2025年5月20日火曜日

高橋洋一氏 物価高対策「今でしょ」 与党が秋に補正予算検討 立民は石破政権の延命に協力—【私の論評】経済危機を救う補正予算の力! 石破政権の減税拒否が日本を沈める

高橋洋一氏 物価高対策「今でしょ」 与党が秋に補正予算検討 立民は石破政権の延命に協力

まとめ

  • 補正予算の先送り: 自民・公明は物価高対策の2025年度補正予算案を秋の臨時国会で検討。今国会(~6月22日)で対応すべきなのに、参院選狙いで先送り。物価指数(総合3.6%、コアコア1.6%、食料品7.4%など)高騰で消費税軽減が必要。
  • 与党と財務省の影響: 財務省の減税反対で消費税軽減せず、補正予算を今国会で出さない。予備費対応は参院選向けの戦略。
  • 野党の消極姿勢: 立憲民主党は不信任案を出さず石破政権に協力。両党の思惑一致で同時選挙回避、自民・立民ともに有利な状況を優先。
石橋首相

自民・公明両党は13日、物価高やトランプ米政権の高関税に対応するため、2025年度補正予算案を秋の臨時国会で検討すると合意。しかし、現在開催中の第217回国会(1月24日~6月22日)で十分に対応可能であり、物価高対策を今行うべき。3月の消費者物価指数は総合3.6%、生鮮食品を除く総合3.2%、基調を示す米国版コア(食料(酒類除く)・エネルギーを除く総合、いわゆるコアコアCPI)1.6%、食料品7.4%、エネルギー6.6%と高騰。

食料品の消費税軽減税率を8%から0%にすれば効果的だが、財務省の減税反対で政府は動かず、補正予算を先送り。参院選を意識した与党の戦略に加え、立憲民主党が内閣不信任案を出さず石破政権に協力的な姿勢を見せる。結果、衆参同時選挙の可能性が消え、自民は損失を抑え、立民は国民民主の台頭を防ぐ思惑が一致。与党が補正予算を避け、野党が不信任案を出さない状況が続く。

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【私の論評】経済危機を救う補正予算の力! 石破政権の減税拒否が日本を沈める

まとめ
  • 補正予算の重要性:経済危機を乗り切るには迅速な補正予算が不可欠。コロナ禍(2020年、57.6兆円)と阪神淡路大震災(1995年、3.2兆円)の成功事例は、雇用維持(失業率2.9%、3.2%)と生産回復を示す。
  • マクロ経済の基本:需要と供給のバランスが生産、物価、失業率を動かす。需要増で生産と雇用が上がり、物価も上昇。需要減では逆。
  • フィリップス曲線:物価と失業率の関係。失業率が低いと賃金と物価が上がり、高いと物価は上がらない。コロナと阪神は労働市場の余裕で物価下落(CPI-0.4%、-0.1%)。
  • 現在の物価高:2025年3月、CPI3.6%(食料品7.4%)は供給ショック(高関税、エネルギー高)が原因。消費税0%化で消費を増やし、失業率上昇(2.6~3.0%から3.5%)を防げる。
  • 石破首相の誤り:2025年5月19日、減税を「金利の恐ろしさ」で拒否(ロイター)。マクロ経済やフィリップス曲線を理解せず、財務省に従い、ギリシャの特殊事情を無視。政権の継続は国民と自民党に有害。
迅速に補正予算を組むことは、経済危機を乗り切る生命線だ。過去の成功事例からその力を学び、現在の物価高(2025年3月、CPI3.6%、食料品7.4%、エネルギー6.6%)に立ち向かう道を探る。だが、その前に、マクロ経済とフィリップス曲線の基本を押さえておく必要がある。経済の仕組みを認識すれば、石破茂首相の減税反対の愚かさが浮き彫りになる。


マクロ経済は、国の経済を大きく見る視点だ。GDP(生産)、物価、失業率、金利が絡み合い、需要と供給のバランスで動く。需要が強ければ、生産が上がり、仕事が増え、物価も上がる。需要が弱いと、生産も仕事も減り、物価は下がる。この単純な理屈が全てだ。

フィリップス曲線は、物価と失業率の関係を示す。仕事が豊富で失業率が低いと、企業が人を奪い合い、賃金が上がり、物価も跳ね上がる。逆に仕事が少なく失業率が高いと、賃金も物価も上がらない。ケインズ経済学の核心である。この曲線は、経済の「物価と雇用のせめぎ合い」を教えてくれる。

コロナ禍でマスクをつけて歩く大勢の人々

コロナ禍(2020年)は、需要と生産が同時に崩壊した危機だ。補正予算57.6兆円(給付金12.9兆円、企業支援15.4兆円)が消費を押し上げ、消費は2.5%増、生産(GDP)は2020年第3四半期に5.3%増(内閣府)。失業率は2.9%(米国は14.7%、総務省)にとどまり、労働市場の余裕で物価は0.4%減(デフレ)。フィリップス曲線上、失業率が高めでインフレは起きなかった。給付金の効果(乗数1.0)は貯金(30%、日銀)でやや弱まったが、雇用を守り抜いた。迅速な予算編成が成功を呼んだ。

阪神淡路大震災(1995年)は、生産が壊滅した危機だ。複数回の補正予算3.2兆円(復旧・復興)が生産を立て直し、神戸の生産は1996年に9割回復(兵庫県統計)。失業率3.2%(米国5.6%より低)、物価は0.1%減(デフレ、総務省)。フィリップス曲線では、労働市場の余裕でインフレなし。震災後3カ月で第1次予算を組んだ迅速さが勝利を呼んだ。


今、物価高が日本を襲う。トランプ政権の高関税やエネルギー高で生産が縮み、物価は3.6%上昇(食料品7.4%)。失業率2.6~3.0%(推定)でも、フィリップス曲線上、供給ショックが物価を押し上げる。消費税を8%から0%に下げれば、消費が上がり、失業率の上昇(3.5%リスク)を抑えられる。

だが、石破首相は動かない。2025年5月19日の参院予算委員会で、「金利の恐ろしさ」を理由に減税を拒否。「日本の財政はギリシャより悪い。社会保障費が増える」と財政規律を振りかざし、加藤勝信財務相も「市場の信認」を盾に国債を否定(ロイター)。

石破の頭には、マクロ経済やフィリップス曲線の基本がない。供給ショックで物価が上がるのに、消費を増やす減税を「国債が怖い」と拒むのは、財務省の操り人形だ。ギリシャの危機はユーロ圏の特殊事情(通貨主権なし)なのに、それを無視して増税を避けるだけ。経済を救う気ゼロだ。国民経済を犠牲にしても、自らの政権を維持しようという魂胆が丸見えだ。参院選に負けても、内閣支持率が低下しても、居座るつもり満々だ。厚顔無恥とはこのことだ。

コロナと阪神の補正予算は、迅速に動き、雇用を守った。今、供給ショックを放置すれば、国民の生活は物価高で疲弊、参院選で自民党は大敗する。石破政権は経済を殺す疫病神だ。マクロ経済は需要と供給の綱引き。フィリップス曲線は物価と雇用の羅針盤だ。今すぐ減税で家計を救え。石破の緊縮脳では日本が沈む。国民のために、そうして自民党にとってもこの政権は一刻も早く終わらせるべきだ。

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