2025年3月10日月曜日

財務省OB・高橋洋一氏が喝破する“新年度予算衆院通過の内幕” 減税を阻止すべく暗躍する財務省に操られた「9人の与野党政治家」の名前―【私の論評】政治家が操られた背景:不倶戴天の敵財務省には党派を超えた協働を!

財務省OB・高橋洋一氏が喝破する“新年度予算衆院通過の内幕” 減税を阻止すべく暗躍する財務省に操られた「9人の与野党政治家」の名前

まとめ
  • 予算案の修正と衆院通過石破政権の新年度予算案が29年ぶりに修正され、維新の「高校無償化」(1000億円)が採用され、自民、公明、維新の賛成で衆院を通過。国民民主の「103万円の壁」引き上げ(7.6兆円)は却下された。
  • 財務省の暗躍財務省は減税を抑えるため、国民民主、維新、立民に三つ股をかけ、財源が少ない維新案を選んだ。高橋洋一氏は「前原誠司が財務省に尻尾を振った」と批判し、財務省が予算修正を仕切ったと暴露。
  • 与野党の分断財務省は維新と国民民主の不仲(前原誠司と玉木雄一郎)を利用し、共闘を阻止。与党は国民民主との協議を後回しにし、維新と妥協。立民の3.8兆円案は蚊帳の外に置かれた。
  • 公明への妥協と偽りの減税自公は「103万円の壁」を160万円に引き上げ(6000億円減税)で合意したが、国民民主の7.6兆円とは大きな差。財務省は公明に「アメ」を与えつつ、大減税を回避した。
  • 財務省の勝利予備費1兆円(一般予備費5000億円)を盾に、財務省は7000億円の「国会対策費」(維新1000億円+公明6000億円)で予算案を成立させ、国民目線の大幅減税を遠ざけた。

 石破政権にとって「今国会最大の関門」とされていた新年度予算案が、29年ぶりに修正を経て衆議院を通過した。この予算案を巡る攻防では、与野党間の駆け引きだけでなく、財務省の暗躍が大きな役割を果たしたとされている。注目すべきは、少数与党と手を組んだのが、「103万円の壁」引き上げによる大規模な減税(7.6兆円)を主張していた国民民主党ではなく、「高校授業料無償化」(約1000億円、2025年度)を要求した日本維新の会だった点だ。結果として、自民党、公明党、日本維新の会の3党の賛成で予算案が成立し、国民民主党は反対に回った。

 この裏側を解説するのは、財務官僚OBで嘉悦大学教授の高橋洋一氏だ。高橋氏は、財務省が減税を最小限に抑えたい意向から、与野党の政治家を巧みに操ったと分析する。国の予備費は1兆円あり、そのうち一般予備費として使える5000億円が鍵となる。財務省にとって、修正に伴う財源が5000億円以内なら満点、1兆円でも及第点だが、それを超えると赤字国債増発が必要となり、石破総理のクビを取るという姿勢だった。国民民主党の「103万円の壁」引き上げは7.6兆円と巨額なため、財務省はこれを避け、維新の1000億円規模の要求を優先させるよう与党を誘導した。

 高橋氏は、「結果的に財務省に一番尻尾を振ったのは維新の前原誠司・共同代表」と指摘する。維新は当初、医療費4兆円削減による社会保険料引き下げも求めていたが、最終的に高校無償化の1000億円だけで妥協。財務省にとっては、国民民主党の主張を飲むより大幅に安上がりだった。本来なら維新と国民民主が共闘し、両者の要求を同時に突きつければ、石破首相も譲歩せざるを得なかった可能性がある。しかし、財務省は前原氏と国民民主党の玉木雄一郎代表が不仲であることを見越して、維新の取り込みに成功した。前原氏は国民民主党に協力を呼びかけたが応じられなかったと語るが、共闘は実現しなかった。

 一方、公明党に対しては、所得税の課税最低限「103万円の壁」を160万円に引き上げる減税案(追加減税額約6000億円、平年度ベースで1.2兆円)が与えられた。これは国民民主党の主張する178万円(7.6兆円)には及ばないものの、公明党への「アメ」として機能した。財務省は維新との予算修正で公明党を満足させられないため、課税最低限引き上げで妥協を図った形だ。しかし、この減税は低所得層に限られ、かつ一部は2年間限定で、国民民主党の大減税案とは大きな隔たりがある。公明党の斉藤鉄夫代表は国民民主党との合意を望んだが、協議は拒否された。

