2025年3月22日土曜日

中国外相、石破首相と会談 「相互信頼と協力強化を」=報道―【私の論評】安倍の『戦略的互恵関係』とは? 中韓に甘い石破が米豪等と互恵関係を維持するのはなぜ

中国外相、石破首相と会談 「相互信頼と協力強化を」=報道

王毅

訪日中の王毅・中国外相は21日、石破首相と会談し、相互信頼を高め、協力を強化して世界にさらなる安定と確実性をもたらすべきだと伝えた。国営の中国中央テレビ(CCTV)が報じた。

報道によると王毅外相は会談で、日本は二国間関係の政治的・法的基盤を維持し、歴史問題や台湾問題に関する政治的約束を履行すべきだと述べた。

【私の論評】安倍の『戦略的互恵関係』とは? 中韓に甘い石破が米豪等と互恵関係を維持するのはなぜ?

まとめ
  • 安倍晋三は中国との関係を「戦略的互恵関係」と呼び、これは良いことには良いことで、悪いことに悪いことて返すという意味だ。2006年にの胡錦濤との会談ででこれをぶち上げ、経済と交流で「お互い得する道」を目指した。
  • 石破政権は米国やオーストラリア等とは戦略的互恵関係を堅持し、2025年のトランプ会談時の圧力に防衛費増と兵器購入で応じた。親中派石破でも、動かせないほど固い「自由で開かれたインド太平洋戦略」を継承している。
  • 一方中国や韓国には甘い顔を見せる。2024年石破は中国の挑発に経済協力でニヤけ、2023年岸田は韓国尹錫悦の基金に輸出規制緩和で応じた。互恵がグラグラだ。
  • 日本人は中国や韓国の土地を買えないのに、相手は日本の土地を買い漁る。北海道、対馬、沖縄が次々と外国資本に落ち、2025年も止まらない不条理が広がる。
  • 石破政権は互恵を貫けず、ロシアに譲歩し、中国に依存、韓国に迎合。国民の怒りが爆発し、「弱腰」「売国奴」と罵声が飛び交う。安倍の鉄拳が形骸化し、国益が食い潰される
安倍(左)、胡錦濤(右)会談

安倍首相は、中国と日本との関係を「戦略的互恵関係」と呼んでいた。2006年10月、第一次安倍政権で中国に乗り込んだ安倍は、胡錦濤と会談した。日中関係は冷え切っていた。尖閣問題も歴史問題も、火薬庫のようなものだった。それでも安倍は「戦略的互恵関係」をぶち上げた。

経済協力と人の行き来を柱に、「お互い得する道」を切り開くと語った。北京での会談後、対話が動き出した。中国は日本の技術と金を欲しがり、日本は中国市場の大きさ目をつけた。互いに「良いこと」をぶつけ合う形だ。安倍はこれを「砕氷之旅」と呼び、凍った海を壊そうとした。だが、これは甘っちょろい理想、理念ではない。相手が「悪いこと」を仕掛ければ「悪いこと」で返す鉄則が芯にあった。

その魂は今も日本の外交に引き継がれている。石破政権の下でも引き継がれている。「相手が良いことをすれば良いことで返し、悪いことをすれば悪いことで返す」。これが互恵の魂だ。石破政権はこれをどこまで貫けるのか。米国やオーストラリアとの絆は金の糸で結ばれ、親中派と噂される石破ですら動かせないほど強力なものになっている。

一方、中国や韓国には、まるで甘い汁を差し出すような顔がチラつく。「日本人は中国の土地を買えないのに、中国人は日本の土地を好き勝手に買い漁る」。この不条理が目の前に広がる。石破の外交は、安倍の遺志を継ぐフリをしつつ、どこかで何かをかけちがえている。

米国やオーストラリアとの関係は、いまでは黄金の絆だ。2025年2月、日米収納会談でトランプが貿易で日本に挑んできた時、石破は防衛費を増やし、米国製兵器の購入を約束した。オーストラリアとは2024年の「タリスマン・セイバー」で汗と笑顔をぶつけ合った。クアッドの輪は輝きを増し、インドへの円借款も2023年から途切れない。相手が「良いこと」をぶつけてくれば、日本も「良いこと」で返す。これが互恵の真髄だ。「自由で開かれたインド太平洋」は、親中派とされる石破ですら動かせないほど鉄のように固い。


だが、中国や韓国に目をやると、風向きがガラッと変わる。互恵の旗がグラグラだ。中国は尖閣周辺で挑発を繰り返す。さらに、蘇州での日本人学校スクールバス襲撃(6月24日、日本人母子が負傷し、助けた中国人女性が死亡)や、深センでの日本人学校児童刺殺(9月18日、10歳男児が死亡)など、具体的な事例として日本社会に衝撃を与えた。このような状況下の2024年11月の首脳会談で、石破は経済協力をチラつかせてニヤけた。拳を振り上げるどころか、笑顔で握手だ。2025年1月、中国が日本産水産物の規制を少し緩めた。日本は農林水産省をフル回転させ、輸出をガンガン押し込んだ。規制が中途半端でも、日本が先に膝を曲げた。

