2025年5月17日土曜日

台湾、原発「ゼロ」前に運転期間延長法案可決 行政院長、再稼働までの課題に言及—【私の論評】グリーン・ファシズムの破滅:ドイツの脱原発失敗と台湾への警告

台湾、原発「ゼロ」前に運転期間延長法案可決 行政院長、再稼働までの課題に言及

まとめ
  • 原発運転延長の法改正台湾唯一の稼働中である第3原発2号機の運転期間を最長20年延長する法改正案が、野党主導で立法院にて可決。脱原発を掲げる与党・民進党は反対し、行政院長は稼働継続の判断には一定の時間が必要と表明。
  • 政府のエネルギー政策: 政府は民生・産業用の電力供給の安定を保証しつつ、クリーンエネルギー開発を積極推進。次世代原子炉には安全性、核廃棄物処理、社会的合意を条件に前向きな姿勢を示し、従来の原発には厳格な手続きを適用。
  • 今後の手続きと課題原子力安全委員会は改正法に基づく規則制定と安全確認手続きを進める必要があり、具体的な判断時期は未定。政府は、小型モジュール炉(SMR)などの次世代原子炉導入には、安全性確保と核廃棄物課題の解決が求められるとしている。
台湾電力第3原子力発電所(屏東県)

台湾で唯一稼働中の台湾電力第3原子力発電所2号機(屏東県)が、2025年5月17日に運転期間満了で停止する予定だったが、立法院(国会)は13日、原発の運転期間を最長20年延長可能な原発関連法改正案を可決した。野党が多数を占める中、脱原発政策を掲げる与党・民進党の反対を押し切る形で可決され、第3原発2号機の稼働継続の是非に注目が集まっている。卓栄泰行政院長(首相)は16日のメディア懇親会で、稼働継続の判断には時間を要すると表明し、電力供給の安定を保証しつつ、クリーンエネルギー開発を積極的に進める方針を強調した。

政府は従来の原発について必要な安全手続きを進め、次世代原子炉には安全性確保、核廃棄物処理、社会的合意の3条件を満たすことを前提に前向きな姿勢を示した。原子力安全委員会は、改正法に基づく規則制定と安全性の実質的な確認手続きが必要で、これらの手続きの策定に要する時間は現時点で不明とした。特に、小型モジュール炉(SMR)を含む次世代原子炉の導入には、厳格な安全性評価と高レベル放射性廃棄物の課題解決が求められるとした。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】グリーン・ファシズムの破滅:ドイツの脱原発失敗と台湾への警告

まとめ
  • ドイツの脱原発は大失敗だ:2023年4月15日の原発全廃はエネルギー危機と経済失速を招いた。石炭(24%)と天然ガス(16%)に頼り、電気代は3倍に跳ね上がり、GDPは2年連続縮小。BASFやフォルクスワーゲンは生産縮小や海外移転に追い込まれた。国民の78%が2022年に原発延長を支持したが、グリーン・ファシズムに固執した結果、莫大な無駄金を生んだ愚策だった。
  • 再エネは非現実的で有害だ:風力や太陽光は天候依存で不安定、風力タービンは住民反対で2017年比6割減。土地を奪い、コストを膨らませる再エネは電力供給を不安定化させ、ドイツの経済を低迷させた。台湾もこの幻想を追うが、現実的な解決策ではない。
  • 世界は核エネルギーに回帰している:アメリカはSMRや原発延長に巨額投資、マイクロソフトはスリーマイル島再稼働に10億ドルを投じる。EUはフランスの14基新設やスウェーデンの10基計画で核を強化、支持率は52%に上昇。核の安定性と経済性が再評価される中、台湾は逆走する。
  • 民進党の反核イデオロギーは台湾を危機に導く:2011年の福島
    事故を過剰に恐れ、2013年の「安全」評価を無視して原発全廃を強行。2018年の国民投票(59%が継続支持)を無視し、グリーン・ファシズムに染まる。エネルギーの98%を輸入に頼り、中国の封鎖リスクに脆弱な台湾にとって、核放棄は致命的だ。
  • 台湾は核の力を取り戻すべきだ:董建華(ドン・ジエンホア)氏が原発継続を訴えるが、民進党は無視。核廃棄物はアメリカのSMR技術やフランスの燃料リサイクルで解決可能だ。2025年5月17日の第3原発2号機停止を前に、台湾はアメリカやEUの核回帰に倣い、電気代高騰と経済衰退を防ぐため核を選ぶべきだ。
台湾は2025年5月17日(今日)、最後の稼働中の原発である馬鞍山(マーアンシャン)原子力発電所の2号機の運転を停止した。これにより、台湾は東アジアで初めて「核国家」から「非核国家」となった。馬鞍山2号機の40年の運転許可が本日満了し、台湾電力(Taipower)は予定通り停止を実施した。これは、ドイツの脱原発が大失敗だったことを考えると、暴挙と言わざるを得ない。

