石破茂首相は15日、首相公邸で会食した当選1回の自民党衆院議員15人に1人10万円分の商品券を配った問題について「(国民の)理解が得られるとは思っていない。ただひたすら誠心誠意努力するしかない」と述べた。視察先の長野県宮田村で記者団に語った。
首相は配布について「公職選挙法にも政治資金規正法にも触れるものではない」と違法性を重ねて否定した上で「法的にどうだという話と、(国民が)納得できるかどうかは全く別のものだと承知している。さらなる努力が必要だと思っている」と述べた。
首相は配布について「公職選挙法にも政治資金規正法にも触れるものではない」と違法性を重ねて否定した上で「法的にどうだという話と、(国民が)納得できるかどうかは全く別のものだと承知している。さらなる努力が必要だと思っている」と述べた。
【私の論評】政治家の辞任劇!トルドー、石破、歴史が教える支持率崩壊の末路
まとめ
- 政治家は国民の支持と信頼が命。それが崩れたら辞めるのが歴史の常道だ。
- 1月6日、カナダのトルドーが首相辞任を発表。9年間進歩的政策を推し進めたが、支持率は22%に急落。経済悪化、移民問題、スキャンダル、党内対立(フリーランドの離反)、トランプの圧力で退場した。
- インフレ、住宅危機、生活費高騰で国民が激怒。移民大量受け入れが裏目に出て、住宅不足と公共サービスの負担増を招いた。
- 英国首相ボールドウィンは1937年、人気絶頂で辞めて保守党を救った。党と国の未来を見据えた賢い選択と称賛された。
- 2024年衆院選大敗、「商品券10万円」騒動で国民と党内の支持を失った石破。自民党が沈む前に、ボールドウィンやトルドーのように自ら退くのが現実的な道だ。
最近では、カナダのジャスティン・トルドーが2025年1月6日に首相と自由党党首の辞任公表。後任が決まりつい最近退いた。彼は2015年に首相に就任し、9年近くカナダを引っ張ってきた。気候変動対策や多文化主義を掲げる進歩的なリーダーとして、世界に名を馳せた。だが、最後は支持率がガタ落ちだ。2024年末の調査では、彼への支持は22%まで下がり、自由党への支持も16%と最低記録を更新した。
辞めた理由は、経済がズタズタだったからだ。インフレが暴走し、住宅価格が跳ね上がり、生活費も高騰。若者や中間層が家を持てないと喚いたのも当然だ。さらに、当初は他国より厳しい条件で移民を受け入れ批判も少なかったが、結果として移民を大量に受け入れたせいで、住宅不足や公共サービスの負担が膨らみ、国民の怒りが爆発した。
2024年12月16日には、副首相兼財務相のクリスティア・フリーランドが突然辞めて、トルドーを厳しく批判。党内での求心力は一気に低下した。フリーランドは、トランプ次期大統領の関税攻勢に備えて財政を締めるべきだと主張した。トランプがカナダ製品に25%の関税をぶちまけると脅してきたから、将来の危機に備えて金を残しておけという話だ。だが、トルドーは減税や国民への小切手配りをゴリ押し。フリーランドはそれを「選挙目当てのバラマキ」と切り捨てた。この衝突は、危機への考え方が真っ向からぶつかった結果だ。
外からの圧力もハンパなかった。2024年11月の米大統領選でトランプが勝ち、2025年1月20日に再就任が決まった。トランプはカナダとの貿易赤字や国境管理、フェンタニルの流入にケチをつけ、関税をチラつかせてきた。11月末の会談でトルドーは国境警備を強化すると約束したが、国内の支持が崩れいて、外交で踏ん張る力は残っていなかった。
トランプは米加首脳会談で「カナダを51番目の州に」と挑発しまくり、辞任表明後においても彼の退場を自分の手柄だともいわんばかりの態度をとった。さらに、スキャンダルの山が彼を潰した。2019年のトルドーが辞めた後、トランプは「カナダを51番目の州に」と挑発しまくり、彼の退場を自分の手柄だともいわんばかりの態度をとった。さらに、スキャンダルの山が彼を潰した。2019年のSNC-ラヴァラン事件じゃ司法介入がバレて大騒ぎ。「ブラウンフェイス」写真が掘り起こされて、人種問題で袋叩きだ。これで「進歩的リーダー」の看板はズタズタになった。
トルドーの辞任はカナダだけではなく、世界に波紋を広げる。G7のリベラルな旗手だったトルドーが消えたのだ。気候変動や多文化主義を推す勢力は大打撃だ。逆に、トランプとの交渉を控え、カナダがアメリカに寄る路線に変わるかもしれない。彼の時代は夢見るビジョンで始まり、現実の壁にぶち当たって終わった。彼の功罪は、これからカナダ政治で議論されるだろう。
政治家が党や国の未来を見据えて身を引くのは、歴史的に賢い選択だ。イギリスのスタンリー・ボールドウィンは1920-30年代に保守党を引っ張り、3度首相になった。1937年5月28日、エドワード8世の退位騒動を片付けた後、人気絶頂で辞めた。党内では不満やナチス対応での対立が燻ってたが、後継者のネヴィル・チェンバレンにバトンを渡して分裂を防いだ。この見事なタイミングが党を救ったと讃えられている。トルドーも、新リーダーで自由党が立ち直れば「党を救った」と後で言われるかもしれない。だが、今は保守党がリードで、再生は怪しい。彼の決断の値打ちは、これからはっきりするだろう。
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スタンリー・ボールドウィン |
同じように、日本の石破茂首相も辞めるのが現実的な道だ。2024年10月の衆院選で自民党が大敗し、与党が過半数を失ったのに居座っている。国民から見放されたのは明らかだ。今回の商品券騒動では、「国民は納得しない」と認めながら続投するつもりのようだ。党内では「石破おろし」が燃え上がり、歴史的には支持を失ったリーダー(例:1994年の羽田孜内閣は64日で崩壊)が辞める例は山ほどある。このまま突っ走れば、自民党全体が沈む。ボールドウィンやトルドーのように、党を優先して自ら退くのが、今の石破に残された賢い一手だ。
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