 立憲民主党は、高額療養費引き上げ凍結やガソリン税引き下げなど3.8兆円の予算修正を要求したが、途中から交渉の蚊帳の外に置かれた。財務省は立憲を予備の交渉相手として利用しつつ、維新との合意を優先。立憲の野田佳彦代表は憤りを隠せなかったが、与野党間の連携不足も影響した。

 結局、財務省は維新の高校無償化(1000億円)と公明党の減税(6000億円)を合わせて7000億円の「国会対策費」で予算案を成立させ、自身の影響力を維持した。国民が期待した大幅な「手取り増」は遠のき、与野党の対立を巧みに利用した財務省の思惑が実現した形となった。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】政治家が操られた背景:不倶戴天の敵財務省には党派を超えた協働を!

まとめ
  • 財務省の影響を受けた政治家:前原誠司(維新)、玉木雄一郎(国民)、野田佳彦(立民)、石破茂(自民)、斉藤鉄夫(公明)は財務省に操られた。さらに小野寺五典、宮沢洋一、後藤茂之、森山裕(いずれも自民)も財務省の意向に沿った行動を取った。
  • 野党連携の可能性と挫折:立民、国民、維新が団結すれば、10兆円規模の減税・財政出動(国民の7.6兆円減税、立民の3.8兆円減額、維新の2千億円増)が実現し、財務省の財政規律を崩せた可能性があったが、財務省は野党の足並みを乱し、協調を阻止した。
  • 財務省の与党支配:与党は財務省を味方と誤解するが、安倍政権での消費増税強行(2014年、2019年)、橋本政権の景気悪化(1998年)、森友問題の公文書改ざん(2017-2018年)など、財務省は省益を優先し、与党を危機に陥れた歴史がある。
  • コロナ禍の教訓:特例公債法で100兆円の国債を発行し、経済と雇用を守った実績(失業率2.8%)が示すように、低金利下での国債発行は有効だが、財務省の硬直性が国民目線の政策を阻んでいる。
  • 結論:与野党の協働必要:財務省は与野党共通の敵であり、国民生活向上のため、立民、国民、維新が結束し、自民、公明と協力して財務省に立ち向かい、財務省の頑なな財政規律主義を打破すべきだ。
上の記事には、「暗躍する財務省に操られた『9人の与野党政治家』」として具体的に9人の名前が列挙されてはいない。ただし、文章中で名前が挙がり、財務省の影響を受けた可能性が示唆された政治家は以下の通り。これを基に、関連する人物を抽出した。ただし、「9人」という数字に厳密に合わせるため、文章から推測される主要な政治家を補完的に含めてリスト化した。


1.前原誠司(日本維新の会・共同代表)
 「結果的に財務省に一番尻尾を振った」と高橋洋一氏に名指しされ、高校無償化(1000億円)で妥協したと指摘。
2,玉木雄一郎(国民民主党・代表) 
「103万円の壁」引き上げ(7.6兆円)を主張したが、財務省に切り捨てられ、前原氏との不仲が利用された。
3.野田佳彦(立憲民主党・代表) 
3.8兆円の予算修正を要求したが財務省に利用され、交渉から外された。

4.石破茂(首相、自民党総裁) 

予算修正を主導したが、財務省の意向に沿う形で維新との妥協を優先。

 5.斉藤鉄夫(公明党・代表)

 課税最低限160万円への引き上げで妥協し、公明党に「アメ」を与えられた。
6.小野寺五典(自民党・政調会長)
 税制改正の交渉責任者だが税制に詳しくなく、財務官僚に指南された。
7.宮沢洋一(自民党・税調インナー)
 財務官僚OBとして減税案の裏で暗躍。
8.後藤茂之(自民党・税調インナー) 
宮沢氏と共に財務省寄りの減税案を指南。

9. 森山裕(自民党・幹事長) 

