評】オホーツク海を支那原潜の聖域にさせるな(゚д゚)!
以下に長いですが、支那資本による買い占めの実体を引用します。
こちらは、北海道の札幌市です。北海道というと、近年起きている最も由々しき事態は、外国資本、とくに支那系資本による不動産の買収です。支那の領土をめぐる問題といえば、尖閣諸島沖の活動がマスコミで取り上げられるので、国民はそちらにぱかり目を奪われていますが、その間、北海道では支那人たちが着々と土地を取得し、実質的な侵食が確実に進んでいます。
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海外資本による水源地の買収状況
森林や水源地の買収については、やっと外国資本の買収を監視・制限する条例を北海道が制定しましたが、今も支那系資本の動きは止んでいません。支那と関係のある日本企業が買収しているケースや、支那企業が日本企業を買収し、そのまま所有権を引き継ぐケースもあり、実態把握が困難なのが実情んのです。

支那の土地買収問題はさらに厄介な方向に進んでいます。今、道内ではおもにバブル期にニーズも考えずに建設されたリゾート施設やゴルフ場が、次々と支那系資本に買収されているのです。 
具体的な例を上げると、2003年、594億円の負債を抱えて民事再生法の適用を受けたゴルフ場が、2011年に香港を本拠とする投資会社BOAOに買収されました。このコースは、元々、東京のマンション業者が開発したゴルフ場でしたが、そこが2003年に民事再生法を申請したため、オープンには至らず、休眠状態となっていました。その後、香港、支那の投資家が出資してこのコースとその周辺の計210ヘクタールを約30億円を投じて取得、クラブハウスの建て替えとコース改修など開発を進め、「一達国際プライベートゴルフクラブ」と改名し、2014年にオープンしました。
「一達国際プライベートゴルフクラブ」のコース
買収した投資会社の役員は、「ここに将来、支那の五輪強化選手用の施設を作る構想がある」と語ったといいます。五輪級の選手が、最適な環境を求めて自国外で調整を行うケースは少なくありません。日本の選手らも外国で強化合宿を行っています。しかし、だからといってこの発言を「問題なし」として看過するのは間違いです。 
なぜなら、相手があの全体主義国家の支那だからです。投資会社役員の発言は、この施設買収が単なる一民間企業の投資行動ではなく、支那共産党との強いパイプがあることを物語っています。 
BOAOの元理事には蒋暁松という人物がいます。支那・海南島のリゾートを運営する支那人実業家です。過去に彼は、和歌山県の那智勝浦・太地町にあり2003年に事実上破綻した大規模年金施設「グリーンピア南紀」の跡地開発の疑惑に絡み、名前が挙がったことがあります。グリーンピア南紀の跡地開発が、通常の手続きを経ず、不明朗なままBOAOが請け負うと決められたからです。
蒋暁松(左)
この決定には、和歌山選出の自民党国会議員で親支那派と言われる二階俊博氏の強い後押しがあったとも報じられました。北海道内で、支那系資本による明らかに不自然な不動産買収の実態が多々あるにもかかわらず、地元の政官界からほとんど懸念の声が上がらない背景には、こうした日本の中央で力をもつ政治家らが暗躍しているという事情もあるのです。
自民党幹事長 二階俊博氏
支那マネーが道内ゴルフ場の買収に意欲を見せているのは、増大している支那人観光客を対象にした、ゴルフをセットにした旅行プランの需要が高まると見ているようです。中には、金に糸目をつけずにマイ・ゴルフ場としてコースを探している富裕層もいるといいます。 
さらにもう一つ、支那が道内の森林を買っているのは水資源が目的ですが、勝手に川や沢から水を採取することはできないため、牧場やゴルフ場を取得して地下水をくみ上げようという狙いもあるようです。実際、地下水のくみ上げに関しては規制がなく、水脈を探し当てれば自由に水を確保することができるのです。 
また、世界的な食糧不足が確実にやってくるとして、道内で農業ができる土地を確保しておこうという思惑もあるようです。ゴルフ場を農業用地に転用する目的で取得しようというのです。我々はゴルフ場といったらゴルフ場の価値しかないと思っていますが、彼らは木や池があって整地されていて開墾の必要もない農業用地として適していると見ています。水と農業は、支那系資本が道内の土地を買収する大きな動機になっているのです。

