まとめ
- 釧路市の「ノーモアメガソーラー宣言」:2025年6月1日、釧路市が環境破壊懸念からメガソーラー反対を宣言。オジロワシの繁殖と森林伐採が問題で、条例による実効性を目指す(産経新聞、2025年5月30日)。
- 北海道の再エネ反対:小樽市(2023年、風力反対)、福島町(2022年、メガソーラー反対)などで、環境と景観への懸念から住民が反発。事業者との対話不足が火種(北海道新聞、2022年10月15日)。
- 石狩LNG基地の活用:総容量840,000kLの基地がフル稼働。米国LNG(2027年アラスカプロジェクト、20百万トン)に対応可能で、苫小牧新ターミナルで輸入拡大(北海道ガス、2024年5月15日)。
- 米国のエネルギードミナンス:トランプ政権は化石燃料と原子力を優先、脱炭素を学説とみなし、SMR(NuScale、2029年)と核融合(CFS、2030年代)を未来の柱に(NYTimes、2025年2月1日)。
- 日本のエネルギードミナンス戦略:再エネを抑え、LNG輸入を20%増(13百万トン)、石狩基地拡張、苫小牧ターミナル着工、2030年までに北海道でSMR実証(300MW)を進めるべき(経済産業省、2024年2月25日)。
鶴間秀典市長は「設置が自然環境と調和した適切なものになることを期待する」と述べた。市内の釧路湿原周辺では、国立公園かつラムサール条約登録湿地に太陽光パネルが多数設置されており、事業者によるメガソーラー建設計画も進行中。これに対し、国の天然記念物であるオジロワシの繁殖への影響を危惧した市民団体が先月、計画中止を求める要望書を提出している。
北海道で再生可能エネルギー(再エネ)への反対が燃え上がり、米国では2025年1月のトランプ政権発足以降、「エネルギードミナンス」を掲げ、化石燃料と原子力を押し進める。脱炭素は単なる学説だ。小型モジュール炉(SMR)や核融合の実用化が視野に入れば、脱炭素は無意味になる。日本も米国を見習い、再エネを抑え、LNG輸入を拡大し、特に北海道は、石狩LNG基地をフル活用、北海道にSMR開発拠点を築くべきだ。エネルギーの未来は、環境幻想ではなく、現実の力で決まる。
北海道の再エネ反対のうねり
小樽市は2023年、双日の「北海道小樽余市風力発電所」計画(26基の風車、国有林内)に反対。迫俊哉市長が6月13日、北海道知事へ意見書を突きつけた。理由は、森林伐採がキツネやエゾシカの生息地を壊し、土砂災害を招き、観光の景観を傷つけ、遊歩道を奪うからだ。市民は賛否両論だが、環境と景観を守る声が強い。塩谷地区の太陽光計画では住民反発で市有地売却が問題化した(北海道新聞、2020年10月30日)。
小樽市は洋上風力を推し、石狩湾新港沖に期待。2020年、住友商事と地中熱活用の覚書を結び、地産地消の再エネを探る。「小樽市太陽光発電施設の設置に関するガイドライン」(2020年)で環境配慮を求めた。
釧路市は先に示したように、2025年6月1日、「ノーモアメガソーラー宣言」を発し、釧路湿原のメガソーラーに反対。オジロワシの繁殖と森林伐採が懸念だ(環境省調査、2024年2月)。全国2例目で、法的拘束力はないが、条例で実効性を目指す。産経新聞(2025年5月30日)は、市民の支持と他の自治体への波及期待を報じた。
石狩市、室蘭市、網走市、福島町でも再エネに反対の声が上がり、環境と景観へのこだわりが対話不足を招く。福島町では2022年、メガソーラーに住民が署名活動で反対(北海道新聞、2022年10月15日)。
石狩LNG基地と米国のエネルギードミナンス
石狩LNG基地(総容量840,000kL、4基)はフル稼働している。北海道ガス(タンク1号180,000kL、2号200,000kL)、北海道電力(タンク3号・4号各230,000kL)が運営。2024年5月、Santos社が2027年から年間40万トンのLNG供給を約束(北海道ガス発表、2024年5月15日)。短中期の輸入余地は、稼働率39%(IGU報告、2023年)と在庫余裕で確保できる。
