【私の論評】国債の真実を暴く!経済成長を導く力と政治の過ち
まとめ
- 国債の本質:国債は借金ではなく、経済を支える資産。英国のナポレオン戦争国債、日露戦争の外債、日本の戦時国債(1941~45年、約400億円)、コロナ対策国債(2020~21年、約100兆円)は、借り換えと経済成長で負担を軽減し、経済の血流として機能。
- 歴史と現代の証明:英国は200年以上ナポレオン戦争国債を返済せず大国を維持。日本は高度経済成長(1950~60年代、名目GDP年10%以上)で戦時国債を、2023~25年の成長(年3~4%)でコロナ国債を管理。短期の経済停滞は避けられないが、長期成長で吸収できる。
- 政治の過ち:短期のGDP鈍化や財政赤字を恐れ、国債発行を縛る政治家が経済を窒息。2023~25年の予算編成で財政健全化優先、インフラ投資不足。企業経営なら破綻の視野狭窄な指導者は、選挙で排除すべき。
- 企業と国の対比:企業は借り換え失敗で破滅(例:エルピーダメモリ2012年破綻、負債4500億円;そごう2000年民事再生、負債6300億円)。政府は円建て国債でデフォルトリスクゼロ、2025年も負債はあるが資産もあり低金利と国内信任で安定。
- 結論:「赤字国債」の呼称は誤解を招き、経済を縛る。国債は企業が借入で飛躍するように、国家の成長を導く。短期志向を捨て、賢明な国債活用で未来を切り開くべき。
上の記事など読むと、多くの政治家や官僚は、国債の本質を理解していなようなので、暗澹たる気持ちになる。消費税減税は結構だが、その財源として国債を発行することが、あたかも禁じ手であるかのような発言である。日本では、他国では当たり前なのに国債を発行することが、「清水の舞台から飛び降りる」ようなとてつもないことのように見なされるようになってしまっている。
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ナポレオン戦争(1796年から1815年)において、英国はフランスを倒すための連合軍の一員として重要な役割を果たした。絵は、ナポレオン戦争における、イングランドとスコットランド軍。 |
コロナ対策、日露、大東亜戦争の戦時国債、企業で普通に行われている借り換えを事例として「赤字国債」の誤解を解き明かし、国債の本質を明らかにする。借り換えに失敗すれば、民間企業は倒産で終わるが、政府はそうならない。この違いが、国債の力を際立たせる。経済の波は当然だ。短期の停滞を恐れ、国債発行を縛る政治家は、国家の方向性を誤り、企業経営すら危うい。そんな指導者は国民の手で排除すべきだ。
国債は借り換えと成長で動く。英国は19世紀初頭のナポレオン戦争で発行した国債を、200年以上経ても全額返済していない。新たな国債で満期を返し、産業革命以降の経済拡大で負担を軽減した。
最近の例は安倍・菅政権だ。2020~2021年のコロナ対策で、両政権合計で、約100兆円の補正予算が国債で賄われた。満期国債は新発行で借り換えられ、2025年、国内投資家(日銀や金融機関)が国債の9割を保有し、市場は盤石だ。名目GDPの成長(2023~2025年、年3~4%推定)が債務負担(債務残高÷GDP比)を軽くする。経済の好不況は避けられない。日本の1960年代以降の名目成長(平均3~5%)は、リーマンショック(2008年)やコロナ禍(2020年、GDP4.5%減)の短期鈍化を吸収した。短期の停滞を恐れ、国債発行や投資をためらえば、経済は縮こまる。
だが、「赤字国債」という呼称が誤解を招く。国債は政府の資金調達であり、需要喚起や安全資産の役割を持つ。「赤字国債」は「財政の失敗」のイメージを押しつけ、成長や借り換えの力を隠す。戦時国債もコロナ対策国債も、経済を支えた。この誤解が、財政規律を過度に求める政治を煽る。2025年、負債はあるが、それは先日の当ブログでも説明したように、資産を加味したり、統合政府ベースで見れば、さほどではない。コロナ対策国債は国内の信任、日銀の金融政策(2023~2025年緩和的)、低金利(10年国債利回り0.5~1%)で問題なく借り換えられる。2023年度の利払い負担は約10兆円(歳出10%)、税収は70兆円超だ。円建て国債は日銀の通貨供給でデフォルトリスクゼロ。国債の95%以上が国内消化され、市場は揺るがない。
企業と国:借り換えの成功と失敗の分岐点
