2025年3月13日木曜日

多様性尊重へ 札幌市「共生条例案」 賛否の声 市長が条例化の意義述べる 来月施行目指し採決へ―【私の論評】札幌市共生条例は時代遅れ!多様性の幻想を捨て去り真の誇りを取り戻せ

多様性尊重へ 札幌市「共生条例案」 賛否の声 市長が条例化の意義述べる 来月施行目指し採決へ

まとめ
  • 札幌市が「共生のまちづくり条例」を制定し、多様性を尊重する共生社会を目指している。
  • 市民や市議からは賛否両論があり、外国人受け入れへの懸念や条例の必要性に疑問の声が上がっている。
  • 秋元市長は人権尊重と議論の基盤づくりを強調し、4月1日施行、3月28日採決を予定している。

札幌市が「共生のまちづくり条例」の制定を進めている。この条例は、年齢、障害の有無、性的指向、国籍など、さまざまな違いを尊重し、多様性を認め合う共生社会の実現を目指すものだ。市議会では賛成と反対の意見がぶつかり合い、議論が白熱している。市民からは「誰もが個性や能力を認め合い、支え合う社会を目指すなら、わざわざ条例が必要なのか」「すべての人が尊重し合い、差別や偏見のない共生社会を築いてほしい」といった声が寄せられている。

市のパブリックコメントでは、外国人受け入れによる治安悪化を心配する意見や、条例そのものに反対する声が目立った。自民党会派などの一部市議も、条例の必要性に疑問を投げかけている。3月11日の予算特別委員会で、秋元市長は「互いの立場を理解し、基本的な人権を尊重することが条例の根幹だ。議論を進める基盤をつくることが重要」と意義を強調した。条例は4月1日の施行を目標に掲げており、3月28日の市議会定例会最終日で採決される予定だ。

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【私の論評】札幌市共生条例は時代遅れ!多様性の幻想を捨て去り真の誇りを取り戻せ

まとめ
  • 日本国憲法や法律で人権は保障されているが、札幌市は共生条例で特定の集団(アイヌ、LGBTQ+、外国人)を強調し、アイデンティティ政治の一環ともみられる条例をせいていしようとしている。
  • 市民意見募集では97%が反対「不公平」「分断を助長」と批判された。秋元市長は五輪招致のため「多様性ある国際都市」を目指し、「普遍的な共生が目標だ」とも主張する
  • 米国や欧州では多様性推進(DEI)に反発が強まり、2023年の米最高裁判決や企業の方針後退、2024年の欧州右派躍進が例。SDGsや多様性は「オワコン」とされる。
  • 札幌の誇りは豪雪に耐える精神や開拓の歴史、市民の結束力であり、多様性より現実的課題(雪対策、インフラ、過疎化)が優先されるべきだ。
  • 多様性を推すと市民や国際社会から敬遠され、オリンピック開催が遠のくリスクがある。札幌は多様性の旗振りではなく、札幌市民の真の誇りを打ち出し、他自治体の手本となるべきだ。
憲法で定められた基本的人権

日本国憲法では基本的人権が保障されている。第11条で基本的人権の享有、第13条で幸福追求権、第14条で法の下の平等が定められている。民法や刑法、労働基準法などでも差別や人権侵害に対処する仕組みがある。

それでも札幌市が共生条例をつくるのは、地域の実情に合わせた具体策が必要だからというのが建前だ。だが、これはアイデンティティ政治と結びついている可能性がある。

アイデンティティ政治とは、特定の集団のアイデンティティを強調し、その権利や利益を主張する動きだ。民族、性別、性的指向、障害などが対象になる。アメリカの後期公民権運動や後期フェミニズムが起源だ。これらの運動も初期には、個々の集団の権利ではなく普遍的平等を目指していた。日本では明確ではないが、マイノリティ向けの政策が増えている。札幌市の共生条例はアイヌ民族、LGBTQ+、外国人に焦点を当てている。普遍的な人権保障を超えた主張と見られる理由だ。

札幌市の条例案では特定の集団が繰り返し出てくる。「アイヌ文化の振興」や「性的少数者の理解促進」が具体策としてある。憲法が「すべての人」を対象にするのに対し、特定の集団に特化している。

2024年11月の市民意見募集では2,000件以上の意見が寄せられた。97%が反対だった。「特定のグループを優遇するのは不公平だ」「分断を助長する」との声が多い。アイヌ政策は国の「アイヌ施策推進法」と連動している。アイヌを先住民族と認め、文化支援を強化する。

2023年の説明会では「なぜアイヌだけ特別なのか」との質問が出た。市の回答が曖昧だった。LGBTQ+支援も目立つ。2017年にパートナーシップ宣誓制度を導入した。「異性愛者への配慮が薄い」「性的指向を政治化している」と批判もある。Xでは「LGBTQ+を特別扱いしすぎ」との投稿が見られる。