さて、北海道ではこれ以外にも大きな問題があります。それは、自衛隊駐屯地の近隣の支那人による土地購入です。その事例をあげておきます。

千歳市では、2010年、約17棟の別荘が建設されましたが、購入したのはすべて支那人。住宅には不釣り合いなパラボナアンテナがいくつも設置されています。ここは、航空自衛隊の千歳基地、陸自の千歳・恵庭演習場から2、3キロメートルしか離れていないません。
パラボラアンテナが設置された別荘
上の写真は、2014年8月撮影したものです。場所は新千歳空港や陸上自衛隊・航空自衛隊の近くの北海道千歳市文京1丁目です。 
家のベランダではなく共用部に受信のためだと思われる大きなアンテナが設置されているのが4つ程確認できました。車庫は見当たりませんでした。 
またどのような用途かはわかりませんが、窓に外からは電気が点いているか確認しづらく見えるフィルムが標準装備されていました。 
登記情報を調べたところ17棟中16は支那人の所有でした。残りの1つはニトリ家具の取締役の名前で所有されていました。ただそこの表札の名前は、姓はニトリの取締役でしたが名は支那人の様な名でした。 
岩内町(いわないちょう)では、泊原発の原子炉3基が目視できる高台に支那人が別荘を購入しているといいます。ここへは、札幌から車で3時間近くかかります。こんなところに、わざわざ別荘を買う理由は、一体何なのでしょう。 
倶知安町(くっちゃんちょう)自衛隊駐屯地から3キロメートル以内に外資が所有する土地が3件、トータル109ヘクタールあります。そのうちのひとつは香港資本のものですが、買収から8年近くたってもそのままです。 
北海道・俱知安町で売りに出されれている山林
こうした支那人による、日本国内の土地の所有に関しては、常に大きな危険が伴っています。

多くのみなさまがすでにご存知の通り、2010年7月に支那共産党政府が成立させ、施行した国家総動員法(国防総動員法)は、同国の国防に関わる有事にいたった場合に、国内外の支那(China)国籍者の財産の接収(没収)、同国籍者の徴兵(国内・在外を問わない同国籍者の徴兵(兵員化)と、および、同国内での外国資本の没収まで含まれています。

何故、このような法律を性急なまでに施行したのでしょうか。その目的は、支那共産党政府がごく近い将来に有事(および戦争)の発生を想定してのことで、たとえば、対日政策の上では、侵攻による沖縄県尖閣諸島、さらには沖縄本島の収奪・領土化とそのための有事を視野に入れてのことであろうことは疑いの余地も有りません。もとより、沖縄の領土化は日本本土を次の視野に入れてのことで、日本の属国化、ひいては「日本自治区化」を想定していることでしょう。 
注目すべきは、在日支那国籍者もこの法律の動員対象となっていることです。登録されている同国籍者だけでも「687,156人(2010年12月末時点の統計)に上り、その他“観光”などで一時的に渡航して来ている者や15万人を超えたとされる同国の留学生も、「有事」発生時点での動員対象になります。さらに、後者の一時的渡航者、留学生の中から絶えない「法律上は日本に存在していない」はずの不法残留(オーバーステイ)者や、さらには、数値ではその掌握が測りかねる不法滞在者(密航者)もその例外ではありません。

さらに、民間偽装での入国の末に偽装帰化した“元支那国籍者”(その正体は人民解放軍の民間偽装の兵員であったり、対日工作員であったりとの指摘も絶えない)要員で、実質的に支那共産党に忠誠を誓っている者も、いざ同法が適用となる際は上記に準ずることになるでしょう。