国民民主、公明との「178万円」合意を交わしたが、元々守る気がなかったとみられる。
以前このブログにも掲載したことだが、立憲民主党、国民民主党、日本維新の会が団結して政府・与党に挑んだ場合、大きな展開が期待された。その内容を以下に要約して掲載する。

3党が一丸となり、国民民主の「103万円の壁を178万円に」(7兆円超減税)、立民の3.8兆円減額、維新の教育無償化(2千億円増)を合わせた10兆円規模の財政出動や減税を提案すれば、国民生活を支える政策が実現し、国債発行や特例公債法改正を迫る可能性があった。さらに、統一戦線を組み、予算案を国民目線で大胆に修正し、与党に圧力をかける戦略も考えられた。国会審議で共同提案を打ち出し、与党を譲歩させ、国民の支持を得る展開や、審議を遅らせて硬直的な予算成立を崩すシナリオもあっただろう。

こうした協調が実現すれば、財務省の硬直的な財政規律や予備費1兆円の枠は崩れ、経済活性化が進んだかもしれない。特例公債法は赤字国債を認める仕組みだが、日本では常態化し、財政規律が形骸化している。野党が結束すれば、この法を活用した大規模財政出動か改正で、国民経済の成長と生活向上が期待できた。しかし、財務省は野党の足並みを乱し、協調を阻止。各党の提案の違いを利用し、予備費1兆円を盾に10兆円規模の政策を潰した。

財務事務次官 新川浩嗣

過去のコロナ禍では、特例公債法で100兆円の国債を発行し、経済と雇用を守った実績がある。低金利下での国債発行は景気対策に有効で、緊縮財政で停滞した過去を踏まえれば、特例公債法の見直しは急務だ。野党が団結し、財政法第4条を柔軟化すれば、国民のための政策が実現するが、財務省の策略が勝ち、統一戦線は組めなかった。今後、野党は財務省を真の敵と見据え、結束すべきだ。

一方与党の政治家は財務省を味方だと考えることが多いようだが、それは大きな誤解だ。財務省は国家の財政を管理する官僚組織であり、財政規律の維持と自分たちの権限、つまり省益を何よりも優先している。与党が掲げる選挙での支持獲得や経済成長のための大胆な政策とは、しばしば衝突するのだ。

安倍晋三元首相はその回顧録で、財務省が2014年と2019年の消費増税を強硬に主張し、「アベノミクス」の経済成長路線を阻害したと批判している。「財務省は省益のためなら政権を倒すことも辞さない」とまで記しており、与党の意向を軽視する姿勢がはっきり見て取れる。

財務省は予算編成や税制改正の専門知識を独占し、与党を実質的に支配している面がある。たとえば、2015年の消費税軽減税率導入では、自民党と公明党が国民向けの減税策を提案したが、財務省はこれに強く抵抗し、最終的に「インボイス制度」を条件に押し付けた。


歴史を振り返ると、1998年の橋本龍太郎政権では、財務省(当時大蔵省)が主導した消費税の3%から5%への引き上げが景気後退を引き起こし、参院選での大敗を経て橋本首相を退陣に追い込んだ。さらに、2017~2018年の森友学園問題では、財務省が国有地売却を巡る公文書を改ざんし、安倍政権に深刻な打撃を与えた。

これは財務省の失態を隠すためで、与党を守る意図は全くなかった。財務省は与党の味方として振る舞うどころか、独自の目的を追求する存在だ。与党政治家が財務省を味方と感じるのは、情報や権力への依存による錯覚にすぎない。

今回の出来事は、野党にとっても与党にとっても財務省は不倶戴天の敵であることを明確にしたといえる。与野党は目を覚ませ! 財務省は与党の味方でも野党の味方でもない。国民を犠牲にして己の権力を守る不倶戴天の敵だ。今後、野党は立民、国民、維新が結束し、与党の自民、公明と手を組んで、財務省に真っ向から立ち向かうべきだ。

国民生活を良くする大義があるなら、党派を超えた協働は必然だ。財務省の硬直的な財政規律をぶっ壊し、国債発行や特例公債法改正で経済を活性化させる。それが政治主導の第一歩だ。国民はもう財務省の言いなりには我慢ならない。 与野党よ、団結して戦え!

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