2025年3月27日木曜日

ガザ再建計画の最大の障害はイラン、第1期トランプ政権が残した遺恨は原油相場を刺激―【私の論評】トランプのイラン強硬策とイスラエルの攻撃計画:中東危機と中国対決の行方

ガザ再建計画の最大の障害はイラン、第1期トランプ政権が残した遺恨は原油相場を刺激

まとめ
  • フーシ派の攻撃と中東緊迫: フーシ派がイスラエルにミサイル攻撃と紅海妨害、ガザ停戦が崩壊。米空母が増派され、イランに核開発停止を2カ月猶予で要求、緊張が高まる。
  • ガザのパレスチナ人排除計画米国がエジプトにガザのパレスチナ人受け入れを要求、拒否なら援助削減と警告。トランプ政権が支持しガザ再建急ぐが、任期内に時間切れの恐れ。
  • イランとの対立と対話断絶イランがハマスやフーシ派を支援、米国は制裁で資金を抑え込む。トランプ氏は対話を避け、イランは戦争準備を表明し、衝突時の解決策が見えない。

イスラエル南部アシュケロンで14日、稼働するミサイル迎撃システム

イエメン西部を支配するフーシ派は、ガザへの人道支援や電力を止めたイスラエルに対し、紅海での妨害やミサイル攻撃を再開した。トランプ米大統領は、これをイランの影響下にある攻撃とみなし警告したが、フーシ派は意に介さず攻撃を続け、イスラエルでは防空システムが作動しサイレンが鳴り響いている。

イスラエル軍もガザへの空爆と地上作戦を再び開始し、ガザ停戦合意は完全に崩壊した形だ。一方、米軍は空母ハリー・S・トルーマンでフーシ派拠点を攻撃していたが戦力不足で、空母カール・ビンソンが紅海に到着。さらに空母ジェラルド・R・フォードが中東に向かう可能性もあり、中東の緊張が高まっている。米国はイラン最高指導者に核開発停止を求める書簡を送り、2カ月の猶予を与えたが、イランとの対話は難しく、戦争へのカウントダウンが始まった可能性もある。

ガザのパレスチナ人排除の動きも進んでいる。UAE経由で米国がエジプトに「ガザのパレスチナ人を受け入れなければ援助を減らす」と警告。エジプトのシシ大統領は50万人をシナイ半島北部に一時的に受け入れる案を示したが、エジプト国営放送は否定。トランプ政権はこれを支持し、ガザ再建を急ぐが時間は限られている。

イランとの関係では、ハマスやヒズボラ、フーシ派を支援するイランが障害となり、米国は制裁でイランの資金を減らそうとしている。しかし、トランプ氏は任期4年内で解決を目指すためイランとの対話を避け、イラン核合意を破棄した経緯から交渉は困難。イラン外相は戦争準備を表明し、衝突が起きれば解決策が見えない状況だ。

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【私の論評】トランプのイラン強硬策とイスラエルの攻撃計画:中東危機と中国対決の行方

まとめ
  • トランプの強硬策とイスラエルの準備: トランプはイランに「核武装は許さない」と警告、制裁強化。2025年2月のワシントン・ポストによれば、イスラエルが2025年前半にイラン核施設を攻撃予定。2024年10月の漏洩(ニューヨーク・タイムズ)ではミサイル準備が発覚。
  • イスラエルの動きと支援: 2025年初頭、トランプ政権がイスラエルにバンカーバスターを売却。2025年2月、ネタニヤフが「今がチャンス」と支援要請(ワシントン・ポスト)。イランの防空網は2024年10月に壊滅、攻撃可能性高い。
  • イラン核武装の影響: イランが核を持つと、サウジやトルコが核開発へ(2025年3月ブルッキングス)。2024年11月の国際危機グループは全面戦争と経済崩壊を警告。
  • トランプの中国優先: トランプは中東を避けたい。2025年3月のフォーリン・ポリシー誌で「アジア重視」、イスラエルに任せる。2025年2月のブルームバーグでイラン石油締め上げを計画。
  • 中国支援封じとリスク: 2025年1月のロイターで、サウジやUAEに圧力、中国のイラン支援を潰す。イスラエルの暴走で中国戦略が狂うリスクあり。

国際社会を巻き込んだ緊張が続くアメリカとイラン

トランプ大統領は就任前からイランに牙をむき、「核武装したらタダじゃ済まねえぞ」と凄みを利かせ、制裁をガンガン強化しつつも外交で解決しろと吠えてきた。2025年2月のワシントン・ポストが報じたところ、米国の情報屋どもはイスラエルが2025年前半にイランの核施設、フォルドーやナタンズを破壊する気だと睨んでる。トランプもその動きをチラ見しながら動いてるようだ。