結果、総動員法のもとで兵員化し得る人員数では、トータルで百万人を超える可能性も否定できません。高齢層や幼年層、亡命者の数を差し引いたとしても、相当の「兵力」になるはずで、支那本国が擁する二百万人を超える人民解放軍に実質合流することになります。 
これは、支那共産党政府のスイッチ「ON」一つで、それまでの“文化交流”や“経済交流”“観光”などの名目下で、巧みなまでに日本に埋め込まれて来た時限装置が一気に同時多発的に爆発することを認識すべきです。その時には、自ずと支那人の所有する日本国内の土地建物は、日本攻略の前進基地になることはいうまでもありません。

北海道は、自衛隊を削減する動きもあります。尖閣、沖縄を含む南西諸島付近には支那艦船が出没したり、支那航空機が出没したりするので、それに対する対抗措置として、この方面での自衛隊を強化するという意味があるのでしょうが、北海道の現状をみれば、これはあまりに無防備です。
このような実体を把握するため、産経新聞の連載「異聞 北の大地」(産経ニュースでは「北海道が危ない」で掲載)の筆者、宮本雅史編集委員が案内役として同行し、外国資本に買収された北海道の森林や水源地などをめぐる特別ツアー(産経新聞社主催)が7月23、24の両日開催されました。

8市町村を中型バスで走破し、2日間の総移動距離は約900キロに達した。住宅地、ゴルフ場跡地、大学、山林など10カ所以上を訪ね歩き、外資による「国土侵食」が加速している事実を確認しました。

ツアーは記事と連動した新しい試み。募集期間は実質20日間と短かったのですが、最終的に計20人が応募。定員を満たし、出席率は100%でしたた。

年齢層は30~70代と幅広く、職業も、自営業、公務員、地方紙社長、住職、タクシー運転手、主婦などさまざまでした。国会議員も「個人」で申し込み、山谷えり子元拉致問題・領土問題担当相、山田宏参院議員が駆けつけました。男女の内訳は男性13人、女性7人でした。

この詳細については、産経新聞に掲載されています。その記事のリンクを以下に掲載します。詳細については、この記事をご覧になって下さい。
【北海道が危ない・特別編】外資の「国土侵食」が加速 “中国人自治区”誕生の可能性も「武器を持たない戦争を仕掛けられている」
以下に、このツアーの日程などを示した、地図を掲載します。


以下に実際にこのツアーに参加した、山田宏参議院議員の参加体験談の動画を掲載させていただきます。



このような危機的状況にあるのですが、では政府や北海道はこれに対して何かをしていたのかを調べていましだか、他にとんでもなことがわかりました。

北海道議会議員の小野寺まさる氏が本日以下のようなツイートをしていました。
このようなことを実施しようとして、計画をしていた国交省や北海道開発局は一体何を考えているのでしょうか。全く危機感がありません。

さて、このような中国資本の北海道の土地の買い占めに対して、日本は何もできないのでしょうか。

実は、日本にもこれに対応するための法律は、上の山田宏参議院議員の動画にもでてくる法律があります。以下にこの法律の概要を掲載します。

日本には、この「外国人土地法」があります。ただし、GHQによりこの法律の細則が削除されてしまったので、事実上、施行できない法律になっています。 この法律、かなり強力です復活させるべきです。

しかし、これで問題のすべてが、解決するわけではありません。根底には、さらに深い闇があるのです。

こうした森・水・土地をめぐる動きの根底にある問題は何なのでしょうか。「外資の森林買収」という事象を契機に我々が考えるべき根本課題は何なのでしょうか。

2011年11月の北海道北部。林道さえ入っていない奥地の天然林200ヘクタールを求め、不動産関係者が現地を訪れました。

「この辺鄙な地を選んだのは、水源地の売買規制が始まった道央・道南を避けるためだ。不在村地主の山を中心に購入したい」

仲介したこの業者は、道央の山を中国資本に売却した実績を持っていました。

狙われた山はかつて70数戸の集落があったのですが、1962(昭和37)年の台風災害で全戸離村し、以来、無人になっている奥山でした。林業が成り立つ場所ではありません。同行した関係者が、目的不明の買収話を不審に思って役場に連絡したことにより、その地は地元篤志家が私財を投じて購入することで決着しました。