ドイツの脱原発はなぜ大失敗だったのか

ドイツが2023年4月15日、最後の原発を止めたとき、「エネルギー革命」の成功を多くのドイツ国民が願った。だが、現実は厳しい。脱原発はエネルギー危機と経済失速を招き、グリーン・ファシズムの幻想を暴いた。核を捨て、石炭と天然ガスに頼り、2023年の電力は石炭24%、ガス16%だ。2022年のロシア・ウクライナ戦争でロシアからのガスが止まり、ドイツは液化天然ガス(LNG)ターミナルを急造、閉鎖した石炭火力を再稼働させた。


環境保護の名目など虚しい。電気代は米国や日本の3倍に跳ね上がり、2023年、ドイツは電力の純輸入国に転落した。GDPは2年連続縮小、BASFやフォルクスワーゲンは生産縮小や海外移転に追い込まれた。Xでは「脱原発で経済が死に体」と怒りが広がる。

風力や太陽光といった再エネは、天候に左右され、風力タービンは住民反対で2017年比6割減だ。土地を食い、コストを膨らませる再エネは非現実的で、電力は不安定、経済は低迷した。核廃棄物の処分場は未定だが、核を維持していれば管理できた。

国民の不満も爆発した。2022年には78%が原発延長を支持、2023年には51%が廃炉を「誤り」と断じた。Xでは「グリーン・ファシズムの自業自得」と批判が殺到する。核を維持していれば、莫大な無駄金も半分で済んだはずだ。ドイツの脱原発は、核の安定性と経済性を無視し、再エネを押し付ける愚策だった。台湾よ、この破滅を直視せよ。

世界は核に回帰、台湾だけが逆走する

世界はドイツの失敗から学んだ。アメリカとEUは核エネルギーをエネルギー安全保障と経済の基盤と見直し、原発の延長と新設を急ぐ。アメリカでは、2022年の法律で原発延長に巨額支援、小型モジュール炉(SMR)に補助金を投じた。ジョージア州のボーグル原発は80年運転を認められ、カリフォルニアのディアブロキャニオンは2030年まで延長された。


2024年、テラパワー社がワイオミングでSMR建設を始め、マイクロソフトはAIデータセンターの電力を賄うため、スリーマイル島原発の再稼働に10億ドルを注ぐ。Xでは「SMRでエネルギー革命」と熱狂が広がり、核支持は61%に跳ね上がった。EUも動きは速い。2022年、核を「持続可能な投資」に指定。

フランスは14基の新原発を、ポーランドは初の原発を、スウェーデンは10基を計画する。ベルギーやオランダも原発を延長、核支持は52%に上昇した。Xでは「フランスの核が欧州を救う」と声が響く。ロシアのガス供給削減と電気代高騰が、核の価値を再認識させたのだ。

だが、台湾はどうだ。民進党はグリーン・ファシズムに染まり、2011年の福島事故を過剰に恐れた。2013年のEUテストで原発は「安全」とされたのに全廃を選んだ。2018年の国民投票で59%が継続を支持したが、民進党は無視した。Xでは「国民を踏みにじる」と怒りが爆発する。再エネは有害だ。風力や太陽光は土地を奪い、住民反対で進まず、電力は不安定でコストは高い。世界が核の安定性で未来を築く中、台湾はドイツの再エネ強制をなぞる。なぜこんな道を選ぶのか。

台湾よ、目を覚ませ

民進党の反核イデオロギーは台湾を危機に追いやる。福島後の反核デモを政治の道具にし、2025年5月17日の「非核アジアフォーラム」では「反核が政治を動かした」と胸を張る。だが、Xでは「グリーン・ファシズムが経済と安全を殺す」と非難が殺到する。台湾はエネルギーの98%を輸入に頼り、天然ガス備蓄は8日分だ。中国の封鎖リスクが迫る中、2022年のペロシ訪台後の演習で脆弱性が露呈した。


産業界の董建華(ドン・ジエンホア)氏は原発継続を訴えるが、民進党は耳を貸さない。核廃棄物は解決可能だ。アメリカのSMR技術、フランスの燃料リサイクルがそれを証明する。ドイツの脱原発は、再エネを押し付けた結果、危機と失速を招いた。

アメリカはSMRで、EUは新原発でエネルギー安全保障を築く。なのに、台湾はドイツの失敗に固執する。台湾は岐路に立つ。アメリカは原発を延長し、スウェーデンは脱原発を撤回した。台湾も核で進むべきだ。電気代高騰、経済衰退、危機を避けるには、世界の潮流を見据え、核の力を取り戻すしかない。台湾よ、目を覚ませ。エネルギー政策においては党派を超えて、台湾は核を取り戻せ。

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