だが、借り換え戦略を怠る企業は破滅する。例として、半導体メーカーのエルピーダメモリだ。2000年代に世界シェアを誇ったが、2008年のリーマンショックで市場が縮小。巨額の借入金を抱え、借り換えや新たな融資を確保できず、2012年に破綻。負債総額は約4500億円。資金繰りが悪化し、信用が崩壊した。もう一つの例は、老舗百貨店のそごうだ。2000年、過剰な店舗投資による借入が重荷となり、借り換えに失敗。約6300億円の負債を抱え、民事再生法を申請。地域経済に打撃を与えた。借り換えの失敗は、資金枯渇、信用崩壊、破産への一本道だ。
結論:国債を恐れず、未来を掴め
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国債と経済成長:歴史と現代の証明
国債は借り換えと成長で動く。英国は19世紀初頭のナポレオン戦争で発行した国債を、200年以上経ても全額返済していない。新たな国債で満期を返し、産業革命以降の経済拡大で負担を軽減した。
日本も同じだ。日本が日露戦争(1904~1905年)で発行した外債の負債を完済したのは、1986年(昭和61年)とされている。具体的には、戦費調達のために発行された外債(主にイギリスやアメリカで発行されたもの)が長期間にわたり償還され、最終的に1980年代中盤にすべての関連債務が清算された。
大東亜戦争(1941~1945年)の戦費は、約400億円(当時、現在の数兆円規模)の国債で賄われた。戦後の混乱期でも即時返済せず、借り換えで対応。高度経済成長期(1950~60年代、名目GDP年平均10%以上)の爆発的成長で、戦時国債の負担は経済規模に対し微々たるものに。2025年現在、戦時国債の残高はほぼ消滅だ。
最近の例は安倍・菅政権だ。2020~2021年のコロナ対策で、両政権合計で、約100兆円の補正予算が国債で賄われた。満期国債は新発行で借り換えられ、2025年、国内投資家(日銀や金融機関)が国債の9割を保有し、市場は盤石だ。名目GDPの成長(2023~2025年、年3~4%推定)が債務負担(債務残高÷GDP比)を軽くする。経済の好不況は避けられない。日本の1960年代以降の名目成長(平均3~5%)は、リーマンショック(2008年)やコロナ禍(2020年、GDP4.5%減)の短期鈍化を吸収した。短期の停滞を恐れ、国債発行や投資をためらえば、経済は縮こまる。
国債の力と政治の過ち:資産か、誤解か
国債は政府の負債だが、民間や日銀の資産だ。コロナ対策国債は、国内投資家の需要を支えた。戦時国債も、日露戦争の時は、多くを米英が購入、大東亜戦争の時は、大部分を国民や金融機関が購入し、戦時経済を動かした。日銀の金融政策(戦後の復興金融金庫、現代の量的緩和)が低金利を維持し、借り換えをスムーズにする。
コロナ対策の100兆円は、特別定額給付金(1人10万円)や事業者支援で経済の急落を防ぎ、2020~2021年のGDP減少を4.5%に抑えた(米国は8%減)。これが2022~2023年の税収増(70兆円超、過去最高)につながった。戦時国債は戦後復興のインフラ投資を支え、経済再建の土台を築いた。国債は経済の血流だ。需要を呼び、成長を導く。
だが、「赤字国債」という呼称が誤解を招く。国債は政府の資金調達であり、需要喚起や安全資産の役割を持つ。「赤字国債」は「財政の失敗」のイメージを押しつけ、成長や借り換えの力を隠す。戦時国債もコロナ対策国債も、経済を支えた。この誤解が、財政規律を過度に求める政治を煽る。2025年、負債はあるが、それは先日の当ブログでも説明したように、資産を加味したり、統合政府ベースで見れば、さほどではない。コロナ対策国債は国内の信任、日銀の金融政策(2023~2025年緩和的)、低金利(10年国債利回り0.5~1%)で問題なく借り換えられる。2023年度の利払い負担は約10兆円(歳出10%)、税収は70兆円超だ。円建て国債は日銀の通貨供給でデフォルトリスクゼロ。国債の95%以上が国内消化され、市場は揺るがない。
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新川財務次官 |