仮に、現地視察に同行した関係者が役場に情報を伝えなければ、どうなっていたでしょうか。恐らくこの無人の土地は、役場も地元住民も知らない間に、仲介者 を通じて売却され、将来的に役場は所有者情報を追いきれなくなっていた可能性が高いです。無人の奥山が知らぬ間に国際商品になりかけていた事実に衝撃を受けて、役場はこの4月から不在地主所有の森林についての実態把握に乗り出しましたた。

なぜ役場が土地所有の実態を正確に把握できないのでしょうか。そこには、この国の特異性があります。

日本の土地制度は、
(1)地籍調査(一筆ごとの面積、境界、所有者などの確定)が未だ50%しか完了していない 
(2)不動産登記簿の仕組みが旧態依然で、土地売買届出などの捕捉率も不明 
(3)農地以外の売買規制はなく、利用規制も緩く、国境離島、防衛施設周辺など、安全保障上重要なエリアの土地売買・利用にかかる法整備も不十分である一方、 
(4)土地は占有者のもので「時効取得」(民法第162条)もある*2。 
(5)土地所有権(私権)が現象的には行政に対抗し得るほど強い*3。
という点に特徴があります。

「土地は公のもの」という理解が社会の基底にある先進諸外国では類を見ないものです。中でも(2)における行政基盤、行政精度の問題は大きいです。

現在、我が国の土地情報は不動産登記簿(法務省)のほか、土地売買届出(国土交通省)、固定資産課税台帳(総務省)、外為法に基づく取引報告(財務省)、さらに森林調査簿(林野庁)や農地基本台帳(農林水産省)など、目的別に作成・管理されています。しかし、その内容や精度はばらばらで、国土の所有・利用についての情報を国が一元的に把握できるシステムは整っていません。

通常、土地を相続すれば登記簿の名義変更を行うが、変更手続きのコストの方が高くつくケース*4では、差し迫った必要性がなければ元の名義のまま放置されることも少なくないです。そもそも不動産登記(権利登記)は義務ではなく、登記後に転居した場合の住所変更も通知義務はありません。

国土利用計画法による届出情報も万全ではありません。売買契約締結後、2週間以内に届出することを義務づけているのですが、実際の取引現場での認識は低いです。国はその全国情報を毎年集計し公表しているものの、届出の捕捉率は把握できていません。この届出業務が自治体の仕事(自治事務)だからです。

国土利用計画法の体系
海外からの投資という面で見ると、外資による投機的な土地買収は全国で約3700ヘクタール(2007年度~2010年度)です*5。ただ、外為 法で規定されたこの報告ルールも、その捕捉率は不明です。しかも外為法の体系では、非居住者(外国に住む人)が他の非居住者から不動産を取得した場合は、報 告義務の対象外です(外国為替の取引等に関する省令第5条第2項10)。

国交省・農水省は外資による森林買収情報を集めており、2010年までに全国で約800ヘクタールが買収されたと公表しました。定義がそれぞれ異なるため、数値は一致しないのですが、北海道は独自調査を進めており、道内で57件、1039ヘクタールが外資に買収されたと公表していました。今後、こうした物件がさらに外資へ転売 された場合、所有者情報は追えなくなるでしょう。

日本では国土の所有実態を行政が把握しきれないのです。「外資の森林買収」で露呈した根本問題はここにあります。

固定資産税の不納欠損処理全国で過疎化が進みゆく中、今後は土地所有者が村外、県外、さらに国外在住というケースも増えていくでしょう。鳥根県の旧匹見町(人口約1400人)では、固定資産税の納税義務者の所在が全国26都府県にわたっています*6。このうち、林地の約7%(面積比率)、農地の約3%(同)は納税義務者の居所が不明と見られます。かつては当たり前だった「土地所有者=在村住民=管理者」や「納税義務者=在村住民」という図式が成り立たなくなってきています。