今、イランは2024年10月のイスラエルからの一撃で防空網がボロボロだ。弱り切ったイランならトランプの「話せば分かるだろ」に乗ってくる可能性はなくはない。だが、ここでイスラエルが黙ってはいない。イランのイスラム革命体制を根こそぎぶち壊す気満々だ。2025年2月のウォールストリート・ジャーナル(WSJ)がすっぱ抜いた記事では、イスラエルはトランプのバックアップを当てにして核施設に大規模攻撃を仕掛ける算段らしい。もしイスラエルが動けば、米・イラン間の話し合いはぶち壊しだ。外交なんて夢のまた夢になる。

証拠なら山ほどある。2024年10月、ニューヨーク・タイムズが暴いた米国の機密漏洩では、イスラエルが空中給油訓練や長距離ミサイル「ロックス」を準備してたことがバレた。これはイランのミサイル攻撃への仕返しとピッタリ重なる。2025年1月の米国防情報局(DIA)の報告でも、イスラエルが核施設を遠くからミサイルで叩くか、バンカーバスターでぶち抜くかの二択を練っていて、2025年上半期に実行する気だと読んでる。

BLU-109バンカーバスターを搭載したイスラエルの戦闘機

さらにトランプ政権は2025年初⁰初頭にBLU-109バンカーバスターのガイダンスキットをイスラエルに売り渡し、攻撃力をグンと上げてやった。2025年2月、ネタニヤフ首相がトランプと会った時(ワシントン・ポスト報道)、ネタニヤフは「今がイランを叩くチャンスだ」と息巻いてた。シリアやヒズボラがヘロヘロなのを理由に支援をせがんだらしい。2018年のイラン核合意破棄でもネタニヤフの影がチラついてたが、今回も同じパターンだ。

イランが核を手に入れたら、中東は一気に火薬庫になる。イランの核が現実になれば、サウジやトルコが「俺らも核持つぞ」と動き出し、中東の軍事バランスが崩れる。2025年3月のブルッキングス研究所の分析では、サウジは米国やパキスタンから核技術をせびり、トルコはNATOの枠外で勝手に核を作り出すと見ている。

核が次々広がれば、ちょっとしたミスでドンパチが始まり、テロリストに技術が漏れる危険も跳ね上がる。2024年11月の国際危機グループの報告は、イランが核を盾にヒズボラやフーシ派をガンガン支援し、イスラエルや米国の仲間を叩きまくると警告している。「中東で全面戦争が始まる引き金だ」とまで言われ、イスラエルは先制攻撃に大義名分を得る。石油が止まって経済もズタボロだ。

米国の頭のいい連中は、イスラエルの攻撃が米国をイランとの戦争に引きずり込むとビビってる。2025年3月のアトランティック・カウンシル分析では、核施設を叩けばイランの仕返しが米軍基地や仲間国に飛んでくると警告してる。WSJやワシントン・ポストが「半年以内に攻撃あり得る」と騒ぎ、トランプがやたら対話を叫ぶのも、イスラエルの動きを止めたいからかもしれない。

だが、イランの防空網は2024年10月のS-300破壊でボコボコだ。米国の支援もあるイスラエルは「勝てる」と確信してる。その可能性はかなり高い。イランが核に近づけば、イスラエルのやる気はさらに燃え上がり、トランプの外交はイスラエルの我が道で潰される危険がある。

中国との対決に専念したいトランプだが・・・・・

中国との対決を優先したいトランプはどう動くか。中東でドロドロになるのはゴメンだ。イラン問題をサクッと片付ける手が必要だ。第一に、イスラエルに「好きにやれ」と任せつつ、巻き込まれない作戦だ。2025年3月のフォーリン・ポリシー誌が報じたが、トランプ政権は「中東の軍事負担は減らし、アジアに全力投球する」と息巻いてる。米軍は動かさず、イスラエルに武器と情報を渡して代わりに戦わせる気だ。2019年、中国との関税戦争に集中するためシリアから手を引いた前例もある。

第二に、イランに経済で首を絞め、核を諦めさせる「超強力圧力2.0」だ。2025年2月のブルームバーグ報道では、トランプ政権がイランの石油輸出をゼロ近くまで締め上げる新制裁を用意しているとされている。中国への牽制に力を使う気満々だ。

第三に、中国がイランを助ける道を閉じる外交だ。2025年1月のロイター報道では、トランプがサウジやUAEに「イランと取引するな」と圧力をかけ、中国の裏支援(2024年のイラン・中国25年協定)を潰す動きが見える。中東をイスラエルに丸投げし、中国との貿易・技術戦争に全力をぶち込むつもりだ。だが、イスラエルの攻撃が大きくなりすぎれば、トランプの対中国戦略は中東のドタバタで大きな影響うけるかもしれない。

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