大規模輸入には苫小牧新ターミナル(2024~2025年検討中)が必要だ。国内LNG需要は2014年の87百万トンから2023年は64.89百万トンに減少(IEEFA、2024年3月11日)。核発電再稼働や再エネ拡大が需要を抑えるが、冬季需要や緊急バックアップで柔軟性が要る。2018年胆振東部地震で石狩基地が電力復旧を支えた(北海道電力報告、2018年9月)。
トランプ政権は「エネルギードミナンス」で化石燃料と原子力を優先。2025年1月20日、「国家エネルギー非常事態」を宣言(大統領令、2025年1月20日)、LNG輸出を加速。インフレ抑制法(IRA)の補助金停止、風力凍結、EV支援縮小、パリ協定離脱を進め、風力は「ゴミ」と切り捨てる(NYTimes、2025年2月1日)。17州が反発。太陽光は2025年45,000MW設置予測(SEIA、2024年)で成長は鈍化するが止まらない。
SMR(NuScale、2029年商用化、DOE)と核融合(CFS、2030年代目標)の期待で、脱炭素は学説にすぎず、化石燃料はつなぎだ。中国がクリーンエネルギーをリード(IRENA、2024年)、米国は投資流出(80億ドル、Bloomberg、2025年1月15日)を懸念。
日本がエネルギードミナンスで未来を握る
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三菱重工の超小型原子炉(SMR)、直径1mで25年間燃料交換なしという トレーラーで設置場所まで移動可能 |
日本はエネルギー自給率13.3%(経済産業省、2023年)と低く、LNGに依存せざるを得ない。米国を見習い、エネルギードミナンスで再エネを叩き斬り、LNG輸入を拡大、石狩LNG基地をフル回転させ、さらに北海道にSMR開発の牙城を築くべきだ。
石狩基地は米国LNG(2027年アラスカプロジェクト、20百万トン、経済産業省、2024年2月25日)に十分対応可能だ。2025年2月、石破首相とトランプが「記録的な量」の輸入で握手(共同通信、2025年2月15日)。
苫小牧新ターミナルは新たな雇用を生み出す(北海道ガス、2024年5月15日)。SMRは北海道の広大な土地と冷却水源に適合するものだ。三菱重工が2020年代後半の実証を狙う(NEDO、2024年)。SMRは、まだ実験段階だが、それに似たものは、すでに原子力潜水艦や、原子力空母などで用いられている。これを民間でも使えるようにするというのが、SMRと言えるだろう。これらは、すでに何十年も使われており、その点で再エネなどとは根本的に違う。
英国は2030年までにSMR20基を稼働させる予定だ(BEIS、2024年)。JGCとIHIのNuScale投資(JAPAN Forward、2021年10月)は日本の本気度を物語る。核融合は京都フュージョニアリングが2030年代を照準(日本経済新聞、2024年3月10日)。
再エネは不安定で金食い虫だ。洋上風力は20円/kWh超(経済産業省、2023年1月27日)、LNG(10~12円/kWh)に遠く及ばない。釧路のメガソーラーはオジロワシを脅かし(環境省、2024年2月)、福島町の計画は住民の反発で足踏み(北海道新聞、2022年10月15日)。
脱炭素は気候モデルの一学説にすぎない。SMRと核融合がいずれ、エネルギー問題を根こそぎ解決する。日本はLNG輸入を20%増(13百万トン追加)、石狩基地の桟橋を拡張(年間150回受け入れ)、苫小牧ターミナルを早急に着工、さらに2030年までにSMR実証(300MW)実験を終えるべきだ。エネルギードミナンスは日本のエネルギー安全保障を鉄壁にし、経済を活性化させ、グローバルな競争力を高める。気候変動の幻想を蹴散らし、LNGとSMRで北海道と日本の未来を切り開くべきた。
追記:本日より、従来の元記事やその記事の要約をあげ、それについて論評するというスタイルはやめることにしました。よろしくお願いします。
追記:本日より、従来の元記事やその記事の要約をあげ、それについて論評するというスタイルはやめることにしました。よろしくお願いします。
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