固定資産課税台帳は登記簿情報を元に更新されていくのですが、前述のとおり、その登記簿が十分ではありません。所有権者の転居や金融商品としてグローバル化していくことを想定した設計にもなっていません。制度にひずみが出はじめています。

不思議なのは、こうした時代の変化と制度上の問題があるにもかかわらず、固定資産税の徴税が表立って大きな問題にならないことです。総務省によると固定資 産税を含む市町村税の徴税率は93.3%(2010年度)。固定資産税は市町村税収の43.7%(同)を占めるるのですが、土地所有者の不在化、不明化によって、 課税・徴税に支障が出ていないのでしょうか。

探っていくと、徴税率の高さの背景には、実は「不納欠損処理」という数字のマジックがあることがわかります。地方税法では、所有者の居所不明などで徴税ができなくなった場合、徴税が無理だとわかった時点での即時欠損処理(第15条の7第5項)や5年の時効(第18条)などによって消滅させる仕組みがあります。本来なら滞納繰越額は毎年雪だるま式に膨らみ続けるはずですが、この不納欠損処理によって滞納事案が「消滅」していくのです。つまり、徴税率計算の際の分母(課税対象)から滞納事案の大部分を消すことで、計算上の高い徴税率を保っているのです。

市町村税総額の中の「不納欠損処理」は、全国で1103億円(2010年度)。全体の0.5%程度で、一見少ないようにも見えます。だが、徴税すべき対象から外した「1年間」の額がそれです。固定資産税は累積していきます。税がとれずに債権放棄した額は、いわば再生産されていく負債です。

加速していく土地所有者の不明化は納税義務者の不明化でもあるのです。不納欠損処理によって、徴税不可能な事案を「消滅」させることで、その問題もまた表面上見えなくしているのです。一見高い徴税率の陰で、土地所有者の不明化により、地方財源の重要な柱である固定資産税の税収が漸減していく恐れがあります。

行政基盤や行政精度の劣化を示す事象として「消えた年金」「消えた高齢者」が従来から大きな問題になっていましたが、「消えた土地所有者」は、それらに続く可能性があります。

日本では団塊の世代が相続する時代を迎えています。資産価値が低く管理が難しい土地は、子供たちから敬遠されます。子供に負担をかけまいと、「相続の前に土地を手放したい」「買ってくれるなら誰でもいい」と苦渋の思いで仲介ブローカーに売却し、その後どう転売されたか、地元では誰も知らないという事例が、今後じわじわと増えていくでしょう。国境の離島や奥山の水源地など、安全保障や国土資源保全上、重要でありながら、人の目や手入れの行き届かない地域が増加していく恐れもあります*7。

グローバル化時代の開かれた経済活動の中、国レベル、自治体レベルそれぞれにおいて、土地情報の風通しをよくしていくルールを早急に整える必要があります。

国レベルでは、まず安全保障の観点から国が「重要国土」(防衛施設周辺、国境離島、空港・港湾、水源地など)の指定を行い、対象地域の所有実態の調査や、売買・利用にかかる法整備を行うことです。長崎県五島市は、福江港沖の無人島が不動産会社のホームページで売りに出された問題をきっかけに、市内全52の無人島について所有状況の確認作業を行い、2011年12月、結果を公表しました。

国は「重要国土」について、こうした基礎調査を進め、一定の売買・利用規制を講ずるべきです。国益上、とくに金融商品とすべきでない土地については、国有化や公有化のための財政措置も検討すべきです*8。

また、民間のインターネット入札などを利用した国公有地の売却が進められていますが、日本の土地法制の特異性を再認識する必要があります。収入確保のための拙速な国有地売却など、顔の見えないインターネット入札を無差別に進めていくことには、慎重であるべきです。

自治体レベルでは、上記の「重要国土」に準じた保全対象地域(環境、水源、生態系、景観、文化財など)を指定し、所有実態調査と条例による売買・利用ルールの整備を図っていくことが必要です。

