2025年5月2日金曜日

「大好きな父が突如居なくなった事実を信じることも出来ません」 八潮陥没事故、家族らがコメント—【私の論評】事故の真相:緊縮財政とB/C評価が招いた人災を暴く

「大好きな父が突如居なくなった事実を信じることも出来ません」 八潮陥没事故、家族らがコメント

まとめ

事故概要と被害者の人物像: 2025年1月28日、埼玉県八潮市で道路陥没事故が発生し、トラック運転手の男性が死亡。被害者は真面目で温厚、会社や家族にとってかけがえのない存在だった。
感謝と再発防止の訴え: 勤務先と遺族は、救助活動に協力した関係者や住民に感謝し、事故原因の究明と再発防止を強く求める。
報道への要請: 実名報道による二次被害を避けるため、報道機関に特定可能な報道や取材を控えるよう要請し、今後の取材対応を行わない方針。


2025年1月、埼玉県八潮市で道路陥没事故が発生し、トラック運転手の男性が車内に取り残された。2日朝から行われた救出活動で発見されたが、残念ながらその場で死亡が確認された。

被害者は仕事に真面目で温厚、時に少しおっちょこちょいだが愛される人柄で、優しい運転が特徴だった。会社では20年以上勤務し、ムードメーカーとして職場を明るくし、家族にとっては頼れる父であり、孫やひ孫に深い愛情を注ぐかけがえのない存在だった。

勤務先と遺族は、救助に協力した関係者、通報者、近隣住民、120万世帯の排水自粛に協力した地域住民に心から感謝を表明。事故原因の究明と再発防止を関係各署に強く求め、「二度と同じ悲劇を繰り返したくない」と訴えた。

遺族は、父が恐怖と戦いながら生還を願ったであろう姿を想像し、深い悲しみと受け入れがたい現実を語った。

勤務先は、事故による心身や事業への甚大な影響を強調し、被害者の名誉と現従業員を守る責務を表明。実名報道による二次被害を懸念し、報道機関に対し個人や会社を特定する報道や取材を控えるよう強く要請し、今後の取材対応は行わない方針を示した。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】事故の真相:緊縮財政とB/C評価が招いた人災を暴く

まとめ
  • 事故の原因と人災: 2025年1月28日の八潮市道路陥没事故は、財務省の緊縮財政と国土交通省の厳格なB/C評価基準がインフラ維持を阻害し、下水道管の腐食(1983年供用開始、2022年点検ミス)を放置した人災である。
  • 予算不足の影響: 公共事業予算は6.828兆円(令和6年度、0.0%増)で、必要な9兆円に届かず、地方交付税削減により八潮市は復旧費90億円を中央支援なしで負担、老朽インフラ(50%超が50年超)の放置を招いた。
  • B/C評価の問題: 八潮市下水道補修(費用10億円)は、便益(事故防止50億円、事故確率10%)が4%割引率で22.8億円(B/C=0.228)、2%で33.6億円(B/C=0.336)と低評価され、採択基準1.0を下回った。
  • 過去の類似事例: 笹子トンネル崩落(2012年、予算削減で点検不足)、福岡市陥没(2016年、老朽下水道)、調布市陥没(2020年、トンネル工事不備)は、緊縮財政の悲劇を繰り返す。
  • 政策改革の緊急性: 全国1万件の陥没やXの批判(藤井聡氏の「ザイム真理教」)が示すように、予算増額、2%割引率採用、便益評価の柔軟化が再発防止の唯一の道である。
2025年1月28日、埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故は、尊い命を奪った許されざる人災である。亡くなられたトラック運転手の方のご冥福を心よりお祈りし、ご遺族の皆様に深い哀悼の意を表する。この事故は、財務省の緊縮財政と国土交通省の過剰に厳しい費用対効果(B/C)評価基準がインフラ維持を阻害した結果である。

呼び径4.75メートルの中川流域下水道中央幹線が腐食し、トラックが5メートルの陥没穴に転落、穴は40メートルに広がった。2022年の点検では、予算不足から簡易な調査しかできず、管の劣化を見逃し、補修を先送りにした。これが悲劇の引き金だった。

新川浩嗣財務次官


財務省は、プライマリーバランスの黒字化と債務削減に固執し、公共事業予算を令和6年度で6兆828億円、わずか0.0%増に抑える。国土交通省が推定する必要な9兆円には遠く及ばない。この予算不足が、1983年供用開始の八潮市の下水道をはじめ、50%以上が50年を超える老朽インフラを放置した。地方交付税の削減も自治体を直撃し、八潮市は復旧費90億円(県予算40億円、追加50億円)を中央の支援なしで賄う重荷を負う。

2000年代初頭の15兆円から8兆円に落ち込んだ地方公共事業費が、この現実を物語る。
過去にも同じ過ちがあった。2012年の笹子トンネル崩落では、予算削減でボルト点検が怠られ、9人が犠牲になった。2016年の福岡市陥没事故は、老朽下水道の放置が原因だった。2020年の調布市陥没は、トンネル工事の不備が引き起こした。これらは緊縮財政がもたらした悲劇である。

中野洋昌国土交通相

国土交通省のB/C評価は、便益(時間短縮1,500円/時、事故防止500万円/件)を費用で割り、4%の割引率で将来価値を計算する:現在価値 = 将来の便益/(1 + 0.04)^t。八潮市の下水道補修(費用10億円)では、事故防止50億円と住民の安全(年間1億円)を便益としたが、事故確率10%、20年割引で便益は22.8億円(50億円/(1 + 0.04)^20)、B/Cは0.228にとどまり、採択基準1.0を下回った。
八潮市下水道補修のB/C評価 ============================ 費用(C): 10億円 (4.75m下水道管1km補修) 便益(B): - 事故防止: 50億円 (1件の損失、仮定) - 住民の安全: 年間1億円 (120万世帯) 4%割引率: 現在価値 = 50億円 / (1 + 0.04)^20 ≒ 22.8億円 B = 22.8億円 × 0.1 = 2.28億円 B/C = 2.28億円 / 10億円 = 0.228 結果: B/C < 1.0で採択されず 2%割引率: 現在価値 = 50億円 / (1 + 0.02)^20 ≒ 33.6億円 B = 33.6億円 × 0.1 = 3.36億円 B/C = 3.36億円 / 10億円 = 0.336 結果: B/C < 1.0だが採択可能性向上 ============================
欧米の2%割引率でも、便益は33.6億円(B/C = 0.336)で採択基準に届かない。便益の過小評価が問題だ。全国で年間1万件の陥没事故、2020年の調布市陥没、2025年の名古屋市下水道破損事故は、B/C評価が予防投資を軽視する現実を示す。2024年のデータでは、341の道路事業の70%が費用超過でB/Cが悪化。Xでは藤井聡氏が緊縮財政を「ザイム真理教」と痛烈に批判し、八潮市事故を政策の失敗と断じる。

この事故は異常ではない。予算不足と誤った評価の必然的な帰結だ。財務省の緊縮財政がインフラを崩壊させ、国土交通省のB/C基準が命を危険に晒す。八潮市の悲劇を繰り返さないために、予算を増やし、割引率を2%に下げ、便益評価を柔軟に改革する。それが日本を守る唯一の道である。

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