韓国はどうだ。2023年、尹錫悦が徴用工問題で基金を作った。日本企業は金を出さずに済んだが、歴史問題でまた頭を下げさせられた。2024年3月の日韓首脳会談で、石破が「未来志向」と口にした。韓国の反日教育やデモがうるさいのに、だ。Xでは「日本がまたヘコヘコした」と怒りが噴き出した。これのどこが互恵だ。中国や韓国に甘い顔を見せ、国民の腸を煮えくり返させる。石破の外交は、まるで相手に尻尾を振る犬だ。

土地の話は目を覆う。「日本人は中国の土地を買えない。中国人は日本の土地を自由に買える」。このバカげた現実は、目を覆わんばかりだ。中国は土地を共産党が握っている。日本人が手に入れられるのは、せいぜい50~70年の使用権だ。それすら政府の一声でパーだ。中国人は日本の土地をガッチリ掴む。北海道の水源地が買われ、2023年には沖縄の屋那覇島が中国人の手に落ちた。

2025年もこの流れは止まらない。韓国も似たようなものだ。日本人が韓国で土地を買うには許可がいる。日本では韓国人が対馬を買い漁る。防衛施設の近くまで韓国資本が食い込んでいる。フィリピンもそうだ。外国人は土地を買えない。日本ではフィリピン人が好きに不動産を購入する。ロシアも同じだ。国境近くは買えないが、日本ではロシア人が北海道や東北を押さえている。日本だけが大きく門を開け、相手は鍵をかける。石破はどうする気だ。

互恵が崩れる場面はゴロゴロ転がっている。ロシアとの北方領土交渉は笑いものだ。安倍はプーチンとの会談で約3000億円規模の経済協力を提案し、その一部が実現した。しかしこれによって返ってきたのは北方領土の軍事基地の強化だ。私は、政治家に関しては、是々非々で評価している。安倍氏の評価は私の中では、全体的に高いが、この点は評価できない。その後2022年のウクライナ侵攻で岸田総理は制裁を強めたが、焼け石に水だったといえこれも評価できない。ただし、安倍の中国・韓国に対する互恵関係は評価できるものだった。

韓国への対応も弱い。2018年の徴用工判決、2019年頃から日韓関係が悪化する中で、韓国の一部政治家や市民団体が東京五輪へのボイコットや、GSOMIAが失効を一方的に失効させようとしたため、2019年に日本は輸出管理厳格化し継続した。しかし、2023年に尹錫悦が手を差し伸べると、岸田はすぐ輸出規制を緩めた。中国への依存も酷い。対中輸出は2025年でも輸出全体の20%だ。トヨタは2024年に中国でEV生産を増やした。技術移転を求められても、黙って従う。「悪いことには悪いことで対応する」がどこにもない。

米国やオーストラリアとの絆は輝く。ASEANにも優しい手を差し伸べる。ベトナムやフィリピンが友好を示す。ODAや海上保安支援で返す。2025年もこの流れは続く。だが、中国や韓国にはまるで別人だ。尖閣での挑発に目を瞑り、徴用工で頭を下げる。土地の不均衡も放置だ。石破政権は少数与党でフラフラしている。外交で支持を稼ごうと必死だ。2025年2月のトランプとの会談では、貿易赤字に言い訳を並べた。バランスを取るつもりが、相手に合わせて踊っていいた。

石破政権に国民の怒りが燃え上がる。「戦略的互恵関係」を貫かない姿が、国を売るように国民には見えるのだ。米国やオーストラリアとの絆は素晴らしいが、中国や韓国には甘すぎる。2025年3月の世論調査では、「弱腰」と答えた国民が4割を超えた。Xでは「中国に土地を売り渡す売国奴」「韓国に媚びすぎ」と罵声が飛び交う。安倍が命を懸けた報酬と報復の鉄則が、ボロボロに崩れている。石破の甘さが国益を食い潰す。

ボクシングをする安倍晋三氏 AI生成画像

安倍の「戦略的互恵関係」は、報酬と報復の鉄拳だ。石破政権でもその一部は継承されている。米国やオーストラリアとの黄金の絆、インドやASEANとの協力は形を残す。だが、ロシアへの譲歩、韓国への甘さ、中国への依存がその拳を緩める。土地の不均衡は国民の心に突き刺さる。米国やオーストラリアとの関係は親中派の石破ですら動かせない。中国や韓国には利他的だ。石破政権は互恵を貫けない。

地政学の嵐が吹き荒れる中、日本の足元が揺らぐ。「互恵」を求める声が響く。石破への批判は鋭い。「戦略的互恵関係」を貫かない罪だ。国益が削られ、信頼が崩れる。安倍の遺志は形骸化する。石破政権は、このままでは名ばかりの看板を掲げる亡魂になる。日本を弱らせるとは、何たる失態か。自民党政権の次の手が試される。石破政権は一刻も早く終わらせるべきだ。

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