問題は政治だ。短期のGDP鈍化や赤字を恐れ、国債発行を縛る政治家や官僚が経済を窒息させる。2023~2025年の予算編成では、財務省の財政健全化目標(プライマリーバランス黒字化)が幅を利かせ、インフラやデジタル化への投資が不足。経済同友会やエコノミストが警鐘を鳴らす。こんな政治家は、企業経営なら即破綻だ。短期赤字を恐れず、借入で成長を追うのが経営の常識。国家も同じだ。視野の狭い指導者は国民の未来を奪う。選挙で叩き出すべきだ。
企業と国:借り換えの成功と失敗の分岐点
企業は借入で成長する。満期社債を新発行で返し、収益拡大で債務を軽くする。国も同じだ。コロナ対策国債や戦時国債は、満期ごとに借り換えられ、成長で管理される。企業が借入を投資に変え、市場を切り開くように、国債は経済の「緊急投資」だ。コロナ禍での雇用維持、戦時での経済基盤維持は、国債の力による。
だが、借り換え戦略を怠る企業は破滅する。例として、半導体メーカーのエルピーダメモリだ。2000年代に世界シェアを誇ったが、2008年のリーマンショックで市場が縮小。巨額の借入金を抱え、借り換えや新たな融資を確保できず、2012年に破綻。負債総額は約4500億円。資金繰りが悪化し、信用が崩壊した。もう一つの例は、老舗百貨店のそごうだ。2000年、過剰な店舗投資による借入が重荷となり、借り換えに失敗。約6300億円の負債を抱え、民事再生法を申請。地域経済に打撃を与えた。借り換えの失敗は、資金枯渇、信用崩壊、破産への一本道だ。
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2020年8月末閉店したそごう徳島店 |
企業が借り換えに失敗すれば、倒産で終わる。だが、政府はそうならない。日露戦争の時発行した外債は主に米英が購入したが、それでも長期にわたって返済することで債務を軽減することができたが、デフォルトのリスクはあった。しかし、円建て国債は日銀の通貨供給でデフォルトリスクがゼロだ。市場の信任を一時的に失っても、新たな国債発行や日銀の買い入れでしのげる。
この「破綻しない」性質が、国債の力を際立たせる。政府の債務は、経済成長や低金利で管理されているが、短期の停滞を過度に恐れず、賢明に国債を発行し続けることで、経済は安定を保つ。企業なら倒産で清算されるが、政府は通貨発行権と国内投資家の信任で、経済の舵取りを続けられる。政治家は、この強みを最大限に活かし、長期的な成長戦略を追求すべきだ。そうしなければ、政府は倒産しないので、逆に国民を長期にわたって苦しめ続けることになる。
結論:国債を恐れず、未来を掴め
英国のナポレオン戦争、日本の戦時国債、コロナ対策国債は、国債の真実を教えてくれる。借り換えと経済成長で、巨額債務は管理される。日露戦争の外債は、長期にわたる返済と、日本の経済成長で消え、大東亜戦争の戦時国債は高度経済成長で消え、コロナ対策国債は税収増と低金利で問題なし。企業が借り換えに失敗すれば、エルピーダやそごうのように破綻だ。政府は破綻しない。この強みが、経済を支える。英国が、戦費を借り換えなしに早急に返済していたとしたら、今頃英国という国はなかったかもしれない。日本も同じだ。
「赤字国債」の呼称は誤解を招き、経済を縛る。短期志向の政治家や官僚は、国家の行く末を見誤り。企業経営すらできない。こんな大馬鹿者は国民の手で排除すべきだ。国債は経済の命綱だ。止めたら国が死ぬ!。企業が借入、借り換えで飛躍するように、国家は国債で成長を掴む。このブログでは、経済の動態と長期視点の力を訴えてきた。日本は国債発行を恐れず、未来を切り開くべきだ。
「赤字国債」の呼称は誤解を招き、経済を縛る。短期志向の政治家や官僚は、国家の行く末を見誤り。企業経営すらできない。こんな大馬鹿者は国民の手で排除すべきだ。国債は経済の命綱だ。止めたら国が死ぬ!。企業が借入、借り換えで飛躍するように、国家は国債で成長を掴む。このブログでは、経済の動態と長期視点の力を訴えてきた。日本は国債発行を恐れず、未来を切り開くべきだ。
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安倍元首相「日銀は政府の子会社」発言は完全に正しい…批判するマスコミと野党は無知―【私の論評】「政府の借金」という言葉は間違いだが「政府の小会社」は、政府と日銀の関係を適切に表している 2022年5月13日
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