まとめ
- 国民民主党の支持率が12%に上昇し、野党第1党の立憲民主党(6%)を上回る。
- 「年収103万円の壁」見直し協議は不調に終わるも、手取り増にこだわる姿勢が支持を集め、石破内閣への不満の受け皿に。
- 政策成果は乏しく党内課題が浮上する中、自民党は支持率31%と低迷し、国民感覚との乖離が指摘される。
国民民主党の支持率が堅調で、読売新聞の世論調査では12%となり、野党第1党の立憲民主党(6%)を上回った。「年収103万円の壁」見直しを巡る与党との協議は不調に終わったが、手取りを増やす政策にこだわる姿勢が支持を集めたとされる。
玉木代表は「石破内閣への不満の受け皿になっている」と手応えを感じており、支持率上昇の要因として妥協しない姿勢を挙げた。参院選の比例投票先でも17%で立民を上回る一方、政策成果が乏しく、党内ガバナンスの課題も浮上している。自民党は石破内閣の支持率が31%と最低を記録し、国民感覚との乖離が指摘されている。
【私の論評】国民民主党支持率急上昇の要因!「まずは経済」が世界の常識、アベノミックスの根幹
まとめ
- 国民民主党の支持率が急上昇し、2025年3月で12%、特に若者(18~39歳)で30%を記録。経済を重視する有権者の支持が背景にある。
- 「まずは経済だ」は世界の常識で、アメリカ(クリントン勝利)、ヨーロッパ(ギリシャ危機)、中国(改革開放)の歴史が証明。経済が悪化すれば国民は黙らない。
- アベノミクスは雇用を改善(有効求人倍率0.82倍→1.6倍超、失業率4.3%→2.4%)。安倍政権が憲政史上最長となったのは、第一次の失敗を反省し経済を立て直したから。
- 今の物価高や手取り減少は岸田・石破政権の対応の遅さが原因。安倍・菅政権の100兆円コロナ対策で景気は保たれていたが、現在は国民の不満が爆発。
- 国民民主党は「103万円の壁」見直し(178万円主張→123万円決定)や「手取り増やす」政策で支持を集める。過去の野党と違い、具体策が支持の鍵だ。
世界を見渡せば、経済が政治の命綱だと分かる。1992年、アメリカ大統領選では、ビル・クリントンが「経済だ、馬鹿野郎!」("It’s the economy, stupid!")とぶち上げ、ブッシュを倒した。冷戦終結で威張っていたブッシュだったが、景気後退で失業率が7.8%まで跳ね上がった。クリントンは雇用と経済成長をガンガン訴え、勝利を掴んだ。このときには、オハイオ州の工場労働者が「仕事がなくなって家賃も払えない。クリントンなら何かやってくれる」とテレビで語り、視聴者の胸を打った。経済が悪ければ、国民は黙ってはいない。
ヨーロッパでも同じだ。2010年代のユーロ危機で、ギリシャはGDPが25%も落ち込み、失業率は27%に達した。国民は暴動を起こし、政府は吹っ飛んだ。ドイツのメルケルは経済支援を条件に緊縮策を押し付けたが、ギリシャ人は「仕事がないのに税金だけ取るのか」と怒り狂った。アテネのタクシー運転手が「毎日客が減って、家族を養えない」と嘆く姿がBBCで流れた。経済が崩れれば、国が崩れる。これが現実だ。
中国だって経済だ。鄧小平が「貧乏は社会主義じゃない」と言い放ち、改革開放をぶち上げた。1980年代からGDPは年平均9%以上で伸び、2010年には日本を抜いて世界2位だ。農村の貧乏人が都市で仕事を得て、「腹が減らなくなった」と笑う姿がドキュメンタリーで映された。経済が国民を食わせる。それが共産党の権力の源だ。経済が止まれば、習近平だって危ない。
日本でも歴史が証明する。アベノミクスだ。2012年末から「金融緩和」「財政出動」「成長戦略」の3本の矢で経済を引っ張った。厚生労働省のデータでは、有効求人倍率が2012年の0.82倍から2019年には1.6倍超に、失業率は4.3%から2.4%に下がった。安倍政権は2012年から2020年まで続き、憲政史上最長だ。なぜそんなに続いたのか。まずは経済、特に雇用を良くしたからだ。第一次安倍政権で失敗した安倍首相が、それを真摯に反省し、二度目は雇用を立て直すことに命をかけた。経済が動けば、国民は支持する。
だが、今はどうだ。雇用は悪くない。総務省の2025年1月データで失業率2.5%、求人倍率1.3倍と堅調だ。仕事はある。なのに、物価は上がる一方で、賃金は追いつかず、手取りが減る。総務省の2024年家計調査では、実質家計消費が前年比2.1%も落ち、インフレが賃金を食った。岸田・石破政権の対応がヘタクソだからだ。安倍・菅政権ではコロナ対策に合計100兆円の補正予算を組んだ。これにより、日本は失業率が高まることはなかった。岸田政権初期まではその余波により景気が良かった。だが、物価高への対策が遅すぎて、国民の不満が爆発している。これに対応するには、すぐに積極財や金融緩和策をすれば良いだけなのだ。特に減税はすぐに効果が期待できる。しかし、財務省はこれを徹底阻止する。
ここで国民民主党が光る。「年収103万円の壁」の見直しだ。与党が160万円をチンタラ提案してきたのに対し、国民民主党は178万円を強力に主張し通した。2025年度税制改正で123万円に落ち着いたが、玉木雄一郎の言葉が響く。「仕事があっても手取りが減ったら意味がない」。これが国民の胸に刺さった。過去の野党は減税を叫んだが、具体策ゼロで選挙前の口先だけだった。国民民主党は違う。「手取りを増やす」と実質的な減税策をぶち上げた。これが支持を呼んだのだ。
若者も目を覚ました。仕事があっても物価高に追いつかず、将来が不安だ。国民民主党の「減税」や「扶養控除の維持」は現実的な救いだ。石破内閣の支持率は2025年3月で31%とズルズル下がる。物価高への対応がトロいと国民は怒っている。一方、国民民主党は「ガソリン税減税」や「所得税非課税枠の拡大」で攻める。差は歴然だ。
「まずは経済だ」は世界の常識だ。アメリカ、ヨーロッパ、中国、日本の歴史がそれを証明する。今の物価高や手取り減少は、岸田・石破政権のグズグズ対応が元凶だ。国民民主党の躍進は、雇用をキープしつつ経済の苦しさをぶっ飛ばす政策への期待だ。世論調査、「103万円の壁」への反応、若者の支持、パート女性や飲食店経営者の声がそれを裏付ける。結論だ。経済が国民を動かし、政治を動かす。これが真実だ。
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