昨今、「当県(当市)では外資による買収事例は確認されておらず、今のところ特段の措置をとる予定はない」という自治体が少なくありません。しかし、行政が知らないだけではないでしょうか。土地売買・所有の実態を行政が十分に把握できていないことこそが問題なのです。

土地所有者の不在化、不明化の問題は、固定資産税の徴税のみならず、防災・治安、地域づくりのための合意形成、公共事業のための用地取得など、日常の 様々な活動に問題が波及していきます。北海道のある自治体は、外資が所有する水源地2カ所を公有化するため、長期にわたって交渉を行っていましたが、未だ決着していません。地域の「守るべきところ」「守るべきこと」を明確化し、問題を未然に防ぐことが何より重要です。

諸外国を見ると、欧米では厳格な利用規制などによって個人の土地所有権に一定の制約を課しています。ドイツのB-planが最もわかりやすいです。英国も土地 所有者は保有権(hold)は持つものの、それは土地利用権に近く最終処分権までは持ちません。フランスでは公的機関による強い先買権が存在します。

海外からの投資という観点では、米国では農業外国投資開示法(1978年制定)や外国投資国家安全保障法(2007年制定)など、国の重要なインフラや 基幹産業に対する投資について、政府がいつでも情報把握や公的介入ができる制度を整えています。オーストラリア、ニュージーランドを含めた近隣アジア太平洋14カ国において、土地売買における外資規制が皆無なのは日本だけです。

日本でも、たとえば不動産登記を義務付け、登記の際にはマイナンバーも登録するように仕組みを変えるべきです。一方で、戸籍とマイナンバーを連動させる是非について法務省の「戸籍制度に関する研究会」で検討が進んでいます。マイナンバーによって戸籍と不動産登記が連結されれば持ち主や相続人の特定が容易になります。マイナンバーというツールを上手に活用していくように政治はリーダシップを発揮し、不動産登記の改革につなげてほしいです。

マイナンバーにより戸籍と不動産登記を連結すへき

土地とは、暮らしの土台であり、生産基盤であり、国の主権を行使すべき国土そのものです。経済のグローバル化と地域の高齢化・人口減少が同時進行する時代だからこそ、開かれた経済活動の前提として国内法制度をしっかりと整え、「守るべきところは守る」ことが不可欠です。

土地所有者の不明化対策に乗り出し、制度の見直しと底上げを図ることが急務です。そうして、忘れてならないのは、現在の土地の集合である国土は私達の父祖が長い間かけて開拓してきたものであり、徒や疎かに扱うべきものではないということを私達自身が再度認識すべきです。
*2 民法第162条は、20年間、所有の意思をもって平穏かつ公然に他人の物を占有することによって(占有を始めた時に善意・無過失であった場合は10年で)、所有権を時効により取得したと主張できると定めている。 
*3 首都圏の外環道(東京外かく環状道路)は、計画樹立以来40年以上経過しているが、未だ一部の地権者の合意が得られず完成していない。成田空港も、地権者の合意が得られず、滑走路が1本のままである。 
*4 山林価格は実勢で1ヘクタール20万円以下になるケースも少なくない。評価額が免税点30万円に届かなければ固定資産税も請求されないため、山林所有者の所有意識は弱まる一方だ。 
*5 外為法に基づく非居住者による本邦不動産の取得に関する報告実績(財務省資料、2011年2月)。 
*6 島根県中山間地域研究センター「中山間地域の現状・課題と今後の展開戦略(抄)」(2006年)。国土交通省は、森林所有者数約324万人のうち、所在の把握が難しい所有者を約16万人(約5%)と推計している(国土交通省「農地・森林の不在村所有者に対するインターネットアンケート調査結果概要」2012年)。 
*7 国土交通省は、日本の国土のうち、人が居住する地域は全体の約48%、1800万ヘクタール(2010年)だが、2050年には国土の約4割、約1400万ヘクタールまで減少すると予想している(国土交通省国土計画局「国土の長期展望に向けた方 向性について(2010年12月)」)。 
*8 東京財団「国土資源保全プロジェクト」提言書
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