政治的意図もあるかもしれない。秋元市長は2030年冬季オリンピック招致を進めている。「多様性を尊重する国際都市」を打ち出している。共生条例はその戦略の一環だ。グローバルな潮流も影響している。SDGsやESGでは多様性が求められている。「進歩的」と評価される狙いがあるようだ。

一方で札幌市は「普遍的な共生が目標だ」と主張する。条例案には「すべての人が尊重し合う」とある。特定集団への優遇ではないと言う。現行法ではカバーしきれない地域課題への対応が必要だ。アイヌ文化の衰退や外国人住民の増加が例だ。だが、反対意見や特定集団への焦点が多いため、アイデンティティ政治的な印象を与えている。2025年3月時点で審議中だ。

札幌市共生条例がアイデンティティ政治の一環である可能性は高い。特定の集団を強調する内容、市民の反応、政治的背景が根拠だ。パブリックコメントの反対多数、アイヌやLGBTQ+への特化、説明会での議論、X上の批判が証拠だ。

昨年札幌で開催されたレインボー・プライドのイベント

最近の米国やヨーロッパの傾向を見ると、「多様性を尊重する国際都市」というコンセプトが周回遅れになる可能性が高い。米国では2020年代に入り、多様性推進(DEI)への反発が強まっている。2023年、米最高裁が大学入試でのアファーマティブ・アクションを違憲と判断した。ハーバード大学やノースカロライナ大学で人種を考慮した入学が禁止された。

企業ではフォーチュン500社の多くが2024年にDEI担当役員を削減した。「コスト削減」と「政治的中立への回帰」が理由だ。Xでは「DEIは逆差別を生む」との投稿が散見される。テキサス州では2023年に州法で公立大学でのDEIプログラムが禁止された。ディズニーやウォルマートが多様性方針を後退させた事例もある。

ヨーロッパではフランスのマクロン大統領が2021年に「覚醒主義」を批判した。2024年の欧州議会選挙で右派政党が躍進した。オランダでは2023年に右派の自由党が勝利し、「多様性より統合」を掲げた。スウェーデンでは2022年に中道右派政権が誕生した。英国でも多文化主義への疑問が再燃している。フロリダ州の2023年「反覚醒法」やデンマークの難民移送政策が例だ。

SDGsや多様性はすでに「オワコン(終わったコンテンツ)」だ。SDGsは企業にコストを押し付けるだけの偽善だ。単に「訓たれたい人」のための玩具に過ぎない。多様性は社会の分断を招く時代遅れの幻想にすぎない。現状のグローバル企業のDEI撤退や欧州の右派台頭をみれば、世界はもう根拠の曖昧な甘い夢を見ていない。

多くの人々は、企業に多様性より品質や安全性を求めており、常識的な世界に戻りつつある。サンフランシスコは多様性を掲げたが、治安悪化で住民が離れた。札幌市が共生条例で多様性を推すと、市民や他都市から敬遠されるリスクがある。共生を主張すると逆に札幌でオリンピックが開催できなくなる可能性が高まる。国際社会は現実主義にシフトし、多様性では響かない。理想や理念ではなく現実に戻るべきである。

以上の背景を踏まえ、札幌市はどうすべきか。札幌市よ、目を覚ませ。世界はもう多様性の美辞麗句に酔ってなどいない。米国も欧州も、根拠が曖昧な理想より地に足のついた現実を選び始めている。札幌市が掲げる「国際都市」の看板は、時代に取り残された古臭い幻想だ。

市民の97%が反対しているのに、無理やり条例を押し通すのは傲慢以外の何物でもない。アイデンティティ政治に踊らされ、特定の集団を優遇する暇があるなら、札幌の真の課題に目を向けるべきだ。雪対策、インフラ老朽化、過疎化対応だ。それが市民の生活を支える現実的な道だ。

北海道百年記念塔の解体は、2022年(令和4年)秋ごろから始まり、2023年(令和5年)8月に終了

オリンピック招致のために見栄を張るな。札幌の誇りは多様性の旗振りではない。それは、豪雪と寒さに耐え抜く不屈の精神だ。開拓民が荒野を切り開き、札幌を日本有数の都市に育て上げた歴史だ。時計台や大通公園を生み出した文化の蓄積だ。市民が互いに助け合い、冬の厳しさを乗り越える結束力だ。

それが札幌の本物の魂だ。今からでも遅くはない、共生条例を捨て、周回遅れの「覚醒主義」を廃するべきだ。札幌の誇りを前面に打ち出せ。市民の声を聞き、実直に暮らしを守る市政を取り戻せ。そうすれば、札幌は他の地方自治体の手本となる。時代に流された多様性ごっこより、地域の魂を貫く強さが日本を救うことにもつながる。時代は待ってくれない。

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